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第11時限 特許明細書の書き方(2) 演習
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第11時限 目次 11-1 前回のおさらい 11-2 事例 11-3 演習 3
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前回のおさらい :特許出願書類の内容と明細書の構成
11-1 前回のおさらい :特許出願書類の内容と明細書の構成 特許出願書類 必要な書類 願書 発明者や出願人の氏名などを記載して、発明者や出願人を特定する。 特許請求の範囲 発明を特定する事項。権利範囲となる 明細書 発明の内容を明確かつ十分に詳細に説明する 要約書 発明の内容理解に役立つ図面を添付する。 発明の内容によっては不要であり、その場合は添付しない 図面 簡潔に発明全体のポイントを表示する 明細書の構成 【書類名】 【発明の名称】 【技術分野】 【背景技術】 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【課題を解決するための手段】 【発明の効果】 【発明を実施するための最良の形態】 【実施例】 【産業上の利用可能性】 【図面の簡単な説明】 【図1~・・・】 【符号の説明】 〔狙い〕 前回の内容のおさらい。 特許出願の際に願書に添付する書類と各書類の記載内容及び明細書の構成についてイメージする。(再掲)
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研究者と明細書 11-1 明細書は発明内容に最も詳しい研究者が作成することが望ましい 〔狙い〕 前回の内容のおさらい
明細書の項目 記載すべき内容 研究レポートでの対応する項目 発明の名称 発明の内容を簡単、明瞭に表す。10~20字程度 研究の名称 技術分野 対象技術の産業分野、発明を適用できる装置、物品など 研究の分野 背景技術 特許公報や一般文献のうち内容的に近いものを挙げ説明する。 従来技術レベル、研究の背景など 発明が解決しようとする課題 従来の技術の問題点 研究のテーマ、目標など 課題を解決するための手段 どんな手段で解決するのか。(通常は「特許請求の範囲」と同様の起債) (該当項目なし) 発明の効果 従来技術よりも有利な点を記載。データ等を用いた説明。 実験結果、研究結果など 発明を実施するための最良の形態および実施例 実際に行った実験、試作の例。それらの理論的説明。 (☆理論からの推測で実施可能な例) 実験例、実験データ、考察など(☆印は該当項目なし) 図面の簡単な説明 図面ごとに、平面図、断面図、・・・と説明。主要な符号の説明。 装置図、フロー図などの説明 〔狙い〕 前回の内容のおさらい 研究者がイメージしやすいように、明細書の記載事項と、研究論文の記載事項とを対比して関連付けて説明する。
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11-2 事例:人工衛星の例 A研究員は、人工衛星の研究をしている。現在研究中のものは、ソーラーパネルとカメラとを搭載した人工衛星であって、前記ソーラーパネルは宇宙空間で人工衛星の外側に張り出し、パネル角度調整用モーターにより角度が調整可能であり、前記カメラはズーム調整用モーターにより倍率が調整可能である。このような人工衛星をシミュレーションした結果、パネル角度調整用モーターとズーム調整用モーターとが同時に作動した場合、これら2つのモーターの振動によるうなりが発生し、このうなりの周波数にソーラーパネル全体が共振し、ソーラーパネルが破損する問題があることが判明した。A研究員はこの問題を解決するため、ソーラーパネルの中心にダンパーマスを設けたところ、このダンパーマスのダンピング効果によってソーラーパネルの振動を吸収し、ソーラーパネル全体が共振するのを低減でき、ソーラーパネルの破損を防止できることがわかった。 ダンパーマス パネル角度調整用モーター 〔狙い〕 事例を用いて、明細書の作成のために発明をどのように把握するかや、従来技術と対比し、それに応じてどのようなクレーム表現とすべきかについて、解説する。 ダンパーマス ソーラーパネル ソーラーパネル ズーム調整用モーター カメラレンズ 特許ワークブック 書いてみよう特許明細書出してみよう特許出願 特許庁 独立行政法人 工業所有権情報・研修館発行 2011年 を元に作成
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11-2 事例(人工衛星の例):従来技術 <1>人工衛星の外側に張り出し、パネル角度調整用モーターにより角度が調整可能なソーラーパネル(カメラについての説明はない) <2>人工衛星に搭載され、ズーム調整用モータにより倍率が調整可能なカメラ(ソーラーパネルについての説明はない) <3>風力により振動する部分にダンパーマスを設け、振動を吸収するようにした地上設置用のソーラーパネル <4>人工衛星の外側に張り出し、パネル角度調整用モーターにより角度が調整可能なソーラーパネルおよびズーム調整用モーターにより倍率が調整可能なカメラの両方を搭載した人工衛星(パネル角度調整用モーターとズーム調整用モーターのうなり、またソーラーパネルの共振の説明はない) <5>人工衛星の外側に張り出し、パネル角度調整用モーターにより角度が調整可能なソーラーパネルおよびズーム調整用モーターにより倍率が調整可能なカメラの両方を搭載した人工衛星であって、両方のモーターが同時に作動した場合、これら2つのモーターの振動がうなりを発生することを説明しているもの(ソーラーパネルの共振の説明はない) 〔狙い〕 事例の説明 前提とする従来技術を例示 <6>人工衛星の外側に張り出し、パネル角度調整用モーターにより角度が調整可能なソーラーパネルおよびズーム調整用モーターにより倍率が調整可能なカメラの両方を搭載した人工衛星であって、両方のモータが同時に作動した場合、これら2つのモーターの振動がうなりを発生し、このうなりの周波数にソーラーパネルが共振することを説明しているもの 特許ワークブック 書いてみよう特許明細書出してみよう特許出願 特許庁 独立行政法人 工業所有権情報・研修館発行 2011年 を元に作成
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事例:出願にあたっての検討のポイント(1/3)
11-2 事例:出願にあたっての検討のポイント(1/3) ○発明が解決しようとする課題は? →2つのモーターのうなりに起因するソーラーパネル自身の共振により生じるソーラーパネルの破損を防止すること。 ○「ソーラーパネル破損の原因のメカニズム」は? ①2つのモーターが同時に作動、振動する。 ②2つのモーターの振動がうなりを発生する。(2つのモーターの 作動時の振動周波数がうなりを発生する範囲内にある。) ③うなりがソーラーパネルに伝達される。 ④ソーラーパネルが共振し、破損するまでの疲労を生じる。 (ソーラーパネル固有振動周波数がモーターのうなりの周波数に 共振する範囲にある。) 〔狙い〕 事例の発明の本質が何かを把握するために、発明が解決しようとする課題と、課題を解決する手段を具体的に把握するとはどういうことかを具体的に理解させる。 ○課題を解決するための手段と、「ソーラーパネル破損の原因のメカニズム」との関係は? →「ソーラーパネルの共振」をダンパーマスのダンピング効果によって抑制する関係。 特許ワークブック 書いてみよう特許明細書出してみよう特許出願 特許庁 独立行政法人 工業所有権情報・研修館発行 2011年 を元に作成
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事例:出願にあたっての検討のポイント(2/3)
11-2 事例:出願にあたっての検討のポイント(2/3) ○「ソーラーパネル破損の原因のメカニズム」から、ダンパーマスを設ける以外の課題を解決するための手段は? ①2つのモーターを同時に作動させないように制御する。 ②モーターを1つにして、クラッチを介してソーラーパネルとズームの両方を切換駆動する。 ③少なくとも一方のモーターにモーターの振動を吸収するダンパーマスを設ける。 ④少なくとも一方のモーターに振動を相殺する加振器(スピーカー等)を設ける。 ⑤2つのモーターの振動周波数をうなりが生じない範囲に設定する。 ⑥2つのモーターのうなりを相殺する加振器(スピーカー等)を設ける。 ⑦モーターのうなりの伝達経路に振動の伝達を減衰する柔軟部を設ける。 ⑧ソーラーパネルの固有振動数をモーターのうなりに共振しない範囲に設定する。 ⑨ソーラーパネルの共振を相殺する加振器(スピーカー等)を設ける。 ⑩ソーラーパネルの共振によって疲労を受けやすい部分を補強する。 〔狙い〕 発明の課題とその課題が発生する原因を捉え、そのほかに課題を解決するための具体的な手段に何があるかを検討し、実施の形態を豊富化させることがどういうことかを具体的に理解させる。 特許ワークブック 書いてみよう特許明細書出してみよう特許出願 特許庁 独立行政法人 工業所有権情報・研修館発行 2011年 を元に作成
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事例:出願にあたっての検討のポイント(3/3)
11-2 事例:出願にあたっての検討のポイント(3/3) ○本発明の本質は?(=特許請求の範囲の例) →人工衛星の外側に張り出し、パネル角度調整用モーターにより角度が調整可能なソーラーパネルと、ズーム調整用モーターにより倍率が調整可能なカメラとを搭載した人工衛星であって、前記両モーターの作動時のうなりに前記ソーラーパネルが共振してソーラーパネルが破損するのを防止する破損防止手段を備えた人工衛星。 ※(注1)先の例では、②、③、④、⑥、⑦、⑨が権利範囲として含まれる。 ※(注2)下線部を「ソーラーパネルの共振を防止する共振防止手段」とした場合、先の例では③、④、⑥、⑦、⑨が権利範囲として含まれる。 →必要に応じて、請求項を追加し多面的な権利取得を目指す。 〔狙い〕 前のスライドで検討した実施形態を包含する上位概念表現を検討し、発明の本質を把握する。 特許ワークブック 書いてみよう特許明細書出してみよう特許出願 特許庁 独立行政法人 工業所有権情報・研修館発行 2011年 を元に作成
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事例:従来技術との関係 11-2 (1)従来技術が1、2、3であるとき進歩性は? → (2)従来技術が3、4であるとき進歩性は?
