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農業大国ブラジルの光と影 セラード開発を中心に 日本とブラジルを考える
印鑰 智哉 オルター・トレード・ジャパン
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日本と大豆 明治維新、富国強兵、農村疲弊、大豆生産激減 戦前の大豆自給率2割前後。大部分を中国東北部 、朝鮮半島から輸入(強奪?)
敗戦→植民地体制崩壊→タンパク源枯渇・飢餓 →捕鯨、米国からの大豆輸入 1973年ニクソンショック大豆禁輸→南米、イン ドネシア、アフリカでの大豆生産模索
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日本の国際協力とは? 日本の「国際協力」=タンパク資源確 保を米国以外に求めるところから始ま った
1974年8月、JICA(国際協力機構)設立
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日本の食料主権 「富国強兵」→工業化、農業切り捨て、朝 鮮半島・大陸への侵略、植民地への食料依 存(明治以来、食料主権を放棄した国)
戦後の米国依存、さらにブラジルに触手 日米安保、外交すべてに通じる問題として 食料主権の再考が必要
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セラード開発計画 1974年9月、田中角栄、ガイゼル・ブラジル大 統領会談、セラード開発合意
日伯セラード農業開発協力事業(PRODECER) 第1期(1977〜85) 第2期(1987〜92) 第3期(1994〜99)
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セラード開発 「ブラジルの緑の革命」 「不毛の大地を穀倉地に変えた奇跡」 「人類史上初めて熱帯圏で近代的大規 模畑作農業を実現した」
その実態はどうだったのか?
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セラードとは? ブラジル中 央部のサバ ンナ地域、 全土の24% 日本の約 5.5倍 アンデス以 東の南米大 陸の水源
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セラードの特徴 年間降水量は800〜2000ミリ、しかし厳しい乾期がある 土壌と根が複雑に絡み合い、スポンジのように水を吸収
極めて強い紫外線と乾燥に耐える独自の進化を遂げた生 態系 土壌は古く、栄養には乏しい 一度、破壊されると元に戻ることは極めて難しい脆弱な 生態系
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セラード開発事業の特徴 モデル拠点開発 ブラジル南部の農民組合の組織的入植(地域住 民ではない) 機材供与と研修 企業的農業経営
伝統的住民(先住民族、キロンボ[黒人独立共 同体]住民、小農民)は除外
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セラード開発農業の特徴 石灰や化学肥料の大量投入 機械化大規模農業 輸出志向産品(地域消費低い)
大豆、ユーカリ、サトウキビなどを中 心とするモノカルチャー
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セラード開発の社会への影響 小農経営の衰退、小農を中心とした地域 の崩壊 農村地域での職の減少、都市部への人口 移動(小農から農業労働者へ)
地域で消費する食料生産の減少 農薬汚染による健康被害
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社会の変化 輸出原料生産工場と化すセラード 4大多国籍穀物メジャーの影響力 土地の集中 伝統的住民の周縁化、奴隷労働の存続
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セラード開発の環境への影響 周辺の農業開発も含め、森林破壊 土壌崩壊・喪失(持続可能な農業?) 水源の破壊、水体系への影響(砂漠化)
農薬による汚染 生物多様性の喪失、薬草などの絶滅危機 2030年にはセラード消失か? 他の生態系 に与える影響は?
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土壌の崩壊 Rede Cerrado
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人びとの動き、抵抗 1975年 Comissão Pastoral da Terra(司牧土地委員会 )セラードの中のGoiâniaで結成(ブラジルは1964年 〜1985年は軍事独裁)…カトリック教会を背景に土地を奪 われる小農民の権利を守る活動 1984年 Movimento dos Trabalhadores Rurais Sem Terra(MST、土地なし農業労働者運動)結成 1992年 Rede Cerrado セラード・ネットワーク結成。 今年20周年 2003年 9月11日をセラードの日に制定(ルラ政権)
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市民組織の連携 社会運動(movimentos sociais, organizações populares) コミュニティ組織
小農民組合、農業労働者組合 NGO、教会運動団体 CPT、CIMI、FASE、IBASE、AS-PTAなど 環境運動団体
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セラード観のあまりに大きな違い 日本ではセラード=「不毛の大地」 不毛の大地とは?
