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Case 1 まず何を疑いますか? 76歳女性。 主訴:意識障害、左片麻痺
現病歴:認知症と不整脈を指摘されている、施設入所中の76歳の女性。本日朝になっても起きてこなかったので介護士が見に行ったところ、意識状態が悪く、救急車にて搬送された。 現症:血圧162/98 、脈拍数68/分、体温36.2、呼吸数14/分、瞳孔3mm/3mm、対抗反射+/+、右共同偏視あり、左上下肢脱力、 心電図で心房細動 まず何を疑いますか?
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Japan Coma Scale
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意識障害の鑑別診断 アイウエオチップスで覚える。 Aア:急性アルコール中毒 Iイ:インスリン Uウ:Uremia(尿毒症)
Eエ:Endocrine(内分泌) Oオ:Oxygen, opiate(低酸素血症、麻薬) Tチ:Trauma,Temperature(外傷、体温異常) Iイ:Infection(感染症) Pプ:Psychiatric, porphyria(精神疾患、ポルフィリア) Sス:Syncope, stroke(失神、脳卒中) 少なくとも低血糖症の否定をまず行う。
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意識障害の鑑別診断 中年以上では脳卒中(脳出血、脳梗塞〔脳血栓〕、くも膜下出血など)、一過性脳虚血発作、子どもではけいれんといっしょに起こるてんかん、高熱の出たときに起こる熱性けいれんを伴う意識障害などを考える。 まれな重病としては、心臓病からくる意識消失(徐脈によるアダムス・ストークス症候群やショック)、糖尿病・腎臓病・肝臓病などが悪化して起こる昏睡、外傷や内臓からの大出血(吐血など)によるショックなどがみられる。
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意識障害患者における鑑別診断 参考でしかないが、バイタルサインの重要性が分かる。血圧が高い場合には脳病変がある可能性が高い。
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問1 脳卒中を疑ったときにまず行う検査は? 回答は、脳CTでも脳MRIでもない。血糖測定。
問1 脳卒中を疑ったときにまず行う検査は? 回答は、脳CTでも脳MRIでもない。血糖測定。 脳卒中だと思っても約20%は異なっている。これをStroke mimic(脳卒中もどき)という。 特に意識障害がある場合には、stroke mimicである場合が多く、脳梗塞の診療ではなく、意識障害の鑑別から入るべきである。 Stroke mimicの中では、低血糖、心血管障害、septic encephalopathy(敗血症性脳症)が重要。
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低血糖における脳卒中様症状 低血糖発作の時に、脳卒中様症状(片麻痺、言語障害、意識障害、不穏など)を呈することは珍しくない。脳卒中様症状を見た場合は必ず血糖検査を施行しなければならない。低血糖発作による片麻痺は日本人の場合、ほとんどが右側である。これは優位半球と劣位半球の血糖の閾値に関するものと考えられている。 以下のような主症状の時には低血糖を疑う。 1)心肺停止、ショック (2)意識障害、失神 (3)痙攣 (4)脳の巣症状(片麻痺、言語障害など)
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何を考えて、次に何をすべきですか? Case 68歳男性。主訴:右上腕脱力、口角下垂
高血圧、糖尿病で当院内科かかりつけ。家族より内科外来へ電話が入り、その内容から、内科外来ではなく救急外来対応したほうがよいだろうと電話をうけた看護師が判断した。その看護師から救急外来へ連絡が入った。 「68歳男性のかかりつけの方ですが、脳梗塞のようです。」 「症状は右上腕脱力、口角下垂です。」 何を考えて、次に何をすべきですか?
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問2 脳梗塞は心原性塞栓症、アテローム血栓症、ラクナ梗塞の3種類があるが、本症例はどの病型か?
