ユーザプリファレンスに基づく転送制御を行う アプリケーションレベルマルチキャストの一方式

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1 ユーザプリファレンスに基づく転送制御を行う アプリケーションレベルマルチキャストの一方式
山口弘純　中村嘉隆　廣森聡仁　東野輝夫　谷口健一 （大阪大学　大学院基礎工学研究科） 安本慶一 （滋賀大学 経済学部）

2 通信方式はユニキャスト or マルチキャスト？
研究の動機 複数人による映像会議アプリケーションを実現したい 規模：小規模コミュニティ（数十程度のエンドユーザ） 形態：P2P型（とにかくサーバレス） 性質：各ユーザが映像メディアを継続的に送信 通信方式はユニキャスト or マルチキャスト？ Internet 2002/03/28 第107回DPS研究会

3 研究の背景 IPマルチキャスト なぜか？ 配信側にとってはよい
少なくとも現状では，小規模P2Pコミュニケーションシステムで手軽に利用できる状況にない なぜか？ インフラ整備 信頼性 グローバルアドレス セキュリティ etc… 2002/03/28 第107回DPS研究会

4 研究の背景（続き） といってユニキャストは非効率的 アプリケーション層マルチキャスト（ALM）の可能性 A A S B S B C C D
ある程度のユーザ数＆実時間連続メディアだと不利 アプリケーション層マルチキャスト（ALM）の可能性 既存トランスポート層機能が利用可能 グローバルマルチキャストアドレスが不要 自由なルーティングプロトコル設計が可能 エンドノード A A S B S B C C D D ユニキャスト ALM 2002/03/28 第107回DPS研究会

5 研究内容 複数人の映像会議システム向けALMプロトコル Emma (End-user Multicast for Multi-party Application) の提案 エンドホストは自身の映像を継続発信，他の映像の一部を受信 エンドホストの映像に対するプリファレンスに基づく転送制御 Internet 2002/03/28 第107回DPS研究会

6 研究内容 複数人の映像会議システム向けALMプロトコル Emma (End-user Multicast for Multi-party Application) の提案 エンドホストは自身の映像を継続発信，他の映像の一部を受信 エンドホストの映像に対するプリファレンスに基づく転送制御 紫が見たい．． 2002/03/28 第107回DPS研究会 紫が見たい．．

7 研究内容 複数人の映像会議システム向けALMプロトコル Emma (End-user Multicast for Multi-party Application) の提案 エンドホストは自身の映像を継続発信，他の映像の一部を受信 エンドホストの映像に対するプリファレンスに基づく転送制御 紫が見たい．． 2002/03/28 第107回DPS研究会 紫が見たい．．

8 Emmaの概要 セッション参加前 セッション参加時 セッション継続中 セッション離脱 セッション情報提供（ロビーサーバ）
オーバレイネットワーク（エンド間チャネルによる仮想ネットワーク）構築 セッション継続中 遅延と帯域，プリファレンスをメトリックとしたメディア配信木構築，維持管理 セッション離脱 エンドホスト離脱に対する相互接続性の維持 2002/03/28 第107回DPS研究会

9 セッション情報提供 エンドホストはロビーサーバによりメンバのIPアドレスを獲得，自身を登録 ロビーサーバ A B C D G E F
A:133.1.xx.xx B:129.3.yy.yy C: … D G E F 2002/03/28 第107回DPS研究会

10 オーバレイネットワーク構築 エンド間遅延または帯域を測定，適当な数ノードとエンド間チャネル（オーバレイチャネル）を構築 A B H C G
RTT測定：ping ／ （物理）帯域測定：pathchar etc. チャネル数⇔（利点）経路自由度，相互接続性 （欠点）コネクション管理，制御メッセージ数 A B H C G D F E 2002/03/28 第107回DPS研究会

11 メディア配信木構築：方針 前提 方針 各エンドホストは オーディオ用に．． ビデオ用に．． オーディオを排他的に送信，他の全ノードが受信
ビデオは継続的に並行送信，他のいくつかのエンドホストからのビデオを受信（他ホストのビデオに対しプリファレンス指定） 方針 オーディオ用に．． 恒久的なspanning tree（共有木として利用）を構築 （ノード離脱時の相互接続性維持にも利用） ビデオ用に．． 各エンドホストからのsource-based treeを構築（遅延をメトリック） 明示的な受信要求があるまでは配信しない 各エンドホストのプリファレンスがなるべく満足されるように，各オーバレイチャネルに配送するビデオ集合を動的に制御 2002/03/28 第107回DPS研究会

12 オーディオ配信木構築 オーバレイチャネル生成直後に接ぎ木，配信開始
親子関係に基づくバックアップ用オーバレイチャネルの追加構築（相互接続性維持） エンドホスト オーバレイチャネル 親 子 親の親 バックアップ用オーバレイチャネル 2002/03/28 第107回DPS研究会

