情報産業（IT産業）の特殊性とその技術的背景

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1 情報産業（IT産業）の特殊性とその技術的背景
第２回 日本社会情報学会大会 情報産業（IT産業）の特殊性とその技術的背景 平成９年１１月３０日 東京情報大学経営情報学部 関口益照

2 ＩＴおよびＩＴ産業の特殊性 ＩＴ産業の重層進化モデル モデルの社会的含意
第２回 日本社会情報学会大会 はじめに ＩＴ産業の特殊性とその社会的含意 研究課題 ＩＴおよびＩＴ産業の特殊性 ＩＴ産業の重層進化モデル モデルの社会的含意 報告内容 ＩＴ　：　Information　Ｔechnology

3 ＩＴ産業の定義 ・半導体産業 ・コンピュータ産業 ・情報サービス産業 OECDの“ IT Outlook”では ＊ 通信産業は
第２回 日本社会情報学会大会 ＩＴ産業の定義 OECDの“ IT　Outlook”では SW ｺﾝﾃﾝﾂ ＩＴ産業（広義） ・半導体産業 ・コンピュータ産業 ・情報サービス産業 ﾃﾞﾘﾊﾞﾘｰ SI ＩＴ産業 （狭義） APL・PKG ＭＷ ｺﾝﾋﾟｭｰﾀ 産業 ＯＳ HW ＊　通信産業は “ Ｔelecommunications Outlook”として分離 ｺﾝﾋﾟｭｰﾀ IS ＮＷ IT産業の範囲は、プラットフォームの シフトによって変化する。

4 IT産業の特殊性と疑問点 １．ＩＴ産業におけるデファクト・スタンダードは特殊か ・汎用機市場における寡占の持続
第２回 日本社会情報学会大会 IT産業の特殊性と疑問点 １．ＩＴ産業におけるデファクト・スタンダードは特殊か ・汎用機市場における寡占の持続 ・PC市場における目まぐるしい順位交代 ・Wintelの多角化戦略 ２．デファクト・スタンダードは必要悪か ・プラットフォームの一社独占 ・プラットフォームによる市場形成 ・プラットフォームの世代交代 ３．コンピュータは本当に大衆化しうるのか ・コンピュータの家電化とは ・家電のコンピュータ化とは ・コンピュータのワンタッチ化は実現するか

5 第２回 日本社会情報学会大会 日本における汎用コンピュータのシェア

6 第２回 日本社会情報学会大会 日本におけるパソコンのシェア

7 米国パッケージソフト市場（１９９４年）の構造 第２回 日本社会情報学会大会 出所 ： 情報サービス産業白書 ９６年版
出所　：　情報サービス産業白書　９６年版 パソコン白書　９４ー９５年度版より　作成

8 情報技術（IT）の進化モデル 上位シフト ﾕｰｻﾞ 要求 レベル ノイマンギャップ SI/Programming OS／MW／APL・PKG
第２回 日本社会情報学会大会 情報技術（IT）の進化モデル ノイマン・ムーアのパラダイム 上位シフト ﾕｰｻﾞ 要求 レベル ・ムーアの法則：HWの量的進歩の持続 ・ノイマンの呪縛：ＨＷの機能進化なし ノイマンギャップ SI/Programming ﾕｰｻﾞ要求レベルとのギャップギャップ）拡大 ソフトウェアの重層化による機能進化 ・ムーアの法則による性能向上 ・SWの重層化とSEサービス高度化の反復 OS／MW／APL・PKG ノイマン レベル 機能飽和によるライフサイクル終焉 ムーアの法則 新たな応用分野の拾頭

9 出所：Ｎ．ワイザー他「情報技術の進化とその生産性」
第２回 日本社会情報学会大会 アプリケーションの重層的進化 知的ﾈｯﾄﾜｰｸ 人工知能 相対的機能性 ｵﾌｨｽ･ｵｰﾄﾒｰｼｮﾝ ｲﾒｰｼﾞ処理 ﾃﾞｰﾀﾍﾞｰｽ管理ｼｽﾃﾑ 報告書作成･問合せ言語 ･ﾃﾞｰﾀ辞書 ﾄﾗﾝｻﾞｸｼｮﾝ処理ﾓﾆﾀｰ ｱﾌﾟﾘｹｰｼｮﾝ特化 ｿﾌﾄｳｪｱ ｵﾍﾟﾚｰﾃｨﾝｸﾞ･ｼｽﾃﾑ および関連ﾕｰﾃｨﾘﾃｨ ハードウェア 1955 1965 1975 1985 1995 年代 出所：Ｎ．ワイザー他「情報技術の進化とその生産性」

10 ＩＴ産業の重層進化モデル（短期モデル） コンピュータ Ｈ Ｗ （不完財） SW（補完財） 進化
第２回 日本社会情報学会大会 ＩＴ産業の重層進化モデル（短期モデル） コンピュータ ・ユーザ要求（効用）水準は上昇し続ける ・MMIはユーザ要求に追随して上方シフトする ユーザ・情報サービス業者 増殖 MMI 効用 ＤＦＳ ・新機能はソフトウェアによって追加される ・SWの重層的進化が反復される SW（補完財） ・プラットフォームが階層化する メーカ ・DFS争奪戦が上位プラットフォームへ シフトする 進化 Ｈ Ｗ （不完財） ＭＭＩ ： Ｍan Machine Interface DFS ： De Facto Standard

