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2000年8月1日 講師:近藤佐保子 (政治経済学部非常勤講師)

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1 2000年8月1日 講師:近藤佐保子 (政治経済学部非常勤講師)
明治大学 エクステンションプログラム インターネットのおとし穴   2000年8月1日 講師:近藤佐保子     (政治経済学部非常勤講師)  ただいまご紹介いただきました明治大学政治経済学部非常勤講師の近藤佐保子でございます。  本日は「情報倫理に関する意識と法制度上の問題点」というテーマで、先ごろ急増しているコンピュータ犯罪、とくにネットワーク犯罪について、法制度はどのように対処しているのか、その限界はどこにあるのか、また今後はどのように対処していくべきかについて、検討してみたいと思います。  なお、今回の発表にあたり、大学生を対象に、コンピュータ犯罪に対して法規制を望むか、意識調査を行いました。後半でその結果についても、若干触れたいと思います。 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

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最近話題に上がった事例(1) 官公庁のHPの書き換え(Mainichi Interactive 2/16  より) “道具”は大量データ 官庁サイトハッキングで手口判明 中央省庁などのホームページの不正書き換え事件で、15件のうち6件は、ハッカーがサーバーコンピューターに一度に大量のデータを送信して異常作動を起こさせる方法で侵入していたことが、警視庁麹町署捜査本部の調べで分かった。この方法は「バッファ・オーバー・フロー攻撃」と呼ばれる手口。大量のデータを受けたサーバーコンピューターからあふれ出たパスワードなどのデータを使ってハッカーが不正アクセ用の「裏口」を作り、管理者になりすましてホームページを書き換える。手口としては広く知られているが、防ぐのは難しいという。  次に、情報に関し、昨今、法的に対処するかが問題となっている事例について現状と問題点を整理していきたいと思います。  最初に、どのような問題があるか、概観しておくことにします。  著作権侵害、不正アクセスとそれにともなう情報の不正入手、名誉毀損・侮辱、ポルノグラフィー、プライバシー侵害などをあげることができます。 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

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最近話題に上がった事例(2) ソフト会社へのメールによるウィルスの送信 (Mainichi Interactive 2/23  より) ウイルス送付で少年逮捕 「PC代金を逃れたかった」 コンピューターソフト会社「ソフトバンク」の子会社に200種類ものコンピューターウイルスを送信して業務を妨げたとして、警視庁捜査1課と久松署は23日までに、長野県原村の無職の少年(19)を威力業務妨害容疑で逮捕した。コンピューターウイルスの送信による威力業務妨害事件の立件は全国初。ネット通販の支払いを逃れるための嫌がらせだった。  次に、情報に関し、昨今、法的に対処するかが問題となっている事例について現状と問題点を整理していきたいと思います。  最初に、どのような問題があるか、概観しておくことにします。  著作権侵害、不正アクセスとそれにともなう情報の不正入手、名誉毀損・侮辱、ポルノグラフィー、プライバシー侵害などをあげることができます。 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

4 問題の所在 ネットワークの不正使用や犯罪の増加 ネットワーク社会の現状と法規制のあり方を検討
(著作権侵害・ウィルス・不正アクセス・不正入手・  名誉毀損・猥褻など) 法的対応の遅れ そもそも法によって規制すべきか? 民事法の対処で足りるか、刑事法で処罰すべきか? 既存の法規の解釈で十分か、立法化が必要か?  さて、今日、ネットワークの発達に伴い、ホームページへのコンテンツの無断使用による著作権侵害、システムへの不正アクセスやそれに伴う情報の不正入手、ネットワーク上での名誉毀損、あるいは猥褻画像の掲載や配布など、少なくとも社会的には不適切と評価できる行為が、私たちの周辺でも珍しくなくなってきました。 計算機ネットワークのユーザだけが、ほかの社貴人に比べて特別、非常識というわけではないのに、なぜネットワーク上ではこうしたことが多発するのでしょうか。ユーザの意識が行為となって現れる過程において一般社会との違いはどこにあるのでしょうか。 ネットワーク社会の現状と法規制のあり方を検討 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

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ユーザの意識と行為 ユーザの意識 “ID”として行為 行為=計算機に対する命令 粗暴犯から    知能犯へ 準備行為の不要性 正当行為との類似性 ゲーム感覚 計算機・  ネットワークの潜在力 行為の影響力 結果に対する自己問責性 倫理意識の欠如 法的評価 不法行為 犯罪 倫理的評価 不適切 非常識  ネットワークで、社会的に不適切な行為が多発する理由は、コンピュータやそのネットワークのもつ潜在力に対して、ユーザの自己行為に対する意識がアンバランスであることに原因があると思われます。  つまり、サイバースペースで、個人は実際の何々さんといった名前や、顔立ちで識別されるわけではなく、「ID」としてのみ認識されるため、ネットワーク上での行為の結果が、現実の自己にすべて帰属されるという意識が希薄になると考えられます。IDを変えてしまえば、別人格になることができます。また、実際の操作も、現実の社会の物を盗んだり、人を傷つけたりする行為に比べると、データや命令の送信や不正な操作といった行為は現実味が無く罪悪感が無いでしょう。行為者は日常生活とは異なり、たいした罪の意識もなく、規範的障害を軽々と乗り越えてしまうと思われます。  ところが、一方で、計算機、ネットワークのもつ潜在力は予想以上に大きいわけで、行為者によって一度、蒔かれた種は、もはや行為者自身にも阻止できない甚大で広範囲な被害をもたらすことになります。  こうした現実を考えるとき、システム管理者にとっては、使用者がどのような意識を持って行動しているのかを把握し、実効性のある対策を実現するのは緊急の課題でありますし、また法制度的にも、どういった対策をとるべきか、その方向性を定めておかなければならにことになるえしょう。 想像以上の 重大な結果 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

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法の対立する2つの機能 法的安定性 人権保障 具体的正義 の実現 VS 法は、現実に多少合わなくなっても、なるべく改正しないで解釈で補う 法は、現実に適合するよう、こまめに改正すべき  急増するコンピュータ犯罪、とくにネットワーク犯罪に法制度が追いついていないというのは、残念ながら現実です。なぜ迅速に法を改正しないのか、それは法曹実務家の不勉強・怠慢ではないかという声もあります。  しかし、ここには、法が本質的に抱えている、もっと重要で根本的な問題が内在しています。それは法自体のもっている二つの重要な機能が、内在的に対立関係にあるということです。その二つの機能とは、「法的安定性」を保ち人権を保障するという機能と、具体的な正義を実現するという機能です。  もし、めまぐるしく発展変化する社会に対応しようとして、その都度の具体的な妥当性ばかりを重んじ、法が朝令暮改であれば、人は安心して生活できません。自分の行為が、いつ犯罪と評価されるかわからないからです。そこで、法制度では、その時の社会に適合した正義の実現が、この法的安定性ないし人権保障の観点と常に天秤に掛けられていることになります。 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

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法的問題点の所在 社会倫理に委ねておくのが望ましくない場合 →国家の強制力 予期していなかった事態に対する法的対処 既存の法規の解釈による解決 立法的解決 既存の法規の 解釈による解決 立法的解決  そこで、社会の変化にともない、法が予期していなかった新しい事態が起こると、法的安定性の要請から、まずは立法的解決ではなく、既存の法規の解釈によって何とかこれをカバーしようという試みがなされることになります。  しかし、これではどうしても対応できないという場合もあるのであって、そうのときに初めて法を改正するという立法的解決が取られるわけえす。今日のコンピュータ犯罪は、まさにその例といえるえしょう。  日本では、それまでの法体系が予期していなかった、コンピュータ犯罪が多発し始めたころ、1980年代後半のことですが、これに対処すべく著作権法と刑法が相次いで改正されました。しかし、現在も情報に関する法の整備は決して十分なものとはいえません。 立法的解決は法的安定性を損なうおそれがある 解釈ではもはやどうしても対処できないか? All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

