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低温 干渉計型重力波検出器にお ける 突発性雑音低減 国立天文台辰巳大輔 2013-06-28 @ 大阪市立大学
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1.本公募研究の概要 2.これまでの研究 3.本年度の研究計画案 目 次
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1.本公募研究の概要1.本公募研究の概要
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研究目的 本公募研究では、 低温型重力波検出器に特有の突発性雑音低減 について研究を行う。 目標は、 バースト重力波解析システムによる誤報率を 「月に1 イベント以下」とすること。
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研究の学術的背景 年数回の重力波信号検出が期待される低温干渉計型重力波検出器 KAGRA の建設開始を受け、 本新学術領域研究では重力波天文学幕開けに向けて、重力波観測と赤外光、ニュートリノ、 ガンマ線・X線といった複数の天文観測機器との連携を図っている。 特に連携観測で期待されるのは超新星爆発やガンマ線バーストに伴う、数ミリ秒から数秒と 言った短い時間に大きな変動を起こすバースト重力波の波源天体に対する新たな知見獲得である。 このようなバースト重力波信号は、年数回の検出が期待されている中性子連星合体からの チャープ信号とは違って理論的波形予測が難しく、検出器が持つ突発性雑音との区別が困難である。 さらに、日本が建設している KAGRA 検出器は低温干渉計という特徴を持っており、 世界の他の検出器にはない冷凍機振動、冷却に伴う熱勾配をもつ金属からの音響放出といった 突発性雑音が危惧されるところである。 本公募研究では、このような 低温型重力波検出器に特有の突発性雑音低減について研究を行う。
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6新学術領域研究の取り組み
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研究計画・方法 世界で唯一稼働している低温干渉計型重力波検出器である CLIO で観測運転を行い、 KAGRA で用いられるデータ取得装置、およびオンライン・データ・モニタリングツール群を 使って突発性雑音源の解析システムを構築する。 本領域:研究計画 A04 で遂行される「バースト重力波解析システム」と連携して、 誤報率を1イベント/月 以下に低減することを目標にする。 そのために、特に低温干渉計に特有の冷凍機振動、熱勾配をもつ金属が放つ音響雑音につい てモニター用センサーを設置して、雑音を特徴づける:発生頻度、周波数帯域などについて 知見を得る。 また、複数回にわたる試験観測を週末に行う事で、世界唯一稼働中の CLIO の高感度化実験 に支障を与えることなく本研究を遂行する予定である。
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研究期間内に、何をどこまで 明らかにしようとするのか 1)突発雑音モニターシステムの構築 雑音の特徴づけ:周波数帯、持続時間、頻度 75-100 時間程度の試験観測を行い、バースト重力波解析システムによる誤報率を調査する。 2)低温干渉計特有の突発性雑音調査 特に低温干渉計に特有の冷凍機振動、温度勾配により生ずる音響放出について モニター用センサー情報を用いて突発性雑音全体に占める影響度を調査する。 3)雑音源の除去・低減 国立天文台の TAMA300 検出器での雑音調査の経験を生かして、その他の突発性雑音源につい ても調査し、それら突発性雑音の除去・低減を行う。 目標は、バースト重力波解析システムによる誤報率を 「月に1 イベント以下」とすること。
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当該領域の推進に貢献できる点 誤報を減らすことは、 連携観測成功のカギを握るキーポイント! KAGRA が稼働を始めてからでは、世界の大型干渉計と重力波初検出で競いあっている状況 では遅すぎる。 現在、世界で唯一稼働中の低温干渉計型重力波検出器CLIO を用いてテスト観測を行うこと で、当該新領域研究の早期推進に多大な貢献が望める。
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当該分野におけるこの研究(計画)の 学術的な特色・独創的な点 及び 予想される結果と意義 特色 世界で唯一稼働中の低温干渉計型重力波検出器を使って 次世代 KAGRA 検出器の予行となる観測実験を行う点。
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2. これまでの研究2. これまでの研究
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自己紹介 研究代表者は、これまで国立天文台三鷹キャンパスに設置された TAMA300 検出器において 3000 時間を超える観測実験と、オンラインでの雑音解析システム構築に取り組んできた。 また研究代表者は、世界初の低温干渉計型重力波検出器 CLIO の感度向上にも携わっており 低温干渉計型重力波検出器についての知見も持ち合わせている。 これら経験を生かして、突発性雑音源のモニターシステム整備と雑音源の除去を目指す。 本研究の成果は論文として公表するとともに、本新学術研究グループおよび KAGRA 実験 グループへの研究報告書・定期ミーティングでの報告を通して発信する予定である。
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応募者の専門としている研究分野と 当該領域の研究が有機的に結びつくこと により新たな研究の創造が期待できる点 TAMA300 検出器における 3000 時間超の観測実験の経験 オンライン雑音解析の実績 世界初の低温干渉計型重力波検出器 CLIO での雑音低減
