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教材内容例と指導事項 セッション4-1 学習指導・教職員研修用教材内容例 情報モラル指導者養成研修検討委員会

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1 教材内容例と指導事項 セッション4-1 学習指導・教職員研修用教材内容例 情報モラル指導者養成研修検討委員会
情報モラル指導についての,研修会や実際の学習指導で活用することのできる,公的に作成された教材とその概要についてお話します。 ここで紹介する物以外にも,都道府県教育委員会で作成・提供されているものや,教材会社等によって作成・販売されている物などがあります。 情報モラル指導者養成研修検討委員会

2 教材の種別 教員研修用教材 児童生徒指導用教材 教材の形態 情報モラル指導についての理解 指導の中で利用で,場面共有,説明
映像  実写ビデオ      アニメーション Web  マルチメディア素材・体験型教材 スライド資料・ワークシート等 文献 各種ガイドブック(省庁・教育団体)   教科書等 情報モラル指導の教材は,その目的として「教員の研修で使う教材」と「児童生徒の指導で使う教材」があります。 「研修で使う教材」は,情報モラル指導について,その必要性,内容,指導方法の理解を深めるものと,その補助資料です。 「児童生徒の指導で使う教材」は,情報モラルの課題について場面を共有して考えるためのものや,情報や情報社会の特質について説明するなどして理解を深めるものがあります。 教材の形態としても,映像で示されるものや,ネットワークを通じて実際に体験するもの,本や印刷物になっているものがあります。児童生徒や受講者の年齢や過去の学習経験などの状況や,指導や研修の目的によって使い分けられます。

3 教員研修用教材 情報モラル指導者養成研修ハンドブック H21 親子のためのネット社会の歩き方 H21 情報モラル指導ポータルサイト H19
教員のICT活用指導力チェックリスト  H18 情報モラル研修教材  H17 情報モラル等指導サポート事業        H17 情報モラル授業サポートセンター    H15 インターネット活用のための情報モラル指導事例集  H12 インターネット活用ガイドブック,モラル・セキュリティ編 H11 はじめに,教員の研修用の教材についてみてみましょう。 教員の研修用の教材には インターネット活用ガイドブック,モラル・セキュリティ編 インターネット活用のための情報モラル指導事例集 情報モラル研修教材 情報モラル授業サポートセンター 教員のICT活用指導力チェックリスト 5分でわかる情報モラル 情報モラル指導ポータルサイト  があります。この後,一つずつ見ていきましょう。

4 情報モラル指導者養成研修ハンドブック 内容
H21年  文部科学省・CEC 内容 統括的な指導事項 校内研修実施カリキュラムの設計 校内研修の指導方法 情報モラル指導の基本的な考えが書かれています。  学校でのインターネット利用とともに,課題となる影の部分への対応が求められるなかで  光と影について理解し,指導すべき内容・考え方が整理されています。  全校に配布されたはずですが,現在ではPDFでの入手は可能です。 4

5 親子のためのネット社会の歩き方(保護者編)
H21年  (財)JKA・CEC 内容 子ども達のネット・携帯電話事情 トラブルに巻き込まれないために ネット社会は、こんな社会 もし、子どもがトラブルに巻き込まれたら ネット社会を生き抜く子どもを育てる 情報モラル指導の基本的な考えが書かれています。  学校でのインターネット利用とともに,課題となる影の部分への対応が求められるなかで  光と影について理解し,指導すべき内容・考え方が整理されています。  全校に配布されたはずですが,現在ではPDFでの入手は可能です。 5

