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3章 イオン結合とイオン結晶  最終回 3.2) イオン結晶の構造

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1 3章 イオン結合とイオン結晶  最終回 3.2) イオン結晶の構造 イオン間に働くクーロン静電力は方向性をもたないので、イオン結晶の構造は陰イオン(半径R)、陽イオン(半径r)の数の比、半径比、分極率によって支配される。 各イオンはできるだけ多くの反対符号のイオン(その数を配位数:coordination number)に取り囲まれるようにして安定化する。 陽イオンと陰イオンの数の比が1:1の場合の配位数は、8、6、4である。

2 1) CsCl型 陽イオンの半径と陰イオンの半径に大きな違いがない時(r/R>0.73 であると)、主に塩化セシウム型: CsX(X = Cl, Br, I)、NH4X(X = Cl, Br, I)など、約50種の化合物がある。配位数8。 2r R 1 2 1 2 2 1 (2R+2r)/2R=3 r/R=0.732 全ての原子が同種なら体心立方格子(body centered cubic, bcc, 占有率68%, 全てのアルカリ金属、Ba, 多くの遷移金属が属す。

3 2)岩塩型 陽イオンが小さくなり0. 73 > r/R > 0
2)岩塩型 陽イオンが小さくなり0.73 > r/R > 0.414ならば岩塩型:上記CsX(X = Cl, Br, I)を除く全てのハロゲン化アルカリが属す。200種以上の化合物がある。配位数6。 1 2r 2R (2R+2r)/2R=2 r/R=0.414 陽イオン、陰イオンは各々面心立方格子(face centered cubic, fcc, 占有率74.1%)、全てが同種原子なら単純立方格子(simple cubic、sc, 占有率52%, Poの低温相)である。

4 3) 陽イオンが小さくなり、陰イオンが大きくなると(0
3)  陽イオンが小さくなり、陰イオンが大きくなると(0.414 > r/R)閃亜鉛鉱型 (別名CuCl型: 閃亜鉛鉱(ZnS)、CdS、ハロゲン化銅(I)など40種近くの化合物がある。Cu+, Clの位置に炭素Cをいれるとダイヤモンド構造となる。配位数4)やウルツ鉱型(別名ZnO型) (ウルツ鉱(ZnS、ウルツ鉱は閃亜鉛鉱の多形で、より稀に産出する), ZnO, CdS, AgIなど20余種の化合物がある。配位数4)をとることが多い。 2 O Q P L R 2r 1 L Q O P 閃亜鉛鉱型(CuCl型), r/R =0.225, R/(R+r)=2/3 全原子が同種でダイヤモンド型構造 (4配位、Si,Ge,灰色Sn,占有率は34%)である 図3.2d) ウルツ鉱(ZnS)型 (ZnO型)

5 zie zje rij 3.3)格子エネルギー 3.3.1)マーデルング・エネルギー イオン結晶の理論はボルンにより発展された。
3.3.1)マーデルング・エネルギー イオン結晶の理論はボルンにより発展された。 距離rij離れた格子点にある価数 ziとzjのイオン間に働くクーロン相互作用エネルギーEijは、 Eij=              (3.3) 結晶中の全静電エネルギーEcは Ec= (3.4) である。 zie zje rij

6 NaCl結晶では、 1モルのzi(Na+) = 1, zj(Cl) = –1、NA = NNa+ = NClで、Ecは  Ec = (NNa NCl ) = NAEij   (3.5) である。 NaCl結晶は、Na(赤丸)が作る面心立方格子(face centered cubic, fcc)とCl- (黒丸)の面心立方格子の組み合わせより出来ている。

7 Na+(jの位置)の周りの、イオンの種類、個数、jからの距離を表3.1にまとめる。
したがって、マーデルング定数Mrを用い、Eijは3.6式となる。 √3r 図3.3 NaCl結晶の核間距離r √5r 表3.1(図3.3参照) イオンの種類 個数 距離 第1隣接イオン Cl 6 r 第2隣接イオン Na+ 12 2 r 第3隣接イオン 8 3 r 第4隣接イオン 4 r 4r 2r r Eij = (–6/r + 12/2r  8/3r + 6/4r  •••) = (3.6)

8 1モルの結晶の静電引力エネルギー(マーデルング・エネルギー)は3.7式となる。 Ec= (3.7)
マーデルング定数M rは、結晶構造に特有の値で、配位数が大きいほど大きい(表3.2)。表中には、イオン間の距離r以外に、立方格子の1辺の長さaでのマーデルング定数をも示す。 ボルンによるイオン結晶の理論は、点電荷近似で、また剛体近似であるため、複雑で軟らかな有機イオン結晶への適用には注意を必要とする。 表3.2 結晶構造と配位数、マーデルング定数(Mr, Ma) 構造 配位数 Mr Ma aとrの関係 CsCl 8 1.763 2.035 2r/3 岩塩 6 1.748 3.495 2r 閃亜鉛鉱 4 1.638 3.783 4r/3 ZnO 1.641 CaF2 2.519 5.038

9 3.3.2) 格子エネルギー イオン核が近接すると電子雲間での反発ポテンシャルが生じ、1モルあたりの全ポテンシャルエネルギーE(r)は、ボルン-ランデの式(3.8式)で表される。 E(r)=  B/rn (3.8)

10 3.8式のエネルギーは平衡距離r0において(dE(r)/dr)r=r0 = 0であり、
(3.9) (3.10) である。したがって、r = r0でのポテンシャルエネルギーは E(r0)=  (3.11) と成る。この符号を変えた値が格子エネルギーU(r0)(0 K, 常圧で気体状の構成粒子が1モルの周期的固体つまり結晶に凝集するときに得られる安定化エネルギー)である。 U(r0)= (3.12)

