どんな天体がX線を出すか? MAXIのデータを1年半に わたり集積した全天X線画像

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2020 年代の光赤外線天文学 「恒星物理・超新星・晩期型 星」 サイエンス(分科会報告) 「恒星物理・超新星・晩期型星」検討 班 発表者: 野沢 貴也( NAOJ ) 2014/09/10.
太陽系 地球 太陽 X線天文衛星 ©JAXA ©NASA ©JAXA 銀河~恒星の ~10 15 m ~10 21 m ~10 7 m ~10 9 m ー X線X線 電子 熱制動放射 特性X線(輝 線) + イオン 遷移 エネルギー準位 高 低 ー X線X線 etc.. 電磁波の波長 長 短 電磁波のエネルギー.
新星は新たな宇宙線の起源 か? 武井大、北本俊二 ( 立教大学 ) 、辻本匡弘 (JAXA) 、 Jan-Uwe Ness (ES A) Jeremy J. Drake (SAO) 、高橋弘充 ( 広島大学 ) 、向井浩二 (NASA) アメリカ天文学会研究報告誌より論文として発表 ( Takei et.
2013 年度課題研究 P6 Suzaku によるガンマ線連星 LS I の観測データの解析 2014 年 02 月 24 日 種村剛.
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X線で宇宙を見る ようこそ 講演会に 京大の研究
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GSCのここ1,2年の進展 GSC16台の較正実験終了 実験データに根ざしたレスポンス関数の作成 コリメータ試験
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数値相対論の展望        柴田 大 (東大総合文化:1月から京大基研).
S3: 恒星とブラックホール (上田、野上、加藤)
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高感度全天X線監視による 巨大バイナリーブラックホールの探査
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基礎宇宙物理学 II 電磁流体力学入門 第1回 天体活動現象入門 2011年4月8日.
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新潟大学集中講義 ープラズマ物理学特論ー (天体電磁流体力学入門) 2004年1月19日ー1月21日
コンパクト星連星の多様性と進化 MAXI MAXI 3周年シンポジウム 理研 2013年3月13日 30+10分
平成 31 年度 P6 高エネルギー宇宙実験 担当: 物理学第二教室 宇宙線研究室の教員 谷森達 教授、鶴剛 教授、 窪秀利 准教授、
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星のエネルギー源.
中間質量ブラックホールの理解に向けた星の衝突・破壊に関する研究
中性子星/ブラックホール連星の光度曲線の類似性
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どんな天体がX線を出すか? MAXIのデータを1年半に わたり集積した全天X線画像 銀河系の外、はるか遠方の天体。個々の銀河の中心にある巨大 ブラックホール、高温ガスを擁する銀河団など。 MAXIのデータを1年半に わたり集積した全天X線画像 おもに我々の銀河系の中の天体。ガスを吸い込むブラックホールや中性子星、超新星残骸など。

X線で見た宇宙 大質量恒星 原始星 白色矮星 パルサー 中性子星連星 ブラックホール 連星 活動銀河核 超巨大BH 光電離プラズマ 4U 0614+091(LMXB) 大質量恒星  光電離プラズマ 原始星  磁気リコネクション 白色矮星 パルサー  ペアープラズマ  曲率放射 中性子星連星 ブラックホール 連星  X線新星 活動銀河核  超巨大BH  連星BHの合体

X線天体とX線放射機構 さそり座X-1 (磁場の弱い)中性子星と 低質量X線連星 低質量の恒星との連星系 (LMXB)          大質量の恒星との連星系 はくちょう座X-1 ブラックホール(BH)と恒星の連星系 BH連星 U Gem (磁場の弱い)白色矮星と  矮新星 低質量の恒星の連星系 SS Cyg  (〃強い)   〃           Intermediate Polar GK Per  (〃強い)   〃   Polar カニ星雲  若い(1000年)超新星残骸(SNR)と単独パルサー ほ座SNR 中くらいの年齢のSNRと単独パルサー 恒星     大質量星  恒星     dMe star (フレア星)

X線天体とX線放射機構(つづき) RS CVn, アルゴル 恒星連星 M87 活動的な銀河の中心にある巨大BH 活動銀河核AGN 電波銀河          電波銀河 NGC 4051 セイファート銀河 3C 273 クエーサー Mrk421 BL Lac かみのけ座銀河団  銀河団の強い重力に閉じ    銀河団               込められた熱いガス        

X線を出す天体 大質量恒星、フレア星、 原始星 白色矮星連星 単独パルサー 中性子星連星(LMXB, X線連星パルサー) ブラックホール連星 超新星残骸 活動銀河核 銀河団

X線を出す恒星 大質量星 (OB型) RS CVn 型連星 太陽 dMe star (フレア星) MAXI X線を出す恒星 Lx =   4.8 ×1033       ergs/s 大質量星 (OB型)  高速の星風を多量に出し、星風内の衝撃波で星風ガスを加熱してX線を出す RS CVn 型連星  (りょうけん座RS星) G型星とK型巨星の近接連星  連星をまたぐような 巨大な磁力線があり、 しばしば巨大フレアを 起こす(太陽の可視光 光度に匹敵)。 太陽  通常は暗い  11年周期で活発  黒点(磁場)活動  に伴うフレア爆発  (近いので強い) dMe star (フレア星)  dwarf (小さな) M型の輝線を持つ星  ちかくにあっても可視光では暗くて見えないが、ひんぱんにフレアを起こす星

X線連星の分類 Reig (2011)

大質量X線連星(HMXB:    High-mass X-ray binaries) 中性子星と早期型伴星 (O型 or B型)で構成 伴星(5〜25M) [LMXB:〜2M] 中性子星は伴星より流れ出す星風を降着する

X線を出す天体のいろいろ コンパクト星 (compact object) 単独パルサー 超新星残骸 銀河団 ブラックホール、中性子星、白色矮星のように 太陽程度の重さがありながら、小さく縮んでしまった星 どうやってX線を出すか? 連星系の伴星(ばんせい、companion star)から流れ出したガスを強い重力で加速、加熱、高温化。 単独パルサー パルサーから吹き出すパルサー風(電子) 超新星残骸 爆発の衝撃波で、電子を高エネルギーに加速 銀河団 強い重力で銀河間ガスを引き寄せて加熱。

X線連星 の 各部名称

コンパクト星連星 低質量連星系(想像図) 降着円盤

HMXB Cyg X-1 ブラックホール 普通の星 大質量X線連星(HMXB: High-mass X-ray binaries) 中性子星と早期型伴星 (O型 or B型)で構成 伴星(5〜25M) [LMXB:〜2M] 中性子星は伴星より流れ出す星風を降着する Cyg X-1 ブラックホール 普通の星

X線連星パルサー Super Giant X線連星 Be X線連星 SMC X-1,LMC X-4,Cen X-3 BeパルサーA0535の光度曲線 SMC X-1,LMC X-4,Cen X-3

単独パルサー カニパルサーのパルス波形 周期33ミリ秒 (誕生時には17ms程度で回っていた)

赤色:水素ガスが発する。 超新星爆発で吹き飛ばされた星の外層。 白色: 電子のシンクロトロン放射。 パルサーから放出された高速の電子が、星間磁場中を円運動して出す光。