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INDEXと本ガイドブックの見方 ガイドブックの見方 INDEXと本ガイドブックの見方 p.01

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0 1 W G ガイドブック 〜 基礎知識編 〜 2016年3月 WG1 基礎知識編

1 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 INDEXと本ガイドブックの見方 ガイドブックの見方 INDEXと本ガイドブックの見方 p.01
序章 気候変動の要因 気温の上昇 温室効果ガス濃度 気候の安定化 水循環 p.01 p.02 p.13 p.20 p.27 p.33 p.40 各ページの内容について、該当するものに印がついています。 2 AR5 : AR5で示された内容 Q&A : 伝える場で出そうな質問と答え関連情報 : 内容に関連する事項 3 4 5 6 7 8 海洋 雪氷圏 異常気象 付録:用語解説 p.46 p.58 p.66 p.72 9 10 各項目やグラフ内でポイントとなる点は、赤字で明記。そのポイントをグラフの下に解説。 AR4との比較や、その項目に関連する話題などは別途コラムとして解説。

2 2. 序 章

3 AR5 2. 序 章 2-1 IPCCとは ■ IPCCとは IPCC AR5 執筆者について※1 ■ これまでに出された評価報告書
IPCCは、1988年に世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)により設立された組織で、現在の参加国は195か国、事務局はスイス・ジュネーブにあります。IPCCでは、人為起源による気候変動、影響、適応及び緩和方策に関し、科学的、技術的、社会経済学的な見地から包括的な評価を行い、報告書としてとりまとめています。「第5次評価報告書」(2013年~2014年)は、世界中で発表された9,200以上の科学論文を参照し、800名を超える執筆者により、4年の歳月をかけて作成されました。 IPCC評価報告書の作成には世界中からノミネートされた大変多くの研究者の中からIPCCビューローによって選出・承認されます。 その選出には、各章立てに、研究者の専門性や研究の質、また全体の地域的なバランス(先進国や、ある一定の国から執筆者が集中しないようにする等)を考慮して選ばれます。 日本※2からの執筆者はWG1に10名、WG2に11名、WG3に10名、SYRに1名、のべ32名です。 執筆者は、基本的に下記のように分類されています。 ■ これまでに出された評価報告書 第1次評価報告書(FAR) 1990年 第2次評価報告書 (SAR) 1995年 第3次評価報告書 (TAR) 2001年 第4次評価報告書 (AR4) 2007年 人為起源の温室効 果ガスは気候変化 を生じさせるおそ れがある。 識別可能な人為的 影響が全球の気候 に現れている。 過去50年間に観測さ れた温暖化の大部分 は、温室効果ガス濃 度の増加によるもの であった可能性が高 い。 気候システムの温暖化には疑 う余地がない。20世紀半ば以 降に観測された世界平均気温 の上昇のほとんどは、人為起 源の温室効果ガス濃度の増加 によってもたらされた可能性 が非常に高い。 統括執筆責任者(CLA) 担当章全体の執筆方針、 編集及び執筆を担当する 代表執筆者(LA) ある章の中の担当部分の原稿を 実際に執筆する 査読編集者(RE) 担当章全体の査読を通し、 編集に貢献する 執筆する 方針を決める 査読する AR5 ■「IPCC第5次評価報告書」(AR5)公表の流れ 第1作業部会(WG1) 報告書 気候システム及び 気候変動の 自然科学的根拠 についての評価 2014年10月 コペンハーゲン 2013年9月 ストックホルム 2014年3月 横浜 2014年4月 ベルリン 第2作業部会(WG2) 気候変動に対する 社会経済及び自然 システムの脆弱性、 気候変動の影響 及び適応策の評価 第3作業部会(WG3) 温室効果ガスの 排出削減など 気候変動の緩和策 の評価 統合報告書(SYR) WG1~WG3の 報告書と特別報告書 の内容に基づき AR5の最終文書とし て気候変動に関する 総合的見解を提示 ※1.参考 IPCC WG1国内事務局HP (    およびIPCC HP(                 ※2.執筆者の記載情報がJapan(国籍・国/組織)

4 2. 序 章 2-2 気候変動について ■ 気候とは □ 変動と平均のイメージ
2-2 気候変動について ここでは、気候変動がどのようにして起こるかといったメカニズムについて、基本的な概念や用語を解説します。概念や用語などについては、 “IPCC第4次評価報告書 第1作業部会報告書概要及びよくある質問と回答(気象庁訳)(以下「AR4 WG1概要及びFAQ(気象庁訳)」と記載します)”や“気候変動の観測・予測及び影響評価統合レポート「日本の気候変動とその影響(2012年度版)」(文部科学省、気象庁、環境省)(以下「日本の気候変動とその影響(文部科学省等)」と記載します。)”などを参考に作成しています。 ■ 気候とは □ 変動と平均のイメージ 「日本の気候変動とその影響(文部科学省等)」によると、「気候」とは、一般に「十分に長い時間について平均した大気の状態」のことと説明されています。長い期間で平均すると、短期間の変動が取り除かれますので、それぞれの場所で現れやすい状態と考えることができます。(右図) 気候の地域性や時間的な変化を解析する際の基準として、しばしば「平年値」が用いられます。世界気象機関(WMO)では、平年値は30年間の平均値として定義しています。これは、「1世代30年」といわれるように、社会の変化の時間スケールが30年程度であるためです。 しかし、気候を定義する時間スケールは様々であり、30年とは異なる平均期間が用いられる場合もあります。また、どの30年間を用いた平年値であるかも、国や統計などによって異なるので注意が必要です。 平均すると短期間の変動が取り除かれる 例えば、気温(℃)など ある期間(十分に長い時間) 期間(年) 赤線:状態の変動 青線:ある期間における平均的な状態 出典:WMO気候の辞典を基に作成

5 2. 序 章 2-2 気候変動について ■ 気候変動とは □ 気候の変化のイメージ
2-2 気候変動について ■ 気候変動とは □ 気候の変化のイメージ 気候は必ずしも定常的なものではなく、より長い期間で見ると、右図のように様々な変化が現れます。「日本の気候変動とその影響(文部科学省等)」によると、このような変動や変化を広く「気候変動」と呼ぶと説明しています。 「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」では、人間活動の影響(「人為的影響」ともいいます。)による気候の変動や変化と自然変動を含む気候の変化を「気候変動」と記述しています。 「気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)」などでは、基本的に人間活動の影響による気候の変動や変化を「気候変動」と記述しており、同じ用語であっても、出てくる資料、場面、文脈などによって意味が異なる場合があります。 本ガイドブックでは、IPCCと同様の意味で「気候変動」という用語を用いています。 (a) (b) (c) (d) 例えば、気温(℃)など それぞれ、期間(年) 赤線:状態の変動 青線:ある期間における平均的な状態 (a)平均的な状態がある方向に継続して変化するパターン (b)周期的・規則的に変動するパターン (c)ある時点を境に平均的な状態が大きく変化するパターン (d)平均値は変化しなくても、短期変動の幅が増大または減少するパターン ※注:気象学では、図の(a)のような長期的に一方向の変化を「気候変化」と呼んで、「気候変動」と区別することもあります。 出典:WMO気候の辞典を基に作成

6 ■ 気候を決める要因と気候システムについて □ 気候システムを構成する要素と、相互作用の概念図
2. 序 章 2-2 気候変動について ■ 気候を決める要因と気候システムについて □ 気候システムを構成する要素と、相互作用の概念図 気候は、大気の平均的な状態を示すものですが、大気の変化には海洋、陸面、雪氷などが深くかかわっています。 「日本の気候変動とその影響(文部科学省等)」によると、 大気、海洋、陸面、雪氷などの相互の関連を一つのシステムとして捉えて「気候システム」と呼ぶと説明しています。 右図は、気候システムを構成する要素と、相互作用の概念を表したものです。気候システムに外部から影響(「強制力」ともいいます。)が与えられると、気候は変化します。地球規模の気候を決める主な要因には下表のようなものがあります。それぞれの具体的な仕組み・メカニズムの概要や、用語の意味などについては、本章の解説(後述)、各章のQ&Aや関連情報、用語解説などを参照してください。 出典:AR4 WG1概要及びFAQ(気象庁訳) □ 地球規模の気候を決める主な要因 気候システム 外部からの 影響 (強制力) 主な自然起源 の要因 太陽活動の変動 大気上端で受け取る太陽放射量の変化 地球の公転軌道の変動 火山の噴火によるエーロゾルの増加 地表で受け取る日射量の変化 主な人為起源 (人間活動の 影響) 化石燃料等を起源とする温室効果ガスの排出による大気組成の変化 地表面に到達する赤外線の量の変化 森林伐採や土地利用の変化 地表面の反射率の変化、二酸化炭素吸収源の変化など 大気汚染物質(硫酸塩エーロゾルや黒色炭素など)の排出 地表で受け取る日射量の変化、雲粒径や雲量の変化による雲の反射率の変化 内部の影響 熱帯太平洋の海面水温が数年規模で変動するエルニーニョ/ラニーニャ現象や、太平洋十年規模振動などをもたらす、大気-海洋相互作用など 出典:「日本の気候変動とその影響(2012年度版)」(文部科学省等)より作成

7 ⑥ ⑯ ① ⑮ ⑫ ③ ② ⑩ ⑪ ⑬ ⑤ ④ ⑭ ⑦ ⑧ ⑨ 2. 序 章 2-2 気候変動について
2-2 気候変動について ■ 地球の気温とエネルギー収支について(1/2) □ 地球全体のエネルギー収支(年平均) 地球全体の平均気温は、地球に入ってくるエネルギー(太陽放射)と、地球から出て行くエネルギー(外向きの赤外線放射)の収支によって決まります。 右図は、年平均の地球全体のエネルギー収支(図中の数値は各過程でやり取りされるエネルギー量)と、人間活動が影響する主な過程(図中の青吹出し)を示したものです。 <エネルギーの流れ> 地球は、太陽からエネルギーを受け取り(①)、そのうちおよそ3分の1は反射して宇宙空間に戻されます(⑥、※⑥=③+⑤)。残りのおよそ3分の2が地表(④)や大気(②)に吸収されます。 地表に吸収されたエネルギーは、赤外線として大気に再放射(※注1)されます(⑨)。また、地表からは顕熱(※注2)(⑦)や水蒸気(⑧)の形でエネルギーが放出されます。これらのエネルギーの一部が大気中の分子に吸収されることで(※②+⑦+⑧+⑩) 、大気は暖められます。 エネルギーを吸収した大気中の分子は、あらゆる方向へ赤外線を再放射し(※⑬+⑮)、再び地表面を暖めます(⑭)。この現象を温室効果と呼びます。 大気の主成分である窒素や酸素は、温室効果にはほとんど影響しません。赤外線を吸収しやすい水蒸気や二酸化炭素などのガスが、温室効果に大きな影響を与えます。これら大気を暖める効果を持つガスのことを温室効果ガス(※注3)と呼びます。 出典:AR4 WG1概要及びFAQ(気象庁訳) を元に作成 ※注1:一般に、物体は、その温度が高いほどたくさんのエネルギーを赤外線として放出します。 ※注2:物体の温度を上げるのに使われる熱。地表面による大気の加熱など。地表面温度が地表付近の気温より高い場合、顕熱は地表面から大気に運ばれる(地表面は顕熱を放出)。逆に地表面温度が地表付近の気温より低い場合、顕熱は大気から地表面に運ばれる(地表面は顕熱を吸収)。 ※注3:温室効果ガスは、特定の波長域にある赤外線を吸収しやすい分子構造を持っています。 <エネルギーの収支> どの過程においても、エネルギーの収支が釣りあった状態に落ち着きます。 例えば、 ○地球全体のエネルギー収支 地球へ入ってくるエネルギー(①)=宇宙空間へ放出されるエネルギー(⑥+⑯)※両辺ともに342W/m2 ○大気のエネルギー収支 大気へ入ってくるエネルギー(②+⑦+⑧+⑩)=大気から放出されるエネルギー(⑫+⑬+⑮)※両辺ともに519W/m2 ○地表面のエネルギー収支 地表面へ入ってくるエネルギー(④+⑭)=地表面から出て行くエネルギー(⑦+⑧+⑨)※両辺ともに492W/m2

8 ■ 地球の気温とエネルギー収支について(2/2)
2. 序 章 2-2 気候変動について ■ 地球の気温とエネルギー収支について(2/2) <気候変動とエネルギー収支の関係> <放射強制力> 気候変動は、釣りあった状態のエネルギー収支に大きな変化がもたらされることを意味します。人間活動による、エネルギー収支への影響の概要を以下に示します。 人為起源の要因や自然起源の要因によって、気候変動(地球のエネルギー収支の大きな変化)が引き起こされます。それらの要因の影響の度合いを放射強制力といいます。なお、太陽放射と地球大気内の赤外放射のバランスを変化させるものであることから「放射」という語が、また放射のエネルギー収支が釣りあった状態から、ずれた状態に押しやられることから「強制力」という語が用いられています。放射強制力は、通常、「大気上端で測った、地球上の単位面積あたりのエネルギー変化率」として定量化され、「W/㎡」という単位で表されます。なお、AR5で示された放射強制力の推定値ついては、「3.気候変動の要因」を参照してください。 ○温室効果ガスの増加 温室効果ガスが増えることで、大気中での赤外線の吸収と放出が繰り返される回数が増えます。そうすると、地表面に到達する赤外線の量も増え、地表面の温度が上昇します。 ○森林伐採や土地利用の変化 森林伐採や土地利用の変化によって、地表面での太陽放射の反射率が変化して、エネルギー収支にも変化がもたらされます。また、森林伐採により、森林による二酸化炭素吸収量が減少すると、大気中にとどまるCO2の量が増え、上記のように地表面の温度が上昇します。 ○大気汚染物質の排出 大気汚染物質として、硫酸塩などのエーロゾル(→用語解説)が大気中に増加すると、これらの物質が太陽放射を直接的に散乱・吸収するので、日射量が減衰して地表面の温度が下がります(日傘効果)。また、これらの物質は、雲の凝結核ともなるため、大気汚染物質が増えると雲粒径や雲量が増加することで、太陽放射の反射率が増加し、日射量が減少して地表面の温度を下げる効果が表れます。