【請求項】人工衛星の外側に張り出し、パネル角度調整用モーターにより角度が調整可能なソーラーパネルと、ズーム調整用モーターにより倍率が調整可能なカメラとを搭載した人工衛星であって、前記両モーターの作動時のうなりに前記ソーラーパネルが共振してソーラーパネルが破損するのを防止する破損防止手段を備えた人工衛星。 (1)従来技術が1、2、3であるとき進歩性は? → (2)従来技術が3、4であるとき進歩性は? (3)従来技術が3、5であるとき進歩性は? (4)従来技術が3、6であるとき進歩性は? 〔狙い〕 把握した従来技術の技術水準に応じて、作成した特許請求の範囲の記載が適正な権利範囲であるかを具体的に検討する。 〔説明〕 (1)パネル角度調整用モータとズーム調整用モータとを搭載した人工衛星が従来技術として存在せず、本願発明の課題は記載されていないので、1,2及び3を組み合わせる理由がない。したがって、1ないし3の文献を総合すると願発明の構成がすべて記載されているが進歩性は肯定される。 (2)従来技術の4には、パネル角度調整用モータとズーム調整用モータとを搭載した人工衛星が従来技術として存在するものの、本願発明の課題については記載されていないから、、3と4を結びつける理由がないため、進歩性は肯定される。 (3)従来技術の5には、パネル角度調整用モータとズーム調整用モータとを搭載した人工衛星において、両方のモータが同時に作動するとうなりが発生するという課題について記載されているものの、ソーラパネルが共振して破損するという課題までは読み取れないから、文献3と5を結びつける理由がないため、進歩性は肯定される。 (4)従来技術の6には、パネル角度調整用モータとズーム調整用モータとを搭載した人工衛星において、両方のモータが同時に作動するとうなりが発生し、ソーラパネルが共振して破損するという課題について記載されており、ソーラパネルの振動をダンパーマスで吸収することができることも従来技術3に記載されているから、両者を結び付ける理由があるものといえるので、進歩性は否定される。⇒この場合には、別の課題解決手段をクレームとすべき。 特許ワークブック 書いてみよう特許明細書出してみよう特許出願 特許庁 独立行政法人 工業所有権情報・研修館発行 2011年 を元に作成
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事例:演習 11-2 ソーラーパネルの事例で ①を権利範囲とする特許請求の範囲を書いてみよう。
②を権利範囲とする特許請求の範囲を書いてみよう。 〔狙い〕 具体化された発明に対応した特許請求の範囲の記載について理解させる。 ①を権利範囲とする特許請求の範囲の記載例 「人工衛星の外側に張り出し、パネル角度調整用モーターにより角度が調整可能なソーラーパネルと、ズーム調整用モーターにより倍率が調整可能なカメラとを搭載した人工衛星であって、前記パネル角度調整用モータと、ズーム調整用モータとが同時に作動しないように制御する手段を備えた人工衛星。」 ②を権利範囲とする特許請求の範囲の記載例 「人工衛星の外側に張り出し、パネル角度調整手段によりパネル角度が調整可能なソーラーパネルと、ズーム倍率調整手段によりズーム倍率が調整可能なカメラとを搭載するとともに、前記パネル角度調整手段と前記ズーム倍率調整手段とを駆動するモータを備えた人工衛星であって、前記モータの駆動力を前記パネル角度調整手段と前記ズーム倍率調整手段のいずれか一方に切換えて伝達するクラッチ手段を備えた人工衛星。」
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演習1 11-3 お湯を調節部で分岐させて、コーヒーの濃度調節を行うドリップ式コーヒーメーカー 特許請求の範囲を書いてみよう! 〔狙い〕
湯供給管 注湯管 お湯を調節部で分岐させて、コーヒーの濃度調節を行うドリップ式コーヒーメーカー お湯 バイパス管 ペーパーフィルタ 抽出容器 注:「コーヒー容器と、抽出容器とを備えるコーヒーメーカにおいて、抽出容器とコーヒー容器にそれぞれ注湯する供給管を設け、それぞれから供給する湯の量を調節するようにしたコーヒーメーカ」はすでに知られていた。 コーヒー豆 〔狙い〕 具体的な製品から、発明の本質をとらえ、特許請求の範囲に記載する過程を経験させる。 把持部 抽出されたコーヒー コーヒー容器 (耐熱ガラス製) ヒーター 特許ワークブック 書いてみよう特許明細書出してみよう特許出願 特許庁 独立行政法人 工業所有権情報・研修館発行 2011年 を元に作成
