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第3回 土壌と環境 土と土壌とは 土壌の形成 土壌の分類 土壌と土地利用
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土(つち) 土というもの 意外にたくさんのことができるんだ ものを支える基盤 土木・建築・芸術・工業製品の資源材料 文化財の保存
大切にされている建設残土 土木・建築・芸術・工業製品の資源材料 土堤・ダム レンガ・壁 陶土 碍子(ガイシ) 文化財の保存 大事なものは地下に埋めるのは一番か レクリエーション ビーチ、河川敷、砂漠 意外にたくさんのことができるんだ
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土(soil) =?土壌(どじょう) 土とは: 土壌とは(ペドロジ:Pedology):
岩石が風化・細粒化し、さらに動植物など生物の影響を受けて生成された地表面に存在する自然体 地質学では: 岩石が分解し、崩壊した砕片の集まり。若干の有機物を含む 土木工学では: 地表を構成する粒状の物質とこれに並存する空気、水、有機物(三相)を総合したもの 農学では: 土の定義に加えて、農産物の生育媒体としての機能を重視する。 土壌とは(ペドロジ:Pedology): 気候、植生、地形、母岩、時間、動物(土壌生成6因子という)により生成され、地球表面で一定の場所を占め、土層断面形態をもつ独自の自然体である。
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土壌の機能 資源・材料としての機能 土壌の環境保全機能 水質浄化機能 貯水・透水機能 埋蔵文化財保存機能 アメニティ機能 自然教育・教材機能
土壌の持つフィルター機能により水が浄化される。 土壌中の微生物が動植物の遺体を分解し、無機化して、CO2、H2O、N2のかたちで、大気中に還元する。 遺体の分解産物の一部は土壌有機物となる。 イオン交換により窒素や燐を吸着し、除去する。 貯水・透水機能 土壌中の大小さまざまな隙間があり、そこに水がたまる。 重力によって、下の方へ少しずつ浸透する。 埋蔵文化財保存機能 アメニティ機能 自然教育・教材機能
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土壌の機能―食料生産の場としての機能 土壌は岩石と違って、植物の生育と再生産を保障する肥沃度(地力)を持っている。 植物の生育に必要な条件
項 目 役 割 ・ 作 用 1.光 炭酸同化作用のエネルギー 2.空気 酸素 O2 呼吸作用 炭酸ガス CO2 炭酸同化作用 窒素 N2 窒素固定作用(空気中の窒素の利用) 3.水 体の構成材料、有機物の原料、物質の運搬者 4.温度 あらゆる反応に関係 5.養分 窒素、燐酸、カリ、その他 6.有害物質 硫化物質、鉱毒など
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土壌の層位 土壌は固有の層位を作る。 土壌の層位は地表からO、A、B、C、Rに分類される。 自然と人間社会の歴史が刻まれている。 O層:
落葉や枯枝が堆積した最上部。農地にはない A層: 土壌の最上部。有機物の集積層。腐植に富み、植物の生長に適する。暗~黒色。 B層: A層から酸化物がたまる層。心土とも言われる。赤、褐、黄色。塊状に固まる。AとBがあわせて土壌。 C層: 母岩の風化したもので、AとBのベース。土壌の母材。 R層: 風化されていない硬い岩石。
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土壌層(断面形態) A層 B層 C層 R層 土壌生成作用・風化作用 風化作用 A0層(落葉枯茎の層) A1層(有機質に富んだ黒い層)
粒状、屑粒状構造 A層 土壌生成作用・風化作用 A2層(A1よりやや色のうすい層) B1層(褐色の集積層) 角境構造 B層 B2層(褐色の集積層) 角塊構造 母材(岩石の風化物) C層 風化作用 母岩(もとの岩石) R層
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土壌の構造 団粒構造 ・ 単粒構造 ・ かべ状構造 駒村雅治、農地工学第3版、文永堂出版、1999、P.122
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土壌の生成過程 風化作用 母岩、地形、気候、生物 岩石 母岩 母材 土壌 時間 人為 土壌生成作用 風化作用 物理的・化学的 異質物の混入
時間 人為 土壌生成作用 風化作用 物理的・化学的 異質物の混入 移動 岩石から土壌までのプロセス
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土壌の構造化の過程 有機物(結合) 無構造 有構造 単粒状構造(砂質土) 結合 粒状 団粒状構造 かべ状構造(粘質土) 角塊状 分散