9 2-3 観測方法、気候モデルの概要 及び評価結果の表現
2. 序 章 2-3 観測方法、気候モデルの概要 及び評価結果の表現 IPCCの第1作業部会では、気象要素等(気温、海水温、降水量等)の観測、観測が開始される以前の気候の記録、気候のメカニズムに関する理論的研究、気候モデルを用いたシミュレーションなど、独立した様々な科学的分析に基づいた気候変動に関する新たな証拠を示しています。 ここでは、AR5の内容を理解する上で重要な、観測方法、シミュレーションで用いられる気候モデルの内容、評価結果の表現について概要を示します。 ■ 観測方法 気温観測開始年 衛星観測機器の数 地上計測器(温度、気圧、風、放射、濁度、炭素収支) 海洋観測(海面水温、降水量等) 雲の観測 航空機 オゾンゾンデ 測風気球 ラジオゾンデ ロケット 衛星 航空機(化学組成) 国際地球観測年 ( ) 総オゾン/リモートセンシング 現場観測による大気化学 地球の気候を理解し、体系的に観測を実施するためには、大気、海洋、陸地などに対する様々な要素を観測するための技術・システムが必要となります。例えば、地上設置型の計測器から、船舶、ブイ、海洋計測器、気球、航空機、衛星にいたるまで、様々な方法を用いることとなります。 右図は、(上)これまでの観測技術の発展過程、(左下)気温の観測(※)が始まった年、(右下)衛星観測機器の数を示しています。 近年、新たな観測システムの発展により、観測データの精度が向上し、これまで観測データがなかったような場所でも観測ができるようになりました。同時に、増大した観測データを分析・処理するためのツールが開発され、地球の気候の全体像を描けるようにもなっています。 また、上記のような観測が開始されるより以前の気候(古気候ともいいます)の変動の全体像を把握するために、多くの代替データが得られるようにもなっています。(例えば、氷床コア(→用語解説)など。) ※GHCN(Global Historical Climatology Network) daily databaseにおける記録 出典:AR5 WG1 Fig. 1.12

10 2-3 観測方法、気候モデルの概要 及び評価結果の表現
2. 序 章 2-3 観測方法、気候モデルの概要 及び評価結果の表現 ■ 気候モデルとは 気候システムは複雑なものです。その将来の変化の予測には、気候システムを再現することができる「気候モデル」を使用します。気候モデルとは、気候システムを構成する大気や海洋などの中で起こることを、物理法則に従って定式化し、計算機(コンピューター)によって擬似的な地球を再現しようとする計算プログラムのことです。 気候モデルでは、世界全体を網の目に区切り、その格子点ごとに気温、風量、水蒸気などの時間変化を物理法則に従って計算(シミュレーション)することにより、将来の気候変化を予測します。日々の天気も基本的には同じ方法で予測されていますが、気候の将来予測は、100年を超えるような長期間を対象としますので、熱を長期間蓄積する海洋の流れや、海洋と大気の熱や水などのやり取りが重要となります。このため、これらをうまくコンピューターによって再現することが必要で、これまで多くの力が注がれてきました。 気候モデルを使って、人間活動に伴う温室効果ガスや大気汚染物質の微粒子(エーロゾル)の濃度を変化させると、将来の人為起源の気候変化が予測できます。予測の結果の確からしさについては、これまでに起こった気候の変化(変動)についての観測結果を、気候モデルで再現できるかどうかで確認されます。 例えば、右図は、自然起源と人為起源の要因を考慮に入れてシミュレーションを行った結果です。自然起源と人為起源の両方の要因を考慮に入れた場合は、実際の気候の変化に近い結果が得られています。一方、自然起源の要因のみを考慮に入れた場合は、実際の気候の変化は再現できていません。このように、 過去の気候の変化を再現できることが、将来の気候の変化を予測できる能力があると考えられる根拠の一つになっています。 地上気温(陸地のみ) 地上気温(陸地と海上) (年) (年) 黒線:観測結果 青帯:自然起源(太陽活動+火山活動)の影響のみを考慮した複数のシミュレーション結果 赤帯:自然起源の影響と人間活動の影響(人為起源温室効果ガス等)を加えた場合の複数のシミュレーション結果 注1:地上気温は 年の平均からの偏差。 注2:青帯と赤帯の幅は、複数のシミュレーション結果の5~95%が含まれる範囲を示す。 注3:黒線(観測結果)について、データの量や質が十分でないところは、破線で示されている。 (気象庁HP 出典:AR5 WG1 政策決定者向け要約 Fig SPM.6一部抜粋

11 2-3 観測方法、気候モデルの概要 及び評価結果の表現
2. 序 章 2-3 観測方法、気候モデルの概要 及び評価結果の表現 ■ 気候モデルの開発・発展の変遷 左下の図は、直近の35年間における、気候モデルの開発・発展の変遷です。気候システムの構成要素(大気、地表面、海洋など)が段階的に気候モデルに統合されていった過程が示されています。図中の円柱の高さは、各要素(例えば、大気)について、モデルで評価できる複雑さとプロセスの範囲を表しており、時間とともに扱える範囲が増えてきていることが分かります。 右下の図は、(a)現在の高解像度モデル(空間メッシュが87.5km×87.5km)と、(b)現在試験中の超高解像度モデル(空間メッシュが30.0km×30.0km)によってヨーロッパの地形で表したものです。モデルの解像度も向上していることが分かります。 1970年代 中頃 1980年代 大 気 地表面 海と海氷 エーロゾル 炭素循環 植 生 大気化学 陸 氷 (a) (b) 結合気候モデル 出典:AR5 WG1 Fig 1.13 出典:AR5 WG1 Fig 1.14

12 2-3 観測方法、気候モデルの概要 及び評価結果の表現
2. 序 章 2-3 観測方法、気候モデルの概要 及び評価結果の表現 ■ IPCCの評価報告書における「確信度」と「可能性」の表現 気候変動の予測は、観測、仮説の設定、実験、コンピューター上でのモデル実験等に基づいて結論を出しますが、それぞれの過程において、不確実性が生じます。 そこで、その不確実性がどの程度、結論に影響を与えるかを考慮し、「結論の確からしさの度合い」を執筆者チームで検討します。 「結論の確からしさの度合い」のうち、質的な確からしさは「確信度」という物差しで表現します。また、確からしさが、量的にも評価できる場合、「(確からしさの)可能性」という物差しで表現します。 ○「確信度」 → モデル、解析あるいは意見の正しさに関する質的な確からしさを表す用語です。“証拠(例えば、データ、モデル、理論、専門家の判断など)の種類、量、品質及び整合性”と“特定の知見に関する文献間の競合の程度などに基づく見解の一致度”に基づいて、定性的に表現されます。 ○「可能性」 → はっきり定義できる事象が起こった、あるいは将来起こることについての確率的な評価を表す用語です。 □ 「確信度」の定義(証拠、見解の一致度との関係) □ 「可能性」の定義 ほぼあり得ない 見解一致度は高い High agreement 証拠は限定的 Limited evidence 証拠は中程度 Medium evidence 証拠は確実 Robust evidence 見解一致度は中程度 Medium agreement 見解一致度は低い Low agreement 証拠(種類、量、質、整合性) 非常に高い Very high 高い High 中程度 Medium 低い Low 非常に低い Very low 確信度の尺度 見解の一致度

13 3. 気候変動の要因

14 気候変動には人間活動が影響 ✔ 3. 気候変動の要因
AR5では、20世紀半ば以降に観測された気候変動(→「2.序章」参照)は、人間活動の影響(→「2.序章」参照)が主な要因である可能性が極めて高い(95%以上)ことが示されました。 ■ 観測結果とシミュレーション結果による気候変動の比較(世界平均) 地上気温(陸地のみ) 地上気温(陸地と海上) ポイント 黒線と赤帯 海洋貯熱量 気温(℃) 気温(℃) 貯熱量(1022J) (年) (年) (年) 黒線:観測結果 青帯:自然起源(太陽活動+火山活動)の影響のみを考慮した複数のシミュレーション結果 赤帯:自然起源の影響と人間活動の影響(人為起源温室効果ガス等)を加えた場合の複数のシミュレーション結果 注1:地上気温は 年の平均からの偏差。海洋貯熱量は 年の平均からの偏差。 注2:青帯と赤帯の幅は、複数のシミュレーション結果の5~95%が含まれる範囲を示す。 注3:黒線(観測結果)について、データの量や質が十分でないところは、破線で示されている。 出典:AR5 WG1 政策決定者向け要約 Fig SPM.6 一部抜粋 上の図は、観測結果(黒線)と、自然起源(太陽活動や火山活動)の影響のみを考慮したシミュレーション結果(青帯)、さらに人間活動の影響を加えたシミュレーション結果(赤帯)を比較したものです。「地上気温(陸地のみ)」、「地上気温(陸地と海上)」、「海洋貯熱量」の全てにおいて、人間活動の影響を加味しないと、シミュレーション結果と観測結果が合致しないことから、気候変動は人間活動の影響が主な要因である可能性が極めて高いということができます。 ポイント AR4との違い 〈 AR4 〉 気候変動は、人間活動の影響が主な要因である可能性が非常に高い(90%以上) 〈 AR5 〉 気候変動は、人間活動の影響が主な要因である可能性が極めて高い(95%以上)(※結論の確からしさが向上)

15 ほぼ全ての地域・海域で、人間活動を考慮しないと観測結果を説明できない
3. 気候変動の要因 ほぼ全ての地域・海域で、人間活動を考慮しないと観測結果を説明できない 右図は、地域・海域別での、以下の気候変動に対する観測結果とシミュレーション結果の比較です。 ○各大陸の地上平均気温の変化(黄色いパネル)  ※ 年の地上平均気温からの偏差 ○北極と南極の海氷面積の変化(白いパネル)  ※ 年の平均海氷面積からの偏差 ○主な海域の海洋貯熱量の変化(青いパネル)  ※ 年の平均海洋貯熱量からの偏差 ほぼ全ての大陸や海域で(※)、人間活動の影響を加味したシミュレーション結果(赤帯)は、観測結果(黒線)をよく再現しています。一方、人間活動の影響を加味しないシミュレーション結果(青帯)では、観測結果(黒線)を再現できていません。 ※南極大陸のように、人間活動の影響の有無の区別が付きにくい地域・海域もあります。 ■ 観測結果とシミュレーション結果による気候変動の比較(地域・海域別) 北極 北アメリカ ヨーロッパ アジア オーストラリア アフリカ 南アメリカ 南極大陸 インド洋 南大洋 南大西洋 北大西洋 南太平洋 北太平洋 南極 気温(℃) 貯熱量(1022J) 海氷面積(106km2) 黒線:観測結果 青帯:自然起源(太陽活動+火山活動)の影響のみを考慮した複数のシミュレーション結果 赤帯:自然起源の影響と人間活動の影響(人為起源温室効果ガス等)を加えた場合の複数の     シミュレーション結果 ※グラフの横軸は西暦(年) 注1:青帯と赤帯の幅は、複数のシミュレーション結果の5~95%が含まれる範囲を示す。 注2:黒線(観測結果)について、データの量や質が十分でないところは、破線で示されている。 出典:AR5 WG1 政策決定者向け要約 Fig SPM.6 一部抜粋

16 大気を暖める要因と冷やす要因 ✔ 3. 気候変動の要因 大気を冷やす効果の強さ 大気を暖める効果の強さ
気候変動を引き起こす影響の度合いを放射強制力(→「2.序章」参照)といいます。右図は気候変動を引き起こす要因と、それらの1750年を基準とした放射強制力を示したものです。放射強制力が正(右向き)のものは大気を暖める効果があり、負(左向き)のものは大気を冷やす効果があります。 この図から、以下のようなことが分かります。 ○人為起源(人間活動)の影響が大きい。 ○二酸化炭素は、気候変動の要因の中で最も影響が大きい。 ○大気中を浮遊する微粒子であるエーロゾル(→用語解説)は、太陽光を吸収して大気を暖める効果と、太陽光を遮り大気を冷やす効果があるが、全体としては大気を冷やす効果が強い。 ○要因全体として、放射強制力は正味で正となり、大気を暖める方向に働く。 ○1750年と比較して、人為起源の放射強制力は年々大きくなっている。 大気を冷やす効果の強さ 大気を暖める効果の強さ 放射強制力 出典:AR5 WG1 政策決定者向け要約 Fig SPM.5