6 情報モラル指導ポータルサイト http://www.japet.or.jp/moral-guidebook/ H19 文部科学省・JAPET
キックオフガイド 冊子は全国各学校に配布 情報モラル指導モデルカリキュラム 情報モラル指導モデルカリキュラムに沿って200の実践事例を分類・検索可能 情報モラル指導の体系化を進めたものです。 情報モラル指導モデルカリキュラムが作成され,キックオフガイドは冊子として,全国の学校に配布され,パンフレットが教員に配布されました。そのweb版です。Web版の機能を生かし,情報モラル指導モデルカリキュラム キックオフガイドは冊子として配布されたので,掲載されている事例等は限られていますが,さらに多くの事例を見られるだけではなく,モデルカリキュラム表からのリンクで事例を見ることもできます。

7 5分でわかる情報モラル http://sweb.nctd.go.jp/5min_moral/index.html
H19 文部科学省・CEC 情報モラル指導セミナー用教材 教員研修向けのビデオ解説集 情報モラルの概要 情報モラル指導内容 ・指導方法 情報モラル指導を,全ての教室で,全ての先生が行えるようになっていくことを目指して,情報モラル指導セミナーが行われた時に作成された,情報モラル教育についてのガイダンスビデオです。 5分の他にも,サイトには,さらに具体的に解説されたビデオや,モデルカリキュラムなどの資料も用意されています。

8 教員のICT活用指導力チェックリスト  (中・高) H18  文部科学省 教員に必要なICT活用に関する指導力 情報モラルは, Dに4項目 情報モラルだけではなく,教員に求められるICT活用指導力についてその基準が示されています。 これまでの,教員の実態調査をさらに具体的に行うことができるようになりました。 情報モラルは,この中でDとして4項目が示されています。研修の視点として,活用できます。

9 情報モラル研修教材 http://sweb.nctd.go.jp/2005/ 教員研修および児童生徒指導教材として
H14 H15 H17 文部科学省・(独)教員研修センター・CEC 教員研修および児童生徒指導教材として トラブルの予防方法 トラブル事例とその対応 体験教材 携帯電話・ネット掲示板など 平成12年度「情報モラル指 導事例集」をWeb化し、教 材や指導事例を体系化した 教員研修センターで作成された 指導事例集を,web化した研修用教材です。 教師が,実態を知る機会が少ないので,それをフォーローするために,体験から学ぶシミュレーションのコンテンツが用意されているのが特徴です。 学習素材も,ナレーションなどの音声が入り,スライドだけの教材に比べて 保護者への啓発のための教材も用意されています。

10 情報モラル等指導サポート事業 http://sweb.nctd.go.jp/g_support/
H17 文部科学省・CEC 全国16事例(小8・中3・高5)の授業実践を記録したビデオおよび関連資料 記録ビデオはプロによる制作 情報モラルヘルプデスクでの Q&Aの記録も掲載 全国から,小学校8校,中学校3校,高等学校5校の計16校の実践研究協力校で,これまでの指導の事例を類型化し,それぞれの事例についてのコメントなども収められたビデオ集です。情報モラル指導について,どのような指導があり,その良い点を取り上げています。 また,ヘルプデスクが設置され,協力校からのQ&Aも掲載されています。このQ&Aは,多くの学校でも参考なります。

11 情報モラル授業サポートセンター http://sweb.nctd.go.jp/support/ H15 文部科学省・CEC
情報モラル指導のための 授業実践事例 全国の71事例を収録(小33・ 中9・高29) 授業実践者によるモデル授業 のビデオ記録・付属資料集 情報モラルの指導事例を集めました。 メニューからは,課題となる場面,利用する機能をマトリクスで選べる他,校種で選ぶこともできます。 それぞれの授業について,目標,展開,資料の他に,授業の様子の動画も納められているので,具体的な,指導事例や指導の様子を見ることができます。

12 インターネット活用のための 情報モラル指導事例集
インターネット活用のための             情報モラル指導事例集 H12年  文部科学省・CEC H11の指導内容に沿って,作成された指導事例集 「情報モラル」の授業をどのように展開すればよいのか 子どもたちが陥りやすい状況に含まれる問題点とその対応策 指導展開例 情報モラル指導の基本的な考え方にそって,授業の展開例や,児童生徒が陥りやすい状況やそれに対応するために指導すべき内容が,さらに具体的に示されています。 今でもPDFでの入手は可能です。

