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動物生命科学へのいざない 「妊娠の成立とその制御」 東大・高等動物教育研究センター 附属牧場 今川 和彦 K. Imakawa, Ph.D.
動物生命科学へのいざない 「妊娠の成立とその制御」 東大・高等動物教育研究センター 附属牧場 今川 和彦 K. Imakawa, Ph.D.
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妊娠と次世代のための生殖細胞 生殖細胞 性周期(月経周期) 性成熟 受精 誕生 妊娠 閉経 Life time 性成熟 受精 誕生 妊娠
次の世代のための卵子は、まだ胎内にいる(胎児)時から作り始められている 性周期(月経周期) 性成熟 受精 誕生 妊娠 閉経 分娩 Life time 母親 性成熟 受精 誕生 妊娠 分娩 生殖細胞 Life time 胎児(子供) 受精 誕生 生殖細胞 Life time 孫世代 生殖細胞 妊娠は新しい生命を育むこと、そして、新しい生命は さらに次世代の生殖細胞を育んでいる
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Life cycle in dairy cattle
Dry period 子宮回復期 性周期 誕生 分娩 性成熟 Slaughtered 1st Pregnancy 3rd Pregnancy 2nd Pregnancy 1st Lactation 2nd Lactation 泌乳 If not pregnant If not pregnant Slaughtered Slaughtered 屠殺 屠殺
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ウシ受胎率の現状 農水省 「家畜改良増殖目標」 牛:効率的な繁殖・子牛生産を推進 10%の低下で年間約30億円の損失
20%の低下で年間約60億円の損失 (北海道ETセンターによる試算)
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卵子、精子や受精が重要なことは云うまでもないのだが・・・
低受胎率の原因を考える・・・ Palpation Ultrasound Progesterone ELISA(PAG etc.) Implantation(着床) Day 19~20 ART(胚移植) Day 7 AI(人工授精) Day 1 Day 280 妊娠期間・分娩 Day 30 Fert. rate 受精率 90~95% Preg. Rate 妊娠率(受胎率) 40~55% Fert. rate 100% Blast. formation Preg. rate 45~60% Ovulation, sperm, and fertilization are important, but construction of proper uterine environment is also important for higher pregnancy rate 卵子、精子や受精が重要なことは云うまでもないのだが・・・ Estrous cycle control Pregnancy control 性周期 妊娠(受胎率) Improvement in implantation Increase in pregnancy rate 着床(率)の改善 受胎率の向上
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受精から誕生まで 着床期までに運命が決まる・・・
受精から誕生まで 着床期までに運命が決まる・・・ 受精 誕生 ニワトリの有精卵の4.5 日目(器官形成開始の直前) 卵生 胎生 孵化 初期胚の発達 孵化・着床・胎盤形成 器官形成・始原生殖細胞 生殖器官形成 胎児の成長・分娩 約50%の受精卵は ここまでに死滅する
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胎生までの道程 魚類・両生類 爬虫類・鳥類 哺乳類 新たな遺伝子群? 産卵は水中に 海水に似た組成の羊膜 に包まれ発生 卵黄嚢から栄養、
産卵は水中に 爬虫類・鳥類 海水に似た組成の羊膜 に包まれ発生 卵黄嚢から栄養、 老廃物は尿膜内に 哺乳類 卵黄嚢や尿嚢は退化 胎盤を通じて母体から 栄養を得、老廃物は 胎盤から母体へ 新たな遺伝子群?