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法と倫理 法とは? 倫理とは? 数ある行為規範のうち国家の強制力を伴って義務付けが行われるもの 行為規範のうち国家の強制力を伴わないもの 新しく起きてきた社会的に不適切な行為 倫理に委ねておくべきか、 法によって対処すべきかが問題となる。  ところで、「情報倫理」という用語のもとにコンピュータ犯罪に対する法的措置が論じられることが、しばしばあります。この報告においても、情報倫理というテーマのもとで、法制度上の問題点を検討しているように見えるかもしれません。  しかし、法と倫理は別物です。それでは、法と倫理はどのように区別されるのでしょうか。法哲学上の一般的見解にしたがうと、数ある行為規範のうち国家の強制力を伴って義務づけが行われるものが法と考えられています。つまり、倫理も行為規範であることには変わりませんが、国家による強制力はともなわない、つまり、倫理的に不適切な行為をしても、何ら罰せられないという点が、法と最終的に異なるわけです。  コンピュータ犯罪のように新しく起きてきた社会的に不適切な行為の場合、倫理的に好ましくないことはわかっているわけですが、これを法によって対処すべきなのか、すなわち国家の強制力を伴って禁止すべきなのかが問題となるのです。  この報告でも、「倫理」といいながら法的視点が述べられているのは、法で取り扱うとすれば、どの法律によって規制することになるかという観点から検討しているためです。 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

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法的対処が問題となる行為 著作権侵害 コンピュータウィルス 不正アクセス・情報の不正入手 名誉毀損・侮辱 ポルノグラフィー  次に、情報に関し、昨今、法的に対処するかが問題となっている事例について現状と問題点を整理していきたいと思います。  最初に、どのような問題があるか、概観しておくことにします。  著作権侵害、不正アクセスとそれにともなう情報の不正入手、名誉毀損・侮辱、ポルノグラフィー、プライバシー侵害などをあげることができます。 プライバシー侵害 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

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無体財産権の必要性 民法第85条(物の意義) 本法ニ於テ物トハ有体物ヲ謂フ 物とは? ⇒ 「有体物」 (排他的独占・支配が可能) それ以外は? ⇒ 単なる債権(請求権)の対象 民法は物権と債権とを峻別  インターネットの普及に伴い、一部の知的創造活動を行う職業に従事する者にしか関連の無かった著作権侵害の問題が万人に関係するところとなった。ホームページからの情報発信などを通じ、誰でも容易に著作権者となり得るからである。  民法では、物とは「有体物」であると定められている。財産権の対象になるのは有体物であり、それ以外は請求権たる債権の対象にしかならない。  「物権」と「債権」を峻別する法体系下で無体財産権を認めると言うことは、大変重要な意義を持つことであった。  周知のように人間の知的創造物のうち価値を持つものは、知的財産権・無体財産権の対象として、その価値が保護される。無体財産権のうち「産業目的」に寄与するものが工業所有権であり、「文化目的」に寄与するものが著作権である。 無体物である知的創造物を保護する必要性が顕在化 人間の知的創造物のうち価値を持つもの →知的財産権・無体財産権として保護 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

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無体財産権の種類 産業目的=工業所有権 文化目的=著作権 著作権の種類  著作者の権利     著作財産権                   著作者人格権  著作隣接権 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

12 文学的および美術的著作物の 保護に関するベルヌ条約 ↓ 無方式主義の採用
無方式主義とは 一切の登録手続きを待たずして 著作物には自動的に著作権が発生 なお、日本は著作権に関する「無方式主義」を採用するベルヌ条約に加盟しているため、何らの登録手続きを待たずして著作物には自動的に著作権が発生する。 フリーウェアもPDSとは異なり著作権で保護される All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

13 データベース・プログラム・ 半導体チップと著作権
データベース:従来から編集著作物としての保護が可能          著作権法改正により著作権法による保護を          明文化 プログラム: 従来の著作権法では保護が不可能          著作権法改正により著作権法により保護  1985年、1986年の著作権法の改正により、我が国ではデータベースとプログラムに関する規定が新設された。すなわち、データベースは改正前から編集著作物としての保護が可能であったが、著作権法を改正して著作権法による保護を明文化した。  プログラムは従来の著作権法では保護できなかったので著作権法を改正して著作権法で保護できるようにした。また、半導体チップは工業所有権法でも著作権法でも保護できない中間形態なので、特別法である「半導体集積回路の回路配置に関する法律」(いわゆる半導体チップ法)により別個に保護される。 半導体チップ:工業所有権法と著作権法の中間形態          特別法を作って保護          「半導体集積回路の回路配置に関する法律」 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

14 データ送信と複製 インターネットへデータを送信することは、著作権上の複製に該当する
インターネットと著作権(1) データ送信と複製 インターネットへデータを送信することは、著作権上の複製に該当する リンクを張る行為 リンクを張る行為は複製ではない 著作権上の複製権の問題は生じない  インターネットと著作権に関しては以下のような問題がある。 パソコン通信やインターネットへデータを送信することは著作権上の「複製」に当たるか。これは、複製に当たると考えなければならない。  リンクを張ることは著作権法上問題があるだろうか。リンクを張ることは、複製ではないので、著作権法上の複製権に関する問題は無い。自分のホームページに無断でリンクが張られても、文句を言えないことになるが、リンクの拒絶権を認めるといった方向ではなく、リンクを張る際には、リンク先の著作者にできる限り許可を得ることを習慣として確立すべきである。 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

15 インターネットと著作権(2) 私的利用の範囲
私的利用とは? 著作権で保護されている著作物でも、個人的に利用したり、家庭内やこれに準ずる限られた範囲で使用するのであれば、複製してもよい 何らかの客観的関係が必要 例:電子メールでの頻繁なやり取り  著作権の中で著作者自身の財産的利益を保護するものが著作財産権であるが、その主な内容である複製権の例外をなすのが「引用」と「私的使用」である。  パソコン通信やインターネットを通じて顔も知らない人との間で新しい人間関係が広範囲に形成されていくため「私的使用」の範囲が問題となる。これについては電子メールで頻繁にやりとりしているなど何らかの客観的関係が必要と解される。 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

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インターネットと著作権(3) 引用の範囲 引用とは? 自己の著作物の中に他人の著作物を引いて用いること 一定の条件を満たせば著作権侵害にならない 判断基準 1.主従関係 引用する側(主)と引用される側(従)の著作物が明瞭に区別できること 2.目的の正当性 報道・批評・研究その他の目的上、正当な範囲で行わなければならない  インターネットで「引用」はどの範囲で認められるか。「引用」についての「主従関係」と「目的の正当性」の基準に照らして判断するしかないが、長めの引用をする場合にはできる限り著作権者に引用の許可を得ることが望ましい。 なお ホームページの出所の明示に関しては、まず題名については、ホームページのタイトルが表記されている場合にはそれを明示し、タイトルがなければURLを記載することが必要である。   著作者名については、実名又はハンドルネームがある場合にはそれを示す必要がある。そのような表示が一切ない場合には「無名の著作物」となり、著作者名を示す必要はない。 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

17 インターネットと著作権(4) 報道記事と著作権
単なる事実の伝達→著作物にあたらない 実際には新聞社はほとんどの記事について 内規により使用料を徴収 新聞社とユーザ間で納得できるルール作りが必要  著作権法上、時事報道は単なる事実の伝達にすぎないので、著作物に該当しないとされる。しかし、「誰が書いても同じ事実の伝達であるから著作権が無い」とされる新聞の報道記事は全体のごく一部である。実質的には、著作権の侵害がないと思われるようなケースでも、新聞社、は、記事の使用について内規により使用許諾の申請書を出させて使用料を徴収しているのが通常である。「知る権利」の保障からは、報道機関側とユーザ側がともに納得できるルールづくりが急がれる。  CDの曲をホームページに登録し自由にダウンロードする場合には、作詞・作曲の複製権と公衆送信権および、レコード会社・実演家の著作隣接権が問題となる。作詞家・作曲科(著作者または音楽出版社が会員になっていればJASRAC)、さらにレコード製作会社と実演家の哩ツが必要である。また、ジャケットのデザインについても製作したレコード会社に著作権が成立しているので、掲載には許可が必要である。  その他、ソフトウェアと著作権、インターネットと肖像権などにも、多くの問題を抱えているが、これについては、他の機会に譲ることにする。 インターネットと無体財産権に関する私見 「知る権利」、表現の自由を十分考慮した規制が望ましい All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