17 3. 気候変動の要因 氷期と間氷期のサイクル 300万年前から、地球の気候は、氷期と間氷期(→用語解説)を規則的に繰り返してきたことが分かってきました。 <氷期と間氷期のサイクルについて> 上記の規則的な周期は、ミランコビッチサイクルと呼ばれ、地球の公転軌道や地軸の傾きの規則的な変動に関連しているといわれています。 具体的には、次の3つの要因によって、季節ごとに各緯度で受け取る日射量が変化し、気候も変動します。北半球の大陸の夏季の日射量が、あるしきい値を下回ると、前年の冬の雪が夏に融けきらず、雪が積もるにつれて氷床が成長を始め、氷期が始まる要因となり得ることが、多くの研究によって示されています。 ①公転軌道の変化:地球は、楕円形の軌道で太陽を回っており、太陽と近づく距離が、定期的に変動する。 ②地軸の傾きの変化:約4万1000年の周期で、地軸が22.1度から24.5度の間を変化するもの。傾きが大きくなると、緯度が高い地域ほど、太陽からの距離が遠くなり、寒くなる。 ③地軸の歳差運動:約2万5800年の周期で、地軸がコマのように首振り運動を行うもの。 ■ ミランコビッチサイクルの概念図 出典:AR4 WG1概要及びFAQ(気象庁訳) <次の氷期の始まりについて> 氷期と間氷期は、10万年程度の周期で繰り返しています。前の氷期は約1万年前に終わり、現在は間氷期です。 氷期が始まるしきい値は、日射量だけでなく、大気中のCO2濃度にも依存します。ミランコビッチサイクルによる影響と、大気中のCO2濃度の増加による影響を踏まえて、次の氷期が始まる時期についてシミュレーションがなされた結果、大気中のCO2濃度が300ppm以上もしくは累積炭素排出量が1000PgC(※)を超えている場合、およそ5万年以内には次の氷期が始まらないことが示されました。(AR5) ※Pg(ペタグラム):1000兆グラム(10億トン) gC:炭素の重量に換算したもの

18 3. 気候変動の要因 太陽活動の影響 太陽活動の変化は、気候の変動に影響を及ぼします。例えば、1450年から1850年の小氷期は、太陽活動が弱かった時期と一致します。ただし、この期間における気温の低下は北半球で1℃未満でした。 <太陽活動の変化の観測について>   太陽活動の変化は、太陽黒点の変化の観測結果などから把握されています。太陽活動が活発化すると黒点が増加し、沈静化すると黒点が減少します。 ■ 北半球における過去の気温偏差( 年の平均気温からの偏差) 小氷期 気温偏差(℃) ※線の色の違いは、 使用している  データの違い 出典:AR5 WG1 Fig 5.7(a) (年) ■ 過去1000年の再構築された 全太陽放射照度の偏差 ( 年の平均※からの偏差) (年) 小氷期 全太陽放射照度偏差(W/m2) ※ W/m2 出典:AR5 WG1 Fig 5.1(b)

19 宇宙線は雲の量を増やさない ✔ 3. 気候変動の要因
銀河系宇宙からのエネルギー(銀河宇宙線)は、地球の雲の形成に影響を及ぼしており、宇宙線が増えると、低い雲が増え、地球が寒くなるという仮説(いわゆるスベンスマルク効果と呼ばれるもの)があります。 AR5では、宇宙線と雲量の間の強い関連性は見出されていないと報告しています。 ■ 銀河宇宙線の概念図 超新星爆発に起因する太陽系外から来る高エネルギー荷電粒子。 太陽光とは異なる。 地球に届かず跳ね返される銀河宇宙線もある 出典:NASA HP

20 4. 気温の上昇

21 1880年から0.85℃上昇 ✔ 観測結果 4. 気温の上昇 4-1 観測結果
4-1 観測結果 1880年から0.85℃上昇 世界の平均気温(→用語解説)についての観測結果から、気候システム(→「2.序章」参照)の温暖化には疑う余地がなく、1950年代以降に観測された変化の多くは、数十年から数千年間にわたり前例のないものとなっています。 ■ 観測された世界の平均気温の時系列図 (℃) (℃) 年平均 ポイント ① 10年平均 ポイント ② 年平均気温からの偏差 年平均気温からの偏差 (年) (年) 出典:AR5 WG1 政策決定者向け要約 Fig SPM.1 ① 1880年(工業化初期)から2012年(現在)までの間に、世界の平均気温は0.85℃上昇しています。 ② 2000年前後から、世界の平均気温の上昇率が緩やかになっています(このような状態を、ハイエイタス(→用語解説)といいます)。主な理由として、海洋深層による熱の吸収、太陽活動の低下や火山活動の影響などが挙げられています。 ③ 最近30年において、世界の10年平均の気温はいずれも1850年以降のどの10年平均の値よりも高くなっています。 ポイント AR4との違い 〈 AR4 〉 年の間に、世界の平均気温は0.74℃上昇 (※AR5とは観測期間が違う) 〈 AR5 〉 年の間に、世界の平均気温は0.85℃上昇

22 Q. A. 気温の上昇についてのQ&A ✔ どのようなことから世界が気候変動したことがわかるのか。 観測結果 4. 気温の上昇
4-1 観測結果 気温の上昇についてのQ&A Q. どのようなことから世界が気候変動したことがわかるのか。 A. 大気の上層から深海にいたるまでの複数の独立した気候指標(気温、海水温、氷河、積雪面積、海氷、海面水位、大気中の水蒸気量など)が、世界が気候変動していることを知る証拠となっています。世界中の科学者達がそれぞれ独自にこれらの証拠について検証を行ってきました。 <観測的証拠の例> ●世界の平均地上気温の上昇が、もっともよく知られた気候変動を表す指標となっています。 ●船上から観測された海洋上の気温の上昇傾向と、海面水温の上昇傾向は一致しています。これは、独立した多くの解析によって裏付けられています。 ●気象観測用気球のラジオゾンデ(無線機付き気象観測機器)の観測データと、衛星による観測データの解析結果は、対流圏の気温上昇を示しています。 ●1950年代以降の世界の海洋貯熱量の記録は、少なくとも1970年代以降において、気候システムにより吸収された過剰なエネルギーの90%以上が海洋に蓄積されていることを示しています。 ●海洋は暖まると熱膨張します。これが、過去一世紀にわたって観測されてきた海面水位上昇の主な要因の一つであるとされています。 ●世界中の氷河の質量は20年以上にわたり毎年減少しています。失われた氷の質量は、観測された海面水位の上昇に影響していることを示しています。 □ 世界が気候変動していることを知る証拠となる気候的指標 氷河の体積 陸域地上 気温 積雪面積 水蒸気量 海氷面積 海上気温 海面水温 海面水位 海洋貯熱量 気温 最下層の数km(対流圏) 矢印の方向は変化の符号をあらわします。 出典:AR5 WG1 FAQ 2.1 Fig 1

23 Q. Q. A. A. Q. A. 気温の上昇についてのQ&A ✔ 火山活動の影響で、なぜ気温上昇が緩やかになるのか。
観測結果 4. 気温の上昇 4-1 観測結果 気温の上昇についてのQ&A Q. Q. 火山活動の影響で、なぜ気温上昇が緩やかになるのか。 気温は以前から世界中で観測されてきたのか。 A. A. 火山噴火が起こると、大気中に二酸化硫黄などが放出され、気体成分の二酸化硫黄は化学反応により硫酸エーロゾル(→用語解説)となって大気中に留まります。硫酸エーロゾルは太陽放射の地表面への入射量を減少させる日傘効果によって、地表面の気温上昇を和らげます。 およそ1850年から測器による観測データがありますが、19世紀後半ごろまでは世界全体のうちで観測データのある地域の割合はそれほど高くありませんでした。南極大陸で観測が始まった1957年以降、観測データのある地域の割合は高まっていき、衛星観測が始まった1980年以降は、ほぼ世界全体で観測が行われるようになりました。 Q. 観測結果の図に複数の線があるのはなぜか。 □ 気温の観測※が始まった年 A. 観測結果の図に複数の線があるのは、観測されたデータセットの違いを示しています。 ※米国海洋大気庁気候データセンターが整備したGHCN(Global Historical Climatology Network)の気温データ 出典:AR5 WG1 Fig 1.12より一部抜粋

24 日本の平均気温も上昇している ✔ 観測結果 4. 気温の上昇 4-1 観測結果 ■ 日本における年平均気温
4-1 観測結果 日本の平均気温も上昇している ■ 日本における年平均気温 □ 日本における年平均気温の1981~2010年平均からの差 日本の年平均気温は、長期的には100年あたり約1.16℃の割合で上昇しています。これは、世界の平均気温が132年で0.85℃上昇しているというAR5で示された観測結果と比較して、高い上昇率となっています。 AR5でも、ほとんど地球全体で地上気温が上昇していると言及されており、まさに日本の平均気温も上昇している形となっています。 細線(黒):各年の平均気温のz基準値からの偏差 太線(青):偏差の5年移動平均 直線(赤):長期的な変化傾向 基準値は1981〜2010年の30年平均値 ※用いているデータは1898年以降継続している気象観測所の中から、都市化による影響が少なく、特定の地域に偏らないように選定された15地点のデータです。なお観測地点は次のとおりです。網走、根室、寿都(すっつ)、山形、石巻、伏木(高岡市)、飯田、銚子、境、浜田、彦根、宮崎、多度津、名瀬、石垣島。(2016/3/3時点確認) 出典:気象庁HP

25 (SRESシナリオを使用) (※AR5とはシナリオと対 象期間が違う)
将来予測 4. 気温の上昇 4-2 将来予測 21世紀末に最大で4.8℃上昇 気候モデル(→「2.序章」参照)によって予測された21世紀末の世界の気温は、どのようなシナリオ(→用語解説)を想定しても、現在より上昇する結果となっています。 ■ 世界の平均気温の変化の予測  (1986~2005年平均を基準とした変化) ■ 21世紀末における年平均気温変化の予測  (1986~2005年平均を基準とした変化) 予測値 (℃) 有効な気候変動対策が 取られない場合 ポイント ② 地域差がある ポイント ① RCP8.5では21世紀末に最大4.8℃上昇 平均 過去の期間のモデル結果 非常に多くの気候変動対策が取られた場合 ポイント ① RCP2.6では21世紀末に最大1.7℃上昇 出典: AR5 WG1 政策決定者向け要約 Fig SPM.7(a)、 Fig SPM.8(a) AR4との違い 〈 AR4 〉 21世紀末までに 1.1~6.4℃上昇 (SRESシナリオを使用) (※AR5とはシナリオと対 象期間が違う) 〈 AR5 〉 0.3~4.8℃上昇 (RCPシナリオを使用) ① 21世紀末( 年)までに世界の平均気温は、有効な気候変動対策が取られないシナリオ(「RCP8.5」といいます)では2.6~4.8℃上昇する可能性が高いと予測されています。非常に多くの気候変動対策が取られた場合のシナリオ(「RCP2.6」といいます)でも0.3~1.7℃上昇する可能性が高いと予測されています。 ② 気温の上昇量は、地域によって異なります。 ポイント

26 Q. A. Q. A. 気温の上昇についてのQ&A ✔ 北極で気温上昇率が高いのはなぜか。 陸地と海で気温の上昇率が違うのはなぜか。
将来予測 4. 気温の上昇 4-2 将来予測 気温の上昇についてのQ&A Q. 北極で気温上昇率が高いのはなぜか。 A. 北極は氷で覆われています。雪氷は太陽光を反射しやすく熱を吸収しにくい特性がありますが、気温の上昇により雪氷が融けることで、太陽光の反射率が低下します。これにより雪氷が融けてなくなったところが太陽光を吸収しやすくなり、周辺を暖めます。すると、さらに雪氷が融けて、太陽からの熱吸収が大きくなっていくという現象が進行していくため、気温の上昇率が高くなります。この現象を“雪氷-アルベド・フィードバック”といいます。 Q. 陸地と海で気温の上昇率が違うのはなぜか。 A. 陸地と海では比熱や熱容量が違うため、気温の上昇率も違います。陸地は温まりやすいですが、海は温まりにくいという性質があります。また、海で盛んな蒸発は、海水が蒸発する際に周囲の熱を奪う作用により気温を上がりにくくする働きがあります。そのため陸地と海では気温上昇率が異なってきます。

27 5. 温室効果ガス濃度

28 二酸化炭素(CO2)濃度は工業化以前と比べて40%増加
観測結果 5. 温室効果ガス濃度 観測結果 二酸化炭素(CO2)濃度は工業化以前と比べて40%増加 大気中の二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)といった温室効果ガスの濃度は、少なくとも過去80万年間において前例のない水準まで増加しています。 ■ 大気中のCO2濃度の変化 ポイント ① CO2濃度は 40%増加 赤線:マウナロア観測所(ハワイ州) 黒線:南極点 ポイント ② 他の温室効果ガスの 濃度も増加 CO2濃度(ppm) (年) 出典:AR5 WG1 政策決定者向け要約 Fig SPM.4(a) ① 大気中のCO2濃度は、人間の活動によって1750年以降増加し続けており、2011年には391ppm※1に達しています。これは、工業化以前と比べて40%高い水準となっています。濃度増加の主な要因は、化石燃料の燃焼やセメント生産によるCO2の排出と、森林伐採や土地利用の変化によるものとされています。 ② CH4濃度やN2O濃度についても、CO2濃度と同様に増加し続けており、2011年にはそれぞれ1803ppb※2、324ppbに達しています。これらは、工業化以前と比べてそれぞれ150%、20%高い水準となっています。 ※1. ppm:100万分の1を表す単位。1㎥の大気中に1c㎥の気体が含まれる状態。 ※2. ppb :10億分の1を表す単位。1㎥の大気中に1m㎥の気体が含まれる状態。 ポイント