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卵膜を通して胚を包む「いのちの水」が外の海水と交流
水生卵と陸生卵 古代海水と羊水 魚類と両生類の卵:水生卵 卵膜を通して胚を包む「いのちの水」が外の海水と交流 酸素と水とミネラルを吸収し、炭酸ガスと老廃物を排泄する 食物は「卵黄」 生まれたばかりの胚「幼生」 爬虫類と鳥類の卵:陸生卵 胚は、通気性の優れた「防水布」の卵殻に覆われている 尿膜:膀胱の袋、外面を殻の内側に密着させ、その血管を介して 殻の外の空気とガス交換を行う 羊膜:胎児の皮膚が反転して体全体を覆ったもので羊水で満たされている 胎児は羊水(古代海水に酷似)に浮かぶ格好 栄養は、卵黄膜内に
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さらに哺乳類へ 哺乳類型爬虫類から中生代三畳紀の終わりごろ登場 子宮様の卵管で卵が孵化
単孔類 卵生の単孔類:そらまめ大の卵、これを腹壁の襞(ひだ)にはさんで孵化させ、 その底から「乳の汗」をかいて、これを舐めさせる 乳の汗=汗腺・腎臓の補助器官 有袋類 ジュラ紀に出現、中生代には 胎内での成長には無理がある 世界各地に分布を広げた 早めに出なければ・・・・ 小指の先にも満たない赤ん坊が、肛門と尿道と産道を兼ねた総排泄口からはい出し、 下腹をよじ登り、腹壁の襞でできた育児袋に入り、乳首と繋がる 乳首から母乳
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動物の胎生までの二億年の歴史 古生代 中生代 新生代 <古代緑地> 子宮と胎盤 魚類 両生類 爬虫類 哺乳類
個体発生は系統発生を繰り返す―地球上に現れた単細胞生物が多細胞生物になり やがて、魚類、両生類、爬虫類、哺乳類(1億6000万年前)へと進化した道すじ 古生代 中生代 新生代 <古代緑地> 魚類 両生類 爬虫類 哺乳類 無顎類(円口類) 脊椎動物の上陸 寒冷に対する対応(哺乳類) 卵生動物 胎生動物 爬虫類の勢力下では、小さな哺乳類として存在 爬虫類の絶滅とともに、哺乳類の多様性増大 子宮と胎盤 この器官形成のために哺乳類は、 どのようにして新しい遺伝子群を 獲得したか、しなかったのか?
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ヒト妊娠 個体発生は系統発生を繰り返す 32日目 魚類 両生類 34日目 爬虫類 36日目 (原始) 哺乳類 38~ 40日目 (哺乳類)
個体発生は系統発生を繰り返す ヒト妊娠 32日目 34日目 36日目 38~ 40日目 魚類 両生類 爬虫類 (原始) 哺乳類 (哺乳類) 霊長類
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卵生 卵胎生 胎生 胎盤構造の差異 胎盤の形態
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性周期と子宮(胎)内妊娠 ・性周期は哺乳類に特徴的なことではなく、 子宮内妊娠こそが哺乳類特異的 ・哺乳類が獲得した器官と細胞:
もちろん、視床下部・下垂体前葉・卵巣が機能していることは必須である ・性周期は哺乳類に特徴的なことではなく、 子宮内妊娠こそが哺乳類特異的 ・哺乳類が獲得した器官と細胞: 乳腺、子宮、胎盤、栄養膜(トロホブラスト)細胞 ただし、魚類、両生類や爬虫類などの生物種の一部に胎盤様構造あり ・妊娠の成立には、胚の成長、子宮の準備の同調、 胚の接着やその後の子宮や体の変化 浸潤・免疫反応の惹起と制御 胎盤形成と機能の発現・維持
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受精から誕生まで 着床:孵化以降、初期胎盤形成までの過程 初期胚の発達 胎盤形成 器官形成 孵化 着床 出生 妊娠の成立と維持
着床:孵化以降、初期胎盤形成までの過程 哺乳類特有の現象 哺乳類特有の遺伝子の 出現と発現? 初期胚の発達 三胚葉の形成 卵胞の発達・排卵 (配偶子の形成) 胎盤形成 器官形成 孵化 着床 出生 受精 精子形成など (配偶子の形成) 妊娠の成立と維持 胎盤形成と妊娠の成立 哺乳類(真獣類)の器官形成は、着床・胎盤形成以後にしか始まらない 哺乳類の器官形成(再生)は、胎盤機能なしでは語れない トロホブラストへの分化・増殖や着床・胎盤形成メカニズムの解明が必要
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When paternal gene expression starts?