問2 脳梗塞は心原性塞栓症、アテローム血栓症、ラクナ梗塞の3種類があるが、本症例はどの病型か? 回答:心原性塞栓症。 心原性塞栓症は以下の組み合わせで判断される。 1.心疾患の存在 2.突発完成・重度な症状などの症候学的特徴 3.多発梗塞・再開通所見 心疾患としては、約1/2で弁膜症を伴わない心房細動、約1/3で左室壁在血栓、約1/4で弁膜性心疾患がある。
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脳梗塞の3型 脳梗塞とは脳血管が何らかの原因でつまってしまい、その血管によって栄養されていた部分の脳神経細胞が傷害される状態をさす。脳梗塞にはおおきく3種類があり、大きな脳血管自身が動脈硬化によって閉塞してしまうアテローム血栓性脳梗塞(図の中)、脳内の小血管が閉塞するラクナ梗塞(図の左)、心臓や頚部の血管にできた血液の塊がその場所からはがれて、血流に乗って先のほうの血管につまってしまう脳塞栓(図の右)がある。
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脳梗塞のMRI所見 心原性脳梗塞 アテローム性脳梗塞 ラクナ脳梗塞 脳の深いところに小さな脳梗塞を認める(矢印)。
心原性脳梗塞 アテローム性脳梗塞 ラクナ脳梗塞 脳の深いところに小さな脳梗塞を認める(矢印)。 脳表面に比較的大きな脳梗塞を認める(矢印)。 脳表面に大きな脳梗塞を認める(赤楕円)。
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Case 2 何を疑うか? 64歳男性。 主訴:意識障害、右片麻痺
現病歴:糖尿病、脂質異常症、肥満症治療中であったが、昨日昼ごろより右上下肢に力が入りにくくなったが、改善したので病院へ行くのを拒否していた。今朝は何もなかったが、夕刻に倒れているのを発見されて救急車にて搬送されてきた。 現症:意識状態は傾眠傾向、バイタルサインには問題なし、瞳孔は問題なし、右上下肢脱力、血糖は問題なし。 何を疑うか?
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問3 Case2はどの病型か? 回答:アテローム血栓症。
脳梗塞の診断には、MRIが有効であり、早急に検査する必要がある。本症例では、左中大脳動脈領域に拡散強調MRI画像にて高信号領域を認め、MRA にて中大脳動脈に95%の狭窄を認めた。 アテローム性動脈硬化症によって狭窄・閉塞が原因で、TIA(一過性脳虚血発作)の先行が20-30%に認められる。 神経症状が数日にわたって段階的に悪化しやすいため、積極的に治療が可能。
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MRI diffusion weighted image
脳梗塞の早期診断 MRI diffusion weighted image diffusionと呼ばれる拡散強調画像。 矢印の白く高信号の部分は、脳梗塞だが、この拡散強調画像は、急性期脳梗塞の診断に有用。
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MRA (MR angiography) (1) 頭部MRA画像(正常画像) (2) 頭部MRA画像(脳梗塞疾患) 造影剤を使わずに脳血管の立体像を描出し、あらゆる角度から脳血管を観察でき、脳血管の狭窄部位や未破裂動脈瘤を発見できる。 また、必要に応じて造影剤を使用し、より正確な診断ができる。
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Case 3 何を疑うか? 82歳男性。 主訴:発語障害、右手の脱力
現病歴:高血圧症を指摘されているも未治療であった。本日昼、奥さんと会話中に呂律が回らず、左手に力が入らなくなってきたため、来院。 現症:意識清明、バイタルサインには問題なし、瞳孔は問題なし、右Barre徴候陽性、血糖は問題なし。 何を疑うか?
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問4 Case3はどの病型か? 回答:ラクナ梗塞。
本症例では、MRIDWIにて放射冠に径10mmの高信号域を認め、MRAでは狭窄・閉塞は認めなかった。 ラクナ梗塞は脳内主幹動脈から分岐する穿通枝動脈閉塞によって生じる病巣で、大脳深部白質あるいは脳幹に出現する15mm以下の小梗塞を指す。 臨床所見として、皮質症状、共同偏視、意識障害は原則としてみられない。 ラクナ梗塞の予後はもっともよく、安心できる病型。
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片麻痺の感度の高い検出法:バレー徴候 上肢の検査:まず両腕を手のひらを上にして前方に水平に挙上させ、閉眼させて、そのままの位置に保つように命ずる。麻痺側の上肢は回内し、しだいに下降する。錐体路障害では、回内筋のトーヌスが回外筋よりも強くなり、また屈曲筋が伸筋よりもトーヌスが強くなるためである。 下肢の検査:患者を腹臥位として、両側の下腿を約135°ぐらいに保持させる。麻痺側は自然に落下する。錐体路障害では伸筋のトーヌスが屈曲筋のそれより強くなるためである。上肢と下肢の軽い不全麻痺をみるのによい方法である。
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脳梗塞の初期治療(呼吸) 推 奨 1. 低酸素血症が明らかでない軽症から中等症の脳卒中患者に対して、ルーチンに酸素を投与することが有用であるという科学的根拠はない(グレードC2)。 2. 意識障害の原因の一つが呼吸障害と考えられる急性期脳卒中患者に対しては、気道確保や人工呼吸管理を行うことが望ましい(グレードC1)。
