奈良女子大学大学院 人間文化研究科 物理科学専攻 高エネルギー物理学研究室 岩崎 麻友 2008年2月14日

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奈良女子大学大学院 人間文化研究科 物理科学専攻 高エネルギー物理学研究室 岩崎 麻友 2008年2月14日 B0→J/yg稀崩壊過程の探索 奈良女子大学大学院 人間文化研究科 物理科学専攻 高エネルギー物理学研究室 岩崎 麻友 2008年2月14日 ■発表の流れ■ 研究の動機 実験装置 B0→J/yg稀崩壊過程の探索 まとめ

■B中間子とB0→J/yg 崩壊■ B中間子 B0→J/yg崩壊…光子輻射崩壊 → g(光子)が1つだけ放出される反応であり、 CP対称性の破れ(粒子・反粒子間の違い)を測定 → 弱い相互作用 陽子の5倍強の質量、多様な崩壊過程が存在 → bクォーク、cクォークを含む強い相互作用 B0→J/yg崩壊…光子輻射崩壊 → g(光子)が1つだけ放出される反応であり、 非常に興味深い

■光子輻射崩壊 (Radiative Decay)■ 既知の光子輻射崩壊 Ex. B0→K*g, B0→rg etc… → ペンギン振幅(電弱相互作用の1ループ遷移) 標準模型を超える新しい物理の影響が現れる可能性 があり、崩壊分岐比やCP非保存が測定されてきた

■B0→J/yg 崩壊過程■ W交換型の光子輻射崩壊過程 → まだ一度も見つかったことがない 予想される崩壊分岐比:10-8〜10-9 …Belle検出器で収集されている事象の    統計数(〜108B中間子対生成事象)では    信号を見出すことは不可能 Wボソン交換 + クォークからの光子放出

■VMDがあるB0→J/yg 崩壊過程■ VMD(ベクターメソンドミナンス)とは 崩壊分岐比の予想:10-6〜10-7 - 準実光子が仮想的にqqであるベクトル中間子に転換する反応過程、またその逆の過程 崩壊分岐比の予想:10-6〜10-7 …これまでに蓄積したデータで  信号を見出せる可能性がある! - VMD (ベクターメソンドミナンス) r0, w

■B0→J/ygにおけるCP対称性の破れ■ … B0からもB0からも崩壊可能 → 生成時にB0であったものとB0であったもので   崩壊時刻分布に差が生じ得る 標準模型におけるこの過程のCP非保存:〜10-2 ─ ─ 小さい 時間依存CP非保存 大きなCP非保存あり 新しい物理の兆候?

■実験装置■ KEKB加速器 茨城県つくば市・高エネルギー加速器研究機構(KEK) 特徴 e- e+ Belle測定器 → Bファクトリー(B中間子対を大量に生成) 特徴 (1) 2リング型電子・陽電子   衝突型加速器(周長3km) (2) 非対称エネルギーでの衝突 (3) 重心系エネルギー10.58GeV   bクォークの共鳴状態U(4S)は   ほぼ100%B中間子対に崩壊 (4) 高いルミノシティ(ビーム強度) = 1034 cm-2 s-1 Belle測定器 e- e+

■実験装置■ Belle測定器 EFC SVD CDC ACC TOF ECL KLM 異なる役割を果たす複数の検出器で構成されている  異なる役割を果たす複数の検出器で構成されている 幅7m×奥行7m×高さ7m 検出器 役割 EFC SVD CDC ACC TOF ECL KLM ルミノシティモニター B中間子崩壊点の検出 荷電粒子の飛跡測定 粒子識別(K/p) エネルギー測定 KL粒子、m粒子検出

■B0→J/yg事象の再構成■ B0→J/yg J/y→l+l-の再構成 J/y候補の条件(MJ/y = 3.1 GeV/c2) 同フレーバーのレプトンと同定 互いに逆符号の電荷を持つ2本の飛跡の不変質量 J/y候補の条件(MJ/y = 3.1 GeV/c2) 2.95 < Mee < 3.136 GeV/c2 3.04 < Mmm < 3.136 GeV/c2 Mee:電子・陽電子対の不変質量 Mmm:m粒子対の不変質量

■レプトン対の不変質量分布(Exp)■ 実験データ e+e- m+m- J/yがきれいに見えている!

■B0→J/ygの再構成の条件■ 重心系でのMbcとDEによる条件 Mbc = √Ebeam - |PJ/y+ Pg|2 ビームコンストレイントマス DE = (EJ/y + Eg) - Ebeam エネルギー差 Ebeam :ビームエネルギー PJ/y 、 EJ/y : J/yの運動量とエネルギー Pg 、 Eg : gの運動量とエネルギー 正しい粒子を選べば、 2 * * = B中間子の質量 (5.279GeV/c2) (J/yとgを組み合わせた不変質量) * * = 0 * * * *

■MbcとDEの分布(シグナルMC)■ 10,000個の B0→J/yg シグナルMC シグナル領域 シグナル領域        -0.1 < DE < 0.05 GeV     5.27 < Mbc <5.29 GeV/c2  

