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首都圏人口成熟問題の 本質と対処策 日本政策投資銀行 2006年3月13日 地域企画部 参事役 藻谷浩介

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1 首都圏人口成熟問題の 本質と対処策 日本政策投資銀行 2006年3月13日 地域企画部 参事役 藻谷浩介
首都圏人口成熟問題の本質と対処策 首都圏人口成熟問題の 本質と対処策 2006年3月13日 日本政策投資銀行                   も た に 地域企画部 参事役 藻谷浩介 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

2 正しいのはどれとどれ? ・ 常に若者が流れ込み続ける首都圏と違って、若者を出す方の地方圏では、人口減少や少子高齢化が深刻だ。
首都圏人口成熟問題の本質と対処策 正しいのはどれとどれ? ・ 常に若者が流れ込み続ける首都圏と違って、若者を出す方の地方圏では、人口減少や少子高齢化が深刻だ。 ・首都圏では、ここ数年、新規のオフィス投資が活況を呈しており、地価は長期的な上昇局面に入った。 ・ 東京都心部を中心に旺盛なマンション投資が続いているのは、不況の地方圏から上京する人口の流れが、高度成長期なみに大きなものになり始めているからだ。 ・トヨタ自動車(ダイハツなどグループ企業含む)は、昨年度の世界販売台数がフォードを抜いて2位、今年度は1位になりそうだ。国内でも販売台数は堅調に増えている。 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

3 首都圏一都三県の人口の謎 一都三県の人口増加:2000年→05年 +95万人 ← うち転入-転出: 2000年→05年 +56万人
首都圏人口成熟問題の本質と対処策 首都圏一都三県の人口の謎 (住民基本台帳準拠の以下の数字をどう説明しますか?) 一都三県の人口増加:2000年→05年 +95万人  ← うち転入-転出: 2000年→05年 +56万人  ← うち出生-死亡: 2000年→05年 +39万人 一都三県の20-59歳人口: 2000年 1,993万人 → 2005年 1,966万人 △27万人                        ↑絶対数  ↑増減 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

4 東京圏マンション・オフィス着工床フロー推移
首都圏人口成熟問題の本質と対処策 東京圏マンション・オフィス着工床フロー推移 バブル期の東京をめぐる言説 「東京一極集中により首都圏でオフィス床が不足する」 バブル期のピーク 都心回帰 マンション増加 REITの隆盛 オフィスを中心とした 盛り上がり オフィスの 落ち込み 注:マンションは発売ベース、オフィスについては着工ベースでの認識となっている。 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

5 長期的に弱まる首都圏の人口流入 首都圏人口成熟問題の本質と対処策 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

6 以下でいう東京都市圏の範囲 東京都市圏 2,994万人 埼玉県 茨城県 94万人 45万人 600万人 千葉県 東 京 都 特別区
首都圏人口成熟問題の本質と対処策 以下でいう東京都市圏の範囲 埼玉県 寄居 熊谷 羽生 栃木県 茨城県 つくば 土浦 東京都市圏 吹上 加須 北川辺 野木 守谷 牛久 小川 94万人 2万人 45万人 600万人 千葉県 秩父 日高 成田 佐倉 特別区 八街 福生 青梅 418万人 千葉 茂原 八王子 羽村 365万人 813万人 市原 あきる野 神奈川県 666万人 相模原 相模湖 2,994万人 海老名 川崎 城山 大和 茅ヶ崎 葉山 横浜 厚木 綾瀬 平塚 三浦 横須賀 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

7 東京都市圏の市町村の人口動態2005年国勢調査要計表に準拠した動向
首都圏人口成熟問題の本質と対処策 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

8 東京都市圏市町村の所得と消費 首都圏人口成熟問題の本質と対処策 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

9 首都圏人口成熟問題の本質と対処策 増加してきた首都圏の商業床 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

10 住民の所得は下がっているのに、商業施設だけが増え続けているのだから、当然売上は上がらないしどこかに必ず無理が出てくる
首都圏人口成熟問題の本質と対処策 ところが年々減り続ける総売上 住民の所得は下がっているのに、商業施設だけが増え続けているのだから、当然売上は上がらないしどこかに必ず無理が出てくる 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