29 Q. A. 温室効果ガス濃度についてのQ&A ✔ 工業化以前の温室効果ガス濃度はどの程度だったのか。 観測結果 5. 温室効果ガス濃度
0年~1750年:工業化以前 1750年~2011年:工業化以降 大気中のCO2、CH4及びN2Oの濃度について、右側のグラフは工業化以降(1750年以降)の観測結果、左側のグラフは工業化以前(0-1750年)の観測結果を示しています。 グラフにおけるカラーのプロットは氷床コア(→用語解説)などの測定結果で、近年における実線は直接的な大気の測定結果です。 例えば、CO2については工業化以前は280ppm程度であったことが分かります。 CO2濃度(ppm) 278ppm CH4濃度(ppb) 722ppb 271ppb N2O濃度(ppb) (年) 出典:AR5 WG1 Fig 6.11

30 Q. A. 温室効果ガス濃度についてのQ&A ✔ CO2は大気中に放出された後にどうなるのか。 観測結果 5. 温室効果ガス濃度 観測結果
①大気、海洋表層、植生(植物)の間に急速に分配される。 ②その後、炭素は土壌、深海、岩石といった、地球規模の様々な炭素貯蔵庫の間を非常にゆっくりと移動し続ける。(地質プロセスによる炭素の移動) 放出されたCO2の総量に応じて、その15~40%が最大2000年間、大気中に残ります。その後に大気、陸域生物圏、海洋の間で新たなバランスが確立されます。また、地質プロセスによる炭素の移動は数万年から数十万年以上をかけて行われます。 そのため、現在の大気中の高いCO2濃度と、それに関連した気候への影響は、将来において非常に長い期間続いていきます。 出典:AR5 WG1 FAQ 6.2 Fig1

31 Q. A. 温室効果ガス濃度についてのQ&A ✔ CO2の排出量と吸収量の収支はどの程度か。 観測結果 5. 温室効果ガス濃度 観測結果
年の期間における1年あたりの平均CO2収支は右の表の通りです。人為的なCO2排出量の方が自然によるCO2吸収量を大きく上回っており、大気中にCO2が蓄積していることが分かります。 なお、AR4で示された1990年代におけるCO2収支(以下)に比べて、大気へ蓄積する量が増加しています。 (2002〜2011年の1年あたりの平均) 排出起源 (内訳) GtC/年※1 (1)人為的CO2排出量 化石燃料の燃焼 + セメント生産からの排出 8.3[7.6〜9.0] 土地利用変化からの排出 0.9[0.1〜1.7] 9.2 (2)自然によるCO2吸収量 海洋による吸収 2.4[1.7〜3.1] 陸域生態系による吸収 2.5[1.2〜3.8] 4.9 CO2収支=(1)-(2) ※大気に蓄積する量 4.3 [ AR4 ] (1)人為的CO2排出量 :8.0 GtC/年※1 (2)自然によるCO2吸収量 :4.8 GtC/年 CO2収支=(1)-(2)= 3.2 GtC/年 ※1 Gt:10億トン(1Gt=1Pg)    tC:炭素の重量に換算したもの [ ]内の数値は、観測データによる不確実性の幅 出典:AR5 WG1 Table 6.1を基に作成

32 日本のCO2濃度も400ppmを超え始めた ✔ 観測結果 5. 温室効果ガス濃度 観測結果 ■ 日本におけるCO2濃度
マウナロア観測所は、産業活動などの影響を受けにくく、最も長期間観測を続けてきたので、ここからのデータは気候変動の観測における重要な指標となっています。 日本におけるCO2濃度の月平均値も、2013年以降、国内3地点(綾里、南鳥島、与那国島)で毎年400ppmを超えるようになりました。また3地点におけるCO2濃度の2014年の年平均値が、綾里と与那国島で初めて400ppmを超え、2015年4月の月平均値でも3地点で過去最高を更新しました(下表)。CO2濃度は、植物による光合成(CO2を吸収して酸素を放出する)が活発になる春から夏にかけて減少し、夏から翌春にかけて増加するという季節変動を示しますが、年平均の値は上昇してきています。 □ 陸上(大気中)のCO2濃度 出典: 気象庁HP □ CO2濃度の月平均値変化 □ 各観測地点 CO2濃度(ppm) 出典: 気象庁HPから一部抜粋 3地点とも2014年以降は速報値 出典: 気象庁HPから作成(2016/3/3作成データ) (年)

33 6. 気候の安定化

34 二酸化炭素(CO2)の累積排出量と気温上昇は比例
6. 気候の安定化 将来予測 将来予測 二酸化炭素(CO2)の累積排出量と気温上昇は比例 人為起源のCO2の累積排出量が、世界の平均気温の上昇を決定づける大きな要因となっています。 ■ 世界全体のCO2累積排出量と平均気温の上昇量の関係 1870年以降の人為起源のCO2の累積総排出量(Gt-CO2※) 赤帯:CO2以外の温室効果ガスの効果も含めた場合の予測 ポイント CO2累積排出量と 気温上昇は比例 1861~1880年平均と比較した気温変化(℃) 灰帯:CO2のみの増加を    想定した場合の予測 (※)Gt : 10億トン t-CO2:二酸化炭素の重量に換算したもの tC:炭素の重量に換算したもの 1t-CO2=44/12tC 出典:AR5 WG1 政策決定者向け要約 Fig SPM.10 CO2の累積排出量と世界の平均気温の上昇量はほぼ比例関係にあります。シミュレーション結果の幅はありますが、気温の上昇を一定の値に抑えるにあたって、今後排出できるCO2の総量が決まります。例えば、世界の平均気温の上昇を、産業革命以前から2℃未満に50%超の確率で抑えるには、温室効果ガスの累積排出量の上限が820GtC程度と予測されています。2011年における温室効果ガスの累積排出量が515GtCに達していますので、2℃未満に抑えるためには、あと305GtC程度の排出が上限となります。 ポイント

35 二酸化炭素(CO2)の排出を止めても気候変動は何世紀も続く
6. 気候の安定化 将来予測 将来予測 二酸化炭素(CO2)の排出を止めても気候変動は何世紀も続く 人間の活動によるCO2の排出が完全に止まっても、数世紀にわたり地上気温は高いままであり、海洋の温暖化も何世紀もわたり続くと考えられています。また、海の熱膨張による海面水位の上昇も何世紀も続くため、2100年以降も世界平均海面水位が上昇を続けることはほぼ確実とされています。 ■ CO2排出量の変化とそれに伴う大気中のCO2濃度、地上気温、海洋の熱膨張量の変化 CO2排出量変化 世界平均地上気温の変化 ポイント ② 上昇した気温はほぼ一定 ポイント ① 2300年以降はCO2 排出量をゼロにする (PgC/年) 年平均からの差(℃) ※2300年の気温の急速な低下は、モデル計算にてCO2排出量とともに、すべてのCO2以外の強制力も排除したために生じている (年) (年) 大気中のCO2濃度変化 海洋の熱膨張による海面水位の変化 ポイント ③ 熱膨張は 長期間続く ポイント ① CO2濃度は徐々に下がる 熱膨張による海面水位上昇量(m) (ppmv) (年) (年) 破線は工業化以前のCO2濃度を示す 出典:AR5 WG1 Fig 12.44 ① 2300年以降にCO2排出量をゼロにすると、それ以降は徐々に大気中のCO2濃度が下がっていきます。 ② 排出量がゼロになっても上昇した気温はなかなか下がらず数世紀続くと考えられています。 ③ 排出量がゼロになっても、海洋の表層から深層への熱の輸送は非常に長い時間を要するため、海洋の温暖化は何世紀も続き、これにより熱膨張が大きくなるため、何世紀も海面水位の上昇が続くことがほぼ確実とされています。 ポイント

36 Q. A. 気候の安定化についてのQ&A ✔ 今、人類が温室効果ガスの排出を止めたら将来の気候はどのようになるのか。 将来予測
6. 気候の安定化 将来予測 気候の安定化についてのQ&A Q. 今、人類が温室効果ガスの排出を止めたら将来の気候はどのようになるのか。 A. 人為的な温室効果ガスの排出によって生じる気候変動の大部分については、数百年から千年規模で不可逆的なもの(進行を止めることができないもの)です。 <気温の上昇について> 右の図は、「温室効果ガスの排出を止めた場合(青帯)」、「温室効果ガスの排出量を現状の水準で排出し続けた場合(赤帯)」及び「放射強制力(→「2.序章]参照)(温室効果ガス濃度を現状の水準で)一定とした場合(グレー帯)」の、世界平均地上気温の上昇量のシミュレーション結果です。 人為的な温室効果ガスの排出を止めた場合でも(青帯)、温室効果ガスの放射強制力はガスの寿命とあわせて、ゆっくりとしか減少しません。また、地球の気候システムの応答はさらに遅くなります。つまり、地球の気温は、温室効果ガスの濃度変化に迅速には応答せず、何世紀にもわたってほぼ同じ程度の温度に保たれます。なお、人為的な温室効果ガスの排出を止めると、硫酸塩エーロゾルのような、太陽放射を反射することにより負の放射強制力(大気を冷やす影響)をもつ物質も排除することとなり、結果的に大気や地表面による太陽放射の吸収量が増加することで、一時的に地球の気温が上昇することが予想されます。 世界平均地上気温の上昇量(℃) (年) アンサンブル平均の幅: 温室効果ガスの排出量を 現状の水準で排出し続けた場合 温室効果ガスの 排出を止めた場合 放射強制力(温室効果ガス濃度を現状の水準で)一定とした場合 出典:AR5 WG1 FAQ 12.3 Fig1 <その他の気候変動について> 海面水位の上昇や氷床の応答は、温室効果ガスの排出を止めた場合に気温が応答する時間よりも、さらに長い時間がかかります。また、これらを含む気候システムには、重大な気温上昇量のしきい値や、突発的、不可逆的な変化が存在するかもしれません。 例えば、「ある気温上昇量(=しきい値)」を超えた状態が続くと、1000年以上の時間をかけてグリーンランド氷床はほぼ完全に消失します。これに伴い、世界の平均海面水位が7m程度上昇すると考えられています。 そのしきい値の見積もりは工業化以前と比較して、約1℃より大きく、約4℃より小さいとされています。

37 Q. A. 気候の安定化についてのQ&A ✔ 技術的に気候変動の影響を軽減させることはできないのか。 将来予測 6. 気候の安定化 将来予測
ジオエンジニアリングと呼ばれる、気候変動の影響を軽減するために意図的に気候システムを改変する方法も提案されています。ジオエンジニアリングには大きく二つの手法があり、一つは太陽放射を管理する方法(SRM法:Solar Radiation Management)で、もう一つはCO2を人工的に除去する方法(CDR法:Carbon Dioxide Removal )です。 SRM法は、太陽の入射光を減少させることにより、地球規模の気温上昇を軽減させることができる可能性があります。しかし、地球規模の水循環を変化させてしまい、また、CO2の排出を抑制する手法ではないため、海洋へ吸収されるCO2により生じる海洋酸性化の進行を遅らせることはできません。もし、SRM法の使用を止めてしまうと、温室効果ガスによる放射強制力と一致する値まで、世界の平均気温が急激に上昇します(高い確信度)。 CDR法は、CO2を大気から取り除くことで、放射強制力を下げる方法です。しかし、費用が高く、また効果が表れるまで数十年を要し、即効性がないことが指摘されています。一方で、CO2を直接除去できるため、温度上昇のみならず、海洋酸性化の進行を抑えることが出来ます。 SRM法とCDR法は、気候システムに意図しない副作用や長期的な影響をもたらします。しかし、どの程度の影響を与えるかについて、十分な評価がまだできていません。 (AR5 WG1 SPM E.8及び杉山昌広(2012)気候工学(ジオエンジニアリング)の研究開発とガバナンスに関する海外動向の分析, 電力中央研究所報告書から作成) 太陽放射を 管理する方法 (SRM法) CO2を人工的に 除去する方法 (CDR法) 出典:気候変動リスク情報創生プログラムHP  

