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Published byひろと いちぬの Modified 約 8 年前
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shinji@andrew.ac.jp Microeconomics 競争市場と公共政策 E3 政府の更新投資の誘因 1 1 公共事業の政治経済学 22 新規投資 vs. 維持補修費 3 3 朽ちる日本のインフラ 朽ちるインフラ ~ 公共事業の政治経済学~ 朽ちるインフラ ~ 公共事業の政治経済学~ 課題課題
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Slide 2 1. 第 21 章 (pp.208-15) の主旨・用語を理解した ? 1. インフラ ・社会資本 の例は ? p.208-11 ( 道路・橋梁・ダム・上下水道・空港等) 2. 毎年米国で落下する橋梁件数は ? 法定基準以下の 道路 のために 交通事故死 する人の 割合は ? p.208 (150 件, 1/3) 3. 道路建設 はできても 維持補修 ができない のは ? p.210 4. ガソリン税は受益者負担(利用料金制)原則にか ないそうなのに現実には何が問題 ? p.212 ( 実際の改定は約 20 年お き ) 5. 資本財 への 民間・政府 の 投資態度の違い ? p.213 & Q 演習 4 Q 読解力チェック PP.208-15
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Slide 3 朽ちる米国のインフラ(≒社会資本) 例:主要道路の 1/ 3・橋梁の 1/4 は,すでに問題 新規投資 には積極的 ,維持補修 は先延ばし 例:上記補修には, $1880 億+ $680 億 ∴公共投資と民間投資の態度 には 大差 ∵インセンティブ ( 誘因 ) の相違 政治経済学 1 公共事業の政治経済学
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Slide 4 インフラと公共投資 例: 道路・橋梁・ダム・上下水道等の社会資本 政府や公営企業による投資・管理が主流 ∵ 巨額な費用 ( 独占) +外部経済 ( 過少供給) 朽ちる米国インフラの例 多くの分野で補修維持費が長年先送り ∴問題点の解決だけで, $1600 億 / 5 年 朽ちる米国インフラ
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Slide 5 1. 自分の住む持ち家の屋根が落ちれば危な いが,そうした事件が少ない理由は ? 2. 自分の住む借家の屋根が落ちれば危ない が,そうした事件が少ない理由は ? 3. なぜそれなのに危ない道路や橋梁が放置 されている ? 所有権・使用期間・責任・罰則 p.214 Q 演習 2 Q1 維持補修のインセンティブ
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Slide 6 1. 道路の維持補修費の財源としてのガソリ ン税の利点は ? pp.211-2 2. それなのに政府が連邦ガソリン税の改定 に約 20 年もかかる理由は ? pp.212 3. この維持補修費の目減りを防ぐ2つの方 法とは ? pp.212-3 Q2 米国のガソリン税
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Slide 7 1. 利用者料金 (受益者負担) という公平性 2. 値上げ 納税者は,費用 ↑ に即刻直面, but 便益はずっと後 反対圧力 + Q 演習 1 3. 利用者料金制の徹底(例:走行距離) + 物価スライド制 1. 混雑現象の緩和という効率性 A2 利用者料金制の理想と現実
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Slide 8 1. なぜ利用料金制 (受益者負担) は実現し難い ? 1. 一般課税:少数の利用者の費用を,多数で負担 2. But 改革は少数への費用集中 & 多数への便益分散 3. ∴ 経済的誘因は薄弱 + 支出先 も容易に 変更 4. 電球と畳,借家人 が取り替え費用を 負担 するのは ? 1. 便益と費用の考慮 but 所有権のある契約期間 2. ∴借家人:電球,移動書棚 政府:資本支出 Q 演習問題 (P.214)1&4
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Slide 9 多数の州政府 憲法上の借入 への 制約 インフラの維持補修費 経常支出 年々の税収のみで賄うのが原則 インフラへの新規投資 資本支出 借入による調達も可能 ∴政治家には,資本支出優先バイアス 費用負担は,現在 よりも,むしろ 将来の投票者 2 新規投資 VS. 維持補修費
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Slide 10 1. 政治家は,近視眼的 ( 選挙 ) ・命名権 2. 米国政治家の資本支出 優先バイアス ( 前頁 ) 1. 借入による負担の先送り 資本支出 (新規投資) 2. 維持補修費は経常支出 現投票者 への 課税 3. 補修は,将来便益のために現在費用を増加 1. 工事による便益は,完成後にしか得られないのに, 2. 費用は,今日の増税に加え,渋滞等も招く 新投資はできても,補修できない理由
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Slide 11 同じモノ でも, 今日 と 明日 では 価値は異な る ? 1. 120 億円,今日か 1 年後,どっちにもらいた い ? 2. その気持の強さは,世間の利子率が 20% と 50% のときでは,どっちが強くなる ? 3. いわゆる近視眼的な意思決定とは ? ∴異時点間の比較には現在価値を計算 割引率・割引現在価値 西村 (11, 16 章 ) Q3 今日の価値と明日の価値