18 インターネットと著作権(5) CDの曲と著作権
楽曲の著作権による保護 1.作詞・作曲家の著作権 作詞は言語著作物 作曲は音楽著作物 両者をJASRACがまとめて委託管理 2.レコード会社・実演家の著作隣接権 レコード会社は複製権 レコード会社・実演家の送信可能化権  著作権法上、時事報道は単なる事実の伝達にすぎないので、著作物に該当しないとされる。しかし、「誰が書いても同じ事実の伝達であるから著作権が無い」とされる新聞の報道記事は全体のごく一部である。実質的には、著作権の侵害がないと思われるようなケースでも、新聞社、は、記事の使用について内規により使用許諾の申請書を出させて使用料を徴収しているのが通常である。「知る権利」の保障からは、報道機関側とユーザ側がともに納得できるルールづくりが急がれる。  CDの曲をホームページに登録し自由にダウンロードする場合には、作詞・作曲の複製権と公衆送信権および、レコード会社・実演家の著作隣接権が問題となる。作詞家・作曲科(著作者または音楽出版社が会員になっていればJASRAC)、さらにレコード製作会社と実演家の哩ツが必要である。また、ジャケットのデザインについても製作したレコード会社に著作権が成立しているので、掲載には許可が必要である。  その他、ソフトウェアと著作権、インターネットと肖像権などにも、多くの問題を抱えているが、これについては、他の機会に譲ることにする。 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

19 ソフトウェアと著作権(1) フリーソフトの著作権
ソフトウェアの種類(著作権からの分類) 1.PDS(パブリック・ドメイン・ソフトウェア) 著作権が完全に放棄されたソフトウェア 2.フリーウェア(フリーソフトウェア) 著作権は作成者に留保 複製・配布などが自由かつ無償 どのような条件を付けるかは作成者に委ねられる  著作権法上、時事報道は単なる事実の伝達にすぎないので、著作物に該当しないとされる。しかし、「誰が書いても同じ事実の伝達であるから著作権が無い」とされる新聞の報道記事は全体のごく一部である。実質的には、著作権の侵害がないと思われるようなケースでも、新聞社、は、記事の使用について内規により使用許諾の申請書を出させて使用料を徴収しているのが通常である。「知る権利」の保障からは、報道機関側とユーザ側がともに納得できるルールづくりが急がれる。  CDの曲をホームページに登録し自由にダウンロードする場合には、作詞・作曲の複製権と公衆送信権および、レコード会社・実演家の著作隣接権が問題となる。作詞家・作曲科(著作者または音楽出版社が会員になっていればJASRAC)、さらにレコード製作会社と実演家の哩ツが必要である。また、ジャケットのデザインについても製作したレコード会社に著作権が成立しているので、掲載には許可が必要である。  その他、ソフトウェアと著作権、インターネットと肖像権などにも、多くの問題を抱えているが、これについては、他の機会に譲ることにする。 3.シェアウェア 一定期間の試用が無償な有料ソフトウェア All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

20 ソフトウェアと著作権(2) 1CPU1ソフト条項の同一構内での適用
購入したソフトは、登録した1台の特定のコンピュータでしか使えない この規定は同一構内のネットワークにも有効? 1997年の著作権改正以前→著作権侵害にならない  著作権法上、時事報道は単なる事実の伝達にすぎないので、著作物に該当しないとされる。しかし、「誰が書いても同じ事実の伝達であるから著作権が無い」とされる新聞の報道記事は全体のごく一部である。実質的には、著作権の侵害がないと思われるようなケースでも、新聞社、は、記事の使用について内規により使用許諾の申請書を出させて使用料を徴収しているのが通常である。「知る権利」の保障からは、報道機関側とユーザ側がともに納得できるルールづくりが急がれる。  CDの曲をホームページに登録し自由にダウンロードする場合には、作詞・作曲の複製権と公衆送信権および、レコード会社・実演家の著作隣接権が問題となる。作詞家・作曲科(著作者または音楽出版社が会員になっていればJASRAC)、さらにレコード製作会社と実演家の哩ツが必要である。また、ジャケットのデザインについても製作したレコード会社に著作権が成立しているので、掲載には許可が必要である。  その他、ソフトウェアと著作権、インターネットと肖像権などにも、多くの問題を抱えているが、これについては、他の機会に譲ることにする。 1997年の著作権改正→公衆送信権の侵害に当たる ただし、買い換えの場合は除外すべき All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

21 肖像権(主に私人・一般人) 自己の肖像をみだりに他人に撮られたり使用されない 自己の肖像を権限無く他人が作成・公表することを禁止
肖像権とパブリシティ権 肖像権(主に私人・一般人) 自己の肖像をみだりに他人に撮られたり使用されない 自己の肖像を権限無く他人が作成・公表することを禁止 パブリシティ権(主に芸能人・有名人) 自己の肖像の経済的な価値をコントロールする権利  著作権法上、時事報道は単なる事実の伝達にすぎないので、著作物に該当しないとされる。しかし、「誰が書いても同じ事実の伝達であるから著作権が無い」とされる新聞の報道記事は全体のごく一部である。実質的には、著作権の侵害がないと思われるようなケースでも、新聞社、は、記事の使用について内規により使用許諾の申請書を出させて使用料を徴収しているのが通常である。「知る権利」の保障からは、報道機関側とユーザ側がともに納得できるルールづくりが急がれる。  CDの曲をホームページに登録し自由にダウンロードする場合には、作詞・作曲の複製権と公衆送信権および、レコード会社・実演家の著作隣接権が問題となる。作詞家・作曲科(著作者または音楽出版社が会員になっていればJASRAC)、さらにレコード製作会社と実演家の哩ツが必要である。また、ジャケットのデザインについても製作したレコード会社に著作権が成立しているので、掲載には許可が必要である。  その他、ソフトウェアと著作権、インターネットと肖像権などにも、多くの問題を抱えているが、これについては、他の機会に譲ることにする。 HPに掲載されている他人の顔写真は無断転載不可 自分が撮影した他人の顔写真もHPへの無断掲載不可 集合写真には原則として被写体全員の許可が必要 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

22 調整機関=WIPO (世界知的所有権機関)
著作権に関する国際的調整 調整機関=WIPO        (世界知的所有権機関) 先進国 自国が先に投資して 育成した文化を途上国に無断で使われてはこまる →保護強化を主張 途上国 先進国の文化を早く吸収して、これに追いつきたい →保護強化に反対 vs  ネットワーク社会が発達するにつれ、情報に国家の壁は事実上なくなった。それに伴い、著作権による保護も、いままで以上の国際的な調整が不可欠になってきた。  知的所有権の問題を扱う専門的な機構としては、国連の専門機関であるWIPO(世界知的所有権機関)が存在している。しかし、著作権について、国際的調整を行おうとすると、早く先進諸国の文化を吸収し、追いつこうとする途上国と、これを容認し得ない先進国との対立が支障となる。  こうした図式の中で、知的所有権の国際的調整は大変難しい要素をもっている。 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

23 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.
著作権法の一部改正(1997年) インターネットに関するWIPOの条約に対応 (1)インタラクティブな送受信(WWW)   →  自動公衆送信として保護 (2)1CPU1ソフト条項の同一構内への適用   →  プログラムは同一構内でも公衆送信 WIPO「著作権条約」との関係での課題  刑法もまた、こうした事態に手つかずで来たわけではない。少し遡ると、刑法では従来の規定に生じた隙間を埋めるため1987年に一部改正が行われた。この改正により、文書偽造、業務妨害、詐欺が電磁的記録に関しては成立し得ないという問題が立法的に解決された。 コピープロテクトの解除装置への対策 著作権管理情報の除去・改変への規制 実演家の保護強化 データベースの保護強化 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

24 (1)初期のサラミ型犯罪(1960年代末) 金融システムの端数切り捨て=サラミ・テクニック
コンピュータ犯罪の変遷(1) (1)初期のサラミ型犯罪(1960年代末)   金融システムの端数切り捨て=サラミ・テクニック (2)トロイの木馬(1960年代末~1970年代)   →パスワードの解読・収集,データ破壊(外部から) (3)日本での情報の不正入手の発生(1971年~)  →記憶媒体(ex.時価6千円の磁気テープ)の窃盗 (4)コンピュータ犯罪の拡大(1974年~)  →身代金誘拐などにオンラインバンキングシステムを使う キャッシュカードの偽造・変造 銀行内部の者の不正操作 今日、インターネットの発展に伴いネットワークを利用した犯罪が急増してきた。  ネットワークは(1)匿名性、(2)不特定多数性、(3)時間的・地理的無限性、(4)場所の不要性、(5)無痕跡性という特徴を持つと言われる。それが規制の難しさを生み犯罪の温床になる所以でもある。 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

