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低出生体重児の 発育と発達 静岡県富士保健所 後藤 幹生 静岡県富士保健所 後藤幹生
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本日お話させていただくこと 低出生体重児・早産児の 1.定義と疫学 2.原因と予後 3.疾病と頻度 静岡県富士保健所 後藤幹生
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最初のお話 低出生体重児・早産児の 1.定義と疫学 2.原因と予後 3.疾病と頻度 静岡県富士保健所 後藤幹生
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低出生体重児・早産児の定義 ◆ 出生体重による定義 ・○低出生体重児 2,500g未満 ・極低出生体重児 1,500g未満
・○低出生体重児 2,500g未満 ・極低出生体重児 1,500g未満 ・超低出生体重児 1,000g未満 ・○正出生体重児 2,500g以上、4,000g未満 ・○高出生体重児 4,000g以上 ◆ 出生週数による定義 ・○○早産児○ 37週未満(36週6日以下) ・○超早産児 28週未満(27週6日以下) ・後期早産児 34週以上37週未満 (34週0日~36週6日) ・○正期産児 37週以上、42週未満 (37週0日~41週6日) ・○過期産児 42週以上 静岡県富士保健所 後藤幹生
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グラフに示してみました 高出生体重 正出生体重児 低出生体重児 極低出生体重 超低出生体重 過期産児 後期 早産児 早産児 正期産児
超早産児 〔板橋家頭夫 日小誌 2010 より〕 静岡県富士保健所 後藤幹生
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出生体重別出生数の推移 ◆ H23年も2500g未満の割合は9.6%と横ばい。 〔低出生児保健指導マニュアル より〕
〔低出生児保健指導マニュアル より〕 静岡県富士保健所 後藤幹生
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出生体重1500g未満児の出生数の推移 ◆ H23年も1500g未満の児の体重別内訳は変化なし。 23年 4822 2819 301
〔低出生児保健指導マニュアル より〕 静岡県富士保健所 後藤幹生
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H23年 母親の年齢別2500g未満児割合 2500g未満児の割合は、40歳代から急上昇するが、 人数は、30歳代が半数以上を占める。
(%) 2500g未満児の割合は、40歳代から急上昇するが、 人数は、30歳代が半数以上を占める。 〔平成23年人口動態統計(確定数) より〕 静岡県富士保健所 後藤幹生
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年齢階級別の合計特殊出生率の推移 H18年頃に、 25-29歳<30-34歳 20-24歳<35-39歳 と逆転。 1.41 0.49
〔平成24年人口動態統計月報年計(概数)の概況 より〕 1.41 0.49 0.43 0.25 0.16 H18年頃に、 25-29歳<30-34歳 20-24歳<35-39歳 と逆転。
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富士市の2500g未満の児の割合の推移 富士市のH22、H23年の2500g未満の児の 割合は、県や全国と較べて高率に見える。 (%)
〔富士市の資料 より〕 静岡県富士保健所 後藤幹生
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2500gを境にカイ2乗検定をやってみた ◆ 2年間ずつの比較では、有意な増加とは言えない。
富士市 H20年+H21年 H22年+H23年 2500g以上の児の人数 4,127人 3,883人 2500g未満の児の人数 440人 474人 P=0.053 ◆ 2年間ずつの比較では、有意な増加とは言えない。 H22年+H23年 富士市 静岡県 全国 2500g以上の児の人数 3,883人 56,673人 1,918,683人 2500g未満の児の人数 474人 6,395人 203,427人 P=0.119 P=0.000003 P=0.004 ◆ 富士市だけでなく静岡県全体が、全国より高率である。 静岡県富士保健所 後藤幹生
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この章の小まとめ 1.2500g未満の低出生体重児の割合は、この約10 年間では大きな変動はない。
