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放射線計測エレクトロニクスの信号処理の為の アナログ電子回路の基礎 第十三回
村上浩之 Oct
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目次(7) 放射線計測回路の構成 検出器 前置増幅器 雑音 波形整形増幅器 パルス波高弁別器 マルチレベルパルス波高弁別器
雑音の数学的な取り扱い 雑音源 等価雑音電荷 波形整形増幅器 波形整形回路 アナログパルス演算回路 パルス波高弁別器 マルチレベルパルス波高弁別器 シングルチャネルパルス波高分析器 マルチチャネルパルス波高分析器 電源 出力装置 Oct
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パルス波高弁別器 波形整形された信号はパルスの波高値に物理量に関する 情報を表している。従って波形整形増幅器の出力信号のパ ルス波高値を測定するのは物理量を測定する事を意味して いる。 パルス波高値の測定は設定した閾値と比較して閾値よりも 大きいか小さいかを判定する。閾値をゼロから順次大きくし ながら判定して、パルス波高値が閾値よりも小さくなった時 の閾値がパルス波高値となる。 パルス波高値が閾値よりも大きいか小さいかを判定する回 路を“パルス波高弁別器”と言う。 Oct
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パルス波高弁別器の種類 閾値が一つでパルス波高値が閾値よりも大きいパルスを選び出す物を “パルス波高弁別器” と言う。
閾値が一つでパルス波高値が閾値よりも大きいパルスを選び出す物を “パルス波高弁別器” と言う。 閾値が下限と上限の二つを持ち、パルス波高が下限と上限の間にある パルスを選び出す物を “シングルチャネルパルス波高弁別器” と言う。 下限と上限の差を一定に保ち下限を次々と変えてパルス波高の分布を 測定するものを “シングルチャネルパルス波高分析器” と言う。 閾値を多数持っていて最も小さな1番目の閾値を最下限として2番目の閾値を上限としたチャネルを第1チャネルとし、2番目の閾値を下限として3番目の閾値を上限としたチャネルを第2チャネル、同様にして n 番目の閾値を下限として n+1 番目の閾値を上限としたチャネルを第nチャネルとした多数のチャネルを持ったパルス波高弁別器を “nチャネル(パルス)波高分析器:nチャネル多重(パルス)波高分析器” 又は “マルチチャネル(波高)分析器:MCA ” と言う。 Oct
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パルス波高弁別回路 パルス波高弁別回路は閾値と入力信号差を大きな増幅率で増幅して、上限に飽和した電圧(高レベル: H )か下限に飽和した電圧(低レベル: L )を出力する増幅器で出力電圧は論理回路の “真” 又は “偽” に相当する。どちらのレベルが “真” 、 “偽” に成るかは論理回路が正論理か負論理で異なってくる。 “ H ”が “真” の場合を正論理 “ L ”が “真” の場合を負論理 と言う。 配線の記号として “○” 付いている端子は負論理を指す。 信号の名前の上に “ー”が付いている信号は負論理を指す。 Oct
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電圧比較回路の原理 コンパレーター 電圧比較回路はパルス波高弁別器の基本的な構成要素で設定した閾値と入力信号パルスの電圧を比較し閾値よりも信号の電圧が閾値よりも大きければ“真”、小さければ“偽”の論理信号を出力する機能を持っている。 +V 電圧比較器の原理は差動増幅器で入力信号電圧と閾値電圧を比較して入力信号の大、小を論理レベルの“真”、“偽”で出力する。 差動増幅器の出力は電圧レベル変換回路で論理出力レベルに変換して出力される。 論理出力の論理レベルは後続の論理回路の論理レベルと一致していなければならない。 電圧レベル 変換回路 論理出力 入力信号 閾値 -V Oct
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シュミットトリガー回路 シュミットトリガー回路は電圧比較回路の一つで電圧比較レベルにヒステレシス特性を持っている。信号の雑音電圧による誤動作を少なくする特徴がある。 入力信号 Vin が 0V のときQ1のベース電圧はQ2のベース電圧よりも負になっているのでQ1はoff, Q2 はonになっている。入力信号電圧が閾値 Vth+Vref1になるとQ1が on ,Q2がoffに変化する。この時Q2のベース電圧はVref2に変化して閾値は Vth+Vref2になる。 +V Vout 電圧レベル 変換回路 Vin Vref1 Vref2 Q1 Q2 -Vth Vout -V Vref2 Vref1 Vin Oct
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コンパレーター集積回路を使用したパルス波高弁別回路
集積回路化された電圧比較器(コンパレーター)は動作速度、 入力条件、出力論理回路、消費電力等で多くの種類が市販 されている。 市販の論理回路はTTL 、CMOS、ECL等があるのでコンパレー ターの出力レベルもこれらの回路に対応している。 TTLとCMOSは定義としては論理レベルや条件は異なっているが実用的には使用条件は制限されるが共用されている。 Oct
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パルス波高弁別回路 コンパレーター(集積回路)を使用したパルス波高弁別回路の例 Vth Vth 入力信号 Vin 正論理出力 負論理出力
正の入力信号に対して出力の論理が正論理か負論理かで入力端子の極性が逆になる。 Oct
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コンパレーターを使用したシュミットトリガー回路の例
