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Published byこうき つくとの Modified 約 6 年前
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2017年6月13日(2) (おそらく2回分以上あるので6月20日も) 担当講師・後藤嘉宏 (筑波大学知識情報・図書館学類所属)
メディア社会学 2017年6月13日(2) (おそらく2回分以上あるので6月20日も) 担当講師・後藤嘉宏 (筑波大学知識情報・図書館学類所属) 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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5.年齢 5.1世代(generation)と年代(age)
5.1.1世代 この項目の概要は今年は6月6日に行った 5.2.2年代 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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5.1.1世代 「世代」「生年・成長時期がほぼ同じで、考え方や生活様式の共通した人々。またその年代の区切り。ジェネレーション。「--の差」「戦後--」」(『広辞苑』) 例)「安保世代」「団塊の世代」 いつ頃生まれたかで人々を区分して、考え方や行動の仕方の相違をみていく際に使われる言葉。 ある世代の人・・・ある時は子供の年代であり、ある時は青年の年代であり、ある時は中年に 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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「団塊の世代」 「団塊の世代」(「 年のベビーブーム時代に生まれた世代」『広辞苑』) 1960年には彼らは年代としては少年の年代 1970-80年頃までは青年の時代、 今は高齢年代になっている。 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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世代論と技術決定論 「太陽族」「新人類」(1960年生まれ以降)など。 「携帯電話世代」とか「オタク世代」 マス・メディア、電気通信等のメディア環境の変化→世代特有の行動様式(文化)を形作る しかしあまりにそこの部分を強調すると、技術決定論(次のスライドで補足)やマス・メディア効果論の皮下注射モデルに陥ってしまう。 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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技術決定論の問題 (詳細は「メディア社会文化論」ハンドアウト参照)
技術決定論批判の骨子 技術が社会や文化を規定するのではない 社会的文脈に適った技術が受け入れられる 後追い的に歴史を振り返ると、技術が社会を牽引しているように見える(勝者の歴史) しかし新しい技術で社会に定着したものはごく僅か 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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世代論の陥穽(落とし穴) ①戦争や災害や技術などインパクトの大きい事柄の説明力を必要以上に過大評価 ②時代の最先端の人(若者)の行動のみに着目しがちである ③いずれにせよ多数派は世代の特色を(少なくとも当初は)備えていない ④報じられることで最先端が普通になることはある(「沈黙の螺旋状階段」仮説・・・メディア社会文化論のハンドアウト参照) 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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5.1.2年代 「年代」「一生の一時期」(ジーニアス英和のageの説明の一つ) teenage 10代の(13-19歳) いつ生まれたかによる意識や行動様式の差は「世代」のこととなるし、いつ生まれたかにかかわりなく、若者には若者固有の意識や行動があり、そちらに着目すると「年代」のこととなる。 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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アンケート調査と世代、年代 実際には両者の影響は不可分的に混ざり合っている。一度の時点でアンケートをしても、両者は分離できない。 両者を区別する調査手法・・・コーホート分析 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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‘若者の保守化 改憲論議’ 世代と年代のズレの例
‘若者の保守化 改憲論議’ 世代と年代のズレの例 従来 高齢者 保守的 /若者 革新的・・・時代を問わず、ほぼ普遍的にいえた ↓ 冷戦の崩壊(1990年前後)→保守、革新の枠組みの崩れ。55年体制の崩壊→戦争を知らない世代が政治の表舞台に 従来の振り分けとある意味逆転している状況 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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5.2 年齢による意識の差の理由・・・準拠枠組みの違い
5.2 年齢による意識の差の理由・・・準拠枠組みの違い 「準拠枠組(frame of reference)」・・・「「認識枠組」「関係枠組」ともいう。人間は外部からの刺激を「知覚」するが、それをどのように「認識」するかは、その人の持っている認識の枠組によって異なり、同一の刺激が同一の認識をもたらすわけではない。このように、外部からの刺激に統一的な「認識」を与える枠組みを準拠枠組という」(倉沢進・川本勝『社会学への招待』ミネルヴァ書房1992,p.51)。 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト 11
