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東芝の選択経営 ~70年代の新組織・現在の組織~

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1 東芝の選択経営 ~70年代の新組織・現在の組織~
佐藤 直太 鈴木 潔子 後閑 良佑 これから、第2班の発表を行います。 テーマは「東芝の選択経営~70年代の新組織・現在の組織~」です。 発表者は、3年 佐藤直太、鈴木潔子、4年 後閑良佑です。よろしくお願いします。

2 目次 1.東芝の概要 2.70年代東芝の経営 3.現在の東芝の経営 4.考察 * 参考文献 1)多角化戦略の崩壊 2)選択経営
 1)多角化戦略の崩壊  2)選択経営   3)SBU・PPM 3.現在の東芝の経営  1)PPMの限界 2)カンパニー制 4.考察 * 参考文献 この発表は、ご覧のような流れに沿って進めてまいります。 まず、教科書の内容について、1970年代の東芝が、なぜ新しい戦略を必要としたのか、そこではどのような事業の再構成を行ったのか、またそれら事業に対してどのように資源配分を行ったのか、を説明します。 続いて、その後の東芝はどのような事業構成をしたのか、現在の東芝の状況をもとに説明します。

3 1.東芝の概要 ~企業プロフィール~ 商号: 株式会社 東芝 創業: 1875年(明治8年) 業種: 総合電機メーカー
  商号: 株式会社 東芝   創業: 1875年(明治8年)   業種: 総合電機メーカー   資本金: 2,749億円   年間売上高: 5兆6,558億円   経常利益: 1,155億円   従業員数: 39,875人 (2003年3月現在) 始めに「東芝の概要」ですが、ご覧の通りとなっています。 東芝は大手「総合電機メーカー」として、その名を知られています。事業内容としては、「情報・通信システム」、「社会システム」、「重電システム」、「デジタルメディア」、「家電」、「電子デバイス」と、まさにその名の通り、多様な事業を展開しています。

4 2.70年代東芝の経営 1)多角化戦略の崩壊 ・第1次オイルショックによる高度経済成長時代の終焉 ・単純な多角化戦略・事業部制組織の限界
・新たな戦略の形成と組織改革の実行 1973年に勃発した第4次中東戦争をきっかけに、いわゆる第1次オイルショックがおきました。原油価格の上昇により激しいインフレが起き、日本経済は大打撃を受けました。これにより、戦後から続いていた高度経済成長は終焉をむかえることとなりました。 東芝自身はオイルショック以前から財務体質が悪化していたのですが、オイルショックとその後の不況により、大変困難な状況へと陥ってしまいました。理由は、高度成長期に行った、原子力機器、電子計算機、半導体、宇宙開発機器などの、当時としては新しい事業への積極的な先行投資による、借入金の増加でした。

5 2.70年代東芝の経営 当時の組織図(事業部制組織) 多角化 取締役会 社長 営業 人事 経理 ・・・ ・・・
産業用エレクトロニクス事業グループ ・・・電気通信・電子・半導体・計算機 軽電事業グループ ・・・テレビ・空調・照明・硝子・音響 重電事業グループ ・・・原子力・重電・交通・鋳造品・計測 社長 営業 当時の東芝の組織図を用いて、具体的に説明します。 こちらが当時の東芝の組織図です。黄色で強調されている部分が、製造部門になります。 「産業用エレクトロニクス事業グループ」では、電気通信・電子・半導体・計算機など10の事業部を。「軽電事業グループ」では、テレビ・空調・照明・ガラス・音響など11の事業部を。「重電事業グループ」では、原子力・重電・交通・鋳造品・計測など7の事業部を、それぞれ製品ごとに事業部を設置しています。 このような組織を「事業部制組織」といい、個々の製品ごとに事業を区分し、組織されいます。 また、高度成長の波に乗ってこれら多様な事業に展開することを、多角化戦略といいます。高度成長時代は多くの事業が成長過程にありましたから、多角化することで企業の収益もどんどん伸びていくという仕組みでした。 人事 多角化 経理 ・・・ ・・・