25 (5)コンピュータ犯罪の高度化・専門化(1980年代~) 大手企業の情報技術幹部などの高度で専門的な犯罪 例:馬券偽造事件(1988年8月)
コンピュータ犯罪の変遷(2) (5)コンピュータ犯罪の高度化・専門化(1980年代~)   大手企業の情報技術幹部などの高度で専門的な犯罪   例:馬券偽造事件(1988年8月) (6)コンピュータ犯罪の大衆化(1980年代~)   大衆の倫理感覚の麻痺     例:変造テレフォンカードの使用 今日、インターネットの発展に伴いネットワークを利用した犯罪が急増してきた。  ネットワークは(1)匿名性、(2)不特定多数性、(3)時間的・地理的無限性、(4)場所の不要性、(5)無痕跡性という特徴を持つと言われる。それが規制の難しさを生み犯罪の温床になる所以でもある。 (7)ネットワーク犯罪の急増化(1980年代末~)   インターネットの普及に伴いこれを利用 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

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ネットワークの特徴 (1)匿名性 (2)不特定多数性 規制が困難 犯罪の温床 (3)時間的・地理的無限性 (4)場所の不要性 (5)無痕跡性 今日、インターネットの発展に伴いネットワークを利用した犯罪が急増してきた。  ネットワークは(1)匿名性、(2)不特定多数性、(3)時間的・地理的無限性、(4)場所の不要性、(5)無痕跡性という特徴を持つと言われる。それが規制の難しさを生み犯罪の温床になる所以でもある。 (6)法が予期していていなかった態様       規制する法の不存在 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

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ネットワークの犯罪の典型例 (1)電子掲示板を利用した薬物売買 (2)同、猥褻物の販売 (3)同、海賊版ソフトの販売 (4)同、詐欺事件 (5)猥褻図画の公然陳列 今日、インターネットの発展に伴いネットワークを利用した犯罪が急増してきた。  ネットワークは(1)匿名性、(2)不特定多数性、(3)時間的・地理的無限性、(4)場所の不要性、(5)無痕跡性という特徴を持つと言われる。それが規制の難しさを生み犯罪の温床になる所以でもある。 (6)ネットワーク上のゲーム賭博 (7)名誉毀損・侮辱行為 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

28 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.
刑法の一部改正(1987年) (1)文書偽造に関して   → 電磁的記録の不正作出及び供用(第161条の2) 公文書等毀棄(第258条)・私文書等毀棄(第259条) 公正証書原本不実記載など(第157条) (2)業務妨害に関して   → 電子計算機損壊等業務妨害(第234条の2)  刑法もまた、こうした事態に手つかずで来たわけではない。少し遡ると、刑法では従来の規定に生じた隙間を埋めるため1987年に一部改正が行われた。この改正により、文書偽造、業務妨害、詐欺が電磁的記録に関しては成立し得ないという問題が立法的に解決された。 (3)詐欺罪に関して   → 電子計算機使用詐欺(第246条の2) All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

29 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.
立法的対処が見送られた点 ・不正アクセス(今回の立法で不完全ながら対処) ・情報の不正入手   (窃盗にはならない、スパイは背任も該当しない) ・ウィルスの作成・散布(それ自体は不可罰) ・「業務」にあたらない場合 ・単なる私文書の毀棄 改正が小規模だった理由:反対論の存在  刑法もまた、こうした事態に手つかずで来たわけではない。少し遡ると、刑法では従来の規定に生じた隙間を埋めるため1987年に一部改正が行われた。この改正により、文書偽造、業務妨害、詐欺が電磁的記録に関しては成立し得ないという問題が立法的に解決された。  マスコミ(取材の自由)・労働組合関係者・日弁連      基本的改正はしない・新しい類型は作らない All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

30 コンピュータウィルスの定義 第三者のプログラムやデータベースに対して意図的に何らかの被害を及ぼすように作られたプログラム(通商産業省告示)
コンピュータ・ウィルス コンピュータウィルスの定義 第三者のプログラムやデータベースに対して意図的に何らかの被害を及ぼすように作られたプログラム(通商産業省告示) (1)感染(他のプログラムに自分を書き加える) (2)潜伏(一定期間何もしない) (3)発病(何らかの被害をもたらす)  著作権法上、時事報道は単なる事実の伝達にすぎないので、著作物に該当しないとされる。しかし、「誰が書いても同じ事実の伝達であるから著作権が無い」とされる新聞の報道記事は全体のごく一部である。実質的には、著作権の侵害がないと思われるようなケースでも、新聞社、は、記事の使用について内規により使用許諾の申請書を出させて使用料を徴収しているのが通常である。「知る権利」の保障からは、報道機関側とユーザ側がともに納得できるルールづくりが急がれる。  CDの曲をホームページに登録し自由にダウンロードする場合には、作詞・作曲の複製権と公衆送信権および、レコード会社・実演家の著作隣接権が問題となる。作詞家・作曲科(著作者または音楽出版社が会員になっていればJASRAC)、さらにレコード製作会社と実演家の哩ツが必要である。また、ジャケットのデザインについても製作したレコード会社に著作権が成立しているので、掲載には許可が必要である。  その他、ソフトウェアと著作権、インターネットと肖像権などにも、多くの問題を抱えているが、これについては、他の機会に譲ることにする。 狭義:上記(1)~(3)の機能をあわせ持つ 広義:上記(1)~(3)の機能の一つ以上を持つ All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

31 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.
コンピュータ・ウィルスの代表的な症状 (1)意味のないメッセージを表示・印刷 (2)意味のない音声を出力 (3)ディスクに記憶されているファイルの管理情報   (ファイルディレクトリ)を破壊 (4)データやプログラムをランダムに書き換える (5)記憶装置を無意味な記号で埋めて他のプログラム    を使用不能にする 今日、インターネットの発展に伴いネットワークを利用した犯罪が急増してきた。  ネットワークは(1)匿名性、(2)不特定多数性、(3)時間的・地理的無限性、(4)場所の不要性、(5)無痕跡性という特徴を持つと言われる。それが規制の難しさを生み犯罪の温床になる所以でもある。 (6)ハードディスクやフロッピディスクを勝手に初期化する (7)メールを勝手に送りネットワークに負担をかける All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

32 (1)論理爆弾 増殖しない 潜伏していてある条件が満たされると有害な動作をする
ウィルスに似たもの(=広義のウィルス) (1)論理爆弾 増殖しない 潜伏していてある条件が満たされると有害な動作をする (2)バクテリア 潜伏も発病もしない 1台のコンピュータ内でひたすら増殖 (3)ワーム ネットワークを通じ自分を複写して増殖していく 今日、インターネットの発展に伴いネットワークを利用した犯罪が急増してきた。  ネットワークは(1)匿名性、(2)不特定多数性、(3)時間的・地理的無限性、(4)場所の不要性、(5)無痕跡性という特徴を持つと言われる。それが規制の難しさを生み犯罪の温床になる所以でもある。 (4)トロイの木馬 外見とことなる動作をするプログラム 増殖・潜伏をしない All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

33 ウィルスを防ぐには ワクチンプログラムとセキュリティプログラム
ワクチン・プログラムとは? システムのウィルス感染を調べる ウィルスの型を明らかにしたり殺したりする 特定のウィルスにしか効かない→常に更新が必要 セキュリティ・プログラムとは? ウィルスはシステムの書き換えを行うはずである したがって常に書き換えを監視している 未知のウィルスにも効く 常にメモリに常駐させなければならない 今日、インターネットの発展に伴いネットワークを利用した犯罪が急増してきた。  ネットワークは(1)匿名性、(2)不特定多数性、(3)時間的・地理的無限性、(4)場所の不要性、(5)無痕跡性という特徴を持つと言われる。それが規制の難しさを生み犯罪の温床になる所以でもある。 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

34 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.
ウィルス対策の問題点 技術的側面→いたちごっこ ワクチン・プログラム 特定のウィルスにしか効かない→更新が負担 セキュリティ・プログラム メモリへの常駐がシステムに負担 新しい態様のウィルス  ネットワーク自体を攻撃対象とする 今日、インターネットの発展に伴いネットワークを利用した犯罪が急増してきた。  ネットワークは(1)匿名性、(2)不特定多数性、(3)時間的・地理的無限性、(4)場所の不要性、(5)無痕跡性という特徴を持つと言われる。それが規制の難しさを生み犯罪の温床になる所以でもある。 法的側面→ウィルスの作成・散布自体は不可罰 例外的に業務を妨害すれば業務妨害       公文書や特定の私文書を破壊すれば文書毀棄 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

