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-高強度γ線による過酷環境下における中性子計測-
高速点火統合実験2010における中性子計測 -高強度γ線による過酷環境下における中性子計測- 有川安信 大阪大学レーザーエネルギー学研究センター 日本学術振興会特別研究員 2011年9月21日 高エネルギー加速器研究機構
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OUTLINE 1. Introduction レーザー核融合研究の現状 高速点火核融合原理実証実験FIREX 高強度g線の問題
ILE Osaka 1. Introduction レーザー核融合研究の現状 高速点火核融合原理実証実験FIREX 高強度g線の問題 高強度g線過酷環境のための中性子計測の開発 中性子発生数の測定 まとめ 2/26
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レーザー核融合エネルギー利得間近に迫る!
米国ローレンスリバモア研究所National Ignition Facility において、 レーザー核融合点火実験が行われている。 2012年度内にも点火・燃焼によるエネルギー利得を実現する見込み。 3/26
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米国の中心点火方式の1/10のレーザーでできる
コンパクトな高速点火レーザー核融合 爆縮 高速加熱 点火・燃焼 点火・燃焼 圧縮 中心点火方式 ディーゼルエンジン 超高強度レーザー ガソリンエンジン 高速点火方式 米国の中心点火方式の1/10のレーザーでできる 5/26
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高速点火原理実証実験FIREXプロジェクト
・2002年に旧ペタワットレーザーを用いて世界に先駆けて高速点火の基礎実験に成功。 Nature誌に2本の論文が掲載された。 ・2004年高速点火原理実証実験のための超高強度レーザーLFEX(世界最高出力)の建設がはじまった。 LFEX GEKKO XII ・2009年3月LFEXが完成し、レーザーショットを開始した。 ・2010年にLFEXのハイパワーショットテストを兼ねた高速点火核融合実験が行われた。 2beam(/4beam)実験でNatureの成果を凌駕! ・2012年、世界に先駆けて点火温度5 keVを実証する計画。 NIFの中心点火実証より早く高速点火の実証を! 6/26
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Nature 2002の成果 ILE Osaka 旧ペタワットレーザー (最大500J/ 0.7 ps)を入射させた。
追加熱レーザーのエネルギーを上げていくと中性子の最大2×107(増大1000倍)を観測。ただしエラーバーが大きい。 7/26
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2009年LFEXを用いて高エネルギー追加熱実験を開始。
高強度g線による計測障害が多発した ILE Osaka Problems in 2009 Neutron TOF scintillation detector Multi Imaging Xray streak camera Hard x-ray MCP gate open Discharge at cathode with intense hard x-ray 高強度γ線による信号 DD neutron time Scintillation decay シンチレーターの残光がひどくて、中性子が計測できない。 MCPのゲートがg線によって破断する。 PCがフリーズしてCCDカメラデータが読みだせない。 MCP管内で放電現象が発生、などなど。 8/26
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電磁ノイズパルスは電磁シールド箱を設けて遮蔽
ILE Osaka Fast Ignition 電磁シールド、独立電源を使う事で電磁ノイズを 劇的に低減した。 9/26
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X線画像計測器のg線遮蔽対策 ILE Osaka ⊿t CCD camera Voltage pulse Pt mirror
MCP Fluorescent plate CCD camera Au cathode(strip line) Pinhole disk Pt mirror Pb block Hard x-ray Thermal x-ray ⊿t 対策前 対策後 0 ps ps ps 200 ps ps ps 0 ps ps 160 ps
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中性子計測におけるg線の問題 ILE Osaka 11/26
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中性子計測におけるg線の問題 ILE Osaka 12/26
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FG-02では数多くの新型計測器を導入 ILE Osaka 全方向鉛遮蔽 酸素クエンチ 液体シンチ 時間分解型 MANDALA 鉛全方向強化
ダイノードゲート 高電子増倍管 酸素クエンチ 液体シンチ 時間分解型 MANDALA 鉛全方向強化 TOFシンチ 鉛強化 ファイバー型高速シンチ 遮蔽強化 BC422 LFEX後方に設置 ゲートTOFシンチ 新開発 ゲート液シン1号機 新開発 ゲート液シン2号機 新開発 ゲート6Liシンチ 新開発 多チャンネル6Liカウントモード 新開発 γ線不感型 10. バブル 復刻 11. CR39 リコイルプロトン 自動解析 12. ラジオクロミックフィルム 新規導入 13. Agカウンタ 従来法復刻・新規導入 新素材6Liシンチ APLF80+3Pr バブルディテクタ Ag放射化カウンタ 中性子減速部(ポリエチレン) Ag フォイル GM-tube 13/26