Oviduct 卵管 Female and Male pronuclei Uterus 子宮 v ICM Trophectoderm Trophectoderm Placenta Conceptus (trophectoderm) with paternal gene expression is allogenic to the maternal immune system: Can be recognized as foreign by the mother v 哺乳類(真獣類)に特有な現象 Senger, Pathways to Pregnancy and Parturition, 2003
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What is going on during this time period? -初期胚の発達から胎盤形成まで-
母親の妊娠認識 → 黄体の維持・プロジェステロン産生とその維持 胚による妊娠認識物質の分泌 胚の遊走、孵化、伸長、着床部位の位置取り 体細胞分裂、細胞外基質(接着因子)などの発現 胚盤胞・伸長胚の接着を許容する子宮内環境の整備 子宮内膜上皮・腺上皮細胞などの細胞外基質の発現(または一時的な除去) 免疫機能の調整 免疫細胞の遊走・上皮細胞直下への集積 伸長胚・分化、細胞融合、胚子胎盤形成 妊娠時特異的なホルモン・サイトカインの分泌(母体への移行) 浸潤性トロホブラスト細胞の制御、らせん動脈、(母体・胚子)胎盤形成
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胚仔の接着 (胚盤胞 vs. 伸長胚) 胚盤胞での着床 浸潤性 胚盤胞から胚の伸長 非浸潤性 クロス切片 Cross section
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Invasive Implantation 浸潤能の高い胚ではあるが、全く同じではない。しかし、「違い」は見えていない
E-cadherin↓ MMP2↑ MMP9↑ Mouse MMP2↑ MMP9↑ Human MMP2↑ MMP9↑ E-cadherin↓ MMP2↑ MMP9↑
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Five phases in implantation
着床から胎盤形成に至る5つの発達段階 Implantation failure After Implantation Before Implantation 4 phases are common among mammalian species 5段階のうち4段階はほぼ同じ現象(違いは「浸潤性と非浸潤性」) Bazer et al., Reproduction 138: (2009)
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妊娠の成立と不成立を分けるものは・・・ 「受精」イコール「妊娠成立」ではない
母親(子宮)は、どのように「胚」の存在を知るのか? コミュニケーション? (物理的な)接触? 異物として認識 母は「着床ウインドウ」をどのように決めるのか? 「着床ウインドウ」:ヒトは40ー48時間のみ 「胚」は、「いつ」「どのように」子宮に着床を始めるのか? ブタやげっ歯類(多胎動物)の胚の子宮内スペーシング 接着後のトロホブラスト細胞の増殖 vs. 接着前のトロホブラストの伸長 霊長類、げっ歯類 単蹄類(ブタなど)、反芻動物 接着後、トロホブラスト細胞は子宮腔内を覆う 母体の 妊娠認識 母子 コミュニ ケーション 免疫応答
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着床期の生理現象 4つの生理・生化学的、しかも連続的な現象が同時進行している これら現象の進行に様々なチェックポイントが存在する(か?)
胚仔・子宮内膜 孵化・コミュニケーション 黄体維持 着床ウインドウ 妊娠認識 初期胚の発達 ポジショニング 接着 免疫寛容 脱落膜 免疫応答 浸潤の制御 血管新生 浸潤 胎盤形成と 機能維持 器官形成 妊娠の成立 個々の現象の解明だけでは、着床過程は説明できない Imakawa et al., JRD 2004
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子宮内の初期胚(胚仔)と子宮内膜の関係以外にも必須な現象が・・・
性周期と妊娠成立期までのホルモン動態 子宮内の初期胚(胚仔)と子宮内膜の関係以外にも必須な現象が・・・ 排卵 (交尾) 初期胚の発達 着床・胎盤形成過程 P4 妊娠の成立 受精卵移植 PGF2a E2 LH 様々な生命システムの存在 4 8 12 16 排卵 黄体(P4) 卵胞(E2) 排卵
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着床・妊娠が 可能な状況 子宮内産生物の 卵巣方向への移動 Uterine gland (子宮腺、腺上皮) PGF2a による 血管収縮
着床・妊娠が 可能な状況 子宮内産生物の 卵巣方向への移動 Uterine gland (子宮腺、腺上皮) 血管収縮 PGF2a による 血管収縮
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性周期 妊娠 プロスタグランジン PGF2a プロジェステロン progesterone(P4)
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妊娠の成立のために 生体は、どのようにPGF2a の効力を回避するのか(できるのか)?
子宮腺PGF2a 卵巣 黄体退行 P4 子宮内膜肥厚 そして、再び性周期が・・・ 視床下部・下垂体前葉 卵巣 子宮 食欲、骨、(性)行動など
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Pseudopregnancy(偽妊娠) 黄体の存続と関係あり、発情周期の抑制?
