第3章 地球物質とその性質.

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第3章 地球物質とその性質

課題 1.地球の形成期の最初の数億年を冥王代という.この時期に生じた主なできごとを4つ挙げよ. 2.ニッケルのパラドックスについて説明せよ. 3.強親鉄元素のパラドックスと初期地球の隕石銃爆撃の関係について述べよ. 4.初期地球における隕石銃爆撃は,地球にどのような影響をもらた下か述べよ.

PREM (Preliminary Reference Earth Model)

PREM (P, , ) 4

図 2 地殻 上部マントル マントル遷移層 ケイ酸塩 下部マントル 外核 金属鉄 内核 30km, 1GPa 410km 14GPa 核マントル境界 2900km 135 GPa 外核   金属鉄 5100km 330 GPa 内核   6370km 360 GPa

地球内部の温度 マントル 核 6

第3回 地球内部の不均質性:

Changes in P-and S- wave Velocity Reveal Earth’s Internal Layers Fig. 19.5

地球の層構造 Study of the behavior of seismic waves tells us about the shape and composition of the interior of the Earth: Crust: ~10–70 km, acidic composition (Upper crust of continent) basic (mafic) composition (Lower crust of continent Oceanic crust ) Mantle: ~2800 km, ultramafic composition Outer core: ~2200 km, liquid iron (with light elements) Inner core: ~1500 km, solid iron (with light elements?)

Sir Harold Jeffreys, FRS[1] (22 April 1891 – 18 March 1989) Jeffreys was born in Fatfield, Washington, County Durham, England. Beno Gutenberg (1889–1960) He joined the laboratory in 1930 and, at the same time, became a Professor of Geophysics at the California Institute of Technology.

地球の層構造 Bullen, Keith Edward (1906 - 1976) 29 June 1906, Auckland, New Zealand Bullen(1936)は地殻をA層、マントルをB層, C層, D層、外核をE層, F層、内核をG層に分け、速度分布、密度分布を求めた。 A層 地殻 Crust --モホ面 Moho discontinuity-- B層 上部マントル Upper mantle --410 km地震波不連続面--- 410km seismic discontinuity C層 マントル遷移層 Mantle transition zone --660 km地震波不連続面---660km seismic discontinuity D層 下部マントル Lower mantle --D”層 核マントル境界 Core-mantle boundary (CMB) E層 外核 Outer core --F層 内核境界 Inner core boundary (ICB) G層 内核 Inner core

Changes in P-and S- wave Velocity Reveal Earth’s Internal Layers A B C Changes in P-and S- wave Velocity Reveal Earth’s Internal Layers D D” E F G A 層~G層

地殻 モホロビチッチ不連続面 リソスフイア アセノスフィア 上部マントル 410 km地震波不連続面 マントル遷移層 660km地震波不連続面 下部マントル

Composition of the Earth Seismology tells us about the density of rocks: Crust   Continental crust: ~2.8 g/cm3   Oceanic crust: ~3.2 g/cm3  Lithosphere: Crust + Uppermost crust Asthenosphere: ~3.3 g/cm3

珪酸塩の例:オリビン(かんらん石) マントルを構成する岩石はかんらん岩 (peridotite, かんらん石・輝石を主成分とする) 15

キンバライトマグマ中に見られるカンラン岩(Garnet Peridotite Xenolith from the Bulfontein Floors, Kimberley, South Africa) カンラン石: 暗緑色 (ペリドート) 斜方輝石: 薄い緑色 ザクロ石: 赤い鉱物 (ガーネット) 単斜輝石:鮮やかな緑色 ダイヤモンド、、、、 Photo courtesy of F. R. (Joe) Boyd and Steve Richardson 16

地球の断面図 18

棒磁石の磁場 N S コアダイナモ 核の形成・進化(内核の発生・成長): 地球の熱史・温度 地球磁場の生成、生命の発生と進化 核の形成・進化(内核の発生・成長): 地球の熱史・温度 地球磁場の生成、生命の発生と進化 N S コアダイナモ 地球と惑星磁場生成と起源

Seismograph Record of P, PP, S, and Surface Waves Fig. 19.4

P-and S-wave Pathways Through Earth Fig. 19.3

P-wave Shadow Zone Fig. 19.2a

S-wave Shadow Zone Fig. 19.2b

内核の発見(1936) Dr. Inge Lehmann (1888-1993), 内核の発見者  Born in Denmark in 1888 The existence of an inner core distinct from the liquid outer core was discovered in 1936 by seismologist Inge Lehmann[3] using observations of earthquake-generated seismic waves that partly reflect from its boundary and can be detected by sensitive seismographs on the Earth's surface.

