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地球環境問題と超電導電力機器関連技術の国際標準化

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Presentation on theme: "地球環境問題と超電導電力機器関連技術の国際標準化"— Presentation transcript:

1 地球環境問題と超電導電力機器関連技術の国際標準化
九州工業大学 松下 照男 第1回超電導応用研究会シンポジウム 2010年7月16日 住友電気工業(株)大阪製作所

2 内容 1. 地球環境問題と超電導技術 2. 超電導電力機器関連の国際標準化 3. 標準化の現状 4. 今後の課題 5. まとめ

3 1.地球環境問題と超電導技術 CO2削減が世界的な命題 ・CO2を出さない 石油・石炭から原子力・自然エネルギーへ
     石油・石炭から原子力・自然エネルギーへ        (参)日本における太陽光発電の導入   28 GW (2020年)、53 GW (2030年)    ・CO2排出の抑制      高効率化 超電導技術の効果    ・それ自体が省エネルギー      電力機器、交通・運輸    ・自然エネルギーの利用促進      電力スマートグリッド実現のための重要要素

4 ただし、電力スマートグリッドに超電導電力技術が不可欠で
 ただし、電力スマートグリッドに超電導電力技術が不可欠で あるとは必ずしも捕らえられていない。  標準化において、近年ではライフサイクルにおける安全性や 環境に関することにも注意が向けられるようになってきた。  超電導電力技術の導入によりどれくらいCO2の削減に貢献で きるか、具体的な数値を上げていかないと社会からは注目され ない。

5 重要な超電導電力機器   ・超電導電力ケーブル   ・超電導変圧器   ・超電導電力貯蔵システム   ・超電導限流器   ・超電導回転器 超電導限流器と超電導回転器を除いてNEDOプロジェクト 「イットリウム系超電導電力機器技術開発」で開発研究 その実現の背景: イットリウム系超電導線材の製造技術 の進展 一方、Bi系超電導線材については安定な供給技術が確立    超電導電力ケーブルPJで実証実験

6  近い将来において、超電導電力機器の導入がスタートするこ
とが予想  そうしたときに超電導電力機器関連の国際標準化が必要  標準化のメリット   ・先進技術の普及、イノベーション推進に寄与    国際競争力   ・生産効率・互換性向上、新規事業参入の促進    市場シェア拡大   ・価格低下、利便性向上、品質安全性保証

7 2. 超電導電力機器関連の国際標準化 国際規格化立案から規格発行・普及まで
2. 超電導電力機器関連の国際標準化     国際規格化立案から規格発行・普及まで 普及 技術展開 市場拡大 IEC国際規格 各国 国内規格(JIS) IEC/TC90 規格提案と審議 国際合意 規格素案作成 3年から4年間 調査 国内外技術集約 約3年間

8 超電導関連技術の国際標準化はIEC(International Electro-
technical Commission)の下の90番目の技術委員会において 審議   参加国(Pメンバー): オーストリア、中国、フランス、ドイツ、 イタリア、日本、韓国、ポーランド、ルーマニア、ロシア、 アメリカ   それ以外にOメンバー: 15か国   幹事国: 日本   委員会の下に12のWG: 各国から委員を派遣

9 委員会内のWG WG1 超電導関連用語 WG2 Nb-Ti線Ic試験方法 WG3 Bi系線Ic試験方法 WG4 超電導線RRR試験方法
 WG7 Nb3Sn線Ic試験方法  WG8 マイクロ波表面抵抗試験方法  WG9 交流損失試験方法  WG10 バルク体補足磁束密度試験方法  WG11 臨界温度試験方法  WG12 電流リード試験方法  15件の国際規格を発行

10 規格番号 規格内容 IEC 60050-815 IEC 61788-1 IEC 61788-2 IEC 61788-3
超電導関連用語 Nb-Ti合金複合超電導線材の直流臨界電流試験方法 Nb3Sn複合超電導線材の直流臨界電流試験方法 銀シースBi-2212、Bi-2223酸化物超電導線の直流臨界電流試験方法 Nb-Ti複合超電導導体の残留抵抗比試験方法 銅安定化Nb-Ti複合超電導導体の銅比試験方法 銅安定化Nb-Ti複合超電導体の室温引張試験方法 超電導体のマイクロ波表面抵抗の試験方法 ピックアップコイル法による交流横磁界中のNb-Ti複合超電導線の全交流損失測定方法 バルク高温超電導体の捕捉磁束密度試験方法 Nb-Ti、Nb3Sn及びBi系酸化物複合超電導導体の抵抗法による臨界温度試験方法 Nb3Sn複合超電導導体の残留抵抗比試験方法 Nb3Sn複合超電導線の非銅部に対する銅部体積比試験方法 磁力計法によるNb-Ti複合超電導線のヒステリシス損失測定方法 超電導電力機器用電流リードの特性試験に関する通則

