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小林盾(シカゴ大学) 大浦宏邦(帝京大学) 谷口尚子(帝京大学) 2004年9月19日 数理社会学会 山形大学
転職と 職場のフリーライダー問題 小林盾(シカゴ大学) 大浦宏邦(帝京大学) 谷口尚子(帝京大学) 2004年9月19日 数理社会学会 山形大学
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アウトライン 職場のフリーライダーと転職 「フリーライダーと移動」プロジェクト 男性,常勤,被雇用ホワイトカラーへの調査
転職経験,転職希望,収入,満足 フリーライダーと協力者を比較
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問題 転職へのフリーライディングの影響??? 「フリーライダー」=同僚の期待以下の努力 「協力者」 =同僚の期待通りの努力
「協力者」 =同僚の期待通りの努力 「モニター困難」で「境界が曖昧」な職場 これまで,フリーライダーは想定外 日本的経営では相互協調・相互監視 しかし,「2・6・2」 「2・8」
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先行研究 職場のフリーライダーの実証研究(’92-) 「転職」変数なし 高橋伸夫 『日本企業の意思決定原理』
モチベーションが高い人→転職しない 協力者→転職経験・希望↓??? この予測に挑戦
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H1 協力者は,転職経験が多い H2 協力者は,転職希望が強い H3 協力者は,年収変化が高い H4 協力者は,満足度が高い 仮説
小山・大浦: 協力者はしっぺ返しとして「退出」 H1 協力者は,転職経験が多い H2 協力者は,転職希望が強い H3 協力者は,年収変化が高い H4 協力者は,満足度が高い
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問題 データ 結果
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転職に関する意識調査 2004年3月 自計式,74問,5点法 男性,30-49歳 常勤,被雇用者,ホワイトカラー 全国,全産業
N=810(回収率51%),プレ調査N=200
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サンプリング マーケティング会社,インターネット上 モニターのうち,条件を満たす14,000人 ->1,600人をランダムサンプリング
->最初に答えた810人 250円が謝礼 平均年齢38.9,大卒67.3%,既婚70.9% 年収メディアン=5-700万,管理職27.4% 大企業32.3%
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職業 就業構造基本調査02 専門 管理 事務 販売 サービス その他 26.0 23.4 27.4 10.0 18.4 27.2 12.5
28.0 サービス 9.1 その他 15.4 2.4
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産業 (就業構造基本調査02) 農林水産鉱 .1 .3 建設 7.5 6.0 製造 28.1 14.4 運輸・通信 9.8 卸・小売・飲食
8.0 27.6 金融・保険 5.2 4.4 不動産 1.9 2.3 サービス 19.9 15.0 公務員 11.2 5.8 その他 10.5 14.5 (就業構造基本調査02)
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従属変数 y=「転職経験」2値 ,「転職の希望」 5値 回帰分析,共分散構造分析 y=「年収の上昇」万円 ,「満足度」5値
「現在」と「1つ前」の職場を比較 定着者は「5年前」と比較 差の検定
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独立変数1 4変数(5点尺度)の潜在変数 「フリーライダー性」 (α=.50) 同僚が熱心なら,手を抜く 後輩の面倒をよく見る(反転)
分担はなるべく避ける 給料をもらいすぎている
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独立変数2 「応報性」 (α=.49) 「目には目を」には,一理ある 裏切った人には,協力しない 不熱心な同僚は,排除したい
不熱心な職場でも,努力(逆転) フリーライダー性との相関=.008
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統制変数 「モチベーション」 (α=.69) 「コミットメント」 (α=.64) 人並みに満足せず改善 自分の実力は,転職しても通用
長期的展望で仕事 面倒なことも,進んでやる 「コミットメント」 (α=.64) 組織に高い忠誠心 同僚に強い連帯感 個人利益より,集団の利益を重視 組織への悪口に,腹が立つ
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問題 データ 結果
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転職経験,転職希望 N=810 就業構造基本調査02:48.4%,12.0% (41.1%) (61.5%)
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年収変化,現在の職場満足 平均17.16万円, 3.16点 連合調査: やや減少,3.13点
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y = 転職経験 二項ロジスティック回帰分析 (N=810) 大卒以上ダミー -.705*** 過去年収(6値) -.330***
フリーライダー性 -.401** 応報性 .040 モチベーション .630*** コミットメント -.220* 過去の満足(能力・実績への評価) .388*** 過去の満足(給与・賞与) -.156* 過去の満足(会社の業績・将来性) -.492*** 過去の満足(上司との関係) -.292*** 過去の満足(通勤時間) -.140* Cox/Snell R2,判別率 .185, 70.3%
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y = 転職希望 回帰分析 (N=810) 転職経験ダミー .341*** 年齢 -.031*** 管理職ダミー .179*
フリーライダー性 .031 応報性 .064 モチベーション .310*** コミットメント -.289*** 現在の満足(能力・実績への評価) -.076† 現在の満足(会社の業績・将来性) -.068† 現在の満足(研修機会) -.094* 現在の満足(昇進の見込み) -.128** R2 .312
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- - - - - - - 転職希望の共分散構造分析 + + 転職希望 GFI=.604 AIC=4,837 N=769 転職経験
フリーライダー性 - + 勤続年数 - 応報性 転職希望 - + - 満足(評価) モチベーション - 満足(将来性) - - GFI=.604 AIC=4,837 N=769 満足(研修) コミットメント 満足(昇進)
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年収の上昇 フリーライダー性のメディアンで分割 転職経験者 定着者(5年前と比較) 年収の上昇 N 協力者 28.9万円 189
.4万円 132 > 協力者 28.4万円 196 フリーライダー 27.3万円 262 >
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現在の職場の満足度 † 転職経験者 定着者(5年前と比較) 満足 (5点尺度) N 協力者 3.21 194 フリーライダー 3.15
139 > 協力者 2.97 204 フリーライダー 2.78 273 > †
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検定の結果 H1 協力者は転職の確率が高い 支持,有意 H2 転職希望が強い 支持されず H3 年収がより増えている 支持 H4
満足度が高い
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まとめ フリーライダーと転職 協力的・高モチベーション・低コミットメントな労働者ほど,転職する フリーライダーは,組織内でぶら下がる
転職希望に,フリーライダーの影響なし 応報的・高モチベーション・低コミットメント 協力者は,収入・満足ともに高い傾向
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今後の課題 組織均衡論の「参加」と「貢献」 退出が合理的なら,なぜ組織に留まる? 誰がフリーライダーか? イベントヒストリー分析
シミュレーション・実験・組織調査と比較
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