38 気温上昇を2℃未満に抑えるには、RCP2.6のような対策が必要
将来予測 6. 気候の安定化 将来予測 気温上昇を2℃未満に抑えるには、RCP2.6のような対策が必要 AR5で使用されたシナリオRCP8.5とRCP2.6のCO2排出量の予測を見てみると、有効な気候変動対策が取られない場合のRCP8.5と、非常に多くの気候変動対策を取った場合のRCP2.6では、将来の排出量に大きな差が出ています。 下のグラフを見るとRCP2.6の場合は2050年頃には、CO2排出量が1990年の量から半減し(下図矢印部分)、21世紀末には排出量が0~マイナス(大気中からCO2を除去)(下図破線円)となっています。RCP2.6のような非常に多くの気候変動対策を取ると、気温上昇を2℃未満に抑えることができる可能性があります。 ■ 化石燃料からのCO2排出量の予測 RCP8.5 (有効な気候変動対策が取られない場合) (ppm) CMIP5平均 IAM平均 RCP CO2排出経路 破線:IAM(統合評価モデル)による予測 実線及び陰影:CMIP5の地球システム統合モデルによる予測 化石燃料からのCO2排出量(PgC/年※) RCP2.6 (非常に多くの気候変動対策を取った場合) (年) ※Pg(ペタグラム):1000兆グラム(10億トン)   gC :炭素の重量に換算したもの 出典:AR5 TS Fig.TS.19 一部抜粋

39 気候の急激な変化について ✔ 将来予測 6. 気候の安定化 将来予測 ■ 海洋深層大循環の模式図 ■ 海洋深層大循環の停止
気候変動による影響には、気温の上昇量に応じて徐々に大きくなるものと、あるしきい値(ティッピングポイント→用語解説)を超えると急変をもたらすものがあります。後者の例としては、以下のようなものがあります。(「日本の気候変動とその影響」 (文部科学省・気象庁・環境省)より) ■ 海洋深層大循環の模式図 青帯:深層流 赤帯:表層流 ■ 海洋深層大循環の停止 海洋深層大循環とは、北大西洋のグリーンランド沖や南極周辺で、低温・高塩分のために密度の高い海水が深層まで沈み込み、1000年ほどかけて世界の海洋を一周する流れです。気候変動により海水温が上昇することと、高緯度で降雨が増加することなどで海水の塩分濃度が下がることによって、密度が軽くなります。これにより、北大西洋の海水の沈み込む量が減少し、海洋深層大循環が弱まるのではないかと考えられています。 AR5 WG1では、大西洋の深層循環の変化傾向を示す観測上の証拠はないと報告しています。大西洋の深層循環の予測については、AR5 WG1によると、深層循環が数十年規模の自然変動により強まる時期があるかもしれないが、21世紀を通じて弱まる可能性は非常に高いとされています。また、21世紀中に突然変化または停止してしまう可能性は非常に低いものの、21世紀より後の将来については、確信度は低いが、大規模な温暖化が持続することで大西洋の深層循環が停止してしまう可能性を否定することはできないと報告しています。 出典 気象庁HP (参考:気象庁HP  ■ グリーンランドにおける氷床の不安定化 グリーンランドの氷床については、一定の値を超える気温(※AR5では、工業化以前より1~4℃程度上昇した状態とされています)が続くと、雪氷-アルベド・フィードバック(→「4.気温の上昇」参照)によって、1000年あるいはそれより長期間をかけて氷床がほぼ完全に消失すると予測されています。

40 7. 水循環

41 1901年以降、北半球中緯度で降水量は増加 ✔ 観測結果 7. 水循環 7-1 観測結果
7-1 観測結果 1901年以降、北半球中緯度で降水量は増加 地球規模で水循環(→用語解説)に変化が生じています。 特に、降水量の変化については地域や季節での極端化が観測されています。 ■ 陸地における年降水量の変化 ポイント 降水量が増加 (mm/10年) 出典:AR5 WG1 政策決定者向け要約 Fig SPM.2 1901年以降、北半球の中緯度の陸地では、他の地域と比べて平均的に降水量が増加しました。 ポイント

42 Q. Q. A. A. 水循環についてのQ&A ✔ 地球の水循環の変化に対する証拠はあるのか。
観測結果 7. 水循環 7-1 観測結果 水循環についてのQ&A Q. Q. 地球の水循環の変化に対する証拠はあるのか。 干ばつ(降水量の減少)が進んでいる地域はどこか。 A. A. 水循環の変化については、大気中の水蒸気量の変化が地球の平均気温の上昇に応答しているということが、最も強い証拠となっています。さらに、海洋では降水量や蒸発量の長期的な観測データは不足しているものの、海水の塩分濃度の変化が雨量計による観測の代替となり、これも重要な証拠となっています。 具体的には、以下のような観測により水循環の変化が示されます。 <大気> ・暖かい空気は、冷たい空気よりも水蒸気を多く含むことができるので、地球の平均気温が上昇すると水循環が強化する(蒸発量と降水量がともに増える)と予想されます。 <海洋> ・海水には塩と淡水が含まれます。ここで、海水中の塩分量は、人類の活動の時間スケールではほぼ変化しません。そのため、海水中の塩分濃度の変化は、淡水の増減(降水による追加や蒸発による除去)に影響を受けます。 サヘル、地中海、アフリカ南部、南アジアの一部では乾燥化の傾向が見られます。また、干ばつの頻度や強度は、1950年以降、地中海と西アフリカで増加しています(可能性が高い)。陸上における降水の減少と蒸発散を増大させる昇温や乾燥は、干ばつ発生地域の拡大に影響を与えています。

43 降水量の地域差が拡大 ✔ 7. 水循環 将来予測 7-2 将来予測
7-2 将来予測 降水量の地域差が拡大 21世紀末までに、湿潤地域と乾燥地域で降水量の差が拡大していくと予測されています。 ■ 年平均降水量の変化 ポイント ① 中高緯度帯 ※有効な気候変動対策が取られなかった場合の降水量の変化予測(RCP8.5)。   年を基準とした、21世紀末( 年)の年平均降水量の変化の割合 ・ハッチ(斜線陰影) マルチモデル平均の変化量が内部変動(→「Q&A」参照)に比べ小さい(20年間の内部変動の1標準偏差未満である)領域 ・点陰影 内部変動に比べマルチモデル平均の変化量が大きく(20年間の内部変動の2標準偏差以上)、かつ90%以上のモデルが同じ符号の変化をしている領域 ポイント ① 熱帯赤道域 ポイント ② 亜熱帯や中高緯度 の乾燥地域 (%) 出典:AR5 WG1 政策決定者向け要約 Fig SPM.8(b)一部抜粋 ① 有効な気候変動対策が取られなかった場合の予測であるRCP8.5シナリオにおいては、21世紀末までに、高緯度域・赤道域・中緯度の湿潤地域では降水量が増加する可能性が高いと予測されています。なおシナリオが異なっても符号の分布の特徴は同様です。(→「Q&A」 参照)。 ② 一方、中緯度と亜熱帯の乾燥地域の多くでは降水量は減少する可能性が高いと予測されています。 ポイント

44 Q. A. 水循環についてのQ&A ✔ 地球の水循環はどのように変わっていくか。 将来予測 7. 水循環 7-2 将来予測
7-2 将来予測 水循環についてのQ&A Q. 地球の水循環はどのように変わっていくか。 □ “内部変動を上回る変化”のイメージ A. 水循環には、降水、地表流、蒸発などのプロセスがあります。これらは、例えば年によって降水量が違うなど、自然に変動するものですが(=内部変動(※))、21世紀末には、これまでの変動の幅を上回るような大きな変化が起こると予測されています。(右上図は変化のイメージ) 具体的には、将来、以下(右下図)のような水循環の変化がだんだんと顕著になっていくと予測されます。 ○気候変動の影響で、ハドレー循環(注)(図中の黄色の矢印)の下降域が高緯度側に広がることにより、乾燥地域と湿潤地域の境界が高緯度側にシフトする。 ○大気が温暖化し、より多くの水蒸気を含むようになった大気は、熱帯では、ハドレー循環の上昇流により熱帯降雨が促進され、高緯度帯、北極・南極(図中の青の領域)ではより大きな降水が生じるようになり湿潤化が進む。 ○ハドレー循環に伴う下降流は、水蒸気を上空にて放出しているため乾燥しており、その下降域に当たる亜熱帯の大部分(図中の赤の領域)ではより乾燥化が進む(降水量が減少する)。 (※)内部変動は大気・海洋・陸面が自然法則にしたがって相互作用することによって、外部的な原因が無くても生じる変動であり、これによる代表的な例にはエルニーニョ/ラニーニャ現象があります。 (注)低緯度帯において、赤道付近で上昇し、南北30°あたりで下降する循環のことで す。相対的に気温が高い地域で空気が上昇し、相対的に気温が低い地域で下降し ている循環であり、直接循環と呼ぶこともあります。 内部変動の幅を 上回る変化 内部変動の幅 □ 水循環の主要な構成要素の変化を表した模式図 出典:AR5 WG1 FAQ12.2 Fig 1

45 Q. A. Q. A. 水循環についてのQ&A ✔ 気候変動対策が実施された場合、降水量の変化はどうなるか。
将来予測 7. 水循環 7-2 将来予測 水循環についてのQ&A Q. 気候変動対策が実施された場合、降水量の変化はどうなるか。 A. 非常に多くの気候変動対策が実施された場合のRCP2.6シナリオ(→用語解説)では、降水量の変化はRCP8.5シナリオよりも大きく緩和されると予測されています。降水量の増加が予想される北半球の中緯度帯や、降水量の減少が予想される亜熱帯でも、降水量の増減はそれぞれ10%程度の範囲内になると予測されます(右図)。 □ 非常に多くの気候変動対策が行われた場合の予測(RCP2.6) 2081〜2100年平均から1986〜2005年平均の年平均降水量の差を 割合で示したもの Q. 雨季と乾季の間の降水量の差が大きくなるのはなぜか。 A. モンスーンの風は弱くなる可能性が高く、モンスーンの影響による降水は水蒸気量の増加により強まる可能性が高いとされています。AR5ではモンスーン期の開始期は早くなるか現状のままの可能性が高い一方で、終了期が遅くなり、結果としてモンスーン期の長期化の可能性が高いことが述べられています。これにより、雨季、すなわちモンスーンが影響を及ぼす時期は降水量が多くなり、乾季との降水量の差が大きくなると考えられます。 (%) 出典:AR5 WG1 政策決定者向け要約 Fig SPM.8(b)一部抜粋

46 8. 海 洋

47 海洋上層の海水温が上昇 ✔ 観測結果 8. 海 洋 8-1 観測結果
8-1 観測結果 海洋上層の海水温が上昇 気候システム(→「2.序章」参照)に蓄積されたエネルギーの増加量のうち、海洋に蓄積されたエネルギーが占める割合は、極めて大きなもの( 年においては90%以上が海洋への蓄積)となっています。 ■ 世界の平均海洋表層(0~700m)の海洋貯熱量の変化 ポイント エネルギーの 蓄熱 貯熱量(1022J) ※線の色の違いは、使用している観測データの違い ※1971年の全データセットの平均を基準とした偏差 (年) 出典:AR5 WG1 政策決定者向け要約 Fig SPM.3(C) AR4との違い 〈 AR4 〉 1961年以降、少なくとも水深0~3000mまでの海洋において、海水温が上昇 〈 AR5 〉 年において、水深0~700mの海水温はほぼ確実に上昇。 年において、水深3000m以深の海洋深層の海水温が上昇した可能性が高い 海洋に蓄積(蓄熱)されるエネルギーの増加に伴い、 年に海洋上層(0~700m)の海水温が上昇したことはほぼ確実とされています。 ポイント

48 海洋上層の海水温が上昇 ✔ 8. 海 洋 観測結果 8-1 観測結果
8-1 観測結果 海洋上層の海水温が上昇 年において、海洋深層の海水温が上昇している可能性が高いことが、AR5の新知見として示されました。 ■ 水深1000m以深の海水温上昇率 (世界平均及び亜南極前線以南の平均) ■ 4000m以深の深海盆底の海水温変化量と 亜南極前線の位置 世界平均 亜南極前線 以南の平均 水深(m) 新知見 (℃/10年) 10年あたりの海水温変化量 10年あたりの海水温上昇量(℃) 注1:紫の太線は、亜南極前線の位置。 注2:色付きの部分は、深海盆底(細い黒線で囲まれた領域)に対して推定された、水深4000m以深の海水温の平均水温上昇量。 注3:点描は、95%の信頼度で、海水温の上昇がほぼ0の領域。 注:オレンジと紫の帯の幅は、観測結果の信頼性が5~95%である範囲。 出典:AR5 WG1 Fig 3.3(a) 出典:AR5 WG1 Fig 3.3(b)

49 110年で、海面水位が19cm上昇 ✔ 8. 海 洋 観測結果 8-1 観測結果
8-1 観測結果 110年で、海面水位が19cm上昇 19世紀半ば以降の海面水位の上昇率は、それ以前の2千年間の平均的な上昇率よりも大きいものとなっています。 ■ 世界の平均海面水位の変化 世界平均海面水位からの差(mm) 年の ※線の色の違いは、使用している観測データの違い。 (年) 出典:AR5 WG1 政策決定者向け要約 Fig SPM.3(d) AR4との違い 〈 AR4 〉 海面水位上昇率が19世紀から20世紀にかけて増加した (高い確信度) 〈 AR5 〉 19世紀末から20世紀初頭にかけて、海面水位の上昇率は、過去2千年間の平均的な上昇率よりも大きくなった 年の間に、世界の平均海面水位は19cm上昇しています。海面水位の1年あたりの平均上昇率については、 年の期間では1年あたり1.7mm、 年の期間では1年あたり2.0mm、 年の期間では1年あたり3.2mmと増加傾向であった可能性が非常に高いです。 ポイント

