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第1回 サービスマーケティング論 サービスの定義と特徴 サービスの重要性
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すべての人はサービスを利用 何かトラブルがなければサービスを利用していることを意識しないものもある 意識的に利用するサービスもある
BtoCレベルのサービス BtoBレベルのサービス 顧客は常にサービス品質やサービス価格に満足しているわけではない
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提供側の課題 サービス提供側は熾烈な競争に直面し多くの問題を抱えている これらに対応できている企業もある コスト削減による利益の確保
能力とやる気のあるスタッフの採用 無理な注文への対応 これらに対応できている企業もある
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なぜサービス業について学ぶのか 経済の中心はサービス経済になっているにもかかわらず、マーケティングの研究が製造業の手法で行われているため
マーケティングは消費財を中心とした「物」に関する研究
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新技術・技術革新によるイノベーションの加速
第1回 サービスマーケティング論 サービス業の変化を促す要素 政策 社会変化 ビジネス トレンド 情報技術の進展 国際化 新たな製品カテゴリの誕生 新技術・技術革新によるイノベーションの加速 選択肢の増加による顧客の力が増大 サービス業は国の政策や社会変化、ビジネス・トレンド、情報技術の進化、国際化の影響を受けてサービス需要、競争状況、顧客の意思決定スタイルまで変化しつつある。 政策 法改正 民営化 消費者保護 労働者保護 環境保護に関する新たな規制 サービス貿易に関する新たな協定 社会変化 顧客の期待の上昇 豊かさの向上 忙しい人々の増加 モノの消費からサービスの消費への移行 コンピュータ、携帯電話、ハイテク機器所有率の上昇 情報アクセス環境の向上 移民構成 高齢化による人口増 ビジネス・トレンド 株主価値向上へのプレッシャー 生産性向上とコスト削減重視 メーカーの補完的サービスの拡大とサービス業への参入 戦略的提携ならびにアウトソーシングの拡大 品質や顧客満足の重視 フランチャイズの拡大 NPOによるマーケティング 情報技術の進展 インターネットの普及 伝達容量の増大 小型携帯端末 ワイヤレス・ネットワーク スピードや性能の優れたソフトウェア 文字、写真、音声映像のデジタル化 国際化 オペレーションの海外移転を進める企業の増加 国際移動の増加 国際的合併および提携 カスタマーサービスの海外移転 外資企業の国内市場への参入 成功の条件 顧客と競合相手を理解 ビジネスモデルの確立 顧客とサービス組織双方の価値の創造
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第1回 サービスマーケティング論 サービスとは一体どのようなものか サービスとは
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歴史的視点 古典経済学派は「富の創造と所有を重視」 アダムスミスの「国富論」によれば 「物」は貯蔵が可能であり、富となる
第1回 サービスマーケティング論 歴史的視点 古典経済学派は「富の創造と所有を重視」 アダムスミスの「国富論」によれば 「生産的」労働の成果物が「物」 「非生産的」労働の成果が「サービス」 「物」は貯蔵が可能であり、富となる 「サービス」は「素晴らしく、便利で、必要」であるが生産と同時に「消滅する」ため富にはならない 18世紀後半から19世紀初頭の古典経済学派は富の創造と所有を重視し、「物」が価値の対象であり、物によって所有権が成立し、所有権の移転が行われるとした。 所有権とは購入や交換あるいは生産者や前の所有者からの贈与によって入手されたものを有形で所有していることとされ、持ち主の資産として法的に認められた。 アダム・スミスの「国富論」(1776年)によれば「生産的」労働による成果物が「物」であり、「非生産的」労働による成果がサービスとされた。 生産的労働から生まれるものは貯蔵が可能であり、金銭など価値があるものと交換できる「物」となる。 「非生産的」労働から生まれたものは「素晴らしく、便利で、必要」であるが、生産と同時に消滅するため富にはならない。
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サービスは無形の製品 19世紀初頭 現在 サービスでは生産と消費を区別できないとしてサービスを「無形の製品」として表現した