11 施設を増やしたのに売上は伸びないので、お店は従業員を減らしてコストダウンに走る
首都圏人口成熟問題の本質と対処策 減り始めた商業での雇用 施設を増やしたのに売上は伸びないので、お店は従業員を減らしてコストダウンに走る 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

12 店が増えただけで、売上は減る一方だし雇用も減っている!
首都圏人口成熟問題の本質と対処策 以上を一枚にまとめてみると 店が増えただけで、売上は減る一方だし雇用も減っている! 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

13 首都圏人口成熟問題の本質と対処策 名古屋絶好調説も誤り 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

14 店が増えただけで、売上は減る一方だし雇用も減っている!
首都圏人口成熟問題の本質と対処策 大阪はもちろん不調 店が増えただけで、売上は減る一方だし雇用も減っている! 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

15 首都圏人口成熟問題の本質と対処策 大丸進出の札幌も基本的には下り坂 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

16 首都圏人口成熟問題の本質と対処策 福岡でも面積と売上が乖離 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

17 定価販売のコンビニは成長していた デフレというのは消費者に金がなく、高いものが売れないこと
首都圏人口成熟問題の本質と対処策 定価販売のコンビニは成長していた デフレというのは消費者に金がなく、高いものが売れないこと 今起きているのが本当に 「デフレ」なのだったら、なぜ定価販売のコンビニの売上が減らないのか? 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

18 なぜ小売販売額は伸びないのか × 長期不況による「デフレ」が原因だ。デフレさえ克服すれば小売販売額は回復する。
首都圏人口成熟問題の本質と対処策 なぜ小売販売額は伸びないのか × 長期不況による「デフレ」が原因だ。デフレさえ克服すれば小売販売額は回復する。 ← ではなぜコンビニの売上は、最近まで落ちなかったのか? ← コンビニの売上が、景気回復が鮮明になった昨年から落ち込み始めた理由は? ← そもそも、日本が稼ぐ外貨はバブル期の3倍に増えたのに、それでも不況か? ○: 96年をピークに定年退職者>新卒就職者と なったために、消費者の所得が落ち始めた。 ○ 地域の所得が増えないのに店を増やしすぎたため、過当競争で値崩れが起きている。 ○ 市街地の解体で高度な消費を誘発できる空間が失われ、所得がますます消費に回らない。 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

19 首都圏人口成熟問題の本質と対処策 1996年を境にひっくり返った日本 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

20 減少し始めた大都市圏の雇用 ここでの都市圏:
首都圏人口成熟問題の本質と対処策 減少し始めた大都市圏の雇用 ここでの都市圏: 2000年国勢調査による10%通勤通学圏 - 中心市に通勤通学している住民の比率が高い市町村を合算 東京   人口2,924万人     (さいたまも含まれる) 大阪   人口1,214万人 名古屋  人口 528万人 福岡   人口 237万人 札幌   人口 231万人 広島   人口 177万人 仙台   人口 158万人 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

21 首都圏人口成熟問題の本質と対処策 失業者増減と就業者増減の実数 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

22 首都圏人口成熟問題の本質と対処策 就業者増減と失業者増減は別物! ①90年代前半の場合 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

23 首都圏人口成熟問題の本質と対処策 就業者増減と失業者増減は別物! ②90年代後半の場合 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

24 高齢化の実態をわかっていますか? 島根県 東京都市圏(特別区+111市町村・人口3,000万人)
首都圏人口成熟問題の本質と対処策 高齢化の実態をわかっていますか? 甘い甘いと批判される国立社会保障・人口問題研究所予測の数字 高齢化率=65歳以上人口÷総人口 島根県 高齢化率: 2000年 24.8% → 2015年 30.5% 65歳以上: 2000年 18万9千人 → 2015年 21万8千人 15%増 15-64歳: 2000年 46万人 → 2015年 40万人  13%減 東京都市圏(特別区+111市町村・人口3,000万人) 高齢化率: 2000年 14.0% → 2015年 23.9% 65歳以上: 2000年 408万人 → 2015年 727万人  78%増 15-64歳: 2000年 2,115万人 → 2015年 1,951万人 8%減 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

