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事業リスクマネジメント学習支援教材 事業リスクマネジメント参考資料 NO.1 企業戦略と事業リスクマネジメント ティーチングノート
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学習にあたって 学習のポイント 事業リスクマネジメントとは何か、企業経営においてなぜ必要なのかを理解する
学習にあたって 学習のポイント 事業リスクマネジメントとは何か、企業経営においてなぜ必要なのかを理解する リスクマネジメント導入企業の事例をもとに、リスクマネジメント導入のステップ の概要を理解する 学習するスキル内容 事業リスクマネジメントとは何か、なぜ事業リスクマネジメントが必要なのかを説明できる 「許容リスク」、「リスク選好」を説明できる 組織のリスク選好を組織の事業戦略から論じられる コーポレートガバナンスとリスクマネジメントの関係を説明できる リスクマネジメントに関する歴史・経緯を説明できる 第1章2節です。 基本テキストで対応しているのは:
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目 次 1.エンタープライズリスクマネジメント(ERM)とは ・・・・・ 3 2. 「事業リスク人材」プロジェクトの重要性 ・・・・・ 4
目 次 1.エンタープライズリスクマネジメント(ERM)とは ・・・・・ 3 2. 「事業リスク人材」プロジェクトの重要性 ・・・・・ 4 3. COSOによるERMの枠組み ・・・・・ 9 4.ERMの具体例:デュポン社の取組み ・・・・・ 13 5.展望:経営力の向上を求めて ・・・・・ 28 本資料について: 本資料は、平成15年12月に開催された 「事業リスク評価・管理人材育成システム開発事業」実証プログラムにおける 京都大学 刈屋武昭教授のご講演 「企業戦略と事業リスクマネジメント」 の内容を要約してものです。挿入されております 図表等も原則として講師に提供していただいたものです。
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1.エンタープライズリスクマネジメント(ERM)とは
企業全体のリスクマネジメントは、企業全体として事業リスクを見極めて、収益性(リターン)を追求する事業経営・価値創造プロセス。 その考え方と実際の技術は一体になって、経営思考と経営技術に関して世界的に新しいパラダイムの潮流を形成。
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② 分野別の高度専門人材育成プログラムの整備
2.「事業リスク人材」プロジェクトの重要性 (1)経済産業省プロジェクトの全体像 高度専門人材の育成支援 <平成14年度補正予算:89.1億円> 1. 趣 旨 3.具体的な事業構成 経営、ベンチャー、事業再生等、ニーズが高く重要な高度専門人材について、求められる能力・スキルの体系化やスキル標準の策定、カリキュラム・教材開発等に取り組むことにより、効果的な育成を進めるための環境を整備する。 ① 高度専門人材育成のための基盤構築 人材ニーズ調査(全国10万社アンケート、企業1400社・経営者2000人インタビュー) 高度人材の行動特性(コンピデンシー)等に関する共通のスキル基準の策定 研修機関・求人情報に関するプラットフォーム構築(実際の能力開発・就職の円滑化) 連 携 ② 分野別の高度専門人材育成プログラムの整備 2. 事 業 体 系 産業競争力強化 経営資源の有効活用、経営リス クの低減、事業再生等のための 知識・スキルを有し、企業の競争 力強化に資する人材を育成する ためのシステムを開発 付加価値拡大 先端産業分野における付加価拡大等に資する高度人材育成ためのシステムを開発 創業・起業促進 創業・起業のための知識・ノウハウや創業支援のためのスキルを有する人材を育成するためのシステムを開発 ①市場(企業)ニーズの的確な把握 ②重要な職業・職種の特定と業務内容の明確化、求められる能力・スキルの特定と体系化 ③各職業・職種に応じたスキル標準(スキルスタンダード)の策定 ④研修カリキュラム・教材の開発 ⑤モデル研修によるスタンダード・カリキュラムの実証 ⑥スタンダード等のオープンソース化 技術経営(MOT)人材 事業再生人材 プロジェクト・プログラムマネジメント人材 事業リスク評価・管理人材 地域産業金融活性化人材 IT人材 バイオ産業人材 地域総合プロデューサー 高度営業・マーケティング人材 ファッション産業起業人材 独立系コンテンツクリエーター 技術経営(MOT)人材 ベンチャーキャピタリスト人材