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準拠枠組みの違いの生じる例① 親が子供に対して多く注意している事柄(倉沢進・川本勝『社会学への招待』ミネルヴァ書房1992,p.50。オリジナルは、東京都『東京の子供と家庭』1985)。 1位 人に迷惑をかけないこと 46% 2位 言葉づかいや挨拶をきちんとすること 32% 3位 交通事故やけがに気をつけること 32% 4位 勉強すること 21% 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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② 子供が親から多く注意を受けている事柄 1位 勉強すること 43% 2位 言葉づかいや挨拶をきちんとすること 30% 3位 整理・整頓をすること 27% 4位 交通事故やけがに気をつけること 22% 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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③ 親は社会的規則や通念をいっているつもり。 子供の方は具体的な生活上の事柄の注意が、頭に残る。よって、のび太のママやしんちゃんのミサエ(「おかたししなさい」)のような発言が印象残る。 →同一の事柄に対する意味付与・・・大人と子供で異なってくる。つまり、「個々の行為とその行為に意味を与えている価値や規範は違うものであ」る(倉沢進・川本勝『社会学への招待』ミネルヴァ書房1992,p.52)。 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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④ ・・・子供の方が生活世界が狭く、特に友だち集団でのつきあいが、自分の最も大切な集団となる。したがって友だちづきあいを邪魔される「宿題済ませたの?」は、子供にとって最も不快で煩わしく、他の言葉よりも印象に残ることになる。他方、親の方は生活世界が広いので、地域社会あるいは将来の日本社会での子供の正しい成長を願っての発言が多くなっていると感じている。 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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5.3 年齢と地位、役割 「年齢に比例して地位が上がる」・・・普通の社会、あるいは従来の日本社会。いまは若干変化している面もある。当然地位に応じて、一般的には権力もふえるし、収入もふえる。 年功序列制であると、年齢とともに、会社の中での地位が上昇することになる。経験が大切な仕事であれば、年齢ととも実際に実力がつく。そして年齢、実力に伴い、役割や地位も大きくなる。 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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日本での社員の評価 ・・・専門的な能力や独自の才能<<<会社内での顔の広さ、人脈等(専門職に相性悪い) →年齢に応じて地位が向上することになる。しかしそれも定年までの間のこと ▽不祥事で倒産・廃業した超大企業の山一証券のクビになった多くの幹部社員「俺は部長なら得意だ」--世間では通用しない能力「特定の会社の人脈」--路頭に迷う▽ 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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地位の非一貫性・・・日本の特色 中小企業の部長と大企業の係長のどちらが地位が上か? 社内では地位の上下は明確であり、そこで閉ざされた地位のピラミッド型システムがあるが、(とはいえ本社・支社だと閉ざされていない)社会全体では?→結局、不明 職業上の地位だけでなく、財産や収入や学歴その他諸々の要素が地位を構成している(地位の要素) 学歴は地位構成の原因であると同時にそれ自体も地位・・・昔の本、「『文学士』誰それ著」 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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年齢と地位 儒教社会・・・年齢と地位とがすぐに結びつく しかし現代社会、定年制・・・60歳までの間での期限付き、「年齢に応じた地位」 江戸時代も「ご隠居」は自主的定年(しかも40歳くらいなんだよね)・・・でも隠居後も「水戸のご老公」 会社社会でも役員(重役)は定年がない。よって社長、副会長、会長と屋上屋が重ねられる。 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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5.4年齢につれての地位向上の機会の減少という近年の状況
想定される諸要因 マスメディアの影響・・・美男美女系(テレビ映りの良い人)であれば若い人ほどメディア露出しやすい 能力主義の傾向 稼ぎで全てを評価する傾向 価値と希少性の問題 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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マスメディアの影響 社会がテレビなどの影響を受けやすくなる→若さが大切な仕事がスポットライトを浴びる→年齢を経ただけの者が高い地位を占めることへの反感も強まる スターの若さ称揚→それが一般化→沈黙の螺旋状階段(ノエル・ノイマン) 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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能力主義の影響 年功序列型と地位と賃金の配分→能力に応じた地位と給料へ 創意工夫を重視する社会へ→長年の経験の蓄積よりも新しいことを生み出す力を重視→年を重ねることが優位性の根拠にならぬ 監督(高橋由伸・桐蔭高・慶大卒42歳1.0億円)よりスター選手(阿部慎之助・中大卒38歳5.7億;村田修一・日大卒36歳2.2億)の方が学校歴・年齢共に下であっても遥かに高い年俸・・・そうすると大きな発言力(後輩を良い店に飲みにつれていく)(派閥の形成)・・・11連敗 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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価値の希少性の減少の影響 少子高齢化→若者の数減少→相対的に若者の稀少性が増大→従来以上に大切にされる 高齢者の増加→ 文化・知識の変化(古い世代の経験が-以前 と違って-知として通用しなくなる) →高齢者の有り難み減少 従来の年齢と地位との関係を問い直させる。 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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5.5 世代とカウンターカルチャー、サブカルチャー
