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牛が関係する主な人畜共通感染症 パート2 ◆ 牛肉や牛乳の安全性を高めるために、何を重点的に取り上げる必要があるのか?

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1 牛が関係する主な人畜共通感染症 パート2 ◆ 牛肉や牛乳の安全性を高めるために、何を重点的に取り上げる必要があるのか?
◆ 牛肉や牛乳の安全性を高めるために、何を重点的に取り上げる必要があるのか? ◆ 日本の牛肉や牛乳の安全性は、世界的にみた場合問題が大きいのか?

2 家畜伝性病予防法に基づく 牛と関係する監視伝染病
家畜伝性病予防法に基づく 牛と関係する監視伝染病 法定伝染病 Χ ブルータング ● アカバネ病 ▲ 悪性カタル熱 ▲ チュウザン病 Χ ランピースキン病 ● 牛ウイルス性下痢・粘膜病 ● 牛伝染性鼻気管炎 ● 牛白血病 ● アイノウイルス感染症 ▲ イバラキ病 届出伝染病 ● 牛丘疹性口炎 ▲ 牛流行熱 ● 破傷風 ● 気腫疽 ▲ レプトスピラ症 ● サルモネラ症 ● 牛カンピロバクター症 ▲ トリパノソーマ病 ▲ トリコモナス病 ▲ ネオスポラ症 Χ 牛バエ幼虫症 Χ 牛疫  Χ 牛肺疫 Χ 口蹄疫 △ 流行性脳炎 Χ 狂犬病 Χ 水胞性口炎 Χ リフトバレー熱 ▲ 炭疽 Χ 出血性敗血症 ▲ ブルセラ病 ▲ 結核病 ● ヨーネ病 Χ ピロプラズマ病 Χ アナプラズマ病 ▲ 伝達性海綿状脳症 Χ:日本は清浄国、△:牛での発生がない、 ▲:散発的発生、●:多数の発生あり。 赤字は人畜共通感染症またはその疑いがある。

3 日本における結核流行の推移 ツベツクリンとBCG 結核死亡率(人口10万人当り) 抗結核剤の開発 600 400 300 200 100
80 60 40 30 抗結核剤の開発 20 10 8 6 1910 1920 1930 1940 1950 1960 1970 日本における結核流行の推移

4 結核菌(ミコバクテリウム)の主な仲間達 人型結核菌(M. tuberculosis) 結核菌群 牛型結核菌(M. bovis)
1950年頃までは、日本における死因の第1位を占めていた。ツベツクリンとBCG、および化学療法剤の普及により激減したが、近年、増加傾向にある。 結核菌群 牛型結核菌(M. bovis) BCGは牛型結核菌を230代経代することで弱毒化した。 M. avium-intracellulare complex 非定型抗酸菌 かつてはトリ型結核菌と称していたものを含み、結核菌に効く薬にも抵抗性であり、ヒトの感染治療に困難を伴う。 (感染力は低いが治療が困難であり、健康弱者は要注意) M. scroforecium 上記の菌種より感受性であるが、結核よりも治りにくい。 M. marinum 魚類に多い菌種であり、漁業関係者が罹る。 その他 ハンセン病菌(M. leplae)

5 5 10 15 20 25 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 発生率 (牛飼養100 万頭対) 1 2 3 4 5 1903 1910 1915 1920 1925 1930 1935 1940 1945 1950 1955 1960 1965 1968 発生率(%) 家畜伝性病予防法 昭和26年施行 牛結核病制御の経過

6 英国における2003年と2004年の結核患者数 牛結核:地域別牛群統計
イングランドと ウェールズ 菌種 スコットランド 北アイルランド 2003 13 6518 2004 15 4885 8 2003 1 291 2004 2 307 2003 2 38 2004 3 62 M. Bovis(ウシ型) M. Tuberculosis(ヒト型) M. africanum 牛結核:地域別牛群統計 (2005年1月1日―12月31日) イングランド ウェールズ スコットランド 13.9 9.1 13.7 8.5 2.3 1.2 移動制限群の割合 新規発生群の割合