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脳梗塞の初期治療(血圧) 推 奨 1. 脳卒中発症直後の高血圧に対する管理は、高血圧性脳症、クモ膜下出血が強く疑われる場合以外は病型診断が確定してから行って良い。また降圧薬を使用する前に、痛み、嘔気、膀胱の充満などにより血圧が上昇しているのではないかを検討すべきである。一方、著しい低血圧(ショック)は輸液、昇圧薬などで速やかに是正すべきである(グレードC1)。 2. 脳梗塞急性期では、収縮期血圧>220mmHgまたは拡張期血圧>120mmHgの高血圧が持続する場合や、大動脈解離・急性心筋梗塞・心不全・腎不全などを合併している場合に限り、慎重な降圧療法が推奨される(グレードC1)。 3. 血栓溶解療法を予定する患者では、収縮期血圧>185mmHgまたは拡張期血圧>110mmHg以上の場合に、静脈投与による降圧療法が推奨される(グレードB)。
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脳梗塞の初期治療(栄養) 推 奨 1.高血糖または低血糖はただちに是正すべきである(グレードB)。
推 奨 1.高血糖または低血糖はただちに是正すべきである(グレードB)。 2.低栄養例では十分なカロリーや蛋白質などの補給が推奨される(グレードB)。
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脳梗塞の初期治療(抗脳浮腫) 推 奨 1. 高張グリセロール静脈内投与は、脳卒中一般の急性期の死亡を減らすが、治療効果はそれほど大きくなく、長期的予後や機能予後に関する効果は明らかではない。本療法は頭蓋内圧亢進を伴う重篤な脳卒中の急性期に推奨される(グレードB)。 2. マンニトールは脳卒中急性期に有効とする明確な根拠はない(グレードC1)。 3. 副腎皮質ホルモン投与が脳卒中急性期に有効であるという明確な根拠はない(グレードC2)。
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脳梗塞の初期治療(合併症対策) 感染症 1. 脳卒中は一般に呼吸器感染、尿路感染、転倒、皮膚損傷など急性期合併症の頻度が高く、発症前から機能障害がある例、重症脳卒中既往例や、高齢者例に特に合併症が多い。合併症があると死亡率のみならず機能的転帰も悪くなるので積極的に合併症予防と治療に取り組むことが推奨される(グレードB)。 2. 急性期から理学療法や呼吸リハビリテーションなどを積極的に行うことは、肺炎の発症を少なくするために推奨される(グレードB) 消化管出血 高齢や重症の脳卒中患者では特に消化管出血の合併に注意し、抗潰瘍薬(H2受容体拮抗薬)の予防的静脈内投与が推奨される(グレードC1)。 発熱 1. 脳卒中急性期の体温上昇時は、解熱薬投与による体温下降が推奨される(グレードC1)。 2. 脳卒中(特に脳梗塞)急性期の治療的低体温が有効であるという根拠は現段階ではまだない(グレードC1)。
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推奨される脳梗塞治療薬一覧 心原性脳梗塞 アテローム血栓症 ラクナ梗塞 エダラボン (ラジカット) ○ △ アルガトロバン (スロンノン)
発症24時間以内 重症腎機能障害は禁忌。肝機能・心機能低下例は注意 アルガトロバン (スロンノン) ☓ ー 発症48時間以内で病変の最大径>1.5cmの脳血栓症 抗凝固療法 出血傾向、脳塞栓、大梗塞では禁忌 アスピリン ◎ 48時間以内に開始 mg/日 オザクレル (キサンボン) 抗血小板薬。発症5日以内の脳血栓症に グリセリン (グリセオール) 頭蓋内圧亢進症状を伴う場合 10%グリセオール10-12ml/kgを数回に分けて
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脳梗塞の治療アルゴリズム 脳梗塞患者 病型にかかわらずrt-AP 投与 Rt-PA投与可能か? ラクナ梗塞 オザクレル エダラボン
アテローム血栓症 オザクレル エダラボン アルガトロバン 心原性塞栓症 へパリン エダラボン 急性期 抗血小板薬 アスピリン クロピドグレル ワーファリン 慢性期
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Recombinant tissue plasminogen activator (rt-PA)
適応:発症3時間以内の脳梗塞 症状の改善、消失がない 軽症でない 禁忌:1.既往歴(頭蓋内出血、3時間以内の脳梗塞、3カ月以内の頭部外傷、 21日以内の消化管出血、14日以内の大手術) 2.臨床所見(けいれん、くも膜下出血、出血の合併、頭蓋内腫瘍、脳 動脈瘤、脳動静脈奇形、もやもや病)、高血圧 3.血液所見(血糖値異常、血小板減少10万以下、重篤な肝障害、急 性膵炎) 4.画像所見(CTで広範な虚血性変化、CT, MRIでの圧排所見)
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一過性脳虚血発作 定義:一過性脳虚血発作とは、脳の虚血によって一過性(24時間以内)の神経症状を呈する発作をさす。 発症メカニズム:
1)微小栓子による塞栓 2)脳血管不全 治療 脳梗塞に準ずる。
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Case 4 55歳男性。夕方の忙しいER外来を受診。「いつも通り仕事をしていたら、急に目の前がぐるぐると回りだしたんです。そのあとに何回か吐いたんですが、今は落ち着きました」との訴え。10年前より高血圧を指摘されているが治療は受けていない。診察上は有意な脳神経学的所見を認めなかった。 ここまでで何を疑いますか? この患者さんの次の検査は?