25 石油ショックの頃の首都圏住民 20-59歳 1,402万人 70歳以上 76万人 首都圏人口成熟問題の本質と対処策
日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

26 安定成長の頃の首都圏住民 20-59歳 1,484万人 70歳以上 101万人 首都圏人口成熟問題の本質と対処策
日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

27 プラザ合意の頃の首都圏住民 20-59歳 1,579万人 70歳以上 132万人 首都圏人口成熟問題の本質と対処策
日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

28 バブルの頃の首都圏住民 20-59歳 1,684万人 70歳以上 162万人 首都圏人口成熟問題の本質と対処策
日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

29 阪神震災の頃の首都圏住民 20-59歳 1,759万人 70歳以上 200万人 首都圏人口成熟問題の本質と対処策
日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

30 2000年問題の頃の首都圏住民 20-59歳 1,772万人 70歳以上 262万人 首都圏人口成熟問題の本質と対処策
日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

31 今の首都圏住民 20-59歳 1,740万人 70歳以上 340万人 首都圏人口成熟問題の本質と対処策
日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

32 5年後の日本人の首都圏住民 20-59歳 1,665万人 70歳以上 424万人 首都圏人口成熟問題の本質と対処策
日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

33 10年後の日本人の首都圏住民 20-59歳 1,633万人 70歳以上 513万人 首都圏人口成熟問題の本質と対処策
日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

34 15年後の日本人の首都圏住民 20-59歳 1,622万人 70歳以上 602万人 首都圏人口成熟問題の本質と対処策
日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

35 首都圏人口成熟問題の本質と対処策 定年退職と新卒就職が逆転した東京 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

36 働いて税金や年金を払い、旺盛に消費する現役世代は年々減少 30年前から少子化の影響で、若者の数は年々減少
首都圏人口成熟問題の本質と対処策 高齢者が増え現役は減る東京 働いて税金や年金を払い、旺盛に消費する現役世代は年々減少 30年前から少子化の影響で、若者の数は年々減少 高齢者は年々増加して行く 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

37 働いて税金や年金を払い、旺盛に消費する現役世代は年々減少 30年前から少子化の影響で、若者の数は年々減少
首都圏人口成熟問題の本質と対処策 足元の活況の理由は: ①輸出産業の好調→金余り ②新設物件の競争力→需要集中 ③郊外を衰退させての都心集中 + 昭和20-22年春の出生の少なさ → 来年春までの2年半は、退職者<新卒者 2007年問題は冗談ではない 高齢者が増え現役は減る東京 働いて税金や年金を払い、旺盛に消費する現役世代は年々減少 30年前から少子化の影響で、若者の数は年々減少 高齢者は年々増加して行く 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

38 一昨年~昨年に需要が回復した理由 今年から3年間 定年退職が激増する 戦時中の出産奨励のため、2000~2004年は定年退職が多かった
首都圏人口成熟問題の本質と対処策 今年から3年間 定年退職が激増する 戦時中の出産奨励のため、2000~2004年は定年退職が多かった 昭和20・21年に出生が少なかったため、2005・2006年は定年退職が一時的に非常に少なかった 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

39 首都圏でも時間は全国同様に流れる 戦時中の出産奨励のため、2000~2004年は定年退職が多かった 今年から3年間 定年退職が激増する
首都圏人口成熟問題の本質と対処策 首都圏でも時間は全国同様に流れる 戦時中の出産奨励のため、2000~2004年は定年退職が多かった 今年から3年間 定年退職が激増する 昭和20・21年に出生が少なかったため、2005・2006年は定年退職が一時的に非常に少なかった 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