35 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.
ウィルス対策 通産省の「コンピュータウィルス対策基準」を守る ウィルスに感染してしまったら? IPAコンピュータウィルス対策室に被害を届け出る コンピュータメーカのユーザ・サポートに相談する ワクチンメーカに相談する 今日、インターネットの発展に伴いネットワークを利用した犯罪が急増してきた。  ネットワークは(1)匿名性、(2)不特定多数性、(3)時間的・地理的無限性、(4)場所の不要性、(5)無痕跡性という特徴を持つと言われる。それが規制の難しさを生み犯罪の温床になる所以でもある。 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

36 領得罪(窃盗罪・横領罪)での処罰は不可能 (通説・判例)
情報の不正入手 情報は財物ではない 領得罪(窃盗罪・横領罪)での処罰は不可能 (通説・判例) ・背任罪による処罰 ・不正競争防止法による対処  また、不正入手については通説判例によると、現行刑法上、領得罪(窃盗罪・横領罪)での処罰はできない。刑法でも領得罪の対象となる財物は、民法と同じ「有体物」か、もう少し広くとらえて「物理的に管理可能なもの」と解するが、情報までをその範囲に含めてはいない。  領得罪で保護できるものは、少なくとも一次的には「物」である「媒体」に過ぎない。媒体に化体されて入手され無い限り、情報を保護することはできないのである。 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

37 有体物説 刑法でも財物を有体物に限定 245条はみなし規定
有体物説 vs 管理可能性説 刑法第245条(電気) この章の罪については、電気は、財物とみなす。 *この章: 第36章 窃盗及び強盗の罪 有体物説 刑法でも財物を有体物に限定 245条はみなし規定 管理可能性説 刑法では管理可能なもの(電気などのエネルギー)まで財物に含める 245条は注意規定       管理可能性説でも情報は財物ではない All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

38 情報の不正入手に関する私見 (1)情報を財物と解するか、 (2)条文を新設するか、 どちらかの対処が必要
背任罪 特徴 財物の領得を要件としない 身分犯の要件(信任関係)の充足が必要 ⇒産業スパイなどには適用できない 情報の不正入手に関する私見 (1)情報を財物と解するか、 (2)条文を新設するか、   どちらかの対処が必要  ただ、情報の不正入手には内部犯行が大変多く、実に8割近くが関係者によるともいわれる。そこで、信任関係を基礎に背任罪で対処するケースも実際には存在する。しかし、こうした信任関係が認められない以上、刑法による処罰は不可能であり、著作権法(処罰規定がある)、不正競争防止法の範囲で規制するしかない。  刑法は、予測し得なかった不動産の侵奪には条文を新設し、電気窃盗にはみなし規定で対処してきた。「無体財産の不正入手」を対象とした何らかの立法的解決の望まれるところである。 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

39 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.
不正アクセス 不正アクセスとは? (一般的な定義) 情報システムの所有者または管理者から禁止されているか、許可されていないのに情報システムに進入し、そのデータに無権限でアクセスすること ・初期のハッカー=悪意のない好奇心  不正アクセス禁止法では処罰対象となる  不正アクセスについては、現在、警察庁・郵政省、通産省の3省庁の共管による、不正アクセス禁止法の立法化が進められている。不正アクセス、および、それを助長する行為が、刑罰をもって禁止されることになる。  しかし、これに対しては、十分に検討されないままの時期早尚な立法化であるといった、日弁連を中心とした批判の声も高い。何らかの規制が必要なことは事実であるが、運用の段階で、適正に機能するよう見守っていくことが必要である。 ・クラッカーの登場=侵害行為・妨害行為を行う All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

40 (1)パスワードの推測(ユーザの管理の甘さ)
侵入の手口 (1)パスワードの推測(ユーザの管理の甘さ) (2)Back Door, Trap Door の漏洩・悪用 *セキュリティシステムを回避してシステムに入り込むメカニズム  不正アクセスについては、現在、警察庁・郵政省、通産省の3省庁の共管による、不正アクセス禁止法の立法化が進められている。不正アクセス、および、それを助長する行為が、刑罰をもって禁止されることになる。  しかし、これに対しては、十分に検討されないままの時期早尚な立法化であるといった、日弁連を中心とした批判の声も高い。何らかの規制が必要なことは事実であるが、運用の段階で、適正に機能するよう見守っていくことが必要である。 パスワード管理がもっとも重要! All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

41 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.
不正アクセス禁止法( 成立) 警察庁・郵政省・通産省の共管 ・不正アクセスを定義 ・不正アクセス行為を可罰化  1年以下の懲役または50万円以下の罰金 ・不正アクセスを助長する行為も禁止  「識別機能」を無断で提供する行為(ID屋)  30万円以下の罰金  不正アクセスについては、現在、警察庁・郵政省、通産省の3省庁の共管による、不正アクセス禁止法の立法化が進められている。不正アクセス、および、それを助長する行為が、刑罰をもって禁止されることになる。  しかし、これに対しては、十分に検討されないままの時期早尚な立法化であるといった、日弁連を中心とした批判の声も高い。何らかの規制が必要なことは事実であるが、運用の段階で、適正に機能するよう見守っていくことが必要である。 ・アクセスログの保存について意見が対立  規定から除外された All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

42 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.
不正アクセス禁止法と行政機関の義務 ・被害者への援助 ー公安委員会 ・不正アクセス行為の現状について  発生状況  セキュリティ技術に関する研究開発の支援 今回の不正アクセス禁止法   →全体の整備に遅れている 情報と情報処理全体を法益として守るべき  不正アクセスについては、現在、警察庁・郵政省、通産省の3省庁の共管による、不正アクセス禁止法の立法化が進められている。不正アクセス、および、それを助長する行為が、刑罰をもって禁止されることになる。  しかし、これに対しては、十分に検討されないままの時期早尚な立法化であるといった、日弁連を中心とした批判の声も高い。何らかの規制が必要なことは事実であるが、運用の段階で、適正に機能するよう見守っていくことが必要である。 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

43 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.
不正アクセス禁止法の問題点 1)目的:電気通信に関する秩序の維持 →保護法益は情報の財産的価値ではない  覗き見は禁止するが盗っていっても不問  刑法との不整合・アンバランスで奇妙な現象 2)対象の限定 ネットワークを通じてアクセスコントロールされているもの 上記の要件を書くと無権限アクセスしても不問  不正アクセスについては、現在、警察庁・郵政省、通産省の3省庁の共管による、不正アクセス禁止法の立法化が進められている。不正アクセス、および、それを助長する行為が、刑罰をもって禁止されることになる。  しかし、これに対しては、十分に検討されないままの時期早尚な立法化であるといった、日弁連を中心とした批判の声も高い。何らかの規制が必要なことは事実であるが、運用の段階で、適正に機能するよう見守っていくことが必要である。 3)捜査が逆に被害者の負担  証拠物件の押収により業務の継続ができない All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

44 名誉毀損とは 「公然と事実を摘示」することにより他人の社会的評価を低下させる
名誉毀損・侮辱 名誉毀損とは 「公然と事実を摘示」することにより他人の社会的評価を低下させる 侮辱とは 事実の摘示をしなくても「公然と」人を侮辱  人は誰にでも「個人の尊厳」があり、他人から社会的評価を傷つけられない権利を有している。  刑法では「公然と事実の摘示」をすることによって他人の社会的評価を低下させた場合、名誉毀損罪が成立し、また事実の摘示をしなくても「公然と」人を侮辱した場合、侮辱罪が成立すると規定する。 どちらも「公然性」という要件の充足が必要 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

45 ・公然性の要件 電子掲示板・ホームページには公然性がある 電子メールは公然性が認められない ニュースグループ、MLにも認め得る
名誉毀損・侮辱の問題点 ・公然性の要件 電子掲示板・ホームページには公然性がある 電子メールは公然性が認められない ニュースグループ、MLにも認め得る ・表現の自由との対立 萎縮効果という弊害を顧慮することが必要  サイバースペースでも誹謗中傷がなされれば、被害者の社会的評価は十分に下落する。パソコン通信の掲示板、インターネットのホームページなどには公然性が認められるとされている。  それにもかかわらず匿名性や不特定多数性といった特性ゆえに、罪の意識もないまま、こうした発言がなされる機会が大変増えている。  ただし留意すべきは、こうした「名誉権」がしばしば「表現の自由」と対立関係にあるという点である。名誉権を保障しようとするあまり、表現の自由に対して萎縮効果があってはならない。  ネットワークは双方向性をもったコミュニケーションの場である。そこでは即時的な反論が十分に可能であり、そうした手段よる自己救済ができるはずである。ネットワークという場に国家権力を介入させず、反論を手段に自己の考えを主張していくことが望ましい。  なお、電子メールでの誹謗中傷発言には公然性の要件が欠落するので、名誉毀損・侮辱の問題にはならない。いわゆるネチケットの問題として各人の自覚に委ねられることになる。 私見ー双方向性の活用ー 法による積極介入によるよりも、当事者間の 反論による解決が望ましい All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