第1回 サービスマーケティング論 サービスは無形の製品 19世紀初頭 サービスでは生産と消費を区別できないとしてサービスを「無形の製品」として表現した 現在 生産と消費が可分なサービスもある すべてのサービスが生産と同時に消滅するわけでもない 耐久価値を創造する サービスには所有権がないとの見解は変化していない フランスの経済学者ジャン・バティスト・セイはサービスでは生産と消費を区別できないとし、サービスを無形の製品と表現した(1803)。
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サービスの定義 1 クリストファー・ラブロック & エバート・フメソン
サービスの定義 1 クリストファー・ラブロック & エバート・フメソン 以下をレンタルすることによりベネフィットを得る。 「物の使用」 「労働力や知識の保存」 「施設やネットワーク利用の権利」 価値が生まれるのは顧客が期待通りの経験や解決策を手に入れてベネフィットを得た時点
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新たな視点 所有権を伴わないベネフィット 物のレンタル・サービス スペースや場所のレンタル 労働力や知識のレンタル 物的環境の共同利用
第1回 サービスマーケティング論 新たな視点 所有権を伴わないベネフィット 物のレンタル・サービス スペースや場所のレンタル 労働力や知識のレンタル 物的環境の共同利用 システムやネットワークへのアクセスや使用
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サービスの定義 2 もともと「サービス」とは奴隷が主人のために行う仕事のこと
サービスの定義 2 もともと「サービス」とは奴隷が主人のために行う仕事のこと 現在では「奉仕し、援助し、便益を与える行動。他人の幸福やメリットになるための行動」 初期のマーケティングでは有形財と対照的な概念として定義 「行動、行為、作業、活動」としてサービスの定義を拡大
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本講義におけるサービスの定義 ある主体が別の主体に提供する経済活動 通常、時間単位の行動であり、受け手に対して期待通りの結果をもたらす
第1回 サービスマーケティング論 本講義におけるサービスの定義 ある主体が別の主体に提供する経済活動 通常、時間単位の行動であり、受け手に対して期待通りの結果をもたらす 顧客は、金銭、時間、活動を対価とし、サービス財の提供に関わる物を利用し、価値を手に入れることを期待 ただし、通常はサービス財提供に関わる物の所有権を得ることはない。 サービスとは、ある主体が別の主体に提供する経済活動である。 通常、時間単位の行動であり、受け手自身あるいは受け手の所有物や財産に対して期待通りの結果をもたらすものである。 顧客は、金銭、時間、活動の対価として物、労働力、専門技術、設備、ネットワーク、システムを利用し、価値を手に入れることを期待している。 ただし、通常はサービス提供に関わる物の所有権を得ることはない。 サービスを2つの主体による経済活動として定義 市場における売り手と買い手の価値交換 通常「時間単位の行動」 サービス購入の目的は「期待通りの結果」 「価値を手に入れることを期待して」、「金銭、時間、活動の対価として」購入 「サービス提供に関わる物を利用する」ことから価値が生まれる
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サービス・プロダクトとカスタマー・サービスやアフターケア・サービスとの違い
第1回 サービスマーケティング論 サービス・プロダクトとカスタマー・サービスやアフターケア・サービスとの違い 「サービス業というものは存在しない。サービスの要素がほかの業界と比べて多いか少ないかの違いであり、すべての業界でサービスが行われている。」 すべての業界で「付帯的なサービス」を行っているという意味 本講義の議論の対象は中核要素がサービス財であること サービス・プロダクトとカスタマー・サービスやアフターケア・サービスとの違い セオドア・レビットによると 「サービス業というものは存在しない。サービスの要素がほかの業界と比べて多いか少ないかの違いであり、すべての業界でサービスが行われている。」 ローランド・ラスト メーカーがみずからをサービス業であると認識していることが多い。 サービスプロダクトとカスタマーサービスは明確に区別する必要がある。 議論の対象はコア・プロダクトがサービスであること 「サービス・マーケティング」と「サービスによるマーケティング」は違い 製造業などはコア・プロダクトに補完的サービスを付加しているが、コアプロダクトはあくまでも「物」 マーケティングの目的は「物」を販売して所有権を移転すること
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サービス業特有のマーケティング課題 サービスには在庫がない 無形要素が価値を生み出す 可視化が難しい 顧客が共同生産者となる