7 科学者は「自然界の病原巣=アナグマ」を問題視しているが、 自然保護活動の盛んな英国では、 容易に手がつけられない。
14 個体別割合(%) 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 個体別検査陽性割合 12 群別割合(%) 10 8 移動制限群の割合 6 4 新規発生群の割合 2 科学者は「自然界の病原巣=アナグマ」を問題視しているが、 自然保護活動の盛んな英国では、 容易に手がつけられない。 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 英国における牛結核の発生状況

8 米国における農場の結核清浄認定の仕組みと現状
区分 結核の流行状態 該当地域 牛とバイソンでの 発生なし 米国の46州、プエルトルコ、バージン諸島 清浄化認定 直近2年間における 牛とバイソンの総数の0.01%未満 テキサス、カリフォルニア、ニューメキシコ、およびミシガン州の大半の地域 改良修正認定 牛とバイソンの総数の 0.1%未満 南部ミシガン州の北側11地域およびその他の2地域 修正認定 牛とバイソンの総数の 0.5%未満 認定準備 該当なし 牛とバイソンの総数の 0.5%以上または不明 未認定 該当なし

9 20世紀前半における炭疽の発生数(鹿児島県)
300 ウシ 250 症例数 200 150 ウマ 100 50 ヒト 1908 1910 1912 1914 1916 1918 1920 1922 1924 1926 1928 1930 1932 20世紀前半における炭疽の発生数(鹿児島県)

10 20世紀後半における牛炭疽の発生状況(全国)
60 50 発症頭数 40 30 20 10 1960 1964 1968 1972 1976 1980 1984 1988 1992 1996 2000 20世紀後半における牛炭疽の発生状況(全国)

11 1935 年から 2001年の間にテキサス州で発生した ヒトの炭疽75症例の10年間隔での集計
10年間の累積患者数 1935 年から 2001年の間にテキサス州で発生した ヒトの炭疽75症例の10年間隔での集計

12 カナダにおける炭疽によるバイソンの死亡確認数
400 350 300 死亡確認数 250 200 150 100 50 1962 1963 1965 1967 1968 1971 1978 1991 1993 2000 2001 カナダにおける炭疽によるバイソンの死亡確認数

13 出典:「UK Zoonoses Report」 1998~2004年版。 英国全体の症例数(北アイルランドの症例数)。
英国におけるブルセラ患者数の推移 マルタ熱菌 B. melitensis 牛流産菌 B. abortus ブルセラ属 Brucella. spp 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 4 6(0) 4(0) 5(0) 9(0) 1 3(3) 1(1) 8(8) 13(12) 4(4) 9(9) 1 6(3) 14(13) 13(13) 17(16) 15(13) 13(3) 6 15(6) 19(14) 27(21) 36(28) 24(17) 31(12) 出典:「UK Zoonoses Report」 1998~2004年版。 英国全体の症例数(北アイルランドの症例数)。

14 北アイルランドにおける牛およびヒトのブルセラ病発生頻度の推移
10万人当り罹患率 陽性牛群の割合(%) 北アイルランドにおける牛およびヒトのブルセラ病発生頻度の推移 出典:UK Zoonoses Report 2003

15 日本における腸管出血性大腸菌食中毒の発生状況
1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 年平均 件数 16 8 24 13 12 18 131 16.4 患者数 183 46 113 373 273 184 70 105 1347 168.4 死者数 3 1 9 14 1.75 致命率 1.64 0.00 0.88 3.30 0.54 1.04 病院および併設の老人保健施設: 昼食に提供された和え物(茹でほうれん草、 蒸しささみ、 ねぎ、 生しょうがを醤油で和えたもの)が原因食とされたが、汚染源は特定されていない。