13 インターネット活用ガイドブック, モラル・セキュリティ編
インターネット活用ガイドブック,                モラル・セキュリティ編 H11年  文部科学省・CEC 情報モラル指導の基本的な考え方 インターネットの学校利用とともに ネットワーク社会の光と影 影の問題の把握 学校での対応 問題発生時の対応 情報モラル指導の基本的な考えが書かれています。  学校でのインターネット利用とともに,課題となる影の部分への対応が求められるなかで  光と影について理解し,指導すべき内容・考え方が整理されています。  全校に配布されたはずですが,現在ではPDFでの入手は可能です。

14 情報モラルコンテンツのいろいろ エルネット H20 教育情報ナショナルセンター H20 ちょっと待ってケータイ H19,20
※ 他にも,各教育委員会や企業等作成のコンテンツもあります。 児童生徒の指導にできる教材についてみてみましょう。 児童生徒の指導に活用できる教材には ネット社会の歩き方  情報モラル・ネットワーク部会  情報モラル研修教材     情報モラルサポートセンター 携帯モラル ちょっと待ってケータイ  があります。  他人も,各教育委員会や企業によって作成された教材もあります。 この後,一つずつ見ていきましょう。

15 エルネット http://www.elnet.go.jp/ H20 文部科学省 情報モラルチャンネルで映像教材を提供
「ちょっと待って、ケータイ」  【子ども向け】【保護者向け】各30分 4事例 学校裏サイトによる   誹謗中傷 メール依存 迷惑メール プロフの危険性 エルネットでも動画の教材が提供されています。 教育委員会に配布された「ちょっとまってケータイ」がweb上で利用できるようになっています。 子ども向け,保護者向け それぞれを利用できます。

16 教育情報ナショナルセンター NICER (ナイサー) http://www.nicer.go.jp/
文部科学省・国立教育政策研究所 著作権・情報モラルに関する教育情報を検索 様々な教材について説明してきましたが,ナイサーには,「著作権・情報モラル」の資料がまとめられています。 検索することもできます。

17 ちょっと待ってケータイ リーフレット H19,20 (http://www.iajapan.org/kids/page1.html)
ちょっと待ってケータイは,動画だけではなく,リーフレットが6年生に配布されました。同じデータが文部科学省から提供されていますので,印刷配布するなどしての活用ができます。 リーフレット  H19,20     (

18 ネット社会の歩き方 http://www.cec.or.jp/net-walk/ H12,13 H17 CEC 学習ユニット教材
アニメーション教材 43件・解説有無を選択可能 電脳商店街 電子ショッピングを疑似体験 ・特定商取引法対応 レッスンキット化 スライド・学習指導案 ・ワークシートを添付 学校でインターネットを活用した学習活動が展開されるようになる時に,情報モラル指導のための教材として,作成されました。 テーマ毎に学習ユニットに分かれ,43件のスライド,アニメーションで,情報モラルの課題となる場面を共有していく教材です。 学校での学習指導では,解説の有無を選択することができます。指導の形態に合わせて選ぶと良いでしょう。 この教材は電脳商店街があり,電子ショッピングを疑似体験できる事ができるところが特徴です。特定商取引方に対応していますので,実際にネットショッピングを体験する前に指導しておきたい内容です。 この教材では,スライド,指導案,ワークシートを使えるように,レッスンきっと化されています。

19 情報モラル素材集 http://moralnet.kashiwa.ed.jp/ H14 文部科学省・学校インターネット情報モラル部会
ネット社会・情報モラルについて学ぶ ネット社会や情報についての資料 子役による実写映像で、リアリティがある 1~2分程度の映像や画像を素材として、独自教材に加工することが可能 学校インターネットで,動画が使えることを前提に作成された教材です。 子役による実写映像で,実際の生活と,ネット上との違いや似ている点などを取り上げています。 また,実写映像であるので,リアリティがあります。 情報モラルの指導で欠かすことができない,ネットワークや情報の仕組みや特質を学習するための素材も用意されています。 それらの素材を加工することもできます。

