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産婦人科医療改革のグランドデザイン 海野信也 「周産期医療の広場」 http://shusanki.org/index.html
第30回日本助産学会 シンポジウム 「近未来の母子保健の発展のために」 2016年3月19日 産婦人科医療改革のグランドデザイン 海野信也 北里大学病院長・北里大学医学部産科学教授 日本周産期新生児医学会理事長 日本産科婦人科学会医療改革委員会委員長 「周産期医療の広場」 公表文書集: 私の今回の演題に関連して、開示すべき利益相反状態はありません。
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産婦人科医の年齢性別分布 2005年
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産婦人科医の年齢性別分布 2015年
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過去10年間の産婦人科医数の変化 25-65歳の産婦人科医数は過去10年間で11.1%増加した。男性医師は10.6%減少し、女性医師は69.9%増加した。
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産婦人科新規専攻医の推移
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産婦人科医の現状 施設ごとの日本産科婦人科学会学会員の年齢別・男女別分布 男性医師の分布
産婦人科医の現状 施設ごとの日本産科婦人科学会学会員の年齢別・男女別分布 男性医師の分布 女性医師の分布 平成26年度日本産科婦人科学会医療改革委員会、日本産婦人科医会勤務医部会共同「日本産科婦人科学会会員の勤務実態調査」
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産婦人科医の現状 2008-2013年度の都道府県別新規産婦人科医数 (人口十万対)
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わが国の産婦人科の現状 わが国では、分娩施設は減少しているが、周産期死亡率、妊産婦死亡率は低いレベルに維持されている。
おそらく、都道府県の周産期医療システムや医療の質の向上、標準化のための諸施策は診療レベルの維持に、重要な役割を果たしてきていると考えられる。 産婦人科医の総数は微増しているが、男性医師は減少しており、その増加は若い女性医師の増加によって支えられている。 産婦人科新規専攻医は2007年から2010年にかけて一時的な増加が認められたが、その後5年間は減少が続いている。 新規産婦人科専攻医の大都市圏集中、地域格差の拡大が進行している。
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産婦人科・周産期医療 2010年 産婦人科医療改革グランドデザイン2010 (GD2010)
2011年 「東日本大震災」「福島第一原子力発電所事故」 2011年 全都道府県に総合周産期母子医療センター設置
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2011年3月 東日本大震災 福島第一原子力発電所事故
2011年3月 東日本大震災 福島第一原子力発電所事故 国民が望む産科・周産期医療とはなにか? いつ、どんなときでも 安全で 安心な 地域 分娩環境の確保 医療を受ける側の論理の重要性
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2011年9月22日 これからのエネルギー政策の方向性について 公益社団法人 日本産科婦人科学会 理事長 小西郁生
2011年9月22日 これからのエネルギー政策の方向性について 公益社団法人 日本産科婦人科学会 理事長 小西郁生 福島第一原子力発電所事故に起因する放射性物質による環境汚染はわが国の妊産婦と子どもをもつ家族、そして妊娠を考えているカップルに極めて深刻な不安をひきおこしています。今、私たちは、安心して妊娠・出産・子育てのできる環境の重要性を改めて痛感しています。また、今回の事故を経験して、原子力発電所の事故が、その地域のみならず国民生活全体に重大な影響を及ぼすこと、そしてその影響は長期にわたって持続することを学びつつあります。 わが国のエネルギー政策の具体的な内容については、本学会が提言すべき領域の範囲を超えていると考えられます。しかし、この問題は、わが国の将来に重大な影響を与えるものです。すべての国民がそれぞれの立場で正面から真剣に向き合い、見解を表明すべきであると考えられます。今回の経験を踏まえ、私たち日本産科婦人科学会は妊産婦及び母子の健康に責任を有する専門団体として、今後のわが国のエネルギー政策の検討に際しては、安心して妊娠・出産・子育てのできる環境が確保されることの重要性を十分に考慮されることを要望いたします。