5.5 世代とカウンターカルチャー、サブカルチャー 世代間の情報行動、消費行動の相違→世代間の文化的な摩擦の原因に ギリシア時代から「今の若者はなっていない」という言葉。 大人の価値・規範及びそれらが具体化した形での行動様式(文化)≠若者のそれら 大人・・・自分たちの守ってきた価値・規範に「自分らが生きてきたことの意味づけ」を与える→若者文化に不満 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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サブカルチャー① 若者・・・大人の価値・規範を継承するだけでは、年の功のある彼らを抜けない→自分らのレゾンデートル(存在意義)を示す必要→別の文化(サブカルチャー、カウンターカルチャー) を模索する 若者のサブカルチャー志向は「年齢高くなる=地位」という見方を押しつける伝統的社会への反撥の意味合いもあった 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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サブカルチャー② 学校教育で体現される価値や規範(既存文化の側)とは別の規範→学校文化への反逆(ex尾崎豊の「卒業」・・・教室のガラスを割る) ジーンズやロック・・・反戦のシンボルから商品へ(体制の側に吸収される) 既存の価値や文化に対する若者の反逆を、大人の側が商品とする 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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サブカルチャー③ 市場の飽和状態を避ける→商品の差別化の要請→この資本の側の要請に、若者文化、サブカルチャーは応えてしまう。 しかも世代、年代の問題が生じる。サブカル世代が年齢を重ね、社会の主要ポストを占めていく(例、麻生太郎氏)。→二重の意味で体制に取り込まれる。 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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サブカルチャー④ サブカルチュア・・・社会的逸脱の一つ 大人たちは、担い手に不良のレッテル貼り(ラベリング)を しかし、その「不良」たちが社会の主流・中堅どころといずれはなる(例、麻生太郎元首相・現副首相、等) 彼らの「逸脱した」行動様式の一部あるいはほとんどが、社会の主流の行動様式となる→社会の文化そのものを組み替えていく。 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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サブカルチャー⑤ 小説・・・詩や演劇と違って二流の文学と見なされていた→一流に。入試問題にも出る。 その後、映画は小説や詩や演劇と違って、二流の芸術とされた 漫画やアニメは二流の文化とされていて、今でも図書館界の反発はあるが、次第次第に漫画学会や大学(京都精華大学)の漫画学科ができて、主流の文化で公認されるようになり、漫画しか読まない人が首相・副首相に。 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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サブカルチャー⑥ 不良の音楽とされていたビートルズやローリングストーンズであるが、ビートルズは、イギリス女王によって1965年勲章をもらいポール・マッカートニーは1997年貴族に列せられ、先頃ミック・ジャガーも貴族になった。 ジャズはむかしはクラシックに較べ低級文化とされたが(アドルノという世界的な社会学者・哲学者のジャズ批判など)、今は、クラシックファンとジャズファンは結構被るとされ、高級文化の典型とされている。 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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サブカルチャー⑦ 教育界・・・(日本に限らず、文部科学省は頭のおかたい人の集まり故)正統文化が支配 現在の教育システムで、優れた能力をもつとされる人・・・新しい文化の基準においてはそうではない可能性も 未来の基準による「優等生」は、今ストリートでダンスに興じているということも充分にあり得る(と今まで配付資料に書いてきたが、ついに2012年、文部科学省の魔の手がダンス界に及ぶ。ダンス必修化。なんでEXILE 様はイリッチ先生のように反対しないんだ???) 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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5.6 年齢の説明力の変化 従来は、年齢の差は、性とともに大きい説明力 なぜなら職業上の地位の差、家庭での立場の差←年齢の差 ←終身雇用制(年功序列と定年制。ただし勤め人。しかも大企業・公務員のみ) ←結婚(初婚)年齢がほぼ一定 ←離婚率の低さ 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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年齢の説明力の低下 日本がアメリカ型の社会になる→年齢と地位とが照応しにくくなってきている 社会のボーダレス化→年齢不明人増える 儒教道徳の衰え→年長者への尊敬の念をもつ人の減退 終身雇用制(7.3.1参照)の崩れ。中途採用の増加 定年制が年齢による差別とされる 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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年齢の説明力の低下② 未婚単身者(パラサイトシングル?)の増加と初婚年齢の多様化、離婚率の上昇 結果(メリット、デメリット) ①人間の自由の増大 属性よりもその人個人を見よ ②強い人間以外は孤独感が強まったり、意味喪失に陥る 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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6.1 学歴についての予備的議論 6.1.1 学歴社会と学校歴社会
