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青森市立浦町中学校科学部 研究者氏名 3年 鳴海 魁人 指導者 弘前大学教育学部 講師 小野 恭子 教諭 目時 郁代 藤井 文子

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1 青森市立浦町中学校科学部 研究者氏名 3年 鳴海 魁人 指導者 弘前大学教育学部 講師 小野 恭子 教諭 目時 郁代 藤井 文子
知らぬ間につく茶渋の謎 青森市立浦町中学校科学部  研究者氏名  3年 鳴海 魁人   指導者 弘前大学教育学部 講師 小野 恭子           教諭   目時 郁代   藤井 文子

2 1、研究の動機  僕は普段紅茶をよく飲むが、母がカップを 洗いながら、「茶渋っていつの間にかたくさん ついているね。」と言われた。 茶渋は知らな いうちにつくので、どうしたら茶渋がつくのか、 その原因を確かめられないかと思い研究を 始めた。  また、台所用の漂白剤を使うとあっという間 に茶渋は落ちるが、台所用の漂白剤以外で も茶渋は落とせないかと思い、茶渋の落とし 方についても研究してみることにした。 

3 2、研究の目的 渋のつきやすいものは何か。 所ほど多くつくのか。 を入れると茶渋のつき方に違い は出るか。
【研究1】日頃飲んでいる飲み物の中で茶       渋のつきやすいものは何か。  【研究2】茶渋は空気と触れ合っている場       所ほど多くつくのか。  【研究3】インスタントコーヒーにエアポンプ を入れると茶渋のつき方に違い は出るか。 

4 【研究4】理科室にある水溶液を使って茶渋を
落とすことができるか。 【研究5】アルカリ性の強い水溶液の方が茶渋 をよく落とすのだろうか。 【研究6】 スポンジの材質を変えると、茶渋の        落ち方に違いは出るか。

5 3、研究の内容 【研究1】日頃飲んでいる飲み物の中で茶渋の つきやすいものは何か。 方法 ①茶葉5gにお湯200gでお茶を用意す る。
つきやすいものは何か。                 方法   ①茶葉5gにお湯200gでお茶を用意す る。    ②1時間おきにカップにどれだけ茶渋が つくかを調べる。

6 結果 お茶の種類による60分ごとの茶渋のつき方
結果  お茶の種類による60分ごとの茶渋のつき方 インスタント コーヒー コーヒー(豆) ほうじ茶 ウーロン茶   緑茶   紅茶 ジャスミン茶 60分後 色は薄いが水面付近に多くついている。 インスタントコーヒーより色が薄く、量も少ない。 水面付近に薄くついている。 水面付近に薄くついている。ほうじ茶より色が少し濃い。 水面付近にうっすらとついている。わかりづらかった。 ほかのお茶と比べると茶渋がやや多くついていた。 まったくと言っていいほど茶渋がついていなかった。 120分後 どれよりも茶渋が多かった。 茶渋の色が少し濃くなり、量も増えた。 ついているが、やや色が薄い。量は多くなった。 茶渋の量が増え、色もはっきりしてきた。 60分と比べてほとんど変化がなかった。 60分の2倍くらい茶渋がついた。 色も2倍ほどついた。 60分とほとんど変わらなかった。 180分後 水面付近より上にも少しついていた。 茶渋の色が少し濃くなったが、それ以外変化はなかった。 120分と比べてほとんど変わらなかった。 少し茶渋の量が増えた。 色も少し濃くなった。 茶渋の色がさらに濃くなった。 茶渋の量は変わらなかった。 60分と比べてほとんど変わらなかった。 180分後のものを水の中ですすいだもの すすいでも 180分とほとんど変わらなかった。 すすいでも180分とほとんど変わらなかった。 少し茶渋の色が落ちた。 茶渋の量は変わらない。 水面付近だったところにうっすらと茶渋が残っている 水面付近だったとこるにうっすらと茶渋が残っている。 茶渋はほとんどついていない。 茶渋のつきやすさ   1位   2位   4位   3位   5位   7位

7 考察 インスタントコーヒー、コーヒー(豆)、ウーロン茶、ほうじ茶、緑茶、紅茶、ジャスミン茶の順に茶渋がついた。お茶によっては茶渋がつくのに時間がかかるようだ。コーヒーやほうじ茶など、豆や茶葉を焙煎したりいったりして加熱しているものは茶渋がつきやすいのではないか。

8 【研究2】 茶渋は空気と触れ合っていれば多くつく
のか。   方法 ①インスタントコーヒーの入ったカップを2つ用    意する。   ②片方のカップにだけラップをする。  ③2つのカップを3時間放置し、茶渋のつき方 を比べる。   

9 結果 ラップの有無による茶渋のつき方の違い
 茶渋のつき方 ラップあり 液面に沿うように茶渋が濃くついた。 カップ内にはとても薄くついた。 ラップなし 液面付近の茶渋はラップありのときより薄かった。 カップ内全体の茶渋のつき方はラップありとほぼ同じであった。

