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家族政策と出生率 -スウェーデンの事例と日本への示唆-

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1 家族政策と出生率 -スウェーデンの事例と日本への示唆-
ESRI経済政策フォーラム(平成16年6月25日) 内閣府経済社会総合研究所 主任研究官  林 伴子 25 June 2004

2 目次 はじめに 1 女性の就業と出生率 2 スウェーデンの高い女性労働力率と 出生率の両立を支えるもの 3 家族政策と出生率
1 女性の就業と出生率 2 スウェーデンの高い女性労働力率と   出生率の両立を支えるもの 3 家族政策と出生率 25 June 2004

3 日本の出生数の推移 第3次ベビーブームは起こらないのか・・・ (第2次ベビーブーム世代は現在30歳から33歳) 25 June 2004

4 女性労働力率の高い国の方が 出生率の高い傾向が観察されるが…
25 June 2004

5 女性の就業と出生率の関係は かつての負の相関から正の相関に
1980年代前半までは女性就業率と出生率には負の相関関係があったが、現在では正の相関関係に。 OECD(2003), Babies and Bosses-vol.2, Austria, Ireland and Japan 25 June 2004

6 スウェーデンの 高い女性労働力率と出生率の両立
スウェーデンでは、出産期の女性の労働力率は84.3%と高い一方、出生率は変動はあるものの1.65(2002年)と日本よりも高い水準を保っている 25 June 2004

7 育児に対する意識は… 25 June 2004

8 スウェーデンの高い女性労働力率と出生率を支えるもの ① 充実した育児休業制度
スウェーデンの高い女性労働力率と出生率を支えるもの ① 充実した育児休業制度 育児休業は両親合わせて480労働日取得可能 「両親保険」によって休業直前の8割の所得を390労働日(毎日休業したとして1年半に相当)にわたり保障 2年半以内に次の子を産むと、労働時間を短縮して復職中であっても、先の子の出産の休業直前の所得の8割が育児休業中に再び保障される(スピード・プレミアム) 25 June 2004

9 スウェーデンでは、出産した7割以上の女性が1年以上の育児休業を取得
25 June 2004

10 日本では… 日本の育児休業取得率:64.0% 取得期間も短い 25 June 2004

11 日本では、出産前に就業していた女性の7割弱が仕事を辞めている
(出所)厚生労働省「第1回21世紀出生児縦断調査」(平成14年) 25 June 2004

12 日本の出産期の女性は休業者が少なく 非労働力化する女性が多い
(出所)総務省「労働力調査」、スウェーデンSCB ”Labour Force Survey”(いずれも2003年) 25 June 2004

13 スウェーデンの高い女性労働力率と出生率を支えるもの(続)
② 充実した保育サービス ③ 児童手当及び住宅手当 児童手当:16歳未満の子をもつ家庭(所得制限なし) 第1子 月950クローネ(約14,250円) 第2子 月950クローネ(約14,250円) 第3子 月1,204クローネ(約18,060円) 住宅手当:18歳未満の子をもつ家庭 (ミーンズテストを伴う) 25 June 2004

14 スウェーデンの高い女性労働力率と出生率を支えるもの ④ 勤務時間短縮制度と早い帰宅
スウェーデンの高い女性労働力率と出生率を支えるもの ④ 勤務時間短縮制度と早い帰宅 25 June 2004

15 平日の帰宅時間(スウェーデン) (出所)内閣府経済社会総合研究所編「スウェーデン家庭生活調査」 25 June 2004

16 日本では…  平日の帰宅時間(日本) (出所)内閣府経済社会総合研究所編「スウェーデン家庭生活調査」 25 June 2004

17 スウェーデンの出生率を支えるもの 高負担だが手厚い家族政策 子どもにかかる費用を社会全体で支える仕組み 両親保険の財源
事業主が支払う社会保険拠出(支払い給与の2.20%) 家族政策への財政支出(現金給付・サービス計) 対GDP比3.31%(他の先進国と比べても高い水準) 日本は対GDP比0.47% 25 June 2004

18 家族政策への財政支出 25 June 2004

19 家族政策と出生率の間には 緩やかながら正の相関が存在
25 June 2004

20 例えばフランスでは… フランスでは、出産期にある女性の労働力率は、スウェーデンよりは低いものの日本よりは高い。 25 June 2004

21 フランスの高い出生率 フランスの合計特殊出生率は、先進国のなかで高水準を維持 25 June 2004

22 フランスの家族政策① 多子家庭に手厚い家族手当等
フランスに居住する2人以上の子どもをもつ世帯には、20歳になるまで家族手当が以下のとおり毎月支払われる(所得制限なし)。 第1子   ゼロ 第2子 月113.15ユーロ(約15,275円) 第3子以降、一人につき月114.97ユーロ(約19,571円) 年齢加算あり:11-16歳 月31.82ユーロ(約4,296円)            16歳以上 月56.57ユーロ(約7,637円) 3人以上の子どもをもつ家庭で一定の所得要件を満たした場合には、更に補足手当を支給:月147.27ユーロ(約19,881円) このほか、乳幼児手当(3歳以下の乳幼児に月162.47ユーロ(約21,933円))、新学期手当(毎年9月に学齢期の子どもに258.90ユーロ(約34,952円))など各種手当を支給 25 June 2004

23 フランスの家族政策② 税制 所得税は世帯単位でN分N乗方式で課税(世帯合計所得を家族人員Nで割った所得に対する税額を算出し、それにNをかけて所得税額を求める) 子どもも2人目まではそれぞれ0.5人分、3人目からは1人分として家族人員Nに算入、累進課税のもとでは子どもの数が多いほど税制上有利 育児休業制度 3年間の育児休業または労働時間短縮が可能 第1子には6ヶ月間、第2子以降については3歳になるまで、休業あるいは労働時間短縮の度合いに応じて育児休業手当が支給される(完全休業の場合月504.11ユーロ(約68,055円)、労働時間を50%以下に短縮した場合383.33ユーロ(約51,750円))。 25 June 2004

24 女性労働力率と出生率の謎を解く鍵は家族政策
家族政策が手厚い国は、出生率が高いだけでなく、女性労働力率も高い傾向 →結果として、女性労働力率と出生率に正の相関が存在 25 June 2004

25 次世代を担う子どもたちは「公共財」 子どもを産み、育てることに伴う負担やリスクは、社会全体で支えるべき
就業に関わる負担・リスク →育児休業、保育サービス、勤務時間短縮 特に、育児休業制度は、就業女性が労働市場からいったん退出して別の企業に再就職、あるいは別の職業に就く場合よりも、職業能力上の損失が小さい。 経済的な負担 →児童手当 子どもの病気やけが →看護休暇 死別・離別した場合の貧窮化リスク →ひとり親家庭への支援 妊娠・出産に伴うリスク →産前休業、周産期医療 25 June 2004

26 ありがとうございました なお、内閣府経済社会総合研究所編「スウェーデン家庭生活調査」(家計経済研究所に委託)の報告書本体は、内閣府経済社会総合研究所ホームページで御覧いただけます。 25 June 2004


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