年間では大きな変動はない。 2.1500g未満の極低出生体重児や10000g未満 の超低出生体重児の割合も、この約10年間では 大きな変動はない。 3.平成22年から富士市の低出生体重児の割合が 増加しているかどうかは、今後の集計の結果を 待つ必要がある。 静岡県富士保健所 後藤幹生
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次のお話 低出生体重児・早産児の 1.定義と疫学 2.原因と予後 3.疾病と頻度 静岡県富士保健所 後藤幹生
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低出生体重児が増加する原因 理論上の2大原因 1.早産児の増加 …早産であるほど児は低出生体重
1.早産児の増加 …早産であるほど児は低出生体重 2.SGA*児の増加 …正期産児でも低出生体重が増加 *:Small for Gastational Age 社会的な原因 ・出産年齢の上昇 ・妊娠中の栄養摂取量の減少 ・生殖補助技術による妊孕率の増加 ・帝王切開率の上昇 静岡県富士保健所 後藤幹生
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早産の危険因子 感染 母体合併症 母体既往症 その他 胎児機能不全、母体の喫煙、母体のアルコール摂取、
性器感染症、細菌性膣炎、絨毛膜羊膜炎、尿路感染症、 歯周病、性感染症、その他の全身感染症 母体合併症 妊娠37週未満の前期破水、妊娠高血圧症候群、 前置胎盤、多胎妊娠、絨毛膜下血腫、羊水過多、 子宮頚管無力症、子宮頚管短縮、子宮形態異常、 妊娠中の体重増加不良、原因不明の性器出血 母体既往症 早産(特に妊娠中期の早産)の既往、前期破水の既往 その他 胎児機能不全、母体の喫煙、母体のアルコール摂取、 若年(17歳未満)または高齢(36歳以上)の妊婦、 母体のやせ、経済的弱者 は、公衆衛生の増進で予防可能 静岡県富士保健所 後藤幹生
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妊婦の喫煙と早産・低出生体重児 喫煙妊婦は、喫煙しない妊婦と較べて、 ・早産率は、1.4~1.5倍。 ・児の出生体重は、平均200g軽い。
・早産率は、1.4~1.5倍。 ・児の出生体重は、平均200g軽い。 ・2500g未満の低出生体重児を出産する率は、2倍。 妊娠3~4か月までに禁煙すれば、低出生体重児を出 産する頻度は喫煙しない妊婦と変わらなくなる。 両親とも喫煙していると、乳児突然死症候群(SIDS)を起こす率は、4.7倍。 静岡県富士保健所 後藤幹生
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SGA(Small for Gastational Age)の児 ①
SGAの定義;出生時の体重・身長ともに在胎期間別出生時体格標準値*の10パーセンタイルを下回る場合。 ただし、-2.0SDを下回る場合をいうこともある。 * SGAの原因; ①胎盤・臍帯(33%); 臍帯付着異常、胎盤血管腫、胎盤梗塞、 胎盤機能不全、臍帯血管異常 ②母体(30%); 低栄養、高地在住、妊娠高血圧症候群、 心疾患、呼吸器疾患、薬剤、麻薬、 アルコール、喫煙 ③胎児(23%); 多胎、染色体異常、奇形症候群、 胎児感染症、先天性代謝異常 ④不明(14%) 〔2012,神戸大学周産母子センター 藤岡ら〕 静岡県富士保健所 後藤幹生
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SGA(Small for Gastational Age)の児 ②
SGAの頻度; 入院新生児のうち、 正期産児の5割弱、 早産児の5割強、 超早産児の9割弱。 SGAの児に起こり うる問題; ①低身長 ②発達障害 ③脳性麻痺 ④メタボリック症候群 〔2012,神戸大学周産母子センター 藤岡ら〕 静岡県富士保健所 後藤幹生
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SGA(Small for Gastational Age)の児 ③
SGAの児の身長の経過; ・SGAの児が成人になったときの平均身長は、-1SD。 ・典型的には、1歳からcatch-up現象が始まり、2~4歳 までcatch-upは続く。 ・最終的には、32週以上または1000g以上で出生した 児の90%、それ以外の児の70%は、3歳までに-2SD 以上の身長に達する。 SGA性低身長症; ・定義;以下の3つを全て満たす。①SGA児 ②出生時の体重または身長が週数相当の-2SD未満 ③暦年齢2歳までに身長が-2SD以上にcatch-upせず ・成長ホルモン治療の開始基準;以下の3つを全て満たす ①暦年齢が3歳以上 ②身長が-2.5SD未満 ③身長の成長率が標準未満 。 静岡県富士保健所 後藤幹生