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脳卒中や内耳性めまいなどが考えられるが、神経学的所見がないからといって、脳CT検査などを省略してはならない。
神経学的所見がなかったことから、点滴をしながら様子を見ていたところ、1時間後に患者は呼びかけに反応しなくなってしまった。緊急頭部CT検査にて小脳に脳幹を圧迫する広範な出血を認めたため、緊急血腫除去術が施行され、そのままICU入院となった。
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出血性Cerebrovascular disease (CVD)
1.脳内出血 2.くも膜下出血 3.硬膜下出血 脳内出血 原因:微小動脈瘤(穿通枝にできやすい) 基礎疾患としては高血圧 発症部位:被殻出血(50%) 視床出血(30%) 脳動脈瘤の発生機序
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脳出血の好発部位と頻度 被殻出血 約40~50% 視床出血 30% 大脳皮質下出血10~15% 小脳出血5% 脳幹出血5~10%
被殻出血 約40~50% 視床出血 30% 大脳皮質下出血10~15% 小脳出血5% 脳幹出血5~10% 大脳基底核部の出血(被殻と視床)が全体の70%以上を占める。 被殻と視床の間に手足の運動を支配する神経が通っているため、麻痺が起こりやすい。
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神経学的所見と部位診断
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どちらか一方を睨んでいたら手術を考え、四肢まひがなければ(小脳出血を疑い)、急変の可能性がある。
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脳出血の初期治療(呼吸) 推 奨 1. 低酸素血症が明らかでない軽症から中等症の脳卒中患者に対して、ルーチンに酸素を投与することが有用であるという科学的根拠はない(グレードC2)。 2. 意識障害の原因の一つが呼吸障害と考えられる急性期脳卒中患者に対しては、気道確保や人工呼吸管理を行うことが望ましい(グレードC1)。
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脳出血の初期治療(血圧) 推 奨 1. 収縮期血圧>180mmHg、拡張期血圧>105mmHgまたは平均血圧>130mmHgの高血圧が20分持続する場合、慎重な降圧療法が推奨される(グレードC1)。 高圧目標は設定されていないが、140/90 mmHgを目標にする。
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脳出血の初期治療(抗脳浮腫) 推 奨 1. 高張グリセロール静脈内投与は、脳卒中一般の急性期の死亡を減らすが、治療効果はそれほど大きくなく、長期的予後や機能予後に関する効果は明らかではない。本療法は頭蓋内圧亢進を伴う重篤な脳卒中の急性期に推奨される(グレードB)。 2. マンニトールは脳卒中急性期に有効とする明確な根拠はない(グレードC1)。 3. 副腎皮質ホルモン投与が脳卒中急性期に有効であるという明確な根拠はない(グレードC2)。
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脳出血の初期治療(合併症対策) 感染症 1. 脳卒中は一般に呼吸器感染、尿路感染、転倒、皮膚損傷など急性期合併症の頻度が高く、発症前から機能障害がある例、重症脳卒中既往例や、高齢者例に特に合併症が多い。合併症があると死亡率のみならず機能的転帰も悪くなるので積極的に合併症予防と治療に取り組むことが推奨される(グレードB)。 2. 急性期から理学療法や呼吸リハビリテーションなどを積極的に行うことは、肺炎の発症を少なくするために推奨される(グレードB) 消化管出血 高齢や重症の脳卒中患者では特に消化管出血の合併に注意し、抗潰瘍薬(H2受容体拮抗薬)の予防的静脈内投与が推奨される(グレードC1)。 嚥下障害 1. 経口摂取が困難な場合、経皮的内視鏡下胃廔造設術(percutaneous endoscopic gastrostomy:PEG)が推奨される(グレードA)
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