日本は、「学歴社会」というよりも「学校歴社会」 「どんな教育を受けてきたか」よりも「どの学校を出たか」 「学歴ロンダリング」、「学歴フィルター」なる2ちゃん用語 高学歴なはずの「博士」は就職難(アメリカではこんなんではないと聞く) 理系修士は、就職がいい 文系修士は、就職難(図情を除く) 文理共に博士は路頭に迷う(供給不足の図情を除く) 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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6.1.2 達成価値と属性価値 学歴は、本来、達成価値であるが、属性価値的な要素も強い(福沢先生や丸山真男にはしかられるだろうが、アンケート調査の属性項目)。 18,9歳のときまでの頑張り次第で決まってしまうものだったので 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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アスクリプション(属性原理、属性主義)とアチーブメント(業績、達成)の対比
業績主義 「地縁・血縁・家柄・性別・人種」といった個人にとって変更不可能な属性によってではなく、その人の能力・努力・実力に応じて、資源を配分したり、地位を決定すること 属性主義 血縁・家柄などの属性によって地位を決定すること 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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6.1.3 学歴インフレ① 学歴は、いろいろな属性に関係する 学歴→職業→収入→居住地、未既婚、家族構成など、その他の属性に多く相関する 意識や行動様式を多く規定する そのため、親は子どもに自分より良い学歴・学校歴(せめて同等の学歴・学校歴)を望む → 世代交代を経るごとに学歴は良くなる傾向にある → 学歴インフレ 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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6.1.3 学歴インフレ② また文化的蓄積、知識の蓄積・増大に伴い、一人前の技術者や研究者になるために必要な年数が増えている。 理系は、今では修士に進む学生が大半 従来から6年生の医学部・歯学部に加えて、獣医学部(1984年)、薬学部(2006年)、でも、6年制課程の設置がスタート→薬学部は競争率低下(6年の学費に見合わない給与・収入水準とされるゆえ) 教員養成もいずれ?? その意味で、高卒よりも大卒、大卒よりも修士卒、修士卒より博士卒が専門職には望まれる世界的な傾向がある(終身雇用制度の残る日本を例外として) 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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6.1.3 学歴インフレ③ 学歴をアンケート調査で調べる際・・・ 「学歴インフレ」の状況に考慮する必要がある つまり、学歴の要因を年齢で、コントロールする お金も資格も学歴も希少性があって初めて価値を持つ 大卒の価値の低下 「末は博士か大臣か」(どっちも価値暴落) 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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(余談)資格インフレ 学歴インフレ→資格インフレ この状況の対処法は唯一、上位資格を作り、その上位資格の取得条件を下位資格とすること 管理栄養士・・・栄養士であることが条件 助産婦・保健師・・・看護師であることが条件 (勝手な妄想)司書資格も、上位資格を作り、知識の学生はその資格の多くの条件をクリアする、とすれば本学類も生き残れるのに。 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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6.2 学歴と階層再生産 ピエール・ブルデュー( ) フランスの社会学者 階層再生産の議論 出典: 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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よい学歴(学校歴)のある人のDISTINCTION(卓越化)の構成要素
能力そのものの差(頭の良さ、努力の結果の差) 立ち居振る舞い(ハビトス)の差(文化資本) ハビトスとウェーバーのエートス概念との類似性にブルデュー自身が言及 周囲の評価の差 ネットワーク、人脈の差(社会資本) 慶應義塾大学の人脈力 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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階層再生産① 高学歴(支配階級)の親の戦略 → 子どもに対する階層再生産戦略を施す → 良い学校に入れ、よい就職をさせる → つまり、教育投資 学校教育が、子どもに求める能力 → 支配階級の好む文化、知識、教養 そのため、支配階級の文化に接して育った子ども(=支配階級の子ども)は、学校教育についていきやすい 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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階層再生産② 支配階級の文化とは、具体的に何に現れる? 小説より詩 同じ小説ならラノベよりは純文学・古典文学 ポップスよりもクラシック テレビ(今ならネット)よりも読書 同じテレビなら民放よりもNHK 家庭料理よりもフルコース及びそれへのマナー 新聞なら朝日か日経 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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階層再生産③ これらが現れるというか身につく契機は? 