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SELENE衛星搭載UPI-TEX撮像観測による散逸酸素イオンと太陽風 および地磁気変動との関連性
中村研 M2 麻生直希
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O+散逸 1960年代 圧力勾配によって質量の小さいH+、He+は散逸するが質量の大きいO+は重力を振り切れず散逸しない [Banks and Holzer, 1968] 観測 大量の散逸O+を観測(地磁気活動度が高い時はH+を上回る散逸量)[Abe et al., 1993a,1993b] 極域だけに限らずオーロラ帯やカスプ領域でもO+散逸を観測 [Collin et al., 1984, Lookwood et al., 1985] 地磁気活動度が高いとき、リングカレントやプラズマシートでO+存在比が増大 [Hamilton et al., 1988; Nose et al., 2001] 磁気圏尾部で冷たいO+ビームを観測[Seki et al., 1998] 惑星大気、磁気圏へのプラズマ供給、宇宙天気にとって重要な問題 NASA/ESA 2
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O+散逸のエネルギーによる分類 Thermal Ion Outflow Suprathermal Ion Outflow
Polar Wind Auroral Bulk Upflow (数eV) Suprathermal Ion Outflow Ion Beam Ion Conics Upwelling Ion (~ eV)
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太陽風との相関 低緯度ほどO+密度増大 O+密度と太陽風動圧、VBとの相関が高い
Elliott et al., 2001 Polar/TIDE 1996年(太陽活動度極小期) 磁気緯度70度以上、高度 5.5 – 8.9 RE 450 eV以下のH+、O+のEnergy flux 太陽風電場の大きさとO+密度の相関 低緯度ほどO+密度増大 O+密度と太陽風動圧、VBとの相関が高い Giles [1993]: Cusp領域のO+密度と 太陽風動圧の相関が高い Cusp起源のO+が支配的であると結論 [Elliott et al., 2001]
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動圧 O+散逸量と最も相関がよい IMAGE衛星搭載LENA 低エネルギー(数eV-150eV)のENAを撮像
[Fuselier et al., 2001] 動圧 O+散逸量と最も相関がよい POLAR [Moore et al., 1999, Elliot et al., 2001] IMAGE [Fuselier et al., 2001] IMAGE衛星搭載LENA 低エネルギー(数eV-150eV)のENAを撮像 太陽風密度(動圧)の変動に対して、瞬時に電離圏起源ENAも変動 (電離圏が数分で対応)
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対流電場 対流電場の増加に伴って cusp起源O+が夜側へ拡大 cusp O+ 2D simulation O+ parallel flux
Kp<1 Kp=1+ 対流電場 弱 2-<Kp<2+ 3-<Kp<3+ 4-<Kp<4+ Kp>5- DE1のO+観測領域 対流電場 強 [Lockwood et al, 1985] [Horwitz & Lockwood, 1985]
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問題提起 欠点 撮像観測を行えば、大局的にO+散逸を観測できる 太陽風動圧や太陽風電場は本当にO+散逸に寄与するのか? 直接観測
欠点 直接観測 ある時刻において1点での情報 しか得られない ENA撮像観測 ピッチ角に依存してしまう 撮像観測を行えば、大局的にO+散逸を観測できる 太陽風動圧や太陽風電場は本当にO+散逸に寄与するのか?
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本研究 利点 目的: O+散逸発生のタイミングおよびメカニズムの解明 何がO+散逸を引き起こすのか?
太陽風,地磁気活動度の時間変化と比較 観測機器: SELENE搭載UPI-TEX 観測対象: 地球近傍のO+、He+の共鳴散乱光 ( 83.4nm,30.4nm ) 利点 広範囲(3-5 RE)の画像を2時間おきに取得できる 場を乱さない → 熱的粒子が観測可能 ピッチ角の制限がない 赤道域からの観測
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UPI-TEX 仕様 口径: D120mm f168mm 検出器: 2次元位置検出用RAE付MCP 反射鏡: Mo/Si 20層コート
フィルター: 2分割 Al 150nm/C 27nm + In 300nm 観測波長: 30.4nm(Hell) nm(Oll) 視野角: 10°×10°角度分解能 0.08°(128×128 pixels) 月軌道より地球周辺を観測する場合,0.08Reの空間分解能に相当 感度: ~0.1 cps/R/pixel ~0.01 cps/R/pixel カウンター容量: 10bit/pixel Data rate: 3kbps 1分に1枚の画像を取得
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解析 使用データ ◆ 期間 : 2008/5/26 ~ 5/31 (6日間) ◆ 衛星の位置: LT05 ~ LT09
◆ 期間 : 2008/5/26 ~ 5/31 (6日間) ◆ 衛星の位置: LT05 ~ LT09 ◆ 積分時間 : ~30分 (1パス分) ◆ 時間分解能: 2時間 (衛星の公転周期) 5/26 Oll 83.4nm Moon N 5/31 night day S N Sun Earth Hell 30.4nm UPI-TEX image
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ジオコロナの影響 104 0.05 50 2.5 1 2×10-8 2×10-4 4×10-3 DE1によるLy-aの観測
