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1 安全保障貿易管理(総論) 2006年7月 経済産業省 貿易管理部
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目次 1.我が国を取巻く安全保障貿易管理体制と変遷
2 目次 1.我が国を取巻く安全保障貿易管理体制と変遷 (1)安全保障貿易管理の必要性 (2)安全保障貿易管理の変遷 (3)安全保障貿易管理の枠組 2.我が国の安全保障貿易管理制度 (1)安全保障貿易管理制度の仕組 (2)違反に対する罰則 3.自主管理体制の整備 (1)自主管理のための社内規程の整備 (2)輸出管理社内規程の整備とポイント (参考)輸出許可申請・各種相談窓口
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1.我が国を取巻く安全保障貿易管理体制と変遷
3 1.我が国を取巻く安全保障貿易管理体制と変遷
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(1)安全保障貿易管理の必要性 4 国際情勢の不安定化は、我が国の継続的経済発展を妨げるばかりか、我々の生活を直接脅かす可能性があります! 核兵器等の開発等 を行っている国、 テロリスト 輸出管理が厳 格に実施され ていない国 輸出・技術提供 先 進 国 国際情勢の 不安定化 輸出管理の必要性大 (趣旨) ・安全補償貿易管理の目的を説明。 (説明のポイント) ・大量破壊兵器や通常兵器が、特定の国々やテロ組織の手に渡り、国際的な平和や安全の維持に悪い影響を及ぼすことにならないように、先進国が協調して輸出を管理することが目的。 ・特に最近は、安全保障の趣旨は理解しているものの管理制度は厳格でない国の脇の甘さを利用した迂回輸出を狙う事例が認められる。 ・事件が起きてしまうと世界のどこかで大量殺人が発生するという点で、一企業あるいは一国家だけの問題にとどまらない。国際的な協調によるリスク・マネジメントが必須の課題。 (備考:迂回事例) ・明伸事件(2003年、直流安定電源を日本からタイ経由で北朝鮮向けに輸出、香港で差押え) ・北朝鮮のシアン化ナトリウム調達(2004年、韓国商社が中国等に輸出した物資を大量に買付) ・核の闇調達ネットワーク(2003年、後述) 〔明昌洋行/西伸商事事件(2006年、北朝鮮向けの資材を台湾の商社を利用して日本から買付)〕 輸出・技術提供
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(2)安全保障貿易管理の変遷 世 界 情 勢 5 冷戦 大量破壊兵器 1970~ 1980~ 1990~ 2000~ 第2次世界大戦
世 界 情 勢 90年 東西ドイツ統一 冷戦 01年9月 米国同時多 発テロ事件 第2次世界大戦 45年 80~88年 イラン・イラク 戦争 74年 90~91年 湾岸戦争 米・原爆投下 印・原爆実験 ソ連(49)、英(52)、 仏(60)、中(64)が 原爆実験成功 84年 後日、イラクの核開発計画が明らかに 01年 10月 03年 3月 イラク化学 兵器使用 米国アフガニ スタン攻撃 米国イラク 攻撃 90年代以降の アジア情勢 北朝鮮 インド・ パキスタン ・93年 ノドン発射 ・93~94年 核開発疑惑と 米朝枠組合意 ・98年 テポドン発射 ・02年~ 核開発問題 再び表面化 大量破壊兵器 77年 原子力供給国会合(NSG)発足・・・核兵器 ・98年 両国が 核実験 ・02年 ミサイル 発射実験 85年 オーストラリアグループ(AG)発足 ・・・生物・化学兵器 キャッチオール規制導入 91年に米が、95年にEUが キャッチ・オール規制導入 02年 我が国キャッチ・ オール規制本格導入 87年 ミサイル関連機材技術 輸出規制(MTCR)開始 キャッチオール規制導入 通常兵器 経過措置 96年7月 ワッセナー・アレンジメント設立 49年 ココム設立 94年3月 ココム終了
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(3)安全保障貿易管理の枠組 国際的枠組 6 条約 我が国の 枠 組 大量破壊兵器関連 武器三原則 NSG AG MTCR WA
通常兵器 関 連 我が国の 枠 組 大量破壊兵器関連 条約 核兵器関係 生物・化学兵器関連 ミサイル関連 通常兵器関連 核兵器、生物・化学 兵器そのものを規制 NPT BWC CWC 生物兵器 禁止条約 核不拡散 条約 化学兵器 禁止条約 武器三原則 Nuclear Non- proliferation Treaty Biological Weapons Convention Chemical Weapons Convention 武器輸出を 原則禁止 ・70年発効 ・189カ国締結 (03年12月現在) ・75年発効 ・151カ国批准 (04年6月現在) ・97年発効 ・164カ国批准 (04年7月現在) 国際輸出 管理 レジーム NSG AG MTCR WA 原子力供 給国会合 オーストラリア ・グループ ミサイル関連 機材・技術輸 出規制 ワッセナー・ アレンジメント 外国為替及び 外国貿易法 通常兵器、ミサイル等 大量破壊兵器等の開 発に用いられる汎用 品等を貿易管理 The Wassenaar Arrangement Missile Technology Control Regime Nuclear Suppliers Group Australia Group ・輸出貿易管理令 (貨物) ・外国為替令 (役務) ・96年発足 ・39カ国参加 (05年7月現在) ・77年発足 ・45カ国参加 (05年7月現在) ・85年発足 ・39カ国参加 (05年7月現在) ・87年発足 ・34カ国参加 (05年7月現在)