40 首都圏人口成熟問題の本質と対処策 構造的な20-59歳人口減少の帰結 ・ 少なくとも今後半世紀、わが国の20-59歳人口は構造的に減少を続ける。就業者数もこれに連動して減少していく。 ・20-59歳人口減少は10年で700万人というようなペースであり、これを移民受入れやいまさらの出生者数増加努力で補うのは不可能 ・ 就業者数減少は、人手不足→失業率低下/機械化・情報化投資増加と、生産性向上→企業収益向上をもたらすので、数字上の「景気」を年々改善させる ・しかし就業者数の減少=可処分所得の減少であり、多くの商品の消費は年々冷え込む → 小売販売額低下は止まらない ・ 主として20-59歳にしか消費されない商品の需要も減少を続ける (戸建住宅・ファミリーカー・オフィス・通勤定期・職場旅行・結婚式…) 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

41 構造的な20-59歳人口減少の帰結 需要総量は伸びない中、 土地流動性が増し建替が進む。 → 優勝劣敗が年々加速する
首都圏人口成熟問題の本質と対処策 都市開発はゼロサム競争へ… 需要総量は伸びない中、 土地流動性が増し建替が進む。 → 優勝劣敗が年々加速する 客は立地×価格=値頃感で動く。 後出しじゃんけんに勝てる質と、 デフレ耐性の兼備が必要。 構造的な20-59歳人口減少の帰結 ・ 少なくとも今後半世紀、わが国の20-59歳人口は構造的に減少を続ける。就業者数もこれに連動して減少していく。 ・20-59歳人口減少は10年で700万人というようなペースであり、これを移民受入れやいまさらの出生者数増加努力で補うのは不可能 ・ 就業者数減少は、人手不足→失業率低下/機械化・情報化投資増加と、生産性向上→企業収益向上をもたらすので、数字上の「景気」を年々改善させる ・しかし就業者数の減少=可処分所得の減少であり、多くの商品の消費は年々冷え込む → 小売販売額低下は止まらない ・ 主として20-59歳にしか消費されない商品の需要も減少を続ける (戸建住宅・ファミリーカー・オフィス・通勤定期・職場旅行・結婚式…) 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

42 首都圏人口成熟問題の本質と対処策 20年後の首都圏は今の島根県 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

43 首都圏人口成熟問題の本質と対処策 急速に高齢化する首都圏各自治体 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

44 東アジア全域で進む出生率低下 日本 1.29 (東京都1.00、最低は渋谷区の0.76) 台湾 1.24 シンガポール 1.20
首都圏人口成熟問題の本質と対処策 東アジア全域で進む出生率低下 日本       1.29 (東京都1.00、最低は渋谷区の0.76) 台湾       1.24 シンガポール  1.20 韓国       1.17 香港       0.94 上海       0.65 (中国人口問題専門家よりの聞き書き) 中国全体    1.3~1.8(NYタイムズ記事にあった推定値) ※儒教の影響で男尊女卑傾向が強いほど、出生率が低く、しかも 男児ばかりを生もうとする傾向がある(中国では118:100) 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

45 東アジア全域で進む出生率低下 中国では2020年頃に 人口増加が止まり、2030年頃 から減少が始まるとも言われる
首都圏人口成熟問題の本質と対処策 中国では2020年頃に 人口増加が止まり、2030年頃 から減少が始まるとも言われる 大量生産モデルは行き詰まり 低所得国からの移民は中国に 集中するのではないか? 東アジア全域で進む出生率低下 日本       1.29 (東京都1.00、最低は渋谷区の0.76) 台湾       1.24 シンガポール  1.20 韓国       1.17 香港       0.94 上海       0.7 (中国人口問題専門家よりの聞き書き) 中国全体    1.3~1.8(NYタイムズ記事にあった推定値) ※儒教の影響で男尊女卑傾向が強いほど、出生率が低く、しかも 男児ばかりを生もうとする傾向がある(中国では118:100) 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

46 首都圏人口成熟問題の本質と対処策 中国も20年遅れで追いかけてくる 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

47 首都圏人口成熟問題の本質と対処策 高齢者数増加で増える福祉需要 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

48 首都圏人口成熟問題の本質と対処策 まだまだ幾らでもいる未就労女性 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

49 首都圏人口成熟問題の本質と対処策 女性が働く県ほど出生率も高い 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

