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特定保健指導における 身体活動支援の ポイントとアクティブガイドの活用
厚生労働科学研究「標準的な健診・保健指導プログラム【改訂版】及び健康づくりのための身体活動基準 2013に基づく保健事業の研修手法と評価に関する研究」津下班 特定保健指導における 身体活動支援の ポイントとアクティブガイドの活用 本スライドは特定保健指導の中でアクティブガイドをどのように使っていくかというテーマで話していきます。 そのため、研修資料としてアクティブガイド(3つ折り)を用意しておくことが望ましい。もしくは参加者には事前に読んでおいていただきたいです。 宮地 元彦 独立行政法人国立健康・栄養研究所 健康増進研究部
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保健指導における身体活動支援のポイント 運動指導でなく身体活動支援 効果と実現可能性のバランスを考慮 対象者の行動変容レベルの把握
エネルギー計算に基づく具体的な目標設定 安全対策は必ず初回 職場、地域、家庭など環境を考慮 ICT、スマホ、ライフログ、SNSなどのツール活用 まずはじめに特定保健指導における身体活動支援のポイントを整理し、まずは参加者の頭に入れておきます。
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人が体を動かすことを総じて「身体活動」と言う
運動 健康増進や体力向上、楽しみなどの意図を持って、余暇時間に計画的に行われる活動 速歩、ダンス、エアロビクス、 ジョギング、テニス、サッカー など 生活活動 日常生活を営む上で必要な労働や 家事に伴う活動 買い物、犬の散歩、通勤、床掃除、 庭掃除、洗車、荷物運搬、子供と遊ぶ、階段昇降、雪かきなど 身体活動の概念を整理します。 人間が体を動かすことを身体活動と言います。 身体活動というのはスポーツ(有酸素運動や筋力トレーニング)を行う「運動」と、家事や仕事をする「生活活動」の大きく2つに分けることができます。 これまでは、体育やスポーツの先生が、エアロビクスや筋トレといった『運動指導』を推奨していましたが、現在は違い、 現在は、生活活動も含めた『身体活動の支援』を行うことがとても重要になっています。 日本人の身体活動状況は、過去10年遡ってみると、全ての世代で歩数が1000歩程度減っているという現状であり、 身体活動の状況が年々悪くなっているということが分かります。 それから、運動習慣者の割合では、特定保健指導の対象になる40代~50代の世代は、2〜3割程度で残念ながら運動習慣が多くありません。 運動できない理由は、就労子育てによる「時間がない」、「忙しい」であり、職場や生活の場でどうするのかという『身体活動支援』を行わなければいけないということは明らか。 あたりまえですが、身体活動量を増やせば増やすほど、生活習慣病のリスクは減り、「たくさん身体活動を増やしましょう。」という指導になるわけですが、 1日30分増えれば、効果はとても大きいですが、「今から余分に30分動いてください。」と言って、動ける人はほとんどいません。 運動指導でなく身体活動支援!
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効果と実現可能性のバランスを考慮 敷居の低い目標 各年代での 身体活動基準値
今回、アクティブガイドを活用して伝えたいメッセージは、「10分増やしましょう」という、+10(プラステン)のメッセージです。 10分増やせば、7000歩歩いていた人であれば、1000歩増やすことができ、目標の8000歩を達成できます。 これは何を目的にしたかと言うと、多くを言っても難しいため、シンプルなメッセージで行動のポイントを伝えるということです。 特定保健指導の20分という限られた時間の中では、「10分増やしましょう。」という一つのメッセージしか伝わらないかもしれません。 そのため、できるだけシンプルにすることが大事であり、もちろんすべてのメッセージが科学的根拠に基づいたものです。 各年代での 身体活動基準値 効果と実現可能性のバランスを考慮
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アセスメント ⇩ セグメント化 セグメント別アドバイス
アセスメントのベース 特定健診の標準的質問票 川上、宮地ほか 特定健診・保健指導の標準的な質問票を用いた身体活動評価の妥当性、日本公衆衛生学雑誌、2010 アクティブガイドを1枚めくると、このようなチャートがあります。 これは身体活動や運動習慣の行動変容のレベルや運動量を調査するためのチャートです。 3つの質問見ていくと、「毎日合計60分以上歩いているか?」、「運動習慣があるか?」、「同世代の同性と比較して歩くスピードが速いか?」となっています。 この質問に聞き覚えがあるかと思ますが、特定健診における標準的な質問表に入っている質問項目と同様のものです。 この3つは身体活動を非常に精度よく測ることができます。 こういうものを使ってアセスメントしてセグメント化し、セグメント別のアドバイスを出すということをアクティブガイドでは行っています。 対象者の行動変容レベルの把握
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気づく! ⇩ 始める! 達成する! つながる! 行動変容レベルに基づいた声掛け 行動変容理論やソーシャル・キャピタルの考え方を具体化して活用
共感 賞賛 激励 健康のための一歩を踏み出すために、ほとんど身体活動のない人には気づきを。身体活動を意識し出した人にはスタートを。 実践に移り始めた人には、達成を。身体活動を十分継続できている人には、誰かとのつながりを、というセグメント別のメッセージを出しており、 特定保健指導でも全く同じやり方をするべきだと考えられます。 行動変容レベルに基づいた声掛け
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エネルギー計算に基づく具体的な目標設定 ① 86.5 cm ① ② ② 3 cm ③ ③ 6 か月 ④ ④ 117 kcal
体重:脂肪1kg≒腹囲1cm 脂肪1kg=7,000kcal ③ ③ 6 か月 ④ ④ 117 kcal ⑤1kg×7000=70000kcal 7000÷120日=32kcal/日 ④ 117 kcal ⑤ +32 kcal ⑥ =149 kcal 身体活動基準2013には、メタボと言われた人のための減量プランシートが掲載されています。 この書式でなくても構いませんが、特定保健指導を行うときに初回面接で必ず作らないといけないと情報が含まれています。 例でみると、先ほどの+10(10分の運動)はたったの30kcal。 たった30kcalではありますが、半年続けることで0.7㎏、1年では1.5㎏体重を減らすことができます。1回の効果は少ないけれど、続けることで効果は期待できます。 ⑤ ⑥ ⑦ 30 kcal 食事だけではダメ 運動だけではムリ +10は30-40kcal ⑦ ⑧ ⑧ 120 kcal エネルギー計算に基づく具体的な目標設定
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安全な身体活動・運動実践のために 安全対策は必ず初回に!
