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V. 不正直な信号の原因 多くの場合,信号は正直であるが,以下の場合,不正直であるかもしれない。 ○非平衡の共進化, ○受け手の低い受信能力, ○信号発信について異なるコストと利益を持った送り手の存在, ○送り手に異なる利益を与える受け手の存在, ○戦術的だまし。
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1. 非平衡の共進化 多くの場合,不正直な信号の突然変異が生じても,排除され,平衡状態が崩れることはないが,ある場合において,その突然変異が広まり,平衡をしばらく乱すことがある。また,状況によっては,平衡が最終結果でなく,周期的な変化,分岐,カオスが起こることがある。 オドリバエは,腹部のふくらみが卵成熟の良い指標になるが,種によっては,腹をふくらませてだます(資料)。この腹部うそ膨らましをする種では,メスは,全く餌を探さず,オスからの求愛プレゼントのみに依存している。腹部のうそふくらましをする種でもしない種でも,オスは大きな腹をもったメスとの交尾を好む。この腹部のうそふくらましが,長期にわたって維持されるかどうかは不明であるが,常に,正直な信号は,不正直な信号の突然変異の侵入にさらされている可能性を示している。
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オドリバエの1種 Rhamphomyia longicauda メスは,オスの求愛プレゼンを巡って競争する。 レッグに入る前に,メスは腹部をふくらませる
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腹を意識的ににふくらませない種R. sociabilis
における卵サイズ(成熟度の指標) と腹部の大きさ 腹を意識的にふくらませる種R. longicauda における卵サイズ(成熟度の指標) と腹部の大きさ
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2.受け手の低い受信能力 送り手の信号の分解能を高めることは,受け手にとってコストがかかることがあり,分解能が高まらないときがある。受け手の受信能力が低く,信号がコストをともなう質指標信号の場合,送り手は,ある一定以上の質に達しないと,信号を発しないことがモデルから予測されている(資料)。
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質の異なる複数グループからなる送り手の存在
いつも正直な信号を出す送り手とたまに不正直な送り手がいて,受け手は両者を区別できないとき,正直な信号が維持できるためには,不正直送り手の頻度が正直送り手の頻度に比べて少ないことが必要である。
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シャコの一種 (Neogonodactylus bredini) 脱皮中は,はったりの威嚇を行う
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相手が小さい 相手が大きい 脱皮中の個体が取った戦略の 成功率 脱皮中でない個体が取る戦略
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イトヨ(Gasterosteus aculeatus)
コストが伴うハンディキャップ信号と考えられているオレンジ色パッチを顎の部分に持つ。メスは,大きな色パッチを持つオスを好む。
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死期が迫っている個体ががんばっている 元気さを表す
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