50 日本経済再生の鍵:男女共同参画 女性の就労を増やすことで: 女性経営者を増やすことで: しかもコストはない:
首都圏人口成熟問題の本質と対処策 日本経済再生の鍵:男女共同参画 女性の就労を増やすことで: ・家計収入が安定し、保育所を利用でき、出生率が上がる ・家計所得が増え、税収が増え、年金も安定する ・女性の収入が増え、モノ消費が増え、消費税収も増える 女性経営者を増やすことで: ・消費者の感性に対応した商品を出せる企業が増える ・客を軽んじ自分の権威にこだわる類の男性経営者を減らせる しかもコストはない: ・外国人受入と違い教育コストは低く、福祉コストも増えない ・生きがいのある元気な日本人が増える 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

51 地域活性化の鍵:男女共同参画 日本はモノ余り・カネ余りの高度消費社会 → 客はバブル期までとは別人種 → 欲求が高度化、抽象化、多様化
首都圏人口成熟問題の本質と対処策 地域活性化の鍵:男女共同参画 日本はモノ余り・カネ余りの高度消費社会 → 客はバブル期までとは別人種 → 欲求が高度化、抽象化、多様化 → 自分自身が客としてのセンス・能力を磨いていない人間(豊かさを知らない人間)にこれからの経営はできない ところが多くの地方では、客の気持ちに無関心な高齢の男性が、30年前のままの感覚でトップを取り続けている → そのために客が逃げ、経済の衰退が著しい 地域活性化のためにいま一番必要なのは、地域の様々な主導的立場から、その任にない人や団体を退場させ、新しい人材や団体に厳しい役割を与えて練成していくこと 必要なのは、性別年齢を問わない地域の人材力の総結集 → 結果として必ず、女性が地域づくりの前面に出てくる 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

52 障害は男の側の「人格形成不全」 ・ 男女共同参画の最大の障害は、女性への侮りが染み付いた、一部男性の存在 彼らにして見れば:
首都圏人口成熟問題の本質と対処策 障害は男の側の「人格形成不全」 ・ 男女共同参画の最大の障害は、女性への侮りが染み付いた、一部男性の存在 彼らにして見れば: ・男の方が、より能力のある女性よりも地位を得やすい今までの世の中の仕組みは、ライバルが減って好都合 ・「しっかりした個を確立し、集団に頼らない本当の自信を持つ」ことができていないので(人格形成不全)  →自分が「男であること」「女ではないこと」という、個性とは言い得ないほど大括りなものに、心の支えを頼ってしまっている 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

53 頭さえ白紙に戻せれば対処可能 出生増加: 「男性の育児分担は当たり前」に戻す 労働力確保: 移民受入の前に女性と高齢者を活用
首都圏人口成熟問題の本質と対処策 頭さえ白紙に戻せれば対処可能 出生増加: 「男性の育児分担は当たり前」に戻す  人間は男女共同で働き子育てする生物 (人口激増への対処で近時分業していただけ)   → 江戸時代以前の農民のように、男性も子育てという重労働を分担するよう戻せ 労働力確保: 移民受入の前に女性と高齢者を活用   女性就労率の2割上昇で労働力は1千万人以上増える / 元気な高齢者の活用も当然   → 女性就労率が3→7割上昇し出生率が0.5ポイントも上がったオランダに学べ! 福祉・年金:同じ世代の貯金での互助で問題消滅  年金不安は、減り行く年下世代に高齢者を養わせるという「賦課方式」の産物   → 年金福祉の費用を生年別に分割・完結させれば、日本人は全員左団扇になれる 諸産業: 安価大量生産販売→高価少量生産販売へ  貯蓄を消費に回させるには、規格品の安価大量生産販売にオサラバすることが不可欠   → 高度成長で感覚が狂ってしまった高齢経営者の世代交代こそ最重点の課題 まちづくり: 土地減反 (開発停止/市街地再集中)  日本人一人当たりの土地面積は年々増える → 地価は暴落、インフラ維持管理コストは爆発   この事態を避けるには、土地亡者どもを切り捨てる政策大転換が必要 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

