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電波分野での主たる 偏光測定原理 藤沢健太(山口大学) 研究会「次世代の多波長偏光サイエンスの開拓」 2011/09/28-29@三鷹.

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1 電波分野での主たる 偏光測定原理 藤沢健太(山口大学) 研究会「次世代の多波長偏光サイエンスの開拓」 2011/09/28-29@三鷹

2 電波以外の電磁波の検出 電波以外の電磁波の検出=光子の検出 偏光観測 電波でも光子を検出する方法(例:ボロメータ)では、上記と同じ
光子を1個ずつ検出=数えられる エネルギーを測れる→分光観測できる 位相情報は失われる=電磁波の波形は得られない 偏光観測 偏光情報は光子の確率分布に現れる 光子を数える検出方法では、検出器自体には偏光に対する感度はない 光子を数える検出方法の場合、偏光測定は、検出器の前に偏光分離装置を置く 電波でも光子を検出する方法(例:ボロメータ)では、上記と同じ

3 電波の観測 電波強度の測定=到来電波電圧(の2乗)測定 強度を測定する前に、信号処理が可能 偏光(以下、偏波)を直接とらえられる
光子の数は数えられない。振幅揺らぎの変動として、統計的に光子の到来を知る 強度を測定する前に、信号処理が可能 到来した電波波形を失わない信号処理 電圧信号に変換して(さらにデジタル化して)干渉計観測 電圧信号を直接フーリエ変換して分光観測 偏光(以下、偏波)を直接とらえられる

4 天体電波の性質 天体電波は雑音的な性質を示す 人工電波 天体電波 単一周波数 強い偏波 広がった周波数 偏波
特定周波数の正弦波に変調を加える。基本的には単一周波数の電波 時間的に位相が変化する様子を追跡できる 強い偏波 偏波面を限定して送受信するので、ほとんど100%偏波 天体電波 広がった周波数 熱的放射・シンクロトロン放射 スペクトル線でも、周波数の幅は有限 位相を追跡できない 偏波 一般に、ほとんど無偏波 強く直線偏波した活動銀河核の電波でも5%程度 天体電波は雑音的な性質を示す

5 雑音信号の模式図 電場ベクトルの時間変化 電圧の時間変化 スペクトル 人工信号 天体信号=雑音 観測者から見た到来する電波の電場ベクトル
偏波面が明瞭 無偏波 電圧の時間変化 特定偏波方向の電場成分の時間変化 ランダムな信号 位相が明確 スペクトル 広がった スペクトル 電圧信号のフーリエ変換の2乗 単一周波数

6 電磁波の記述 Maxwellの方程式と補助関係式 真空中 電磁波の波動方程式 Z方向に進行する電磁波を仮定 電場・磁場の関係
(1)電場がx方向なら磁場はy方向 (2)独立な2つの成分をもつ 真空中では、進行方向に電磁場成分はない

7 電磁波 x H E 電磁波の進行方向 z y 電場がy方向のみ存在する直線偏波

8 ダイポールアンテナ:アンテナの基本 偏波受信の基本 交差偏波の識別度 ダイポール方向の電場を受信する 直交する電場は透過
⇒同軸ケーブルの電圧信号 直交する電場は透過 1つのダイポールでは片偏波しか受信できない 交差偏波の識別度 電波における「偏波観測の性能」は、「交差偏波の識別度」に帰着できる アンテナの構造・形状、製作精度 ダイポールを回転させることで直線偏波の測定が可能 (IQUは可、Vは不可) 電圧信号

9 電波の受信パワー 片側偏波のみ受信 受信電力 [J s-1 Hz-1] 天体の フラックス密度 [J s-1 m-2 Hz-1] アンテナの
有効開口面積 [m2]

10 通常のアンテナ

11 円筒・円錐ホーンを、偏波を維持したまま電波は伝搬する

12

13

14 同軸-導波管変換器 直線偏波は同軸線路に変換しやすい ダイポールアンテナ=直線偏波を受信

15 円偏波の直接受信:ヘリカルアンテナ

16 セプタム型円偏波発生器

17 セプタム型円偏波発生器 (22GHz帯用、大阪府立大学小川研究室)
直線偏波に変換 された片側の 円偏波成分 ポート1に入力した直交2円偏波は、セプタム部で位相差を与えられ、直線偏波に変換されてポート2、3から出力される 直線偏波に変換 された片側の 円偏波成分 円偏波 (直線偏波、無偏波)

18 交差偏波識別度

19 直線偏波と円偏波 電磁場の「重ね合わせの原理」 直線偏波は 円偏波は 直交2偏波の位相を変化させると、円←→直線偏波の変換が可能
直交する2つの直線偏波の和 位相がそろっている 直交する2つの円偏波の和 円偏波は 位相がπ/2ずれている 直交2偏波の位相を変化させると、円←→直線偏波の変換が可能

20 2つの直線偏波の和 Y方向に電場がある直線偏波 x y X方向に電場がある直線偏波 y x y x これは位相が一致している場合!