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新素材液体シンチレーターを開発 ILE Osaka 気体酸素を溶け込ませることによって、 遅いシンチレーション成分を効果的に低減
137Cs gamma source scintillation: BBQ (used for dye lasers) 4,4’’’-Bis-(2-butyloctyloxy)-p-quatarphenyl host:p-Xylene Quenching by oxigen T. Nagai, Y.Arikawa, et. al., JJAP , accepted 米国ロチェスター大のグループが発表 ILEでも技術導入し、さらに改良を加えた。 14/26
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Dynode-gateでgのゲートブレークの問題を克服
ILE Osaka X線がPMTに直接作用し、ゲートが破断 広く用いられているゲートPMTは カソード直後のバイアス反転でゲーティングする。 この手法ではg線が直接MCPに作用して信号を出してしまう。 Dynode-Gate PMT Liquid Scintillator Gate Open 15/26
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2009年実験に比べて有用データ数は格段に増えた。
ILE Osaka データ多いなぁ・・・ 新液体シンチ 従来nTOFシンチ 1shotで得られたデータ 16/26
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戦いの歴史(11月時点) マンダラ γ-nだらけで観測不能 ILE Osaka 時間分解型 MANDALA TOFシンチ
ファイバー型高速シンチ BC422 (中性子ショット専用) ゲートTOFシンチ △感度不足 ゲート液シン1号機 未完成 ゲート液シン2号機 未完成 ゲート6Liシンチ 未完成 多チャンネル6Liカウントモード 未完成 CR39 プロトン γ線不感型 10. バブル 11. CR39 リコイルプロトン 12. ラジオクロミックフィルム 13. Agカウンタ CR 39 謎の穴だらけ CH 100μmの下 荷電粒子大量に検出された。
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戦いの歴史(12月時点) プラ核学会@北海道 ILE Osaka 時間分解型 MANDALA TOFシンチ
ファイバー型高速シンチ △感度足りない BC422 (中性子ショット専用) ゲートTOFシンチ △感度足りず ゲート液シン1号機 完成 ゲート液シン2号機 未完成 ゲート6Liシンチ 未完成 多チャンネル6Liカウントモード 未完成 CR39 プロトン γ線不感型 10. バブル 11. CR39 リコイルプロトン 12. ラジオクロミックフィルム 13. Agカウンタ ゲートTOF (ゲート大脇) TOF (大脇ディテクタ)
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12月2日 プラズマ核融合学会出張先で受け取った速報メール
報告書ID : 報告内容 : 本日は高速点火統合ショットを3ショット、計測器開発ショットを1ショット行いました。 T4(34183, L1571)は高速点火統合実験で、GXIIの出力が290 J/beam, LFEXはH J, H Jの計 Jでした。 LFEXは爆縮コアからのX線強度が最大になる時刻に対して20 ps遅く入射されました。 比較的良いタイミングでLFEXが入射したと考えられ、バブル検出器で7E+5の中性子が観測され、液体シンチレーターでも中性子の信号が検出されている模様です(詳細は解析中)。 12月2日 プラズマ核融合学会出張先で受け取った速報メール T1(34186, L1573)は高速点火統合実験で、GXIIの出力は298 J/beam, LFEXはH J, H Jの計 Jでした。 LFEXは爆縮コアからのX線強度が最大になる時刻に対して、10 ~ 30 ps早く入射されました。 バブル中性子検出器で3.4 +/- 0.8 E+6の中性子イールドが観測されました。他の検出器でも信号が得られています。 (現在、プラズマ核融合学会の開催中で、人員が不足しており解析が間に合っていません。) このイールドは、現時点で本シリーズ最高のイールドです。 T2(34187, L1574)は高速点火統合実験で、GXIIの出力は289 J/beam, LFEXはH J, H Jの計 Jでした。 LFEXは爆縮コアからのX線強度が最大になる時刻に対して、0 ~ 20 ps早く入射されました。 バブル中性子検出器で(1 ~ 3)E+6の中性子イールドが観測されました。他の検出器でも信号が得られています。 ただ、このショットについては、ガンマ線誘起の中性子が混じっている可能性があり、注意が必要です。
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戦いの終焉 液体シンチが生き残った ILE Osaka 時間分解型 MANDALA TOFシンチ ファイバー型高速シンチ △感度足りない
ファイバー型高速シンチ △感度足りない BC422 (中性子ショット専用) ゲートTOFシンチ △感度足りず ゲート液シン1号機 完成 ゲート液シン2号機 完成 ゲート6Liシンチ 完成 多チャンネル6Liカウントモード 完成 CR39 プロトン γ線不感型 10. バブル 11. CR39 リコイルプロトン 12. ラジオクロミックフィルム 13. Agカウンタ クリスマスまで実験 核融合起こらないターゲットで中性子が観測!!!