16 牛肉および牛内臓と関係したと推定される腸管出血性大腸菌食中毒事例(2005)
発生月日 3/13 5/25 5/27 6/5 7/3 7/13 7/19 7/21 7/24 7/25 8/9 8/10 8/14 9/15 10/11 10/20 原因食品 牛ホルモン(推定) 牛レバー刺(推定) 牛レバー刺(加熱用)推定 不明(焼肉店の食肉) ユッケ 焼肉 焼肉料理 不明(焼肉店の会食料理) 不明(焼肉店料理) カルビを含む食事 不明(焼肉店の食事) 生レバー及びユッケ 摂食者数 不明 2 12 6 76 3 9 4 8 13 5 45 21 224 患者数 7 1 2 3 4 30 6 5 75 死者数 発症率: 33.5%

17 ハンバーガー・チェーン店での米国とカナダに跨る広域事故
事故件数: 患者総数: 入院者数: HUS患者数: 死亡者数: 350件 8,598名 1,493名(17%) 354名(4%) 40名(0.5%) 大腸菌O157の PulseNetができる 年間発生件数 大腸菌O157が全国的に注目された 西部諸州における 大規模発生 ハンバーガー・チェーン店での米国とカナダに跨る広域事故 米国における大腸菌O157による年間事故件数 (1982~2002年)

18 米国における大腸菌O157感染源の概要(1982~2002) 事故件数 割合(%) 患者数 割合(%) 牛挽肉 未特定の媒介食品 農産物
事故件数  割合(%) 患者数   割合(%) 牛挽肉 未特定の媒介食品 農産物 その他の牛肉 その他の媒介食品 乳製品 小計(食品媒介性) 感染経路不明 ヒトからヒト レクリエーション用の水 動物との接触 飲用水 実験室感染 小計(食品以外) 75 42 38 11 10 7 183 74 50 21 1 167 350 21 12 11 3 2 52 14 6 <1 48 100 41 23 21 6 5 4 100 1,760 646 1,794 563 206 300 5,269 812 651 280 319 1,265 2 3,329 8,598 20 8 21 7 2 3 61 9 4 15 <1 39 100 33 12 34 11 4 6 100

19 食文化・食習慣 生焼けハンバーガー(pink hamburgers)を好む: 34 %
高所得(>=$60,000)  45 % > 低所得(<$60,000)  30 % 大卒以上  38 % > 高卒以下  25 % 他の人種 36 %  > 黒人  12 % カリフォルニアとコネチカット州  43% > 他の州 27 % 半熟卵を好む:  18 % オレゴン州  23 %  > 他の州 16 % 未殺菌生乳を好む:  1.5 % スペイン系  4.9 % > 他の人種 1.4 % 高所得(>=$60,000)  45 % > 低所得(<$60,000)  30 % 大卒以上  38 % > 高卒以下  25 % 他の人種 36 %  > 黒人  12 % FoodNet Presentations High-Risk Food Consumption, handling, and Preparation Practices of Adults in the FoodNet Sites, 取材人数: 7493人 取材方法: 電話 実施時期: 96 年7月-97年6月

20 米国における牛挽肉の大腸菌O157汚染率の推移
検査法の改良 免疫ビーズ法 :全国の挽肉製造所 1.4 :小売店 1.2 汚染率(%) 1.0 サンプルの増量 25g ➔ 325g 0.8 0.6 食肉センターに PR/HACCP 導入開始 0.4 0.2 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 米国における牛挽肉の大腸菌O157汚染率の推移 出典: Raw Ground Beef Products Analyzed for Escherichia coli O157:H7

21 米国における大腸菌O157:H7感染牛の割合(%)
区分 淘汰した繁殖牛(経産牛と種牛)群の群別陽性率 フィードロット牛(去勢牛と未経産牛)群の群別陽性率 低流行期(10月~5月)における 陽性群内の個体別陽性率 淘汰した繁殖牛 フィードロット牛 高流行期(6月~9月)における 平均値 63 88 3 9 4 22 牛挽肉の大腸菌O157汚染の公衆衛生上の影響に関するリスク・アセスメント( 2001)より

