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河川工学 -水文循環- 昼間コース 選択一群 2単位 関根・朝位
選択一群 2単位 関根・朝位
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水文学(すいもんがく,hydrology):
地球上(海洋を除く)の水の動き(水の循環)に関する諸現象を扱う学問分野 ・水の存在状態と分布 ・水循環(水文循環;降雨,流出,蒸発) 降雨状態の予測(現在降っている雨がこの後どのように降り続けるか?) 河川への流出流量の予測(降雨の結果どの位の流量が河川に流れ出るか?) 河川計画(どのような断面の河川にするのか) 降雨時のダムや水門ゲートの操作(洪水調節) 最近は微気象の問題に注目が集まる. 局地的な気象現象,ヒートアイランド現象(都市の廃熱による気温上昇)
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本日の内容 水の存在状態 降雨とわが国の降水の特徴 主な降水の原因
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「地球上の水」←液体,気体(水蒸気),固体(氷)を含む
総量 1385×106km3 3957(100%) 塩水 1350×106km3 3857(97.5%) 淡水 35×106km3 100(2.5%) 海水 3823 (96.6%) その他 34 (0.86%) 地下水 30.986 (0.78%) 氷雪 68. 7 (1.74%) 湖沼 0.29 (0.007%) 河川 0.006 (1.5×10-4%) 大気 0.04 (0.001%) 生物 0.003 ( 7.5×10-5 %) 南極 61.7 (1.56%) 7.04 (0.18%) 土壌 0.05 国連「気候変動に関する 政府間パネル(IPCC)」の シナリオ 0.3゚C/10年の気温上昇 0.6cm/年の水位上昇
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日本の年間水収支 降水1,800mm/y 蒸発散650mm/y 河川流出750mm/y 地下水流出400mm/y
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窒素(78.1 %),酸素(20.9%),アルゴン(0.9%),二酸化炭素(0.04%) , その他(0.06%)
大気中の組成 乾燥空気(dry air): 窒素(78.1 %),酸素(20.9%),アルゴン(0.9%),二酸化炭素(0.04%) , その他(0.06%) 湿潤空気(moist air):乾燥空気+水蒸気=湿潤空気 水蒸気の割合は0.5~4%(時と場所で大きく変化) 4%を越えることはほんどない. 湿度 絶対湿度(absolute humidity):大気1m3中の水蒸気量(g),水蒸気密度ともいう. 混合比(mixing ratio):乾燥空気1kg中の水蒸気量(g) 比湿(specific humidity):湿潤空気1kg中の水蒸気量(g) ○相対湿度(relative humidity):水蒸気圧÷飽和蒸気圧×100(%) 飽和蒸気圧:蒸発がおこらない状態(平衡状態)に達した時の水蒸気の圧力 温度に依存する(温度が高いほど蒸気圧も高い). 湿潤空気 湿潤空気 空気中の水蒸気が飽和し 蒸発が起こらない状態 (平衡状態) 時間経過 蒸発 水 水
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露点温度(dew point) 飽和に達していない湿潤空気の圧力と水蒸気含有量を一定のまま冷却すると,やがてその空気は飽和状態になる.その時の温度を露点温度という. さらに冷却すると過飽和状態になる.固形物があればそれに付着する形で水蒸気は液体へと変化していく. (水蒸気(気体)の一部が水(液体)になり,飽和状態(平衡状態)に戻る) 冷水 この辺りの湿潤空気が冷やされ 飽和蒸気圧は低下し,やがて水蒸気は水滴となってコップにはりつく.
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雲(cloud):大気中の微少な水滴(water droplet)や氷晶(ice crystal)の集団で目視できるようになったもの.
大気中には雨の核となる微少な塵(エアロゾル(aerosol))が存在する. 水滴が発生し雲ができる 水滴が大きくなる浮遊できなくなり雨になる 断熱膨張(温度低下) 飽和状態または過飽和状態へ 気圧が低い 上方へ移動 上昇気流 山 気体塊 未飽和状態 気圧が高い 山岳型降雨 地形性降雨
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断熱膨張:周囲と熱のやりとりを行わずに体積が増加する. 乾燥空気の熱力学第一法則 → dq=cpdT-αdp
断熱過程:0=cpdT-αdp → cpdT=αdp 空気塊の上昇→圧力が小さくなる → 気温が下がる → 露点に達する → 水蒸気が液化する → 潜熱が開放される(液化時に生じる発熱)→ 空気塊の温度低下が押さえられる→ 周囲の温度と同じになるまで上昇を続ける 空気塊の上昇 空気塊は近似的に断熱変化をすると考えて良い
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降雨強度(mm/h):ある雨が一時間降り続けたとした場合の降水量
降水量(amount of precipitation):ある面積(A)にある時間降った降水の体積(V)をその面積で除したもの.長さの次元を持つ.通常はmmで表す.雪やあられなどの固形降水の場合は溶解して計測する.雨量計で計測する. A V 降水量 降雨強度(mm/h):ある雨が一時間降り続けたとした場合の降水量 降雨強度20mm/hの雨が15分降ったときの降水量 20mm/h×1/4h(15min)=5mm 日雨量:前日の午前9時から当日の午前9時までの24時間に降った雨量(降水量)を前日の日雨量とする. 時間雨量:ある時刻から1時間後までに降った降水量を時間雨量という. 例えば9時から10時までの降水量を10時の時間雨量とする.