10 考察 ラップなしのほうが、液面付近に濃く茶渋 がついた。これは、液面付近でコーヒーが空 気に触れることにより、空気中の酸素と反応 しているのではないか。

11 【研究3】 インスタントコーヒーにエアポンプを入れる
と茶渋のつき方に違いは出るだろうか。    方法     ①2種類の水(硬水、軟水)でインスタントコーヒー を用意する。      ②エアポンプを使った場合と使わなかった場合 の茶渋のつき方を調べる。   ③この時、出てきた泡の表面がベージュからこ げ茶色に変化してきたため、こげ茶色の泡を スライドガラスに取って顕微鏡で観察した。

12 水の違いとエアポンプの有無による茶渋のつき方の変化
結果 水の違いとエアポンプの有無による茶渋のつき方の変化 硬水 エアポンプあり 時間のたった泡にこげ茶色の、カスのようなものが大量についた。新しい泡にはついていなかった。 エアポンプなし 線状の輪がいくつも重なった茶渋ができた。 軟水と比べ、茶渋の色が濃かった。 軟水 時間のたった泡にこげ茶色のカスのようなものができた。泡が消えるのが、硬水より少し早かった。 茶渋の色が硬水より薄かった。

13 こげ茶色になった泡の顕微鏡写真 ・緑色の丸い粒と、茶色がかった黄色い繊維のようなものが 見られた。
こげ茶色になった泡の顕微鏡写真     ・緑色の丸い粒と、茶色がかった黄色い繊維のようなものが  見られた。 ・緑色の粒は、大きいものもあれば小さいものもあった。 ・繊維のようなものはドリップコーヒーには見られなかった。  インスタントコーヒー独特のものだと思う。

14 ・硬水のカップのほうがこげ茶色のカスがたくさんつ いていた。 ・軟水は、茶渋の量も少なく、色も薄かった。
ポンプありのカップを一度だけ水道水で流してから乾燥させ たもの        軟水でコーヒーを入れた   硬水でコーヒーを入れた茶渋                時の茶渋 ・硬水のカップのほうがこげ茶色のカスがたくさんつ いていた。   ・軟水は、茶渋の量も少なく、色も薄かった。

15 考察 ・硬水と軟水の大きな違いは、金属の量である。硬 水にはCa、Mg,Naなどの金属が多く含まれてい るため、それらの金属と結び付き、茶渋が濃く なったのではないか。 ・エアポンプを使用した方は、カップの内側には茶 渋が付かず、外側にこげ茶色のカスがたくさんつ いた。コーヒーの成分が泡と一緒に出て行ってし まったため、カップ内よりもむしろカップの外に多く 茶渋が付着したと考えられる。

16 ・顕微鏡写真に映った緑色の丸い粒は、現時
点では何なのか分からなかった。コーヒー の成分の一種なのだろうか。 ・使ったインスタントコーヒーはフリーズドライ 製法で作られていたので、黄色の繊維のよ うなものは、コーヒー豆の繊維ではないだろ うか。

17 (実験に使用した水の中に含まれる金属量)
硬水・・・Ca 46.8mg Mg 7.45mg  Na 0.94mg K 0.28mg (100mL当たり) 軟水・・・Na 0.83mg Ca 0.46mg Mg 0.19mg  K 0.12mg (100mL当たり)

18 【研究4】理科室にある水溶液を使って茶渋を落とすこと ができるか。 方法 茶渋の付いた蒸発皿に水溶液を入れ、24時間 放置して蒸発皿の様子を調べる。

19 ○→よく落ちた、 △→少しだけ落ちた、 ×→落ちなかった
結果 水溶液の種類ごとの茶渋の落ち方 水溶液の種類 結果 酸性 クエン酸 中性 食塩水 × アルカリ性 石けん 塩酸 砂糖水 水酸化 ナトリウム エタノール 炭酸ナトリウム オキシドール 水酸化カリウム アンモニア水 炭酸水素 水酸化バリウム  ○→よく落ちた、  △→少しだけ落ちた、  ×→落ちなかった

20 結果 たくさんの水溶液で実験してみたが、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウムとアンモニア水の順に茶渋を落とす効果が大きかった。   考察 おもにアルカリ性の薬品で茶渋が落ちている。特に、炭酸水素ナトリウムを加熱して、アルカリ性の強い炭酸ナトリウムにすると効果に違いが出た。アルカリ性が強いと落ちやすいのではないか。

21 【研究5】 アルカリ性の強い水溶液の方が、茶 渋をよく落とすのだろうか。   <方法>  様々な濃度(pH8,10,12)の水酸化ナトリウム水溶液を用意し、茶渋の付いたカップに垂らしたり、漬けたりしてみる。茶渋の落ちる様子を観察する。

