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Bの物理と CDF Run II でのBs0振動の発見
魚住 聖 (素粒子実験) 2007 7/5 今週の物理 Introduction ユニタリティ三角形とは Bの物理 振動現象 Bs0振動の観測
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質量の大きいクオーク・レプトンは、弱い相互作用によって
電荷2/3 電荷-1/3 電荷0 電荷1 質量の大きいクオーク・レプトンは、弱い相互作用によって 軽い粒子へと崩壊していく。 例 ) t g b g c g s …. W+ W- W+
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クォークの壊れ方 W+ c x = a1d + a2s 起こりやすい崩壊と起こりにくい崩壊がある。 例えば、cクォークの崩壊について
ちょっと見方を変えると、 W+ c dとsの交じり合った状態 x = a1d + a2s これまでの実験結果によると、 a1 (~0.23) < a2 (~0.96)
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この考え方をもっと広げると? t, c, u b’, s’, d’ はW+との相互作用によって に
変わる。 (b,s,d g t’, c’, u’も同様) ここで CKM行列 …クォーク世代間の遷移の起こりやすさを表す
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Cabbibo-小林-益川行列 (CKM行列)
小林・益川が、K中間子でのCP対称性の破れを説明するためにCabibbo行列を拡張し、複素位相を含めた3x3行列にしたもの。 Cabibbo行列 この行列要素を決定するのが Bの物理の最終目標の一つ
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CKM行列の要素の値は標準模型では予言できない。
現在の実験値: 単位行列に近い g 世代を超えた遷移は起こりにくい。 = 実際には複素位相が入っている。 Wolfenstein parameterization: 4つのパラメータ (A,l,r,h)を決定すればよい。 特にVub,Vtdにからむr,hは重要! (複素位相はCP対称性の破れの起源となる)
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もっと(ビジュアル的に)わかりやすく 三角形でCKM行列を表す方法
ここから3つの便利な式が出てくる。 … (1) … (2) … (3) (3)式の両辺をVcdVcb*で割ると
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を複素平面に書くと… 各辺の長さと角度を実験から決定する。 主には、 辺の長さ g 崩壊分岐比、B0,Bs0振動現象の測定
虚軸 実軸 各辺の長さと角度を実験から決定する。 主には、 辺の長さ g 崩壊分岐比、B0,Bs0振動現象の測定 角度 g CP対称性の破れの測定
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なぜBの物理が重要か? ユニタリティ三角形の決定にはbの崩壊を測定することが不可欠 b g u W-で直接測定が可能
Top quarkは簡単には作れないので、loopを使う。 W 角度に関しては、異なる複素位相を持つB崩壊ダイアグラム の干渉を利用することによって測定可能。 例えば:
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B中間子 bクォークとu,d,s,cクォークの束縛状態 質量 : 5 ~ 6 GeV 質量が重いのに寿命が比較的長い
t ~1.5 ps (Bcは例外) Vcb が小さいおかげ(~0.04) 光速なら 0.5 ~ 数 mm走ることができる 実験的に飛距離を観測可能 ほぼ100%の確率でD中間子(cq)またはJ/y粒子(cc)に壊れる。
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Unitarity triangle as of summer 2005 なぜユニタリティ三角形の決定が 重要か? 小林益川理論の検証。
CP対称性の破れは、宇宙の 物質・反物質の非対称性を説明 するかもしれない。 もし新粒子がループ中に現れたら 標準模型からのズレが観測できる可能性がある。 (三角形が閉じない等) こっち方向の誤差を 少なくしたい! b g d g 崩壊を使う方法 (Belle) Bs0 & B0 の振動現象を使う方法 その他 右上辺の長さを測る方法:
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Bs0-Bs0 振動現象 Bs0中間子とBs0中間子は、弱い相互作用の二次の効果で混じり合う。
変化する。 Bs0になったものは時間と共にBs0に変化する。 結局 Bs0 g Bs0 g Bs0 g Bs0 ….. 周期的変化、つまり振動
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Bs0-Bs0 振動 : どのように時間変化するか?
