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『アジアの低所得国における中国の対外援助と日本のODA』 飯野光浩
目次 Ⅰ 本発表の目的 Ⅱ はじめに Ⅲ 中国の対外援助の特徴 Ⅳ アジア低所得国における中国 の存在感 Ⅴ 結論-中国の台頭と日本の ODA戦略
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Ⅰ 本発表の目的 日本や他の先進国の援助と比較することで中 国の対外援助の特徴を明らかにする。
Ⅰ 本発表の目的 日本や他の先進国の援助と比較することで中 国の対外援助の特徴を明らかにする。 アジアの低所得国(ベトナム、カンボジア、ラオ ス)における中国の存在感の程度の違いを明ら かにする。 日本とタイもしくはベトナムとの三角協力を提案 する。
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Ⅱ はじめに 現在、中国の経済発展に伴い、世界経済・ 政治の舞台で中国の台頭に注目が集まっ ている →(例)アフリカにおける中国の援助
Ⅱ はじめに 現在、中国の経済発展に伴い、世界経済・ 政治の舞台で中国の台頭に注目が集まっ ている →(例)アフリカにおける中国の援助 新聞記事参照 中国流の援助とは? アジアで中国の存在感はどうなの?
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Ⅲ-1 中国の対外援助の特徴 -ODAとは何か
政府開発援助(ODA)の定義 ①政府もしくは政府の実施機関により提供される 資金 ②開発途上国の経済開発や福祉の向上が目的 ③グランド・エレメント(援助条件の緩やかさを示す 指標)が25%以上 以上OECDの開発援助委員会(DAC)によるもの
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Ⅲ-1 中国の対外援助の特徴 -ODAとは何か
日本はOECD-DACのメンバーであるが、中 国は加盟していない。 →このことが中国の対外援助の詳細を不明に して、この不透明性が中国の援助を脅威と 感じさせる一因となっている。 例)ODA白書の刊行
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Ⅲ-2 中国の対外援助の特徴 -量的側面 2009年の中国の公的対外援助額 →約50億ドル 2009年の日本のODAは約137億ドル
Ⅲ-2 中国の対外援助の特徴 -量的側面 2009年の中国の公的対外援助額 →約50億ドル 2009年の日本のODAは約137億ドル ☆日本の4割弱の規模である。 一般的な感覚よりも少ない理由 →援助と民間資金特に海外直接投資との 混同
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Ⅲ-2 中国の対外援助の特徴 -量的側面 中国の援助方式 →ワンセットになったプロジェクト
Ⅲ-2 中国の対外援助の特徴 -量的側面 中国の援助方式 →ワンセットになったプロジェクト →中国がプロジェクト全体を請け負い、労 働者も派遣して、完成後に被援助国に実 物を引き渡す →対外援助全体の約40%を占める。
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Ⅲ-3 中国の対外援助の特徴 -質的側面 中国の援助はタイド(ひも付き)
Ⅲ-3 中国の対外援助の特徴 -質的側面 中国の援助はタイド(ひも付き) →借入国が援助プロジェクトに必要な資機 材、設備、技術・サービスを中国企業から 調達しなければならない。 日本の援助はアンタイド(ひも無し)
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Ⅲ-4 中国の対外援助の特徴 -理念的側面 中国の対外援助理念 被援助国の自主発展能力の向上の支援 →一国の発展は自らの力に頼るもの
Ⅲ-4 中国の対外援助の特徴 -理念的側面 中国の対外援助理念 被援助国の自主発展能力の向上の支援 →一国の発展は自らの力に頼るもの 互恵と共同発展 →被援助国のみならず援助国の経済発展に も資するもの
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Ⅲ-4 中国の対外援助の特徴 -理念的側面 いかなる政治的条件も付けない
Ⅲ-4 中国の対外援助の特徴 -理念的側面 いかなる政治的条件も付けない →援助を他国の内政に干渉し政治的特権 をはかる手段にしない(内政不干渉)
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Ⅲ-4 中国の対外援助の特徴 -理念的側面 自主発展能力の向上の支援 →道路、鉄道、空港、港湾、各種施設など の経済インフラ整備を重視する
Ⅲ-4 中国の対外援助の特徴 -理念的側面 自主発展能力の向上の支援 →道路、鉄道、空港、港湾、各種施設など の経済インフラ整備を重視する →被援助国の経済成長を促す 互恵と共同発展 →援助により中国自身も発展する →ひも付き援助とワンセットになったプロ ジェクト