22 結果 ①茶渋に水酸化ナトリウム水溶液を1滴垂らした時
   茶渋の種類 水酸化 ナトリウム 水溶液の濃度           ウーロン茶 インスタントコーヒー  pH 8 変化なし。 pH 10 茶渋のあとが少し残っているが、水溶液を垂らしたところは落ちた。 pH 12 茶渋のあとも残らず、きれいに落ちた。 茶渋のあとがわずかに残っているが、きれいに落ちた。

23 ②茶渋を水酸化ナトリウム水溶液につけた時
   茶渋の種類 水酸化 ナトリウム 水溶液の濃度           ウーロン茶 インスタントコーヒー pH 8 変化なし。 時間がたってから、ゆっくりと茶渋が溶けて行った。 2,3割ほどしか落ちなかった。 pH 10 入れて少ししてから茶渋が水溶液に溶け出していった。6,7割落ちた。 入れて少したってから水溶液に溶け出した。ウーロン茶より変化が遅い。 7,8割ほど落ちた。 pH 12 入れてすぐ茶渋がうずまき状に水溶液の中に広がった。ほぼ全て落ちた。

24 考察 ・pH12の時、最も茶渋は落ちた。やは り強いアルカリ性の方が効果は高かっ た。 ・インスタントコーヒーの茶渋はウーロン 茶の茶渋より溶けるまでに時間がか かった。 ・インスタントコーヒーの茶渋とウーロン 茶の茶渋とでは何か成分が違うのだ ろうか。

25 【研究6】 スポンジの材質を変えると、茶渋の落ち方 に違いは出るだろうか。
 方法 ①材質の違うスポンジを   4種類準備する。    ②茶渋のついた蒸発皿を   右の写真のような装置 を作り同じ強さでこする。

26 結果 インスタントコーヒーの茶渋 スポンジの材質 茶渋の落ちる様子 茶渋の落ちやすさ エステルフォーム
 結果 インスタントコーヒーの茶渋 スポンジの材質 茶渋の落ちる様子 茶渋の落ちやすさ エステルフォーム 接した部分はすべてとれていたが、完全には落ちず少し跡が残っていた。    2位 ナイロン 接した部分が直線状に削れていった。削れた部分には少し跡が残っていた。    4位 ポリウレタンフォーム 接した部分の一部が削れた。削れた部分に跡が残っていた。    3位 メラミンフォーム 接している部分はきれいに落ちたが、蒸発皿のカーブしている部分が落ちない。    1位

27 ウーロン茶の茶渋 スポンジの材質 茶渋の落ちる様子 茶渋の落ちやすさ エステルフォーム
茶渋の色が少し残っているが、接した面は全てとれていた。    2位 ナイロン 接した面は角しか削れておらず、角もあまり取れていなかった。    4位 ポリウレタンフォーム 接した面は全体がよく落ちた。しかし、茶渋のあとが少し残っていた。    3位 メラミンフォーム 接している面は角と中央付近がきれいに落ちた。茶渋のあとはなかった。    1位

28 考察  目の細かいメラミンフォームは、茶渋のあと を残さず落としたが、固く、曲がらなかった。 柔らかく、目の細かいスポンジが茶渋をよく 落とすのではないか。

29 4、研究のまとめ 【研究1】インスタントコーヒー、コーヒー(豆)、ウー ロン茶、ほうじ茶、緑茶、紅茶、ジャスミ
      ロン茶、ほうじ茶、緑茶、紅茶、ジャスミ       ン茶の順に茶渋が付きやすかった。 【研究2】ラップなしの方が液面付近に濃く茶渋が       付いた。カップ内全体の茶渋の付き方は ラップありとほぼ同じだった。

30 【研究3】硬水を使った方が茶渋が濃くついた。
エアポンプを使うとカップ内に茶渋が付かず、 カップの外にこげ茶色のカスがたくさんつい た。顕微鏡で見たインスタントコーヒーの泡に は、緑色の丸い粒と茶色がかった黄色い繊 維のようなものがあった。  【研究4】ほとんどのアルカリ性の水溶液が茶渋を落と すのに有効であった。  【研究5】アルカリ性が強い方が茶渋をよく落とした。 【研究6】目の細かいスポンジが、より茶渋を落とした。

31 5.今後の課題 アルカリ性の水溶液で、茶渋が落ちる理由、お茶の種類によって茶渋の付き方が違うのはなぜか。顕微鏡で見られた緑の丸い粒は何なのかなど、いくつか実験をしたことで新たな疑問が生じたのでそれらについて研究を続けていきたい。

32 6.感想 身近にありながらどんなものか分からな い茶渋について研究するのはとても楽しか った。特に、茶渋がアルカリ性のものでよく 落ちたことや、空気に触れることでよくつくこ と、硬水で入れたお茶の茶渋が濃かったこ とに驚いた。これからも茶渋について研究 を続けていきたいと思う。

33 7.参考文献 サントリーなるほどコール  


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