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機関リポジトリを軌道に乗せるため為すべき仕事 ー千葉大学の経験を踏まえてー

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1 機関リポジトリを軌道に乗せるため為すべき仕事 ー千葉大学の経験を踏まえてー
・千葉大学附属図書館情報管理課 阿蘓品治夫 ・情報管理 48(8) 2005

2 機関リポジトリの構築には、持続可能な事業として学内に定着させることが重要
予算がついたので手近にある資料を電子化しただけの「電子図書館」にしてはならない IRは「図書館リポジトリ=Library Repository」ではない 図書館よりも上位の大学(機関そのもの)にくっついたリポジトリ 大学自体・研究分野自体の有り様がドラスティックに再構築される可能性を秘めている

3 千葉大学版IR:CURATORについて Chiba University’s Repository for Access To Outcomes of Researchの略 2002年度 原型となるプロトタイプシステムの開発 2005年2月 運用開始=IRの国内初例 コンテンツの内訳 (2005.5現在 704件)   :紀要論文(70%)雑誌掲載論文(6.8%)教材(1.4%)   :テクニカルレポート(6.2%)プレプリント(1.5%)   :会議発表論文(0.4%)単行書の章(2.4%)その他(10.3%) 登録申請書に図書館に対して包括的な著作物利用許諾を与える旨の内容が盛り込まれている。

4 国内学会等刊行誌掲載論文の著作権調査 2005.1 国内の39団体にメール送付 回答率 62% (回答24、未回答15)
回答率 62% (回答24、未回答15) 著作権の全体を学会が保有するケースが7割弱 著作者本人による掲載論文のweb公開の認否については意見が分かれる。方針が定まっていないケースが多い 著作権方針の調査とその結果を公開することについては7割弱が賛同している

5 仕事その1 学内合意の形成 「千葉大学学術成果リポジトリ運用指針」のオーソライズ 研究に関する大学の意思決定機関である教育研究評議会で承認
仕事その1 学内合意の形成 「千葉大学学術成果リポジトリ運用指針」のオーソライズ 研究に関する大学の意思決定機関である教育研究評議会で承認 担当理事や学長に根回し 同委員会の助言を受け、専門家等への意見聴取を実施 大学全体の情報関連事項を扱う情報企画委員会で審議 附属図書館の最高意思決定機関である運営委員会で審議・承認 審議・修正 学術情報発信専門委員会で 学術情報発信WGが原案を作成 ↓  大学公認事業としてスタート

6 仕事その2 登録コンテンツの継続的確保 目指すのはわずかずつでもよいからコンテンツが増え続ける「活きた」IRにすること 質的向上を目指すこと
仕事その2 登録コンテンツの継続的確保 目指すのはわずかずつでもよいからコンテンツが増え続ける「活きた」IRにすること 質的向上を目指すこと     :Green Journal 掲載論文の収録率を上げること     :オーバーレイジャーナルの創刊を試みること Green journal掲載論文の著者版の確保     :収集実験     :図書館側がレクチャーする必要がある     :電子投稿システムの把握 研究業績管理システムとの連携     :準備中     :香港科技大学の紹介(オプトアウト登録も試行)

7 著者版の収集実験 初期コンテンツ構築の一環としてGreen journal掲載論文をある程度まとまった数量収集する際実施
収集対象:千葉大所属研究者が執筆した対象論文のうち、主要EJから447論文を抽出 依頼内容:IR登録のために著者版1部を電子ファイルで提供することをメールで依頼   ・依頼数(研究者数)  447論文(256名)   ・論文電子ファイル提供数 141論文(31.5%)   ・登録可能論文電子ファイル数 65論文(14.5%)   ・登録不可の論文電子ファイル 76論文(17.0%) (ほとんどが出版社版)

8 CURATORのコンテンツ収集 博士論文 外部資金による研究成果(COE・科研など) セルフアーカイブの広報等は最小限
  :もともと博士論文提出時に電子ファイルを任意提出させ将来的にそれを公開しようという試みをしていた研究科があった   (2004年度 修了者80名中電子ファイル提出者30名) 外部資金による研究成果(COE・科研など)   :リーダーを特定し具体的に論文提出依頼 セルフアーカイブの広報等は最小限 狭く深く研究ユニット(学部・講座等)を対象として「これとこれとこれを提出してほしい」といった具体的な提供依頼にシフト 「活きたIR」になるかどうかは図書館にかかっている

9 仕事その3 研究成果の「ショーウィンドウ」を作る
仕事その3 研究成果の「ショーウィンドウ」を作る IRをベースとして「わが大学の知的側面はこうである」というデモンストレーションするような「発信」が求められるので、大学として研究成果を積極的に活用する際の基盤としてCURATORを活用してもらいたい。 研究者データベースとリンクすれば、「大学の研究成果」として外部に対して高い付加価値を持つものになり得る。 大学の公式・非公式の各種webサイトのリンク先としての活用(オーバーレイジャーナル・学部学科等のページ・シラバス・個人webサイトなど)   :恒久的なURLを持つ安定した格納場所として積極的にプロモーションしていきたい

10 2004-2005 NII-IRP (機関リポジトリ実装実験プロジェクト)
おまけ  NII-IRP (機関リポジトリ実装実験プロジェクト) ・北海道大学 ・千葉大学 ・東京大学 ・東京学芸大学 ・名古屋大学 ・九州大学 2005.3 報告書を刊行 


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