54 頭さえ白紙に戻せれば対処可能 日本の新たな使命! 21世紀:成熟化社会のモデル 明治期:欧米植民地主義打破の先鋒
首都圏人口成熟問題の本質と対処策 日本の新たな使命! 明治期:欧米植民地主義打破の先鋒 → 産業革命・近代軍創設・国民教育水準向上 戦後高度成長期:平和産業振興の旗手 → 技術革新・平和産業振興・民生安定による内需拡大 石油ショック以降:脱工業化社会の先駆者 → 大衆文化の創造と世界発信・世界文化多様化への貢献 21世紀:成熟化社会のモデル → Social Capital 維持強化による、福祉と環境と 経済の両立・少子化の軟着陸 頭さえ白紙に戻せれば対処可能 出生増加: 「男性の育児分担は当たり前」に戻す  人間は男女共同で働き子育てする生物 (人口激増への対処で近時分業していただけ)   → 江戸時代以前の農民のように、男性も子育てという重労働を分担するよう戻せ 労働力確保: 移民受入の前に女性と高齢者を活用   女性就労率の2割上昇で労働力は1千万人以上増える / 元気な高齢者の活用も当然   → 女性就労率が3→7割上昇し出生率が0.5ポイントも上がったオランダに学べ! 福祉・年金:同じ世代の貯金での互助で問題消滅  年金不安は、減り行く年下世代に高齢者を養わせるという「賦課方式」の産物   → 年金福祉の費用を生年別に分割・完結させれば、日本人は全員左団扇になれる 諸産業: 安価大量生産販売→高価少量生産販売へ  貯蓄を消費に回させるには、規格品の安価大量生産販売にオサラバすることが不可欠   → 高度成長で感覚が狂ってしまった高齢経営者の世代交代こそ最重点の課題 まちづくり: 土地減反 (開発停止/市街地再集中)  日本人一人当たりの土地面積は年々増える → 地価は暴落、インフラ維持管理コストは爆発   この事態を避けるには、土地亡者どもを切り捨てる政策大転換が必要 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

55 これに対応できるかどうかが、観光の盛衰を分かつ
首都圏人口成熟問題の本質と対処策 変わってゆく日本の消費者 これに対応できるかどうかが、観光の盛衰を分かつ 欲求5段階 簡単にいうと… 観光にあてはめれば 自己実現 欲求 他者との相対的な優劣に関係なく、個として絶対的に満ち足りた境地に至りたいとの欲求 価格やブランドにこだわらず自分自身の感性に合う生活文化をじっくりと味わう境地 現在 優越欲求 属した集団のメンバーに何らかの点で勝りたいとの欲求 人があこがれる場所で、高いものを楽しみたいという状態 バブル期 安定 成長期 被認知欲求 属した集団のメンバーに己の存在を気づかせたいとの欲求 人が行った場所は自分も一通り押さえたという状態 帰属欲求 何かの集団に属したい、仲間に紛れ込みたいという欲求 できれば人並みに旅行くらいはしてみたいと願う状態 高度 成長期 生存欲求 食べて生きて生殖したいという最も本能的・基本的な欲求 物見遊山に出かける暇もゆとりもまったくないという状態 終戦後 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

56 これに対応できるかどうかが、観光の盛衰を分かつ
首都圏人口成熟問題の本質と対処策 大量生産消費時代は終わった 需要総量が減少していく中、 安物の大量販売に活路はない。 → 少量で価値あるものが残る 地域の価値は、環境と景観と文化 独自性のないものは通用しない → 洗練を続けた地域が栄える 変わってゆく日本の消費者 これに対応できるかどうかが、観光の盛衰を分かつ 欲求5段階 簡単にいうと… 観光にあてはめれば 自己実現 欲求 他者との相対的な優劣に関係なく、個として絶対的に満ち足りた境地に至りたいとの欲求 価格やブランドにこだわらず自分自身の感性に合う生活文化をじっくりと味わう境地 現在 優越欲求 属した集団のメンバーに何らかの点で勝りたいとの欲求 人があこがれる場所で、高いものを楽しみたいという状態 バブル期 安定 成長期 被認知欲求 属した集団のメンバーに己の存在を気づかせたいとの欲求 人が行った場所は自分も一通り押さえたという状態 帰属欲求 何かの集団に属したい、仲間に紛れ込みたいという欲求 できれば人並みに旅行くらいはしてみたいと願う状態 高度 成長期 生存欲求 食べて生きて生殖したいという最も本能的・基本的な欲求 物見遊山に出かける暇もゆとりもまったくないという状態 終戦後 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