ブタ 黄体期末期にE2の投与=E2が(母親に妊娠を知らせる)妊娠認識物質 げっ歯類(とくにマウス) 交尾(様)刺激よるプロラクチンの放出は20a-HSDの活性を低下させるので、 黄体機能が存続する(約2週間はこの状態を維持できる) ヒツジ 胚インターフェロン・タウ(IFNt)の子宮内投与(胚仔が存在しなくても) 反芻動物では、 IFNtが妊娠認識物質 ・ ヒト(高等霊長類) hCG いずれの場合も黄体が存続するので新しい卵胞の発達なし
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哺乳類の初期発生 卵黄を作る遺伝子を持っていない 卵や胚の構造の母性制御は比較的限定的 (ほとんど)卵黄がない 爬虫類や鳥類
輸卵管と輸卵管の特殊化した領域の子宮に胚を保持する 哺乳類の卵は卵黄を蓄えず、母体の血液循環で胚に栄養を供給 卵や胚の構造の母性制御は比較的限定的 (ほとんど)卵黄がない 爬虫類や鳥類 卵黄を作る遺伝子を持っていない 発生の早い時期に胚体外膜(胎盤)の形成 胚発生時、父親由来・母親由来ゲノムの発現制御が異なる場合がある ゲノムインプリンティング(genomic imprinting) 特定の遺伝子の遺伝子制御領域(上流域)のメチル化度がオスとメスの配偶子で異なる
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Fetus OK Placenta OK Placenta OK Fetus OK Fetus NO Placenta NO
Finding possible causes of embryonic losses From classical parthenogenesis studies Fetus OK Placenta OK Fetus OK Placenta OK Placenta NO Fetus NO Paternal gene expression is required for placental formation
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胚性ゲノムの活性化 受精後に胚ゲノムの転写が開始されること 卵子内に蓄積された母性ゲノム由来の転写産物から、胚自身の転写産物に
発生プログラム(胚性ゲノムの活性化) マウス:後期1細胞期から開始され、4細胞期には主要な転写産物は胚性ゲノム由来 ウシ:8-16 細胞期 ヒト:4-8 細胞期 単為生殖 精子侵入によって誘起される卵子細胞質内Ca2+の上昇をもたらすような人為的刺激 前核期卵の雌雄どちらかの前核を置換、メスだけ(オスだけ)で胚発生 メス核のみ:胎仔OK、胎盤No オス核のみ:胚仔No、胎盤OK 妊娠10日目で致死 受精卵クローンの時期、全能性など なぜ? 父方、母方のみからの遺伝子発現 インプリンティング
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初期胚の発達 受精卵は卵割を繰り返し、やがて胚盤胞に発達する
コンパクション(compaction) 8細胞期後に起こる細胞同士の密着結合 キャビテーション(cavitation) 16細胞から32細胞期に初期胚の内と外が決定される Na+とCl-が内部細胞塊(ICM)の周辺に生じつつある内部空隙に蓄積する 空隙内Na+が高濃度 浸透圧 水の流入 空隙の拡張(32細胞期~) 胚盤胞の形成(blastocyst formation) ICM(胚の本体と羊膜)とトロホブラスト(胎盤) 内部細胞塊(ICM)の発生分化能の限定 16細胞期 内と外の細胞の解離 胚盤胞へ移植 両細胞に分化 64細胞期 内と外の細胞の解離 胚盤胞へ移植 内 胚組織 外 胎盤 胚性ゲノムの活性化、(不可逆的な)細胞分化 可逆的変化が可能な時期=受精卵クローン作出可能時期
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分化能 不可逆的 内部細胞 ギャップ
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初期胚の発達 着床 胚性ゲノムの活性化 (非可逆的な)細胞分化 細胞分裂の時間・空間的な制御?
初期胚の発達 着床 胚性ゲノムの活性化 (非可逆的な)細胞分化 細胞分裂の時間・空間的な制御? 初期胚は、どのように子宮に移動(遊走)するか? 透明帯からの脱出時期は?
