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北大MMCセミナー 第94回 附属社会創造数学センター主催 Date: 2019年1月25日(金) 16:30~18:00 Speaker: 小谷野由紀(千葉大学大学院理学研究院) Yuki Koyano (Chiba University Graduate School of Science) Place: 電子科学研究所 中央キャンパス総合研究棟2号館                 5F北側講義室(北12条西7丁目) Title: 形状に依存した樟脳粒の自己駆動運動 Motion of a camphor particle depending on the system configuration Abstract: 自由エネルギーから運動エネルギーを生み出し、摩擦などによってエネルギーを散逸しながら自発的に動き回る系は、自己駆動系と呼ばれる。生物は自己駆動系の典型例であるが、生物のような運動を簡易な物理化学系で模倣した実験系も広く研究されている。水面に浮かべた樟脳粒はその一例であり、樟脳粒は水面に界面活性を持つ樟脳分子を拡散し、表面張力勾配に駆動されて動くことが知られている。  樟脳分子の濃度場は領域の境界からも影響を受けるため、樟脳粒の運動は水面の形状に依存する。樟脳粒を2次元円形領域内に閉じ込めると、系の対称性から樟脳粒が系の中心位置に静止する状態が予想されるが、線形安定性解析の結果より、系の物理パラメータの値によっては静止状態が不安定な場合もある。不安定化したときに表れる運動としては振動運動や回転運動などの候補があり、どのような運動を示すのか自明でない。そこで弱非線形解析を用いて、安定な運動を分岐論の観点から調べた結果を紹介する。また、カイラルな対称性が破れた形状の領域に樟脳粒を閉じ込めた場合や、樟脳粒自体の形状が運動に及ぼす影響についても紹介したい。 アブストラクト: 等高線法を用いた結晶のスパイラル成長の数理モデルを用いて、共回転対と呼ばれる、 同じ回転方向を示すらせん転位の対による結晶表面の成長速度について考察する。 Burton-Cabrera-Frankによると、対の距離がある臨界距離より遠い場合は 単独のらせん転位による結晶表面の成長と見分けが付かないとされる。 他方その臨界距離より近い場合は、対を限りなく近づけた時の成長速度が 単独のらせん転位の2倍になるとされるが、その中間の距離において 成長速度がどうなるかという評価式は与えられていない。 そこで上記の事実について数値計算実験を行った結果、臨界距離にずれがあることを発見した。 そこで共回転対による成長速度の評価を行い、その観点から臨界距離の新しい定義とその数値を与え、 これが数値計算実験の結果と非常に良く合うことを報告する。 評価と臨界距離の改善において重要な役割を果たしたのは単独のらせん転位により 与えられるスパイラルステップの回転速度で、Burton-Cabrera-Frankはこれを アルキメデスのらせんによる近似から計算していた。この結果をより精度の良いものに 改めることによりある程度の指標となる成長速度の評価式を得ることができた。 連絡先: 北海道大学電子科学研究所           附属社会創造数学研究センター           人間数理研究分野 長山 雅晴  内線: 3357 nagayama@es.hokudai.ac.jp