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河川工学 -社会と河川- 選択一群 2単位 朝位 http://www.suiri.civil.yamaguchi-u.ac.jp/ 選択一群 2単位 朝位 http://www.suiri.civil.yamaguchi-u.ac.jp/ kido@yamaguchi-u.ac.jp.

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1 河川工学 -社会と河川- 選択一群 2単位 朝位 http://www.suiri.civil.yamaguchi-u.ac.jp/
選択一群 2単位 朝位

2 (1)人と川の関わり合い (2)河川に関する法律

3 人と川の関わり合い 水文サイクル(hydrologic cycle) 水循環(water circulation)
大気中の水蒸気の貯留(雲) 降水(precipitation) 雨、雪、霜、あられ 雹(ひょう) 降水 蒸発 蒸散 遮断 蒸発 蒸発 (evaporation) 蒸発 地表面上の貯留 表面流出 浸透 地下水流出 河、湖沼の貯留 土中の水貯留 地下水の貯留 浸透 河の流れ 地下水流出

4 降水 (precipitation) (rainfall) 流出(runoff) 降水遮断(rainfall interception) 浸透 (infiltration) 蒸散(transpiration) 植物からの水の発散 蒸発 表面流出 蒸発 蒸発 地下水 (ground water) 蒸発 地下水流出 河川 湖沼 (lakes and marshes) 降水→浸透→貯留→流出→蒸発→降水

5 4大文明発祥の地  エジプト文明(ナイル川)  メソポタミア文明(チグリス川,ユーフラテス川)  インダス文明(インダス川)  黄河文明(黄河) 飲料水,農耕(狩猟文明から農耕文明へ,食料の安定供給),漁,運輸 時に大きな氾濫  ナイル川では氾濫のたびに肥沃な土砂が運ばれ,農耕には恩恵があった. 流域(river basin)の人口増加、文明の高度化に伴い氾濫は脅威となった。

6 水災害(洪水・氾濫)の軽減(治水:flood control)と河川水の積極的利用(利水:water-utilization)のため人間は河川に手を加えてきた。
堤防の建設 河川の蛇行をなくす(放水路、ショートカットの建設) ダムや堰の建設 灌漑用水路の建設 最近では治水、利水に加えて環境保全が重要となってきている。 平成9年に河川法の改正 河は自然現象としての地表水の流れであるだけでなく、人間社会と深い関係を持っている。

7 我が国の河川改修の歴史 有史以前   弥生時代後期にはすでに灌漑や水田の施設を構築する技術力があった。 古代~中世  弥生後期には水田を作る技術があったが、当時の土木技術では洪水に対しては脆弱であった。安定した生活を営むために平野部ではなく、谷筋に棚田や灌漑用水引水が行われた。 古墳時代 324年:淀川の茨田堤(まんだのつつみ)、仁徳天皇 奈良時代 821年:満濃池、空海 僧侶によるため池の新築、修築 平安時代、鎌倉・室町時代においては特筆すべき治水工事、河川開発はなかった。 荘園制度など権力分散により大規模な工事が行えなかった。 利根川・荒川も堤防工事、木曾川の輪中堤

8 戦国時代~江戸時代  大規模な河川改修が行われるようになってきた。  築城に見られるように大幅な土木技術の向上  「水を治める者は天下を治める」 戦国武将による治水工事  武田信玄、信玄堤(釜無川)、万力林(笛吹川)(水害防備林)  加藤清正(白川、菊池川、緑川)  豊臣秀吉(木曾川、淀川)  成富兵庫(筑後川) 江戸時代は封建制度の確立と鎖国政策により平和な時代  軍備の余力を河川工事へ  藩の財力を高めるため新田の開発 洪水防御:淀川、利根川、木曾川、荒川、斐伊川、最上川、球磨川、白川 舟運のため:最上川、阿武隈川、北上川、富士川、大井川、天竜川 伊奈備前守一家が三代(約60年)にわたり利根川の治水工事をおこなった。 東京湾にそそいでいた利根川を太平洋にそそぐようにした。

9 近代  明治時代(文明開化、富国強兵)  オランダ人技術者(ファン・ドールトン、エッシャー、ムルデル、リンドウ、デレーケ)を招聘し重要河川の改修と水源砂防工事 下流部の水路を固定する低水工事(渇水時の水深確保)に功績を残した。 ↑船運の重要性 陸上交通の発展(船運の減退)と相次ぐ洪水→洪水防御工事の要望 海外留学を終え帰国した若い邦人技術者が河川計画にあたる。 明治29年 河川法の成立(治水) 現代 高度成長期 流域開発、土地利用の高度化、水資源の需要 昭和39年 新しい河川法の成立(治水、利水) 平成9年 河川法の改正(治水、利水、河川環境)       多自然型川づくり、住民参加