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内部細胞塊の形成は哺乳類胚に特有の戦略 異なる細胞集団が発生すれば、細胞は近くにある他集団の細胞にシグナルを送り 自分と同じ細胞運命を辿ることを妨げる
8細胞期胚のすべての細胞はすべての細胞に分化しうる(受精卵クローン) コンパクション後の第4(16細胞)~第6(64細胞)卵割期に非可逆的な変化 ICMの決定 ICMとトロホブラスト細胞への分化は初期胚の細胞の位置に依存的 内部に位置した細胞は、胚本体のいずれの組織にも分化しうる無極性の幹細胞となる ICM: 転写因子Oct-3/4、トロホブラスト: 転写因子Cdx2 胚盤胞はきわめて非対称的 非対称分裂と細胞間シグナル伝達 リガンドの濃度勾配 細胞ごとの 反応性の違い
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着床ウインドウ 1 胚が子宮上皮細胞に接着可能な時期 (子宮が胚の接着を許容する時期) 哺乳動物種により著しい差異がある
Implantation window(着床ウインドウ) ヒト:子宮内膜は性周期ごとに肥厚と脱落を繰り返す 月経周期のなかの40~48 時間 げっ歯類:性周期の中では子宮内膜の肥厚や脱落はない 一過性に生じる脱落膜形成の感受期(着床ウインドウ)は24時間 卵巣ホルモン(E2とP4)、p53と白血病抑制因子(LIF) 卵巣ホルモンや、それらに制御される子宮内膜サイトカインなどが必須条件 着床ウインドウそのものの成立機構(分子制御メカニズム)は、分かっていない
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着床ウインドウ 2 げっ歯類の「脱落膜反応(着床ウインドウ)」
脱落膜反応の誘起 交尾(刺激)があった場合、着床期の子宮内に「何か」が存在すれば、 脱落膜反応を開始する(ただし、マウスやラットのみ) 初期胚、小さなガラス玉(beads)、ミネラルオイルなど ウマ? 初期胚の移動 人為的に初期胚を、一方の子宮角に配置したら・・・ 着床は左右子宮角、ほぼ等間隔に
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着床遅延 自然な妊娠過程には? 人工的な遅延着床 E2やP4の過剰投与など 生理的な遅延着床
着床遅延 自然な妊娠過程には? 人工的な遅延着床 E2やP4の過剰投与など 生理的な遅延着床 交尾の時期と出産・子育ての時期を生態学的に至適化する適応現象 ノロジカ、ミンク、クマ、パンダ、アザラシ、高緯度に生息するスカンクなど 遅延着床の利用によって生存を有利にする(季節繁殖動物) 季節繁殖(seasonal breeder) 短日性繁殖動物: ヤギ、ヒツジ 長日性繁殖動物: ウマ ただし、ヤギ、ヒツジ、ウマのオスは年間を通じて交配・射精することができる
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胚仔の子宮内膜への接着と浸潤 動物種によって、これらの現象を介在するファクターは多少異なる
胚仔側の接着因子の発現: インテグリン、トロフィニンなど 母体(子宮)側: ECM(細胞外マトリックス)、MUC-1など 浸潤 胚仔: マトリックス分解酵素(MMP) 子宮内膜: MMPインヒビター(TIMP) 哺乳類の 共通性と差異 動物種 浸潤度 進化 霊長類 高 げっ歯類 ? 反芻類 単蹄類 低 トロホブラスト細胞による子宮内膜への浸潤度が低い方から高い方へ進化した?
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(a) 7日胚 ICM ICM 胚、羊膜 ヒトの胚盤胞
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トロホブラスト(栄養芽層)は胎盤形成に 哺乳類の動物種によりトロホブラストの侵襲度や胎盤構造が(多少)異なる
初期成長期、ICMから胚と羊膜の形成 トロホブラスト細胞の増殖、子宮への浸潤 侵襲性のトロホブラスト細胞の先端 多核性シンシチウム(合胞栄養芽層、syncytiotrophoblast) 胚盤胞側のトロホブラスト 真性細胞からなる組織層(細胞栄養芽層、cytotrophoblast) cytotrophoblast 細胞の運命は? 胚本体と発生中の胎盤は、中胚葉性のひも状構造(体柄、body stalk)で母親と繋がる 臍帯(umbilical cord)
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胎盤 着床完了の目安となるのが胎盤の形成とその機能発現 トロホブラスト細胞の子宮内膜への浸潤度低いほうから高い方へと進化した?
トロホブラスト細胞と子宮内膜上皮細胞上の微絨毛で接着 子宮内膜への浸潤度が最も低いブタの胎盤(上皮絨毛胎盤) トロホブラスト細胞による子宮内膜上皮細胞の除去 上皮細胞と間質の間に存在する基底膜の分解 子宮間質細胞から筋肉層への浸潤 間質層内のマトリックスタンパクの分解(ウマ、ウシ、結合組織絨毛胎盤) 子宮内膜の血管に到着 内皮絨毛胎盤(イヌ、ネコ) トロホブラスト細胞群と母体血液の接触 トロホブラスト側が形成する複雑な構造内に母体血液の導入(ヒト、血絨毛胎盤) 進化の方向?