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SGA(Small for Gastational Age)の児 ④
SGAの児の脳性麻痺のリスク; ・在胎32週以上では、SGA児はAGA児の4~6倍の 脳性麻痺のリスクがある。 SGAの児の発達障害のリスク; ・出生時の低体重・低身長・小頭囲が、発達障害の発症と 相関する。 ・身長や頭囲のcatch-upが見られないSGA児が、発達 障害のリスクが高い。 SGAの児のメタボリック症候群のリスク; ・SGAの児はメタボリック症候群の発症リスクが高い。 ・幼児期・小児期の急激な体重増加は、肥満や高血圧の リスクになる。 ・その肥満のリスクは、乳児期の母乳栄養で予防できる 可能性がある。 静岡県富士保健所 後藤幹生
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低出生体重児が10%タイルを超える月齢 ◆ 出生体重が小さいほど、catch-upは遅くなる。 出生体重 性別 体重 頭囲 身長
500〜749g 男児 60か月以降 21か月 42〜48か月 女児 22か月 750〜999g 15か月 30〜36か月 14か月 1000〜1249g 16か月 10か月 7か月 24〜30か月 1250〜1499g 13か月 6か月 ◆ 出生体重が小さいほど、catch-upは遅くなる。 〔板橋家頭夫ほか 新生児誌 1994 より〕 静岡県富士保健所 後藤幹生
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極低出生体重児の発育曲線 例;男児体重 kg 歳 ◆ 男女別に身長、体重、頭囲の発育曲線がある。 男児 体重 標準 −1SD −2SD
極低出生体重児の発育曲線 例;男児体重 標準 −1SD −2SD kg 男児 体重 10パーセンタイル = ー1.28SD 3パーセンタイル = ー1.88SD 歳 ◆ 男女別に身長、体重、頭囲の発育曲線がある。 〔板橋家頭夫ほか 平成4年分担研究 より〕 静岡県富士保健所 後藤幹生
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極低出生体重児の発育曲線 例;女児身長 cm 歳 女児 身長 標準 −1SD −2SD −2.5SD −3SD
極低出生体重児の発育曲線 例;女児身長 −1SD −2SD −2.5SD 標準 −3SD cm 女児 身長 歳 〔板橋家頭夫ほか 平成4年分担研究 より〕 静岡県富士保健所 後藤幹生
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後期早産(Late Preterm)児 在胎34週0日〜36週6日に出生した児。 正期産児に較べて、
・出生直後には、呼吸障害、黄疸、哺乳不良のリスクが 高い。 ・乳児期には、母体からもらう移行抗体の量が少ない ので、ウイルス性・細菌性の感染症のリスクが高い。 ・乳幼児期には、脳性麻痺や発達遅滞のリスクが高い。 ・学童期には、学校教育での問題が起こるリスクが高い。 〔低出生児保健指導マニュアル より〕 静岡県富士保健所 後藤幹生
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子宮外発育遅延 定義;退院時の体重や身長、頭囲が、そのときの 修正週数における10パーセンタイル以下の場合。 子宮外発育遅延に関連する因子;
修正週数における10パーセンタイル以下の場合。 子宮外発育遅延に関連する因子; ・在胎週数が短い。 ・SGA。 ・出生体重に復帰する日齢が遅い。 ・経腸栄養の開始が遅れる。 ・経腸栄養がフルに達する日齢が遅い。 ・修正36週の時点で酸素投与を要する。 子宮外発育遅延の問題; ・その後の神経学的な予後や発育・発達と関連。 ・NICU入院中の体重増加が18か月時の発達に関与。 ・NICU入院中の母乳摂取量が30か月時の発達に関与。 静岡県富士保健所 後藤幹生
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子宮外発育遅延の頻度 ◆ 在胎週数が短い児ほどより高率である。 ◆ 体重が最も高率で、頭囲は低率である。
〔低出生児保健指導マニュアル より〕 静岡県富士保健所 後藤幹生
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NICU入院中の体重増加と18か月時の発達 ◆ NICUでの体重増加が良いほど、発達も良好である。 発達指数 1日あたりの体重増加グラム数
静岡県富士保健所 後藤幹生
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低出生体重児の運動発達指数の獲得時期 修正月齢 8 10 12 14 16 ◆ 修正月齢で比較しても、極低出生、