46 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.
猥褻に関する規制の難しさ (1)被害者無き犯罪→処罰すべきか (2)「猥褻」の概念が曖昧 (3)表現の自由との関係(萎縮効果) (4)国際性→国内法の適用範囲    国際条約としての統一基準策定は困難  インターネットの普及に伴って急浮上してきた問題の一つにポルノグラフィーがある。しかし、インターネットの問題が出現する以前から、猥褻に関する規制には難しい問題が潜んでいた。  第一に、そもそも猥褻物に関する犯罪は「被害者無き犯罪」であり、そのようなものまで処罰すべきなのかが問題となる。  第二に、そもそも「猥褻」の概念は非常に曖昧で判断基準が難しい。  第三に、表現の自由との関係で、「猥褻」の概念が曖昧であるが故に表現の自由が損なわれるようなことがあってはならない。  さらに、インターネットの国際性から来る難しさとして、国内法の適用範囲が問題となる。日本人が同じ猥褻画像を不特定多数の日本人に見せるため送信しても、どこから送信するか、蓄積するサーバがどこにあるかで日本法が適用されるかどうかが変わってくる可能性がある。  国際条約としての統一基準を策定できれば明瞭な解決策となろうが、事柄の性質上それは大変困難である。「猥褻」の概念は各国の宗教や習俗、社会通念などから規定されるため、そこに共通項を見いだすことはほとんど不可能である。ここから、「インターネットの猥褻は処罰にネじまない」という考え方もでてくる。  表現の自由との調和を考える上でも、規制をむやみに強化するより、社会倫理についての自覚に任せるべき問題とも考えられる。 インターネットの猥褻は処罰になじまない All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

47 (1)画像ファイルの財物性 (2)マスクソフトへのリンク (3)猥褻罪に該当するページへのリンク (4)海外のサーバへの送信
インターネット上の問題点 (1)画像ファイルの財物性 (2)マスクソフトへのリンク (3)猥褻罪に該当するページへのリンク (4)海外のサーバへの送信 私見 表現の自由や国際的文化の多様性を配慮した解決が必要  インターネット上でポルノグラフィーをめぐる問題としては以下のような点が上げられる。 1. 画像ファイルは、「物」と言えるのか。画像ファイルをサーバにおく場合、「猥褻図画公然陳列罪」が成立するのか。 2. 画像修正ソフト(マスク・ソフト)で修正してあった場合、マスクをはずすソフトのダウンロードサイトにリンクを張るなど、入手を容易にしてあるだけで公然陳列罪が成立するのか。 3. 猥褻罪に該当するページにリンクを張るだけで同罪の幇助となるのか。 4. 海外のサーバ上のホームページに猥褻な画像データを掲載したときにも日本の刑法が同じように適用されるべきか。  いずれの場合も、表現の自由との関係や、国際的文化の差異などに鑑み、行き過ぎた規制が行われないよう慎重な対処が望まれる。 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

48 情報とデータ データ:価値を含まない客観的なもの 情報:受け手がある価値を持ってとらえ、意思決定に用いる
情報操作 情報とデータ データ:価値を含まない客観的なもの 情報:受け手がある価値を持ってとらえ、意思決定に用いる 情報操作の種類 ・独占・断絶:都合の良いように独占、隠匿する ・改竄:事実と違ったように意図的に変える  不正アクセスについては、現在、警察庁・郵政省、通産省の3省庁の共管による、不正アクセス禁止法の立法化が進められている。不正アクセス、および、それを助長する行為が、刑罰をもって禁止されることになる。  しかし、これに対しては、十分に検討されないままの時期早尚な立法化であるといった、日弁連を中心とした批判の声も高い。何らかの規制が必要なことは事実であるが、運用の段階で、適正に機能するよう見守っていくことが必要である。 ・捏造:虚偽の情報をでっち上げる ・破壊:情報を意図的に消滅:破壊する All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

49 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.
個人情報保護の必要性 ・個人情報が不可視の状態で迅速に処理 ・個人情報の部分利用により虚像・予断の形成 ・誤情報は発見困難で、誤認識を生む ・正当な権限の無い者による利用・改竄・加工  不正アクセスについては、現在、警察庁・郵政省、通産省の3省庁の共管による、不正アクセス禁止法の立法化が進められている。不正アクセス、および、それを助長する行為が、刑罰をもって禁止されることになる。  しかし、これに対しては、十分に検討されないままの時期早尚な立法化であるといった、日弁連を中心とした批判の声も高い。何らかの規制が必要なことは事実であるが、運用の段階で、適正に機能するよう見守っていくことが必要である。 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

50 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.
OECDの原則 (1)収集制限の原則 (2)データ内容の原則 (3)目的明確化の原則 (4)利用制限の原則 (5)安全保障の原則 (6)公開の原則  不正アクセスについては、現在、警察庁・郵政省、通産省の3省庁の共管による、不正アクセス禁止法の立法化が進められている。不正アクセス、および、それを助長する行為が、刑罰をもって禁止されることになる。  しかし、これに対しては、十分に検討されないままの時期早尚な立法化であるといった、日弁連を中心とした批判の声も高い。何らかの規制が必要なことは事実であるが、運用の段階で、適正に機能するよう見守っていくことが必要である。 (7)個人参加の原則 (8)責任の原則 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

51 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.
日本国内での制度化 (1)公的機関 個人情報保護法の適用 開示請求をしなければ意味が無い (2)民間(金融機関など) 個人情報保護法の適用はない  不正アクセスについては、現在、警察庁・郵政省、通産省の3省庁の共管による、不正アクセス禁止法の立法化が進められている。不正アクセス、および、それを助長する行為が、刑罰をもって禁止されることになる。  しかし、これに対しては、十分に検討されないままの時期早尚な立法化であるといった、日弁連を中心とした批判の声も高い。何らかの規制が必要なことは事実であるが、運用の段階で、適正に機能するよう見守っていくことが必要である。 大蔵省・通産省の通達によるガイドラインのみ All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

52 (1)規制を望む声が少なくない 表現の自由・人権保障の観点がもっと重視されなくてよいのか
アンケート調査の結果 (1)規制を望む声が少なくない 表現の自由・人権保障の観点がもっと重視されなくてよいのか (2)なぜ情報を巡る問題が多発するのか 情報倫理教育の徹底 国家権力の規制にゆだねず、倫理レベルでの自覚を養成する必要性  学生であれば、規制の方向より人権と自由を尊重した解答に偏るであろう予想していた。しかし、実際の結果は規制を望む声も多かった。法学者たちが急速な規制への慎重論を唱える中、法的バランス感覚からみると、むしろ、もう少し表現の自由と人権保障を重んじる姿勢も必要ではないか。 2. 問題は規制した方がいいと言う意識がありながら、なぜ実際に情報をめぐる問題が多発するのかである。調査は、ある程度、情報倫理教育を受けた学生を対象に行った。したがって、もっと情報倫理教育の普及が必要であるとも考えられる。しかし、一方で、倫理のレベルでの自覚謔閧ヘ国家権力による規制に問題の解決を委ねようとする、あなたまかせな姿勢も感じられる。 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

53 法の不備が問題となるケース→ 一様ではない
法的規制に対する概括(1) 法の不備が問題となるケース→ 一様ではない (1)基本的人権や法的安定性との抵触が比較的    問題とならないケース(不正入手など)  → 解釈ないし立法化による迅速な規制が必要 (2)表現の自由などの人権と対立関係にある    ケース(猥褻など)  → 倫理のレベルにとどめ、自覚に委ねるべき  以上、情報をめぐる法的問題について概観した。この他にも、情報操作、個人情報の保護、さらには多文化主義など、情報に関しては数多くの問題が内在する。プライバシー保護に関しては、従来の「私的生活に踏み込まれない権利」という消極的概念では足りず、「自らの情報を積極的にコントロールする権利」と、とらえ直されるにいたっている。  法の不備が問題となるようなケースでも、一様ではない。憲法上保障された基本的人権や法的安定性との抵触が比較的問題とならないようなケースでは、拡張解釈や立法化によってでも迅速に規制すべきであろう。情報の不正入手などはこの例である。しかし、猥褻など、本来、表サの自由と対立関係のあるケースでは、これを倫理のレベルにとどめ、個人の自覚に委ねることの方が望ましい。 猥褻を取り締まり情報の財産的価値を保護しないのはおかしい All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

