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光学センサーによる、フェノロジーの衛星リモートセンシング観測
地球研第五プロジェクト地域研究班平成15年度第一回会合 2003年5月2日(金)~3日(土) 総合地球環境学研究所 生態的側面からの研究構想(杉本班) 光学センサーによる、フェノロジーの衛星リモートセンシング観測 筑波大学農林工学系 西田顕郎 フェノロジーリモセンのコンセプト 利用可能な衛星データ 植生季節変化の、衛星観測と地上観測との対応 植生構造の季節変化と陸面過程・リモセン指標の対応 植生季節変化と気候変動の衛星観測 フェノロジー研究のための衛星データの品質について 内容
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「フェノロジー」のリモセン研究のコンセプト
フェノロジー(植生の季節変化)の観測は衛星の得意技。 気候変動は、フェノロジーに顕著にあらわれる 衛星データの季節変化を植生構造の観点でどう解釈すればよいか? 衛星データの季節変化を生態活動の観点でどう解釈すればよいか? 衛星データの季節変化を陸面過程の観点でどう解釈すればよいか? 衛星データの経年変化を気候変動の観点でどう解釈すればよいか? 衛星データの季節変化・経年変化にどのような系統誤差が乗っているのか? すべては「季節変化」する 植生構造: LAI FPAR キャノピー高 生態活動: 蒸散 光合成 独立栄養呼吸 従属栄養呼吸 陸面過程: 蒸発散 融雪・積雪 粗度 アルベド 環境条件: 光環境 温度 水蒸気量 雲量 エアロゾル しかもこれらが複合的に「衛星データ」に反映される 衛星フェノロジー研究は一筋縄ではいかない ←高山フラックスサイトのNDVIの季節変動 蒲生稔氏のウェブサイトより。
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フェノロジー研究に利用可能な衛星データ (とりあえず入手容易なもの)
Sensor/Dataset Spatial Temporal Coverage Period Signals and Products AVHRR/PAL 8km 10day Global NDVI, VNIR, TIR, date AVHRR/SIDAB 1km 10day East Asia NDVI AVHRR/Iwate Univ. 1km 10day East Asia NDVI, VNIR, TIR, date, angle SPOT-Vegetation/S10 1km 10day Global NDVI, VNIR, MIR, date, angle MODIS/Land products 1km 8day Global FPAR, LAI, NPP, VNIR, MIR, TIR 1km 16day Global EVI, NDVI 1km/500m/250m Daily Global VNIR, MIR, TIR
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フェノロジー観測用のリモセンデータに要求されること:
1 観測頻度が高いこと (短期間の季節変化を追うため) 2 長期間の蓄積があること (季節変化を知るには最低複数年のデータが必要) 3 長期間一定の品質管理が行われていること (特に衛星の交替時期) 4 観測日を特定できること (イベントのタイミングを知るため) 5 観測条件(特に太陽高度とセンサー方位)を特定できること (品質管理のため) AVHRR/PAL, 8km, 10day, 1981- ○○△×× AVHRR/SIDAB, 1km, 10day, 1993- ○○△×× SPOT-Vegetation/S10, 1km, 10day, 1998- ○△○○○ MODIS/spectral reflectance, 500m, 8day, 2000- ○×○○○
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植生季節変化の、衛星観測と地上観測との対応
高山フラックスサイト(落葉広葉樹林)の例 三枝・山本・土田(産総研)との共同研究 衛星 地上観測 (三枝、私信) 衛星 衛星 衛星
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GPPは、通年で見ると、衛星ベースの見積もりと地上観測でよく対応。しかし、春先の衛星指標(特にFPAR)の早い増加を反映して、春の活動期の開始が現実よりも早く見積もられている。
地上観測 (三枝、私信) 衛星 衛星+気象データ 衛星 衛星 同じAVHRRセンサーのデータでも、コンポジット処理(間引き・統合)の方法によって、観測される植生季節変動パターンは大きく異なる。
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衛星データによる生態モデルのチューニング
LAIは衛星から推定可能 → LAIが整合するように、陸域生態モデルのプールを調整すればどうなるか? 方法: スピンアップで設定された植生・土壌の炭素・窒素プールを、観測LAIとモデルLAIの比でスケーリングして初期条件とした。生態モデル: Biome-BGC4.1.1、対象:高山サイト、LAIデータ:現地での消散係数法観測と衛星観測(MODIS-LAI) GPPは、地上でのLAI観測データでプールをスケーリングすると、現実的な年積算値となった。NEEは、LAIスケーリングによって土壌呼吸が大きく増え、非現実的な値となった。呼吸はLAIスケーリングをしないランが最も現実的。
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植生の春先のオンセット(CO2の一時的放出)を衛星で捉えることができるか?
橋本・Nemaniとの共同研究,未発表 “Spring belching” detected by AVHRR brightness temperature and NDVI. (Shadowed parts are warmer than 20 degree C and NDVI less than half of the yearly range.)
