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東京大学大学院工学系研究科 石川顕一 ishiken@q.t.u-tokyo.ac.jp 理研レーザー物理工学研究室 河野弘幸、緑川克美
楕円偏光によるインパルシブ回転ラマン散乱の シミュレーション Simulation of the impulsive rotational Raman scattering with an elliptically polarized laser pulse 2002年9月27日 応用物理学会秋季学術講演会(新潟大学) 東京大学大学院工学系研究科 石川顕一 理研レーザー物理工学研究室 河野弘幸、緑川克美 To be published in Phys. Rev. A 66
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インパルシブ誘導ラマン散乱(ISRS) ISRS : 極超短パルスを得るための手法の一つ (河野弘幸等、応物2002年春28pZE1)
我々は、フェムト秒レーザーと物質の様々な非線形相互作用を研究している。 ISRS : 極超短パルスを得るための手法の一つ (河野弘幸等、応物2002年春28pZE1) 超短パルスレーザー(ポンプ光)がラマン媒質中に瞬時にフォノンを励起する パルス幅 < ラマン振動または回転の周期 弱いプローブ光 → ラマンサイドバンドの生成 既存の研究(振動、回転) ポンプ光:直線偏光 楕円偏光のポンプ光の場合どうなるか? 回転ラマンの場合、励起されるフォノン振幅は、ポンプ光の楕円度に大きく依存すると予想される。
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CPA-Ti:Sapphire Laser System
インパルシブ誘導ラマン散乱(ISRS) Pump 300 mJ (785nm) CPA-Ti:Sapphire Laser System 785 nm, 80 fs, 800 mJ, 10 Hz Probe 10 mJ (392.5nm) Time Delay:21 ps Half Mirror Pump → Raman coherence (phonon QM) QM The probe pulse is injected. Time Delay Spectrometer L1 L2 Wavelength (nm) Relative Intensity S1 AS1 F S2 S3 AS2 AS3 Analyzer Fresnel Rhomb Dichroic Mirror Hollow Fiber ・l = 750 mm ・Inner Diameter: 126 mm ・Hydrogen Pressure: 2 atm l/4 Plate BBO(t =100 mm) L1 L2 f = 700 mm f = 600 mm 河野弘幸等、春季第49回応用物理学会関係連合講演会 28pZE1 (2002)
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本研究の目的 任意の楕円度のフェムト秒ポンプパルスによって、ラマン媒質中にインパルシブに励起される回転ラマンコヒーレンスのダイナミクス
特に、フォノン振幅の楕円度依存性 回転フォノンが励起された媒質中での、直線偏光プローブパルスの散乱 ラマン媒質 水素(0.5atm)充填中空ファイバー(内径126m)
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レーザー電場と分子の回転自由度との相互作用の理論モデル
Rotational phonon or Rigid rotor ? Rotational phonon concept (Rotationally invariant formalism) Rigid rotor formalism 分子→量子力学的な線状回転子 分子配向、回転波束の取り扱いに用いられる。 多くの異なる J 準位が励起される場合に適している。 比較的高強度(〜 1015 W/cm2) 長パルス(〜 ns) 角運動量 DJ = 2 のフォノンとの相互作用として記述。 2つの J 準位(J = 1⇔ J = 3)のみが重要で、他の回転準位の励起は無視できる場合に有効。 比較的低強度(〜 1013 W/cm2) 短パルス(〜 fs) 本研究ではこちらを使う。
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Rotationally invariant formalism
R. Holmes and A. Flusberg, Phys. Rev. A37, 1588 (1988) ラマン振動数 フォノン励起 レーザーの伝播方向をzとして量子化 フォノン生成 電場(a= 1:右円偏光、 a= −1:左円偏光) フォノンによるレーザー光の散乱 クレプシュ=ゴルダン係数
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Rotationally invariant formalism
R. Holmes and A. Flusberg, Phys. Rev. A37, 1588 (1988) 電場Eaに対して、slowly varying envelope approximationを適用。 フォノン励起Qnはそのまま。 減衰 カー効果 分散 ラマン散乱 ポンプ光通過後 楕円度 フォノン振幅
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フォノン振幅のポンプ光楕円度依存性 ポンプ光のパルス幅 = 80 fs > TR (57 fs)の場合(厳密にはインパルシブでない)
Parametric gain suppression due to Stokes-anti-Stokes (SA) coupling 直線偏光 q0は励起されない。 q-2が選択的に励起。 円偏光 フォノン振幅は、楕円度と伝播距離に大きく依存!
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フォノン振幅のポンプ光楕円度依存性 ポンプ光のパルス幅 = 40 fs < TR (57 fs)の場合(インパルシブ)
直線偏光、円偏光でもフォノン励起 q0も励起される →ep, z 依存性は小 q2とq-2が同程度に励起。 フォノン振幅は、楕円度と伝播距離に大きく依存! 楕円偏光のときに、フォノン振幅大!
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プローブ光のスペクトル広がり qm が z に依存せず、プローブ光のパルス幅が長いとき解析的に得られる結果 のとき スペクトルは広がる。
ベッセル関数 スペクトルは広がる。 のとき 1次のストークス、反ストークス成分のみができる。
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プローブ光のスペクトル広がり プローブ光 プローブ光のパルス幅が80フェムト秒の場合には、スペクトルはあまり広がらない。
直線偏光 ピーク強度:1011 W/cm2 パルス幅:80 fs プローブ光のパルス幅が80フェムト秒の場合には、スペクトルはあまり広がらない。 プローブ光のパルス幅が40フェムト秒の場合には、少なくとも直線偏光のポンプ光を用いた場合と同等以上に、スペクトルは広がる。 ポンプ DM = 2のフォノンとDM = −2のフォノンが同等に励起されていることが望ましい。 ポンプ光によって励起されたラマン媒質中を1m伝播したプローブ光のスペクトル
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結論 インパルシブ誘導回転ラマン散乱による、ラマンコヒーレンスの励起は、
ポンプ光の楕円度に大きく依存する。 直線偏光や円偏光の場合に比べ、楕円偏光の場合の方が、励起効率がよい。 楕円偏光の場合には、伝播距離 z にも大きく依存する。 励起されたラマン媒質中に、直線偏光のプローブ光を通過させた場合の、プローブ光のスペクトルの広がりは、 適切な楕円度の超短パルスのポンプ光を用いれば、直線偏向のポンプ光を用いた場合と少なくとも同等のスペクトル幅を得られる。 To be published in Phys. Rev. A 66
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