54 法的規制に対する概括(2) ーインターネット利用の心構えー
法的規制に対する概括(2) ーインターネット利用の心構えー (1)法と倫理  現在、犯罪にならなければ何をしても良いのではない (2)法的な国家主権の尊重  「統一法」への方向を安易に肯定すべきではない  以上、情報をめぐる法的問題について概観した。この他にも、情報操作、個人情報の保護、さらには多文化主義など、情報に関しては数多くの問題が内在する。プライバシー保護に関しては、従来の「私的生活に踏み込まれない権利」という消極的概念では足りず、「自らの情報を積極的にコントロールする権利」と、とらえ直されるにいたっている。  法の不備が問題となるようなケースでも、一様ではない。憲法上保障された基本的人権や法的安定性との抵触が比較的問題とならないようなケースでは、拡張解釈や立法化によってでも迅速に規制すべきであろう。情報の不正入手などはこの例である。しかし、猥褻など、本来、表サの自由と対立関係のあるケースでは、これを倫理のレベルにとどめ、個人の自覚に委ねることの方が望ましい。 (3)多文化コミュニケーション  情報文化における弱小国の言語・文化的保護 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

55 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.
ネットワークと使用者責任 組織内におけるネットワーク不正利用  →組織外部への損害 行為者本人の責任 刑事責任・民事賠償責任 組織の民事上の責任 監督過失・使用者責任=無過失責任に近い 不正行為予防の必要性 技術面=対外的+体内的セキュリティ強化 処分規定を伴った内規の整備 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

56 行為者を監督すべき義務のある 監督義務者など
監督過失 行為者を監督すべき義務のある 監督義務者など 監督義務を怠ったという意味の過失 民事上の損害賠償責任を負う   挙証責任の転換   無過失責任に近い中間責任 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

57 訴訟で証明しなければならない事実 当事者のどちらが証明するのか? 予め定められている
挙証責任 訴訟で証明しなければならない事実 当事者のどちらが証明するのか? 予め定められている 民法の不法行為による損害賠償請求 原告が被告の過失を証明   =原告に挙証責任(民法709条) All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

58 一定の場合に特別規定 反対側の当時者に反対事実の挙証を負わせる
挙証責任の転換 一定の場合に特別規定 反対側の当時者に反対事実の挙証を負わせる 被告が無過失であることを証明 自らの無過失を立証できない限り責任を負う   例:自動車事故による損害賠償請求   (自動車損害賠償法3条但書) All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

59 未成年者=責任無能力者 他人に損害を与えても賠償責任を負わない 場合が存在(民法712条・713条)
未成年者の監督過失 未成年者=責任無能力者 他人に損害を与えても賠償責任を負わない 場合が存在(民法712条・713条) 責任無能力者を監督すべき義務のある者 自らの無過失を立証できない限り賠償責任を負う   監督過失による挙証責任の転換   (民法714条) All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

60 監督者 加害行為自体には故意・過失が無い 監督義務を怠った過失責任
監督過失と無過失責任 監督者 加害行為自体には故意・過失が無い 監督義務を怠った過失責任 挙証責任が転換されている 実際上、監督を怠らなかったことの免責は ほとんど認められない 挙証責任の転換を超えた無過失責任の性格 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

61 被用者が使用者の業務の執行に付き 他人に違法な侵害を与えた場合
使用者責任 被用者が使用者の業務の執行に付き 他人に違法な侵害を与えた場合 使用者・代理監督者は賠償責任を負う (民法715条)   挙証責任の転換 被用者の選任・監督に関する無過失の証明があれば免責される All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

62 使用者責任 加害行為自体に関する故意・過失は無い 選任・監督に関する過失責任
監督過失から無過失責任へ 使用者責任 加害行為自体に関する故意・過失は無い 選任・監督に関する過失責任 挙証責任が転換されている 実際上、免責はほとんど認められない (訴訟で証明の機会がほとんど与えられない) 挙証責任の転換を超えた無過失責任の性格 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

63 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.
無過失責任の根拠 (1)報償責任説(利益と危険の分配)  利益の帰するところに損失も帰する (2)危険責任説(危険に対する結果責任)  危険を作り出したものは結果責任を負う (3)企業責任説(莫大な収益は侵害の見返り)  企業活動から生じる損害は企業が賠償 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

64 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.
無過失責任が明文化されている例 (1)鉱業賠償責任  (鉱業法109~116条) (2)原子力事業者の責任  (原子力損害の賠償に関する法律3条) ★一般の使用者責任に統一的根拠を  見出すのは困難 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

65 故意過失で責任の範囲は限定できない 業務の範囲による限定 被用者がその「業務の執行につき」発生した損害
使用者責任の範囲の限定 故意過失で責任の範囲は限定できない 業務の範囲による限定 被用者がその「業務の執行につき」発生した損害 使用者責任は使用者の事業の範囲内のもの   使用者の事業自体 +密接不可分の関係にある行為 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

66 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.
外形標準主義 職務の範囲は客観的に外形を標準に判断 使用者と被用者の内部関係・主観的意図には とらわれない=外から業務に見えれば足りる 取引の相手方保護のため ・株券発行を担当する被用者の株券偽造 ・業務用の自動車の使用を許された被用者の  勤務時間後の私的利用中の事故  →使用者は責任を負う All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

67 事実上の無過失責任! 事業の範囲は外形標準主義により広大!
使用者責任の問題点 事実上の無過失責任! 事業の範囲は外形標準主義により広大! 使用者は過酷な結果責任を負う 背景:アメリカの保険制度     企業に賠償させ保険でまかなう     被害者救済に最も適切で衡平 日本の中小企業への適用は酷な結果 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

68 プロバイダーとは・・・ 出版事業者 or 流通業者?
管理者責任 出版事業者→著者と同じ責任 流通業者 →原則として責任を負わない プロバイダーとは・・・ 出版事業者 or 流通業者?  名誉毀損に関し、アメリカでは書籍などの印刷物の内容について、出版事業者は著者と同じ責任を負うが、書店などの流通業者は原則的に責任を負わない。プロバイダーをどちらの性格ととらえるかについてはアメリカでも出版業者的にとらえる判決と流通業者的にとらえる判決にェかれている。 ⇒アメリカでも判例の見解は分かれている カビー事件:流通業者/プロディジー事件:出版業者 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

69 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.
ニフティ事件  ニフティサーブの会員であるU女史は、あるフォーラムの電子会議室において、別の会員から名誉を毀損された。そこで、加害者だけでなく、そのフォーラムのシステムオペレ-タと、ニフティ株式会社も、その発言を放置したとして、その三者を相手取り、民事上の賠償請求と謝罪広告の請求をした。  名誉毀損をめぐっては、ニフティ事件が注目される。この事件では、被害者が、加害者に加え、そのフォーラムのシスオペとニフティ株式会社の三者を相手取って、損害賠償と謝罪広告を請求した。そのため、ネットワークの管理・運営者の責任に関する事例として注目された。  ニフティ事件の第一審は、シスオペには発言内容を常時監視したり探知したりする義務は無いと判断しながらも、原告U女史からの掲載削除の申出以前に必要な措置をとる義務があったとして、三被告に損害賠償の支払いを命じた。  しかし、名誉を毀損された者の対応としては、いくつかのものが考えられ、削除を求めるとは限らない。シスオペ側が相手からの請求を待たずに削除等の措置を講ずることは、かえって表現の自由との調和から疑問が残る。 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

70 事例1 プロバイダでIDを発行する地位にある被用者が偽IDを多量に発行して契約金を詐取
ネットワークへのアナロジー 事例1 プロバイダでIDを発行する地位にある被用者が偽IDを多量に発行して契約金を詐取 事例2 コンピュータシステムのメンテナンスを担当する会社の職員がメンテナンス業務を装って点検しているシステムに不正アクセスし、個人情報の持ち出し、データの改竄・破壊など、顧客会社の業務を妨害 →無過失の使用者責任が認められる All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

71 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.
使用者責任の回避の為に (1)被用者の不正行為の予防  技術面:対内的にもセキュリティを強化  処分規定を伴った内規を整備 (2)保険制度の利用  高額な賠償は企業にとって死活問題  しかし零細企業にとっては保険の負担も重い All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

