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■ドラッグストアにおけるLTV向上策 □専修大学ネットワーク情報学部 プロジェクト6   田中 晴基   高橋 智也   高杉 哲哉   臼田 幸平   近藤 弘啓    北澤 貴史   中川 圭     外丸 雄大   越  直博.

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1 ■ドラッグストアにおけるLTV向上策 □専修大学ネットワーク情報学部 プロジェクト6   田中 晴基   高橋 智也   高杉 哲哉   臼田 幸平   近藤 弘啓    北澤 貴史   中川 圭     外丸 雄大   越  直博

2 ■分析・データ概要 □LTV向上の為の具体策
図1<データ概要>  顧客のLTV(Life Time Value「生涯価値」)の向上を目的とし、図1のようなデータを扱い、分析を行った。(図1参照)  LTV向上を達成する為の手段として、以下の4つを挙げた。 ○新規顧客の獲得   ○既存顧客の維持・優良化   ○顧客単価の向上   ○購買回数の向上    これら4点の課題について、それぞれ対策を講じる事でLTV向上を達成する。 <概要>  関東地方のあるドラッグストアの顧客購買データ(ロードサイト型) <内容> 日付、顧客ID、商品名、販売個数、販売金額、JICFS、特売フラグ、チラシフラグ、エンド陳列フラグなど <標本数> 472 <期間> 2005/01/01~2006/05/31 <収集方法> ポイントカードによる顧客の特定 POSによる売上データの収集

3 ■新規顧客の獲得 □新規顧客の初回購買を基に因子を抽出する
 新規顧客の獲得策を提案するにあたり、まず期間中に新規に会員顧客になった42人を抽出した。(最初の2ヶ月間来店がない者を新規顧客とした)  それら42人の最初の購入商品を抽出し(図2参照) 、以下のような因子を抽出した。    <因子1 日配品因子> こんにゃく、豆乳、納豆など、毎日配送される冷蔵商品の因子 <因子2 日常消耗品因子> 漬物や、お菓子、救急治療用品など、日々必要とされる商品の因子 <因子3 ストック品因子> 生理用品、チューインガム、スポーツドリンクなど、一度に大量に購入し、買い溜めできる商品の因子 図2<因子分析結果>

4 ■新規顧客の獲得 □抽出された因子から、新規顧客の獲得策を提案する 図3<抽出因子>
 図3のように抽出された因子から、新規顧客獲得の為の具体的な対策を提案する。  一つの因子に属する商品は、買われるうえでの目的が同じである事から、品揃えやチラシの作成を工夫する事で相乗的に販売し、新規顧客の獲得に繋げていく必要がある。  日配品因子の商品は、連日需要のある商品である事から、品揃えを充実させる事で、店舗周辺のスーパーやコンビニエンスストアなどの利用顧客を獲得する事が可能になる。  日常消耗品因子の商品も日配品因子の商品と同様に、連続した需要が見込め、かつドライフーズである為、エンド陳列などを利用した大量特売によって、顧客の獲得に繋げる事ができる。  また、ストック型因子の商品は、特売商品などを一度に大量に購入し、買い溜めする顧客が多いため、チラシなどを利用したプロモーションが有効である。頻繁に来店させる必要がない為、遠方の消費者の獲得が図れる。

5 ■購買回数の向上 □購買回数における優良顧客は誰か? 図4<顧客ごと購買回数と累積度数>
 購買回数の向上策を考えるうえで、優良顧客の購買動向に注目して分析を進める事が有効な手段であると考える。  ここで言う優良顧客とは、単純に「購買回数が多い顧客」を指す。従って、単価の大小などに関わらず、購買活動を多く行った顧客を“優良”と定義する。  そこで、各顧客の購買回数を集計し、全体の購買回数の上位80%を占める顧客を優良顧客とした。(図4参照)  その結果、229人を購買回数における優良顧客と位置づけることが出来た。  つまり、店舗が1年半の期間中に行った、全31,649回の販売活動(顧客による購買活動)の80%にあたる25,319回は、全473人の会員顧客の48%にあたる229人によって達成されていると言える。(図5参照)  ここまでの集計結果を基に、次頁では、抽出した229人の優良顧客の購買データのみを対象とし、同時購買の分析を行う。 優良 図5<48%の顧客と80%の購買回数の関係>

6 ■購買回数の向上 □購買回数の多い顧客の同時購買から、購買回数の向上策を 提案する
□購買回数の多い顧客の同時購買から、購買回数の向上策を    提案する  同時購買率の高い商品組み合わせは右図のようになった。(図6参照)  上位に表れた商品では、食品などが中心で、医薬品やトイレタリー商品などはほとんど見られなかった。  食料品の中でも、菓子パン、カップ麺、スナック、チョコレートを用いた組み合わせが上位を占めている事から、ドラッグストアをコンビニエンスストアのような業態として捉えている顧客が多いことがわかる。  従って、店舗の利便性を高め、コンビニエンスストアのような使い方を提案する事で、顧客の購買回数を向上させる事が出来る。  その際、菓子パン、カップ麺、スナック、チョコレートといった組み合わせ率の高い商品間で割引券などを添付する事で、併売を誘発する事ができる。(例:菓子パンにチョコレートの割引券を添付する)  食品や飲料などを磁石として顧客を頻繁に来店させる事が出来れば、医薬品やトイレタリーといった商品の売り上げ増加も期待できる。   図6<購買回数の多い顧客の同時購買>

