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国立大学法人(国立大学)の 授業料免除政策について
大学教育学会第33回大会 6月5日(日) 桜 美 林 大 学 鳥 居 聖(桜美林大学)
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戦前の官立高等諸学校の授業料政策 ・授業料の根拠 分科大学通則 第七 授業料及び其他ノ費用 後の改正で
分科大学通則 第七 授業料及び其他ノ費用 後の改正で 第五 特待学生、第六 貸費 が分立される ↓ ↓ ↓ ↓ 帝国大学では、当初から正規の授業料を徴収する学生と授業料を 免除する特待学生が存在していた なお、文部省直轄学校の授業料は、大蔵省の税外収入として納付せず、学校ごとに使用もしくは積置くことが認められていた
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授業料は如何ほどであったか ・帝国大学 各分科大学
明治24年東京遊学案内(文淵編述)より ・帝国大学 各分科大学 一ヶ月授業料 貳圓五拾銭 七八の二ヶ月は夏季休業、授業免除。特待生は毎学年末其学年試験の成績により、大学総長の認可を経て各分科大学長之を定め、其学年内の授業料を免ず。学力優等品行方正にして学費支弁の途なき者は、年額八十五圓以内の貸費を支給することあり。 ・高等商業学校 本科 廿五圓(二十五圓) ・東京工業学校 本科 十五圓 ・東京商船学校 生徒を自費、貸費の二種となし、 其一ヶ月間の修学費を毎月八圓と定めたり。 貸費生は、其卒業の後貸与金の還納を終わる迄は 本校の指命に遵って船舶に乗組み、毎月俸給高 五分の一以上の金額を以て還納せしむ。
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私立専門学校 ・東京美術学校 普通科 拾圓 ・東京音楽学校 本科 壱圓 一ヶ月授業料(年拾圓)
・東京美術学校 普通科 拾圓 ・東京音楽学校 本科 壱圓 一ヶ月授業料(年拾圓) となっており、官立学校間でも授業料については統一性がない。 私立専門学校 ・明治法律学校(明治大) 一圓 毎月授業料 ・東京法学院(中央大) 一圓 毎月授業料 ・東京専門学校(早稲田大) 十九圓 ・慶応義塾専門部 三十圓 となっていた。 なお、新卒法学士が行政職に就職した場合に、明治23年に年報600圓 (月割50圓)であった。
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戦後の国立大学の授業料政策 国立学校における授業料その他の費用に関する件 授業料免除が法制化された 「文部省令第十八号」
「文部省令第十八号」 (昭和22年8月25日) ・国立学校における授業料その他の費用に関して、文部大臣の認可を受けて、 校長が定める。 ↓ ↓ ↓ 東京大学の授業料は360円となった。翌23年には600円、24年には1,800円、25年には3,600円、27年には6,000円、31年9,000円となった。 ・校長は、休学中の者及びやむを得ない事情により学費の支弁が困難と認められる者に対して、授業料の全部若しくは一部を免除し、又はその徴収を猶予することができる。 ↑ ↑ ↑ 授業料免除が法制化された
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文部省令第十八号(昭和二十二年八月二十五日)
国立学校における授業料その他の費用について、次のように定める。 昭和二十二年八月二十五日 文部大臣 森戸 辰男 学校教育法第六条第二項の規程により、国立学校において徴収する授業料その他の費用に関しては、文部大臣の認可を受けて、校長(学長及び園長を含む。以下同じ。)が、これを定める。 校長は、休学中の者及びやむを得ない事情により学費の支弁が困難と認められる者に対して、授業料の全部若しくは一部を免除し、又はその徴収を猶予することができる。 附 則 この省令は、昭和二十二年四月一日から、これを適用する。 この省令は、学校教育法第九十八条第一項の規定により、従前の規定による学校として存続する官立学校において徴収する授業料その他の費用に関して、準用する。 この省令適用の際、現に従前の例により、授業料その他の費用に関して認可された事項は、これを、この省令によって、認可されたものとみなす。
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・国立の学校における授業料その他の費用に関する省令「文部省令第九号」 (昭和36年4月1日)