22 「大腸菌O157に関する専門調査会最終報告」 メッセージの鍵(KEY MESSAGES)
英国食品規格委員会(Food Standard Agency) 「大腸菌O157に関する専門調査会最終報告」 (Task Force on O157, Final Report, 2001) メッセージの鍵(KEY MESSAGES) ◆ 大腸菌O157は牛と羊が広く保菌しているが、ヒトが感染することは稀である ◆ 仮に感染した場合、惨憺たる結果をもたらすことがある ◆ しかしながら、リスクを減らす手段は、完全に、我々の手中にある ◆ 手洗いは単純であるが、最も重要な手段である ◆ 衛生学的通達を定期的に繰り返すことが必要である ◆ 大腸菌O157の主な感染源は牛と羊である ◆ 動物の新鮮便は最もリスクが高い ◆ 年少の子供のリスクが最も高い: 適切な管理を確保すること ◆ 大腸菌O157の大半の症例は、現在では食品よりも、動物の糞便との接触や上水道の汚染を含む環境汚染と関係している

23 患者数では10倍の開きがある 一方は減少し、他方は増加している
スコットランドにおける大腸菌O157患者数の推移 患者数では10倍の開きがある 一方は減少し、他方は増加している ◆ 大腸菌O157は牛と羊が広く保菌しているが、ヒトが感染することは稀である スコットランドにおけるカンピロバクター患者数の推移

24 英国における主要な食品媒介感染症の発生状況(2000年)
食品媒介感染症 2000 病原体 症例数 入院者数 死亡数 サルモネラ ウェルシュ菌 カンピロバクター属 リステリア 腸管出血性大腸菌O157          O157以外 その他の病原性大腸菌 エルシニア Bacillicus属 黄色ブドウ球菌 41,616 84,081 359,366 194 995 111 62,050 45,144 11,144 2,276 1,516 354 16,946 194 377 42 319 216 27 57 119 89 86 68 22 2 6 1 出典:「食品媒介感染症 2000」

25 スコットランドにおいては、飲用の生乳と生クリームは、
スコットランドにおける生乳と関係した食中毒の発生状況 事故 件数 患者数 (死亡数) 件数    患者数 件数    患者数 1980 1981 1982 1983 1084 1985 1986 3 8 14 7 5 2 98(4) 782(3) 539(1) 29 27 74 10 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 5 1 2 4 30 4 6 17 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 報告なし 1 3 2 スコットランドにおいては、飲用の生乳と生クリームは、 1983年以降、加熱殺菌が必須要件となった。

26 食中毒と加熱殺菌は不可分の関係にあるが、 それと食習慣・食文化は別問題である。
イングランドとウェールズにおける 乳および乳製品を原因とする大腸菌O157事故 食中毒と加熱殺菌は不可分の関係にあるが、    それと食習慣・食文化は別問題である。 場所 患者数 原因食品 1993 1996 1997 1998 1999 2000 農場 一般社会 チーズ製造所 配達牛乳 農場の売店 小売店 チーズ製造者 学校 6 12 8 5 3 7 114 9 4 2 未殺菌乳(M) 牛乳(M) 牛乳(D) 未殺菌乳(D) 未殺菌チーズ(M) 生乳、牛(D) 未殺菌クリーム(D) 殺菌済みとして販売された牛乳(S) 殺菌済みとして販売された牛乳(D) チーズ(M) (M):患者と食品から同じ種類の細菌が取れた、(S):当該食品の摂取と患者の間に統計学的に有意な関係がある、(D):原因食と疑われるその他の証拠がある。

27 ◆ 大腸菌O157の大半の症例は、現在では食品よりも、動物の糞便との接触や上水道の汚染を含む環境汚染と関係している
「公共水道と関係した大腸菌O157事故が、スコットランド(1990年Tarves、1995年Freuchie)とともに世界各地(1989年ミズーリ、1990年日本、1999年ニューヨーク、2000年Walkerton)において何件か発生している。Tarvesの事故は、牛の糞尿で汚染された可能性のある簡易水道によると考えられており、Freuchieの事故は、水処理後と配水途中の両方で下水道からの違法な交差汚染が起きた結果であった。ミズーリの事故は、配水途中で地下水が混入したものである。日本の事故は、幼稚園の汚染した井戸によるものであった。」  34名の園児が入院し2名が死亡した事故であり、その幼稚園の井戸は数年前から大腸菌が検出され、使用停止勧告があったのを無視していたために起きた。都会で発生した事故であり、井戸の汚染源は保菌者の糞便が含まれる下水の流入と考えられる。