20 著作権に関する教材・情報源 文化庁 著作権教育情報
文化庁 著作権教育情報 著作権情報センター(CRIC) メディア教育センター(NIME) 著作権については,文化庁や著作権情報センターから,多くの資料が提供されています。 情報モラル指導のときに,児童生徒が利用できる教材もありますし,教員自身が教育活動の中で確認しながら進めることができる資料もありますので,活用してください。

21 セッション4-2 教材内容例と指導事項 指導モデルカリキュラムとの対応

22 情報モラルの指導事項 この時間は、情報モラルの指導事項と、児童生徒への指導に役立つ教材、また、教員研修等で活用できる教材例について紹介していきます。 まず、前のセッションで取り上げた「情報モラル指導モデルカリキュラム」について、簡単に復習します。テキストの8ページ、9ページの表です。 小学校・中学校・高等学校と一貫して情報モラル指導を展開していくモデルとなるものですが、情報モラルについて、5つの領域、すなわち、 1.情報社会の倫理 2.法の理解と遵守 3.安全への知恵 4.情報セキュリティ 5.公共的なネットワーク社会の構築 として指導内容を分けています。 情報モラルに関する指導では、「人を信じなさい」ということと「悪い人もいるから、安全のため人を疑う」ということの両方を扱いますが、信じることと疑うことを同時には教えることができません。 そこで、信じ合う心とか、思いやりの心といった道徳的側面を扱う領域と、危険に備えるための生活上の知恵を扱う領域とを区分しています。 モデルカリキュラム表では、人々が信頼しあって社会を形成するという道徳的基本に基づいた1,2は、心を磨く領域、 情報社会での生活や行動に関して安全で安心して過ごすための「生活の知恵」となる3,4は、知恵を磨く領域 そしてそれらを橋渡しする5の領域という構成です。 22

23 各領域と、具体的な指導事項 情報モラル指導者研修ハンドブック
-10ページ~23ページに具体的な事例が紹介されている。ページの右上には本事例が「情報モラル指導モデルカリキュラム表」のどこに位置づけられているのか、その科目で何を指導するかを簡単に紹介しています。 これから、5つの領域について、具体的な指導事項と、指導実践例をみていきます。 ここでは、平成21年度文部科学省の委託事業で制作された「情報モラル指導者研修ハンドブック」を利用して講習していきます。 23

24 各領域と、具体的な指導事項 情報モラル指導ポータルサイト http://www.japet.or.jp/moral-guidebook/
これから、5つの領域について、具体的な指導事項と、指導実践例をみていきます。 ここでは、平成19年度文部科学省の委託事業で制作された「情報モラル指導ポータルサイト」を利用して講習していきます。 このサイトは、文部科学省が制作し各学校に配布された「『情報モラル』指導実践キックオフガイド」の解説と活用のためのサポートサイトとなっています。 24

25 全国の学校に配布 「情報モラル」指導実践 キックオフガイド
 「情報モラル」指導実践 キックオフガイド 「『情報モラル』指導実践キックオフガイド」は、はじめての先生でも情報モラルの指導を簡単に始められるように工夫されたガイドブックで、サッカーの試合を開始する際のキックオフのように、「さあ始めましょう」という願いを込めて制作されました。 25

26 ポータルサイトでの解説 解説例 「情報モラル」指導実践キックオフガイド
 「情報モラル」指導実践キックオフガイド 解説例 ポータルサイトでは、キックオフガイドのページがPDFデータで収録されており、 PDFに埋め込まれた「HELP」のリンクボタンを押すと、 例のように、スライドを用いた詳しい解説が表示されます。 解説に用いたスライド画像はダウンロードできますので、校内研修等でも活用いただける教材となっています。 26