ハミルトニアンの固有状態は、以下のように求められる。 の任意の重ねあわせを とすると、時間変化は シュレーディンガー方程式で与えられる。 ここでM,Gは2x2のエルミート行列で、 , これを固有値問題として解くと、固有値と固有状態はそれぞれ これらは質量の固有状態であり、それぞれ固有の質量 を持つ。 質量差を とする。
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Bs0-Bs0 振動 : どのように時間変化するか?(続き)
Bs0,Bs0は、できた瞬間はフレーバーの固有状態だが、B1s,B2sとして時間発展する。 一般の状態 の時間発展は、 そしてt=0(生成時)に100%Bs0(Bs0)だった状態の時間発展は、 (q/p~1として) eGt Bs0がBs0に変化する確率と、Bs0のままでいる 確率の時間変化は Bs0 g Bs0 Bs0 g Bs0 また、Dmsはbox diagramの振幅を計算することから得られ、
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Bs0Bs0振動による三角形の辺の長さの決定
実は、右上辺の長さは原理的にはBd0Bd0振動のみから決定できる。 右上辺の長さ = VtdVtb*/VcdVcb*、精度が必要なのはVtd Bd0Bd0振動の周波数 しかし、 の理論計算の不定性が大きく (>10%) それでVtdの精度が決まってしまう。 Bs0Bs0振動の周波数との比を取れば 理論的不定性はある程度打ち消しあうので 精度を上げることが可能となる。 ~ 4%
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何が大変か? Bs0を大量に作るのが大変 できたBs0を見つけるのも大変 それらをちゃんと再構成するのも大変
非常に早い振動を観測するのも大変 Bファクトリーではできない。 (エネルギーと位置分解能が足りない) 現在ではTevatronでのみ測定可能!
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One of the challenges : resolving very quick oscillations
Proper time resolution Real data, hadromic mode
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Tevatron & FNAL accelerator complex
Chicago Main Injector & Recycler Tevatron p source Booster CDF DØ 直径 2km、周長 6.2 km 世界最高の重心系エネルギー 1.96 TeVでの陽子反陽子衝突 陽子反陽子のバンチがそれぞれ6つづつ回って衝突を繰り返す。 2002年から2009年までRun IIを継続中。
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The CDF Collaboration 13カ国から60の 研究所・大学、約500人の 物理学者が参加
Silicon detector installation Roll-in to collision hall
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The CDF Detector ミューオン 検出器 ハドロンカロリメータ 電磁カロリメータ シリコン飛跡検出器 中央飛跡検出器
ソレノイドマグネット
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Outline/RoadMap to Dms
Recall: expression for significance in a mixing measurement 5) Maximize tagging rate x dilution2 Know your mistag rate from a Dmd measure Need statistic! 1) Trigger design to maximise Signal (S) highest BandWidth Fight for your Band Width (if in a general-purpose exp.) Keep your trigger alive! Amplitude scan 2) Good momentum (mass) and energy (!) resol. for max S/(S+B) 3) Measure tB on semileptonic & hadronic on multiple triggers (with/without lifetime bias) 13K ev. 260 pb-1 4) Improve st : fully reconstructed ! L00 close to beam pipe Primary vertex resolution.
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Bs0を捕らえる pp衝突では、あらゆる種類の反応が起こる。 pp g クォーク, レプトン, W, Z, (Higgs, SUSY?)…
しかし、全ての衝突反応を記録することは不可能。 衝突頻度 ~ 2.5 MHz データ記録能力 ~ 100 Hz bを含んだ反応のみを拾うための 「トリガー」が重要。 なるべく素早い判断のため、CDFでは三段階のトリガーシステムを使用している。
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Bs0を捕らえる Bの物理のための4つのトリガー@CDF
Single lepton trigger … pT (横方向運動量) > 8 GeVの e,mでトリガー - 高いpTのレプトンはbクォークからのものが多い J/y trigger - J/y g mmを捕らえる。非常にクリーン 2 displaced tracks trigger -pT > 2 GeVのdisplaced track (|d0| > mm)を2つ要求 Lepton + displaced track trigger -pT>4 GeVのe,m + displaced track
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Bs0を再構成する 8,800 fully reconstructed decays 61,500 semileptonic decays
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Event Display of the Bs0 Hadronic Decay
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生成時にBs0/Bs0どっちだったか? - flavor tagging and decay time measurement-
Same-side Kaon tagging つかまえたBs0の反対側、同じ側の情報を組み合わせて 判断する。 Opposite side: electrons, muons, kaons, jet charge Same Side: tag with selected kaon close to Bs0 Bs0の飛距離から崩壊時間を測定する。
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Amplitude Scan これまでの情報から、Bs0の振動確率が 崩壊時間の関数で得られる。