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有袋類 子宮(体)と子宮角
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Ruminant ungulates Placentome 胎盤へと発達していく =妊娠の保証 Placentation = 80%
fetal + maternal placenta
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Events during conceptus elongation and placentome structures
Caruncle (C: Blood vessels) vs. Inter-caruncle (IS:glands=uterine secretions ) Binucleated and trinucleated cell formation (2核・3核細胞の形成) Allantoic fusion to the chorion, resulting in the formation of allant-chorion membrane (尿絨毛膜の形成)
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基底膜 進化の方向?
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ウシやヒツジなど 胎児側の細胞が子宮(母)側に移動する 2核細胞による胎盤ホルモンの分泌
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胎盤の多様性 叢毛性 散在性
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Diffuse Cotyledonary Bidiscoid Discoid
Horse – eCG Diffuse Degree of trophoblast Invasiveness to maternal endometrium Cotyledonary Old agreement New thoughts Bidiscoid Discoid Direction of evolution? Humans – hCG In 2013 at “Medawar and the immunological paradox of pregnancy: 60 years on” Prof. Anthony Carter discussed that the common ancestor of placental mammals may have had an invasive type of placentation (hemochorial found in mice and primates)
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胎児側の細胞が子宮(母)側に移動する:ヒト、マウス、ウシ、ヒツジなど 免疫的なカモフラージュ? 融合能の強化と接着の強化?
免疫的なカモフラージュ? 融合能の強化と接着の強化? 2核細胞による胎盤ホルモンの分泌 内在性レトロウイルス・ウシBERV-K1
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ヒトゲノムにおける寄生ゲノムの割合 わずか2% 約5,000万年前に爆発的に増大 寄生ゲノム(レトロエレメント) 哺乳類進化の 原動力
蛋白質をコードする 遺伝子領域 約5,000万年前に爆発的に増大 内在性レトロウイルス 寄生ゲノム(レトロエレメント) SINE その他 LINE 哺乳類進化の 原動力 胎盤 形成 トランスポゾン 感染 リスク 約8% 過去に感染しゲノムに寄生 ヒトゲノム (約30億塩基対) Miyazawa, Imakawa, Yasuda BRAIN 2008
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レトロウイルス 1本鎖RNA(+)ウイルス LTR:転写制御などに関する塩基配列 gag:コアタンパク env:エンベロープ(Env)
pro:プロテアーゼ pol:逆転写酵素、インテグレース By Nakaya, Miyazawa
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レトロウイルスの感染過程 核への侵入 逆転写 細胞への侵入 組込み 転写 核外輸送 組立て 翻訳 出芽 宿主ゲノムDNA 生殖細胞への感染
祖先の生殖細胞に感染した外来性レトロウイルスは遺伝により子孫に保存され、ERVとなり宿主ゲノムの一部として振舞う。 生殖細胞への感染 祖先 子孫 侵入 組込み 外来性レトロウイルス ウイルスゲノム 宿主ゲノム By Nakaya, Miyazawa
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BERVプロウイルスの遺伝子構造と胎盤での発現
BERV-K1 proviral DNA (Chromosome 7) BERV-K2 proviral DNA (Chromosome 24) K1S K1R env pro LTR pol gag K2S K2R RT -actin + - BERV-K1 BERV-K2 2kb 0.5kb 胎盤 栄養膜細胞(BT-1) Baba et al., J Virol 2011
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ウシ胎盤におけるBERV-K Env発現細胞の同定
Anti-sense Sense Anti-sense Sense N.D. N.D. Day 30 Day 78 Day 156 Baba et al., J Virology 2011 56 56
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BERV-K1 Envに対する胎盤での免疫組織化学
妊娠前期 妊娠中期 抗BERV-K1 Env抗体 妊娠後期 陰性対照 ×20 ×10
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BERV-K1遺伝子座の同定 Baba, Nakaya, Miyazawa
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ウシ科動物におけるBERV-K1の感染時期
ホルスタイン バリ牛 ウシ亜科 (三核細胞) アジアスイギュウ シタツンガ ヒツジ ヤギ亜科 (多核細胞) ヤギ 生研発表会 Miyazawa, Imakawa, Yasuda, Kobayashi 2013
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ウシ胎盤形成におけるBERV-K1 Envの役割
母子間の融合細胞である三核細胞を誘導する因子 Fematrin-1 (Fetomaternal trinucleate cell inducer 1) 胎子側胎盤節 母体側胎盤節 子宮内膜細胞 融合 Baba, Nakaya, Imakawa, Miyazawa
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胎盤とその機能 胚の栄養摂取、呼吸と排出は、母体と胚を分離する上皮を介して行われる
胎盤は、胎児組織と母体組織の両方を含む器官 脳下垂体と卵巣の機能を代行する 絨毛膜性生殖腺刺激ホルモン、ステロイドホルモン(エストロジェン) 免疫学的機能 胎児は父親由来の遺伝子をもつ(母親と遺伝的組成が異なる) 母体が胎児組織に対して免疫反応を引き起こすことを防ぐ 妊娠後期には、母体の抗体が胎児の循環系に(胎児・新生児の後天的免疫の獲得) なぜ母親が胎児を免疫学的に攻撃しないか? メカニズムは分かっていない!!!