日本ではセラード=「不毛の大地」 不毛の大地とは? ブラジルではセラード=「世界でもっ とも生物多様性の豊かなサバンナ」
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薬草・生物多様性 伝統的住民の多くはセラードの薬草を薬、 化粧品、食品として使ってきた。 その薬草が生態系の破壊により絶滅の危機
外部の企業が特許を取ってしまうバイオ・ パイラシーの動き コミュニティの薬草の権利を守る運動
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遺伝子組み換え 1996年 アルゼンチンにモンサント入り込み、遺伝子組み 換え大豆の承認 1998年 ブラジルなどに遺伝子組み換え大豆を密輸
1998年 モンサント、バイオセキュリティ委員会で遺伝子 組み換え承認獲得→消費者運動差し止め、裁判へ 2003年 遺伝子組み換え禁止を公約したルラが大統領就任 2005年 ブラジル、パラグアイ遺伝子組み換え合法化 「大豆連合共和国」の成立(ウルグアイ、パラグアイ、ア ルゼンチン、ブラジル、ボリビア)
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大豆需要高騰の背景 狂牛病→植物性の餌の需要急増
バイオ燃料(バイオディーゼル。バイ オエタノールは砂糖黍から。大豆もサ トウキビも急増。ブラジルからアフリ カにモデルが輸出される危険)
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遺伝子組み換え大豆のシェア
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農薬使用の激増 2008年にブラ ジルは農薬使 用世界一に
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モンサントによる種子企業買収
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モンサントの遺伝子組み換えトウモロコシNK603を2年間与え続けたラット。日本は2001年にNK603を承認済み
(左)GMトウモロコシ、(中)除草剤+GMトウモロコシ、(右)除草剤 モンサントの遺伝子組み換えトウモロコシNK603を2年間与え続けたラット。日本は2001年にNK603を承認済み
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遺伝子組み換えとは何か? 核爆弾を日常化・世界化したのが原発 なら、枯れ葉剤を日常化・世界化した のが現在の遺伝子組み換え
ラウンドアップなどの除草剤の有毒性 遺伝子組み換え作物の有害性 南北米大陸の遺伝子組み換え汚染
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遺伝子組み換えが生み出すもの 食料主権の喪失(農民が植えたいものを植えられな い)、地域経済の変化
知的所有権による農業生産の多国籍企業による支配 農薬による健康被害(例:米国で地下水、雨、空気、すべ てから農薬検出) 遺伝子組み換え作物による健康被害 職の喪失、有機農業の衰退 etc.
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ブラジル農業モデルの輸出 大豆、ユーカリ、サトウキビのモノカルチャ ー 輸出向けバイオ燃料、家畜の餌=「飢餓輸出 」
JICAによるProSAVANA、モザンビークは飢 餓に苦しむ国。なぜ輸出向け農業なのか?
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World Food Programme http://www.wfp.org/hunger/map
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日本はどうすべきか? 国外にタンパク源、エネルギー源を求めてき た日本。その帰結としての侵略戦争、戦後の 米国への従属、南米、アフリカへと触手を伸 ばす。毒性の高い農産物、社会と環境を破壊 する維持できない農業→未来はない 食料主権を取り戻す(エネルギー主権も) 先住民族、小農民との連帯
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実はこの他にもあります ユーカリ植林とパルプ工場建設CENIBRA 大カラジャス開発プロジェクト トゥクルイダムとアルミ工場 製鉄所への投資
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フォローアップ この問題は下記のメディアを通じてフォローアップしていきます。
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出典 大豆のグラフ…大豆産業-ブラジル、アルゼンチンを中心 に 小池洋一 星野妙子編『ラテンアメリカの一次産品輸出 産業―資料集―』調査研究報告書 アジア経済研究所 f/2005_04_11_02.pdf ブラジル農薬販売量 ブラジル衛生監督局 Agência Nacional de Vigilância Sanitária モンサントの買収 "O mercado de agroquímicos" Giovani Theisen Embrapa 遺伝子組み換えラットの実験、フランスのカーン大学
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