11 ハロゲン化アルカリ ポーリングのn 圧縮率からのn LiF 6.0 5.9 LiCl 7.0 8.0 LiBr 7.5 8.7 NaCl
3.8式のnをボルン指数と言い、実験で求められる結晶の圧縮率から求めることができる。 ポーリングはnとして5(He型イオン、7(Ne型イオン)、9(ArおよびCu+型イオン)、10(KrおよびAg+型イオン)、12(XeおよびAu+型イオン)を提案した。陽イオンと陰イオンが異なる型の電子配置のイオン結晶では、両イオンのnの相加平均を用いる。SrCl2ではSr(Kr型 n=10)とCl(Ar型 n=9)と組成比よりn = (10+9+9)/3 = 9.33となる。表3.6に、圧縮率から得られたnとポーリングの提案によるnを比較する。 表3.3 ボルン指数 ハロゲン化アルカリ ポーリングのn 圧縮率からのn LiF 6.0 5.9 LiCl 7.0 8.0 LiBr 7.5 8.7 NaCl 9.1 NaBr 8.5 9.5

12 3.4) ボルン-ハーバー サイクル (新学習) ○ 格子エネルギーを直接測定することは不可能である。 ○実験により得られる標準状態(常圧、298 Kなので0 Kでの値より2.48 kJ mol-1だけ大きい)の熱力学データを用い、イオン結晶の格子エネルギー(Hc: エンタルピー 5章で詳しく解説)を求める方法としてボルンとハーバーが独立に提案した循環過程をボルン-ハーバー サイクルという。 図3.4に塩化ナトリウム結晶の例を示す。

13 図3.4 塩化ナトリウム結晶のボルン-ハーバー サイクル
Na(固体) + 1/2Cl2(気体) Na(気体) + Cl(気体) -Hsub-1/2Hd Ip – EA Hf Hc Na+(気体) + Cl-(気体) NaCl(固体) NaCl(固体) = Na+(気体) +Cl-(気体) - Hc[kJ/mol] Hf :NaCl(固体)の標準生成エンタルピー Hsub :Na(固体)の標準昇華熱         Hd :Cl2(気体)の標準解離熱 Ip :Na(気体)のIp, EA :Cl(気体)の電子親和力          Hc = –Hf(NaCl 固体) + Hsub + (1/2)Hd + Ip – EA (3.13)

14 NaCl(固体)の標準生成エンタルピー  Hf= -411 kJ mol-1
Na(固体)の標準昇華熱         Hsub= 108 kJ mol-1 Cl2(気体)の標準解離熱 Hd= 2x122 kJ mol-1 Na(気体)のIp Ip = 494 kJ mol-1 Cl(気体)の電子親和力          EA = 349 kJ mol-1 Hc = 786 kJ/mol 表3.4にボルン-ハーバー サイクルによる格子エネルギーを示す。これらの値は文献により10 kJ mol-1程度の変動が見られる。  簡単なモデル計算でのイオン結晶の格子エネルギーU(r0) (3.12式)は、実験的に得られる格子エネルギーHcと、良い一致を示す(一番右の欄の値が小さい)。 分極の大きいイオンになるほど一致が悪く(Hc–U(r0))が大きくなり、剛体近似である3.12式の欠点を示す。また、3.12式は、実測のr0を用いているため、イオン結合性のほかに共有結合性を強く含む結晶(ハロゲン化銅やハロゲン化銀)において, (Hc–U(r0))は大きくなる

15 表3. 4 ハロゲン化アルカリの格子エネルギーHc(kJ mol-1)と計算による格子エネルギーU(r0)(3
表3.4 ハロゲン化アルカリの格子エネルギーHc(kJ mol-1)と計算による格子エネルギーU(r0)(3.12式)の比較。r0:平衡核間距離, 結晶 r0 n 配位数 U(r0) Hf(MX) Hf(M+) Hf(X-) Hc Hc-U(r0) LiF 2.01 6.0 6 1006 -612 682 -271 1023 17 NaF 2.31 7.0 901 -569 611 909 8 KF 2.67 8.0 795 -563 515 807 12 NaCl 2.81 756 -411 -246 776 20 KCl 3.14 9.0 687 -436 705 18 CsCl 3.56 10.5 622 -433 461 648 26 NaBr 2.98 8.5 719 -360 -234 737 KBr 3.29 9.5 660 -392 673 13 CsBr 3.72 11.0 598 -395 24 LiI 3.02 709 -197 47 NaI 3.23 672 -288 702 30 KI 3.53 -328 646 RbI 3.66 603 495 626 23 CsI 3.96 12.0 567 -337 601 34 CuCl 2.35 4 864 -137 1090 981 117 AgCl 2.77 783 -127 1019 900 AgI 738 -62 884 146

16 F.Harber 第一次世界大戦時に塩素、フォスゲン、マスタードガスなど各種毒ガス使用の指導的立場にあったことから「化学兵器の父」と呼ばれることもある。最初の妻は毒兵器開発に抗して自殺。
空気中の窒素からアンモニアを合成するハーバー・ボッシュ法で知られる(1918年 ノーベル化学賞)。1919年ボルン・ハーバーサイクル、ハーバー・コロキウムを開催した。ここでは、「ヘリウム原子からノミにいたるまで」と謳われたように、化学、物理学から、生物に至るまで、幅広い領域を対象にした。

17 電気陰性度:電子をひきつける相対的強さを示す H 2.1 He ̶ Li 1.0 Be 1.5 B 2.0 C 2.5 N 3.0 O
3.5 F 4.0 Ne Na 0.9 Mg 1.2 Al Si 1.8 P S Cl Ar K 0.8 Ca Ga 1.6 Ge As Se 2.4 Br 2.8 Kr Rb Sr In 1.7 Sn Sb 1.9 Te I Xe 表はポーリングの値(他の電気陰性度の定義もある) 黄色部分は陽性元素(金属元素) 赤色部分は半金属 イオン結合:電気陰性度の差が1.7以上 共有結合:電気陰性度の差=0で100%共有結合であり、 電気陰性度の差が大きくなるとイオン結合性が増す

18 原子価 (原子量/当量): ある原子が何個の他の原子と結合するかを表す数
1 2 13 14 15 16 17 常原子価 +1 +2 +3 +4 -3 -2 -1 逆原子価 -4 +5 +6 +7 H(1), Br(1), O(2), N(3), Si(4), P(5), Cl(1, 3, 5, 7), C(2,4), S(2,4,6) 主なイオンの原子価 陽イオン +1: H, Li, Na, K, Ag, NH4, & +2: Hg, Cu, +2: Mg, Ca, Ba, Zn, Pb, Fe(+2,+3), Sn(+2,+4), +3: Al 陰イオン -1 : F, Cl, Br, I, OH, NO3, CN, CH3COO, MnO4, ClO, ClO3, ClO4, HCO3, HSO4, H2PO4 -2: O, S, SO4, SO3, SiO3, S2O3, C2O4, CO3, CrO4, Cr2O7, ZnO2 -3: PO4, Fe(III)(CN)6, BO3 -4: Fe(II)(CN)6