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2.「事業リスク人材」プロジェクトの重要性 (2)企業価値創造の重要性
企業こそ社会的価値創造機構 競争によるニーズ発見機能、イノベーション機能、資本蓄積機能、将来世代に価値創造の基盤 不確実性の中から収益を作る投資 源泉価値創造により、雇用・公共サービス、家計の安定性などを通して、大きな社会的厚生を生む。 それゆえ国家にとって、企業の価値創造プロセスの効率性が国際競争力の要であり、それを促進する政策が政府の機能。
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2.「事業リスク人材」プロジェクトの重要性 (3)価値創造機能を担う企業の社会的責任
リスクの取り手としての株主ガバナンスに関わる株式企業制度 企業経営の効率性にかかわる価値とリスクのマネジメントの問題、ステークホルダー間の規律の問題 企業ビジョンと文化、組織 「リスクマネジメントは、組織の中心化原理であり、収益可能性を高め、利益変動を滑らかにできる戦略的な手段である」(Stalnecker氏、デュポン社) トップダウンvsボトムアップ
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2.「事業リスク人材」プロジェクトの重要性 (4)企業経営の効率性の向上
経営の思考法と経営技術の最近の潮流を社会的に共有化し、 企業全体のリスクマネジメントを遂行できる人材育成をして、 日本の企業競争力を高めることを意図。 企業の競争力は実は経営者の能力の競争力 リスクが、グローバル化、巨大化、複雑化していく21世紀の世界経済環境の中で、経営者の役割がますます重要。 そこでは不確実性に対する経営力が重要。 不確実性の中で発生する「操業機会」「投資機会」「撤退機会」などの多くの「意思決定機会」を的確に「選択」し、リスクを制御しながら各期間ごとに利益をあげる 不確実性:市場、技術、競争、規制、消費者の嗜好など
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2.「事業リスク人材」プロジェクトの重要性 (5)No Risk, No Management
経営:企業の直面する外的な不確実性に戦略的に関わってそこから利益キャシュフローを創り出すこと 管理:企業の組織やコストに関わって効率的に生産すること 21世紀ビジネス社会、リスクは巨大化・複雑化・グローバル化 経営者の経営能力、事業リスク管理能力が重要 専門性の重要性 ⇒「管理」から「経営」へ
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3.COSOによるERMの枠組み (1)ERMの定義
⇒最終目標ではなく重要な手段。独自な機能ではなく、マネジメント・プロセスを改善するもの ⇒事業活動に必要な負担でなく、事業体のインフラの一部として構築され、事業の本質の一部となったとき最も有効に機能する。
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3.COSOによるERMの枠組み (2)経営者に求められる能力
①リスク選好と戦略の調整能力 ②成長、リスク・リターンの総合化能力 ③リスク対応法を決定する能力 ④経営上の驚愕と損失を最小化する能力 ⑤全事業のリスク特定とマネジメント ⑥多数のリスクを統合化・対応の提供 ⑦機会の把握能力 ⑧資本の合理的利用能力
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3.COSOによるERMの枠組み (3)ERM導入のポイント
①組織横断的な適用 1)組織の全領域の事業活動を対象 2) リスクポートフォリオの視点の採用 3)リスクポートフォリオの視点から経営 ②リスク選好(RP)の設定 1)RPは価値増加に対する受容リスク量 2)RPは事業体の戦略との関係のもとに決定 3)RPは資源配分を誘導
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3.COSOによるERMの枠組み (4)ERM導入の構成要素(全体像)