28 牛肉・牛内臓と関係した可能性があるサルモネラ食中毒発生事例
(2002~2004年) 発生月日 原因食品 摂食者数 患者数 死者数 ・牛肉ユッケ ・ユッケ(韓国風牛肉細切り調味和え) ・生卵をかけた牛丼 ・不明(カツ丼セット及び牛丼セット) 4件 不明 23 4 20 47+α 4 5 2 15 2002/6/28 9/8 2003/10/6 2004/7/27 原因施設はいずれも飲食店 出典:厚生労働省 「年度別食中毒発生事例」

29 出典:厚生労働省 指定品目の調査結果の推移(平成15年~17年)
市販食肉のサルモネラ汚染状況 2003 2004 2005 陽性数 /検体数 陽性数 /検体数 陽性数 /検体数 汚染率 汚染率 汚染率 牛結着肉 牛たたき 牛カットステーキ肉 ローストビーフ 牛ミンチ肉 牛レバー(生食用) ミンチ肉(牛豚混合) 豚ミンチ肉 鶏ミンチ肉 鶏たたき 馬刺 0/65 0/72 2/161 0/33 0/172 0/11 4/124 1/170 22/78 1/10 1/60 1.2 3.2 0.6 28.2 10.0 1.7 0/53 1/88 0/200 0/72 2/188 0/22 2/134 5/148 26/103 4/47 0/81 1.1 1.5 3.4 25.2 8.5 0/51 0/100 0/173 0/60 3/165 0/14 2/121 9/194 37/110 5/52 0/90 1.8 1.7 4.6 33.6 9.6 出典:厚生労働省 指定品目の調査結果の推移(平成15年~17年)

30  多剤耐性のS. Typhimurium DT104は1984年に英国で初めて分離され、1990年代に入ると、英国、カナダ、イタリア、オランダなど欧米諸国で食中毒事故を引き起こすようになった。英国では、1990年以降、急速に増加傾向に有り、死亡例も発生しています。 (国立感染症研究所ホームページより)

31 2003年9月には、仕出し弁当がS. Typhimurium DT104で汚染していたことにより、事業所職員144名と幼稚園児214名が罹患する大規模食中毒が近畿地方で発生した。仕出し施設における汚染源は特定できなかった。(LASR, Vol.25)

32 家畜から分離されたサルモネラ菌株の薬剤耐性率の推移 農林水産省動物医薬品検査所「家畜由来細菌の抗菌性物質感受性実態調査」より
539 530 380 424 570 306 486 379 05 04 03 02 01 00 99 98 牛サルモネラ症の届出数 90 1999 80 2000 耐性率(%) 2001 70 2002 60 2003 50 2004 40 30 20 10 ABPC KM OTC CP NA 家畜から分離されたサルモネラ菌株の薬剤耐性率の推移 農林水産省動物医薬品検査所「家畜由来細菌の抗菌性物質感受性実態調査」より

33 米国において全国薬剤耐性監視システム(NARMS)で調べられた
サルモネラ株数とニューポートの割合 1997 1998 1999 2000 サルモネラの総数 ニューポートの総数 多剤耐性ニューポート数 食肉センターにおけるサルモネラ分離株数 食肉センターにおけるニューポート数 食肉センターの牛から分離されたニューポート数 食肉センターの牛から分離された多剤耐性ニューポート数 2391 18 (0.75%) 521 3318 42 (1.26%) 1886 11 8 8508 134 (1.57%) 24 4637 70 54 17 7834 282 (3.60%) 2 3530 122 109