Introduce “Amplitude” in Likelihood Amplitude scan Fit the amplitude for fixed Dm Amplitude: A, uncertainty: sA Repeat the fit for different Dm Amplitude will be consistent with: 1 if mixing detected at the frequency Dm 0 if there is no mixing Example for B0 Hadronic sample Amplitude = 1 at Dm = 0.5 ps-1 Amplitude = 0 at Dm >> 0.5 ps-1 Hadronic B0 sample ~8K ev. Mix at Dmd
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Impact on the triangle Summer 2005 Fall 2006
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Summary Bの物理において長年の課題であったBs0Bs0振動が、CDF Run IIでとうとう観測された。
それによりユニタリティ三角形決定の精度が格段に向上した。 あとは理論計算の不定性のみ。 Dmsの観測値はこれまでの結果と標準模型から予言された通り だった。が、新しい物理の可能性が否定されたわけではない(らしい)。 新しい物理の検出に向けて、Bの物理はより超精密測定の方向に 進むだろう。 ss hs
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B Physics at the Tevatron
Production is by strong interaction: Flavor Excitation q b g Gluon Splitting b g Flavor Creation (annihilation) q b Flavor Creation (gluon fusion) b g Pros Cons Enormous cross-section ~50 barn total ~3-5 barn “reconstructable” At 1x1032cm-2s-1 ~400Hz of reconstructable BB!! All B species produced Bu,Bd,Bs,Bc,b,Sb… Production is incoherent Large inelastic background Triggering & reconstruction are challenging Modes with p0’s are tough Reconstruct a B hadron, ~25% chance 2nd B is within detector acceptance
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衝突型加速器 – ハドロンコライダー Tevatron (pp) … Fermilab, USA 代表的なもの :
LHC (pp) … CERN, Switzerland 代表的なもの : 最大到達エネルギーは、円形加速器の半径と 磁場の強さで決まる。 磁場の強さ ビーム運動量 加速器半径 エネルギーを上げるには、単純に加速器を大きく、磁場を強くすればいい。 なので重心系エネルギーを上げやすく、また様々なエネルギーで 衝突が起きる。 新粒子の発見に威力 しかし、始状態が同定しにくい バックグラウンドが非常に多い 強い相互作用で、グルーオンや パートンが飛び散るため p p
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レプトンコライダー(e+e-)の場合 じゃあまっすぐにしたら? 国際リニアコライダー計画 最大到達エネルギーはシンクロトロン放射によって
LEP, 最大到達エネルギーはシンクロトロン放射によって 制限される(電子は質量が軽いから)。 シンクロトロン放射による エネルギー損失 e+e-同士が決まった重心系エネルギーで衝突する 始状態がはっきりしているし、エネルギーのムダがない バックグラウンドがとても少ない 精密測定に向いている 重心系エネルギーを上げるのが大変 シンクロトロン放射のため、円形加速器では200GeV程度が限界。 じゃあまっすぐにしたら? ~31 km 国際リニアコライダー計画 重心系エネルギー 500 ~ 1000 GeV
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衝突型加速器 ビームの重心系E ILC top W/Z Z-factory B-factory charm,tau
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The CDF II detector some resolutions pT~0.15% pT (c/GeV)
J/Ψ mass ~14 MeV/c2 EM E ~ 16%/√E Had E ~ 80%/√E vertex r-f ~ 30 μm vertex r-z ~ 80 μm 1.4 T magnetic field Lever arm 132 cm sampling calorimeter scintillator and tile/fiber |η| < 3.64 132 ns front end chamber tracks at L1 silicon tracks at L2 25000 / 300 / 100 Hz with dead time < 5% 7 - 8 silicon layers 1.6 < r < 28 cm, |z|<45 cm |η| ≤ 2.0 σ(hit) ~ 15 μm 96 layer drift chamber |η| ≤ < r < 132 cm, |z|<155 cm 30k channels, σ(hit) ~ 140 μm dE/dx for p, K, π, e identification time-of-flight 110 ps at 150 cm p, K, π identific. 2σ at p <1.6 GeV/c coverage || ≤1.5 84% in
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B Physics
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Crucial information on the unitarity triangle of the CKM matrix,
length of one of the sides
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Neutral B Meson Oscillations
Cabibbo-Kobayashi-Maskawa Matrix fundamental parameters that must be measured weak mass Oscillation frequencies (md, ms) determine poorly known Vtd, Vts Theoretical uncertainties reduced in ratio: ~ 4%
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