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Ⅲ-4 中国の対外援助の特徴 -理念的側面 欧米の援助とは一線を画す
Ⅲ-4 中国の対外援助の特徴 -理念的側面 欧米の援助とは一線を画す →ミレニアム開発目標(MDGs)の達成のた め、保健・衛生などの社会インフラ整備を 重視する →上記の援助は直接援助国の経済発展に は貢献しない
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Ⅲ-4 中国の対外援助の特徴 -理念的側面 内政不干渉の原則 →スーダンなど虐殺や人権に問題のある国 にも積極的に援助 欧米とは異なる
Ⅲ-4 中国の対外援助の特徴 -理念的側面 内政不干渉の原則 →スーダンなど虐殺や人権に問題のある国 にも積極的に援助 欧米とは異なる →援助に際しては、被援助国政府にガバ ナンスの改善を条件としている。 例)IMFや世界銀行の融資
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Ⅲ-5 中国の対外援助の特徴 -小まとめ 中国の対外援助の特徴 ①OECD-DACの非メンバーであるため、詳細なデータ がない(不透明性)
Ⅲ-5 中国の対外援助の特徴 -小まとめ 中国の対外援助の特徴 ①OECD-DACの非メンバーであるため、詳細なデータ がない(不透明性) ②推計によると援助額は一般的に思われているほど大き くない ③援助方式として、ワンセットになったプロジェクトが主流 ④中国の援助はひもつき ⑤被援助国の自主発展能力の向上を支援する ⑥平等互恵と共同発展 ⑦援助の供与に際しては、内政不干渉を原則とする。
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Ⅳ-1 アジア低所得国における中国の存在感ーベトナム
Ⅳ-1 アジア低所得国における中国の存在感ーベトナム ベトナムの直接投資 2011年12月31日までの累積プロジェクト プロジェクト数 金額(100万米ドル) 総額 13440 比率 Japan 1555 11.6% 1.2% Korea 2960 22.0% China 1491 11.1% 0.8% 出典:"Statistical Yearbook of Vietnam 2011", General Statistics Office 中国の存在感はそれほど大きくない
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Ⅳ-2 アジア低所得国における中国の存在感―カンボジア
Ⅳ-2 アジア低所得国における中国の存在感―カンボジア 出典:"Direction of Trade Statistics Yearbook 2011", IMF 出典:"Statistical Yearbook of Cambodia 2011", National Institute of Statistics 中国の存在感はかなり大きい
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Ⅳ-3 アジア低所得国における中国の存在感―ラオス
Ⅳ-3 アジア低所得国における中国の存在感―ラオス 出典:”Statistical Yearbook 2011 Lao PDR"、Lao Statistics Bureau 出典:"Annual Economic Report 2011", Bank of the Lao PDR 貿易においてはタイの存在感が圧倒している。対外直接投資では中国の存在感が圧倒的である
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Ⅳ-4 アジア低所得国における中国の存在感―小まとめ
Ⅳ-4 アジア低所得国における中国の存在感―小まとめ 中国の存在感の程度は国により異なる ベトナム→存在感の程度はそれ程大きくない カンボジア→存在感はかなり大きい ラオス→貿易ではタイが圧倒的だが対外直 接投資では中国が圧倒的である。
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Ⅴ 結論-中国の台頭と日本のODA戦略 日本のODAは年々削減されている。 →厳しい財政状況のため
経済成長を続ける中国の金額(量的側 面)で対抗することは難しい。 三角協力 →他の新興・途上国と共同で援助する
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Ⅴ 結論-中国の台頭と日本のODA戦略 具体的にはラオスで存在感のあるタイや ベトナムと共同で三角協力を実施する。
→タイ、ベトナムはアジア低所得国と国境を 接しており、現地の実情に詳しい →日本の蓄積された知識・知見を応用する 限られた予算の中で効率的な援助をする 必要がある。
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