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植生構造の季節変化と 陸面過程、衛星指標の対応
(地上実験) 筑波大陸域環境研究センター (旧水理実験センター)草地,1999 樋口(名大)との共同研究
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LAI・植被率 潜熱輸送 草丈・色素密度 バルク輸送係数 色素濃度 分光指標 筑波大陸域環境研究センター(旧水理実験センター)草地,1999
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分光指標
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The onset and the offset of greenness detected by the spectral VIs
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― Onset (1999) Offset (1999) Onset (2000) Threshold1) Biophysical property Cv 5/ LAI 6/25 10/ Canopy height 7/2 12/ cm Vegetation index NDVI 4/9 12/15 5/ SAVI 4/20 10/26 5/ SR 5/6 10/11 5/ SR - corrected2) 5/23 9/ ) RVIS /8 12/19 4/ 1) Each threshold is the center of the range of each VIs. 3) Not achieved within the period of observation.
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植生季節変化と気候変動の衛星観測 The Link Between Sea Surface Temperature and Vegetation
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植生指標だけでなく、温度の変動で影響を裏付け
インドシナ半島のNDVI・表面温度の変動と、ENSOおよびDMIの対応 松田(京大)・鼎(東大)との共同研究 植生指標だけでなく、温度の変動で影響を裏付け
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タイの3箇所のフラックスサイト における季節変化
EGAT ・・・ 水田・畑・森林の混合地表面 SKT (Sukhothai) ・・・ 水田 KGM (KogMa) ・・・ 熱帯季節林
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3サイトにおける NDVI・表面温度の変動と、 ENSOおよびDMIの対応
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NOAA/AVHRRの放射温度アノマリーに 衛星軌道ドリフトが与える影響 →
衛星データの品質 エアロゾル・・・ ピナツボ → NDVI低下、Ts低下(?) 水蒸気・雲 → NDVI低下、Ts低下 軌道ドリフト(太陽高度の低下) → NDVI上昇、Ts低下(!!!???) 補正前 NOAA/AVHRRの放射温度アノマリーに 衛星軌道ドリフトが与える影響 → Gutman, 1999, Int. J. Rem. Sens 20(17) 衛星の上空通過時刻がだんだん夕方遅くになる→地表面温度は当然下がる 補正後
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太陽高度の(季節)変化は大きなノイズ要因
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植生指標の、フェノロジーによる振幅と方向性による振幅の比較
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― date NDVI SAVI Simple Ratio Red Edge phenology 4/15-12/ (100%) 0.40 (100%) 10.7(100%) 18nm(100%) sun angle 8/ (10%) (26%) 3.2 (30%) 2.5nm(14%) 8/ (14%) (17%) 2.6 (24%) 5.0nm(28%) view angle 6/ (22%) (10%) 4.4 (41%) 2.3nm(13%) 8/ (6%) (15%) 3.1(29%) 5.3nm(29%) average (13%) (17%) (31%) (21%) 1999年、筑波大学陸域環境研究センター草地での観測結果。 Nishida, Higuchi, and Iida: Seasonal change of the biophysical properties and the spectral vegetation indices of a grassland site. (投稿中)
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今後の課題 1.衛星データ解析 2.地上データとの対応 3.モデルとの協力 4.高次情報用アルゴリズムの開発
日単位のデータは必要か?(作業量的に大きな判断) センサーフュージョン(複数衛星の併用)の可能性 高空間分解能データ(ASTER、Landsat)によるスケール検証(ミクセル問題) 方向性データ(MISR、ATSR)による観測方向の影響の検討 TRMM/VIRSによる太陽高度の影響の検討 2.地上データとの対応 地上でのLAI・FPARなどの時系列データが不十分。 早い春の立ち上がりと、秋の活性減少をどう捉えるか? 下層条件(積雪、下草)の影響評価を・・・林冠・林床の様子の地上定点観測が必要 3.モデルとの協力 広域のフェノロジーモデルへ、キャリブレーションデータを提供 リモセン用キャノピー放射伝達モデルと生態モデル、陸面過程モデルの結合が必要。 4.高次情報用アルゴリズムの開発 有効エネルギーの分配比 (蒸発比もしくはボーエン比) ・・・・ MOD16として開発中 水ストレス、光合成効率
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USGS/AVHRR-1kmデータセットによる、 インドシナ半島の蒸発比の分布推定
高次の衛星フェノロジープロダクトの例 USGS/AVHRR-1kmデータセットによる、 インドシナ半島の蒸発比の分布推定 1993年3月11日~20日 全体の蒸発比 裸地の蒸発比 植生の蒸発比 植被率
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文献 Nishida, K., Nemani, R. R., Running, S. W., Glassy, J. M. (2003): An operational remote sensing algorithm of land surface evaporation. Journal of Geophysical Research D, accepted. Nishida, K., Nemani, R. R., Running, S. W., Glassy, J. M. (2003): Development of an evapotranspiration index from Aqua/MODIS for monitoring surface moisture status. IEEE Transactions of Geoscience and Remote Sensing, 41(2) 西田顕郎・松田咲子・鼎信次郎:インドシナ半島における地表面状態の経年変動・季節変動と、降雨・エルニーニョ.水文・水資源学会誌,準備中 Nishida, K., Higuchi, A., and Iida, S. (2003?): Seasonal change of biophysical properties and vegetation indices of a grassland site. Remote Sensing of Environment, 準備中 Higuchi, A., Nishida, K., Kondoh, A., Tanaka, K., Ebisu, N., Iida, S., and Nakakita, E., (2003?), Seasonal variations in spectral vegetation indices derived from radiation-based vegetation monitoring system at typical land covers in Japan. Agricultural and Forest Meteorology, 準備中
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