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7 2.我が国の安全保障貿易管理制度
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(1)安全保障貿易管理制度の仕組(その1) 8 リスト 貨物の輸出 規制 役務の提供 規制対象地域等 (特定の地域) 規制の意図・目的等
規制対象地域等 (特定の地域) 規制の意図・目的等 ・兵器及び兵器の開発等に用いられるおそれの高いものを規制 ・全地域向けが対象 ・スペックで該当するものは必ず許可が必要(用途、需要者によらない) リスト 規制 貨物の輸出 「特定貨物」の輸出 規制対象の違い 規制方法の違い ・全地域向けが対象 米、加、EU諸国等の輸出管理を厳格に実施している26ヶ国は除外 ・用途、需要者により、許可申請の要否が決まる ・リスト規制以外で、大量破壊兵器等の開発等に用いられるおそれのあるものを規制 キャッチオール 規制 役務の提供 ※ 「居住者」→「非居住者」への提供 平成14年4月導入 ※ ソフトウェアを含む
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外為法 (1)安全保障貿易管理制度の仕組(その2) 貨物 役務 輸出貿易管理令 48条 25条 外国為替令 9 キャッチ・オール規制
ポイントとなる法律や政省令は、貨物の輸出/役務の提供やリスト規制/キャッチ・オール規制の区分によって異なります。 下の図は法令の概要を大まかに表した図です。 リスト規制 キャッチ・オール規制 関係する法令等 貨物 別表第1 16項 別表第11~15項 輸出貿易管理令 48条 輸出貨物が核兵器等の開発等のために用いられるおそれがある場合を定める省令 etc. 外為法 輸出貿易管理令別表第1及び外国為替令別表の規定に基づき貨物又は技術を定める省令 (おそれ省令) (貨物等省令) 25条 役務 別表 16項 外国為替令 別表 1~15項 貿易関係貿易外取引等に関する省令第9条第1項第四号イの規定に基づき、経済産業大臣が告示で定める提供しようとする技術が核兵器等の開発等のために利用されるおそれがある場合を定める件 etc. (おそれ告示) 注) 他にも関連する省令や通達等が存在しますが、ここでは省略します。 詳しくは、本資料の参考資料若しくは安全保障貿易管理HP等を参考にしてください。
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輸出許可の種類 一般包括許可 個別輸出許可 特定包括輸出許可 特別返品等包括輸出許可 10
原則、国際輸出管理レジーム参加国を仕向地 として行う当該レジームで規制された貨物・技術 (機微品目を除く)の取引を一括して許可 個別輸出許可 一般包括許可の適用対象外地域及び貨物・技術を対象として許可 継続的な取引関係を有する同一の相手方への特定貨物・技術の取引について一括して許可 特定包括輸出許可 複数回の許可 取得実績 本邦において使用するために輸入された 貨物であって、不具合による返品、修理 または異品のためのみに輸出する輸出令 別表第1の1項または外為令別表の1項に 該当する貨物(武器)または貨物に内蔵 された技術について一括して許可 特別返品等包括輸出許可 注)上記はあくまで大まかな整理です。詳細については、安全保障貿易管理ホームページ
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(2)違反に対する罰則 「輸出管理を知らなかった」「輸出管理は自分とは関係がないと思っていた」では済みません!! 公 表
11 「輸出管理を知らなかった」「輸出管理は自分とは関係がないと思っていた」では済みません!! 特定の貨物の輸出・技術提供は規制の対象 経済産業大臣の許可が必要です。 注意 ・皆さんに比較的身近な民生用品であっても規制対象となります。 ・海外の現地子会社、日系企業向けも対象です。 違反した場合には、 1.法律に基づき、刑事罰や行政制裁が科される場合もあります。 2.実際に懸念用途に用いられた場合、企業のみならず日本に対するダメージははかり知れません。 刑事罰 ・ 対象貨物/役務価格の5倍以下の罰金 (価格が40万円以下でも最高200万円の罰金) ・ 5年以下の懲役 公 表 ・企業イメージの悪化 ・社会的制裁 ・株主代表訴訟 等 行政制裁 ・ 3年以内の、貨物輸出・技術提供の禁止 経済産業省からの 違反企業に対する警告
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我が国における行政制裁の事例 行政制裁 (1985年~2004年6月末迄:17件) 2000年5月
12 我が国における行政制裁の事例 行政制裁 (1985年~2004年6月末迄:17件) 2000年5月 S社 対戦車ロケット砲「RPG-7部分品」をイラン向けに無許可輸出 → 00年5月22日~01年5月21日迄の間、全貨物の輸出禁止 2004年3月 M社 核兵器の開発に転用可能な直流安定化電源を北朝鮮向けに 無許可迂回輸出 → 04年4月5日~7月4日迄の間、全貨物の輸出禁止 2004年6月 A社 核兵器の開発に転用可能な周波数変換器を北朝鮮向けに無許 可迂回輸出 → 04年6月18日~10月17日迄の間、全貨物の輸出禁止