6 2.70年代東芝の経営 ↓ 『選択経営』 1)多角化戦略の崩壊 ・第1次オイルショックによる高度経済成長時代の終焉
・単純な多角化戦略・事業部制組織の限界 ・新たな戦略の形成と組織改革の実行 『選択経営』 ですが、これら多角化戦略・事業部制組織は行き詰まりを見せていました。 まず多角化戦略についてですが、高度成長期には、すべての事業の成長を期待して経営資源を総花的につぎ込んでいましたが、低成長の経営環境、そして東芝の財務状態の悪化により、それはもはや不可能なことでした。 また事業部制組織についてですが、たくさんの製品、事業部を抱えるようになった東芝では、異質の事業部が同じグループに属していたり、同質の事業部が別のグループに属していたりと、経営資源を配分や、ノウハウや技術といった資源を共有する上で多くのロスを生んでいました。 そこで「選択経営」を行う必要が出てきました。

7 2.70年代東芝の経営 2)選択経営 ・東芝の選択経営・・・全ての事業の成長を期待してそれぞれに経営資源をつぎ込むことは不可能 ↓
・事業を再構成しつつ、市場の将来性の高い事業、自己競争力の強い事業に集中的に資源を投入していく必要 SBU・PPMの導入 選択経営とは、文字通り「最善の事業領域・分野を選択する経営」のことです。 東芝は「選択経営」により、事業を再構成しながら、市場の将来性の高い事業、自己の競争力の強い事業に集中的に資源を投入していくことが必要となりました。 具体的な方策として、SBU(事業戦略単位)そしてPPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)という2つの手法を導入することとなりました。

8 2.70年代東芝の経営 3)SBU・PPM ・SBU(戦略事業単位)・・・自社の将来計画を、戦略的な施策中心に策定する事業計画
・市場動向・顧客ニーズ・技術動向、競争相手の戦略、自社の実力の把握・分析を行い、どのような戦略が最も効果的かを検討する。 ・事業規模の大小・従来の事業部制組織での位置づけとは無関係に、現実の市場に対応できるように各製品、各事業をグルーピングする。 SBU・PPMは、アメリカのコンサルティング会社のボストン・コンサルティング・グループやマッキンゼー社によって開発され、東芝と同じ総合電機メーカーのゼネラル・エレクトリック社によって改良・修正されたものです。 まずSBUについてですが、これは「自社の将来計画を主として戦略的な施策中心に策定する事業計画」のことです。 常に変化し続ける市場動向・顧客ニーズ・技術動向・競争相手の戦略や、自社の技術などの内部資源といったものの把握・分析を行い、どのような戦略を用いれば最も効果的な方向へ進めるかを検討・決定します。 ここで重要なのは、事業規模の大小・従来の事業部制組織での位置付けとは無関係に、現実の市場に対応できるように各製品、各事業をグルーピングすることです。 それまでの東芝は、先ほども申し上げましたとおり、異質の事業部が同じグループに属していたり、同質の事業部が別のグループに属していたりと、経営資源を配分や、ノウハウや技術といった資源を共有する上で多くのロスを生んでいました。 しかし、このSBUを用いることで、資源配分が効率的に、資源の共有が効果的に行われるようになりました。

9 2.70年代東芝の経営 3)SBU・PPM ・SBUによる事業の再構成 重電事業部 重電事業本部 電気事業部 電機事業部 電機事業部

10 を見極め、事業戦略の立案・経営資源配分の意思決定の支援を行う。
2.70年代東芝の経営 3)SBU・PPM ・PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)・・・複数ある事業をポートフォリオに分布し、企業が事業の組み合わせを最適化するための考え方。 ・企業が展開する複数の事業について、 Ⅰ.まだ育成すべき段階にあるのか Ⅱ.現在の取り組みを維持する段階にあるのか Ⅲ.投資を抑え収益を回収する段階にあるのか Ⅳ.撤退する段階にあるのか を見極め、事業戦略の立案・経営資源配分の意思決定の支援を行う。 次に、もう一つのキーワード、PPMについてですが、これは複数ある事業を、企業が事業の組み合わせを最適化するために考案された考え方です。企業が展開する複数の事業について、「まだ育成する段階にあるのか」、「現在の取り組みを維持する段階にあるのか」、「投資を抑え収益を回収する段階にあるのか」、「撤退する段階にあるのか」を見極め、事業戦略の立案・経営資源配分の意思決定の支援を行います。