72 ネットワークの不正行為に 適用したときの問題点(1)
(1)非営利団体への適用  報償責任の理論は利益追求型の組織以外に適用できるのか (2)外形標準主義の限界付け機能の喪失  ネットワーク犯罪は外形から見ると全て業務行為に見える(例:キーボードからコマンドを入力) 業務ではない範囲は無限にゼロに縮小 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

73 ネットワークの不正行為に 適用したときの問題点(2)
(3)無過失責任の根拠(衡平な負担)の崩壊  責任主義の法規の前提:  誰の責任かでなく誰が負担するのが公平か  過酷な負担は「公平な負担の分配」が失敗  基準点の再調整が必要 (4)原則は責任主義  責任主義の修正は刑法の領域では許されない  明文規定のない場合は民事でも制限的に解すべき All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

74 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.
法の不備 -法律は穴だらけ- 法的には立法的解決が課題 組織内の危機管理が重要 外部に対して 内部に対して (「8割は内部犯・・・」) 組織内規定の整備が必要  (ネットワークの不正行為に関する規則整備の遅れ) 民法・憲法および刑法の関わり 組織内処分の具体例 管理責任の回避 →管理者規定も必要 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

75 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.
組織内処分の性格 組織と被用者=民法上の契約関係 民法上の契約自由の原則 契約の内容は当事者間で自由に定める   組織は自由に組織内規則を設定   契約を結んだ被用者側には遵守義務 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

76 契約自由の原則に対する制約 (憲法=法体系上の最高法規)
公的組織 憲法の直接適用      ↓ 憲法に反する学則    =無効 私的組織 私人間適用はない 間接適用の可能性 民法90条 (公序良俗)違反 憲法の基本原理との抵触回避が必要 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

77 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.
憲法上の要請からの留意点 (1)表現の自由(憲法21条) (2)思想および良心の自由(憲法19条) (3)法定手続きの保障(憲法31条) (4)プライバシーの保護(憲法13条) (5)男女や民族などの差別の禁止   (憲法14条・民法1条の2) All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

78 昭和女子大事件 最判昭49・7・19 (学則の憲法違反が争われた事例)
学生の学内外における政治活動を学則で制限 政治活動をした学生を退学処分 最高裁で最終的に大学が勝訴 ・被告が私立大学なので直接適用がない ・社会通念上著しく不合理な制限ではない 憲法の間接適用 裁判官の判断により大学敗訴の可能性も存在 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

79 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.
組織内の不正行為が法的責任を負うケース 1.無体財産権の侵害 2.肖像権ないしパブリシティ権の侵害 3.猥褻罪(刑法174条) 4.名誉毀損・侮辱罪(刑法230・231条) 5.電子計算機等使用詐欺罪(刑法246条の2) 6.電磁的記録毀棄罪(刑法258条・259条) 7.電子計算機損壊等業務妨害罪(同234条の2) 8.不正アクセス禁止法違反(施行後) 9.商法の罰則規定の違反  1985年、1986年の著作権法の改正により、我が国ではデータベースとプログラムに関する規定が新設された。すなわち、データベースは改正前から編集著作物としての保護が可能であったが、著作権法を改正して著作権法による保護を明文化した。  プログラムは従来の著作権法では保護できなかったので著作権法を改正して著作権法で保護できるようにした。また、半導体チップは工業所有権法でも著作権法でも保護できない中間形態なので、特別法である「半導体集積回路の回路配置に関する法律」(いわゆる半導体チップ法)により別個に保護される。 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

80 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.
組織内処分と法律の関係 構成員も刑事上・民事上の法的責任を負う 法的評価からの独立性 契約の自由の原則に基づいた処分規定の策定 法の不備 倫理問題に関する法制化の是非 法的評価への依存性 法的評価が罪刑均衡の指針  → 刑法の法定刑のアナロジーが適切 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

81 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.
刑罰の目的と組織内処分 私刑の禁止→国家以外に「刑罰権」はない 応報刑から教育刑へ 教育機関は教育目的をさらに重要視すべき 一般予防と特別予防 教育機関は特別予防を重要視すべき 社会の構成要素としての責任 セキュリティー確保のため処分規定は必要 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

82 (1)セキュリティ維持のため ユーザの利用規定を整備
学内処分規定の根本的指針 (1)セキュリティ維持のため    ユーザの利用規定を整備 (2)利用規定の実効性担保のため    処分規定が必要 (3)処分規定の明確化     ・規定された行為以外の不処罰     ・規定の効力の不遡及     ・罪刑の均衡の遵守 (4)組織に広い裁量権(民法上の契約)    ・ただし憲法上の制約! → 基本的人権の遵守 (5)処分の目的は教育刑論 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

83 1.法律上に同様の処罰規定があるもの →その法定刑を参考
量刑の方法と根拠 憲法 > 刑法 > 組織内規則 1.法律上に同様の処罰規定があるもの  →その法定刑を参考 2.法律上に類似の規定があるもの  →類似した規定の法定刑を参考+軽重を考慮 3.法律上の規定はないが   ネットワーク社会で重大な不正行為   →他の処分の軽重と重大性を比較して決定 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

84 (試案) 自由刑(懲役など)の期間を使用停止期間や減給の額等に比例 ・量刑の逆転は不適切 ・逆転にはネットワークの特殊性からの根拠が必要
刑法のアナロジーとしての具体的量刑 (試案) 自由刑(懲役など)の期間を使用停止期間や減給の額等に比例 ・量刑の逆転は不適切 ・逆転にはネットワークの特殊性からの根拠が必要 量刑の上限と処分の種類は機関の特殊性による  ex. 一般企業では解雇・減給などがあり得る  ex. 在学年数を超える長期の利用停止   → ・量刑の差に応じた期間の圧縮 ・利用資格剥奪などへの転換 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

85 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.
処分される行為 参考条文(法律のアナロジー) 電磁的記録の改竄・破壊 公文書等毀棄罪 私文書等毀棄罪 システム運用の障害となる行為 電子計算機等使用業務妨害罪 著作権侵害 著作権法 119 他人の誹謗中傷行為 名誉毀損罪 侮辱罪 パスワードの解析・盗用 不正アクセス禁止法 情報の不正入手 個人情報の暴露 国家公務員法 組織の利用目的以外の行為 契約不履行 (民法上) その他法律で処罰される行為 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

86 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.
処分の内容 (利用停止期間) 処分される行為 下限 上限 電磁的記録の改竄・破壊 月以上 年以下 システム運用の障害となる行為 著作権侵害 3年以下 他人の誹謗中傷行為 パスワードの解析・盗用 月以上 年以下 個人情報の暴露 月以上 年以下 組織の利用目的以外の行為 1月以上 有期の上限 その他法律により処罰される行為 1月以上 有期の上限 利用資格の剥奪 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

87 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.
処分の軽重比較 1月 3月 1年 3年 5年 7年 10年 改竄破壊 運用障害 著作権 誹謗中傷 法の不備 パスワード プライバシーの 個人情報 重要視 他目的 他の犯罪 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

88 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.
刑法のアナロジーとしての問題点 量刑に関する問題点 ・法律上の量刑のアナロジー  アナロジーの遠近の差異(測定が困難)  →量刑の誤差 規定時の技術的な注意 行為類型の原則は故意犯・作為犯・既遂犯 過失犯・不作為犯・未遂犯的形態の処分 →罪刑法定主義からは明文化すべき    All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

89 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.
組織内処分と公的判断との関係 組織外での裁判を受ける権利 ex.組織内で処分するなら提訴しないという申入れ 行為者が応訴を希望している場合が存在 ・構成員の裁判を受ける機会の尊重が必要  (機会の剥奪は憲法違反の可能性) ・web上からの削除は表現の自由の侵害・  民法上の不法行為の可能性 本来的に予防と教育を目指したものが理想 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

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組織内処分の概括 法的性格=民法上の契約+憲法上の制約 罪刑均衡から法定刑のアナロジーが適切 組織の存在目的から修正 運用上の指針・方針(適度な具体性)  包括的→運用しやすいが予防効果が低い  具体的→人権保障に寄与・予防効果        但し運用しにくい All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.

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まとめ 不正行為に対する法規制の当否 ・倫理規範にとどめるべき場合と法規制が必要な場合 ・現状の警察行政の対応には不均衡が存在 法規制は解釈か立法か? ・類推禁止により、新しい犯罪には立法が不可欠 ・立法は瑣末な行政刑法でやらない→根本的改正   刑法との不均衡を回避・根本的な法益保護 法の不備は自己防衛 ・徹底した危機管理 ・組織内規定の整備による教育と予防 All Rights Reserved, Copyright© 2000, S.Kondo.


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