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妊娠の免疫 初期胚は孵化し、父方の遺伝子発現をみせながら母親に接着していく
着床の前に、なぜ孵化し胎仔抗原をみせるのか? 免疫的な防御が必要ならば、孵化する前に着床した方が・・・ 母親の免疫的な防御を鼓舞している? (臓器移植とは反対に)母親は自分の胎仔に対して抗体産生 抗体は産生しているのに、なぜ胚仔の排除に至らないのか? ただし、自己・非自己はHLA-G遺伝子発現で 排除に繋がるHLA-AやHLA-Bなどは発現していない 胚仔はHLA-Gを発現しながら、非自己をアピールしている もし、HLA-Gを強制的に発現したら?
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妊娠の免疫 事実確認 胎盤の酸素、栄養物や排泄物の交換機能 いわゆる胎盤の機能 胎盤はすべてを防御するか?
いわゆる胎盤の機能 胎盤はすべてを防御するか? マリファナやタバコの成分などはほぼ素通りして胎児の血管系に侵入 胎盤を通じての両細胞の交換はあるのか? 「細胞の交換はありえない」といわれていた 胎仔側の細胞(トロホブラスト細胞)は母親の子宮内膜や血管系に侵入する 胚仔側の細胞は、免疫的に排除されないのか? 母親側に進入した胚仔側細胞の機能は?
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BERV-P Fematrin-1 Fematrin-1とBERV-Pの胎盤での役割 胚 子宮 栄養膜細胞 子宮内膜上皮細胞 着床
Designed and drawn by T. Sakurai for BRAIN 2013 胚 着床 子宮 栄養膜細胞 BERV-P Fematrin-1 子宮内膜上皮細胞 母体の子宮内膜上皮細胞との細胞融合 免疫細胞の集積
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機能のバトンパス(仮説) 生体は入ってきた ウイルス遺伝子の 一部を活用し、ある機能(細胞融合)をもっと効率の良いものに 作り替える
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エピブラスト 原始線条の陥没 体の前後左右の決定 心臓の形成
個体発生のプロセス 拍動する細胞と血液は異なる部位で同時発生 胎盤の形成と機能発現 エピブラスト 原始線条の陥没 体の前後左右の決定 心臓の形成 外胚葉、内胚様、中胚葉 力強い 拍動開始 心臓の形成 胚仔全体には まだ変化なし 拍動する細胞 卵黄嚢に血液の出現 流れ 体の頭部と腹部の区別 形態形成の始まり
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生殖から何が見えるか? クローン(Klon小枝の意、ゲノムが同じ集団) 再生医療 がん 臓器移植
受精卵(初期胚)から個体形成までに何が行なわれているか? クローン(Klon小枝の意、ゲノムが同じ集団) 個体異常、胎盤形成・機能異常 再生医療 内部細胞塊(ICM)やiPS万能細胞から各種細胞へ(臓器は?) 哺乳類では、細胞までは創られているが、臓器形成には至っていない どのように3次元構造を創りだすのか? がん トロホブラスト細胞の増殖性・遊走性(転移) 臓器移植 胎児の半分は父方の遺伝子で構成されている 母親にとって胎児は「異種タンパク・異種臓器」 母親は、胎児を異種タンパクとして認識し、抗体まで産生している 臓器移植とは全く反対の現象 これらはすべて、生殖現象とそのメカニズム(の解明)から説明が可能となる・・・
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