11 2.70年代東芝の経営 3)SBU・PPM ーPPMマトリクスー 大 市場成長率 Ⅰ.問題児 Ⅱ.花形商品 小 Ⅳ.負け犬 Ⅲ.金のなる木
「問題児」は市場成長率が高いため資金流出量が大きく、市場占有率が低いため資金流入小さいです。したがって、資金流入よりもはるかに多くの投資が必要となります。しかし、将来 「花形製品」 となる可能性を持っています。 「花形商品」は、同じ観点から見ると、資金流入量は大きいが資金流出量も大きいため、現在では資金創出効果は小さいが、相対的市場占有率を維持していれば市場成長率が鈍化した段階で大きな資金源となります。 「金のなる木」は、資金流入量は大きく資金流出量が小さいため、資金創出効果が大きく、企業の支柱となる資金源となります。 「負け犬」は、資金流出量が小さく資金流入量も小さいため、資金創出効果はなく、さらに将来の事業発展が見込みにくいことから、この分野への投資は極力回避されることになります。 各事業がどのセルに当てはまるのか、黄色いポイントのように配置していきます。 実際には東芝は、この表を改良した9つのセルからなるマトリクス表を用いて、自社の持つ事業をどう扱うべきなのか、意思決定しました。 Ⅳ.負け犬 Ⅲ.金のなる木 市場シェア

12 2.70年代東芝の経営 3)SBU・PPM ・ SBUによる事業の再構成 ・PPMによる資源配分
◎注力・・・OA、コンピュータ、医用機器、メモ     リ、VTR、電力、防衛機器etc… ×撤退・・・大型電子計算機部門、小型クレーン、       東芝化学・東芝製薬(子会社)の売却 PPMを駆使した結果、東芝はご覧のような資源配分を行いました。コンピュータ、メモリといった成長分野、電力などの安定分野に積極的に資源投入すると共に、いわゆる「負け犬」に配置された大型電子計算機部門からの撤退、小型クレーン事業、また子会社である東芝化学・東芝製薬の売却を行いました。中でも大型電子計算機部門は、発足以来一度も利益を出したことがなく、収益圧迫の大きな要因となっていました。しかし撤退を決め、中・小型計算機に重点を移すことでこの分野はほどなく黒字に転じたとのことです。

13 3.現在の東芝の経営 1)PPMの限界 ・ほぼ四半世紀前に導入されたPPMを主体とする手法は、現在は用いられていない。 ↓
この意思決定のみでは、本当に妥当な資源配分がなされない。 続いて、現在の東芝の事業はどのようになっているか、ご説明します。 まず、ほぼ四半世紀前に導入されたPPMを主体とする手法は今は用いられていません。なぜなら、PPMには重大な欠点があったからです。PPMによる意思決定だけでは、本当に妥当な資源配分がなされていなかったのです。 現状では市場シェア・市場成長率が共に低い「負け犬」であっても、社会貢献という観点から存在意義のある事業として撤退せずに継続する必要がある場合もあるということです。わかりやすい例として、自動車業界のハイブリッド車をあげます。ハイブリッド車は技術開発に大量の投資が必要で、実際の販売価格も高いために多くの需要が見込めず、しばらくは全く収益の上がらないPPMでいう「負け犬」に配置されることになります。しかし社会貢献・環境保護という観点から、どの自動車会社も積極的に投資をしています。 また、花形に配置された事業に対しては「投資を抑え収益を回収する」とされていますが、設備投資を怠ることで競争力が落ち、収益力の減少を招く恐れもあります。アメリカの大手鉄鋼メーカーの「USスチール」は、PPMに従って「花形」である本業の鉄鋼生産設備への投資を怠った結果、本業での競争力を失ってしまう事態を招いてしまいました。 PPMは簡単で便利な手法ですが、この手法ばかりに捕らわれてしまうと、チャンスを逃したり、競争力を失ったりと、良くない結果を招くことがあるのです。