第1回 サービスマーケティング論 サービス業特有のマーケティング課題 サービスには在庫がない 無形要素が価値を生み出す 可視化が難しい 顧客が共同生産者となる 顧客がサービスの経験を左右する インプットとアウトプットの変動が大きい 時間が重要な要素である オンライン・チャネルが存在する サービス業特有のマーケティング課題 製造業で確立されたマーケティング概念やマーケティング手法は所有権の移転を伴わないサービス業には当てはまらない。 購入とレンタルでは顧客の期待や意思決定基準が異なり、サービスを提供する組織とどのようにかかわるかという顧客経験も違う。
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サービス財には在庫がない サービスは活動や行為なのですぐに消滅してしまう。 生産後に在庫として保管しておくことができない
第1回 サービスマーケティング論 サービス財には在庫がない サービスは活動や行為なのですぐに消滅してしまう。 生産後に在庫として保管しておくことができない 事前準備は可能だが、サービス財を用意しておくことはできない 需要を標準化し、提供能力とのバランスを図る方法を探らなくてはならい サービスは活動や行為なのですぐに消滅してしまう。 生産後に在庫として保管しておくことができない 例外として一部のサービスは録画・記録し後日利用可能 事前準備は可能だが、サービスそのものを用意しておくことはできない サービスに対する需要がなければ、事前に準備したものは無駄になり、価値を生み出すチャンスも無くなる。 逆に、サービス提供能力以上の需要があると、顧客へのサービス提供を断るか、しばらく待ってもらわなくてはならない。
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無形要素が価値を生み出す 有形物がサービス財の重要な要素である場合は少なくない しかし、パフォーマンスを左右するのは無形の要素
第1回 サービスマーケティング論 無形要素が価値を生み出す 有形物がサービス財の重要な要素である場合は少なくない しかし、パフォーマンスを左右するのは無形の要素 無形の要素は五感で感じることは不可能 事前に調査し評価することも困難 競合サービス財との比較も困難 有形物がサービスの重要な要素として含まれていることが多い。 しかし、サービス・パフォーマンスを左右する最大の要素はサービス・プロセスやインターネットでの取引、サービス・スタッフの能力や態度といった無形の要素である。 これは五感で感じることができるものではない。 そのため事前にサービス特性を調査してサービス品質を評価することは難しい。 簡単な評価基準もない。 競合サービス同士の比較も難しい。
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可視化が難しい 顧客がサービス財の購入前にその内容をイメージし、サービス財の内容を正しく把握することはできない
第1回 サービスマーケティング論 可視化が難しい 顧客がサービス財の購入前にその内容をイメージし、サービス財の内容を正しく把握することはできない そのため、サービス財の購入にはリスクを伴う可能性がある。 初めて利用する場合、知覚リスクが発生することが多い。 サービスは「精神的な実体がない」とされ、顧客がサービスを購入する前にその内容をイメージし、どのようなサービスが提供されるのかを正しく把握できない。そのため、サービス購入にはリスクが伴う可能性がある。
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顧客が共同生産者となる 顧客がサービス提供に積極的に関わる必要のあるサービス財もある 顧客が部分的スタッフとしての役割を求められる場合もある
第1回 サービスマーケティング論 顧客が共同生産者となる 顧客がサービス提供に積極的に関わる必要のあるサービス財もある 顧客が部分的スタッフとしての役割を求められる場合もある 顧客が高性能な設備を使いセルフ・サービスを行うケースもある 顧客のパフォーマンスによりサービス財の価値が左右される 顧客がサービス提供に積極的に関わらなければならないサービスもある。 顧客がスタッフとともにサービス環境を作り、顧客自身がサービスの一部を行わなくてはならないものすらある。 顧客は部分的スタッフとしての役割を求められることが往々にしてある。 顧客が、高性能な設備を使いセルフ・サービスを行うケースが増えてきている。 サービス提供側と顧客の双方にとって、相手の能力と生産性が高まれば、高まるほどメリットが大きくなる。 顧客のサービス・パフォーマンスが悪ければ、サービス経験が台無しになり、期待通りのベネフィットが得られない。 顧客のパフォーマンスが向上すればサービス経験が改善し期待した結果が得られる。 企業側は顧客のパフォーマンスが向上し、生産性が向上し、コスト削減が期待でき、サービス料金の値下げも可能になるかもしれない。