11 現在、規格化が進行中の法案 ・ 超電導薄膜の表面インピーダンス試験法 ・ 超電導薄膜の表面抵抗のパワー依存性試験法 ・ 超電導薄膜の局所的電流密度分布試験法 現状: 大部分が特性パラメーターの試験法      機器の試験の通則は1件のみ

12 3.超電導電力機器の国際標準化の現状 超電導電力機器関連 @国内
 @国内   NEDOプロジェクト「イットリウム系超電導電力機器技術開発」の中で関連機器の標準化でIECを支援する目的で「超電導電力機器技術調査委員会」を設置し、その下に    「超電導線」    「超電導電力ケーブル」    「超電導電力機器」   に関する3つの小委員会を置いて、必要な事項を協議  (1) 超電導線    ・電力機器側からの要求事項の整理    ・規格通則素案    ・新たな試験法規格

13 (2) 超電導電力ケーブル   機器導入に係わる固有事項の検討    (各種プロジェクトの実態調査を行い、試験項目等の検討)   国際標準化に向けた阻害要因の検討     法令による規制の解除      (高圧ガス保安法、冷凍保安規則) (3) 超電導電力機器   (超電導変圧器、超電導電力貯蔵装置)    ・海外の開発が盛んな限流器や回転機についても情報収集   固有事項の検討   阻害要因の検討   関連規格素案

14 @海外  ・超電導電力ケーブル    2009年9月にCIGRE(国際大電力システム会議)において    WGが設立    標準化に向けて検討を開始、2012年に答申     (交流ケーブルを対象、対象外となる冷却システムは      別の技術委員会で)    これを受けて、TC90(超電導)とTC20(電力ケーブル)が    合同で標準化に着手

15 ・超電導線    一昨年のTC90でad hocグループの設立が認められ、超電導線の通則の検討が開始     一般的特徴、超電導特性、線の構成と形態、     一般的特性試験    しかし、昨年の国際パネル討論会でドイツからの提案取り下げ要求が出され、米国も見直しを提案するなど、順調ではない進行    今年のTC90での通則の採択を目指す

16 今年度より、経産省から三菱総研を経て再委託された「超電導
線及び超電導電力ケーブルの標準化」事業がスタート (H22年度社会環境整備・産業競争力強化型規格開発事業) 事業目的  ・「超電導線の特性試験方法」: 高温超電導線の規格案作成  ・「超電導電力ケーブル及びその試験方法」: 情報収集ならびに現地調査 目標  ・ 「超電導線の特性試験方法」の規格案1件  ・ 「超電導電力ケーブル及びその試験方法」: 一般要求事項等1件 NEDO事業との棲み分けが必要であるが、成果達成を期待

17 4. 今後の課題 超電導電力ケーブルについて ・小委員会を中心に、必要な試験項目などの洗い出し、阻害 要因への対応策
  ・小委員会を中心に、必要な試験項目などの洗い出し、阻害    要因への対応策   ・三菱総研の新事業の役割に期待   ・2年後にスタートするTC90とTC20の協力関係の醸成

18 超電導線について ・合意できる国際メンバーを確保し、支持の広がりを目指す ・各国に対して誠意を持って対応、粘り強く標準化を推進 ・具体的に
 ・グループメンバーに企業からの経験者を加え、問題点の洗い出し  ・合意できる国際メンバーを確保し、支持の広がりを目指す  ・各国に対して誠意を持って対応、粘り強く標準化を推進  ・具体的に     スコープ: LTSとHTSの分離?     出荷表示におけるラベル、技術情報の取り扱い  ・8月のパネル討論会で様子を見て、10月の本会議で採決?  ・試験法について標準化できるところは早急に標準化     コート線材のIc値、n値、機械特性試験等      Ic値試験法については来年度からラウンドロビン試験による問題点の     抽出を開始     必要に応じてVAMASの協力を得て

19 その他超電導電力機器について   ・固有事項や阻害要因については調査を継続    ・各国と意見を交換しながら情報を発信し、タイミングを見て標準化を提案

20 超電導電力機器の有効性を社会に示す必要性
標準化以前に  超電導電力機器の有効性を社会に示す必要性    ・絶対的優位性    ・コスト(設置、運転)    ・環境や安全性       貢献できるCO2削減量

21 ・今後の太陽光発電の導入計画などを見ると、近いうちに関連する超電導機器の標準化は着手する必要がある
5. まとめ  ・今後の太陽光発電の導入計画などを見ると、近いうちに関連する超電導機器の標準化は着手する必要がある  ・現在、超電導電力ケーブルは2012年にCIGREからの答申を得て、標準化に着手できる見込み  ・超電導線については、国際合意がうまく醸成できておらず、粘り強い活動が必要  ・他の電力機器についても十分な調査を行ってスタンバイしておく必要  ・まだ、規格ができあがっているものは少なく、今後、規格化のピッチを上げる必要


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