■バックグラウンドの崩壊過程の内訳■ 9割 46事象 J/yp0に崩壊したもの 26事象 J/yKLに崩壊したもの 15事象 ここまでの選別条件によるバックグラウンド(B.G.) の崩壊過程の内訳(シグナル事象の領域) J/yを含む過程に崩壊した事象数 46事象 崩壊過程 事象数 J/yp0に崩壊したもの J/yKLに崩壊したもの その他の崩壊過程 26事象 15事象 5事象 9割 B0→J/ygシグナル事象数   〜10事象 (崩壊分岐比:〜10-6)

■B.G.低減の手法■ B0→J/yp0による B.G.を低減する手法 B0→J/y KLによる B.G.を低減する手法 gがp0からきている確率 J/yの崩壊で生じるレプトンの角度分布 B0→J/y KLによる B.G.を低減する手法 ECLで検出した電磁シャワーの形状変数

■B0→J/yp0 B.G.の低減■ gがp0から生じた確率 p0から生じたと認識されたものを排除 p0は99%の確率で2つのgへ崩壊するので B0→J/yg候補事象のgを、同じ事象中の他のgと組み合わせ、  p0から生じたと認識されたものを排除 gのエネルギーと、z軸(e+ビームの反対向き)からの 角度qの間には相互関係がある…非対称エネルギー衝突 z軸からの角度q gのエネルギー 他のgと組み合わせた不変質量  → これらの関数としてp0である確率(Pp0)を求める

(検出前に測定器を構成する物質と相互作用) ■gがp0から生じた確率の分布■ p0から生じたと認識される確率のうち当該事象の中で最も高いものの分布 B0→J/yg MC B0→J/yp0 MC 2つのg検出 …0.8〜0.9付近に集中 gが1つなので 0付近に集中 片方のgが検出されなかった…0付近に集中 (検出前に測定器を構成する物質と相互作用) この低減に ついては後述

■ヘリシティー角度■ シグナル事象(B0→J/yg)…光子輻射崩壊 主要なB.G.(B0→J/yp0、B0→J/y KL) g:横波成分のみ → J/y:横偏極 主要なB.G.(B0→J/yp0、B0→J/y KL) J/y(スピン1) + 中間子(スピン0) → J/yの静止系において、  ・B中間子の運動量ベクトル  ・J/yから崩壊したl+の運動量ベクトル 軌道角運動量 L = 1 → シグナルとは異なる   状態に偏極 この間のなす角: ヘリシティー角qhel

■ヘリシティー角度分布■ シグナルMC J/yを伴うB.G.のMC 確率密度関数 (Probability Density Function: PDF) 3 8 : (1 + cos2qhel) PDF(シグナル) PDF(B.G.) 3 4 : (1 - cos2qhel)

■B.G.低減のためのLikelihood Ratio■ B0→J/yp0からくるB.G.低減のための LR (Likelihood Ratio) p0と認識される確率(Pp0) ヘリシティー角度分布のPDF シグナルとB.G.のLikelihood: Lsig Lbg LR = = (1 - Pp0)  (1 + cos2qhel) 3 8 3 4 = Pp0 (1 - cos2qhel) Lsig Lsig + Lbg

■B0→J/yp0 B.G.低減のためのLR ■ B0→J/yg MC B0→J/yp0 MC 半数以上が 落とせる 片方のgが検出されず、 かつ、偶然qhel=p/2付近 半数以上が 落とせる

■Figure Of Merit(F.O.M.)■ LRの条件を最適化 → F.O.M.が最大となるLRの値を探す F.O.M. = S:期待されるシグナル事象数 B:B0→J/yp0からくるB.G.事象数 S √S + B

■LRの条件とF.O.M.(B0→J/yp0)■ 2.42 0.7 F.O.M.最大: LR > 0.7 を事象選別条件に加える

■ B0→J/yKLB.G.の低減■ 電磁シャワーの形状 シャワーの形状を記述する変数 ハドロニック相互作用 gの入射 電磁シャワーの形状 ECL中でのKLハドロニック相互作用による エネルギー損失 → g の入射と誤認 ハドロニック相互作用 gの入射 シャワーの形状を記述する変数 1. シャワー幅(Shower width) 2. E9/E25 3. シャワー中のカウンター本数(Nhits) 4. 最小オープニング角 複数のカウンターへの エネルギー損失の広がり方が異なる

■シャワー形状変数の定義■ E9/E25 Nhits シャワー幅 シャワーを再構成する CsIカウンター(5×5本) 5本 再構成されたシャワーの中心から 各カウンターまでの距離に、エネルギー で重みを付けたシャワーの横方向の広がり E9/E25 シードカウンター近傍の3×3 = 9本の エネルギーと、25本全体のエネルギーの比 Nhits 25本のうち、信号読み出しの条件 (E ≧ 0.5MeV)を満たしたカウンターの本数 最小オープニング角 g候補の運動量ベクトルと、0.1GeV以上の シャワーのうち最も近傍に発見されたもの の位置ベクトルとがなす角  シャワーを再構成する CsIカウンター(5×5本) 5本 5 本 シードカウンター: 隣接するどのカウンターより 大きい信号(≧10MeV)が検出