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産婦人科・周産期医療 2010年 産婦人科医療改革グランドデザイン2010 (GD2010)
2011年 「東日本大震災」「福島第一原子力発電所事故」 2011年 全都道府県に総合周産期母子医療センター設置 「ハコ」「モノ」の整備から「ヒト」「システム」整備の段階へ
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GD2015 基本的な方向性ー前提 GD2010における以下のような提案については、今後もその実現のための努力を続ける必要がある。
産婦人科医師数:年間最低500名の新規産婦人科専攻医を確保する。 助産師数:助産師養成数を年間2000名以上まで増員する。 分娩取扱病院:勤務医数を年間分娩500件あたり6-8名とする。 月間在院時間240時間未満を当面の目標とする。 勤務医の勤務条件緩和、処遇改善策を推進する。 特に女性医師の継続的就労率の増加を図る。 産科診療所: 複数医師勤務、助産師雇用増等により、診療所医師の負担を軽減するとともに 診療の質の確保と向上を図る。 勤務環境の改善と診療の質の向上のために、診療規模の拡大を志向していく 分娩管理の効率化と多様性を確保するため分娩数全体の2分の1から3分の2を産科診療所または産科専門施設*で担当する。 地域における一次施設から三次施設までの施設間連携を強化し、周産期医療における安全性の向上を図る。 診療ガイドラインの作成やその普及等により周産期医療の標準化を推進し、周産期医療の質の向上に寄与する。
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GD2015:基本的な方向性1 目標:すべての地域で、プライマリケア領域から救急医療、高度専門医療まで、産婦人科医療へのアクセスが将来にわたって安定的に確保される。 すべての地域で、プライマリケア領域から救急医療・高度専門医療までの産婦人科医療を担う医師が養成され、診療に従事している。 産婦人科専門医研修及び技術向上の機会がすべての地域で確保されている 地域で、妊婦健診を受けることが可能で、分娩施設へのアクセスが確保されている。
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GD2015:基本的な方向性2 方策: 特に分娩取扱病院について、以下のような施策を実施する。 数値目標
地域基幹分娩取扱病院の設定:地域基幹分娩取扱病院を、地域の公的性格を有する二次三次病院の中から、地域の他の医療機関への支援・連携体制の強化を前提として、地域の実情を勘案して設定する。 地域基幹分娩取扱病院の積極的整備:地域基幹分娩取扱病院の大規模化・重点化を図ることを通じて、勤務する産婦人科医が継続的な就労可能な勤務環境を整備する。 数値目標 総合周産期母子医療センター:産婦人科常勤医20名以上 地域周産期母子医療センター・地域基幹分娩取扱病院:産婦人科常勤医10名以上(大規模化が不可能な地域周産期母子医療センター等は、大規模施設との連携の上、勤務条件の緩和、緊急時の対応能力を確保する。) 主治医制の廃止 当直明け勤務緩和・交代勤務制導入の推進 診療内容:地域においてサブスペシャルティ領域の専門医資格取得が可能な指導医、症例数、診療内容の確保 「地域基幹分娩取扱病院重点化プロジェクト」を立ち上げ、各地域の実情のリアルタイムのモニターと情報共有、評価が可能な体制を整備する。 今後5年間、活動を継続しつつ、随時必要な見直しを行う。
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GD2015:基本的な方向性3 方策: すべての都道府県で、妊婦健診、低リスク妊娠・分娩対応施設を含む、産婦人科・周産期医療施設のネットワークを構築し、地域における分娩環境確保の状況を明示する。 安全な分娩環境確保のために必要な、地域における小児科医・麻酔科医の配置状況も同時に明らかにしていく。 地域産婦人科医療機関の機能分担と連携強化を推進する。 周産期母子医療センターと地域の産科診療所の機能分担、連携強化を推進する。 すべての地域で妊婦健診及び婦人科検診へのアクセスを確保する。 地域によっては行政からの支援が必要 産婦人科医療へのアクセスが困難な地域においては、地域の実情に即したシステムを構築し、適切な医療提供が可能な体制を整備する。 大規模化が不可能な地域周産期母子医療センター等は、大規模施設との連携の上、勤務条件の緩和、緊急時の対応能力を確保する。 産婦人科医絶対的欠乏地域では、産婦人科施設との密接な連携を前提とした総合診療医の関与等の方策も検討していく。