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普通の雨:降雨強度5~10mm 強い雨:降雨強度10~20mm 激しい雨:降雨強度20~30mm 非常に激しい雨:降雨強度30~50mm
地面に水たまりができる程度の雨.雨音も気にならない程度. 強い雨:降雨強度10~20mm 地面一面に水たまりができる.雨音が少し気になる. 激しい雨:降雨強度20~30mm 土砂降りで傘をさしていても濡れるほど.小さな河川なら氾濫することもある. 非常に激しい雨:降雨強度30~50mm バケツをひっくり返したような雨.土砂災害が発生しやすくなる. 猛烈な雨:降雨強度50mm以上 滝のように振り,先が見えない程の雨.中小河川が氾濫し,土砂災害や水災害が発生,拡大する可能性が高くなる.
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赤道付近:高温多雨 亜熱帯:高温少雨 中緯度:温暖中間雨量 高緯度:冷涼多雨 極地:低温少雨
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二酸化炭素,メタンガスなどの地球温暖化ガスによる温室効果(greenhouse effect)
太陽放射 (短波放射,可視光線) 地球放射 (長波放射,赤外線) 大気圏 地表面 大気中の水蒸気や二酸化炭素は赤外線を吸収・放出する.地表面から放出されるエネルギー(熱)は大気に吸収・放出されながら大気圏外に放射される.この間に大気に熱が滞留し気温が上昇する. 気温上昇による極地の氷雪や山岳氷河の溶解,海水の熱膨張により海水面の上昇 水文サイクルへの影響は必至 IPCCは温暖化ガスの排出規制を全く実施しない場合2030年までに約20cm,21世紀末には65cmの海水上昇を予測(1988)
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酸性雨(acid rain):pH5.6以下の雨(塩酸はpH0)
イオウ酸化物(SOX)や窒素酸化物(NOX)が硫酸・硝酸になって雨に溶解するときに生じる.
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日本の年間降水量(1700~1800mm) 世界平均(950mm)の約2倍
夏季:梅雨、台風(水資源の確保に重要な時期であるとともに洪水に対して準備しておく必要がある。) 冬季:北陸などの日本海側地域では降雪が多い。 降水量の多い地域:九州南部、四国(太平洋側)、紀伊半島南部、北陸 降水量の少ない地域:瀬戸内地方、東北(太平洋側)、北海道
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地形性の降水 湿った空気が上昇し雲が発生 雨 降雨後の乾燥した空気が断熱圧縮される 乾燥した暖かい空気塊 フェーン現象 山
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寒気の勢力が強く寒気が暖気の下に潜り込む. 前線の通過で天気が荒れ気温が急激に下がる.
前線による降水 寒冷前線 寒気の勢力が強く寒気が暖気の下に潜り込む. 前線の通過で天気が荒れ気温が急激に下がる. 積乱雲 雷 空気塊の急激な上昇 寒気 暖気 温暖前線 暖気の勢力が強く暖気が寒気の上へ上昇. 暖気の上昇につれて各種の雲が形成される. 巻積雲 巻雲 巻層雲 高層雲 層積雲 乱層雲 (雨雲) 暖気 雨 寒気
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寒冷前線が温暖前線に追いつくときに形成される前線
閉塞前線 寒冷前線が温暖前線に追いつくときに形成される前線 暖気 寒気 温暖前線に追いついた寒気 雲 温暖前線 寒冷前線 寒冷前線型の閉塞前線 温暖前線に追いついた寒気 温暖前線 寒冷前線 雲 寒気 暖気 温暖前線型の閉塞前線
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シベリア寒気団 低温・乾燥・冬季 オホーツク気団 低温・湿潤 梅雨、春、秋 日本海 ユーラシア大陸 日本 太平洋 梅雨前線:オホーツク気団と小笠原気団の衝突で生じる前線。一ヶ月ほど停滞する(停滞前線)。 春や秋にも同様の前線が形成される。 小笠原気団 高温・湿潤・夏
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低気圧による降水 低気圧 温暖前線 寒冷前線 気圧・低 気圧・高 上昇気流 雲の発生
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空気の不安定状態の解消による降水 雲の発生 強い日射 暖められ軽くなった空気塊は上昇する。 上昇スピードは速くて短い。
地表面付近で暖められた湿潤空気塊 地面
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