50 海の酸性化が進行 ✔ 8. 海 洋 観測結果 8-1 観測結果
8-1 観測結果 海の酸性化が進行 海洋は、二酸化炭素(CO2)を吸収し、海洋酸性化(→用語解説)を引き起こしています。 ■ 海面付近のCO2分圧及び海水の酸性度の変化 *二酸化炭素濃度の単位を圧力の単位で示す。これを二酸化炭素分圧と呼び、μatm(100万分の1気圧)で表す。 ※線の色の違いは、使用している観測データの違い。 CO2 ポイント ① CO2の吸収 CO2分圧(μatm*) ポイント ② pHの低下 現場観測によるpH pH (年) 出典:AR5 WG1 政策決定者向け要約 Fig SPM.4(b) ① 海洋は人為起源のCO2排出量の約30%を吸収しています。その結果、海洋酸性化が引き起されています。 ② 工業化以前から現在までに、海面付近のpHは0.1低下しています。これは、海洋の水素イオン濃度が26%増加したことに相当します。 ポイント

51 Q. A. Q. A. Q. A. 海洋についてのQ&A ✔ 近年の海面水位の上昇率はどの程度高いのか。 海面水位が上昇する要因はなにか。
観測結果 8. 海 洋 8-1 観測結果 海洋についてのQ&A Q. 近年の海面水位の上昇率はどの程度高いのか。 A. 世界の平均海面水位の年平均の上昇率は、20世紀( 年)では1.7±0.2mm/年、近年( 年)では2.8~3.6mm/年であり、これは過去2千年の上昇率と比べて非常に高いものとなっています(右図)。ちなみに、15,000~10,000年前の氷期最盛期から間氷期の移行時に急速な氷床の崩壊が起きた時期には海面水位変化が10~15mm/年で生じ、14,600年前の融解イベント1a(Meltwater Pulse 1A)という事象が起きた時期には、近年よりもはるかに急速な40mm/年の海面水位の上昇が生じたといわれています。 □ 世界の平均海面水位の変化率の年代別比較 氷期から間氷期へ の移行期の平均 融解イベント 1A 直近の 2千年間 20世紀 衛星高度 測定時代 海面水位変化率(mm/年) 22,000- 7,000年前 14,600年前 2,000年前- 1899年 1900-1999年 1993-2012年 Q. 海面水位が上昇する要因はなにか。 A. 海面水位の上昇の2大要因は、海洋の熱膨張(水は暖まると膨張する)と陸氷(氷河や氷床)の損失による減少です。 年の期間において、海面水位は1年あたり3.2[2.8~3.6]mm上昇した可能性が非常に高いとされていますが、その主な内訳は以下の通りです。  ・熱膨張 :1年あたり 1.1[0.8~1.4]mm  ・氷河の減少 :1年あたり 0.76[0.39~1.13]mm  ・グリーンランド氷床の減少 :1年あたり 0.33[0.25~0.41]mm  ・南極氷床の減少 :1年あたり 0.27[0.16~0.38]mm  ・陸地の貯水量の減少 :1年あたり 0.38[0.26~0.49]mm ※[ ]内の数値は、観測データによる不確実性の幅 出典:AR5 WG1 FAQ5.2 Fig 1 Q. 上昇した海面水位は下がることはないのか。 A. 氷期に入ると海の凍結によって海面水位が大きく下がりますが、およそ5万年は次の氷期に入ることはないと予測されているため、上昇した海面水位はしばらく下がることはありません。

52 日本近海の海面水温も上昇している ✔ 観測結果 8. 海 洋 8-1 観測結果 ■日本近海の海面水温
8-1 観測結果 日本近海の海面水温も上昇している ■日本近海の海面水温 日本近海の海面水温は平均で100年あたり1.07℃上昇しています。これは、世界の海面水温が平均で100年あたり0.52℃上昇しているという観測結果と比較して、高い上昇率となっています。 (出典:気象庁HP    無印 : 統計的に99%有意な値 ★ : 統計的に95%有意な値 [#] : 統計的に有意な長期変化傾向を見出せなかった領域 出典:気象庁HP (平成28年3月10日発表)

53 21世紀末に、海面水位は最大82cm上昇 ✔ 将来予測 8. 海 洋 8-2 将来予測
8-2 将来予測 21世紀末に、海面水位は最大82cm上昇 21世紀は、世界の平均海面水位が上昇し続けると予測されています。また、全てのRCPシナリオ(→用語解説)で、海面水位の上昇率は 年の期間に観測された上昇率を上回る可能性が非常に高いとされています。 ■ 将来の海面水位予測の比較 世界平均海面水位予測( 年との比較) 2081-2100年平均 シナリオ 名称 2081~2100年 平均(cm) 可能性が高い 上昇幅(cm) RCP8.5 63 45~82 RCP6.0 48 33~63 RCP4.5 47 32~63 RCP2.6 40 26~55 有効な気候変動対策が 取られない場合 非常に多くの気候変動対策が 取られた場合 ポイント ① 世界平均海面水位上昇(m) ポイント ② 出典:AR5 WG1 政策決定者向け要約 Fig SPM.9、表SPM.2一部抜粋 ① 有効な気候変動対策が取られない場合の予測であるRCP8.5シナリオでは、21世紀末までに、世界の平均海面水位は45cm~82cm上昇する可能性が高いと予測されています。 ② 一方、非常に多くの気候変動対策が取られた場合の予測であるRCP2.6シナリオでも、26cm~55cm上昇する可能性が高いと予測されています。つまり、全てのシナリオで、世界の海面水位は上昇し続けるという予測結果となっています。 ポイント AR4との違い 〈 AR4 〉 21世紀末までに、世界の平均海面水位は18~59cm上昇 〈 AR5 〉 21世紀末までに、世界の平均海面水位は26~82cm上昇 (※新たな物理過程を定量化)

54 21世紀末に、海洋の酸性化は最大0.32進む ✔ 8. 海 洋 将来予測 8-2 将来予測
8-2 将来予測 21世紀末に、海洋の酸性化は最大0.32進む 21世紀は、全てのRCPシナリオ(→用語解説)で、海洋酸性化の世界的な進行を予測しています。 ■ 将来の世界の平均海面pH予測の比較 世界の平均海面pHの変化予測 シナリオ 名称 2081~2100年 (1986~2005年平均との差) 平均 低下量の幅 RCP8.5 0.31 0.30~0.32 RCP6.0 0.203 0.20~0.21 RCP4.5 0.145 0.14~0.15 RCP2.6 0.065 0.06~0.07 2081-2100年平均 有効な気候変動対策が 取られない場合 非常に多くの気候変動対策が取られた場合 ポイント ① (pH) ポイント ② 出典:AR5 WG1 政策決定者向け要約 Fig SPM.7(c)、AR5 WG1 Chp から作成 ① 有効な気候変動対策が取られない場合の予測であるRCP8.5シナリオでは、21世紀末までに、世界の平均海面pHは0.30~0.32下がると予測されています。 ② 一方、非常に多くの気候変動対策が取られた場合の予測であるRCP2.6シナリオでも、0.06~0.07下がると予測されています。つまり、全てのシナリオで、世界の平均海面pHは低下するという予測結果となっています。 ポイント

55 Q. A. 海洋についてのQ&A ✔ なぜAR4よりも海面水位の上昇量が大きくなったのか。 将来予測 8. 海 洋 8-2 将来予測
8-2 将来予測 海洋についてのQ&A Q. なぜAR4よりも海面水位の上昇量が大きくなったのか。 A. AR4の海面水位の上昇量の定量化においては、グリーンランドと南極の氷床について、降り積もる雪と融解によって失われる氷のバランス(表面質量収支)のみが考慮されていました。当時より、グリーンランドや南極の氷床については、融解時に生じる水によって、氷床が海へ流出するのを加速する効果(氷床流動プロセス)があると考えられていましたが、AR4の時点では定量化することができませんでした。AR5ではこの氷床流動プロセスを定量的に評価できるようになり、その結果としてAR4よりも海面水位の上昇量が大きく見積もられています。 □ 世界の平均海面水位の上昇量及び各要素の寄与の度合い 寄与の合計 熱膨張 氷河 グリーンランド氷床(表面質量収支+氷床流動プロセス) 南極氷床(表面質量収支+氷床流動プロセス) 陸地での水の貯留 南極氷床の氷床流動プロセス グリーンランド氷床の氷床流動プロセス 年平均に対する 年平均の上昇量 世界平均海面水位上昇(m) (※)ここでの、A1Bシナリオ(AR4のシナリオの1つ)の評価結果は、AR5で考慮されている各要素を踏まえて再評価されたものであり、AR4の時の評価結果とは異なる。 出典:AR5 WG1 TS Fig TS.21

56 Q. Q. A. A. 海洋についてのQ&A ✔ 地域によって 海面水位の変化が異なるのはなぜか。 グリーンランドと南極の氷床は、海面水位へ
将来予測 8. 海 洋 8-2 将来予測 海洋についてのQ&A Q. Q. 地域によって 海面水位の変化が異なるのはなぜか。 グリーンランドと南極の氷床は、海面水位へ どのような影響を与えるのか。 A. A. 海上風の変化、暖まった海水の拡大及び氷の融解は海流の変化に影響を与えます。海流が変化すると、ある地域から別の地域への海面水位の変化がもたらされることとなります。また、グリーンランドや南極の氷床も地域的な海面水位の変動に影響を与えます。このような理由により、各地域での海面水位は様々な変化傾向を示します。 グリーンランドと南極の氷床は地球上で最大の水の貯蔵庫となっています。これらの氷床は、降雪の増加によって量が増すとその分だけ海面水位を低下させますが、融解や流出の増加により量が減ると海面水位を上昇させます。南極とグリーンランドの氷床全体では、降雪の増加よりも融解や流出の増加の方が大きく、氷床は減少し、21世紀末までの海面水位の上昇に大きく寄与していくものと予測されています。 □ 地域別の海面水位の変化 海面水位(mm) (年) サンフランシスコ シャーロットタウン アントファガスタ ストックホルム パゴパゴ マニラ 海面水位の変化(mm/年) ※上下のグラフ(灰色線)は各地の潮位計による( 年)海面水位の変化 ※赤線は、世界の平均海面水位の変化の推定値 ※真中の地図は衛星高度測定による( 年)地域別の海面水位の変化率の分布 出典:AR5 WG1 FAQ13.1 Fig 1

57 三大湾における海抜ゼロメートル地帯が、5割増加
8. 海 洋 将来予測 8-2 将来予測 三大湾における海抜ゼロメートル地帯が、5割増加 平均海面水位が59cm上昇した場合、日本の三大湾である大阪湾、伊勢湾、東京湾のゼロメートル地帯の面積は、5割広がると予測されています。 大阪湾 伊勢湾 東京湾 現 状 海面上昇後 倍 率 ゼロメートル地帯の 面積(km2) 577 879 1.5 出典:国土交通省(2008) 第7回大規模水害対策に関する専門調査会 「地球温暖化に伴う気候変動について」

58 9. 雪氷圏

59 世界各地で氷床・氷河が減少 ✔ 9. 雪氷圏 観測結果 9-1 観測結果
9-1 観測結果 世界各地で氷床・氷河が減少 南極やグリーンランドの氷床、アラスカ、カナダなど世界各地の氷河の減少が観測されています。 ■ 氷の累積損失量と海面水位の関係 ポイント ① 各地の 氷が減少 氷河 グリーンランド氷床 南極氷床 氷の累積損失量(Gt※) 海面水位に相当(mm) ポイント ② 減少が加速 (年) ※Gt=10億トン 出典:AR5 TS Fig TS.3( 正誤表) ① 過去20年にわたり、南極やグリーンランドの氷床、アラスカ、カナダなど世界各地の氷河は減少しています。 ② またその減少速度も次第に速くなっています。例えば、南極氷床の平均減少率は、1992~2001年には34Gt/年であったものが、   2002~2011年にはその4倍以上の平均147Gt/年に、グリーンランド氷床の平均減少率は、 1992~2001年には34Gt/年であったものが、2002~2011年には215Gt/年と大きく増加しています。 ポイント

60 北半球の雪や氷も減少 ✔ 9. 雪氷圏 観測結果 9-1 観測結果
9-1 観測結果 北半球の雪や氷も減少 北半球の春季の積雪面積や北極の夏季の海氷(→用語解説)面積も減少し続けています。 ■ 北半球の3〜4月の積雪面積の平均値 ■ 北極の夏季海氷面積の平均値(7~9月)※ ポイント ① 減少し続けている ポイント ② 減少し続けている (百万km2) (百万km2) (年) (年) ※ 海氷面積は季節により拡大、縮小をしていますが、その中で最も海氷面積が小さくなる   夏季の観測結果を比較したものです。(他の季節の傾向については「Q&A」を参照) 出典:AR5 WG1 政策決定者向け要約 Fig SPM.3(a),(b) ① 北半球の3~4月の積雪面積は1967~2012年において10年あたり1.6%減少しています。 ② 1979~2012年の期間にわたって北極域の年平均海氷面積は減少しており、夏季の海氷の最小値で見ると、10年あたり9.4~13.6%(10年あたり73~107万km2)の範囲で減少している可能性が非常に高くなっています。 ポイント