親の学歴・居住地(エリートの多く住む土地出身か) 親の生活習慣 家の蔵書・CD・美術全集のコレクション 家族の生活上のマナー(食事のマナー等) 初等中等教育を含めた学歴 学校での友だち 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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階層再生産④ その結果・・・ 学歴が階層流動化の要因ではなく、階層再生産の道具(隠れ蓑含めて)としてのみ機能するようになってしまう 同じ一流とされる学校の卒業生において、親が一流の職業に就いている人の方が、早く高い地位に就ける → 学歴が専門的能力の証明であるよりも、教養の高さ、文化資本の伝達・授受の証拠に使われる 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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日本でも言えること、言えないこと 東大・早慶の学生の親の年収は、他大学より高い 東大と早慶の隔世遺伝 日本では、階層の格差がフランスなどに比べ少ないという説と、日本でも階層の格差があるという説がある。 芸術等の趣味という意味での文化資本のあるなしは、社会的地位に関係しない 階層による違いというよりも、世代による違い 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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文化資本① 文化の持つ社会的な価値の側面、親から子へと相続される側面を強調した用語。 流暢な標準語、クラシック音楽への素養 家庭生活を通じて、親から子へと受け継がれる場合が多く、文化資本をより多く持った家の子どもはやはり優位な位置に立つ ブルデューの「階層再生産」 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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文化資本② 文化資本は必ずしも金銭的な資産に比例するものではない 経済資本○ 文化資本×・・・経済エリート 経済資本× 文化資本○・・・文化エリート(知識人・大学教員) ブルデューは、文化資本の中身を「身体化された様態」、「客体化された様態」、「制度化された様態」の3つに分類した。 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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文化資本③ 身体化された様態 話し方や立ち居振る舞いなど 客体化された様態 物としてのピアノ、百科事典など 制度化された様態 学歴や資格など 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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ブルデューの議論 フランス、ヨーロッパ型の階級社会を前提 →日本にそのままの形ではあてはまらないが、それに類するものは日本でも存在している 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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6.3 学歴の高低と権威主義① 学歴・・・一つの地位、威信 よって高学歴求める人ほど権威主義とはいえる。 しかし従来、「低学歴のものほど、権威主義的な性格」との指摘 進学校の生徒ほど、上下重視態度が弱く、権威主義的でない ⇔もっとも、親が高学歴の子どもほど、上下重視態度が強いとも 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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6.3 学歴の高低と権威主義② 学歴の低い人ほど、日常生活上の不満を自国への誇りで解消させようとする傾向 → 高学歴者よりも権威主義になりやすいという指摘 しかし、高学歴ニートの増大、彼らのネット右翼化で上記の話が成り立ちにくくなっている。 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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6.3 学歴の高低と権威主義③ 従来、高学歴な者ほど、政治的にリベラルあるいは、左寄り 岩波書店、朝日新聞 従来、低学歴な者ほど、保守的(なおかつ、右寄り) しかし、今日では、このような分け方が成り立たなくなっている 朝日新聞、日経新聞の両紙を購読 若い高学歴層は、反朝日、反テレ朝、反中国、反韓国 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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6.3 学歴の高低と権威主義④ 「従来、高学歴な者ほど、政治的にリベラルだったのは、講壇(大学の教員)と論壇(岩波書店、朝日新聞)が左寄りだったから」という皮肉な見方もある 要は、高学歴な者ほど、基本、権威主義であるが、権威の側(東大・岩波・朝日)がリベラル・左派だったから、リベラル・反権威主義のポジショニングが、彼らの基本の権威主義に適合していたにすぎない もちろん、左派の後藤はこの見解に賛成しないが、リベラル派としてこの意見への反論をどう組み立てるべきか考えあぐんでいる。 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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7.職業 7.1職業の多様な次元の種別 業種(大きく分ければ第一次産業か第二次産業か第三次産業か。勤め先の業種)「業種」「事業や営業の種類」(『広辞苑』) 仕事の内容(勤め先の業種が製造業であっても、事務的な仕事もあるし、営業的な仕事もある。他方、製造業の根幹に関わる開発・技術部門や行員として実際の製造に携わる人も多い) 従業上の地位(平から主任・係長・課長・次長・部長・執行役員・役員・社長・会長等) 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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7.2日米の雇用形態・職業意識の違い 就職と就社 皆さんは就活=就職活動というが、日本では就職というよりは厳密にいうと就社するにすぎない ジェネラリストと専門職 そのことは専門的技術を会社にいって一生磨 くことが期待されていないこととも通じる。専門職よりジェネラリストが中堅になると求められる。 