2012年度 情報数理 ~ ハミング距離 ~.

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Presentation transcript:

2012年度 情報数理 ~ ハミング距離 ~

符号理論(講義前半) 符号理論(広義の符号理論) ・ 情報量(ビットの導入) ⇒ 様々なデジタル情報 ・・・ 誤り訂正符号理論 暗号理論 *統計・確率論 ・ 情報量(ビットの導入) ⇒ 様々なデジタル情報 誤り訂正符号理論 ・ 情報の正確性 暗号理論 ・ 情報の秘密性 圧縮理論 ・ 情報の効率性 ・・・

誤り訂正符号理論(講義後半) 誤り訂正符号理論. 線形符号. 算術符号. 巡回符号. QRコード. BCH符号. 形式情報 RS符号. *線形代数学 ●ハミング距離 ●線形写像,像,核 ●生成行列 ●検査行列 算術符号. 巡回符号. *代数学 ●生成多項式 ●検査多項式 ●ガロア体(ガロア拡大体) QRコード. BCH符号. 形式情報 RS符号. データの誤り訂正

誤りの検出と訂正の原理 情報 Ak 送信空間 Bn 受信空間 Cn 推定情報 Dk f (誤り訂正コード語の付加) h (誤り訂正と推定情報の抽出) g (誤りパターンの付加) A=B=C=D,k<n

ハミング距離の例 例1: u=(0,1,1,0,1,0,1,0,0) v=(0,1,0,0,1,0,1,1,0) dH(u,v)=       =0+0+1+0+0+0+0+1+0=2 例2: u=(a,b,d,c,a,d,d,c,b,a) v=(b,b,d,c,d,d,d,a,b,d) dH(u,v)=       =1+0+0+0+1+0+0+1+1+0=4

ハミング距離の誤りの検出と訂正(1) t0 t1 t1 dmin t0

ハミング距離の誤りの検出と訂正(2) t2 t1 t1 dmin

最小距離に関する定理 定理: 誤り訂正符号 X(⊂Cn)の最小距離 dmin が dmin≧2t+1  を満たすなら、符号 Xはt個の誤りを訂正可能な符号である t c dmin c’ r t

定理の証明 受信語r∈Cnが,あるc∈Xに対して dH(r,c)≦t を満たすとする。このとき,任意のc’∈X(ただしcを除く)に対して         2t+1≦dmin≦dH(c,c’)                ≦dH(c,r)+dH(r,c’)                ≦t+dH(r,c’)       ⇔ t+1≦dH(r,c’)       ⇔ t<dH(r,c’) となる。したがって,各符号語(誤りのない受信語)を中心とする半径tの球体は互いに重複しない。もちろん,rはcに復号される。

ハミング距離による誤り訂正符号(1) Bn(=Cn) どのように対応させれば良いのだろうか? Ak (0) (1) A=B={0,1},k=1, n>1

ハミング距離による誤り訂正符号(2) A=B={0,1},k=1 ,n=3 A=B={0,1},k=1 ,n=3 (0)→(0,0,0) (1)→(1,0,0) (0)→(0,0,0) (1)→(1,1,0) (1,0,1) (1,1,1) (0,1,0) (0,1,0) (0,0,0) (0,0,0) (1,0,0) (1,1,0) (1,0,0) (0,0,1) (0,0,1) (1,1,0) ハミング距離が1しかなく、誤りの検出しかできない ハミング距離は2あるが、誤りの検出しかできない

ハミング距離による誤り訂正符号(3) A=B={0,1},k=1 ,n=3 最小距離:3 (0)→(0,0,0) (1)→(1,1,1) (0,1,0) (0,1,1) (1,0,0) (1,0,1) (0,0,0) (1,1,1) (0,0,1) (1,1,0) 誤った受信語は誤りのない受信語(円の中心)に誤り訂正することができる

ハミング距離による誤り訂正符号(4) A=B={0,1},k=1 ,n=3 最小距離:3 (0)→(0,1,0) (1)→(1,0,1) (0,1,1) (1,1,1) (1,1,0) (0,0,1) (0,1,0) (1,0,1) (0,0,0) (1,0,0) 「ハミング距離による誤り訂正符号(3)」に同型な誤り訂正符号である

ハミング距離による誤り訂正符号(5) A=B={0,1},k=1 ,n=5 最小距離:3 (0)→(0,0,0,0,0) (1)→(1,1,1,0,0) (0,1,0,0,0) (1,1,1,0,1) (0,0,0,0,1) (0,1,1,0,0) (0,0,0,0,0) (1,0,1,0,0) (1,0,0,0,0) (1,1,1,0,0) (1,1,1,1,0) (0,0,1,0,0) (0,0,0,1,0) (1,1,0,0,0) 誤った受信語は誤りのない受信語(円の中心)に誤り訂正することができるが、無駄が多い

ハミング距離による誤り訂正符号(6) A=B={0,1},k=1 ,n=5 最小距離:4 (0)→(0,0,0,0,0) (1)→(1,1,1,1,0) (0,0,0,0,0) (1,1,1,1,0) 黒色の点で表された受信語は、(0,0,0,0,0)と(1,1,1,1,0)からのハミング距離が2の受信語があるため、どちらにも訂正することができない(誤りの検出はできる)

ハミング距離による誤り訂正符号(7) A=B={0,1},k=1 ,n=5 最小距離:5 (0)→(0,0,0,0,0) (1)→(1,1,1,1,1) (0,0,0,0,0) (1,1,1,1,1) 理想的な誤り訂正符号 (同型な誤り訂正符号がたくさんある)

ハミング距離による誤り訂正符号(8) Bn(=Cn) 誤り訂正符号を効率的に構成できないか? 最小距離はいくつになるのか? Ak (0,0) (0,1) (1,0) (1,1) A=B={0,1},k=2, n>2

誤り訂正符号を如何に構成するか 線形符号 誤り訂正符号を効率よく構成したい ⇒ 送信語を計算で求めたい 最小距離を正確に求めたい 誤り訂正符号を効率よく構成したい  ⇒ 送信語を計算で求めたい 最小距離を正確に求めたい 誤りの検出を計算で行ないたい 誤りの訂正を計算で行ないたい 線形符号