19 酸化数の規則 規則 例、例外 ①単体の酸化数はゼロ H2 (Hは0), O2やO3(Oは0), N2(Nは0), He(Heは0)
②単一原子イオンの酸化数:価数を酸化数とする Na+, Cl, Ca2+, Fe2+, Fe3+の酸化数は+1, 1, +2, +2, +3 ③Fの酸化数は常に1 元素Fの電気陰性度は一番大きい ④Hの酸化数を原則的に+1、Oを2とする 例外 H(1), O(1,1/2,+1,+2) H:金属とのイオン性化合物(ヒドリド)で1 LiH, NaH,CaH2 O:ペルオキソ結合(過酸化物)に含まれると1 (H-O-O-H, BaO2, Na2O2), 超酸化物イオンO2(KO2, NaO2)で1/2, O2F2で+1, OF2で+2 ⑤中性化合物の原子の酸化数総和はゼロ NH3 (Nは3), CO2(Cは+4), CO(Cは+2),CH4(Cは4), CH3COOH(Cは0)

20 ●酸素O: 過酸化物(ペルオキソ類 OO 例 過酸化水素HOOH)の酸素は1。超酸化物(superoxide)・・化学式が O2 で表されるスーパーオキシドアニオンを含む化学物質の総称 例NaO2, KO2。自然界では二酸素(いわゆる酸素ガス)O2 の一電子還元により広範囲に生成している点が重要であり、1つの不対電子を持つ。スーパーオキシドアニオンは、二酸素と同様にフリーラジカルであり、常磁性を有する。一般に活性酸素と呼ばれる化学種の一種である。スペースシャトルや潜水艦で使用される化学酸素発生装置で超酸化カリウムが酸素源として利用される原理となっている: 2NaO2Na2O2 + O2 O2

21 ●フッ素F:OF2, O2F2, O3F2などのフッ素の酸化物では、Fの方が電気陰性が大きいので、Fは1として、酸素はそれぞれ+2, +1, +2/3である。フッ素と酸素の化合物はフッ素酸化物と呼ぶよりは酸素のフッ化物と呼ぶのが適当な性質を有す。フッ素以外のハロゲン元素については酸素の酸化数を2として、I, III, (IV,) V, VII (例 Cl2O[+1], Cl2O3[+3], Cl02[+4], Cl2O6[+5と+7], Cl2O7[+7])のいずれかをとり、種々の酸化物とオキソ酸を形成する。 ●窒素酸化物:一酸化窒素 (NO)、二酸化窒素 (NO2)、亜酸化窒素(一酸化二窒素)(N2O)、三酸化二窒素(N2O3)、四酸化二窒素 (N2O4)、五酸化二窒素 (N2O5) など。

22 化学式 の名称(1) F フッ化~, Cl塩化~, Br臭化~, Iヨウ化~, OH水酸化~, CNシアン化~, O酸化~, S硫化~, C炭化~, N窒化~ NO3 硝酸~, ClO 次亜塩素酸~, ClO3 塩素酸~, ClO4 過塩素酸~, H2PO4 リン酸二水素~, HPO4 リン酸一水素~, PO4 リン酸~, SO3 亜硫酸~, HSO4 硫酸水素~, SO4 硫酸~, S2O3 チオ硫酸~, MnO4 過マンガン酸~, CrO4 クロム酸~, Cr2O7二クロム酸(重クロム酸)~, HCO3炭酸水素~, CO3 炭酸~, C2O4 蓚酸~,  CH3COO 酢酸~, SiO3 ケイ酸~, Fe(III)(CN)6 ヘキサシアノ鉄(III)酸~, Fe(II)(CN)6 ヘキサシアノ鉄(II)酸~, Al(OH) 4 or AlO2 アルミン酸~、 非金属元素どうしの化合物 CO 一酸化炭素, CO2 二酸化炭素; 一酸化窒素 (NO)、二酸化窒素 (NO2)、亜酸化窒素(一酸化二窒素)(N2O 笑気)、三酸化二窒素(N2O3)、四酸化二窒素 (N2O4)、五酸化二窒素 (N2O5) など。化学式の NOx から「ノックス」ともいう; 一酸化硫黄 (SO)、二酸化硫黄(亜硫酸ガス)(SO2)、三酸化硫黄 (SO3) などが含まれ、SOx (ソックス)と略称される

23 FeSO4:硫酸鉄(II), 硫酸第一鉄、 Fe2(SO4)3:硫酸鉄(III)、硫酸第二鉄
化学式 の名称(2) 原子価が2つ以上ある金属の化合物 ○金属元素の後ろに原子価をローマ数字で( )内にいれる ○金属元素名の前に第一、第二と原子価の小さいほうからつける FeSO4:硫酸鉄(II), 硫酸第一鉄、 Fe2(SO4)3:硫酸鉄(III)、硫酸第二鉄 元素 原子価 Cu +1,+2 Cu2O 酸化銅(I), CuSO4 硫酸銅(II) Hg Hg2Cl2(塩化第一水銀) HgCl2(塩化第二水銀) Fe +2,+3 FeSO4, FeCl3(塩化第二鉄) Sn +2,+4 SnCl2(塩化第一スズ) , SnCl4(塩化第二スズ) Mn +2,+4, +7 MnCl2(塩化マンガン(II) ), MnO2 (二酸化マンガン、酸化マンガン(IV)) , KMnO4(過マンガン酸カリ) Cr +3,+6 CrCl3(塩化クロム(III)), K2CrO4(クロム酸カリウム), K2Cr2O7(重クロム酸カリウム) S -2,+4,+6 H2S(硫化水素), SO2(二酸化硫黄、亜硫酸ガス), H2SO4(硫酸) Cl -1,+1,+3,+4,+5,+7 NaCl, NaClO2, KClO3(塩素酸カリウム), Cl2O7(七酸化二塩素)