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外為法違反による摘発事例 13 キャッチ・オール規制 リスト規制 A社 B社 C社 時期 H15 H16 内容 11月
東京地裁判決2/23: 同社社長に対し懲役1年、 執行猶予3年、 同社に対し罰金200万円 キャッチ・オール規制 核兵器の開発に転用可能な 直流安定化電源をタイ経由 で北朝鮮に違法輸出しよう とした容疑により同社社長が 書類送検される。 A社 横浜地裁判決5/10: 同社社長に対し懲役1年、 執行猶予3年、共犯者 に対し、懲役10ヶ月、 執行猶予3年 1月 核兵器開発に転用可能 な大型のインバータを北朝鮮 向けに不正輸出した容疑 で同社社長以下関係者 2名が逮捕される。 B社 6月 リスト規制 ミサイル推進薬の製造に 使用可能な機器をイラン 向けに違法輸出しようと した容疑で同社社長以下 関係者5名が逮捕される。 C社
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14 3.自主管理体制の整備
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(1)自主管理のための社内規程の整備 ・安全保障貿易管理の適切な実施のためには、関係法令の遵守をはじめ企業における自主管理が重要。
15 ・安全保障貿易管理の適切な実施のためには、関係法令の遵守をはじめ企業における自主管理が重要。 ・自主管理を行うにあたっては、輸出管理社内規程(CP)を整備し、これに基づいた輸出管理を行うことにより、企業のリスクを軽減することが可能。 <社内組織体制と具体的活動の例> ○営業部門から独立した輸出管理部門を設立し、同組織を中心とした輸出管理(審査)体制を構築する。 ○輸出管理部門が中心となり、最新の制度等の関連情報を入手し、社内へ周知・徹底を図る。 ○該非判定(許可の要否)、取引審査(用途・需要者の確認等)などについては、複数の者によるダブルチェック以上の体制で実施する。 ○出荷部門では、社内での取引審査の終了していることの確認及び出荷管理票と貨物の同一性を確認を行う。
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企業の輸出審査の流れと具体的活動 経 済 産 業 省 引合い 最高責任者 貨物の輸出 16 営業部門 設計・製造部門 輸出管理部門 出荷部門
経 済 産 業 省 (判定書) 取引審査 ・該非判定 (許可の要否) ・顧客審査 ・用途・最終需要者 の確認 該非判定書の作成 輸出管理部門 (取引審査 稟議書) (教育・監査) 該非判定最終確認 (製品) 制度等関連情報の入手 取引審査決裁 契約締結 輸出許可申請の 必要性確認 (教育・監査) (許可証) 輸出許可証の取得 (必要に応じ) (教育・監査) 出荷部門 出荷管理 ・取引審査の終了を確認 ・出荷管理票と貨物の 同一性を確認 (出荷依頼書) 製品の出荷依頼 貨物の輸出
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(2)輸出管理社内規程の整備とポイント 輸出管理社内規程の作成にあたっては・・・ 輸出管理体制については・・・
17 (2)輸出管理社内規程の整備とポイント 輸出管理社内規程の作成にあたっては・・・ ①輸出管理体制、②取引審査、③最終判断権者の疑義ある取引の未然防止、④出荷管理、⑤監査、⑥教育、⑦資料管理、⑧子会社等指導、⑨違反の9項目を規定することが必要。 輸出管理体制については・・・ 企業の組織構成、商社又は製造業者、企業規模を考慮しながら、企業の業態・規模に応じた管理体制を構築することが望ましい。 ●適切な輸出管理体制の構築が輸出管理の実効性・持続性の確保から重要 企業の業態・規模 に応じた管理体制 ●各管理体制のメリット・デメリットを良く理解し、そのデメリットを解消する施策を講じること
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(参考) 輸出許可申請・各種相談窓口 18 1.輸出許可申請は、以下のアドレスのホームページに記載する申請窓口に、様式・添付資料を準備したうえで申請願います。 ( ) 注意 貨物及び仕向地により申請窓口が異なりますので、御確認下さい。 2.解釈、手続等で疑問があれば、以下に問い合わせください。 (1)輸出管理についての一般的なお問い合わせは、 安全保障貿易 相談窓口まで ℡:03-3501-3679 (2)申請手続き、キャッチオール事前相談についてのお問い合わせは、 安全保障貿易審査課まで ℡:03-3501-2801 注意 リスト規制に関しては、該当する規制リスト項目、輸出貨物(技術)の技術的仕様を、 キャッチオール規制に関しては、仕向地、HS分類コード、用途チェックリスト、顧客チェックリストを お手元に御用意頂いたうえ、ご連絡ください。 (3)輸出管理社内規程(CP)についてのご相談、不正輸出のご連絡は、 安全保障貿易検査官室まで ℡:03-3501-2841 (4)法令の解釈のお問い合わせ、ホームページへご意見は、 安全保障貿易管理課まで ℡:03-3501-2800
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