乾燥収縮(亀裂) 注) 駒村雅治、農地工学第3版、文永堂出版、1999、P.122より作成
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土壌の構成 出典) 岡村博司、環境科学の基礎、東京電気大学出版局、2002、p.121
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土壌の構造と土壌の特徴 出典) 駒村正治ら、土と水と植物の環境、理工図書、2000、p.23 種類 保水性 保水性の機能部分 通気・透水性
同左 機能部分 作物生育の適否 団粒構造 大 団粒内孔隙 粒子間孔隙 適 単粒構造 小 粒子接合部 否 壁状構造 粒子表面 亀裂部 出典) 駒村正治ら、土と水と植物の環境、理工図書、2000、p.23
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土壌の分類 成因材料による分類 堆積形態による分類 無機質土: 有機質土: 定積土(ていせきど): 運積土(うんせきど):
風化・侵食作用を受けて、物理的・化学的変化によって生成されたもの 有機質土: 生物の遺骸が生物的・化学的作用を受けて生成されたもの 堆積形態による分類 定積土(ていせきど): 岩石や生物が存在した位置で、移動しないで生成された土壌 運積土(うんせきど): 水や風によって運ばれた土壌 水の場合:沖積土(ちゅうせきど) 風の場合:風積土(ふうせきど)(火山灰)
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土壌の分類(続き) 土壌帯による分類 土壌分類や用語について、 母岩の種類による分類 土性による分類 母材の種類による分類
花崗岩土壌:石英・長石・雲母などを主成分としる火成岩が風化した土壌 石灰岩土壌:カルシウムの酸化塩鉱物を主成分とする石灰岩が風化した土壌 土性による分類 砂土(さど) 壌土(じょうど) 植土(しょくど) 母材の種類による分類 火山灰土壌(アンドソル:Andsol):ローム(loam)ともいう。 泥炭土(でいたんど): レス土(黄土) 土壌帯による分類 熱帯のラテライト(ラトソル) 熱帯から温帯にかけての,酸化物を多く含んだ紅色土や黄色土 温帯から冷帯にかけての,落葉広葉樹を育む褐色森林土 冷帯から寒帯にかけてのポドゾル 寒帯で下層が永久凍土層になっているツンドラ土 ほかに、プレーリー土や、中央ユーラシアの黒土(黒色土、チェルノーゼム)など. 土壌分類や用語について、
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土壌の構成と区分 土壌の構成と性質は土粒子の種類、大きさに依存する 土粒子:土の成分の鉱物成分。母岩岩石の性質を表している。 区分名称
粒径(mm) 表面積(cm2/g) 理化学性 礫(レキ) 2mm以上 <21 透水性が大きく、活性が弱く、水をほとんど保持しない。 粗 砂 細 砂 2.0~0.2 0.2~0.02 21 210 ・土壌の骨格形成に寄与し、粒子間孔隙を大きく、通気・排水を促進する。 ・各粒子が分離して粘着性・凝集性がない。 シルト (微砂) 0.02~0.002 2,100 ・粗い部分は骨格的役割に、細かい部分は物理化学反応に寄与する。 ・粘着性はないが、僅かに凝集性がある。 粘 土 0.002以下 23,000 ・表面積が大きいため、水の表面吸着、イオン交換等の物理化学反応に寄与する。 ・粘着性・凝集性が大きい。
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土壌の土性 土性:土壌を構成している土粒子の大きさの質量割合である。
農学では、土粒子の粒径0.01mm以下のものは粘土といい、それが土壌の中での割合に応じて、土壌を砂土・植土・壌土に分類する。 土性 透水性 通気性 水分・養分の保持 粘着性 砂土 高い 良 低 壌土 ↑ ↓ 植土 低い 悪 高
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三角座標による土壌分類 粘土 砂 シルト
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土性区分の国際基準 粒径(mm) mm 粗砂 礫 粘土 シルト 細砂
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土壌の三相構成 三相とは 土粒子や有機物の占める固相、土壌水分の占める液相、土壌空気の占める気相。
三相の割合で土壌を特徴つけることができる。 固相 液相 気相 無機物 (土粒子) 有機物 土壌水 イオ ン類 土壌空気 50 100 割合(体積%)
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土壌の水分 土壌水分の量を表す指標 土壌水の分類 土粒子 結合水 毛管水