34 カンピロバクター食中毒 食中毒の発生状況 電子顕微鏡写真 Campyrobacter 属の仲間 C. jejuni C. Coli
65 257 553 493 469 428 447 491 558 645 6.2 14.9 19.0 18.9 20.9 22.2 24.2 31.0 33.5 41.7 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 件数(%) 1557 2648 2114 1802 1784 1880 2152 2642 2485 3439 3.8 8.9 4.9 5.4 4.1 7.3 7.8 9.0 8.8 12.7 患者数(%) 食中毒の発生状況 電子顕微鏡写真 国立感染症研究所HPから Campyrobacter 属の仲間 C. jejuni C. Coli C. fetus 食中毒菌 牛流産菌 鶏、豚、牛など 豚、鶏など 牛、羊など

35 牛肉および牛内臓と関係した可能性がある カンピロバクター食中毒発生事例 (2005年)
カンピロバクター食中毒発生事例  (2005年) 発生月日 原因施設 原因食品 摂食者数 患者数 4/12 4/25 5/3 6/10 6/15 7/1 7/4 8/3 9/25 9/27 10/7 10/16 飲食店 その他 牛の生レバー 鶏レバ刺し(推定)、牛レバ刺し(推定) 牛レバ刺し 牛レバー刺し(推定) 肉類(牛レバ刺、ロース刺) 牛生レバー 牛肉 5 80 3 不明 14 30 20 16 58 5 3 7 9 8 15 14 22

36 出典: 厚生労働省「牛レバーによるカンピロバクター食中毒予防について(Q&A)」
牛の胆汁および肝臓からの カンピロバクター属菌の検出率と平均菌数 陽性肝臓に対する 検出率(%) 平均菌数 (個/g) 肝臓部位 検査数 検出数(%) 胆嚢内胆汁 胆管内胆汁 肝臓 左葉 方形葉 尾状葉 236 142 60(25.4) 31(21.8) 27(11.4) 21(8.90) 19(8.05) 13(5.51) 100 77.8 70.4 48.1 2,700 6,200 55 22 10 出典: 厚生労働省「牛レバーによるカンピロバクター食中毒予防について(Q&A)」

37 黄色ブドウ球菌 低脂肪乳等による黄色ブドウ球菌エンテロトキシンA型食中毒の原因について(最終報告) 平成12年12月
2000年6~7月: 関西を中心とした広域・大規模食中毒 市販乳飲料から、黄色ブドウ球菌が産生するエンテロトキシンを検出 喫食者: 14,780名 製品の喫食と発症の関係がほぼ確実:  4,852名 製品喫食と発症に関係があると推定 : 13,420名 低脂肪乳等による黄色ブドウ球菌エンテロトキシンA型食中毒の原因について(最終報告) 平成12年12月  4月10日製造の脱脂粉乳製造時に再利用された4月1日製造の脱脂粉乳の製造過程において発生した停電の際に、生乳中叉は製造ラインに滞留したライン乳中に由来する黄色ブドウ球菌が増殖し、エンテロトキシンA型を産生したと考えられる。 光学顕微鏡と電子顕微鏡でみたブドウの房状をした黄色ブドウ球菌

38 感染乳汁、乳頭皮膚、傷 主に潜在性乳房炎 乳腺内に微少膿瘍形成 治癒困難 感染乳汁 主に潜在性乳房炎 体細胞・細菌数の著しい増加
伝染性乳房炎 環境性乳房炎 マイコプラズマ 感染牛の糞・呼吸器 臨床型・潜在性乳房炎   乳量減少 黄色ブドウ球菌 感染乳汁、乳頭皮膚、傷 主に潜在性乳房炎   乳腺内に微少膿瘍形成   治癒困難 無乳性連鎖球菌 感染乳汁 主に潜在性乳房炎   体細胞・細菌数の著しい増加 大腸菌群(大腸菌、 クレブシエラ) 環境、糞、敷料、土壌 急性・甚急性乳房炎 環境性連鎖球菌 皮膚、毛 しばしば臨床型に移行   体細胞数高い 表皮ブドウ球菌 潜在性乳房炎主要原因 黄色フブドウ球 レンサ球菌 大腸菌 その他の フブドウ球 細菌 非細菌性 その他のフブドウ球 その他の細菌 釧路地区NOSAI より 黄色ブドウ球菌