運動・身体活動は、やれば必ず効果がありますが、誤った実施法や多すぎる運動や身体活動により事故や障害が発生する可能性があるため、その注意喚起が必要。 安全のためにも、この3つの項目だけは必ず研修の内容の中に入れなければなりません。 もしくは、初回面接で必ず保健指導の中で入れてもらわなければいけない項目でもあります。 安全対策は必ず初回に!
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肥満者の減量に伴うロコモ対策 痛みを訴える対象者に対し、適切な指導ができると信頼感が高まる
メタボとともに肥満者はロコモのリスクが大きい。どこか運動器に障害があり、なかなか運動実践に踏み切れない場合でも症状に合わせた 適切な指導ができれば信頼感が高まります。現状を知り、その人に必要な運動の提供を行うことが重要です。 痛みを訴える対象者に対し、適切な指導ができると信頼感が高まる
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職場、地域、家庭など環境を考慮 身の回りの環境や人とのつながりは、私たちの身体活動量や運動習慣に影響している。
Inoue S et al.J Epidemiol. 2011;21(6): ⇓ 環境やつながりに対する認知を高めることが重要 Harada K et al. J Aging Phys Act. 2011;19(3): 指導者も対象者の住む地域、働く職場、家族や友人や同僚とのつながりについて考えてみよう アクティブガイドの裏面にはこのような街の絵が書いてあります。 安心して歩ける歩道や自転車レーン、公園で子供もおじいちゃんもおばあちゃんも安全に遊べる、 福祉施設・保健施設のようなところで情報収集や保健指導が受けられる環境あるというのが、身体活動に大きな影響を与えます。 特定保健指導においても、対象者の住む地域や職場、家族や友人、同僚とのつながりについて考えてもらうということ、 あるいはそれに基づいて保健指導するということはとても重要になってきます。 アクティブガイドの作成理由は、やはり対象者に読んでほしいということを一番の目的にしており、 +10が、どれだけ効果があるか、国際的にもどれだけ価値があるのかということ、どれだけ普遍性があるものなのかということが、気になるところではあります。 幸いなことに、このアクティブガイド作成の背景にあるエビデンスや、作成のプロセスは2015年1月の国際誌に掲載されております。 この国際誌(Journal of the American College of Cardiology)とは循環器の雑誌ではトップであり、今後国際的にもアクティブガイドは、アメリカや欧米諸国に真似されるものになる可能性が十分にあり、是非自信を持って保健指導に使っていただきたいです。 10項目の 環境に関する事柄で +10! 職場、地域、家庭など環境を考慮
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身体活動や運動の奨励のための+α ICT、スマホ、ライフログ、SNSなどのツール活用 パンフレットや読み物などの活用⇒アクティブガイド
Facebookやtwitterなどのソーシャル・ネットワークの活用 身体活動に関するアセスメントの充実と結果の見える化⇒ライフログや歩数計 身体活動や運動の奨励のための+αとして、様々なツールを活用してもらいたいです。 欲しい情報や役立つ情報、他者とのつながりを得るためにアクティブガイドのような読み物であったり、スマホやパソコン、SNSが挙げられる。また、自身の現状を把握し、身体活動を増やすきっかけ、自己管理のための見える化のためにライフログや歩数計の活用もすすめていただきたいです。 ICT、スマホ、ライフログ、SNSなどのツール活用
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保健指導における身体活動支援のポイント 運動指導でなく身体活動支援 効果と実現可能性のバランスを考慮 対象者の行動変容レベルの把握
エネルギー計算に基づく具体的な目標設定 安全対策は必ず初回 職場、地域、家庭など環境を考慮 ICT、スマホ、ライフログ、SNSなどのツール活用 今日の話を一番最初から最後までまとめると、ポイントは7つ。保健指導の研修で指導者に教えていただきたいこと、あるいは指導者が20分の初回面接でやってほしいこと、 一つは、運動指導ではなく身体活動指導をしてほしいということ。(ファクトに基づいた目標設定をしなければいけません。) その人の現実にあったものを行わなければいけないため、効果と実現可能性のバランスを考慮すること。(プランシートをしっかりと活用してほしいということ) 怠った保健指導をやっている方が非常に多いが、対象者の行動変容レベルを把握すること。(行動変容レベルに応じたアドバイスもやはり必要) そして、エネルギー計算に基づく具体的な目標設定を行うこと。 また、事故・障害防止は実は、効果とは逆方向にあるが、最優先事項だと考えます。 やはり、事故が起こってしまえば保健指導は全部無効となるため、安全対策は必ず初回に行っていただきたいです。 対象者の住む地域、あるいは職域といった社会資源に関する情報は、少なくとも指導する側としては、つめておかないといけません。 最後に、ICT、スマホ、ライフログ、SNSなどのツール活用すること。 そういった8つの項目が押さえられている保健指導であれば、ほとんどの場合効果的に、進めることができるだろうと考えています。
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