自然含水比(%):自然状態での土壌に含まれている水分の質量/土粒子の質量×100 容積含水率(%):土壌全容積の中の土壌水分の容積/土壌の全容積×100 土壌水の分類 毛管水の動き 土壌水の種類 土壌水の保持および特徴 結合水 吸湿水 土粒子の表面に固く結合し、薄膜を形成しての作用によってもいる水、毛管力あるいは重力移動しない 自由水 毛管水(懸垂水) 毛管力により、保たれている水。土壌の隙間に滞留し、重力に対して、残留できる 重力水 重力により粒子間や隙間の中を自由に移動できる水 土粒子 結合水 毛管水 出典 駒村ら、土と水と植物環境、理工図書、2000
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降雨による土壌水分の挙動 出典 松井 健、環境土壌学、朝倉書店、1993. 凸部 凹部 平坦部 P P E P 降水 表面流出 蒸発散 E
凸部 凹部 平坦部 P P E P 降水 表面流出 蒸発散 E 懸垂水帯 表面流出 E 中間流出 F 中間流出 毛管水帯 F F F 浸透 地下水位 自 由 地 下 水 帯 河川 基底流出 P:降水, E:蒸発・蒸散, F:浸透 出典 松井 健、環境土壌学、朝倉書店、1993.
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地形・土地利用・土壌 灰色土 注) 興水 肇、環境土壌学、朝倉書店、p.106、1993
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水田の土壌 水田の種類 湿田:非灌漑期も地下水位は田面より下がらない。 乾田:非灌漑期に地下水位は田面よりかなり下がる。 土壌の種類
排水不良 生産性が低い 農業機械の導入は困難 生物系保全の効果が高い。 乾田:非灌漑期に地下水位は田面よりかなり下がる。 作土を十分に乾かすことができる 地耐力が高い 機械の作業はしやすい 土壌の種類 泥炭土、黒泥土 重粘土(グライ土、灰色低地土)
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畑地の土壌 駐) 駒村雅治、農地工学第3版、文永堂出版、1999、P.119
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水田土壌と畑地土壌の違い 注) 河野英一、農地工学第3版、文永堂出版、1999、p.18より一部修正 項目 水田土壌 畑地土壌 地質
第四紀沖積世 第三紀、第四紀洪積世 地形 低地 台地・丘陵 透水性 小 大 地下水位 高 低 排水性 不良 良 養分の流入 灌漑により補給 溶脱により消耗 窒素の有効化 リン酸の有効化 酸素 わずか、あるいはなし 多い pH 高い 低い 作土の構造 無粒 団粒 還元性有害物質 多 少 連作 可能 不可能 注) 河野英一、農地工学第3版、文永堂出版、1999、p.18より一部修正
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世界土壌図
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世界の土壌資源 出典) 揚 捷行、環境土壌学、朝倉書店、1993、p.9
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土壌にかかわる環境問題:土地の荒廃 土地の荒廃(Degradation) 土地荒廃の種類
乾燥,半乾燥および乾燥性半湿潤地域における様々な要因(気候変動および人間の活動を含む)に起因する土地の劣化(UNCED) 土地荒廃の種類 水食:土壌侵食( Soil Erosion) 風食:砂漠化(Desertification) 塩害:塩類化(Salinization) 汚染:農薬、廃棄物流出等(Pollution)
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参考文献 木村真人,土壌圏と地球環境問題,名古屋大学出版会,1997,277p,5250円.
駒村正治ら,土と水と植物の環境,理工図書,2000. 松井健・岡崎正規,環境土壌学ー人間の環境としての土壌学,朝倉書店,1993,257p,5040円.
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課題1 問題: 海外・国内の関心のある地域について,そこの土地の自然景観の形成,変遷と人間活動の影響を考察してください. ヒント: 以下の点に特に着目してほしい. ①そこの自然景観が形成された経緯 ②そこの土地における人間と環境との付き合い方 分量: A4用紙2枚.但し,所定のフォームを利用すること. フォームは 締め切り: 5月23日.A4に印刷して提出すること. 注意 選んだ地域は,課題2(最終)でさらに深く考察してもらう予定.特に環境問題に視点をおく必要はない.
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