39 1980年代の食品媒介性リステリア症の集団発生事例
患者数 (死亡数) 発生国 原因食品 1978 1978-9 1979 1981 1983 1985 1986 1987 1989 米国(マサチューセッツ) オーストラリア 米国(ボストン) ニュージランド(オークランド) カナダ(マリタイム地方) イギリス(東カンブリア) 米国(マサチューセッツ州) スイス(ボー) 米国(ロサンゼルス) オーストラリア(リンツ) 米国(フィラデルフィア) イギリス 米国(コネチカット州) 23 12 20(5) 22 41(18) 11 49(14) 122(33) 142(48) 20 36 300以上 9(1) 生野菜 生野菜または殺菌乳 生カキ、海産生魚 コールスロー(キャベツサラダ) クリーム 殺菌乳 ソフトチーズ サラミソーセージ、アイスクリーム ミートパテ シュリンプ(小海老)

40 BSE:牛肉の自由貿易で30カ月以下の月齢基準を維持
日本におけるBSE牛発生報告数(OIE、2006年5月26日)    27 BSE:牛肉の自由貿易で30カ月以下の月齢基準を維持  パリで開催中の国際獣疫事務局(OIE)年次総会は24日、牛海綿状脳症(BSE)の安全基準をめぐり協議し、自由貿易を認める骨なし牛肉について「生後30カ月以下」の月齢条件を維持することで一致した。26日に正式採択される見通し。  OIEは当初、現行の「30カ月以下」の条件を削除し、全月齢に拡大する安全基準の緩和策を提示。これに日本などが強く反対し、最終的には月齢条件が復活した。総会では南アフリカなどの代表が月齢条件削除を求めたが、米国やオーストラリアは発言せず、OIEの事務局案が原案通り了承された。  一方、OIE案は「BSE感染の疑いがなく、または感染が確認されていない」との従来の条件を削除したが、日本政府代表団は「(食肉処理前後の)検査に合格することが条件となっており、実質的には変わっていない」と、ほぼ現状通りと受け止めている。  OIEは生後30カ月以下で、BSEの病原体がたまりやすい特定危険部位との接触防止を条件に、骨なし牛肉の自由貿易を認めている。ただ科学的根拠を示せば厳しい基準を採用できるため、日本は米国とカナダに「生後20カ月以下」などの独自基準を設けている。                       毎日新聞 2006年5月25日

41 英国におけるBSE発生の若齢牛と高齢牛 (動物衛生研究所HPより)
最若齢(月) 2番目に若齢(月) 2番目に高齢 (年.月) 最高齢 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 30 24 21 24(2頭) 20 29 30(2頭) 37(7頭) 34 39(2頭) 40 48 50 49 38 31 27 24(4頭) 26 26(3頭) 30(3頭) 31(2頭) 32 38(3頭) 36 41 42 51 52 53 71 10 11.01(2頭) 15.04 14 17.05 16.02 18.1 16.07 15.05 17.02 15.01 13.1 19.09 16.09 22.07(2頭) 20.06 17.01 13.08 22.07 16

42 BSE罹患牛(英国で殺処分された牛) 感染性判定のまとめ 自然発生BSE牛をドナーとし、レシピエント動物における
脳内および腹腔内投与 脳、脊髄、網膜、血液の分画、骨髄、乳、脳脊髄液、脂肪、消化管、心臓、腎臓、膵臓、肝臓、肺臓、脾臓、扁桃、リンパ節、筋肉、皮膚、気管、 末梢神経、胚と精液を含む生殖器 感染したのは脳、脊髄、網膜のみ 罹患牛の胚移植 乳、乳房、脾臓、胎盤、リンパ節 経口投与 脾臓、リンパ節 子牛の脳内に接種 胎膜 経口投与 移植された母牛と生まれた子牛(266頭)は、7年後も発症せず 7年後も伝達が 確認されない 感染せず 7年後も発症せず