61 永久凍土の温度が上昇 ✔ 観測結果 9. 雪氷圏 9-1 観測結果
9-1 観測結果 永久凍土の温度が上昇 多くの地域で永久凍土(→用語解説)の温度が上昇しています。永久凍土の温度が上がると、中に含まれるメタン(温室効果ガス)が大気中に放出され、気候変動が益々加速されてしまいます。(→詳細は「Q&A」参照) ■ 世界各地の永久凍土の温度変化 地中温度(℃) (年) ポイント 温度が上昇 出典:AR5 WG1 Fig 4.22 1980年代初頭以降、ほとんどの地域で永久凍土の温度が上昇しています。 ポイント

62 Q. A. Q. A. Q. A. Q. A. Q. A. 雪氷圏の減少についてのQ&A ✔
観測結果 9. 雪氷圏 9-1 観測結果 雪氷圏の減少についてのQ&A Q. A. 夏以外の季節も北極の海氷面積は減少しているのか。 下のグラフは、季節ごとの北極圏の海氷面積を推計したもので、青い線が冬季(1~3月)、緑の線が春季(4~6月)のデータです。ともに1960年代から減少傾向にあることがわかります。 Q. A. 氷の損失量は実測値なのに、数値に幅があるのはなぜか。 氷の損失量は複数の方法で出された値です。衛星や航空機によるリモートセンシング、現地観測から得られた情報(AR5 TS TS.2.5.4)をもとに損失した量を推定評価するために幅ができます。 □ 季節ごとの北極の海氷面積( 年) Q. A. 氷床と氷河の違いはなにか。 ここでいう氷河とは世界中に分布する氷河(アラスカ、カナダ北極圏、南アンデス、アジアの山岳など)を指します。また、グリーンランドと南極大陸の氷を氷床といいます。 海氷面積(百万km2) 1~3月 4~6月 7~9月 10~12月 衛星から得られた統計解析データ Q. A. 北極の氷と南極の氷の違いは。 南極には南極大陸があります。南極大陸は雪が降り積もって固まった、数千メートルの厚さの「氷床」という氷に覆われています。一方、北極には大陸がありません。北極点もそのまわりも海です。ただし、「海氷」という海水からできた氷に覆われています。この海氷の厚さはおおよそ数メートルで、海に浮かんでいます。北極のまわりは冬の間はほとんど海氷に覆われていますが、夏になると、北極点から少し離れたロシアやアラスカの海岸に近いところでは氷が融けて海面が姿を見せます。 出典:国立極地研究所 (年) 出典:AR5 WG1 Fig 4.3(b) Q. A. 南極とグリーンランドの氷の損失に違いはあるのか。 現在、南極は降雪量で得る氷のほぼ全てを、流出と周縁氷床の海中への溶け込みによって失っています。また、南極のいくつかの沿岸域(主に西南極)では、氷の流出が強まっています。しかし、氷の融解は、南極大陸周辺の気温が低すぎるため、ほとんど起きていません。一方でグリーンランドは氷の融解と流出の両方による質量損失が、降雪量をはるかに超えていると考えられます。

63 氷河が減少している地域も多く見られます ✔ 観測結果 9. 雪氷圏 9-1 観測結果 ■ 氷河の減少の例 □ アラスカ:ギルキー氷河の変化
9-1 観測結果 氷河が減少している地域も多く見られます ■ 氷河の減少の例 □ アラスカ:ギルキー氷河の変化 □ タジキスタン:フェドチェンコ氷河の中流部の変化 □ ブータンの氷河湖の変化 □ ヒマラヤ:ギャプラ氷河周辺の変化  出典: JAXA HP 地球が見える 

64 北極域の海氷がほぼ消失する可能性がある ✔ 将来予測 9. 雪氷圏 9-2 将来予測
9-2 将来予測 北極域の海氷がほぼ消失する可能性がある 北半球の氷や雪は、21世紀の間、減少し続けると予測されています。また、有効な気候変動対策が取られず最も気候変動が進んだ場合、今世紀半ばまでに、9月の北極域の海氷がほぼ消失する可能性が高いと予測されています。 ■ 北半球(9月)の海氷面積予測の変化 ■ 北半球(9月)の海氷面積予測 ( 年平均と 年平均の比較) ※9月:1年のうちで海氷が特に減少する時期 非常に多くの気候変動対策が 取られた場合(RCP2.6) 有効な気候変動対策が 取られなかった場合(RCP8.5) ポイント ③ 海氷がほぼ消失 する可能性がある ポイント ② 現在より 小さくなる CMIP5(全モデル) 年平均 CMIP5(抜粋) 年平均 ポイント ① どのシナリオでも 現在より減少する (百万km2) (年) ※北極域を上から見たもの(青色の部分は北極海)   線で囲んだ部分は、モデルによる1986~2005年平均の再現結果   塗りつぶし部分は、モデルによる21世紀末( 年平均)の予測結果   白色はCMIP5マルチモデル全体の結果の平均   水色は北極域の海氷面積の気候値と1979〜2012年における傾向を現実にかなり近く   再現したモデルのみによる結果の平均 灰帯はモデルによる過去の推移の再現結果の幅、青帯はRCP2.6による予測結果の幅、 赤帯はRCP8.5による予測結果の幅 実線は過去の再現性がよかったモデルの平均、点線はCMIP5のマルチモデルの平均 1.0(百万k㎡)に引かれた破線は海氷がほとんど存在しない状態を表す 出典:AR5 WG1 政策決定者向け要約 Fig SPM.7(b)一部抜粋 出典:AR5 WG1 政策決定者向け要約 Fig SPM.8(c) ① 21世紀中に、北極海や北半球の氷や雪は、減少する可能性が非常に高いと予測されています。 ② 非常に多くの気候変動対策が取られた場合(RCP2.6)、21世紀末までに北極域の海氷(9月)は、現在より43%程度減少すると予測されています。 ③ 有効な気候変動対策が取られなかった場合(RCP8.5)、21世紀末までに北極域の海氷(9月)は、現在より94%程度減少すると予測されています。 ポイント

65 Q. Q. A. A. Q. A. 将来の雪氷圏についてのQ&A ✔ 北極の氷が融けて生じる影響はどのようなものか。
将来予測 9. 雪氷圏 9-2 将来予測 将来の雪氷圏についてのQ&A Q. Q. A. 北極の氷が融けて生じる影響はどのようなものか。 三つの影響が考えられています。まず、北極海に生息する海洋生態系(ホッキョクグマやプランクトンなど)が脅かされます。また雪氷が融けることで、反射率が下がるため太陽放射の吸収が増加し、地球全体の気温上昇が加速されます。また、海氷生成時に排出される高塩分水が深層循環の駆動力の一つと考えられており、北極の海氷の減少は海洋の深層循環にも影響を及ぼします。 永久凍土の温度が上昇することで どのような影響が生じるのか? A. 北極地域(シベリア、カナダなど)に広く分布する永久凍土では、植物や動物の遺骸を多く含む粘土(泥炭層)が形成されています。気温の上昇により永久凍土の表層が融けると、泥炭層内の(植物や動物の遺骸に含まれる)炭素が、酸素の少ない環境下で微生物によって分解されてメタンとなります。このメタンが、大気中に放出されることで、気候変動が加速することが懸念されます。  また、永久凍土下層や海底堆積物中といった低温高圧の環境下には、メタンハイドレート(メタンが水分子の結晶格子中に閉じ込められたもの)が存在している所があります。永久凍土の温度上昇といった環境の変化によってメタンハイドレートが不安定になり、分解されたメタンが大気中に放出されることも予想されます。 気候変動により、 2000~2100年の間に永久凍土内から50~250 PgC(※)のメタンやCO2が放出されると予測されています(RCP8.5シナリオ、低い確信度)。 ※Pg(ペタグラム):1000兆グラム(10億トン) gC:炭素の重量に換算したもの メタンやCO2の放出以外にも、永久凍土の上に建物やインフラがあった場合は、地盤が緩むことで使用が困難となるといったような影響も想定されます。 Q. A. 南極の氷が融けて生じる影響はどのようなものか。 北極と違って南極は大陸に氷が乗っているので、これが融けて海へ流れると海面水位が上昇します。また南極域の生態系が脅かされます。

66 10. 異常気象

67 アジア、オーストラリアの大部分で可能性が高い
10. 異常気象 観測結果 10-1 観測結果 高温や熱波などの異常気象が増加 近年様々な異常気象(→用語解説)が増加しており、その主な要因として人為的影響の可能性が高いものもあります。 ■ 異常気象について ポイント① 異常気象の増加 現象や変化傾向 変化が生じた可能性 (特記がない限り1950年以降の典型) 人間の活動に伴う温室効果ガスの 排出増加の影響 多くの場所で寒い日や寒い夜の減少 多くの場所で暑い日や暑い夜の増加 可能性が非常に高い 高温と熱波の増加 世界規模で確信度が中程度。ヨーロッパ、 アジア、オーストラリアの大部分で可能性が高い 可能性が高い 極端な高潮の増加 可能性が高い(1970年以降) 大雨の増加 減少より増加した陸域が多い可能性が高い 確信度が中程度 干ばつの増加 世界規模では確信度が低い 幾つかの地域で変化した可能性が高い 確信度が低い 強い台風の増加 長期的(100年周期)変化では確信度が低い 北大西洋で1970年以降、ほぼ確実 ポイント② 人為的影響の 可能性が高い 出典:AR5 WG1 政策決定者向け要約 Table SPM.1に基づき作成 ① 近年、寒い日の減少や暑い日の増加、高温や熱波、大雨、干ばつの増加などの様々な異常気象が増加している可能性が高くなっています。 ② いくつかの異常現象の増加は、人間の活動に伴う温室効果ガスの排出増加の影響の可能性が高いといわれています。 ポイント

68 Q. A. 異常気象についてのQ&A ✔ 異常気象は気候変動が原因か? 観測結果 10. 異常気象 10-1 観測結果 □ 温度の上昇
10-1 観測結果 異常気象についてのQ&A Q. 異常気象は気候変動が原因か? □ 温度の上昇 日最低気温 日最高気温 気温偏差(℃) 発生確率 A. ある特定の異常気象が、気候変動の結果であるかどうかを判断することは、困難です。なぜなら、異常気象は、幾つかの要因が複合して起きるものであり、気候変動が起こっていない状況でも起こるものであるためです。 しかし、気候システムの観測された変化や解析研究から、気候変動が異常気象発生の頻度を変化させると考えられています。(例えば熱波のように、気候変動によって起こりやすくなってきたものや、霜あるいは極端に寒い夜のように起こりにくくなったものがあることが示唆されています。また、2003年のようなヨーロッパの非常に暑い夏が起こる危険性は倍以上になったという研究結果もあります。) 近年の気候変動によって異常気象の発生確率が変化することは、次のように説明できます。例えば三十年間の気温分布をグラフにすると右図のような山形の分布になります。グラフの横軸は気温偏差、縦軸(高さ)は発生確率(年間日数)を示しています。そしてこの分布のうち、山の両端部分の高さがそれぞれ記録的に寒い日(右上図)と暑い日(右下図)の発生確率になります。ここで2つの山がありますが、青線で示されたものが過去の発生確率、赤線が近年の気温が高くなった後の発生確率を示したグラフです。青線よりも赤線が高温側(グラフ右側)に移動していることがわかります。つまり記録的に暑い日の確率は増加し、記録的に寒い日の確率は減少するということになります。 (出典:AR4 TS、AR5本文等から作成) 極端に 寒い日が 減少 極端に 暑い日が 増加 ※1961~1990年の気候値(平均値)に対する1961~1980年(青線)と1981~2010年(赤線)の二期間の(a)日最低気温偏差と(b)日最高気温偏差の分布。 陰影部は、1951~1980年の期間における(a)夜と(b)昼の極端に寒い10%(薄青色)と極端に暑い10%(薄赤色)を示している。陰影のより濃い部分は、1951~1980年の期間に比べて1981~2010年の期間に極端に寒い日と寒い夜の日数がどれだけ減少したか(濃い青)、及び極端に暑い日と暑い夜の日数がどれだけ増加したか(濃い赤)を表している。 出典:AR5 WG1 FAQ 2.2 Fig.1

69 日本では、大雨と猛暑日が増加 ✔ 観測結果 10. 異常気象 10-1 観測結果
10-1 観測結果 日本では、大雨と猛暑日が増加 ■ 日降水量が100mm以上、200mm以上となった年間の日数 日本では、日降水量100mm以上及び200mm以上の日数について、1901~2014年の114年間で増加しています。一方で、日降水量が1.0mm以上の日数は減少しており(図は省略しています)、大雨の頻度が増えた反面、弱い降水も含めた降水の日数は減少したという特徴が分かります。 ※日降水量の統計処理に用いられた51地点は1901年からの観測データが揃っている地点です。 □[51地点平均]日降水量100mm以上の日数 □[51地点平均]日降水量200mm以上の日数 1地点あたりの年間日数 1地点あたりの年間日数 □[13地点平均] 日最高気温35℃以上の日数(猛暑日) ■ 最高気温が35℃以上の日数 1日の最高気温が35℃を超える日を猛暑日と呼んでいます。右の図から、日本では猛暑日の発生日数が増加傾向にあることが分かります。 ※日最高気温の統計処理に用いられた13地点は都 市化の影響が比較的少なくかつ観測地の移転がな い気象庁の13観測地点です。 (網走、根室、寿都、山形、石巻、伏木、銚子、境、浜田、彦根、多度津、名瀬、石垣島) 1地点あたりの年間日数 緑の棒グラフは年々の値 赤の直線は期間にわたる変化傾向 青の折れ線は5年移動平均 出典: 気象庁「気候変動監視レポート2014」