■シャワー幅分布■ シグナルMC B0→J/yKL MC

■E9/E25分布■ シグナルMC B0→J/yKL MC

■ヘリシティー角度分布■ J/yの静止系において、 ・B中間子の運動量ベクトル ・J/yから崩壊したl+の運動量ベクトル この間のなす角: ヘリシティー角qhel シグナルMC J/yを伴うB.G.のMC

■ B0→J/yKL B.G.低減のためのLR ■ シャワー形状変数のPDF ヘリシティー角度分布のPDF シグナルMC シャワー形状変数のPDF ヘリシティー角度分布のPDF シグナルMC B0→J/yKL MC

■ LRの条件とF.O.M.(B0→J/yKL ) ■ 3.18 0.4 F.O.M.最大: → LR > 0.4 を事象選別条件に加える

■B.G.低減後のMbcとDEの分布(J/yp0MC)■

■B.G.低減後のMbcとDEの分布(J/yKLMC)■

■B.G.低減後のMbcとDEの分布(その他のB.G.MC)■

■B.G.低減後のMbcとDEの分布について■ B0→J/yp0とB0→J/y KLは シグナルと同じ領域にピークを作る DE: B0→J/yp0だけDE < 0領域にやや集中した分布 それ以外はピークなし → 実験データ中からシグナルの抽出を行う時  DE分布を用いる

■実験データ■ これまでの選別 条件を用いて、 2.77×108BBの 実験データから B0→J/yg候補事象 を再構成した結果 → 定量的に調べる このDE分布に適切なフィット関数を用い シグナルの事象数を 得る ピークは見えない …何もなさそう 主なB.G.も同じ領域に ピークを持っていた

■ B0→J/ygシグナルMCのDE分布■ ( ) ( ) シグナルの関数系: Logarithmic Gaussian √ √ √ N    -1 e-x (e-x)s0 2p  2s0   (e-m)es0 (    ) (  ) f(x) =     exp ln √ 2 s a e =  + m, y = a 2ln2 √ ln(y + 1 + y2) 2ln2 √ s0 = ・フィッティングパラメーター  N:規格化定数 = フリー  m:平均値  = 0.005 GeV  s:標準偏差 = 0.034 GeV  a:非対称度 = 0.42

■DE分布のフィットに使用した関数■ バックグラウンド B0→J/yp0:スムージングした関数 一次式で表すことはできない  …スムージング:解析で得られたヒストグラムを   近似する滑らかな曲線を得る 一次式で表すことはできない B0→J/yp0以外のもの:一次式 ピークを持たない 実験データの統計 ≦ MCの統計の1/140 f(x) = ax+ b a, bともにフリーパラメーター

■DE分布のフィット結果■ B0→J/yg シグナル事象数 = 0.1 ± 6.5 事象 結果 シグナル事象は 見出せず、ゼロ事象 であることと無矛盾 一次式のB.G.と J/yp0:DE<0の盛り上がり でよく説明できる

■崩壊分岐比の算出■ B0→J/ygの崩壊分岐比 Nsig NB0・Br(J/y→l+l-)・e Br(B0→J/yg) = Nsig: B0→J/ygの事象数 = 0.1± 6.5 e :検出効率 = 35.4 ± 0.6 % NB0 :中性B中間子対生成事象数 = (2.77 ± 0.03)×108 Br(J/y→l+l-) : J/y→l+l-の崩壊分岐比 = 11.87 ± 0.12 % Br(B0→J/yg) =

■崩壊分岐比測定の誤差 ■ B0→J/yp0B.G.の不定性 系統誤差 → 不定性 gの検出効率 = 2.0% = MC期待値(13.5事象) × 11.7% = 1.6事象 系統誤差 シグナルのモンテカルロの統計 = 1.6% 飛跡の再構成 = 2.0% レプトンの同定 = 3.9% gの検出効率 = 2.0% Br(J/y→l+l-) = 1.0% NB0 = 1.1% 5.3%

■崩壊分岐比の上限値■ Br(B0→J/yg) < 9.0 × 10-7 Nsigの不定性 統計誤差、B0→J/yp0B.G.の不定性と比べ、 その他の系統誤差は十分に小さい = 統計誤差 + B0→J/yp0B.G.の不定性 = 8.1事象 シグナル事象数と崩壊分岐比の上限値(90%C.L.) Nsig < m + 1.28s = 0.1 + 1.28 × 8.1 = 10.5事象 m :平均値  s:不定性 Br(B0→J/yg) < 9.0 × 10-7

■まとめ■ B0→J/ygシグナル事象数(Nsig) Nsig = 0.1 ± 6.5 事象 崩壊分岐比の上限値 :2.77×108B中間子対生成事象(Belle検出器収集) シグナル事象は見出せずゼロ事象 崩壊分岐比の上限値 Br(B0→J/yg) < 9.0 × 10-7 (90%C.L.) 過去BaBar実験によって行われた探索で 得られた上限値1.6×10-6を2倍近く更新