24 塩素 さらし粉  CaCl(ClO)・H2O または Ca(ClO)2 水酸化カルシウム(消石灰, Ca(OH)2にCl2を作用させる

25 化学式 の名称(3) 慣用名 例 化学式 化学名 慣用名 Hg2Cl2 塩化水銀(I)、 塩化第一水銀 甘コウ HgCl2 塩化水銀(II)、 塩化第二水銀 昇コウ CaO 酸化カルシウム 生石灰 Ca(OH) 2 水酸化カルシウム 消石灰 NaOH 水酸化ナトリウム カセイソーダ KOH 水酸化カリウム カセイカリ (NH4) 2SO4 硫酸アンモニウム 硫安 NaCl 塩化ナトリウム 食塩、岩塩 NaHCO3 炭酸水素ナトリウム 重曹 KNO3 硝酸カリウム 硝石 NaNO3 硝酸ナトリウム チリ硝石 Al2O3 酸化アルミニウム アルミナ CaC2 炭化カルシウム カーバイド SO3 三酸化硫黄 無水硫酸 SO2 二酸化硫黄 亜硫酸ガス CO2 二酸化炭素 炭酸ガス

26 3章 問題 1) 原子から1個の電子を取り去るのに必要な最小のエネルギーを( A )という。 Aの小さい原子ほど電子を失って(B 英語) になりやすく、第1族の(C)が最も小さく、第(D)族の希ガスが最も大きい。逆に、原子が電子を取り入れると(E 英語)になり、この時放出されるエネルギーを原子の(F)という。元素の中で最も(F)の大きいのは(G)である。原子が電子をひきつける相対強度を(H)という。Hの小さい元素は周期表の左下側に位置し、電子を放出し易い陽性元素(金属元素)である。周期表の右上側に位置する元素は電子をひきつけ易い陰性元素(I)である。結合する両原子間の(H)の差が小さいと(J)結合となり、その差が大きくなると(K)結合性が増加する。 A B C D E F G H I J K 2) 塩化ナトリウム結晶では、陽イオンNa+と陰イオンCl-が規則正しく配列している。Na+とCl-の電子配置はそれぞれ希ガスの(A)と(B)の電子配置と同じである。 Na+とCl-はそれぞれ隣接するイオンに取り囲まれ、第一隣接イオンは反対符号のイオン(C)個、第二隣接は同種符号イオン(D)個、第3隣接は反対符号イオン(E)個、・・・・である。これらの間に生じるクーロン静電引力と斥力とを計算するには、第一隣接、第二隣接・・・イオンとの距離 rijを求め、次式で結晶全体の静電エネルギーEijを求め, アヴォガドロ数NAを用いて1モルの結晶での静電引力エネルギーEcとする。Mrを(F)定数という。 Eij= {S(-1)n(第n隣接イオン個数)/(第n隣接距離)} = Mr Ec = Mr A B C D E F

27 3章 問題 3) 陽イオンと陰イオンが規則正しく配列してできた結晶を(A)結晶という。結晶のなかで陽イオンと陰イオンを結び付けているのは静電力である。(A)結晶の構造は陽イオンと陰イオンの数の比、イオン半径の比などに支配される。各イオンはできるだけ多くの反対符号のイオン(その数を(B)という)に取り囲まれて安定化する。代表的な構造としてCsCl型、岩塩型、閃亜鉛鉱型があり、それぞれ(B)は8、6、4である。  CsCl型の構造を図示せよ。構成イオンが同種原子の場合、この構造を(C、日本語、英語及び略号)という。結晶格子中の原子の占有率は68%である。占有率(充填率)を導出しなさい。また、単位格子に含まれる原子数は(D)個である。  陽イオンと陰イオンの半径比がCsCl型より小さくなると岩塩型構造が安定化する。岩塩型構造の陽イオン、陰イオンが各々形成する格子を(E、日本語、英語及び略号)という。単位格子中に(F)個の原子を含む。この格子の構造を図示し、占有率74%を導出せよ。  岩塩構造における陽イオン、陰イオンが同一原子の場合、単純立法格子(simple cubic, sc)といい、占有率52%であり、この単位格子に原子は(G)個含まれる。 A B C D E F G CsCl型の構造 岩塩型の各成分イオンが作る構造と占有率 宿題(6・17)   A 1) CsCl型の構造, 2) 占有率の導出、3)単位格子中のイオン数 B 1) fccの構造、2) 占有率の導出、 3)単位格子中のイオン数 C 1) scでの単位格子中のイオン数

28 4) 次の元素または基の結合でできる化合物の化学式を記す
1) Alと SO4, 2) Naと CH3COO, 3) Agと CrO4, 4) ZnとOH, 5) MgとCl, 6) HとS, 7) Pbと NO3, 8) Caと C2O4, 9) KとHSO4, 10) AgとCl 以降は次回 5)次の化合物の名称を記す 1) Na2SiO3, 2) HgCl2, 3) Cu2O, 4) CdS, 5) K2Cr2O7, 6) Na2SO3, 7) FeCl3, 8) Ca3(PO4)2, 9) H3BO3 [B(OH)3], 10) CaSO4, 11) Na2S2O3, 12) AgI, 13) Ba(OH)2, 14) Cu2[Fe(CN)6] 1 2 3宿題 4宿題 5 6 7宿題 8宿題 9 10 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 6) 次の物質の化学式を記す 酸化銅(II),酸化第二銅、  2) 硝酸銀、  3) 水酸化カルシウム、 4) 塩化バリウム 5) 硫酸アンモニウ、 6) 過マンガン酸カリウム、7) 酢酸鉛、 8) 塩素酸カリウム、 9) 酢酸カルシウム、10) 過酸化水素、11) 硫酸銅(II)、12) 塩化スズ(II) 塩化第一スズ、 13) クロム酸カリウム、14) 酸化マンガン(IV) , 15) 炭酸水素ナトリウム, 16) 硫酸ナトリウム, 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16