27 情報モラル指導ポータルサイトを使用した場合の例を以下に示す。
情報モラル指導実践事例 情報モラル指導ポータルサイトを使用した場合の例を以下に示す。 ポータルサイトには、全国から集められた情報モラルの指導実践事例が200件収録されており、情報モラル指導モデルカリキュラム表の項目と対応した実践事例を検索できるようになっています。 ポータルサイト画面右上の「情報モラル指導実践事例集(検索)をクリックすることによって、事例検索画面が表示されます。 27

28 実践事例検索 実践事例検索画面では、 教科から絞り込む キーワードで絞り込む モデルカリキュラム表で絞り込む 学習目標・活動で絞り込む
という4つの検索方法が選択できます。 「モデルカリキュラム表から絞り込む」を選択すると、モデルカリキュラム表のサブ画面が開き、対応する項目をクリックすることによって該当する実践事例が検索表示されるしくみです。 28

29 モデルカリキュラムと小目標 また、ポータルサイトのトップページ左下の、「情報モラル指導モデルカリキュラム」の項目では、
セミナーテキスト8ページの情報モラル指導モデルカリキュラム表よりもさらに詳しい、小目標・学習活動例も掲載されています。 モデルカリキュラム表では、5つの領域について、大目標、中目標の項目が掲載されています。 a1~a5,b1~b5というのが、大目標、 a1-1,a2-1というのが中目標です。 ポータルサイトのモデルカリキュラムには、さらに下位レベルの小目標と学習項目例が示されています。 29

30 小目標・学習項目例 2007年版 たとえば、レベル1である小学校1・2年生の中目標「a1-1 約束や決まりを守る」に対しては、
たとえば、レベル1である小学校1・2年生の中目標「a1-1 約束や決まりを守る」に対しては、 小目標として、 ▽コンピュータやメディアを使う場合に、決められたルールを守る ▽みんなで決めた約束や決まりを守る ▽うそをついたりごまかしたりしない とあります。これは、道徳の目標と同じ内容です。低学年では、道徳で身につける日常モラルと情報モラルに大きな違いはありません。 低学年では子どもだけでインターネットを使わせるのは危険ですから、基本的に大人と一緒にインターネットを使うことになります。 そのため、約束や決まりを守ったり、人の作ったものを大切にすることが学習活動の中心になります。 レベル3の小学校高学年では、 「a3-1 他人や社会への影響を考えて行動する」に対して、 ▼ネット上の迷惑行為にどのようなものがあるかを知る ▼相手の状況を踏まえて、情報発信する ▼チェーンメールが社会に与える影響を知り、行わない ▼携帯電話のマナーを知る となっています。これらは、道徳ではなく、情報モラルの目標です。 中目標から、より具体的な学習項目を例示する形で小目標が示されています。 もちろん、このほかにも小目標として取り上げるべき学習事項は考えられると思いますし、情報手段の進展や社会の変化に応じて変化させていくべきものです。 ここでは、2007年版として小目標項目がまとめられています。 30

31 1.情報社会の倫理に関する領域では、 情報に関する自他の権利を尊重して責任ある行動を行うことがねらいです。  小学校では人の作ったものを大切にしたり、他人や社会への影響を考えて行動することの大切さを学びます。 中学・高等学校では他者の権利や知的財産権を尊重し、情報社会への参画において責任ある態度を取り、自らに課せられた義務を果たすことを学びます。 31

32 情報社会の倫理 例として、小学校高学年の「a3-1 他人や社会への影響を考えて行動する」から事例を検索します。
例として、小学校高学年の「a3-1 他人や社会への影響を考えて行動する」から事例を検索します。 小学校5年生、国語科の事例で、「メールの書き方」というものがあるようです。 32