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Slide 12 1. 今日を選択 利子 率等の 機会費用 の理解 2. 50% r= 0.2: 144 億円, r= 0.5: 180 億円 1. 利子率 r を割引率 来年の価値 = 現在価値 ×(1+r) 2. ∴来年の価値の割引現在価値 = 来年価値 ÷(1+r) 3. 例: 120 億 / 1.2= 100 億, 120 億 / 1.5= 80 億 3. 今日に比べて明日の評価が相対的に低い 割引率が高い: 将来をさほど気にしない A3 割引現在価値と異時点間の比較
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Slide 13 政治家は短期的視野 任期・選挙 p.210 資本支出は,先に便益&後で費用 納税者・投票者は歓迎 資本支出優先バイアス 維持補修費は,先に費用&後で便益 納税者・投票者は敬遠 維持補修の先送り ∴政治 をチェックすべき 機構・国民も問題 維持補修費と近視眼的意思決定
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Slide 14 民間投資の政府投資への優越性 1. 私的所有者は,公共機関より巧みに維持補修 2. この傾向は,耐用年数が長いほど顕著 3. ∵私的所有者は,費用負担が便益受益と同一 自分のモノで利益を得るなら,自分で手入れする ∴民間資金 を活用した 公共サービス: PFI 維持・管理,運営,建設等々の長期計画 インフラ投資・管理への民間活用
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Slide 15 If 民間投資= 合理的主体モデル 異時点間の選択でも,合理的な選択をするハズ ∴便益と(維持修理を含む)費用を全部考慮 But Why やめられないケーキや煙草 ? 1 年後に痩せたい,でも明日のケーキは大事 ∴ダイエット失敗 双曲割引率: 行動経済学 参考 異時点間での非合理な行動 ?
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Slide 16 1. 総額約 700 兆円の社会資本 野村総研 (11) 1. 急速な老朽化: 50 年までに更新投資 500 兆円 2. 順序: 2割強を占める 治水・上下水道 3割強の 道路 2. 今後 50 年に必要な更新投資額 根本 (11) 1. 上水道管 \57 兆+下水道管 \42 兆= \ 99兆 2. 公共建物 \ 175 兆 + 道路 \ 29 兆 + 橋梁 \ 34 兆 = \ 238 兆 3 朽ちる日本のインフラ
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Slide 17 日本のインフラも危機的状況 高度成長( 1954-73 年)時代の資本の老朽化 But 米国同様,維持修理・更新は先送り しかも米国同様,新規投資を優先 さらに年 10 兆円の経済的&財政的余裕な し ∴政治インフラ自体が老朽化 矢根 (12) インフラの危機は経済 & 政治の危機
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Slide 18 朽ちた政治制度 の放置 経済 & インフラの 危機 戦後 or 明治以降の制度 を変えられない 政治的枠組 例: 途上国型の会計原則・制度 政府・官庁は未だに単式簿記・現金主義会計 その年度の収支に終始,バランスシートなし 資産管理の視点なし,維持更新の留保なし 先進国型マネジメントへの転換が急務・基本 朽ちるインフラの根深い政治問題
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Slide 19 上下水道は,地方公営企業 (複式簿記) 矢根 (12) But 規制は官庁 更新投資 資金の確保・現状も 曖昧 すでに給水事業者の過半は,経年管を使用 料金だけで更新するには, 4.5 倍の水道料金 今後半世紀の給水網維持 には事業者年平均 \9.2 億 料金だけで更新するには,約 2 倍の水道料金 誰の責任 ? どう対処 ? 先送りの限界 迫る上水道管の危機
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Slide 20 1. 納税者も ( 特に ) 政治家も近視眼的 2. しかし先進国では,更新投資の重要性 ↑ 3. ところが制度的には,新投資偏重バイア ス 4. 問題:合理的無知下で誰がチェックす る ? 1. 公共事業の便益と負担の明示と予測責任 2. 資産マネジメントへの責任と誘因の明確化 老朽化するインフラからの教訓
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Slide 21 日米共に老朽インフラ時代 高まる危険:橋の落下・交通事故・水道管破裂 主因:維持補修費を先送りする制度的バイアス But すでに更新のピーク期:先送りは限界 受益者負担の理解と拡充の重要性 ただし現行(会計・規制)制度改革のうえ, 事業負担の明示や資産マネジメントを一般化 次回準備: N25 章 & 社会保障 本日のポイント 要点
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Slide 22 野村総研 (11) 『社会インフラ :次なる転換 』 東洋 経済 根本祐二 (11) 『朽ちるインフラ』 日本経済新 聞社 矢根 (12) 「 朽ちる水道インフラ 」 『桃大総合研究所紀 要』 割引現在価値等の基本概念 ミクロ or マクロの入門経済学の標準テキスト 例: 西村和雄 (11) 『ミクロ経済学 3版』岩波 参考:日本のインフラの老朽化
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