1500~ 1999g ◆ 修正月齢で比較しても、極低出生、 超低出生体重児は運動発達が遅い。 1000~ 1499g 正期産児 <1000g 修正月齢 8 10 12 14 16 〔低出生児保健指導マニュアル より〕 静岡県富士保健所 後藤幹生
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3歳時の総合発達評価の判定基準 異常;以下の3つのいずれかに該当 ①自立歩行が不可能な脳性麻痺 ②両眼失明
①自立歩行が不可能な脳性麻痺 ②両眼失明 ③精神発達遅滞(DQの2項目<70+1項目<80) 境界;以下の3つのいずれかに該当 ①自立歩行が可能な脳性麻痺 ②片眼失明 ③精神発達遅滞(DQの1項目<70+1項目<80 または3項目<80) 正常;上記以外 ※ DQ項目;遠城寺式の「対人関係」 「発語」 「言語理解」 〔上谷良行ほか 平成16年度総括・分担研究報告書 より〕 静岡県富士保健所 後藤幹生
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超低出生体重児の3歳時での予後の推移① ◆ より重症の児が救命されるので、全体的に増加。 ◆ 総合発達評価異常と脳性麻痺は近年減少傾向。
◆ 総合発達評価境界は、増加傾向がつづく。 〔上谷良行ほか 平成16年度総括・分担研究報告書 より〕 静岡県富士保健所 後藤幹生
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超低出生体重児の3歳時での予後の推移② ◆ 眼の障害は減少傾向。 静岡県富士保健所 後藤幹生
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超低出生体重児の3歳時での予後の推移③ ◆ 反復性呼吸障害は減少傾向。 ◆ その他は、横ばいがつづく。 静岡県富士保健所 後藤幹生
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超低出生体重児の3・6・9歳での予後① ◆ 知的障害と境界知能は、6歳で増加するが、9歳では 増加しない。
増加しない。 ◆ 脳性麻痺は、3歳以降は増加しない。 〔上谷良行ほか 周産期医学 2009 より〕 静岡県富士保健所 後藤幹生
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超低出生体重児の3・6・9歳での予後② ◆ 弱視は6歳で、失明は9歳で、やや増加する。 静岡県富士保健所 後藤幹生
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超低出生体重児の3・6・9歳での予後③ ◆ てんかんは、徐々に増加するが特に9歳で急に増加。 ◆ 注意欠陥/多動性障害は、9歳で少し増加。
◆ 聴力障害は、増加しない。 静岡県富士保健所 後藤幹生
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超低出生体重児の3・6・9歳での予後④ ◆ 在宅酸素療法は6歳で、反復性呼吸障害は9歳で 消失する。 ◆ 喘息は、減少しない。
◆ 在宅酸素療法は6歳で、反復性呼吸障害は9歳で 消失する。 ◆ 喘息は、減少しない。 静岡県富士保健所 後藤幹生
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超低出生体重児の6・9歳での就学状況 ◆ 6歳・9歳とも80%以上の児が普通学級に就学し、 3年後の進級による移動はほとんどない。 人
3年後の進級による移動はほとんどない。 〔中村肇ほか 日小誌 2009、分担研究報告 2011 より〕 静岡県富士保健所 後藤幹生
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運動発達の6歳から9歳への推移 正常 境界 脳性麻痺 6歳 9歳 ◆ 6歳で脳性麻痺と診断されていた児の約30%は、
50 10 100 1 正常 境界 脳性麻痺 6歳 50 10 100 1 1 1 1 1 1 9歳 ◆ 6歳で脳性麻痺と診断されていた児の約30%は、 9歳で正常か境界まで改善する。 〔中村肇ほか 分担研究報告 2011 より〕 静岡県富士保健所 後藤幹生
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精神発達の6歳から9歳への推移 6歳 正常 境界 遅滞 9歳 ◆ 6歳での精神発達評価の約30%は9歳で変更される。
100 1 10 1 5 10 1 5 10 1 1 6歳 1 5 1 10 5 正常 境界 遅滞 9歳 100 10 1 5 1 10 1 5 10 1 5 1 5 1 ◆ 6歳での精神発達評価の約30%は9歳で変更される。 ◆ 9歳で約40%は評価が改善し、約15%は悪化する。 〔中村肇ほか 分担研究報告 2011 より〕 静岡県富士保健所 後藤幹生