33 事例074:メールの書き方(国語) この事例(実践事例番号074)は、こういうものです。
国語の学習で、相手や目的、状況に応じて言葉遣いを変えるという学習の一環で、メールを書く活動を行った。 ところが、児童同士で品のない表現やからかいがみられるようになった。 そこで、紫式部日記の現代語訳をメールにしたものを題材として、授業を行った。 紫式部日記には清少納言の悪口を書いた部分がある。そこを現代語訳すると、児童の間での悪口のようである。 『A子って、ちょっといいきになってない? なんかわたしはできるのよって顔して難しい言葉使っているけど、よくみるとまちがってんじゃん。頭イイって思われたがるやつって、なんかわざとらしい態度で感心したふりするから、ホントにおもしろいツボがわかんないんだよね。そのうちきっとみんなから信用されなくなるよ。』 平安時代の悪口が、活字として記録され、後々の時代まで残って、品性を疑われてしまうこともある、という例になった。 33

34 「法の理解と遵守」では、 情報社会におけるルールやマナー、法律があることを理解し、それらを守ろうとする態度を養うことがねらいです。 小学校では、情報をやりとりする際のルールやマナーを理解し、それらを守る態度を学びます。 中学・高等学校では、情報に関する法律や契約について理解し適切に行動する態度を学びます。 34

35 事例707:契約は勝手にしない 小学校高学年、「c3-3 契約行為の意味を知り、勝手な判断で行わない」の実践事例から、
小学校高学年、「c3-3 契約行為の意味を知り、勝手な判断で行わない」の実践事例から、 「契約は子どもだけでは勝手にしない」(事例№707)をみてみましょう。 インターネットでWebページを見ていると、「はい/いいえ」とか「同意する/同意しない」といったボタンが画面に表示されることがあります。 そういった場面をとらえた指導例です。 「はい」など同意や確認を求められる中には、契約に関わる事項もあります。    契約は、やくそくで、それに基づいてサイトの情報を使わなければならない。    場合によっては、お金の支払いが、関係する    自分で全て守れるわけではない。だから、「はい」などのボタンを安易に押してはいけない。    家の人や大人の人に相談をしよう。 という指導例が示されています。 インターネットは直接外に繋がっています。契約というのは、そこでの約束で、守らなくてはならない。 きちんと読んで判断する力がつくまでは、勝手にしてはいけない、ということを指導しています。 35

36 「安全への知恵」では、 情報社会の危険から身を守り、危険を予測し、被害を予防する知識や態度を養います。 小学校では、危険なものには近づかない、もし不適切な情報に出会ったら大人の人に相談するなど適切に対応する態度を学びます。 中学・高等学校では情報社会の特質を意識しながら安全に行動する態度や、自他の安全や健康に配慮した情報メディアとの関わり方を学びます。 36

37 事例547:ワンクリック詐欺 中学校の項目で、「d4-2.トラブルに遭遇したとき、主体的に解決を図る方法を知る」の実践事例の検索結果から、
「ワンクリック詐欺について知ろう」(事例№:547)を見てみましょう。 中学校1年生の総合的な学習の時間で、単元名は「いつの間に入会したの?」です。 テキストの15ページ、「高額請求されたら」と同じ事例について、扱っています。 テキストの教材例を見ますと、「ワンクリック不当請求に気をつけて」などの教材例が示されています。 この中学校の事例では、迷惑メールや架空請求などの模擬事例を体験させて、男女別に同性集団で話し合いの活動をさせた実践のようです。 37

38 「情報セキュリティ」では、 生活の中で必要となる情報セキュリティの基本的な考え方を理解し、情報セキュリティを確保するための対策・対応を行うことがねらいです。 小学校では、IDやパスワードの保護や不正使用・不正アクセスの防止などを学びます。 中学・高等学校では情報セキュリティの基本的な知識を身につけ、セキュリティ対策の立て方を学びます。 38