11 ＩＴ産業と他産業の特性比較 コンピュータ テレビ／VTR 自動車 S W S Ｗ Ｈ Ｗ S W Ｈ Ｗ Ｈ Ｗ
第２回 日本社会情報学会大会 ＩＴ産業と他産業の特性比較 MMI 効用 コンピュータ テレビ／VTR 自動車 効用 効用 S W （放送会社、クリエータ） S Ｗ （運転技術） ＤＦＳ アプリケーション （ユーザ） （ソフト業者） ＤＪＳ +(ＤＦＳ) MMI Ｈ　Ｗ （メーカ） 番組（TV） S　W プラットフォーム （メーカ） タイトル（VTR） ＤＪＳ（TV） MMI Ｈ　Ｗ （メーカ） ＤＦＳ（ＶＴＲ） Ｈ　Ｗ （メーカ） 効用水準 ＭＭＩ 新機能 ＳＷの機能 ＤＦＳの特性 SWが決定 進化 ＳＷによる 進化（階層化） 流動的 SWが決定 固定 ＤＦＳ＝ＤＪＳ HWが決定 固定 ＤＦＳ＝ＤＪＳ DFS：デファクト・スタンダード DJS：デジューリ・スタンダード MM I：マンマシン・インターフェース

12 ＩＴ産業のライフサイクルモデル（長期モデル）
第２回 日本社会情報学会大会 ＩＴ産業のライフサイクルモデル（長期モデル） ムーアの法則 sw 支配的アプリケーションの周期的交代 重/統合 プロシューマ ｺﾝﾋﾟｭｰﾃｨﾝｸﾞ？ ユビキタスマシン ムーアの法則の臨界点＝１０ 倍 JAVA OS／ Windows／ S３６０／ OS 機能進化 エンドユーザ ｺﾝﾋﾟｭｰﾃｨﾝｸﾞ パーソナルマシン 支配的アーキテクチャの交代 ビジネス トランザクション ビジネスマシン 新たなプラットフォームの形成とDFS化 原始 ｺﾝﾋﾟｭｰﾃｨﾝｸﾞ ｻｲｴﾝﾃｨﾌｫｯｸﾏｼﾝ 軽/個別 ＨＷ ﾄﾗﾝｼﾞｽﾀ数個 数K個 数ﾒｶﾞ 数ｷﾞｶﾞ 大　/　一体 小　/　ﾓｼﾞｭﾗｰ 形態進化

13 第２回 日本社会情報学会大会

14 第２回 日本社会情報学会大会 ドミナントアプリケーションの変遷

15 Ｐｏｓｔ－ＰＣ時代の製品構造（予測） ・ 単純機能のＨＷに必要なＳＷを 積み上げることでﾕｰｻﾞの複雑な ニーズに対応
第２回 日本社会情報学会大会 Ｐｏｓｔ－ＰＣ時代の製品構造（予測） ｼｽﾃﾑ製品化 　・ｵｰﾀﾞﾒｰﾄﾞ 　・ｶｽﾀﾑﾒｰﾄﾞ ・　単純機能のＨＷに必要なＳＷを 　　積み上げることでﾕｰｻﾞの複雑な 　　ニーズに対応 ・汎用ＨＷに汎用ブラウザを搭載する 　だけで完成品となる

16 プラットフォーム産業の形成とその含意 アプリケーション 産業 プラットフォーム産業 第２回 日本社会情報学会大会 市場集中度 産業規模
明 ： 新産業発展の基盤 暗 ： 私企業による社会基盤の支配 ？ ： プラットフォームの重層化による ライフスタイルの多様化

17 ソリューション産業の形成とその含意 ソリューション産業 第２回 日本社会情報学会大会 背景 ｿﾘｭｰｼｮﾝ産業の位置 ニーズの多様化、個別化
への効果的対応がますます 要求される時代になった。 個別 仕様 カスタム 製品 ユーザ ｿﾘｭｰｼｮﾝ 役割 ツール コンテンツ アプリケーション プラットフォーム ソリューション産業 具体的効用を持たないコンピュータ を個別利用者のニーズに適合させて 効用を実現する 仕様 含意 ITﾘﾃﾗｼｰが社会の水準や 生活の質を規定するようになる 標準 仕様 マスプロ 製品 インフラ 専用 製品 汎用 製品 用途

18 情報家電産業の形成とその含意 新産業 コンピュータ産業 家電産業 ソリューション産業 ＊ コンピュータ産業と家電産業の綱引きではなく
第２回 日本社会情報学会大会 情報家電産業の形成とその含意 コンピュータ産業 ソリューション産業 新産業 家電産業 コンピュータ 産業 家電産業 ＊ コンピュータ産業と家電産業の綱引きではなく ソリューション産業を加えた３者鼎立の形に向う ＊ 新産業はむしろソリューション産業との間に形成され る余地が大きい

19 おわりに １．ＩＴ産業の特殊性は、デファクトスタンダードとしての プラットフォームの重層化とソリューション産業形成の２点に 要約される。
第２回 日本社会情報学会大会 おわりに １．ＩＴ産業の特殊性は、デファクトスタンダードとしての プラットフォームの重層化とソリューション産業形成の２点に 要約される。 ２．プラットフォームの重層化は、私企業による社会基盤の支配 につながる可能性があり、これを公共財としてどう位置づける かが課題となろう。 ３．ソリューション産業は、情報化社会の担い手として不可欠の存 在であるが、その存在と意義に対する一般の認識は薄いと言わ ざるをえない。今後の課題としてとりくみたい。