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GWDAW-8 (December 17-20, 2003, Milwaukee, Wisconsin, USA) 14 TAMA observation runs Data TakingObjective Observation time Typical strain noise level Total data (Longest lock) DT1August, 1999Calibration test1 night3x10 -19 /Hz 1/2 10 hours (7.7 hours) DT2 September, 1999 First Observation run3 nights3x10 -20 /Hz 1/2 31 hours DT3April, 2000 Observation with improved sensitivity 3 nights1x10 -20 /Hz 1/2 13 hours DT4 Aug.-Sept., 2000 100 hours' observation data 2 weeks (night-time operation) 1x10 -20 /Hz 1/2 (typical) 167 hours (12.8 hours) DT5March, 2001 100 hours' observation with high duty cycle 1 week (whole-day operation) 1.7x10 -20 /Hz 1/2 (LF improvement) 111 hours DT6 Aug.-Sept., 2001 1000 hours' observation data 50 days5x10 -21 /Hz 1/2 1038 hours (22.0 hours) DT7 Aug.-Sept., 2002 Full operation with Power recycling 2 days25 hours DT8 Feb.-April., 2003 1000 hours Coincidence 2 months3x10 -21 /Hz 1/2 1157 hours (20.5 hours) DT9 Nov. 2003 - Jan., 2004 Automatic operation Night-time and week ends 1.5x10 -21 /Hz 1/2 ---
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オンライン解析 ( CBC: compact binary coalesence)
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Online Calibration of TAMA300 detector This is a result of online calibration. The gain is shown by red points, and the phase is also shown by green points. The gain variation was 20% in this day. But the phase was almost constant during the observation. By using this result, we can get the valid noise spectrum in time. The Open-loop response at 625 Hz
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Observable Distances for inspiraling compact star binaries These were monitored in real-time. So this plot was very useful to keep the sensitivity in the long-term observation. By using online calibration data, we calculated the noise spectrum. And then the noise spectrum was evaluated as observable distances with SNR=10 for inspiraling binaries. Observable Distances
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The Observable Distances This is a result of the last observation over one thousand hours. The observable distances were evaluated in every 1 minutes. For neutron star binaries, an averaged distance was 31 kpc and its deviation was 20%. The average was 73% respect to the best sensitivity of 42 kpc. So we succeed to keep good sensitivities in the long-term observation.
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オンライン雑音解析
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Noise Mechanism (l- noise) H slm D slm F slm A slm (slm) - WF slm H D F A (llm) - WF er V2V2 V4V4 Noise Transfer Function = V4 / V2 UGF: 20Hz coupling constant
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Noise Transfer Function (l- noise) Not consistent with measurement.
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Noise Mechanism (l- noise) H slm D slm F slm A slm (slm) - WF slm H D F A (llm) - WF er V2V2 V4V4 Noise Transfer Function = V4 / V2 UGF: 20Hz H Ref: LIGO-T970084-00 coupling constant
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辰巳が担当していたのは、 オンライン解析もオンライン雑音解析も スペクトラム・ベースだった。 TAMA でのバースト解析は、 干渉計診断システムとしてオンライン解析 が行われてきた。 CLIO では 時系列データ解析はまだ? 時系列データ解析はまだ?