・国立の学校における授業料その他の費用に関する省令「文部省令第九号」 (昭和36年4月1日) ・大学学部の授業料は年額9,000円と定められた ↓ ↓ ↓ 前述の省令は廃止 授業料は校長が定めるから文部大臣が定めることに変更 授業料免除の規定が、省令から取扱要領(文部省通知)に各下げ ・国立学校の授業料等免除及び徴収猶予取扱要領」 (昭和35年9月26日文部大臣裁定) この取扱要領に基づき、文部省は各国立大学に各年度の授業料免除の取扱い についての通知を出し、免除実施可能額を示した。 国立大学法人化直前の平成15年度の免除実施可能額は授業料収入予定額の 5.3%に相当する額となっている。 この通知に基づき、各国立大学は在学する学生に対して、授業料免除選考基準 に基づきそれぞれ免除実施可能額の範囲内で全額免除、半額免除の学生を選考 した。 なお、免除実施可能額に残額が出た場合には文部省に返還し、免除実施可能額 が不足している大学に再配分されていた。
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文部省令第九号 国立学校設置法(昭和二十四年法律第百五十号)第十三条の規定に基づき、国立の学校における授業料その他の費用に関する省令を次のように定める。 昭和三十六年四月一日 文部大臣 荒木萬壽夫 国立の学校における授業料その他の費用に関する省令(抄) (趣旨) 第一条 国立の学校における授業料その他の費用に関しては、他の法令に別段の定めのある もののほか、この省令のさだめるところによる。 (授業料、入学料及び検定料の額) 第二条 国立の学校において徴収する授業料(幼稚園にあつては、保育料。以下同じ。)、 入学料(幼稚園にあつては、入園料。以下同じ。)及び検定料の額は、次の表のとおりとする。 授業料 入学料 検定料 学部 年額 九、〇〇〇円 一、〇〇〇円 一、〇〇〇円 附 則 2 国立学校における授業料その他の費用に関する件(昭和二十二年 文部省令第十八号)は、 廃止する。 3 この省令施行の際第2条に定める授業料の額と異なる額によることと されていた者に係る授業料の額については、なお従前の例による。 4 この省令施行前において、従前の例により行なわれた文部大臣の認可は、この省令により行なわれた承認とみなす。
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国立大学法人での授業料免除の 実態について
(法人化前) ・授業料免除額は授業料収入予定額の5.3%に相当する額が予算化 ↓ ↓ ↓ (法人化後) ・各国立大学法人で自ら規則の制定や予算を組んで、授業料免除に対応 ◎分析手法 ・H17年度以降について、各大学のデータ(学部)を授業料免除割合 (授業料免除額/学生数、免除学生数/学生数)に集計 ・この授業料免除割合に変動があったのか無かったのかを分析
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12文科高第295号 平成13年3月28日 各国立学校長あて 文部科学省高等教育局長通知 授業料免除選考基準の運用について 国立学校における授業料免除制度は、経済的な理由によって授業料の納付が困難で、かつ、学業優秀と認められる者等にその納付を免除することにより、修学継続を容易にするもので、学生に対する奨学援護の一環として重要な役割を果たしておりますが、平成13年度以降における授業料免除の対象者の選考に当たっては、左記の事項に留意の上、制度の趣旨に従い遺漏のないよう願います。 なお、「授業料免除選考基準の運用について」(平成10年3月5日付け 文高学第104号高等教育局長通知)は、廃止します。 記 一 家計について (一) 授業料免除の対象者となる者は、その者の属する世帯の一年間の総所得金額が全額免除にあっては別表第一、半額免除にあっては別表第二の収入基準額以下の者であること。この場合、総所得金額の算定は別添「総所得金額の算定方法」によること。
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別表第1 全額免除に係る収入基準額表 区分世帯人員 1人 880,000円 、2人 1,400,000円
別表第1 全額免除に係る収入基準額表 区分世帯人員 1人 880,000円 、2人 1,400,000円 3人 1,620,000円 、4人 1,750,000円 5人 1,890,000円 、6人 1,990,000円 7人 2,070,000円 (備考) 世帯人員が7人を超える場合は、1人増すごとに80,000円をそれぞれ世帯人員7人の収入基準額に加算する。 別表第2 半額免除に係る収入基準額表 区分世帯人員 1人 1,670,000円 、2人 2,660,000円 3人 3,060,000円 、4人 3,340,000円 5人 3,600,000円 、6人 3,780,000円 7人 3,950,000円 (備考) 世帯人員が7人を超える場合は、1人増すごとに170,000円をそれぞれ世帯人員7人の収入基準額に加算する。