10 河川に関する法律 河川法 明治29年(1896年):旧河川法(治水)、近代河川制度の誕生
 明治29年(1896年):旧河川法(治水)、近代河川制度の誕生  昭和39年(1964年):河川法(治水と利水)、治水・利水の体系的な制度の整備                水系一貫管理制度の導入                利水関係規定の整備  平成9年(1997年):河川法の改正(治水、利水、河川環境の整備と保全)               治水・利水・環境の総合的な河川制度の整備                 河川環境の整備と保全                 地域の意見を反映した河川整備の計画制度の導入 砂防法(明治30年)←土砂災害 水防法(昭和24年)←水防団の結成、洪水予報 治山治水緊急措置法(昭和35年) 水資源開発促進法(昭和36年)→水資源開発公団 特定多目的ダム法(昭和32年) 水源地域対策特別措置法(昭和48年)

11 河川環境の整備と保全 整備前 整備後 魚道(さかなが上りやすい川づくり) 河川浄化事業

12 工事実施基本計画案の作成 →(河川審議会の意見)→ 工事実施基本計画の決定 →河川工事
地域の意見を反映した河川整備の推進 改正前 工事実施基本計画案の作成 →(河川審議会の意見)→ 工事実施基本計画の決定 →河川工事 改正後 河川整備基本方針案の作成 →(河川審議会の意見)→ 河川整備基本方針案の決定 →河川整備計画(原案)→ (学識経験者、住民意見の反映)→河川整備計画案の作成→ (地方公共団体の長の意見)→河川整備計画の決定→河川工事

13 渇水調整の円滑化のための措置 渇水調整の協議の円滑化 河川管理者、渇水調整に必要な情報提供に努めなければならない。 利水者相互間
 河川管理者、渇水調整に必要な情報提供に努めなければならない。 利水者相互間  利水者は河川管理者の承認を受けて、自己の水利権にもとづく水利使用をの利水者に行わせることができる。(手続きの簡略化)

14 樹林帯制度 河畔林、ダム湖畔林の整備 環境と調和した治水・利水対策の推進 河畔林がない場合
 河畔林、ダム湖畔林の整備  環境と調和した治水・利水対策の推進 河畔林がない場合 河畔林がある場合

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16 原因者の施行、負担により水質事故処理対策を推進 改正前は「河川工事」の場合だけに適用されていた。これに「河川の維持」を追加
 原因者の施行、負担により水質事故処理対策を推進  改正前は「河川工事」の場合だけに適用されていた。これに「河川の維持」を追加 油の流出事故 不法係留対策  除去した不法係留船舶の売却、廃棄の手続きを整備 不法係留

17 国連環境開発会議(地球サミット):1992年リオジャディネイロ
 持続可能な発展(sustainable development) 第3回世界水フォーラム(2003年京都) 60億人を超した世界人口は、2025年には80億人に達すると見込まれている。この爆発的な人口増加に伴って増える水需要は、すでに1900年当時の約6倍になっている。さらに地球温暖化の進行も一因となり、いま世界中でさまざまな「水」問題が発生している。  

18 水不足:アジア・アフリカの31カ国が絶対的な水不足に悩んでいる。
水質汚濁:人口の急増、産業の著しい発展に対して、下水道等の整備が追いつかない途上国で、水質汚濁が大きな問題となっている。 洪水:都市化による土地利用の変化、森林伐採、人口増加により氾濫しやすいところへの居住 渇水:人口増加、産業発展による過剰な取水。中国では黄河の総流水量が40年間で半減、山西省の地下水位は年平均1.5メートルも低下。 1978年福岡渇水、1994年西日本渇水 地下水・地盤沈下:地下水の過剰な汲み上げ 水循環の変動:温暖化現象の影響

19 1998年6月 中国 長江中下流域で大洪水、被災人口2憶3千万人、死者3,004人 1999年9月 アメリカ ハリケーン「フロイド」による洪水、東部の州中心に被害、死者68人 1999年12月 ベネズエラ・コロンビア 豪雨による大規模な土砂災害、3~5万人が死亡 2000年8月 インド・バングラディシュ モンスーンによる豪雨でインド北東部を中心に洪水、数百万人に被害 2000年9月 カンボジア・ベトナム・タイ 熱帯低気圧の大雨でメコン川流域の広い範囲で洪水発生、死者230人 日本・韓国 台風・前線による大雨で東海地方中心に被害。日本の被害約8,500億円 2000年11月 イギリス・アイルランド 1947年の大洪水に匹敵、41河川で洪水警報、死者17人 2001年3月 モザンビーク ザンベジ川で大洪水、約4万人が避難。モザンビークでは2年連続して大洪水発生 2002年8月 ドイツ・チェコ・オーストリア エルベ川、ドナウ川の氾濫、低気圧の停滞や地形性降雨、152億ユーロの損害 2002年9月 フランス ローヌ川の氾濫、寒冷前線による豪雨、死者24名

20 21世紀の紛争は水を巡るものになる? インダス川:インドとパキスタン ヨルダン川:イスラエルとパレスチナ チグリス・ユーフラテス川:上流部のトルコの水利用計画にシリア・イラクが反発 アラル海:アフガニスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン ナイル川:エジプト、スーダン、エチオピア

21 参考文献 河川工学:篠原謹爾,共立出版会 ISBN 河川工学:玉井信行編,オーム出版局 ISBN 河川工学:鮏川・大矢・石崎・荒井・山本・吉本、鹿島出版会 ISBN


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