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3. 研究計画3. 研究計画
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平成 25 年度 KAGRA で用いられるデータ取得システム、 オンライン・データモニター・ツール群を利用した 突発性雑音源の解析システムを構築する。 年度末に、 世界で唯一稼働している低温干渉計型重力波検出器であるCLIO で 75-100 時間程度の観測運転を行う ことを予定する。
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準備状況 CLIO 検出器 全部で4枚の冷却可能なミラーのうち、2枚を冷却した状態での運転実績あり。 現在、4枚すべてを冷却した状態での感度向上に取り組み中。 平成 25 年中は、突発雑音モニターシステムの試運転を目指すので冷却していてもいなくても どちらでも支障はない。 データ取得システム KAGRA 検出器で採用されるシステムが既にインストールされており、現在試験運用中で ある。本研究遂行にあたり十分に使用可能な状態にある。 このシステムに付随して、オンラインでのデータモニター・ツール群が導入されつつある。 これらも下記の突発性雑音源モニターシステムで利用する予定である。 オンライン・バースト重力波解析システム構築 これは本領域研究:計画研究 A04 班のメインの仕事であるので、本公募研究ではその解 析システムにより識別されたイベント情報を用いることにする。幾つかあるバースト重 力波検出アルゴリズムのうち1つが動作していれば良い。TAMA 検出器で解析実績のある アルゴリズムが第1候補である。
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平成 25 年度 突発性雑音源モニターシステム: TAMA300 検出器が複数回の 1000 時間観測を実施した際に 稼働していた様々な雑音モニター解析プログラムなどを、 CLIO に導入されたオンライン・データモニター・ツール群を 用いて再構築する。 第1回・試験観測実施 平成25 年度中に上記システムの動作確認を目的とした試験観測実験を行う。 CLIO は低温動作での感度向上実験を行っている可能性が高いので、 金曜日から週明けの月曜日にかけて 75-100 時間程度の観測運転を行う。
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平成 26 年度 低温干渉計型重力波検出器特有の 冷凍機起因の振動 熱勾配をもつ金属の放出する突発性音響振動 について知見を得ることを目標とする。 可能であれば、得られた知見を元に雑音源の除去・低減策を講じて、その効果を実証する。 特に低温干渉計に特有の雑音源をモニターするセンサーを設置(これらは KAGRA 検出器へ 導入されるものを借用する予定である)し、データ取得システムを介して 突発性雑音源モニターシステムにて解析する。
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平成 26 年度 第2回・試験観測実施 平成26 年度夏を目処に、2回目となる試験運転を行う。 ここでの目的は、本格的な低温干渉計型特有雑音の調査の前に 突発性雑音による誤報率がどれくらいの頻度であるか、どの周波数帯域で起こるのか を調査すること。 第2回の試験運転で得られた知見を元に、雑音源の除去・低減策を模索する。 これらの対策は CLIO 実験グループおよび KAGRA 実験グループの担当システムと連携を取っ て進める予定である。 また、ソフトウェアでの対応として 突発性雑音源モニターシステムと、バースト重力波解析システムの連携により雑音と疑わし いイベントの除去を試みる。
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平成 26 年度 第3回・試験観測実施 平成25 年度末に上記システムの集大成として試験観測実験を行い バースト重力波解析システムによる誤報率を調査する。 目標値は「1イベント/月以下」であるが、重要なことは低温干渉計による観測でどのよう な問題が、どの程度の頻度で生じるか定量的に知見を得ることにある。この研究により得られ た知見は、本領域研究による多彩な検出器による連携観測を「真に意味のあるもの」 にするためには必要不可欠である。
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2013 年度の研究計画(案) 「低温干渉計型重力波検出器における突発性雑音低減」 の 2013 年度の研究計画(案) 取りあえず、下記のことを進めたい。1.バースト信号の検出プログラムの理解 検出方法 準備状況 検出プログラムの出力 検出閾値設定 "Goal": 任意の与えられた観測データに対して false alarm rate を評価できること。
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「 2013 年度の研究計画(案) 「低温干渉計型重力波検出器における突発性雑音低減」 の 2013 年度の研究計画(案) 2.代表的なサンプルデータの false alarm rate 評価 a) デジタルシステム (CLIO or 神田研???) の ADC 入力 (anti-alias filter 入力でも可) を 50 オーム終端した データ。--> DAQ システム雑音の評価 b) クライオスタット内の振動データ チンタン君が測定しているクライオスタット内の振動データ(時系列) サンプリング周波数が違うが当面気にしない。 c) 地面振動データ まずは TAMA site の データ から。 CLIO site でも測定したい。 --> 内山、三代木 or 端山に確認。
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CLIO での 実験予定 低温動作・マイケルソン型加速度計 2013年 7-8月東芝(川崎)にて、KAGRA Cryostat の振動測定。 スペクトラムデータ 長期時系列データ取得は地面振動環境が悪くて 困難とのこと。 2013年 9月東大宇宙線研(柏)にて、 低温懸架計用 cryostat の振動データ測定。 2013年 10月神岡にマイケルソン型加速度計設置。 常温・大気中での地面振動測定 必要なら加速度計の低雑音化。 12月常温、真空中の振動測定。 13年度内低温、真空中の振動測定。 100時間の時系列データ取得を目指す。
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Photo: CLIO inner shield
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CLIO : Inner shield
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KAGRA の予定 2013年度 年度末KAGRA トンネル完成予定。 2014年度Cryostat など冷却装置をトンネル内に設置。 ただし稼働予定は未定。 たぶん冷却テストのみ。長時間稼働は行わない... 本公募研究の計画には、KAGRA 本体を使った 低温部の振動データ取得は組み込まない。
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