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なお、授業料免除の対象者の選考については、「授業料免除選考基準の運用について」(高等教育局長通知)に留意の上、実施されるよう願います。 記
14文科高第783号 平成15年2月26日 各国立学校長あて 文部科学省高等教育局長通知 授業料免除の取扱いについて 「国立学校の授業料等免除及び徴収猶予取扱要領」(昭和35年9月26日文部大臣裁定。以下「取扱要領」という。)による平成15年度の国立学校の学生生徒に係る授業料免除の取扱いについては、左記のとおりとしますので遺漏のないようお取り計らい願います。 なお、授業料免除の対象者の選考については、「授業料免除選考基準の運用について」(高等教育局長通知)に留意の上、実施されるよう願います。 記 1 各国立学校における授業料免除の総額は、次表の「免除実施可能額」欄に掲げる額を限度とすること。 1 大学の学部、大学院、専攻科及び別科の学生 「免除実施可能額」 授業料収入予定額の5.3%に相当する額
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明らかになったこと ◎いずれの年度も免除割合において各大学間での格差が顕著 ・平成17年度 延べ免除割合(延べ免除学部学生数/学部学生数)の
延べ免除割合(延べ免除学部学生数/学部学生数)の 平均14.0% 平均延べ免除額213,189円 10%以下が14大学、20%以上が8大学。 ・平成18年度 免除割合(免除学部学生数/学部学生数)の平均が9.3% 6%以下が7大学、15%以上が3大学。平均免除額335,212円 ・平成19年度 免除割合(同上)の平均が9.6% 6%以下が6大学、15%以上が4大学。平均免除額329,617円 ・平成20年度 免除割合(同上)の平均が9.8% 6%以下が7大学、15%以上が3大学。平均免除額327,456円
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・平成21年度 免除割合(同上)の平均が10.5% 6%以下が5大学、15%以上が6大学。 平均免除額319,730円 ・学部での授業料免除金額(各国立大学の総計) H17年度 137億2,810万円 →H18年度 143億2,362万円 →H19年度 145億2,917万円 →H20年度 145億2,989万円 →H21年度 151億4,242万円 この5年度で13億9,632万円の増額となっている。 ・授業料免除を受けた学生数の推移 H17年度 64,394人(延べ) →H18年度 42,730人 → H19年度 44,079人 → H20年度 44,372人 → H21年度 47,360人 この4年度で4,630人の純増となっている。 ・各大学の授業料免除基準が大きく変更されてはいない
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・学生生活調査(JASSO)の結果(H16→H20)では、家庭の
年間収入(国立昼間平均)は7,710 →7,920千円とほぼ横ばい ・H21年度/H18年度の免除割合(同上)の推移について、 100%未満は24大学 うち 80%未満は 3大学 120%以上は29大学 うち140%以上は14大学 ・ H21年度/H17年度の免除額の推移について 100%未満は29大学 うち 80%未満は 4大学 120%以上は27大学 うち140%以上は17大学 ・ H21年度/H17年度の免除額の増減について +1億円以上 3大学 △1億円以上 1大学
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考察 学生規模 × 特性別区分 地域ブロック別 ・なぜ国立大学間で免除割合が違うのか 原因 ・今後の課題(可能性の模索)
原因 学生規模 特性別区分 地域ブロック別 × ・今後の課題(可能性の模索) 自宅生/自宅外生の割合の差か 大学所在地の平均収入の差か 大学の免除スタンスの違いか
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