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分布の非正規性を利用した行動遺伝モデル開発

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Presentation on theme: "分布の非正規性を利用した行動遺伝モデル開発"— Presentation transcript:

1 分布の非正規性を利用した行動遺伝モデル開発
2010年7月9日 統計数理研究所 オープンハウス 尾崎 幸謙   データ科学研究系 助教  行動遺伝学とは何か? 双生児データを利用することで,心理・身体指標等の個人差に与える遺伝と環境の影響を推定する学問 目的:少数の遺伝子によって規定されるような疾病ではなく,多数の遺伝子や環境が影響するような表現型(変数)に対する分析を     通して,人間行動の個人差の理解を促進させる。また,その知見を具体的な遺伝子探索・環境探索に役立てる。 心理学的変数に対する分析が盛ん:親の養育態度・家庭内環境が,子どもの社会的態度の形成や,問題行動の頻度に影響を与えるという,従来の心理学理論に対する検証を行うことが可能。 推定のロジックおよびその問題点 ロジック 1卵性双生児はとてもよく似ている(相関が高い)→遺伝子を100%共有しているから(A)+同じ生育環境だから(C) 2卵性双生児はそれなりに似ている(相関が中程度)→遺伝子を50%共有しているから(0.5A) +同じ生育環境だから(C) 個人差のうまれる原因→遺伝子の影響(A)+同じ生育環境の影響(C)+双生児の各々が独自に経験する環境+測定誤差があるから(E) Cov(1卵性)=A+C Cov(2卵性)=0.5A+C Var(1卵性)=Var(2卵性)=A+C+E 構造方程式モデリングによって分析を行う。適合度・標準誤差の評価によって,A,C,Eそれぞれが個人差に影響するか否かを検討する。 × 相加的遺伝(A) 表現型に影響を与える個々の遺伝子の相加的影響 非相加的遺伝(D) 遺伝子どうしの組み合わせ効果(優性など) 個人差 問題点 個人差の原因には,D(非相加的遺伝)もあるが,モデル識別の問題から,4要因モデルの分析はできなかった。そこで,従来は 1卵性双生児間の相関<2×2卵性双生児間の相関ならばACEモデル 1卵性双生児間の相関>2×2卵性双生児間の相関ならばADEモデル で分析が行われていた。しかし,この方法には以下のような問題がある。 共有環境 (C) 双生児を類似させる環境 非共有環境(E) 双生児が独自に経験する環境+測定誤差 ACEまたはADEで分析を行った場合のバイアス 数値例1 数値例2 A, C, D, Eの寄与率がそれぞれ0.1, 0.2, 0.6, 0.1のとき,1卵性間相関は0.9,2卵性間相関は 0.4になる。 このとき,従来の方法ではADEモデルで分析が行われるが,実際にはCは2番目に大きな寄与率を持っている。 A, C, D, E全ての寄与率が0.25のとき,1卵性間相関は0.75,2卵性間相関は になる。 このとき,従来の方法ではACEモデルで分析が行われるが,実際にはDも他の要因と同じだけの寄与率がある。 添え字 E=推定量 T=真値 解決策および実データ分析結果 解決策 2次の積率に加えて3次の積率も使用することで4要因全てを推定するモデルを,Ozaki, Toyoda, Iwama, Kubo, Ando (accepted, Behavior Genetics)は提案した。 実データ解析:性同一性障害 3要因(ACEモデル)の結果 4要因(ACDEモデル)の結果 項目: ・ 違う性別になりたい ・ 違う性別として扱われたい ・ 今の性別であることがいやである ・ 自分の性別だけにある身体の特徴を変えたい DSM-IV-TRの基準をもとに作成 4項目の合計得点(範囲は4-24)を表現型とした。 平均6.73 分散13.68 歪度1.55 1卵性双生児間相関0.57 2卵性双生児間相関0.34 進化の視点から考えると,自然淘汰は性同一性障害のような不適応な遺伝的変異を集団から 取り除くため,適応上重要な変数に対する相加的遺伝の影響は小さいはずである。逆に,適応 上重要な変数に対しても遺伝の影響があるならば,それは非相加的遺伝であると考えられる。 つまり,遺伝子どうしの組み合わせによって偶然,性同一性障害傾向が生じると考えられる。 したがって,非相加的遺伝の影響がない(そもそも捉えることのできない)3要因モデルよりも, ある程度大きなDの影響が推定されている4要因モデルの方が,性同一性障害の原因をよく 捉えていると考えられる。 対象者: 女性ペアの双生児Female twins (19~26歳) 1卵性ペア250組,2卵性ペア115組


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