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大問題が発覚、g-n 反応 gamma-n reaction photo-nuclear neutron g (>15MeV)
ターゲットチャンバー 計測器 g線遮蔽材 核融合ターゲット材料 など、あらゆる物から発生 17/26
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g-n中性子発生の証拠 ILE Osaka (1) バブルディテクタ (2)MANDALA CH製コーン、内面金コート LFEXのみ
Yn~1E9に相等する、 大量の泡が発生。 金コーン付きCDシェル、LFEXのみ γ γ-n (3) ラジオクロミックフィルム (> 1MeV) (> 2.5 MeV) (> 10 MeV) g+D→n+p Shot # 34231 CH shell Au cone Shot#34225 CD shell Au cone Al 60 mm Al 30 mm Al 40 mm Al 50 mm Radio Chromic film with graded aluminum filter 計測器配置 バブル MANDALA ラジオクロミックフィルム g-D反応プロトンが観測された。 18/26
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低エネルギー加熱の5ショットのみ (全30ショット中)
核融合中性子信号だと判断されたのは 低エネルギー加熱の5ショットのみ (全30ショット中) ILE Osaka #34177 FI(9beam) GXII:268 J、LFEX:398 J、 鉛25cm、NDfilter0 #34183 FI(9beam) GXII:290 J、LFEX:430.4 J、timing:ps 鉛25cm、NDfilter1/8 #34192 CD shell (calibration) GXII: 253 J 鉛5cm、NDfilter1/8 新液体シンチ #34186 FI(9beam) GXII:298 J、LFEX:694 J、timing: 鉛10cm、NDfilter1/8 #34187 FI(9beam) GXII:289 J、LFEX:598.3 J、timing:-20 ps 鉛10cm、NDfilter1/8 #34189 FI(9beam) GXII:297 J、LFEX:318.7 J、timing:-70 ps 鉛10cm、NDfilter1/8 19/26
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g-nによる誤差の評価が重要 Yn=(3.5±1.2)×107 ±g-n エラー 1. ベースラインをDD-nの時刻では直線と仮定。
Xray PMT-Gate open ILE Osaka γ-n Yn=(3.5±1.2)×107 ±g-n エラー 1. ベースラインをDD-nの時刻では直線と仮定。 2. DD-n時刻にやってくる中性子の数を評価し、 その統計誤差をγ-nによる誤差として付け加える。 20/26
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バックグランウンド信号を シミュレーションにより再現
ILE Osaka g線のスペクトルは電子のスペクトルと同程度と仮定し、 傾き温度で5 MeVを仮定。 放射方向分布は実測データを使用。 各物体が単体で存在した場合の信号を予測 Target Chamber (Iron, 86 cm dia, 7cmt) (Old) PW comp. chamber (iron) θ Detector at 3m LFEX g (g,n) Diagnostics (iron) (2)γ線散乱 ターゲット室壁 input gamma source Tγ=5MeV Yγ=1011 θ~sin(0.5θ)1.7 Lead block 15 cmt (1)γ-n反応中性子 γ-n チャンバーから T1室壁からのγ線散乱 21/26
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シミュレーション計算が実験結果を再現した
ILE Osaka Pb g n Neutron collimator shot# L1635 25 Jan. 2011 Fast ignition target LFEX 427.7J, without implosion g g’ 実験データ コリメータ付き 実験データ g-n シミュレーションモデルの検証ができた。 次回実験はコリメータ―を必須! 22/26
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ついに中性子イールドを決定できた ILE Osaka g-ray Gate open 23/26
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中性子イールドはNature実験を凌駕!
ILE Osaka 2002 exp 中性子イールドはNature実験を凌駕! 24/26 Y. Arikawa, et. al., POP to be published
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まとめ 高速点火核融合、追加熱実験を行うと高強度g線が発生し、プラズマ計測を困らせてきた。
ILE Osaka 高速点火核融合、追加熱実験を行うと高強度g線が発生し、プラズマ計測を困らせてきた。 2009年から2010年にかけて各種計測器にg線遮蔽を開発し、導入した。 特に中性子計測では、多数の新型・復刻中性子計測器を導入し、g線問題を克服しようと試みた。高速減衰液体シンチレーターを開発した。 3. g線のみならずg-n反応による中性子発生が問題となった。 4. 新型液体シンチレーターで観測されたデータから、g-nによるバックグラウンドのエラーを評価し、中性子イールドを決定した。Nature 2002の成果を凌駕する中性子イールドを観測した。 今、g線のスペクトル計測が強く求められている。 レーザー研内でも開発が進められており、次回実験に導入をめざしている。 25/26
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ご静聴ありがとうございました 2010年12月24日 実験最終日にて
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