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学齢期の健診での調査 出生体重のSD値が小さいほど、不注意、多動性、 衝動性という特徴がより強く現れる傾向にある。
衝動性という特徴がより強く現れる傾向にある。 ・このような行動問題は、兄弟の人数などの家庭環境 によって軽減される可能性がある。 ・精神発達遅滞のある児の家庭では、物や経験を提供・ 整備する環境に困難さがある。 ・学習障害のある児の家庭では、生活習慣・しつけを 教える環境に困難さがある。 慢性肺疾患(CLD)だった超早産児は、学齢期になっても 末梢気道に閉塞性障害が残っている。 〔糸魚川ほか 2007 より〕 〔住田裕ほか 1996 より〕 静岡県富士保健所 後藤幹生
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この章の小まとめ 1.早産児・低出生体重児が生まれる原因は、大きく 分けて、医学・医療の進歩と社会環境の変化の 2つの要素がある。
分けて、医学・医療の進歩と社会環境の変化の 2つの要素がある。 2.早産であるほど、低出生体重であるほど、児の 精神運動発達のハンディのリスクは大きくなるが、 こどもにはcatch-upしていく力がある。 3.早産児・低出生体重児のcatch-upの原動力は、 適切な栄養摂取と家庭環境である。 静岡県富士保健所 後藤幹生
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最後のお話 低出生体重児・早産児の 1.定義と疫学 2.原因と予後 3.疾病と注意 静岡県富士保健所 後藤幹生
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慢性肺疾患(Chronic Lung Disease;CLD)
定義; 先天奇形を除く肺の異常により、酸素投与を必要とする ような呼吸窮迫状態が、新生児期に始まり日齢28を 超えて続くもの。 原因; ①絨毛膜羊膜炎などの子宮内の感染症 ②サーファクタント欠乏の無気肺への人工換気 ③上記①②から起こる白血球、貪食細胞等の活性化や 炎症性メディエータの亢進による未熟な肺への損傷 問題点;CLDの児は、 ・NICUでの挿管・入院の期間が長くなる。 ・在宅酸素療法となる率が高い。 ・呼吸器感染症や喘息発作を繰り返し頻繁に入院する。 ・精神発達遅滞・脳性麻痺のリスクが高い。 〔NICU看護の知識と実際 第4版 より〕 静岡県富士保健所 後藤幹生
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出生体重別の日齢28でのCLDの発症率 ◆ 出生体重が小さいほど高率で、600g台が最多。
〔周産期母子医療センターネットワークデータベース2009 より〕 静岡県富士保健所 後藤幹生
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在胎週数別の日齢28でのCLDの発症率 ◆ 在胎週数が短いほど高率で、26週が最多。
〔周産期母子医療センターネットワークデータベース2009 より〕 静岡県富士保健所 後藤幹生
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出生体重別の在宅酸素療法の頻度 ◆ 出生体重が小さいほど高率で、600g台が最多。
〔周産期母子医療センターネットワークデータベース2009 より〕 静岡県富士保健所 後藤幹生
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在胎週数別の在宅酸素療法の頻度 ◆ 在胎週数が短いほど高率で、24週が最多。
〔周産期母子医療センターネットワークデータベース2009 より〕 静岡県富士保健所 後藤幹生
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肺炎、呼吸障害、心不全の早期発見 多呼吸が呼吸困難症状の中で、最も鋭敏で客観的 ・普段から、その子の調子が良いときの1分間の呼吸数
・普段から、その子の調子が良いときの1分間の呼吸数 を機嫌のよいときに計測して、知っておく。 多呼吸(異常に多い(速い)呼吸のこと)の目安; ・年齢によって、異なる。 年齢 1分間の呼吸数 2か月以下 60回以上 3〜11か月 50回以上 1〜5歳 40回以上 6〜11歳 30回以上 12歳以上 20回以上 静岡県富士保健所 後藤幹生
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脳室内出血(IVH) 定義; 側脳室周囲の上衣下胚層血管からの出血。 原因; 低酸素状態や循環不全による虚血後の再還流の際に、