7 ■既存顧客の維持率・購買単価の向上 □優良顧客は誰か? 図7<顧客ごと購入金額と累積度数>
 優良と離脱に着目し、既存顧客の維持率と購買単価を向上するための手段を考える。ここでの優良顧客・離脱顧客は次のように定義している。 優良(94人) 合計購入金額の多い上位20%の顧客(図7参照) 離脱(58人) 全期間(17ヶ月)のうち最後の4ヶ月、またはそれ以上購入のない顧客  全データから優良・離脱のみを抽出し、以下のような仮説を立てて分析を行った。 仮説 ■既存顧客の維持率の向上  1.優良と離脱の買い方に違いがあるのか?もし違いがあれば販売促進に活かせるのではないか。    →因子分析(購買の背景にある因子を探る) ■購買単価の向上  2.優良と離脱がどのような商品を購入しているか?優良、離脱の買う商品にルールがあれば、それぞれの顧客に対してなんらかのアクションをおこすことができるもではないか。    →判別ツリー(優良と離脱を決定付ける商品の判別)  3.併売されている商品は何か?    →バスケット分析

8 ■既存顧客の維持率の向上 □因子分析から優良・離脱の購買の背景にある要因を探る 図8<優良・離脱の因子>
因子名(固有値) 使いおき商品 使いきり商品 副食 救急 伝統的食品 洗剤 流行食材 軽食 特定の人のパターン 水・アイス 優良因子 離脱因子 育児用品 優良因子 離脱因子 使いきり商品(5%) 流行食材(11%) 副食(5%) 軽食(10%) 救急(5%) 副食(9%) 使いおき商品(4%) 伝統的食品(9%) 洗剤(4%) 水・アイス(7%) 伝統的食品(4%) 特定の人のパターン(6%) 育児用品(3%) 因子分析を行った結果、購買の背景にある因子として、このような因子があることがわかった。(図8参照)優良は定期的に買わなければならない使いきり商品やドラッグストアらしい商品(救急・育児用品等)の因子が強く、離脱は食品などスーパーなどでも代わりのきく商品の因子が強い。 以上のことから優良が持つ因子(使いきり商品・ドラッグストアらしい商品)などの商品を買うように促せば既存顧客の維持率の向上につながるのではないか。その方法として、生理用品・用具などの使いきり商品などに対して特売やなんらかの特典を加えるなどの販売促進が考えられる。

9 ■購買単価の向上 □判別ツリーから優良・離脱を決定付けている商品を探る 図9<判別ツリー>
1:優良 2:離脱 菓子パン インスタント袋麺 キャンディ・キャラメル チョコレート 判別ツリーの結果、優良、離脱を決定付ける商品として、キャンディ・キャラメル、菓子パン、チョコレートであることがわかった。(図9参照)この結果から、ドラッグストアでも食品が重要であることがわかる。これらの商品と同時購買されるものを調べた。キャンディ・キャラメルと同時購買率が高いものは化粧石鹸、育児用品、健康食品、菓子パンは牛乳、果汁飲料、半生菓子、チョコレートは健康食品、ビスケット・クッキー、歯磨きであった。 購買単価の向上を図るために、これらの商品を同じ場所に陳列することで「ついで買い」を誘発させる戦略が考えられる。

10 ■LTV向上の具体策 □新規顧客の獲得 □既存顧客の維持率向上 □購買回数の向上 □購買単価の向上
 日常消耗品、携帯品、健康食品など、商品の買われ方を把握したうえで陳列の工夫や低価格化などの適 切なアプローチをかけ、新規顧客の獲得を図る。 □既存顧客の維持率向上  優良顧客のような買い方をさせることで、離脱する顧客を減らすことができると考えられる。その方法として、 使いきり商品や救急用品、育児用品などのドラッグストアらしい商品を対象とした特売やポイントカードの得点 増量などが考えられる。 □購買回数の向上  食品や飲料などの品揃えを充実させたり低価格化を図る事で利便性を高め、顧客の来店頻度を向上させ る。菓子パン、カップ麺、スナック、チョコレートなどの併売率の高い商品を組合せることで、ついで買いを誘発 させる事ができる。 □購買単価の向上  優良・離脱を決定付けている商品である「キャンディ・キャラメル」、「菓子パン」、「チョコレート」と同時に購入 されている商品を同じ場所に陳列することで「ついで買い」を誘発させる事ができる。


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