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演習1 11-3 〔説明〕 特許請求の範囲の記載例 各構成を具体的に記載するとこのような特許請求の範囲の記載が考えられる。
特許請求の範囲の記載例 各構成を具体的に記載するとこのような特許請求の範囲の記載が考えられる。 「コーヒー容器と、そのコーヒー容器の上部に設けられた抽出容器と、その抽出容器にお湯を供給する注湯管と、抽出容器を介さずにお湯を直接コーヒー容器に供給するバイパス管と、湯供給管から調節部を介して注湯管とバイパス管を分岐接続し、調節部により、注湯管とバイパス管へのお湯の供給量を調節することにより、コーヒーの濃度調節を行うドリップ式のコーヒーメーカ」 ※従来技術を考慮すると、上記の例では、「注湯管とバイパス管を湯供給管から調節部を介して分岐接続している」点が発明のポイントとなる。 上記の記載から、作用的記載を省略した記載として「コーヒー容器と、そのコーヒー容器の上部に設けられた抽出容器と、その抽出容器にお湯を供給する注湯管と、抽出容器を介さずにお湯を直接コーヒー容器に供給するバイパス管とを備え、湯供給管から調節部を介して注湯管とバイパス管を分岐接続したことを特徴とするドリップ式のコーヒーメーカ」のような記載も考えられる。
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演習2 11-3 特許請求の範囲を書いてみよう! 従来 発明 石鹸の入れ物
〔狙い〕 具体的な製品から、発明の本質をとらえ、特許請求の範囲に記載する過程を経験させる。 石鹸の入れ物 従来の石鹸の入れ物は、底面の中央部に水はけのための貫通孔があったため、時々石鹸自体がこの貫通孔を塞ぎ水はけが悪くなるときがあった。さらに、底面が直接、風呂場の床面に接していたので、床面にお湯が流れると、石鹸が濡れることがあった。→ 貫通孔を入れ物の周囲に設け、水はけを良くするとともに、入れ物の底面に足を設け、風呂場の床面に接しないようにした。 特許ワークブック 書いてみよう特許明細書出してみよう特許出願 特許庁 独立行政法人 工業所有権情報・研修館発行 2011年 を元に作成
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11-3 演習2 〔説明〕 本件発明の本質は、石鹸の入れ物に水がたまると石鹸が溶けてしまうなどの問題点があるため石鹸容器に管通孔を設けて水はけを良くすることにあるが、従来技術として底面に貫通抗孔を設けたものがあるため、その概念よりも狭い特許請求の範囲の記載とすることが必要である。 この場合、従来技術との差異は、(1)管通孔を底面ではなく、入れ物の側面の下隅に設けた、(2)複数個の管通孔を設けた、(3)入れ物の底面の下に複数の足を設けて、底が床面に接しないようにした、以上3点であると考えられる。 発明についてすべての特徴を記載するとすれば、「底面と側面を有する石鹸の入れ物であって、側面の下隅に複数の管通孔を設けるとともに、底面の下に複数の足を設けたことを特徴とする石鹸の入れ物」 注:長方形とか矩形とか形状を特定することも可能であるが、円形状でも楕円形状でも発明としては成り立つので、形状を限定する必要が特になければ特定する必要はないと考えられる。 上位で記載するとすれば「底面と側面とを有する石鹸の入れ物であって管通孔を側面の下隅に設けたことを特徴とする石鹸の入れ物」や、「底面と側面とを有する石鹸の入れ物であって、側面の下隅または底面に管通孔を設けるとともに、底面の下に複数の足を設けたことを特徴とする石鹸の入れ物」のように記載することも考えられる。
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