負論理出力のコンパレーターを使用したシュミットトリガー回路は負論理出力電圧を “ + “ 入力端子に正帰還した回路で構成する。 ヒステレシス電圧 Vh VthH VthL VH VL Vin Vthx Vh R2 VH R1 閾値 VL Vth VthL VthH Vth Oct
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マルチレベルパルス波高弁別器 パルス波高弁別器を多数積み重 ねたマルチレベルパルス波高弁 別器の閾値を Vth1 , Vth2 , ・・・ , Vthn-1 , Vthn とするときパルス波高 が Vthk-1 と Vthk の間であるとする と、それぞれのパルス波高弁別 器の 1 から k-1 までの出力は “真” となり、 K から nまでの出力 は “偽” となる。この出力をプライ オリティエンコーダーで数値に変 換する事が出来る。各閾値の間 隔が等間隔であれば数値は直線 となる。間隔が指数関数であれ ば数値は対数になる。 閾値の間隔の設定精度は微分直線性と積分直線性を決めている。 プライオリティー エンコーダー パルス波高 弁別器 Vthn 出力数値 パルス波高 弁別器 Vin Vthk パルス波高 弁別器 Vthk-1 パルス波高 弁別器 Vth1 Oct
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パルス波高分析 パルス波高弁別器 積分パルス波高弁別器 微分パルス波高弁別器
パルス波高がパルス波高弁別電圧(閾値) Vth を超えたか否かを弁別して超えた 場合に弁別パルスを出力する機能を持っている。 微分パルス波高弁別器 パルス波高が下限パルス波高弁別電圧(閾値) Vth1 を超え、上限パルス波高弁 別電圧 Vth2 を超えない場合に弁別パルスを出力する機能を持っている。 上限パルス波高弁別電圧 Vth2 を下限パルス波高弁別電圧 Vth1 + ΔV のように一定の電圧幅となるように設定した微分パルス波高弁別器をシングルチャネルパルス波高分析器と言い、下限弁別電圧 Vth1 をゼロから順次 ΔV づつ移動させて計測すると ΔV 幅でパルス波高のスペクトルが得られる。 Jul..29.2010
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積分スペクトルと微分スペクトル 検出器でα線を検出する時に波形整形増幅器の出力信号をパルス波高弁別器(積分弁別器)で閾値(Vth)を超えるパルスの計数率をVthをゼロから最大値まで一定の間隔で移動して計数率を測定すると A の様な積分スペクトルが得られる。 このスペクトルを微分すると B の様な微分スペクトルが得られる。 B のスペクトルは測定されたα線のエネルギースペクトルに相当する。 A B B のスペクトルは微分弁別器(シングルチャネルパルス波高分析器でチャネル幅を一定にして閾値をゼロからチャネル幅毎に移動して計数率を測定しても C の様なスペクトルが得られる。 チャネル幅を狭くすればスペクトルの分解能は高くなる。 C Jul..29.2010
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シングルチャネルパルス波高分析器 シングルチャネルパルス波高弁別器は入力信号電圧が下限閾値と上限閾値の間にあると出力信号を出力し、上限よりも大きければ出力ゲートを閉じて出力信号を出力しない。 上限パルス波高弁別器 入力信号 出力信号 下限パルス波高弁別器 反同時計数回路 Oct
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シングルチャネルパルス波高分析器の入出力信号波形
シングルチャネルパルス波高分析器の入力信号電圧と下限・上限閾値による出力信号の関係は次の様になる。 上限閾値 b 上限閾値 a 反同時ゲート回路の出力信号 下限閾値 入力信号 上限閾値 b の時は出力信号を出力する 上限閾値 b の弁別出力信号 上限閾値 a の弁別出力信号 上限閾値 a の時は出力信号を出力しない 下限閾値 の弁別出力信号 a 下限閾値の弁別出力信号 b Oct
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多重パルス波高弁別(分析)器 シングルチャネルパルス波高分析器でパルス波高スペクトルを得るには閾値を順次移動して測定する必要がある。この方式では1チャネルづつ計測するので計測時間がチャネル数倍必要になる。 図の様に積分弁別器をn+1個用いて最初の弁別器が下限弁別器として次の弁別器を上限弁別器となる様に接続する。同時にこの弁別器が次のチャネルの下限弁別器となる様に接続して順次、弁別器を積み重ねた様に接続すれば n チャネルのパルス波高弁別器を構成する事が出来る。 この方式は各弁別器の閾値を独立に設定するためチャネルの幅や閾値の安定度に問題がありチャネル数を大幅に増加するのに問題がある。 Jul..29.2010
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ADC を用いた多重パルス波高分析器 多重パルス波高分析器の特性はチャネルの数、積分直線性、微分直線性と最大電圧特徴付けられる。
NチャネルのADCを用いてパルス波高値を数字に変換すれば N 個の計数機を用意して信号パルスの波高値に対応させればNチャネルの多重パルス波高分析器(ヒストグラムモード)となる。 信号パルスに相当するADCからの数値をそのまま記憶装置に順次記録すればリストモード多重パルス波高分析器になる。 Jul..29.2010
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ADCを用いたヒストグラムパルス波高分析器の原理
記憶装置のアドレス 入力信号 ADC 記憶装置 記憶データー +1加算回路 Oct
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ADCを用いたリストモードパルス波高分析器の原理
記憶装置のアドレス 記憶装置 ADC Oct
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