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地域基幹分娩取扱病院重点化プロジェクト 平成27年度より日本産科婦人科学会の新たな共同事業として「地域基幹分娩取扱病院重点化プロジェクト」を立ち上げる。 施設データベースの構築 わが国の産科医療提供施設(総合・地域周産母子医療センター、一般病院、産科病院、産科診療所、妊婦健診施設)のデータベースを構築し、それに基づいて都道府県ごとの産科医療提供体制の基本情報の公開を行う。 施設データベースには、施設名、住所、電話番号、施設URL、産婦人科医師数、分娩数等の情報を含め、Google Map上で基本情報について簡便に検索、アクセスできる環境を整備する。 施設データベースを用いて都道府県ごとに総合周産期母子医療センター、地域周産期母子医療センター、地域基幹病院に勤務する産婦人科医師数に関する情報を整理し、公開する 総合周産期母子医療センター 20名以上の施設数と割合 地域周産期母子医療センター・地域基幹病院 10名以上の施設数と割合 勤務条件の改善の取り組み 厚生労働省医政局地域医療計画課、都道府県の医師確保担当者、地域医療支援センター、大学医学部産婦人科教室、地域基幹分娩取扱病院等と密接に連携し、情報を共有するとともに、必要な支援を行う。
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地域基幹分娩取扱病院 重点化プロジェクトの概要
地域基幹分娩取扱病院 重点化プロジェクトの概要 ①情報提供 交渉 日産婦学会 医療改革委員会 重点化プロジェクト本部 ④情報集約 解析・分析 ①情報提供 検討提案 ①情報提供 検討依頼 ⑥協議 ⑤情報共有 方向性検討 各県・地域の 産婦人科医 ③情報提供 ②地域としての検討・方針決定 ⑧連携・支援 ⑦協議・交渉 国 県 地域自治体・病院 ⑨ 地域における施策の決定→地域医療計画等に反映
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都道府県別出生1万あたりのNICU病床数 全国 30.4 床 (床)
○ 目標に到達していないのは 6県 全国 30.4 床 (床) 平成27年11月27日 厚生労働省第3回「周産期医療体制のあり方に関する検討会」 平成26年10月1日現在 厚生労働省 医療施設調査(動態・静態)・平成26年人口動態統計
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都道府県別の千出生あたりの新生児医師数 ○ 出生数あたりの新生児科医数は地域差が大きい。
○ 出生数あたりの新生児科医数は地域差が大きい。 ○ 最小である茨城県と最大である香川県の間には4倍の格差がある。 楠田聡 新生児医療の人的供給体制の脆弱性 平成27年報告 新生児科医数/1000出生数 全国平均3.2 平成27年11月27日 厚生労働省第3回「周産期医療体制のあり方に関する検討会」
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都道府県別MFICUの病床数(対出生1000) (総合・地域周産期母子医療センター合計)
推測値との比較: 地域格差(平成26年厚生労働省医政局調査) 診療報酬で加算が取れているMFICUが 0.89床/1000出生以上の都道府県数:16 0.89 床/1000分娩 0.71床/1000分娩(稼働率加味しない) MFICUの圏別の整備状況には格差があり、出生1000対0.89床以上整備されている都道府県は16である。 (診療報酬加算されているMFICUのみで検討) 0.6床 平成27年11月27日 厚生労働省第3回「周産期医療体制のあり方に関する検討会」
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妊産婦の分娩取扱医療機関・周産期センターへの受診アクセス
全国の分娩取扱医療機関に対する出生者の住所からみた受診アクセスは、一般道路のみの利用で、30分未満が98.1%を占めた。 直近の周産期母子医療センターに対する受診アクセスは、高速道路を利用しても30分以上かかる割合が13.1%、60分以上かかる割合が2.2%であった。 分娩医療機関から直近の周産期センターへの搬送時間は、県境を越えることを前提としても30分以上かかる割合が9.5%、60分以上かかる割合が1.7%であった。 15分未満 15分以上 30分未満 30分以上 60分未満 60分以上 住所地から分娩取扱医療機関(一般道路のみ) 出生数 982,264 68,545 17,151 3,344 割合 91.7% 6.4% 1.6% 0.3% 住所地から周産期母子医療センター(高速道路あり) 629,357 301,574 116,377 23,997 58.7% 28.2% 10.9% 2.2% 分娩医療機関から周産期センター 分娩数 685,089 237,785 79,668 16,881 67.2% 23.3% 7.8% 1.7% 受診アクセスと出生数(住所地ベース) 石川雅俊先生による
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妊産婦の住所地から直近の分娩施設への運転時間
Access by car <15min <30min <60min >60min 各メッシュからのアクセスの考え方、出生数の算出と配賦 1.8% の妊婦は、直近の分娩施設に行くのに30分以上かかる。
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妊産婦の住所地から直近の周産期センターまでの運転時間