側脳室周囲の上衣下胚層血管からの出血。 原因; 低酸素状態や循環不全による虚血後の再還流の際に、 鋭角に走行し脆弱な上衣下胚層の血管が破綻しやすい ため。 問題点;IVHの児は、 ・側脳室の拡大を伴わないGrade IIまでの児は、後遺症は ほとんどない。 ・Grade IIIで水頭症に対するV-Pシャント(髄液を腹腔に 逃がすため側脳室と腹腔を管でつなぐ)手術を受けた児 では、ときに脳性麻痺、軽度精神発達遅滞、てんかん。 ・脳実質内にも出血が広がったGrade IVの児では、脳性 麻痺や精神発達遅滞が重度になることが多い。 〔低出生体重児Q&A より〕 静岡県富士保健所 後藤幹生
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出生体重別の脳室内出血の頻度 ◆ 出生体重が小さいほど高率で、600g台が最多。
〔周産期母子医療センターネットワークデータベース2009 より〕 静岡県富士保健所 後藤幹生
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在胎週数別の脳内出血の頻度 ◆ 在胎週数が短いほど高率で、24週が最多。
〔周産期母子医療センターネットワークデータベース2009 より〕 静岡県富士保健所 後藤幹生
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脳室周囲白質軟化症(PVL) 定義; 側脳室周囲の白質(神経線維が多く走行している部分) に軟化(組織の壊死)が起こること。 原因;
側脳室周囲の白質(神経線維が多く走行している部分) に軟化(組織の壊死)が起こること。 原因; 側脳室周囲の白質は、脳動脈の還流の境界領域のため 循環障害が起こりやすく、これが原因といわれている。 問題点;PVLの児は、 ・上肢より下肢に程度の強い脳性麻痺になりやすい。 ・精神発達遅滞は軽度であることが多い。 ・重症例では、視力障害、てんかん、重度の精神発達 遅滞を伴うことがある。 〔低出生体重児Q&A より〕 静岡県富士保健所 後藤幹生
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IVHとPVL,水頭症 ④ ① ② ⑤ ③ ①:側脳室内の出血=IVH ②:広範な神経膠化(虚血による神経線維の減少、瘢痕化)
③:局所的な嚢胞状の白質の神経線維の壊死=PVL ④:側脳室の拡大=水頭症 ⑤:髄鞘化の不足(神経線維の成長障害) 〔カリフォルニア大学サンフランシスコ校のホームページ より〕 静岡県富士保健所 後藤幹生
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出生体重別の脳室周囲白質軟化症の頻度 ◆ 出生体重に関連なく、数%発生。
〔周産期母子医療センターネットワークデータベース2009 より〕 静岡県富士保健所 後藤幹生
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在胎週数別の脳室周囲白質軟化症の頻度 ◆ 在胎週数に関連なく、数%発生。
〔周産期母子医療センターネットワークデータベース2009 より〕 静岡県富士保健所 後藤幹生
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未熟(児)網膜症 早産児の網膜の血管は、網膜の周辺まで生えきっていな い。
出生後、様々な原因で、網膜の血管の伸び方がうまくい かず、増殖性変化、出血、網膜の牽引、網膜剥離、瘢痕 形成などを起こし、視力障害の原因になることがある。 一方、血管の増殖性変化が、自然に正常化する(自然寛 解)こともある。 増殖性変化(I型3期の中期)の進行や急に網膜剥離にな るタイプ(II型)は、光凝固や冷凍凝固術を行う(生後10〜 12週頃、修正在胎週数32〜36週頃)。なお、これらの凝 固術は、児の負担が大きい。 網膜剥離を起こした場合は、硝子体手術などを行う。 〔低出生体重児Q&A より〕 静岡県富士保健所 後藤幹生
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未熟網膜症の分類 光凝固の痕 無血管野 部分的網膜剥離 全網膜剥離 網膜血管 新生期 境界線 形成期 硝子体内浸出と 増殖期
〔九州大学医学部眼科のホームページ より〕 静岡県富士保健所 後藤幹生
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出生体重別の未熟網膜症の治療の頻度 ◆ 出生体重600g台が、高率かつ最多。
〔周産期母子医療センターネットワークデータベース2009 より〕 静岡県富士保健所 後藤幹生
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在胎週数別の未熟網膜症の治療の頻度 ◆ 在胎週数が短いほど高率で、25週が最多。
〔周産期母子医療センターネットワークデータベース2009 より〕 静岡県富士保健所 後藤幹生