a. 内部の環境 (Internal Environment) リスクマネジメント哲学 - リスク文化 - 取締役会 - 完全性と倫理上の価値 - 能力のコミットメント - 経営者の哲学及び事業運営のスタイル - リスク選好 - 組織構造 - 権限の割り当て及び責任 - 人的資源の政策と実践 b . 目的の設定 (Objective Setting.) 戦略上の目的 - 関連した目的 - 選択された目的 - リスク選好 - リスクの許容 c. 事象の特定 (Event Identification) 事象 - 戦略と目的に影響を与える要因 - 方法論とテクニック - 事象の独立性 - 事象の分類 - リスクと機会 d. リスクアセスメント (Risk Assessment) 固有の残留リスク - 発生可能性と衝撃 - 方法論とテクニック - 相関関係 e. リスク対応 (Risk Response) リスク対応の特定 - 可能なリスク対応の評価 - リスク対応の選択 - ポートフォリオの視点 f. コントロール活動 (Control Activities) リスク対応の統合 - コントロール活動のタイプ - 一般的なコントロール - アプリケーションコントロール - 特定のエンティティー g. 情報とコミュニケーション (Information and Communication) 情報 - 戦略的統合システム - コミュニケーション h. 監視 (Monitoring) 独立評価 - 進行中の評価
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4.ERMの事例:デュポン社の取組み (1)21世紀「科学」会社として位置付け
①99年で約270億ドルの収益、約28億ドル純所得、第16位の米国製造業・サービス企業。 ②65以上の国で操業、製造部門、プロセシング部門、研究所を保有。 ③コノコ(エネルギー)売却(98)、パイオニア・ハイブレド・インターナショナルの買収(99) ④現在の戦略:物質と生命科学に集中。RMはその文化の重要な一部。 ⇒M&Aを繰返し事業ポートフォリオの最適化を図る 本章の参考文献: 『収益性を作る戦略的企業リスクマネジメント―米国優良企業の事例』 バートン、シェンカー、ウォーカー著、刈屋、佐藤、藤田訳(東洋経済新報社、2003) Enterprise Risk Management: Putting It All Together P.W.Walker, W.G. Shenkir, T.L.Barton (2002) (Institute of Internal Auditors)
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4.ERMの事例:デュポン社の取組み (2)リスクマネジメントの枠組み(その1)
《金融リスクマネジメントプロセス》 CEOオフィス 企業ポリシー 内 部 監 査 リスクマネジメント委員会 企業全体の ガイドライン リスクマネジメントネットワーク ラインマネジメント戦略と手続き ラインマネジメント (SBU) ⇒弾力的な構造のリスクマネジメント SBUのリスク経営や市場変化対して迅速な対応
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4.ERMの事例:デュポン社の取組み (3)リスクマネジメントの枠組み(その2)
①企業全体のポリシー 1)リスクマネジメント哲学 ビジネス戦略と整合的な水準でのリスクマネジメント 金融・財務リスクマネジメントポリシーとの整合性を確保 2)リスクマネジメント委員会の目標と役割を確立 上位役員から形成(CFO、財務部長、監査役、副社長など) CEOがポリシーとガイドラインを設定するのを補助。 リスク経営に必要な、あらゆる金融手段の執行権限を持つ。 RM領域での新潮流と変化していくビジネスニーズや目的の認識の必要。 SBUと密接な関係 すべてのリスクを調整・統合、相殺関係にあるリスクポジションを識別 会計と情報公開の要求に完全に順守・対応の責任
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②企業全体のガイドライン 4.ERMの事例:デュポン社の取組み (4)リスクマネジメントの枠組み(その3) 1)ガイドライン
・ヘッジ及びスペキュレーションに関する規定、リスク戦略(要文書承認)。 ・利用可能なデリバティブ取引、ヘッジ会計の基準等。 2)管理、価値評価、及び、監視 (管理)リスクプログラムがポリシーとガイドラインと整合性。 (価値評価)内部モデルで評価可能な取引のみに限定 価値評価は市場リスクと信用リスク ⇒現行Exposure:マーク・トゥ・マーケット(市場評価)アプローチ。 ⇒潜在的Exposure:バリューアットリスク(VaR)アプローチ。 (監査)内部監査部門による活動評価を要求 結果をRM委員会に報告 ⇒ラインマネジメントにRMのプロセスの管理責任を課す。