Access by car <15min <30min <60min >60min 三重→東紀州では、分娩医療機関はあるが周産期センターへのアクセスは60分以上 2.1% の妊婦は直近の周産期センターに行くのに60分以上かかる。
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周産期医療システム上の課題 地域分娩環境確保の必要性の増大 都道府県ごとのシステムの限界 他の領域との連携強化の必要性
一次分娩施設を含めたシステムとする必要性 周産期母子医療センターの役割の再検討の必要性 都道府県ごとのシステムの限界 NICU不足地域の存在 症例発生の変動に対応する必要性 広域連携体制強化の必要性 必要に応じた都道府県の枠を越えた広域の協議組織の導入 他の領域との連携強化の必要性 母体救命体制の充実:救命救急医療・脳神経外科・麻酔科 災害時の母子支援体制の整備 平成27年10月15日 厚生労働省第2回「周産期医療体制のあり方に関する検討会」
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地域分娩環境確保のために必要なこと 出生数の減少・分娩施設の減少→地域分娩環境確保のために積極的施策の必要な地域の存在 アクセスの確保:
妊婦健診へのアクセス 一次分娩施設へのアクセス 周産期母子医療センターへのアクセス 産後ケアへのアクセス アクセス:時間的・空間的・経済的側面を考慮する必要性 周産期医療従事者の安定的確保: 分娩取扱施設に勤務する産婦人科医 新生児医療を担当する小児科医 分娩取扱施設に勤務する助産師 一次分娩施設確保の重要性: 平成27年10月15日 厚生労働省第2回「周産期医療体制のあり方に関する検討会」
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災害時の母子支援対策 2013年 災害時母子救護所設置訓練開始 2016年 災害時小児周産期リエゾン研修開始予定
2013年 災害時母子救護所設置訓練開始 吉田穂波先生(国立保健医療科学院)・東京都助産師会 2016年 災害時小児周産期リエゾン研修開始予定 2016年 周産期医療体制整備指針(改定予定) 災害時地域周産期医療事業継続計画(BCP)策定の必要性
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災害時小児周産期リエゾンとは 小児や妊産婦は災害時に災害弱者となり援護が必要となる場合がある。特に新生児や乳児であれば、養育者を含めて適切な支援が必要となる。 災害急性期にはDMAT等の救護班が出動し、その対策には小児や妊産婦も含まれている。 しかし、ICUや無菌室での管理などを必要とする重症の小児や先天性代謝異常症などの特殊な治療が必要な小児、また被災地内では必要な診断や治療ができない新生児や妊婦を適切に搬送し、医療を継続して提供するための情報は不足しがちである。 災害時には被災地の小児周産期リエゾンは、搬送が必要な小児・妊産婦の情報を収集し、被災地内の適切な医療機関への搬送をコーディネートするとともに、全国の災害時小児周産期リエゾンと連携し、被災地外への搬送方法、受け入れ体制の情報を収集する。 DMAT等の救護班は災害時小児周産期リエゾンの情報を元に、車両、ドクターヘリ等を利用して、小児周産期医療従事者と連携しながら必要な搬送を行う。
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これからの産科・周産期医療の確保・充実のために
これから少子高齢化に対応した医療制度改革が大規模かつ急速にすすめられようとしています。 その中で、地域の産科・周産期医療の確保、充実のために必要な施策が後回しにならないようにする必要があります。 そのためには産科・周産期領域の専門家が、国及び地域の行政担当者の方々との連携を強化し、適切に情報提供・共有を行い、積極的に政策提言を行うことが大切です。 また、国民、地域住民に、現場の実情を正確に情報提供し、安全で安心な地域分娩環境確保のために必要な方策について、適切な啓発活動を行う必要があると考えられます。 いつ、どんなときでも、安全で安心な地域分娩環境確保のために、努力を続けていきましょう。
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謝 辞 本日は、ご清聴いただきありがとうございました。
謝 辞 本日は、ご清聴いただきありがとうございました。 本シンポジウムでの発表の機会を与えてくださいました第30回日本助産学会会長我部山キヨ子先生に深謝いたします。 座長の労をおとりいただきました、堀内成子先生・福井トシ子先生に心より御礼申し上げます。
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災害時小児周産期リエゾンの担うべき機能 被災地における小児・周産期医療ニーズの情報収集と発信 被災地外における小児・妊産婦受け入れ体制の構築 平時における小児・周産期医療ネットワーク構築と訓練 行政機関と連携した災害時の小児や妊産婦にかかる医療や課題解決の
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