29 化合物の豆知識 Na2SiO3: 濃水溶液は水ガラスと言い、無臭だが酸味が強く刺激性を有する。粘膜を侵し糜爛性があるため、誤飲に注意する必要がある。東日本大震災によって深刻な事態に陥った福島第一原子力発電所の2号機では、きわめて高い濃度の放射性物質を含む水が海に直接流出していたが、周辺に水ガラスを注入したことで流出を弱めることができた。 HgCl2 昇汞(しょうこう)と呼ばれる。水溶性の無色または白色の針状結晶である。水にやや溶けやすい(常温で水1kgに約60g溶ける)。アルコールやエーテルにも溶ける。蛋白質を変性させる作用が強い猛毒である。また、昇華しやすい。 Hg2Cl2 甘汞(かんこう)、カロメルとも言う。水銀原子同士が共有結合により結合しているため HgCl とは表記しない(Cl-Hg-Hg-Cl)。光に当たるとHgCl2 と金属水銀に分解する。毒性はHgCl2よりは弱い。 Ca3(PO4)2 : 骨の約70%はこの化合物の一種であるヒドロキシアパタイトからできている。 CaSO4 石膏の主成分 Na2S2O3 「チオ硫酸」という呼称は、硫酸が持つ酸素が1つ硫黄に置き換わっていることを示す。水道水中の塩素などハロゲンの単体を除く作用があるので、金魚、熱帯魚など水生生物の飼育において、換水に際して塩素消毒の施された新鮮な水道水を水槽に入れざるを得ないときに、あらかじめ少量添加して使用される。 AgI:  結晶構造が氷に似ているため、水が結晶する際の種となりやすい。そのため、AgI)の粒子を大気中に散布すると、それを核にして雲が発生する。そのため、人工降雨の用途に使われている。AgIには毒性があるが、人工降雨に使用される量は非常に微量であり異常摂取でもしない限り人体に影響を与えるほどではない。 Ba(OH)2: バリタ (baryta) とも呼ばれ、飽和水溶液(バリタ水)は水酸化カルシウム同様に二酸化炭素を吹き込むと炭酸バリウムが析出し、白く濁る。毒性が強く劇物。

30 化合物の豆知識 フェリシアン化カリウム、ヘキサシアニド鉄(III)酸カリウム、赤血塩:錯塩の一種。組成式は K3[Fe(CN)6]。赤色の結晶または粉末である。水に良く溶け、水溶液は黄緑色の蛍光をいくぶん示す。フェロシアン化カリウムの溶液に塩素ガスを通じると得られる。 フェロシアン化カリウム、ヘキサシアニド鉄(II)酸カリウム、黄血塩:錯塩の一種。 組成式は K4[Fe(CN)6]。通常は三水和物の形で存在し、黄色の結晶または粉末である。水に可溶で、水溶液は淡黄色を示す。 シアン化ナトリウムに硫酸鉄(II)と塩化カリウムを加えると得られる。試薬 - 鉄イオンの検出などに用いる。2価の鉄イオンを含む溶液に加えると青白色沈殿を生じ、3価の鉄イオンの溶液に加えると濃青色沈澱(プルシアンブルー、ベルリンブルー)を生じる。鉄、銅、銀の安定化試薬として用いられる。 酸化銅(II):黒色の粉末。天然では黒銅鉱として産出する。釉薬の着色剤として利用される。陶磁器に酸化銅(II)を添加した釉薬をかけて焼成すると、酸化焼成では青色-緑色に、還元焼成では赤色に発色する。還元焼成で現れる赤色はかつては釉薬中の酸化銅(II)が金属銅に還元されて発色したものと考えられたが、今日では酸化銅(II)が酸化銅(I)に還元されて赤く発色すると考えられている。 硝酸銀(I): 強電解質であり水によく溶けるが、非極性溶媒には溶けにくい。手につくと還元されて銀の微粒子が沈着し黒色に染まりしばらく取れない。また酸化作用による腐食性を有する。銀鏡反応の試薬としてめっきに用いられることがある。硝酸銀(I)は液体アンモニア(液安)またはアンモニア水と反応して徐々に雷銀(Ag3N と AgNH2 の混合物)と呼ばれる黒色の結晶を生成することがある。これは非常に敏感な化合物であり、水溶液中でも少しの摩擦・熱でも爆発する。またナトリウムイオンの存在下でこの化合物の生成が促進されるので、これらの化合物を誤って作った場合、硝酸銀(I)とアンモニアを混合した廃液、銀鏡反応を行ったあとの廃液は食塩水または塩酸で分解してから処分する必要がある。

31 硫酸ナトリウム:飽和水溶液から常温で結晶すると10水和物が得られる。普通この状態で存在することが多い。10水和物は俗に芒硝あるいはグラウバー塩[とよばれる無色の結晶。無水物はガラスの製造、乾燥剤、十水和物は下剤にしたり、漢方薬などに配合される。また、温泉の含有物質として代表的である。硫酸ナトリウムなど、アルカリ金属・アルカリ土類金属の硫酸塩を含む温泉は総じて硫酸泉・硫酸塩泉と呼ぶ。人体に対する安全性の高い物質の1つであり、家庭用の入浴剤の主成分として炭酸水素ナトリウムとともに用いられている。これらの説明書には「風呂釜を傷める硫黄分は含まれていない」という記述がなされている。これは硫黄泉の成分を模した入浴剤(湯の花・ムトウ六一〇ハップ™等)とは異なり単体硫黄を成分に含まないという意味であり、硫酸ナトリウム自体は硫黄化合物の1つである。 酢酸鉛:甘味があり、歴史的に砂糖の代替物として用いられていた。古代ローマにおいては、蜂蜜以外に手に入る甘味料は少なかったため、完熟させたブドウの果汁(ムスト)を鉛でコーティングされた青銅器で煮ることによって得られるサパ (sapa) と呼ばれるシロップが甘味料として好んで作られていた。このシロップは殺菌効果もあったことから、当時ワインの甘み付けや果物の保存に一般的に使われていた。しかしこれには製造の過程で青銅器にコーティングされた酢酸鉛などの鉛化合物が、加熱によって溶解される事に加えて焦げ付き防止のために掻き混ぜる際擦れて溶け出し含まれてしまうため、大量の鉛が溶け出したシロップを添加したワインを好んで飲んだ者が鉛中毒となっていた可能性が否定できず、多くの皇帝など古代ローマの記録に残る有名な人物の発狂や死の原因ともなったと考える研究者がいる。作曲家ベートーヴェンが、その晩年ほぼ耳が聴こえなくなった原因として、ベートーヴェンの毛髪から通常の100倍近い大量の鉛が検出されたことから、近年の研究では鉛中毒が有力説とされている。彼は生前年代を指定して飲むほどワインを愛飲しており、当時のヨーロッパでは、ワインの醸造過程で甘味料として酢酸鉛を含むサパなどの鉛化合物類が頻繁に加えられていた事から、鉛入りのワインを大量摂取する形となり鉛中毒を引き起こしたとされる

