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1 トヨタ生産方式と 継続的改善活動 京都大学大学院経済学研究科 教授 塩地 洋
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2 トヨタ・グループの概要
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3 TPS の基本概念 × 費用+平均利益⇒売値 ○ 売値-費用(原価)⇒利益 売値は市場で決まる 費用(原価)を削減しない限り,利益は大き くならない
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4 基本思想 あらゆるムダを徹底的に排除すること 生産のスピードを上げたり,生産量 を拡大することは重要ではない トヨタ生産方式は、生産活動に関係 するあらゆるムダを排除して原価 (費用)低減をはかる。原価低減に よって利益増大をはかる
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5 ムダの認識 現状の作業 = 仕事 + ムダ ・仕事とは付加価値を高めるもの ・ムダとは付加価値を高めないもの ・たとえば、工作機械で加工する場合 手作業(据付 等) 見張り? 出所)大野耐一『トヨタ生産方式』ダイヤモンド社、 1978 年 手作業(取り外し等)
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6 7 つのムダ つくりすぎのムダ 手待ちのムダ 運搬のムダ 加工そのもののムダ 在庫のムダ 動作のムダ 不良をつくるムダ
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7 「まとめてつくれば効率が上がる」とい う誤り むだな在庫ができる 在庫場所・建物が必要 在庫管理工数(人)が必要 運搬が必要 在庫部品が悪化する むだな資金が必要 ▷できるかぎり小さいロットで生産す る
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8 標準作業の設定 標準作業とは、いろいろな無駄を省 いて、真の価値ある働きのみを各作 業者に集めること 標準作業の三要素 1. タクトタイム(一つの作業の時 間) 2. 作業順序 3. 標準手持ち(手元にある在庫)
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9 標準作業表
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10 トヨタ生産方式の二本柱 1.ジャスト・イン・タイム (JI T) 必要な時に必要な物を必要な量だけ 作る 2.自働化 ①欠陥品(故障)が出ると自働的に 機械(作業)が止まること ②一つの作業が完了すると機械が止 まること
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11 ジャスト・イン・タイム 市場の変化に応じて生産すること 市場の多様化や変動にフレキシブルに対応 し、売れるものを売れるだけ売れる速度で 作ることによって、つくりすぎのムダ等を 徹底的に排除すること 平準化が大前提
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12 後工程引き取り方式(Pullシステ ム) ・ 最終工程(組立工程)に生産計画を 指示し、後工程(組立工程)が使っ た分だけ前工程(部品工程)に引き 取りに行き、前工程(部品工程)は 引き取られた分だけ生産する ジャストインタイム実現のために
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13 かんばん方式のルール ①後工程が在庫部品を取りにくる ②在庫部品から「かんばん」をはずす ③はずされた「かんばん」の量だけ前工程は生産す る 前工程 後工程 在庫部品 引き取り 補充 部品工程組立工程
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14 かんばん方式の前提としての平準 化 平準化生産とは、生産量・種類・時間の全てにつ いてバラツキをなくしてものをつくること。 ・生産にバラツキがあればあるほど、JITは困難となりムダが多発する。 1.量の平準化 2.種類の平準化 量の平準化
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15 ②種類の平準化 平準化 AAABBBC CC ABCABCA BC
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16 トヨタ生産方式の二本柱 2.自働化 ①欠陥品(故障)が出ると自働的に機械 (作業)が止まること ( 例 ) ぽかよけ 反 射神経 (1)欠陥品を作らない 「工程で品質を作り込む」 (2)問題点がすぐに発見される → 改善 活動 「目で見る管理」 「問題の見え る化」 (例)あんどん 123456 789 101112
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17 トヨタ生産方式の二本柱 2.自働化 ②一つの作業が完了すると自働的に機 械)が止まる (1)人の仕事と機械の仕事の分離が 可能 (2)一人の作業者による多台持ちが 可能 (3)少人化 ( 省人化 ) が可能 手作業(据付 等) 見張り? 手作業(取り外し等)
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18 自働化と自動化の区別 自働化自働化自動化自動化 異常があったら機械自身が 判断して止まる 人がスイッチを切らないと 動き続ける。 不良を出したり、機械、型、 治具を破損しない。 不良の多発、大きな機械故 障につながりやすい 異常停止で異常の原因がつ かみやすい 異常発生時がわからず、真 因への対処ができにくい 結果として人をラインから 省くことができる 作業量は減少しても,作業 人数はそのまま
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19 「なぜ」を5回繰り返す 問題の真因を探る 1.なぜ機械が止まったか⇒過剰負荷でヒューズが切れ る 2.なぜ過剰負荷がかかったのか⇒軸受の潤滑が悪い 3.なぜ潤滑が悪くなったのか⇒潤滑ポンプの性能落ち ている 4.なぜ潤滑ポンプの性能が落ちてるのか ⇒ポンプの軸が磨耗して機能が落ちてい る 5.なぜ磨耗したのか⇒濾過器がないので鉄粉が混入し た 改善策=①ヒューズ交換 ②ポンプ軸交換 ③濾過器取 付け
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20 まとめ(1) ジャスト・イン・タイム⇒在庫の徹底削減 自働化⇒問題の発見 「なぜを5回」 → 改善 活動 売上-原価⇒利益 原価の中には、様々なムダが隠されている ジャスト・イン・タイムと自働化によって原価削減
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21 まとめ(2) たんなる技法としてトヨタ生産方式を導入す ると失敗する 会社全体のシステムとして,経営思想として 導入する必要がある 「実行」と「改善」の繰り返しが重要
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