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鼠径(そけい)ヘルニアと臍(さい)ヘルニア
どちらもに早産児に多い。 ・鼠径ヘルニアは750g未満の児の40%、750〜999g の児の27%、1000〜1249gの児の17%。 ヘルニアの中身; ・鼠径ヘルニアは小腸が多いが、女児では卵巣も。 ・臍ヘルニアは小腸。 鼠径ヘルニア嵌頓 ・ヘルニアの中身が、ヘルニアの袋から元の位置に戻ら なくなること。臍ヘルニアには嵌頓はまずない。 ・鼠径ヘルニア嵌頓の症状は、不機嫌に泣く、ヘルニア 部位がふだんより硬く腫れて触ると痛がる、嘔吐。 治療; ・鼠径ヘルニアには自然治癒がないので、手術。 ・臍ヘルニアは、1歳までに90%が自然治癒。2歳で 治らなければ手術。 〔低出生体重児Q&A より〕 静岡県富士保健所 後藤幹生
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定期的に外来で薬の投与をする疾患① 未熟児骨減少症(未熟児代謝性骨疾患、未熟児くる病) ・胎児期のカルシウム、リン、ビタミンDの蓄積量が少
ないため。 ・治療は、それらの内服や母乳添加用粉末による補充。 日光浴もビタミンDの活性化のためには重要。 ・血液検査や尿検査、手首の骨のレントゲン写真で、内服 の終了を決定。 未熟児貧血(鉄欠乏性貧血) ・胎児期の鉄の蓄積量が少ないためや、母親の鉄欠乏 性貧血のため。 ・治療は、鉄剤の内服による補充。 ・血液検査で内服の終了を決定。 静岡県富士保健所 後藤幹生
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定期的に外来で薬の投与をする疾患② RSウイルス感染症の予防 ・RSウイルス感染症は、低出生体重児や早産児のみ
ならず、全ての乳児にとって入院の最大の原因となる 呼吸器感染症。 ・特に低出生体重児や早産児では重症になる。 ・現時点ではRSウイルスのワクチンはなく、RSウイルス に有効な抗ウイルス薬もない。 ・感染予防は、遺伝子組み換え技術で献血に依らずに 合成されたRSウイルスに対する抗体(シナジス®)を 4週間に1回外来で筋肉注射する。 ・RSウイルス感染症の流行期である9〜3月に投与。 ・シナジスは、ワクチンではないのでワクチンと同日に 投与可能、ワクチンとの間隔の考慮も不要。 静岡県富士保健所 後藤幹生
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シナジスの適応 RSウイルス感染流行初期1)において ・在胎期間28週以下の早産で、12か月齢以下の 新生児及び乳児。
・在胎期間28週以下の早産で、12か月齢以下の 新生児及び乳児。 ・在胎期間29週〜35週の早産で、6か月齢以下の ・過去6か月以内に気管支肺異形成症(BPD)2)の治療を 受けた24か月齢以下の新生児、乳児及び幼児。 ・24か月齢以下の血行動態に異常のある3)先天性 心疾患の新生児、乳児及び幼児。 1):毎年9月頃を流行初期とすることが多い。 2):慢性肺疾患(CLD)とほぼ同義。 3):手術で血行動態が正常化したら異常なしとなる。 静岡県富士保健所 後藤幹生
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早産児・低出生体重児と予防接種 ◆ 早産児・低出生体重児は、あらゆる感染症が重症化しやすい。 ◆ 特に百日咳、インフルエンザ、ロタウイルス性胃腸炎は、重症化や 合併症でたいてい入院するので、ワクチン接種が必要。 ◆ 早産児・低出生体重児の予防接種時期は、修正月齢ではなく、 出生日からの月齢(暦月齢)に行う。 ◆ 同時接種も安全であるが、特に先天性心疾患のハンディのある児 では、その主治医の意見に従う。 ◆ 予防接種に際して、NICUでの輸血・免疫グロブリン投与や外来で 投与中の薬剤が問題となることは、ほとんどない。 ◆ 全身麻酔での予定手術がある場合は、ワクチンの可否を主治医 に確認した方が良い。 ◆ 早産児・低出生体重児の家族のワクチン接種や、家族からの接触 感染・飛沫感染の予防も極めて重要である。 静岡県富士保健所 後藤幹生
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この章の小まとめ 1.こどもが小さな大人でないのと同様に、早産児・ 低出生体重児は単に小さな赤ちゃんではなく、 特有の疾患と弱さがある。
低出生体重児は単に小さな赤ちゃんではなく、 特有の疾患と弱さがある。 2.早産児・低出生体重児に特有な疾患は、こどもの 発育発達により自然に治癒していくものが多い。 3.しばらくの間、特有な弱さを持つ早産児・低出生 体重児であっても、家族や医療者の注意観察や 環境整備で守ることができる。 静岡県富士保健所 後藤幹生
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