39 事例054:セキュリティ対策 高等学校で、「g5-1 情報セキュリティに関する基本的な知識を身につけ、適切な行動ができる」の事例を検索します。 高校1年生、情報科で扱う「セキュリティ対策」を見てみましょう。 単元は、「ネットワーク利用の心がまえ」です。 「情報セキュリティに関する基本的な知識を身につけ、適切な行動ができる」ための学習活動として、 「安易なパスワードは解析ソフトによって短時間で解読されてしまう事実を知り,適切なパスワードを設定して認証することの必要性を知る。 」 という内容を扱う実践です。 悪いパスワード・良いパスワードの例を紹介し、Webサイト「優れたパスワードの選定と記憶法」を見せて、パスワードの選び方を指導しています。 また、単純なパスワードが解読された不正アクセス事件や、パスワード解析ソフトにより単純なパスワードが短時間で解読されることも紹介しているようです。 情報セキュリティに関しては、テキスト21ページ「コンピュータウィルスに気をつけて」のような事例による展開も考えられます。 39

40 「公共的なネットワーク社会の構築」では、
情報社会の一員として公共的な意識を持ち、適切な判断や行動をおこなうことがねらいです。 小学校では、協力してネットワークを使い、データやリソースを共有することの大切さを学びます。 中学・高等学校ではネットワークの公共性を意識し、ネットワークをよりよいものにするために主体的に行動する態度を学びます。 40

41 事例709:共用のファイル 「i-3.ネットワークは共用のものであるという意識を持って使う」で、小学校高学年の事例「共用のファイルはみんなのもの」を見てみます。 校内ネットワークのファイル共有機能によって、共有フォルダに保存されている1つのファイルを、ネットワーク参加者全員で共有でき、大変便利であることに気づかせ、みんなで使うファイルを大切にする態度を養うという実践例です。 41

42 事例568:ネット社会を生きる 高校の事例もみてみましょう。 高校2年生、学活での「ネットワーク社会を生きる」という実践事例です。
「i5-1:ネットワークの公共性を維持するために、主体的に行動する」の目標に対応して、 「ネットワーク社会の利用者が、モラルある行動をとることによってほとんどのトラブルを防ぐ 」 という学習活動を設定しています。 アンケートやWeb資料から、私たちの自分勝手な判断がトラブルの原因であることを知り、トラブル回避の方策を議論して、ネチケットなどのモラルある行動を実践しあうことにより、トラブルが防止できることに気づかせようという実践です。 高校2年生ということで、情報社会について幅広く情報を集めて、議論し、意見集約や合意形成をはかっていくことも実践できると思います。 42

43 授業のデザインと教材活用 授業のデザイン 教材活用のくふう 指導事項の把握=目標の具体化 目標の具体化→学習活動の設定
これまで見てきましたように、指導事項を把握するということは、大目標から中目標、小目標というように目標を具体化して考えていくことです。 情報モラルの指導目標を具体化して考えていく中で、児童生徒の学習活動としてどのようなものを設定するのかを考え、授業をデザインしていきます。 これは決して難しいことではなく、すでにある実践事例、すなわち、ポータルサイトの事例や、テキストの例などを使って取り組むこともできます。 1時間の授業でなくても、Web検索などの学習活動の際に一言触れるとか、小さなトラブルがあったときに5分間ぐらい話し合うというような活動も、情報モラルに関する学習活動として捉えれば良いのです。 また、インターネットを使えば、さまざまな学習教材が手に入ります。それを使うだけで、誰でも、簡単に、効果的な指導を行うことができるということも、教員研修などでぜひ多くの先生方に知っていただきたいと思います。 43