70 21世紀末までに熱波や高潮などが増加 ✔ 10. 異常気象 将来予測 10-2 将来予測
10-2 将来予測 21世紀末までに熱波や高潮などが増加 今後、様々な異常気象の発生可能性が高まると考えられています。 ■ 21世紀末の異常気象の可能性 ポイント ① 寒い日の減少と 暑い日の増加 現象や傾向 将来変化の可能性(21世紀末) 多くの場所で寒い日や寒い夜の減少 多くの場所で暑い日や暑い夜の増加 ほぼ確実 高温と熱波の増加 可能性が非常に高い 極端な高潮の増加 大雨の増加 中緯度の大陸の大部分と熱帯湿潤地域で可能性が非常に高い 干ばつの増加 地域規模から世界規模において可能性が高い(中程度の確信度) 強い台風の増加 北太平洋の西側と北大西洋においてどちらかと言えば(50%~100%の確率) ポイント ② 熱波や高潮 出典:AR5 WG1 政策決定者向け要約 Table SPM.1に基づき作成 ① 21世紀末までに、寒い日が減り、暑い日が増加するのは、ほぼ確実です。 ② 高温と熱波や、極端な高潮も21世紀末までに増加する可能性が非常に高いと予測されます。さらに中緯度の大陸の大部分や熱帯湿潤地域で、 豪雨などの降水現象がより強く、頻繁に起こる可能性が非常に高くなっています。 ポイント

71 地域ごとの日降水量の発生頻度分布をもとに算出
将来予測 10. 異常気象 10-2 将来予測 日本では、大雨と真夏日の増加が予測されている □ 上位5%の降水イベントによる日降水量の変化(単位:%) ■ 大雨の変化 全国 北日本 日本海側 太平洋側 東日本 西日本 沖縄・ 奄美 RCP2.6 19.6 17.2 21.0 18.6 20.2 20.8 23.2 RCP4.5 17.0 18.7 15.4 17.7 16.3 19.5 16.1 19.8 RCP6.0 27.3 28.5 30.1 24.2 27.1 25.8 37.3 RCP8.5 40.5 46.7 41.6 35.9 32.4 42.9 43.9 52.0 地域平均 地域ごとの日降水量の発生頻度分布をもとに算出 上位5% 日降水量 40~60 (mm) 20~40 60~80 80~100 日本各地域及び日本全体の大雨による降水量(各地域で観測される上位5%の日降水量)は、全てのシナリオで増加します(右表) 。 値は平均値。ただしRCP4.5は1ケースのみの計算であることに留意。 また、上位5%の日降水量は各地域の過去20年間の観測データにより算出した目安値。 ■ 真夏日日数の変化 □ 真夏日(日最高気温30℃以上)の年間日数の変化(単位:日) 全国 北日本 日本海側 太平洋側 東日本 西日本 沖縄・ 奄美 RCP2.6 12.3 4.9 5.3 12.0 13.6 19.2 20.2 26.8 RCP4.5 20.4 10.6 11.8 18.9 23.2 28.6 30.3 40.7 RCP6.0 29.9 16.5 17.1 34.2 41.3 43.1 57.6 RCP8.5 52.6 38.6 35.1 53.8 58.4 65.9 68.6 86.7 参考都市例 札幌 釧路 新潟 東京 福岡 大阪 那覇 上記都市の平年値 8.0 0.1 33.5 48.5 57.1 73.2 96.0 真夏日の年間日数は、将来の温室効果ガス安定化レベルが高くなるほど増加します。全国でみると、RCP2.6で平均12.3日、RCP8.5で平均52.6日増加すると予測されています(右表) 。 値は平均値。ただしRCP4.5は1ケースのみの計算であることに留意。 また、参考都市の平年値は 年平均である。 出典:日本国内における気候変動による影響の評価のための気候変動予測について(お知らせ)から作成

72 用語解説

73 2100年における温室効果ガス濃度(CO2濃度に換算)
用語解説 ■「エーロゾル」とは エーロゾルは、大きさ、濃度、化学成分とも様々な大気中の微粒子です。エーロゾルには、直接大気に排出されるものと、排出された化合物から生成されるものがあります。また、エーロゾルは自然起源の化合物と人間活動の結果として排出された化合物の両方を含みます。 化石燃料やバイオマスの燃焼は、硫黄化合物や有機化合物、黒色炭素(すす)を含むエーロゾルを増加させてきました。また、露天掘りや工業過程のような人間活動は大気中のダスト(ちり)を増加させてきました。自然起源のエーロゾルには、地表面から排出される鉱物ダスト、海塩エーロゾル、陸地や海洋から排出される生物起源のもの、火山噴火による硫酸塩やダストエーロゾルが含まれます。 ※エーロゾルは、「エアロゾル」と呼ばれることもあります。 ■「ハイエイタス」とは ハイエイタス(hiatus)とは、世界の平均気温の上昇率が横ばい、あるいは負になるような状態を指します。この用語は、米国のG. Meehl博士のグループが最初に用いたもので、現在では地球の温暖化の停滞状態を指すものとして広く使われています。 (出典:東大海洋研HP AR5 WG1では 年の世界平均気温の上昇が0.11℃/10年であったのに対して、 年では0.04℃/10年の上昇であったことをハイエイタスと呼んでいます。 ■「シナリオ」とは AR5における気候モデル予測では、温室効果ガスの代表的濃度(「放射強制力」と対応します)に関する想定であるRCP(Representative Concentration Pathway)シナリオが用いられています。RCPの後に続く数値が大きくなるほど、2100年時点での温室効果ガスの濃度が大きくなると仮定されたシナリオになります。濃度については、AR4や新規の研究から、将来あり得ると考えられる上限(8.5W/㎡)のRCP8.5と下限(2.6W/㎡)のRCP2.6が設定されており、その間にRCP6.0とRCP4.5というシナリオが用意されています。 AR4ではSRES(Special Report on Emissions Scenarios)という社会経済(経済発展重視か環境と経済の調和か、グローバル化か地域主義化か)を考慮したシナリオが用いられていました。SRESに対して、RCPシナリオは、温暖化対策を実施した場合の効果を評価できるという特徴があります。ただし、RCP2.6がいかなる対策をどの程度実施したシナリオかについては、WG3の範疇であり、WG1では示されていないことに注意が必要です。 ■「氷期」、「間氷期」とは 氷河学では、地球上に氷河が存在する時代を氷河期といいます。氷河期の中で、特に寒い時期を氷期といい、比較的温暖な時期を間氷期といいます。 なお、日常用語として使われる「氷河期」の中には、専門用語としては「氷期」に該当する場合が多いです。 ■「世界の平均気温」とは 世界の平均気温は、世界中で観測されている陸面と海の表面温度の数値をあわせて、平均値をとったものです。資料によっては、「全球平均表面温度」や「世界の平均地表面温度」といった表現がなされる場合もあります。 シナリオ 名称 放射強制力 2100年における温室効果ガス濃度(CO2濃度に換算) 濃度の 推移 RCP8.5 2100年において 8.5W/㎡を超える 約1,370ppmを超える 上昇が 続く RCP6.0 2100年以降 約6.0W/㎡で安定化 約850ppm (2100年以後安定化) 安定化 RCP4.5 約4.5W/㎡で安定化 約650ppm RCP2.6 2100年以前に約3W/㎡ でピーク、その後減少 2100年以前に約490ppm ピーク後 減少 ■「ティッピングポイント」とは 気候において、ある安定状態から別の安定状態へと、世界的もしくは地域的な気候変化が生じる臨界しきい値(例えば気温上昇量)のことです。これを超えると、突然もしくは急激に、ある状態から全く異なる状態への不可逆な変化が生じます。 AR5 WG1では、グリーンランド氷床や南極氷床の崩壊、夏季の北極海氷の消失、モンスーン循環の崩壊などが挙げられています。(出典:AR5 WG1 AnnexⅢ、Chp12 Table12.4) 出典:Van Vuuren, Detlef P., et al. “The representative concentration pathways: an overview.” Climatic Change 109 (2011): 5-31.1から作成

74 用語解説 ■「水循環」とは ■「海洋酸性化」とは 地球における継続的な水の循環で、主要な流れは以下のものです。(下図参照)
●蒸 発:主に太陽放射によって、地表(陸面、海面)の水が水蒸気へ変化する。 ●凝 縮(雲の形成):大気中の水蒸気が液体へ相転移して雲や霧となる。 ●降 水:雲となった水が、雨や雪などとして地表へ降り注ぐ。 ●地表流:地表の高低差による水の流れ(川など)。一部は地中や湖などに貯えられるが、ほぼ海洋へ流れる。 ■「海洋酸性化」とは 海洋酸性化は海水のpHの減少を表すものです。工業化以前から現在までに海洋表層のpHは0.1程度減少しています。(海水自体のpHは8程度であり、弱アルカリ性です)海洋酸性化が進行することで、浅い海における炭酸塩沈殿物の溶解や、貝類やサンゴなどの海洋石灰化生物に影響(骨格をうまく生成できなくなるなど)を及ぼす可能性があります。 海洋酸性化の仕組みは、おおよそ以下の通りです(下図)。 (1)大気中のCO2が水と反応して炭酸(H2CO3)となる。 (2)炭酸がさらに水素イオン(H+)と炭酸水素イオン(HCO3-)に分解する。 (3)炭酸水素イオンがさらに水素イオンと炭酸イオン(CO32-)に分解する。 これらの反応の結果、水素イオンの増加によって海洋の酸性化が進みます 出典:U.S. Geological Survey HP 出典:気象庁HP

75 用語解説 ■「雪氷圏」とは ■「永久凍土」とは ■「異常気象」、「極端現象」とは ■「海氷」とは 雪氷圏のイメージ
雪氷圏とは、水が雪や氷として存在する全ての地域のことを示します。(全ての地域とは、地表上と地表下、そして海洋上と海洋下の全ての範囲が対象となります)具体的には、海氷、永久凍土、氷河、氷床、積雪などがあります。(下図参照) (出典:AR5 WG1 AnnexⅢ) ■「永久凍土」とは 永久凍土とは二年以上連続で0度以下になっている地面(氷や有機物を含む土壌岩)のことです。 (出典:AR5 WG1 AnnexⅢ) 雪氷圏のイメージ ■「異常気象」、「極端現象」とは 気象庁によると、「異常気象」とは、数十年間に1回程度の現象、あるいは人が一生の間にまれにしか経験しない現象を指し、これには大雨や強風などの短時間の現象から、数か月も続く干ばつなどまでが含まれます。社会一般には、気象災害を起こすなど社会的な影響が大きい現象を「異常気象」と呼ぶこともありますが、気象庁は原則的に、ある地点・ある時季において30年に1回以下の現象を「異常」と定義しています。 これに対しIPCCは、類似の用語として「極端現象」という表現を用いています。これは「ある地点・ある時季においての稀な現象」のことであり、大雨や熱波、干ばつなど上述した「異常気象」と同様の現象を指しますが、「異常気象」が数十年間に1回程度のかなり稀な現象であるのに対し、「極端現象」は日降水量100mmの大雨など毎年起こるような現象も含んでいます。 なお、こうした異常気象や極端現象は、主に自然の変動によって発生するもので、人為起源の気候変動が起きていない状況でも発生します。そのため、異常気象や極端現象の一つを取り出して、それが人為起源の気候変動の結果であるかどうかを判断することは困難です。しかし、気候変動の観測や解析研究から、気候変動が異常気象や極端現象の発生頻度を増加させると考えられています。 ※このように厳密には「極端現象」と「異常気象」は定義が異なりますが、本資料ではわかりやすさを重視し「異常気象」の表現で統一しています。 (出典:気象庁HP 出典:AMAP/SWIPA 北極圏の気候変動 ■「海氷」とは 海氷とは海水が凍ってできた氷です。河川水が凍ってできた河川氷が海上に流出したものは海氷ではありません。また、陸上の氷床や氷河の氷を起源とする氷山も、海氷とは呼びません。 (出典:気象庁HP

76 用語解説 ■「氷床コア」とは □ 南極氷床の氷床コア掘削イメージ □ 氷床コア掘削ドリル
氷床コアとは、南極やグリーンランドなどの氷床をドリルなどで掘削して得られる筒状の氷の柱です。南極などの内陸に積もった雪は、その重みで圧密されて氷に変わる際に、隙間の空気を気泡として閉じ込めます。この気泡から過去の空気の状態を調べることができます。例えば、数十万年前の温室効果ガス濃度なども氷床コアから推測されたものです。 □ 南極氷床の氷床コア掘削イメージ □ 氷床コア掘削ドリル 出典:国立極地研究所HP 出典:国立極地研究所HP

77 監   修 : 江守 正多(国立環境研究所 地球環境研究センター 気候変動リスク評価研究室 室長)
企画・制作 : IPCCリポート コミュニケーター・プロジェクト 著   作 : 環境省


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