Maximum Amplitude of Ground Shaking Determines Richter Magnitude Charles Francis Richter (/ˈrɪktər/; 1900–1985), was an American seismologist and physicist. California Institute of Technology 最大振幅(ミクロン)の常用対数 1増えると振幅が10倍、エネルギーは31.62倍 2増えると振幅は100倍、エネルギーは1000倍 at d= 100 km A mm

Richter Magnitude Versus Energy 最大振幅(ミクロン)の常用対数 1増えると振幅が10倍、エネルギーは31.62倍 2増えると振幅は100倍、エネルギーは1000倍 b値 0.9~1.0 地域により異なる 地震の数 n :グーテンベルグ・リヒターの関係式  log n = a - bM

実験室における音速(地震波)測定 超硬アンビル 超音波振動子(トランスジューサー) 圧電素子(Piezo- electric effect)

地震が起きた年 地震名 マグニチュード(Mw) 1960年 チリ地震 9.5 1964年 アラスカ地震 9.2 1957年 アリューシャン地震 9.1 2004年 スマトラ島沖地震 9.0 1952年 カムチャッカ地震 2011年 東北地方太平洋沖地震

World Seismicity, 1963–2000 Fig. 18.14

高圧鉱物中の水の貯槽量(地球と火星) 地球 火星 オリビン 1250 km b ウオズレアイト g リングウッダイト 1800 km ? Storage capacity of water 地球 火星 0 1 2 3 wt% H2O b g ? オリビン 1250 km ウオズレアイト リングウッダイト 1800 km マグネシオブスタイト+ ペロブスカイト (From Crust to Core and Back, p42, Ed. F. Seifert, BGI, 2004) 4

Spring-8とPhoton Factory(PF)放射光施設 SPEED-MkII マルチアンビル高圧装置 レーザー加熱ダイヤモンドアンビル高圧装置

高温高圧実験の方法 BL10XU beamline, SPring-8 高圧装置 :Diamond anvil cell Laser 34/25 BL10XU beamline, SPring-8 高圧装置 :Diamond anvil cell Laser X-ray Culet size 35, 75, 100, 250, 300 μm ダイヤモンド ガスケット Re サンプル(Fe-3.4 wt% Si) 圧力媒体(NaCl) 高温発生方法: Nd:YLF laser (λ=1.056 μm, heating spot size: 20 μm) 出発物質 : Fe-3.4 wt% Si (RAREMETALLIC CO.LTD.) 圧力の測定: EOS of NaCl (B1-NaCl:Brown, 1999; B2-NaCl:Fei et al., 2007) 温度測定: Spectrometric method using radiation

Temperature, K Pressure, GPa 365 GPa 下部マントル 374 GPa 700 K DAC 外核 マントル遷移層 下部マントル 外核 上部マントル Temperature, K レーザー加熱ダイヤモンドアンビルセル 焼結ダイヤマルチアンビルプレス 374 GPa 700 K DAC Pressure, GPa

Diffraction patterns of Fe-9.8wt%Ni-4wt%Si at 300 K λ=0.4108(1) Å λ=0.4109(1) Å The hcp phase is stable at the pressure of the center of the Earth 300K A diamond anvil compressed at 374 GPa and 300 K Typical X-ray diffraction profile for Fe-9.8 wt% Ni-4.0 wt% Si under high pressures at ambient temperature 10

地球の断面図 38

図25

図27

珪酸塩の例:オリビン(かんらん石) マントルを構成する岩石はかんらん岩 (peridotite, かんらん石・輝石を主成分とする) 41

かんらん石(オリビン)

橄欖岩(かんらん岩・ペリドタイト)

隕石に含まれる主な鉱物~地球の鉱物と共通

上部マントルを構成する鉱物とマントルの融解 30 km 90 km 150km

上部マントルを構成する鉱物とマントルの融解 石榴石カンラン岩(Garnet peridotite) 尖晶石カンラン岩(Spinel peridotite) 斜長石カンラン岩(Plagioclase peridotite) 30 km 90 km 150km

地殻とマントルの構造 Fig. 19.7 マントル遷移層 下部マントル 上部マントル アセノスフィア リソスフィア 海洋地殻 大陸地殻 横波速度Vp 地殻とマントルの構造 Fig. 19.7

図29 660km地震波不連続 410 km 地震波 不連続

下部マントル マントル遷移層 上部マントル

高圧鉱物中の水の貯槽量(地球と火星) 地球 火星 オリビン 1250 km b ウオズレアイト g リングウッダイト 1800 km ? Storage capacity of water 地球 火星 0 1 2 3 wt% H2O b g ? オリビン 1250 km ウオズレアイト リングウッダイト 1800 km マグネシオブスタイト+ ペロブスカイト (From Crust to Core and Back, p42, Ed. F. Seifert, BGI, 2004) 4

図3.4.11 (a) (b) OK (a) カンラン岩組成 (b) 玄武岩組成 圧力(ギガパスカル) NAL相 ブリッジマナイト ポスト・ペロブスカイト マグネシオブスタイト カルシウムペロブスカイト 圧力(ギガパスカル) 深さ (km) 鉱物の比率(体積%) 輝石 カンラン石 メージャライト ウオズレアイト リングウッダイト   (b) 玄武岩組成   (a) カンラン岩組成 NAL相 ステイショバイト CaCl2型構造相 ザイフェルタイト

図3.4.2 (a) (b)変形スピネル構造とスピネル構造 B A A B B A A B A B (b) スピネル構造 B B A A B B A A B A (a) 変形スピネル構造 立方承継(Cubic) 斜方晶系(Orthorhombic) スピネル構造の構造単位        A B Si4+ A-Site Mg2+ B-Site

問題 1.カンラン石(Mg,Fe)2SiO4の高圧多形の名称と結晶構造について記せ。 2.マントルには、二つの大きな地震波不連続面が存在する。その二つの名称と、その不連続の原因について述べよ。 3.上部マントルのMg/Siとコンドライト隕石のMg/Siの違いを述べよ。また、この違いはどのように説明されているか。 4.地球の層構造A~G層について説明せよ.