地球をとりまく水素原子の共鳴散乱光 UPI-TEX画像に混入 [ Rairden et al,1986] 発光量[R] 感度[cps/R/pixel] カウント比[cps/pixel] Ly-a (121.6nm) 104 2×10-8 0.05 Ly-b (102.5nm) 50 2×10-4 2.5 O+ (83.4nm) 1 4×10-3
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水素原子球対称分布モデルよりLy-bの輝度値を計算
[ Rairden et al.,1986] ジオコロナの除去 水素原子球対称分布モデルよりLy-bの輝度値を計算 解析で使用 [R] [R] Ly-b intensity 10 50 8 40 6 30 4 20 2 10 除去前 除去後
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結果 6日間の平均輝度値時系列 平均輝度値 [R/pix] Universal Time 5/26 5/27 5/28 5/29 5/30
00:00:00 00:00:00 00:00:00 00:00:00 00:00:00 00:00:00 5/26 5/27 5/28 5/29 5/30 5/31 Universal Time
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1日変動 視線と磁極のなす角と逆相関 ⇒ 地球の自転の伴う磁極の歳差運動が原因 平均輝度値 VS 積分面積(ピクセル数)
⇒ 地球の自転の伴う磁極の歳差運動が原因 平均輝度値 VS 積分面積(ピクセル数) 平均輝度値 [R/pix] 00:00:00 5/26 5/27 5/28 5/29 5/30 5/31 Universal Time
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ノーマライズ ・ ・ 地球からの距離を統一した時(3.5 RE)の明るさに換算 ・ Flux 保存 rc ・ r0
遠 明 重心の距離[RE] ・ 平均輝度値[R/pix] ・ 暗 近 近→明 遠→暗 5/26 5/28 5/30 地球からの距離を統一した時(3.5 RE)の明るさに換算 Rc ・ Flux 保存 (nとBの関数) 視線 rc R0 ・ r0 Frozen-in flux (RとBの関数) Dipole 磁場で近似
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ノーマライズ 速度編 (第一不変量保存) (エネルギー保存) (分極電場)
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ノーマライズ 結果 ノーマライズ前 地心距離3.5 [RE]での輝度値に変換 5/28 UT4:00頃 輝度値急増
その後も以前に比べて高い輝度値を維持 ノーマライズ後 平均輝度値[R] 5/26 5/27 5/28 5/29 5/30 5/31
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Solar Flux ( Hell 30.4nm, Hl 121.5nm)
5/26-29 : 68 5/30-31 : 69 光源の変動ではない。 太陽風および地磁気活動度と比較
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太陽風との比較 nT 平均輝度値 動圧 Ey = vxBz VB |B| 6 Bx nT [R] -6 By nT 6 Bz nT -6
10 太陽風との比較 |B| nT -10 6 Bx 平均輝度値 nT [R] -6 10 By nT -10 6 Bz [nPa] 動圧 nT -6 6×106 温度 K [mV/m] Ey = vxBz 40 密度 /cm3 700 速度 km/s [mV/m] VB 300 10 動圧 nPa OMNI2_H0_MRG1HR 5/26 5/27 5/28 5/29 5/30 5/26 5/27 5/28 5/29 5/30
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Intensity VS 地磁気活動度 Dst:大きなStormはみられない AE:Substormが発生 輝度値との対応はよくない
[R/pix] Dst:大きなStormはみられない AE:Substormが発生 輝度値との対応はよくない Kp Dst OMNI2_H0_MRG1HR AE
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輝度値との相関 平均輝度値 |B| Bx By Bz 0.75 -0.40 -0.29 0.16 |v| density T Pdy
[R/pix] 平均輝度値 |B| Bx By Bz 0.75 -0.40 -0.29 0.16 |v| density T Pdy 0.66 0.30 0.59 0.58 VB Ey AE SYM-H 0.80 0.18 0.32 0.17 [mV/m] 動圧 [mV/m] VB 5/26 5/27 5/28 5/29 5/30 vB,|B|,|v|との相関が高い ⇒ 対流電場がO+密度増加に寄与 太陽風動圧Pdyは相関は低いが、ピークのタイミングは一致している
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相関と時間差 輝度値と太陽風の時刻をずらして相関を取った場合 VB: 107分ずらした時が相関最大
⇒ 対流電場変動はO+密度増減に寄与するのに時間がかかる Pdy: 7分ずらした時が相関最大 ⇒ 動圧はO+密度増加に瞬時に寄与 相関係数 Pdy 相関係数 時間差 [min]
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まとめ 今後の課題 SELENE搭載UPI-TEXを用いて、O+撮像画像の解析を行った
Ly-bの除去、磁気圏の歳差運動による変動を正規化した O+輝度値の増大 ← 太陽風動圧の急増 O+輝度値増大の維持 ← 太陽風電場の増加 O+輝度値と相関の良かったのは、 vB,|B|,|v|であった 相関係数が最大となる時のO+輝度値と太陽風との時間差は、VB(107分)とPdy(7分)で異なった。これは対流電場と動圧で異なるO+散逸メカニズムを駆動する事を示す。 今後の課題 データ欠損のない太陽風1時間値を用いてEy, V×Bの相関を求める
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