32 ●化学反応式(化学式を用いて化学変化を書いた式 →や=で反応系と生成系を結ぶ)、 イオン反応式(水溶液での反応で、関与する分子、イオンのみを含む、→で結ぶ)
○化学反応式:同種元素は左辺と右辺で等しい。反応に無関係な化合物を入れない。 ○イオン反応式:水に溶けない物質、沈殿、気体、水、弱電解質は化学式のまま。強電解質を陽イオン、陰イオンで書く。左右の原子数は等しい。左右の総電荷数は等しい。 化学量論的係数は連立方程式(未定係数法)で得る(簡単なものは目算で) 例 化学反応式 1)化合 A + B →AB H2 + Cl2 → 2HCl, 4Na + O2 → 2Na2O 2)分解  AB →B + C 2KClO3 → 2KCl + 3O2, 2NaHCO3 → Na2CO3 + CO2 + H2O 3)置換 A + BC → AC + B Zn + H2SO4 (金属と酸の反応)→ ZnSO4 + H2, Zn + 2NaOH + 2H2O (金属と塩基の反応)→ Na2[Zn(OH)4] + H2, Fe + CuSO4 (金属と塩の反応)→ FeSO4 + Cu, Cl2 + 2KI (非金属と塩の反応)→ 2KCl + I2 4)複分解 AB + CD → AD + CB H2SO4 + 2NaOH (酸と塩基)→ Na2SO4 + 2H2O, CaCO3 + 2HCl (酸と塩基)→ CaCl2 + CO2 + H2O, Fe(NO3)3 + 3NaOH (塩と塩基)→ Fe(OH)3 + 3NaNO3, AgNO3 + NaCl (塩と塩)→ AgCl + NaNO3. 係数のつけ方を以下の反応で試すこと MnO2 + 4HCl →MnCl2 + Cl2 + 2H2O,  2C2H6 + 7O2 → 4CO2 + 6H2O,  4FeS2 + 11O2 → 2Fe2O3 + 8SO2 イオン反応式  Ag+ + Cl- → AgCl, Ba2+ + SO42- → BaSO4 (化学反応式は BaCl2 + H2SO4 → BaSO4 + 2HCl)  MnO4- + 8H+ + 5Fe2+ → Mn2+ + 5Fe3+ + 4H2O (化学反応式は2KMnO4 + 8H2SO4 + 10FeSO → K2SO4 + 2MnSO4 + 5Fe2(SO4)3 + 8H2O)

33 pKa 主な酸・塩基 強酸: HCl, HNO3, H2SO4
弱酸:CH3COOH, H2CO3(単離不可), H2SO3 (単離不可), H2C2O4 (蓚酸), C6H5OH (石炭酸、フェノールpKa 9.95)、C6H5COH (安息香酸pKa 4.21)、サリチル酸(pKa 2.97), H3PO4・・・強酸でも弱酸でもない。 強酸は電離度が大きい。弱酸は電離度が小さい。 強塩基(電離度大きい):KOH, NaOH, Ba(OH)2, Ca(OH)2, 弱塩基(電離度小さい):NH3, Cu(OH)2, C6H5NH2(アニリン)、C5H5N(ピリジン) ●Cu(OH)2, Fe(OH)3は水にほとんど溶けないが酸に溶ける: Cu(OH)2 +2HCl →CuCl2 + 2H2O ●Al(OH)3, Cr(OH)3, Zn(OH)2 は水にほとんど溶けないが、酸にも強塩基水溶液に溶ける。これらの水酸化物は酸に対して塩基、塩基に対して酸として作用する(両性水酸化物) Al(OH)3 + 3HCl → AlCl H2O, Al(OH)3 + NaOH → Na[Al(OH)4] 8 6 4 2 2 4 6 8 10 12 14 HCl 7 HNO3 1.3 H3PO4 2.1 10 HI 11 HBr 9 H2SO4 5 CH3CO2H 4.8 H2CO3 6.4 H2PO4 7.2 HPO42 12.3 HCO3 10.3 HSO4 1.99 pKa

34 酸化物 1) 酸性酸化物(非金属の酸化物): SO2, SO3, CO2, NO2, P4O10, SiO2  ○水と反応して酸を作る(亜硫酸、硫酸、炭酸、硝酸、リン酸、SiO2は水にほとんど溶けないが強塩基と反応して塩を作るSiO2+2NaOH →Na2SiO3+H2O)   ○塩基と反応して塩を作る   ○NO, COは非金属酸化物であるが水にほとんど溶けず、塩基とも反応しないので酸性酸化物でない。 2) 塩基性酸化物(金属の酸化物): K2O, Na2O, CaO, BaO, MgO ○水と反応して塩基を作る。酸と反応して塩を作る。    ○金属の酸化物でもCr, Mnの酸化物は酸化数によって次の酸化物を作る     低い酸化数    CrO, MnO ・・・塩基性酸化物     中間の酸化数  Cr2O3, MnO2 ・・・両性酸化物      高い酸化数    CrO3, Mn2O7 ・・・酸性酸化物 3) 両性酸化物(両性元素Al, Zn, Sn, Pbの酸化物): Al2O3, ZnO, SnO, PbO ○酸及び塩基と反応して塩を作る。