57 モノ大量生産特化型経済の限界① 値段が高過ぎてあまり売れない 値下げによる売上減よりも、販売量増加による売上増加の方が大きい
首都圏人口成熟問題の本質と対処策 モノ大量生産特化型経済の限界① – 「いい品をどんどん安く!」が経済を成長させた幸せな時代の成功体験 – 値段が高過ぎてあまり売れない 値下げによる売上減よりも、販売量増加による売上増加の方が大きい (価格弾力性>1) 殿様商売の会社は困るが、業界全体では売上が増える →消費者も得する →国全体の経済の パイも拡大する →企業は生産能力を増やして、コストダウンする路線に走る 商品の価格水準(P) 実例:特割導入後の国内航空    登場した頃のスーパー いわゆる需要曲線 値段が下がると販売量は増える 商品の販売量(Q) 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

58 モノ大量生産特化型経済の限界② いわゆる需要曲線 値下げによる売上減の方が、販売量増加による売上増よりも大きい 商品の価格水準(P)
首都圏人口成熟問題の本質と対処策 モノ大量生産特化型経済の限界② – 成功体験に溺れ、量と価格での勝負を続けていることの帰結 – 実例:外食業界    通信業界    自動車業界 いわゆる需要曲線 値下げによる売上減の方が、販売量増加による売上増よりも大きい (価格弾力性<1) 商品の価格水準(P) 生産能力過剰の会社は、生産量を維持して限界利益を確保するため、おしなべてこの路線に走りやすい →業界全体ではデフレとなる →しかし消費者は得をするし、 貯蓄率ゼロの米国ならば、 それがまた消費に回る →ところが日本では、消費者 はその分を貯金してしまい、 国全体がデフレに向かう そこそこの値段と販売量だったのに シェア拡大目的の価格破壊始まる 商品の販売量(Q) 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

59 「低価格」は本当に価値なのか? 大量廉価販売だけが活路なのか? 貯蓄過剰の日本と、貯蓄過少の米国との違い
首都圏人口成熟問題の本質と対処策 「低価格」は本当に価値なのか? 大量廉価販売だけが活路なのか? 貯蓄過剰の日本と、貯蓄過少の米国との違い  米国では「Value (価値)」とは安いこと、「Saving (貯金)」は安物買いのこと   ←→ 日本では価格自体は価値ではない / 貯金は貯金であって消費ではない 100円ショップは安さを売っているのか?  100円ショップに行く人は、必要なものを安く買いたいから行っているのか?   ←→ そうではなく、気持ちよくお金を使う快感を味わいに行っているのでは?   ←→ 100円という小銭の価値が思わぬほど拡大する快感に惹かれるのでは? 「欲しいモノはあるが金がない」人向けの商売  「良い品をどんどん安く」路線が最適(だがこの路線の実需は本当は多くない!!) 「気持ちよくお金を使いたい」人向けの商売  「損をしていない」という実感が得られる範囲でお金を使いたい人は、本当は多い   → 値段>価値という印象さえ与えなければ、高く売ること自体には問題はない    → 消費者に「賢い買い物だという言い訳」さえ与えられればモノは売れる! 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

60 生産性とは何か? どうやったら向上するのか? 付加価値額 生産に携わる人の頭数 = 利益 + 地域に落ちるコスト
首都圏人口成熟問題の本質と対処策 生産性とは何か? どうやったら向上するのか? こっちしかカウントしない資本市場絶対主義は、長期平均的な付加価値の低下を必然的に招く こっちをも一定程度評価する経済システムの構築が求められる 付加価値額 = 利益 + 地域に落ちるコスト (人件費や、設備投資の一部) 本当はこっちを増やすことこそが、求められる生産性向上だ!! 生産技術の切磋琢磨でこっちを減らす方ばかりが注目される。 しかし実は、分子の方の人件費も減るので、効果は減殺される… 生産に携わる人の頭数 直接部門+間接部門 ものづくり and/or 情報生産 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