13 ビデオ配信木構築 （DVMRP likeに）定期的なフラッディングに基づき，遅延をメトリックとした source-based tree （＝shortest-path tree）を構築 2002/03/28 第107回DPS研究会

14 ビデオ配信木構築 （DVMRP likeに）定期的なフラッディングに基づき，遅延をメトリックとした source-based tree （＝shortest-path tree）を構築 2002/03/28 第107回DPS研究会

15 ビデオ配信木構築 （DVMRP likeに）定期的なフラッディングに基づき，遅延をメトリックとした source-based tree （＝shortest-path tree）を構築 2002/03/28 第107回DPS研究会

16 ビデオ配信木構築 （DVMRP likeに）定期的なフラッディングに基づき，遅延をメトリックとした source-based tree （＝shortest-path tree）を構築 2002/03/28 第107回DPS研究会

17 エンドホストの要求に基づくビデオ配信 構築したtreeに基づき，受信したいビデオに対する受信要求（join）を上流へ．空きがあれば配信開始
bid※（プリファレンス）を受信要求時に指定 ※N.Shacham et.al,”Admission Control Algorithms for Multicast Sessions with Multiple Streams”, IEEE JSAC,1995 A: 8 B: 5 C A C: 6 B 2002/03/28 第107回DPS研究会

18 エンドホストの要求に基づくビデオ配信 空き帯域がない場合は，既存の配信をカットする場合のプリファレンス損失の最小値を転送過程で計算しながら，計算結果を上流に転送 既存木ではじめに受け取ったノードは，最小のプリファレンス損失を計算，利得と比較 A: 8 C A B: 5 C: 6 D:15 D B 2002/03/28 第107回DPS研究会

19 両者を比較，小さい方が木 “X” のプリファレンス損失最小
エンドホストの要求に基づくビデオ配信 計算例：木“X”の場合 赤の配送をやめた場合 AとBの赤に対するプリファレンス 木“Z”のプリファレンス損失最小 の総和 緑の配送をやめた場合 AとCの緑に対するプリファレンス 木“Y”のプリファレンス損失最小 X A Y Z B C 両者を比較，小さい方が木 “X” のプリファレンス損失最小 2002/03/28 第107回DPS研究会

20 エンドホストの要求に基づくビデオ配信 プリファレンス損失＜プリファレンス利得，なら配信受け入れ A: 8 B: 5 C A C: 6
D:15 D B 2002/03/28 第107回DPS研究会

21 性能評価基準 ALM (Application Level Multicast) としてのオーバヘッド Emma の性能とオーバヘッド
エンドホスト負荷（転送制御，コネクション管理） 相互接続性維持(self organization) Emma の性能とオーバヘッド 制御メッセージ量（緩やかな時間同期で抑制はしている） レスポンス性能（要求受け入れ時からメディア配信開始までのレスポンス時間） 動画切替時の安定性 ユーザ満足度：満足されたプリファレンスの時間積総和 2002/03/28 第107回DPS研究会

22 簡単な性能評価実験 Emma をNS-2 上に実装 ネットワーク 測定結果 階層型 34～64ノード，オーバレイチャネル次数３
ノード数 （オーバレイ リンク数） エンド ホスト数 制御メッセージ 平均要求応答時間 34 （ 96） 17 0.8kbps 1.3s 44 （126） 19 0.7kbps 1.6s 54 （156） 25 1.1kbps 2.0s 64 （186） 30 3.8s 2002/03/28 第107回DPS研究会

23 トータルとしてはJava Middleware
実装計画 データ：RTP over UDP 制御メッセージ：TCP ビデオキャプチャ：Java Media Framework パラメータ，ポリシの決定 エンドホストのネットワーク／ホスト能力とコネクション数，転送数制限の関係，プリファレンス管理ポリシ，メッセージ送出時間間隔等）など トータルとしてはJava Middleware 2002/03/28 第107回DPS研究会

24 関連研究 Ｐ2P型 P2P＋IPマルチキャスト型 アドホック
Narada [Zhang at.el, ACM Sigcomm2001] など P2P＋IPマルチキャスト型 Cast365 ( Yallcast ( など アドホック MAODV (Multicast Adhoc On-demand Distance Vector) など 2002/03/28 第107回DPS研究会

25 おわりに まとめ 映像会議システムなどをP2P型アプリケーションとして実現する場合に適したアプリケーション層マルチキャストプロトコルEmma の提案 プリファレンスに基づく並行配信メディアの転送制御 簡単なシミュレーションによる性能評価と考察 今後の課題 ミドルウェア設計と実会議システムへの応用 2002/03/28 第107回DPS研究会