35 中和と塩  酸性物質+塩基性物質 → 塩 + 水 酸性物質は、酸、酸性酸化物、両性酸化物、両性水酸化物 塩基性物質は、 塩基、塩基性酸化物、両性酸化物、両性水酸化物、炭酸塩 HCl + NaOH → NaCl + H2O 2) 2HCl + CaO (塩基性酸化物)→ CaCl2 + H2O 3) 2HCl + ZnO (両性酸化物)→ ZnCl2 + H2O 4) 3HCl + Al(OH)3 (両性水酸化物)→ AlCl3 + 3H2O 5) CO2 (酸性酸化物) + Ca(OH)2 → CaCO3 + H2O 6) ZnO (両性酸化物) + 2NaOH + H2O → Na2[Zn(OH)4] 7) Al(OH)3 (両性水酸化物)+ NaOH → Na[Al(OH)4] 8) CO2 (酸性酸化物)+ CaO (塩基性酸化物)→ CaCO3 9) H2SO4 + 2NH3 → (NH4)2SO4 2HCl + Na2CO3 (炭酸塩) → 2NaCl + CO2↑ + H2O 塩は中和反応の他、次の反応によっても生成される。 2Na + Cl2 (金属+非金属)→ 2NaCl 12) 2Al + 2NaOH + 6H2O (金属+塩基)→ 2Na[Al(OH) 4] + 3H2↑ Fe + CuSO4 (金属+塩)→ FeSO4 + Cu 14) Cl2 + 2NaOH (非金属+塩基)→ NaCl + NaClO + H2O 15) Cl2 + 2KI (非金属+塩)→ 2KCl + I2 BaCl2 + H2SO4 (塩+酸)→ BaSO4 + 2HCl↑ 17) FeCl3 + 3NaOH (塩+塩基)→ 3NaCl + Fe(OH)3 ↓ 18) AgNO3 + NaCl (塩+塩)→ AgCl↓ + NaNO3

36 塩の分類 正塩:H+やOH-が残っていない塩 NaCl, CuSO4, Ca(NO3) 2 酸性塩:H+が残っている塩 NaHCO3, NaHSO4, NaH2PO4 塩基性塩:OH-が残っている塩 Cu(OH)Cl, Mg(OH)Cl ○ 正塩、酸性塩、塩基性塩は単にH+,OH-が残っているかいないかかの形式的な分類 (非常に紛らわしい分類なり)。塩の溶液の液性(酸性か塩基性)とは無関係なり。 複塩:2種以上の塩が一定の割合で結合した塩で、水溶液中で個々の成分イオンに電離  ミョウバン AlK(SO4) 2∙12H2OAl3+ + K+ + 2SO H2O  さらし粉 CaCl(ClO) ∙H2O  Ca2++Cl- + ClO- + H2O 錯塩:金属イオンと分子、金属イオンと陰イオンが配位結合した錯イオンを含む塩 錯イオン・・・[Ag(NH3) 2]+, [Co(NH3) 6]6+, Cu(H2O) 4]2+, [Ag(S2O3) 2]3-, [Fe(CN) 6]4- 塩の水溶液の液性:塩が水に溶け、生じたイオンが水と反応して弱酸または弱塩基を生じる (加水分解)。その結果水溶液は中性、酸性、塩基性を示す。 強酸と強塩基の塩:成分イオンは完全に電離しており加水分解をしない   正塩の水溶液は中性、酸性塩の水溶液は酸性(NaHSO4) 2) 強酸と弱塩基の塩:加水分解し、正塩でも塩基正塩でも酸性(NH4Cl、Mg(OH)Cl) 3) 弱酸と強塩基の塩:加水分解し、正塩でも酸性塩でも塩基性(K2CO3, NaHCO3) 4) 弱酸と弱塩基の塩:加水分解するが、中性 

37 塩の反応: 塩と酸の反応    ○弱酸の塩+強酸 → 強酸の塩+弱酸   CaCO3 + 2HCl → CaCl2 + CO2 + H2O ○揮発性酸の塩+不揮発性酸  → 不揮発性酸の塩 + 揮発性酸     NaCl + H2SO4 → NaHSO4 + HCl ○難溶性塩の析出がある場合     BaCl2 + H2SO4 → BaSO4 + 2HCl 2) 塩と塩基の反応   ○弱塩基の塩+強塩基 → 強塩基の塩+弱塩基      2NH4Cl + Ca(OH) 2 → CaCl2 + 2NH3 + 2H2O 3) 塩と塩の反応   ○難溶性塩、複塩、錯塩が生じるときに反応が進む      AgNO3 + NaCl → AgCl + NaNO3 Al2 (SO4) 3 + K2SO4 + 24H2O → 2[Al∙K(SO4) 2∙12H2O] FeSO4 + 6KCN → K4 [Fe(CN) 6] + K2SO4

38 主な酸化・還元反応式 2KMnO4 + 8H2SO4 + 10FeSO4 →K2SO4 + 2MnSO4 + 5Fe2(SO4)3 + 8H2O 2) 2KMnO4 + 3H2SO4 + 5H2O2 →K2SO4 + 2MnSO4 + 8H2O + 5O2 3) 2KMnO4 + 3H2SO4 + 5H2C2O4 →K2SO4 + 2MnSO4 + 8H2O + 10CO2 2KMnO4 + 5SO2 + 2H2O →K2SO4 + 2MnSO4 + 2H2SO4 5) K2Cr2O7 + 7H2SO4 + 6FeSO4 →K2SO4 + Cr2(SO4)3 + 3Fe2(SO4)3 + 7H2O 6) K2Cr2O7 + 4H2SO4 + 3H2C2O4 →K2SO4 + Cr2(SO4)3 + 7H2O + 6CO2 7) 2HgCl2 + SnCl2 → Hg2Cl2 + SnCl4 8) Hg2Cl2 + SnCl2 → 2Hg + SnCl4 I2 + 2Na2S2O3 →2NaI + Na2S4O6 10) SO2 + 2H2S →3S + 2H2O 11) Cl2 + SO2 + 2H2O →H2SO4 + 2HCl