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4.ERMの事例:デュポン社の取組み (5)リスクマネジメントの枠組み(その4)
③ラインマネジメント戦略と手続き 1)ラインマネージャーはRM戦略を執行するために本社スタッフの専門家を利用。 2)企業ポリシーとガイドラインを遵守し、金融的Exposureの評価責任を負う。 3)RM委員会と一緒に働き、RMネットワーク に接近経路を持つ。 リスクマネジメントの枠組みの価値 ・ RM委員会とネットワークは、SBUに対するコンサルタントかつ資源としてサービス。 ・ RM枠組は資源と構造を提供し、全プロセスの間にある種の連続性を企業に与える ⇒RMプロセスを組織自体の中に入れ込まれる。 ⇒最良のモデルと最大可能な厳密さがプロセスに組み込まれる。
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4.ERMの事例:デュポン社の取組み (6)リスク統合(その1)
①金融リスクのより良い組織横断的統合を図る RMとビジネス戦略・操業の統合の必要性を認識・共有。 一部のリスク(製造物責任等)だけでなく多くの操業リスクをカバー。 リスクを要因分解して説明。 定量分析(VaR等)の経験を活かし保険的リスクを集合的に調査し、定量的アプローチを実施。ただし、全リスクを完全統合には至らず。 操業上の物的災害・傷害リスク管理は得意。 ②大きな操業リスクをプロファイル化 企業全体の戦略的リスクのプロファイルを調査。 ワーストケースのシナリオとその確率を評価。 企業全体で控除可能なものや自家保険の水準に関して意思決定。
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4.ERMの事例:デュポン社の取組み (7)リスク統合(その2)
③リスク意識を高め持続的収益成長を追及 投資家、アナリスト,格付会社,規制官庁もRMに一層の関心⇒RM戦略を再評価し、一層の統合化の必要性。 伝統的企業評価法は収益に焦点。しかし、収益が利子率,商品価格,為替等の外的市場要因に依存することが問題。 投資家・株主が成長を見る視点:経営により循環の管理可能な部分と不能な部分の分離 ⇒現状はコントロールプロセスにとどまり、価値創造プロセスに至らないという認識。
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4.ERMの事例:デュポン社の取組み (8)リスク測度とリスク計測(その1)
①共通言語、共通フレームの導入 ・共通言語、リスクの数量化(指標共通化)を通じRM意識の向上を図る。 ・ビジネスモデルを変えるためにSBU設置。 ・SBUの収入を同一通貨(ドルベース)で計算可能とする。 ②VaR(資産価値変動)からEaR(収益変動)へ 1)VaR、シナリオ分析等の伝統的な測度は既に保有。 VaR:一定時間幅、一定信頼水準(通常5%)について市場リスク要因等により生じ 得る資産価値の最大の損失額を測定。 シナリオ分析:選択した市場変数ついての将来予想シナリオに確率を付与して分析 2)よりよい評価測度としてEaRの導入 EaR:一定の信頼水準で市場リスク要因等により生じえる潜在的最大損失額。 収益=価格(・)×販売量(・)-コスト(・)
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4.ERMの事例:デュポン社の取組み (9)リスク測度とリスク計測(その2)
③収益とキャシュフローに関する共通言語:EaR 最新管理・制御プラクティスに加えて、最新RMプラクティスを展開。 リスクの源泉と影響度に対するセンスを高める。 確率的な観点からリスクの収益へのインパクトを分析。 リスクの相関関係を考慮し、株価への影響をもとにリスク許容度を設定。 許容度を基準として相関関係に考慮しながら個別リスクを管理。 ④RMのための人材資源、技術力の充実 1)RMプロセスを支援するMBA保有者を採用。 2)専門企業(MeasuRisk. Com)との提携によりEaR分析能力を高める。 金融コンサルタントと技術者,解析的道具やリスクエンジン,データセットを提供。 会計基準SFAS No.133の要求に 整合的な価値評価分析やモデル化技術を提供。 データ,専門家を梃子に、世界級の道具を持ち、RMコストを下げる。
