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ガンマ線バースト偏光検出器GAPの 詳細設計と性能評価
金沢大学 江村尚美 村上敏夫 米徳大輔 藤本龍一 青山有加 児玉芳樹 藤本大史 理研 三原建弘 山形大学 郡司修一 門叶冬樹
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目次 ガンマ線バースト(GRB)偏光検出機GAPのデザインの最適化 性能を左右するパラメータ → 検出効率 モジュレーションファクタ LD
性能を左右するパラメータ → 検出効率 モジュレーションファクタ LD 宇宙空間でのGAPが受けるバックグラウンド 光子バックグラウンド(CXB) 粒子バックグラウンド(CR) 衛星本体からの散乱による影響 GAPによるGRBの偏光観測期待数 BATSEのカタログから1972イベントについてFluxと観測時間から計算する 講演ではガンマ線バースト偏光検出機GAPのデザインについて、EGSを用いたモンテカルロシミュレーションにより最適化について説明します。性能を左右するパラメータ検出効率、モジュレーションファクタ、LDについてシミュレーション、実験の結果を発表します。 宇宙空間でGAPが受けるバックグラウンドのカウントレートについて、光子バックグラウンドと粒子バックグラウンドについてそれぞれ計算した。 打ち上げ後衛星本体からの散乱光子による、GRBの偏光観測の影響についてシミュレーションを行った。 衛星運用期間でのGRBの偏光検出期待数をBATSEカタログのデータより見積もった。
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EGSシミュレーション ②モジュレーションファクタM hとMの関係 ①検出効率h 検出器に入射した光子のうち 偏光観測に使える光子の割合
プラスチックシンチレータの形状を決定するにあたってではEGS5を用いてモンテカルロシミュレーションを行いました。 3つのマスモデルを作製し検出器を評価する二つのパラメータを比較しました。 一つ目のパラメータは検出効率ηです、これは検出器に入射した光子のうち偏光観測に使用できる光子の割合です。 二つ目のパラメータはモジュレーションファクタMです。方位角φについての散乱強度分布をとったときのsin^2の曲線をモジュレーションカーブと呼びます。 モジュレーションファクタMはモジュレーションカーブの最大値Nmax最小値Nminよりこのように定義します。これはすなわちの平均分の振幅となり、検出器の偏光に対する感度を表します。 ηとMの関係ですが、ηを大きくするためには、散乱体から吸収体の見こむ立体角を大きくすることが上げられます。 クライン仁科の式ではθ=90°の時モジュレーションカーブは最も大きくなりますのでθ=90°の情報のみを集めることが、 Mを良くする条件となります。つまりMを大きくするためには散乱体から吸収体を見こむ立体角を小さくすることがあげられます。 ηを良くすることととMを良くすることと言うのは相反することになります。シミュレーションではηとMのバランスが最も良くなる形状を探しました。 相反する!
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EGSシミュレーションの結果 GAP モデル3,4,5について テーパーが付くと… 検出効率h モジュレーションファクタM
35mm model1 model2 model3 70mm f140mm f50mm f50mm 検出効率h モジュレーションファクタM プラスチックシンチレータのThresholdは7 keV プラスチックシンチレータとCsIシンチレータの同期イベントを読み出す シミュレーションでは上の3つのモデルについて考えました。 直径14cm 高さ7cm を基本とし、テーパー加工を施したものと比較を行います。 結果はこのようになりました。 テーパーが付くことで検出l効率が下がっていくことが分かります。これは反応する体積は減少したためです。 逆にMは上昇していくことが分かりました。Mのよい散乱体中心付近からの散乱光子が散乱体での吸収や二回散乱の影響を 受けにくくなることが理由だと考えられます。また散乱体の外側での散乱確立は減少しますので、Mの悪い偏光情報が少なくなることが理由だと考えられます。 モデル3,4,5について テーパーが付くと… 反応する体積が減るのでhは減少する。 Mの高い中心付近での散乱光がCsIまで届きやすくなりMは増加する。 Mの低い外側付近の体積が減るので、Mは増加する。
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(MinimumDetectablePolarization) LDレベル
検出可能最小偏光度 (MinimumDetectablePolarization) LDレベル Energy [keV] LD=10.5keV テーパーなし F:GRBのフラックス S:有効面積 B:バックグラウンド(CXB+CR) T:観測時間 Energy [keV] LD=8.5keV テーパーあり 検出可能最小偏光度MDPについて考えます。検出できる偏光度は小さいほど良い性能であると評価できます。 3σでのMDPはバックグラウンドは小さい場合はこのようにあらわされます。 3つのモデルでMDPを評価する場合GRBのフラックスと観測時間は同じなので、M(ηS)^0.5が大きいほど低い偏光度の光源でも偏光が検出できる性能が良い検出器であるといえます。 結果はこのようになりました。M(ηS)^0.5で評価するためηよりもMが性能を左右します。そのためこの3つのモデルの中では Mが良いモデル3が一番性能が良いということが分かりました。 また試作のプラシンチでLDレベルの比較を行いました。 テーパーを施さないものはLD=10.5keV に対してテーパーを施したものはLD=8.5keVとなり改善されました。 テーパーを施すことで性能は良くなることがわかりました しかし衛星に載せる検出器としては打ち上げ時の振動にも耐えられる安定した形を採用する必要があります。 このような理由から側面をも残したモデル2を採用しました。 テーパー加工でLDが改善された テーパーを付けるほど性能は良くなるが、衛星に載せる検出器として、安全な形
