第7章　シール装置の設計技術 シール（密封装置） ★水や空気，潤滑油などを扱う機械で使用される。 ★代表的なシール装置の構造と使用方法。

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1 第7章　シール装置の設計技術 シール（密封装置） ★水や空気，潤滑油などを扱う機械で使用される。 ★代表的なシール装置の構造と使用方法。

2 7.1 シール装置の概要 ★外部から見えないことが多い。 ★機械の寿命やメンテナンス性などに影響する。 ショックアブソーバ プロペラシャフト
7.1　シール装置の概要 ★外部から見えないことが多い。 ★機械の寿命やメンテナンス性などに影響する。 ショックアブソーバ プロペラシャフト コンプレッサ

3 7.1.1　静的シールと動的シール ★静的シール（ガスケット）と動的シール（パッキン）がある。 ★動的シールの方が扱いにくい。

4 7.1.2 シールする流体と周囲の環境 (1) 流体の種類
7.1.2　シールする流体と周囲の環境 (1) 流体の種類 ★気体をシールする方が難しい。 ★油，ガソリン，海水，薬品などはシール材料が制限される。 油 or 窒素ガス？ 海水？ 空気，ヘリウム or 水素？

5 (2) 圧力 ★シールの方向（高圧→低圧）。 ★圧力差が大きいほど厳重なシール装置が必要。

6 (3) 温度 ★－40℃以下あるいは数百℃を越える温度での使用は難しい。 ★高速で運動する動的シールなどでは，摩擦熱により温度が上昇する。
高温 or 低温？

7 7.1.3　シール材料 ゴム材料 金属材料 ★ゴム材料は多くのシールに使われている。 ★高温環境では金属材料が使われる。

8 7.2　シート状ガスケット ★比較的柔らかい材料が使われる。 ★任意の形状に仕上げることが比較的簡単。 シート状ガスケット

9 7.2.1 シート状ガスケットの原理 ★ガスケットは，締め付けることにより，弾性変形する。
7.2.1　シート状ガスケットの原理 ★ガスケットは，締め付けることにより，弾性変形する。 ★適度な弾性があること，板材を適度な力で締め付けることが重要！

10 【補足】液状ガスケット 液状ガスケット ★フランジ部やねじ部に塗るだけでシールできる。 ★実際のエンジンの組立時にも使用されることがある。

11 7.2.2　設計時の注意事項 (1) 均等な締め付け ★ねじの位置や本数に気をつける！

12 ゴム材料などでは，締め付けすぎると，変形する！
(2) ガスケットの材料と締め付け力 ★金属→強い締め付け力（ねじを増やす，接触面を小さく・・・）。 ★非金属→比較的弱い締め付け力。 ゴム材料などでは，締め付けすぎると，変形する！

13 (3) 組立精度 ★柔らかいガスケットは，高い組立精度が望めない！

14 7.3 Ｏリング ★断面が円形（Ｏ形）をした合成ゴム製のリング。 ★比較的安価 ★多様な寸法がそろっている。
7.3　Ｏリング ★断面が円形（Ｏ形）をした合成ゴム製のリング。 ★比較的安価 ★多様な寸法がそろっている。 ★流体の種類，静的・動的に関わらず，様々な機械に使われている。 Ｏリング

15 7.3.1　Ｏリングの装着方法 ★Ｏリングは「溝」に装着される！

16 (1) 外面への装着 ★最も簡単！ 外面への装着例

17 (2) 端面への装着 ★機械の寸法や構造の制限を受ける場合，端面に装着することがある。 端面への装着例

18 【補足】 端面の溝加工 端面の溝加工（旋盤） ★寸法精度を出しづらい？

19 (3) 内面への装着 ★溝の加工が難しい！ 内面への装着例

20 【補足】 内面の溝加工 内面の溝加工（旋盤） ★寸法を測れない？

21 7.3.2　Ｏリングのカタログ

22 7.3.3　設計時の注意事項 (1) Ｏリング溝の寸法 ★カタログに記載されている通りにOリング溝の寸法許容差を指定する。

23 (2) 傷の防止 ★Oリングや部品の脱着時に傷をつけやすい。 ★十分な面取り加工が必要！

24 (3) 溝部の表面粗さ ★シール面は滑らかな表面粗さにする！ ★運動用の方が高い表面粗さ精度が要求される。 運動用および固定用（円筒面）
固定用（平面）

25 7.4　オイルシール

26 7.4.1 オイルシールの構造 ★ゴム材料のくさび状のリップがある。 ★ばねにより，リップ先端を軸の表面に押し付けている。
7.4.1　オイルシールの構造 ★ゴム材料のくさび状のリップがある。 ★ばねにより，リップ先端を軸の表面に押し付けている。 ★金属板によって外周部を補強している形式が多い。

27 オイルシールの寸法（JIS B2402より一部抜粋）
7.4.2　オイルシールの寸法 オイルシールの寸法（JIS B2402より一部抜粋） ★主要寸法（取付寸法）はJISによって規格化されている。

28 7.4.3　設計時の注意事項 (1) 傷の防止 ★オイルシールを脱着する際に傷をつけやすい。 ★部品の穴部や軸部に十分な面取り加工が必要！

29 (2) ハウジング穴の寸法 ★ハウジング内径のはめあい（寸法公差）。 ★ハウジング内面の表面粗さ。 ★面取り部の表面粗さ。

30 (3) 軸の寸法と表面粗さ ★軸のはめあい（寸法公差）や表面粗さ，表面硬さも使用するオイルシールの形式や状態に合わせる。
適切な軸が使用されないと・・・ シール性が保たれない。 リップの摩耗が大きくなる。 軸を傷つける。 ★軸のはめあい（寸法公差）や表面粗さ，表面硬さも使用するオイルシールの形式や状態に合わせる。

31 (4) 軸心 ★オイルシールは荷重を受けることはできない！ ★オイルシールを使用する場合は軸受と併用する。
★軸とオイルシールの軸心を正確に合わせる。

32 7.5　シール装置の使用例(1) 実験用スターリングエンジン

33 7.5.1　Ｏリングの使用例 ★静的シールとして使用。 ★高温部では使えない！

34 7.5.2　メカニカルシール メカニカルシール ★高い圧力差の動的シールとして使用できる！

35 ★メカニカルシールの構造 メカニカルシール ★シール面をばねの力で押し付けることで密封している。

36 ★メカニカルシールの潤滑 ★焼き付きや摩耗を防止するため，潤滑油を供給する。

37 7.5.3　ピストンリング ピストンリング ★PTFE（テフロン）製の分割式ピストンリングを使用。

38 7.5.4　リップシール リップシール ★リップを軸に押し付けて密封。 ★PTFE製のリップシールを使用。

39 7.5.5　配管のシール ★市販されている配管部品を使用

40 7.6　シール装置の使用例(2) 水中カメラ用防水ケース

41 【補足】水中カメラの防水

42 【補足】水中カメラの映像 MOVIE

43 本日の課題 　船には，室内への水の侵入を防ぐための段差付きのドアがある（右図）。これは船の安全を保つために必要不可欠であるが，同時に車いす利用者や高齢者の大きな障害となっている。この問題を解決する方法を考えなさい。