44 教材の種別 教員研修用教材/児童生徒指導用教材 教材の形態 映像 実写ビデオ アニメーション
映像  実写ビデオ      アニメーション Web  マルチメディア素材・体験型教材 スライド資料・ワークシート等 文献 各種ガイドブック(省庁・教育団体)   教科書等 情報モラルに関する教材は、教員研修のために作られたものと、児童生徒の指導で使うために開発されたものがあります。 教員研修用教材でも、児童生徒の指導に使えるものもあります。 また、教材の形態はさまざまですが、 映像教材は、見せるだけ、あるいは、視聴後に討論させたりレポートを書くという活動に使えます。 Web教材では、インタラクティブ、すなわち、ただ見るだけではなく、操作しながら学べる体験型教材なども開発されています。 また、教材となる文献資料も多数開発されています。 44

45 ちょっと待って、ケータイ 子ども用 30分 保護者用 30分 【収録事例】 1 メールの落とし穴 2 ケータイに忍び寄る罠
子ども用 30分 保護者用 30分 【収録事例】 1 メールの落とし穴 2 ケータイに忍び寄る罠 3 プロフの危険な誘惑 4 学校裏サイトの闇 エルネット  ビデオ映像による教材では、モデル事例から状況を把握し、問題点と対処について考えることが可能です。 文部科学省が制作したビデオ教材の例をみてみましょう。 「ちょっと待ってケータイ」というものです。2008年にDVDで制作され、視聴覚ライブラリなどで貸し出されるほか、文部科学省の映像サイト「エルネット」でも配信されています。 携帯電話のトラブルについて、4つの事例を紹介しています。子ども用は子どもの視点から、保護者用は大人の視点から同じ問題を捉え、それぞれに解説が加えられています。 エルネットの情報モラルチャンネルからアクセスしてみます。 【〈 45

46 ちょっと待って、ケータイ 事例1:メールの落とし穴 視聴<保護者用 6’35” 子ども用 7’55>
視聴<保護者用 6’35” 子ども用 7’55> 子ども用と保護者用がそれぞれ30分間もありますので、ここでは、事例1の「メールの落とし穴」だけを見比べてみましょう。 子ども用と保護者用とで15分間ぐらいです。 この「メールの落とし穴」というストーリーは、このように紹介されています。 「待望のケータイを買ってもらった小学校5年生の美沙(みさ)。さっそく親しい友だちとメール交換を始める。家にいても友だちと繋がっていられることに大喜び。メールが届くと、すぐに返信を打つ。しかし、時間に関係なく次々と入ってくるメールに振り回される美沙。ちょっと返信が遅れただけで友だちとの関係がギクシャクしていく。夜中まで続くメールのやりとりで睡眠不足になり、生活リズムも乱れてしまう。」 【エルネットの情報モラルチャンネルにアクセスし、まず、子ども用を視聴する。 約8分で、事例2「ケータイに忍び寄る罠」が表示の時点で停止】 【エルネットの情報モラルチャンネルから、保護者用を視聴する。 約6分40秒で、事例2「ケータイに忍び寄る罠」が表示の時点で停止】 46

47 「メールの落とし穴」から学ぶこと 学習内容 『情報モラル指導モデルカリキュラム』 ネット社会の特性について把握する
適正に生活に取り入れていくための考え方や態度を把握する 『情報モラル指導モデルカリキュラム』 a.発信する情報や情報社会での行動に責任を持つ c.ルールやマナーを遵守する e.情報を正しく安全に利用する f.安全や健康を害する行動を抑制できる i.情報社会の一員として、公共的な意識を持つ このような教材から、ネット社会の特性について把握することの大切さと、適正に生活に取り入れていくための考え方や態度が把握できると思います。 これは、『情報モラル指導モデルカリキュラム』の心を磨く領域、「1.情報社会の倫理」「a.発信する情報や情報社会での行動に責任を持つ」に対応しますが、「c.ルールやマナーを遵守する」「e.情報を正しく安全に利用する」や、「f.安全や健康を害する行動を抑制できる」、さらに「i.情報社会の一員として、公共的な意識を持つ」ということにも通じるといえます。 47


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