39 解説 酸化還元反応は以下のようにして作成する。
例 2KMnO4 + 5SO2 + 2H2O →K2SO4 + 2MnSO4 + 2H2SO4 ①酸化剤の反応  1-1 酸化剤の主原子の酸化数の減少数と同数の電子を左辺に加える 1-2 左辺、右辺の電荷が等しくなるようにH+を左辺に加える 1-3 左辺と右辺の原子数を同じにするように水、溶媒(酸)などで調整する  例1-1 MnO4  Mn2+ なら Mn は +7+2 5電子還元・・・ MnO4 + 5e  Mn2+    1-2  MnO4 + 5e + 8H+  Mn2+  1-3 MnO4 + 5e + 8H+  Mn2+ + 4H2O ②還元剤の反応 2-1 還元剤の主原子の酸化数の増加数と同数の電子を右辺に加える 2-2 左辺、右辺の電荷が等しくなるようにH+を右辺に加える 2-3 左辺と右辺の原子数を同じにするように水、溶媒(酸)などで調整する  例2-1 SO2  SO42ならSは+4+6 2電子酸化・・・SO2  SO42 + 2e 2-2 SO2  SO42 + 2e + 4H+ 2-3 SO2 + 2H2O  SO42 + 2e + 4H+ ③酸化剤と還元剤の反応を組み合わせ、電子を消去する  1-3を2倍 + 2-3を5倍・・・2MnO4 + 5SO2 + 2H2O  2Mn2+ + 5SO H +  両辺に陽イオンを加えて調整     2KMnO4 + 5SO2 + 2H2O  2MnSO4 + K2SO4 + 2H2SO4

40 1) 次の反応は化合、分解、置換、複分解のどれか。また、酸・塩基反応、酸化還元反応はどれか
1) CaCO3 → CaO + CO2, 2) 2AgNO3 + Cu → Cu(NO3)2 + 2Ag, 3) BaCl2 + H2SO4 → BaSO4 + 2HCl, 4) S + O2 → SO2, 5) CH3COOH + NaOH → CH3COONa + H2O, 6) 2Al + 6HCl → 2AlCl3 + 3H2 2) 次の化学反応式を適当な係数を入れて完結せよ CaCO3 + HCl (弱酸の塩+強酸)→            (強酸の塩+弱酸) NH4Cl + Ca(OH)2 (弱塩基の塩+強塩基)→       (強塩基の塩+弱塩基) MnO2 + HCl (酸化還元反応 酸化剤+HCl)→ 4) ZnO + NaOH + H2O (両性酸化物=酸 + 塩基)  →         (塩) 1 2 3 4 5 6 酸塩基反応 酸化還元反応 1 2 3 4

41 3) 次の化学反応式及びイオン反応式の係数を求めよ
1) NH3 + O2 → NO + H2O 2) KMNO4 + HCl  →  KCl + MnCl2 + H2O + Cl2 3) Cr2O72- + Fe2+ + H+ →  Cr3+ + Fe3+ + H2O 4) 反応式を記せ 金属ナトリウムと水の反応で水素ガスが発生 2) 金属亜鉛と希硫酸の反応で水素ガスが発生 希硫酸に塩化バリウム の反応で塩化水素ガスが発生 4) 炭酸カルシウムと希塩酸の反応で炭酸ガスが発生 5) 硫化鉄(II) に希塩酸を加える硫化水素ガスが発生  1 2 3 1 2 3 4 5

42 5) イオン式を記す (Fe(OH)3は不溶) 2KOH + H2SO4 →K2SO4 + 2H2O Fe(NO3)3 + 3NaOH → Fe(OH)3 + 3NaNO3 K2Cr2O7 + 4H2SO4 + 3H2O2  →  K2SO4 + Cr2(SO4)3 + 7H2O + 3O2 1 2 3

43 6) 次の反応を式で示す。 塩化バリウム水溶液に、硫酸ナトリウム水溶液を加える。 2) 硫酸銅(II)水溶液に、磨いた鉄釘を入れる。 3) 酸化マンガン(IV)に濃塩酸を加え、穏やかに熱する。 4) 食塩に濃硫酸を加え、穏やかに熱する。 5) 酸化カルシウムに塩酸を加える。 6) 水酸化アルミニウムに水酸化ナトリウム水溶液を加える 炭化カルシウム(カーバイト)に水を加える 8) 銅に濃硝酸を加える 9) 石灰水に二酸化炭素を加えると白濁する(9A) がさらに加え続けると透明溶液となる(9B)。 10)塩化アンモニウムと水酸化カルシュムの混合物を加熱する。 11) 亜鉛に希塩酸を加える。 12) 亜鉛に濃い水酸化ナトリウム水溶液を加える。 13) 銅に熱濃硫酸を加える。 14) 二クロム酸カリウムと希硫酸の混合溶液にエタノールを滴下しながら静かに加熱すると赤橙色の溶液が緑色になり、アルデヒドが生じた(カルボン酸は生じなかったとする)。 15)1N炭酸ナトリウム溶液10 mlを1N塩酸でフェノールフタレインを指示薬として滴定すると5mlで無職となった(15A )。同様の滴定をメチルオレンジを指示薬として行うと10mlで黄色から赤色になった(15B)。

44 7) 次の反応の係数を決め反応式を完結させる
CaCO3 + HCl NaOH + HCl FeCl3 + H2O Mg(OH) 2 + NH4Cl AgNO3 + NaCl Zn + HCl AgCl + NH3 NaCl + H2SO4 KBr + Cl2 10) Ca(OH) 2 + CO2 8) 硫酸鉄(II)の結晶28 gを長時間強熱したところ、酸化鉄(III)8 gが得られた。硫酸鉄(II)の結晶の化学式は次のどれか。ただし、原子量は H=1, O=16, S=32, Fe=55.8とする。 FeSO4・2H2O, b) FeSO4・3H2O, c) FeSO4・5H2O, d) FeSO4・7H2O, e) FeSO4・9H2O 9) 黄鉄鉱(FeS2)1.00 g を酸化剤とともに分解して、硫黄を硫酸に変えたのち、硫酸バリウムとして沈殿させ、その重量をはかったところ3.42 gあった。この黄鉄鉱の硫黄含有率は何%か。また、同じ黄鉄鉱1 Kgから98%硫酸が1.33 Kg得られたとすると、黄鉄鉱中の硫黄の何%が硫酸に転化したことになるか。


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