43 自然発生BSE牛の組織を投与した各種動物をドナーとした実験で、 レシピエント動物における感染性判定のまとめ
脳内および腹腔内投与 脳100gを 経口投与 脳、脊髄、種々の神経節、末梢神経、消化管、心臓、肝臓、腎臓、肺臓、胸腺、扁桃、リンパ節、白血球の分画、骨髄 BSE罹患牛 感染したのは、小腸、脊髄、三叉神経節、後根神経節、骨髄 脳を脳内接種 この他にも多数の実験が行われ、特定危険部位以外の感染は起きていません。 子豚 脳内接種 脳内および腹腔内投与 脳、脊髄、筋肉、リンパ節、小腸、肝臓、腎臓、白血球の分画 脳、脊髄、筋肉、リンパ節、胃、膵臓、脾臓、胸腺、肝臓、腎 追加実験で、小腸、脊髄、三叉神経節、後根神経節、骨髄の感染を確認した 2年または7年後において感染が確認されず 感染したのは、小腸、脳、脊髄

44 英国におけるBSE頭数とvCJD患者数の推移
37,280頭 40000 牛に対する肉骨粉の給与禁止 vCJD 28人 35000 8年 vCJD患者数 30000 特定危険部位の 食用禁止 30 12年 25000 25 20000 20 15000 15 10000 2005年 BSE:225頭 vCJD:5人 10 初発85年 10年 5000 5 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 英国におけるBSE頭数とvCJD患者数の推移

45 自由貿易の枠組み(WTO)と衛生基準の関係概念図
危害因子についての国の衛生基準 B国 A国 非関税障壁 (WTO訴訟) E国 C国 D国 自由貿易の枠組み(WTO)と衛生基準の関係概念図 衛生および食物検疫措置の適用に関する協定(SPS協定) 貿易の技術的障壁に関する協定(TBT協定)

46 食料の輸出入における安全性確保と関わる国際的枠組み
1930年代の世界不況 関税引き上げ 貿易数量制限 為替制限 自国の産業保護 第二次世界大戦 国際復興開発銀行( IBRD ;1945) 1944年 ブレトン・ウッズ会議(米国) 国際通貨基金( IMF ;1947) 世界戦争の回避策 ガット体制(GATT; 1948 ) 「関税及び貿易に関する一般協定」 1947年 第1回関税交渉妥結 → ガット採択 経済紛争の元となる貿易障壁をなくし、自由貿易を確保する基本原則 (i)貿易制限措置の削減 (ii)貿易の無差別待遇(最恵国待遇、内国民待遇) GATT 第20条 一般的例外: 動植物防疫に係る検疫等の措置 「衛生植物検疫措置の適用に関する(SPS)協定」 ケネディ・ラウンド(1967) 、東京ラウンド(1979 )妥結 ウルグアイ・ラウンド(1986 ~1994)妥結: 農産物貿易の原則自由化 1995年 世界貿易機関( WTO ) ← ガット体制 「世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(通称:WTO設立協定)」 「農業に関する協定」 食料の輸出入における安全性確保と関わる国際的枠組み

47 まとめ 牛が関係する主な人畜共通感染症 パート2 ◆ 日本の牛肉や牛乳の安全性は、世界的にみた場合問題が大きいのか?
◆ 日本の牛肉や牛乳の安全性は、世界的にみた場合問題が大きいのか?  日本で制御された人畜共通感染症が、欧米諸国ではなお流行しており、病原体が野生動物に潜んでいることによって制御を難しくしている。野生動物が少ない日本では、重大な感染症がなく、国際的に見ると安全性が高い。 ◆ 牛肉や牛乳の安全性を高めるために、何を重点的に取り上げる必要があるのか?  食品媒介性以外にも多くの人畜共通感染症があり、総合的に国民の健康を守るためには、予算と人員をBSEに集中する方策は問題があり、諸外国との貿易摩擦を起こす危険性が高い。


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