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バックグラウンドのレートの見積もり N(E) = 光子バックグラウンド(CXB) 7.877 E–1.29 exp(-E/41.13)
Gruber et al. (1999) ApJ, 520, 124 光子バックグラウンド(CXB) 7.877 E–1.29 exp(-E/41.13) … (3 – 60 keV) N(E) = A (E/60)–6.5 + B (E/60)– C (E/60)–2.05 … (> 60 keV) (A = /60, B = 0.504/60, C = /60) [photon/keV/cm2/sec/str] CsI : 67.9 [Hz/CsI] × 12枚 = 815 [Hz] …30~300keV プラシンチ : 570 [Hz/Plastic] …7~300keV 粒子バックグラウンド N(E) = 2 x 10–4 [cts・n/cm2/s/str/MeV] CsI : 32.5 [Hz/CsI] × 12枚 = 390 [Hz] プラシンチ : 193 [Hz] 宇宙空間でGAPが受けるバックグラウンドを計算します。 まず光子バックグラウンドについてです。これは遠方の銀河などからのX線の放射などが考えられます。 光子のスペクトルをこのような式で与え、立体角パイについて、CsIは30から300keV プラシンチについては7から300keVで積分した。 粒子バックグラウンドについては500 MeV のピークに対して幅 500 MeV の範囲で考える。 宇宙線は4パイ方向から入射すると考え、計算した。 結果、バックグラウンド全体として、GRBのカウントレートと同等のレベルで検出されることがわかった。ただしこれはCsIのLDを30keVとした場合で、LDをあげることでBGDを抑えることは可能である。 CsI プラシンチ 合計 光子BGD 815Hz(LD=30keV) 570Hz 1385Hz 粒子BGD 390Hz 193Hz 583Hz GRB (10photon/cm2/s) 1585Hz
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衛星本体からの散乱光子の影響 GAPのみに入射 GAP + 燃料タンク(Al) に入射 GRB 燃料タンク(Al) のみに入射
スラスタ用 燃料タンク GRB 散乱光子 燃料タンク(Al) のみに入射 タンクからの散乱光子の影響は、GRBのカウントの2% 衛星本体からの散乱光子の割合をシミュレーションにより評価した。 右下の図のように、GAPの取り付けでは燃料タンクのALからの散乱により疑似モジュレーションが考えられます。EGSシミュレーションをもちいて、どの程度影響するのか評価しました。 左上の図がGAPのみに光子を入射させた理想的なモジュレーションカーブです。 GAPと燃料タンクに光子を入射させると右図のようなモジュレーションが得られました。 左下図は燃料タンクにのみ光子を入射させた場合でこの場合のカウントはGAPのみの場合のカウントの約2%という結果となりました。 燃料タンクに対してGAPの立体角が小さいということが理由だと考えられます。
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GRBの偏光検出期待数 金星まで約200日かけて接近する。 検出器の前方の立体角30度以内
BATSEのカタログに掲載されている1972イベントのGRBについてFluxとT90を代入する。 金星まで約200日かけて接近する。 斜めから入射する場合 その後、通信が途絶えるまで運用 GAPモデルでのGRBの観測可能性について考えました。 先ほどのMDPの式にBATSEのカタログに掲載されている1972イベントのGRBについてのフラックスと観測時間T90を代入し 偏光観測の可能性を評価しました。 その結果が右の図になります。この図は、横軸がGRBの偏光度で縦軸が1年間でのGAPでの偏光観測可能なGRBの個数を表します。 GRBがすべて40%の偏光度を持っているとしたら、GAPで年間何個の偏光を観測できるかということです。 ただし、検出器に対して斜めに光子が入射してくる場合は、強度分布が検出器の形状の影響を受けるため、補正を行わなければなりません。検出器に対して立体角30度以内からの入射ならば補正を行い有意に偏光度を決定できると考えています。 立体角30度以内でのGRBに対して、 偏光度が40%の場合衛星運用期間で1.5イベント、偏光度が60%の場合3イベントの観測が行えると考えています。 強度分布が検出器の形状の影響を受ける 検出器の前方の立体角30度以内 GRBが40%の偏光度 運用1年で1.5event %の偏光度 3event 補正を行い 偏光度を求める
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2010年5月 打ち上げ予定 まとめ テーパー加工を施すことでモジュレーションファクタMが良くなる →MDPが良くなる
テーパー加工を施すことでLDが改善される →実験から明らかになった 衛星本体からの散乱は見込む立体角が小さいため効かない 1年間の運用でGRBの偏光観測が可能 2010年5月 打ち上げ予定
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