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4.ERMの事例:デュポン社の取組み (10)リスク測度とリスク計測(その3)
⑤アーニングアトリスク(EaR)の利点 統合性があり、単一ポジションを過剰・過少ヘッジを防ぐ 利益可能性や操業キャッシュフロー測度への影響を評価 全てのExposureを計測し要因分解することが可能 ⇒ SBUマネージャーはExposureを理解、管理する責任 ⑥EaR導入によるリスク認識、コミュニケーション能力の向上 1)SBUによるリスク水準の認識、リスク対応策の意思決定を容易に 2)SBUと上級経営者のコミュニケーションが向上 リスクを識別し、リスクの影響による収益変動を識別 リスク・リミット設定、ヘッジ手法選定のための基礎データとして活用 リスクマネジメントに関する意思決定において共通言語として活用
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4.ERMの事例:デュポン社の取組み (11)リスク測度とリスク計測(その4)
⑦EaRの計算(四半期単位で実施) 1)識別可能な市場リスクファクターと関連する全キャッシュフローの洗出し 2)企業内のリスク間の相殺関係を考慮してExposureを集計 3)市場リスクファクターの変動と相関のデータをインプットし、数千回の統合 シミュレーションを実施。収益への潜在的な影響を予測 4)シミュレーション結果(潜在的収益確率分布)の最左側の裾の値を求める 25% 《年間収益の確率分布のイメージ》 20% 15% EaR差 ($125) 10% 5% $545 $670 収益(百万ドル) 95%信頼区間 期待収益
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4.ERMの事例:デュポン社の取組み (12)リスク計測結果(その1)
①アンダーライイングExposure (リスクにさらされている収益/株) 基礎となるエクスポージャータイプ $MM 基礎 ヘッジ ネット 金利 ,500 - .03 商品 ,500 .17 (.07) 通貨(純貨幣資産) , (.14) 通貨(FCST純収入) 2, - 合計 11, (.21) 企業全体のRMの利点は、経営にリスクの源を知らせること。 どの領域とどのSBUがそのEaRの原因となっているか。
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4.ERMの事例:デュポン社の取組み (13)リスク計測結果(その2)
②EaR分析 D D A A C C B B C B A A C D B A B C
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4.ERMの事例:デュポン社の取組み (14)リスク計測結果(その3)
主要商品のEaRへの寄与度 (100%=1600万ドル) 及び 主要通貨のEaRへの寄与度 (100%=2600万ドル) 百万ドル 2000会計年度の期待収益とEaR
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4.ERMの事例:デュポン社の取組み (15)まとめ:リスクマネジメントの大きなステップ
①新しいリスク枠組の開発 ⇒トップマネジメントから導入され、SBUマネジャーに受容。 ②リスクポリシー,ガイダンス,ラインマネジメント戦略と手続きを確立。 ③リスク委員会とリスクネットワークの確立 ⇒委員会、ネットワークはトップマネジメントを含み、 企業全体のRMにおける重要な資源として機能 ④RMにより統合的なアプローチを利用 保険・操業的リスク解析は、金融リスクの解析的アプローチを移行 リスクアプローチの戦略との整合性、また各リスクの適性水準を選択
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5.展望:経営力の向上を求めて 将来へのコミットメントとしての経営 (1)KKD(勘、経験、度胸)から合理的分析による組織の効率的意思決定へ
(2)事業リスク分析能力:組織的な総合力、操業的リスク、財務金融的リスク、戦略的リスクの定性的・定量的分析 (3)リアルオプション分析:経営者に与えられているオプションの有効利用による戦略的投資 (4)不確実性・リスクからの収益性 (5)経営者の幅広い専門的能力の向上
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