61 それでは付加価値額は どうやったら向上するのか
首都圏人口成熟問題の本質と対処策 それでは付加価値額は  どうやったら向上するのか 付加価値額=f(売上) 利益を稼げ、「地域に落ちるコスト」をふんだんに使えるのは結局、売上の上がっている企業! 売上 数量 単価 単価 売上アップの方法は、数量増加か単価上昇かどちらか × 高度成長時代には、大量生産技術の切磋琢磨で数量拡大を追求できたが、今はもう限界 需要成熟で数量が伸びない今後は、こっちの追求しかない(需要創造!) 結局、商品単価上昇こそが、付加価値向上→生産性改善の王道 ものづくり技術の切磋琢磨と商品単価の相関関係は限りなく薄い 単価上昇に直結するのは、経営技術、特にマーケティングの改善! 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

62 (価格差別化=Price Discrimination)
首都圏人口成熟問題の本質と対処策 値下げ競争を脱するための革新 – 各産業を「ラーメン屋業界」の構造に近づけよう! 客層を細かく分類し、それぞれに対応して微妙に異なる付加価値をつけた少量生産品を、少量販売 (価格差別化=Price Discrimination) 差別化された個々の商品ごとに、新たな需要曲線が生まれる 商品の価格水準(P) (本当はそれぞれの曲線が左軸に貼り付いているのだが、 ここでは、累積的な効果を 示すために、各曲線を右に ずらして図示している) 地域密着の中堅・中小・零細企業が、優れた商品力・マーケティング力を備えることで、初めてこの路線を採れる(例えばラーメン屋の世界) 生産販売ロットが小さいので、普通ならコストが上がって対応できない → 「値上げのためのコストダウン」に成功した企業だけが取れる道!! この増加部分が、売上の 再拡大をもたらす その分、大手企業の大量生産規格品の 販売量は減るかもしれないが、経済全体のパイは逆に拡大する! 商品の販売量(Q) 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

63 技術経営(Technology Management)ではなく経営技術(Management Technology)
首都圏人口成熟問題の本質と対処策 技術経営(Technology Management)ではなく経営技術(Management Technology) 付加価値を創造するのは経営技術 従来型の量産指向モノづくりはデフレを脱却できない (総売上が伸びない自動車や家電の生産工程に参加しているだけでは、コストダウン→付加価値低減の循環に呑み込まれる) 高度な個人需要に対応し、個別化した商品・サービスを提供することがデフレ脱却の道 → 経営技術が必要 事業家にとっての経営技術とは? ファイナンス:自分の事業の価値を、資金の出し手(株主・債権者)の視点から自己査定し、その増加を図っていく技術 マーケティング:自分の事業の価値を、商品・サービスの買い手(顧客)の視点から自己査定し、その増加を図っていく技術 (これは講師の定義ですが、真実の一端を突いています) 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介

64 Segmentation & Targeting Positioning こっちの視点よりも客からの視点
首都圏人口成熟問題の本質と対処策 Segmentation & Targeting Positioning こっちの視点よりも客からの視点 セグメンテーション ターゲテイング 客を細分化して、狙いをつけることが大事 誰を相手に売るのか、アイディア倒れにならないことがとても重要   (技術から発想すると、ここのところがどうしても後付けになる…) しかしそのためには、客の心が読めなければだめ   (要は「無知の知」と「イマジネーション」そして「トライ&エラー」)     ポジショニング もっと大事なのが、客にとって私は何?という視点 狙った相手にしてみれば、当社の商品も「たくさんある中の一つ」   (別段当社に思い入れのない人の立場に立って考えてみなければならない) 相手がどこのところで当社を選ぶのか、そこのところを明確につかめ!   (「他人の数だけ自分がある」ということをかみしめよう) 低迷企業は皆、ポジショニング喪失症。 日本政策投資銀行 地域企画部 藻谷浩介


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