21 2つの直線偏波の和 Y方向に電場がある直線偏波 X方向に電場がある直線偏波 y y x y 位相がπ/2ずれた場合は円偏波 x x

22 2つの直線偏波の和 + Y方向に電場がある直線偏波 X方向に電場がある直線偏波 y y x y 位相がπ/2ずれた場合は円偏波
位相のずれ方で回転方向が変化 x x

23 2つの円偏波の和 左旋円偏波 右旋円偏波 y y x x y x 直線偏波は2直交円偏波に分離可能 直交する2円偏波から直線偏波を合成

24 余談 y y ヒント: これ以外のケースでは、「合成・分離する2偏波」はすべて直交する独立な信号である。したがって単純な和則を適用できる。このケースは同じ偏波なので、2信号は「干渉」する。 x x y x 電場の振幅が2倍 ⇒ 強度は4倍?

25 導波管内に金属の 突起がある 導波管内の移相器

26 2つの直線偏波の和 + 135°方向に電場がある直線偏波 (位相が90°遅れ) 45°方向に電場がある直線偏波 y y x x x y x
水平直線偏波! 金属を接近させると 位相が進む δ=p/2になると・・・

27 2つの直線偏波の和 + 135°方向に電場がある直線偏波 (位相が90°進み) 45°方向に電場がある直線偏波 y y x x x y
垂直直線偏波! x y

28 導波管内に金属の 突起がある 導波管内の移相器

29 偏波計 z1 z3 z4 z2 2乗検波 E→P=E2 LHCP POL f f Mix RHCP DC電圧として測定される。波形は喪失
半導体 非線形素子 DC電圧として測定される。波形は喪失 z1 LHCP f Mix z3 POL z4 f 90° RHCP z2

30 偏波計 z1 RHCP z3 POL AC電圧として測定、波形保存。 通常はデジタルサンプリング z4 f 90° LHCP z2

31 信号処理 アナログ信号処理(1) アナログ信号処理(2) デジタル信号処理 アンテナ、導波管、偏波分離器などの立体回路で信号処理
金属部品の空間構造が鍵 アナログ信号処理(2) 同軸線路、アンプ、周波数変換、合成・分離回路など 空間構造、半導体製品 デジタル信号処理 電圧波形をデジタル化し、デジタル信号処理装置で処理 波形を保存する ハードウェア 相関器、分光器 ソフトウェア 近年、PCでも1Gbps程度の処理は容易になった

32 偏波計(デジタル) z1 z3 z4 z2 2乗 RHCP A/D 乗算 AC電圧として測定、波形保存。 POL 通常はデジタルサンプリング
f A/D 90° LHCP 2乗 z2

33 偏波と干渉計出力 以下5ページは、浅田圭一さんに資料をいただきました

34 偏波観測を行う干渉計 直線偏波受信 ATCA ALMA 円偏波受信 VLA BIMA SMA VLBA VSOP-2 EVN JVN

35 あるアンテナの出力 x x’ North 受信できる偏波はある楕円偏波 χ: フィードの偏波特性 ψ χ χ = 0°: 直線偏波受信
ψ: フィードの設置角 ψ χ χ = 0°: 直線偏波受信 χ = 45°: 円偏波受信 East y y’

36 干渉計出力 Q1: なぜπ/2が入るのか? A1: y'方向の受信される信号には$¥pi/2$の位相遅れが付加される.
円偏波受信を考えれば明か:Vは電圧で複素量円偏波の場合には位相が90°ズレた等しい電場があるはず。

37 干渉計出力

38 まとめ 強度を測定する前に、信号処理が可能 偏光を直接、電圧信号としてとらえられる 到来した電波波形を失わない信号処理
電圧信号に変換して(さらにデジタル化)干渉計観測 電圧信号を直接フーリエ変換して分光観測 偏光を直接、電圧信号としてとらえられる


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