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顧客がサービス財の価値を左右する サービス施設では他の顧客と一緒にサービスを受けることがある
第1回 サービスマーケティング論 顧客がサービス財の価値を左右する サービス施設では他の顧客と一緒にサービスを受けることがある サービス財の満足度は他の顧客に左右される場合がある 顧客の服装・人数・性格・行動のすべての要素がサービス財の価値に影響を与える 従業員の態度や能力によってサービス企業の差が生まれる。 企業は能力の高い、意欲のあるサービス・スタッフの育成に努める。 一方、サービス施設では他の顧客と一緒にサービスを受ける場合、自らのサービス満足度は他の顧客にも左右されることがある。 顧客の服装、人数、性格、行動のすべての要素が、サービス企業の目指すイメージやサービス経験のプラスの要素になったり、マイナスの要素になったりする。 素晴らしいサービスを提供できるように、サービス・スタッフの効果的なマネジメントを行うだけでなく、顧客行動をマネジメントして理想的な姿に近づけることも重要
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第1回 サービスマーケティング論 インプットとアウトプットの変動が大きい サービス財は生産と同時に顧客が直接受け取り、利用するため最終的な組み立て作業はその場で行わなくてはならない。 サービス提供においては、スタッフによる差があり、同じスタッフでも顧客・時間により差が生じる。 サービス組織が生産性改善や品質管理を行いながら信頼されるサービス財を提供することは容易ではない。 物は生産、管理、品質基準検査という多くのプロセスを経て顧客のもとに届けられる。 サービスは生産と同時に顧客が直接受け取り、利用するため、最終的な組み立て作業はその場で行わなくてはならない。 通常サービス提供にはサービス・スタッフによる差があり、同じスタッフでも顧客によって変わり、さらに、同じ1日でも時間により変化する。 サービス態度、スピード、サービス・パフォーマンスには大きな変動があり得るので、サービス・ミスを無くすことは難しく、不可能な場合もある。 サービス組織が生産性改善や品質管理を行いながら信頼されるサービスを提供することは、容易ではない。 サービス手順の標準化、サービス品質の徹底管理、スタッフの十分な教育、人的サービスから機械によるサービスへの移行によって、かなり安定した水準のサービスが提供可能である。 不測の事態に対しても、サービス・リカバリー手順を準備することもできる。
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時間が重要な要素である サービスはリアルタイムで提供されることが多い 顧客は時間に対して意識が強く、無駄な時間はコストとなる
第1回 サービスマーケティング論 時間が重要な要素である サービスはリアルタイムで提供されることが多い 顧客は時間に対して意識が強く、無駄な時間はコストとなる 割高でも迅速なサービスの提供を希望する場合がある サービスを注文してから受け取るまでの時間も重要 サービスはリアルタイムで提供されることがおおい。 現代は時間に対する意識が高く、顧客は急いていることが多い。 したがって無駄な時間はコストとなる。 割高でも迅速なサービスを希望し、顧客の都合でサービスを利用できることを期待する。 サービスを注文してから受け取るまでの時間も重要である。 過去に利用経験があるサービスの場合は時間についての許容範囲があることが多い。 顧客の待ち時間をできる限り短くする努力をするとともに、待つこと自体が苦にならないように知恵を絞る
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オンライン・チャネルが存在する 一部のサービス業ではオンラインですべての要素を客に提供できるものもある
第1回 サービスマーケティング論 オンライン・チャネルが存在する 一部のサービス業ではオンラインですべての要素を客に提供できるものもある インターネットで情報ベースの中核要素を提供可能 付帯要素とは切り離して考察すべき 物的製品の場合は物流チャネルが必要である。 一部のサービス業ではオンラインを利用してすべてのサービスを顧客に提供できるものもある。 教育・銀行・情報サービス インターネットを使って情報ベースのコア・サービスを提供得きることと、単にモノの購入や利用を促進するための補完的サービスとは切り離して考えなくてはならない。 オンライン・ショッピングではコア・サービスはオンラインでは配送されない。 多くのeコマース活動はコア・サービスをインラインで入手することではなく、情報提供や商品代金の支払いなどの補完的サービスに関わるものである。
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