14 3.現在の東芝の経営 2)カンパニー制 ・事業部制よりも組織ごとの独立性、自立性を高めた組織形態
・組織の自己完結性をより高めることで、環境適応力を高めることが出来る ・責任・権限の拡大、経営責任の一層の明確化により、経営者マインドを高めることが出来る 現在の東芝は、カンパニー制と呼ばれる組織形態を用いています。 カンパニー制組織は、事業部制組織に市場原理を導入して、組織ごとの独立性・自立性を高め、効率的な多角化経営を目的としてソニーによって設計されたものです。カンパニーごとに権限や責任を大幅に委譲すること、カンパニーの自己完結性を高めることで、スピードのある組織となっています。1994年にソニーがカンパニー制組織を導入してから、三菱化学・住友商事・日立製作所・HOYAといった大企業も類似の組織形態を導入しました。

15 3.現在の東芝の経営 現在の組織図(カンパニー制)
こちらが現在の東芝の組織図です。ご覧のように事業部という名前は無くなり、○○社という名称になっています。 一見、事業部制組織と何ら変わりないような図ですが、・・・以前の組織図と見比べるとわかりやすいのですが、営業・人事・経理といった部門も、各カンパニーの中に組み込まれていることから、事業部制であるよりも各カンパニーが機動的に動ける体制が築かれていることがわかります。

16 3.現在の東芝の経営 当時の組織図(事業部制組織) 取締役会 社長 営業 人事 経理 ・・・ ・・・ 産業用エレクトロニクス事業グループ
・・・電気通信・電子・半導体・計算機 軽電事業グループ ・・・テレビ・空調・照明・硝子・音響 重電事業グループ ・・・原子力・重電・交通・鋳造品・計測 ・・・原子力・重電・交通・鋳造品・計測 社長 営業 人事 経理 ・・・ ・・・

17 先駆者であるソニーのように、時代・環境に合わせて、適宜カンパニーの組換え、再編を行う必要がある。
3.現在の東芝の経営 2)カンパニー制 ・問題点 ・・・本来全社的に共有した方が望ましいリソース(資源)が分散し、全社的に見たら最適な動きが出来ないという事態が発生するリスクもはらむ。 先駆者であるソニーのように、時代・環境に合わせて、適宜カンパニーの組換え、再編を行う必要がある。 しかし、このカンパニー制にも問題点はあります。本来全社的に共有した方が望ましいリソース(資源)が分散し、各カンパニーではよくても、全社的に見たら最適に動きが出来ないという事態が発生するリスクもはらんでいるのです。猛スピードで技術革新が起こっている現在、別の組織にある事業同士がシナジーを共有するであろうことが往々にして起こりかねません。すると、事業部制組織の弱点でもあった、経営資源を配分や、ノウハウや技術といった資源を共有する上で多くのロスを生む可能性が起きるのです。 では、どのようにして解決すればよいのか?ですが、カンパニー制の先駆者であるソニーは、時代・環境に合わせて、カンパニーの組換え、再編を行っています。このように適宜再編を行うことで、カンパニー制におけるロスは極力抑えることが出来ると考えられます。

18 4.考察 高度成長時代→多角化戦略・事業部制組織 低成長時代 →SBU・PPM スピード時代 →カンパニー制
スピード時代 →カンパニー制 最後にまとめですが、企業は時代・環境が変わると共に、それに対応した組織をつくる必要があることが、今回の研究を通してわかりました。 高度成長時代により多くの収益を上げるために用いられた多角化戦略とそれに伴う事業部制組織。低成長時代の中でも収益を上げるために導入されたSBUとPPM。時代のスピードに負けないためのカンパニー制組織。どの手法も時代・環境の変遷に合わせる形で用いられた手法です。 また、これからもIT革命時に負けないくらい新しい技術が頻繁に生まれてくると考えます。その時その時で激しく変わる環境の中、大企業はどのように組織形態を変化させ対応していくのか、非常に興味を持つきっかけとなった、今回のグループ研究でした。 以上です。

19 *参考文献 『ケースに学ぶ経営学』 東北大学経営学グループ著 有斐閣ブックス 『現代経営学入門』 土屋守章著 新世社
『ケースに学ぶ経営学』 東北大学経営学グループ著 有斐閣ブックス 『現代経営学入門』 土屋守章著 新世社 東芝『アニュアルレポート』 東芝、野村総合研究所 ホームページ 以上 えー、最後に、こちらが参考文献となっております。 パワーポイントはそのままに・・・・ 以上で、私たちの発表を終わります。ご清聴ありがとうございました。


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