企業内組合と同業者組合 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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7.3日本的経営 終身雇用制 年功序列制 配置転換による雇用調整とジェネラリストの養成 御神輿型の意志決定と人の和の強調 丸抱え的システム 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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7.3.1終身雇用制① ・・・(中途採用の少なさ、学歴よりも学校歴重視の理由、就職よりも就社となることの理由) メリット・・・首切りの少なさであり、社員の愛社精神を強くし、仕事へのモチベーションを高める。 デメリット ①不採算部門に人をいつまでも残しておいたり不景気になっても人減らしができない→日本の企業の国際競争力を弱くする(構造改革論者の意見によると) 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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7.3.1終身雇用制② ②成果→好条件での転職というモチベーションが働かない→独創性を阻む企業風土 この終身雇用制の反対がいわば「リストラ社会」とでもいえる。 ③「会社人間」を作り出す・・・家庭を顧みない人生・・・定年後の生き甲斐のない状態 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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7.3.2年功序列制① 賃金や地位が勤続年数(=年齢・・・中途採用が少ないので)に応じて決まる・・・横並びの昇進・昇級→社員の間での対立や嫉妬心が生まれにくい。社員の創意工夫を殺ぐという批判もある。 就社ゆえ、社内の人脈が大切になる 独創性よりも調整力を重んじる(山一証券倒産時のエピソード)。7.3.3のジェネラリストゆえこのような社内の人脈を重視する人間が、エリートとしてのさばる。 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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7.3.2年功序列制② 中途採用や、新卒でない者の採用が不利になる。 日本が学校歴社会に留まり、狭い意味での学歴社会にならない理由でもある。 現実にはポストは上に行けば行くほど限られる。・・・出向、課長「級」のようなポストの用意 右肩上がりの時代( ≒高度経済成長期・・・1年に10%の成長)は、上記の問題はあまり目立たず巧くいった。 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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7.3.2年功序列制③ 住宅ローンや退職金、年金等、ライフプランそのものが日本では、年功序列制を前提としていた。 それに併せて結婚年齢、子供の生まれる年齢その他も、人による違いが従来は少なかった。 ライフスタイルの多様化(≒属性の説明力の減少)により、年功序列制の意義も薄らぐ 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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7.3.3配置転換による雇用調整とジェネラリストの養成①
(就社(就職ではなくて)あるがゆえに、不採算部門をレイオフ(一時解雇)あるいは解雇しなくて済む) メリット ①首切りの少なさ・景気の変動・人気商品の変化に対応できる ②社内の事情に通じた人物が幹部として育つ(「幅広い」視野) 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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7.3.3配置転換による雇用調整とジェネラリストの養成②
デメリット ①専門職が育たない、専門的能力を評価できない・・・実際司書職枠での採用がない大半の市町村でうちの卒業生が公務員になっても、図書館配属して貰っても数年で別の部局に「転勤」になる。 ②会社の外に人間関係の広がりを育もうとしない人が増える 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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7.3.4御神輿型の意志決定と人の和の強調 御輿型=ボトムアップ的な意志決定 メリット・・・末端の社員も会社の方向を左右する重要なアイデアを出す機会があり、モラール(士気)が高まる。 デメリット 1.責任が曖昧になる(日本の社会は「無責任の体系」が支配するということは丸山真男その他が指摘するとおり)。 2.(トップダウンに較べ)意志決定に時間がかかる。 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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7.3.5丸抱え的システム コンピュータ研修、英会話等、自分をスキルアップするための研修費用も会社持ち 社員食堂、社宅その他、福利厚生を会社が面倒見る お茶くみ専門の一般職の女子社員を大量に採用し、幹部候補生の男子社員の結婚相手の候補として、それでも売れ残った人にはお見合いの話を紹介する。(21世紀には通用していない考え方) 社員旅行、接待ゴルフ、社内の飲み会等、社員運動会等、社員および家族の娯楽 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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丸抱えシステムのメリット 1.会社に対する愛情や忠誠心がわき、仕事が生き甲斐になる。その結果、モラール(士気)が高まり、仕事上の効率は増える。 2.9時-5時で職業人としての意識が途絶えないだけに、職業上の地位が、その人の役割や規範をそのまま規定することになり、人格上の統合の矛盾が生じにくい。 3.名目上の給料よりも実質上の給料は高くなるが、それによって社員が支払うべき税金(所得税)は、相対的に低くて済む。(民間企業よりも公務員に関して宿舎等々についてこの利得はあった)。 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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丸抱えシステムのデメリット① 1.娯楽、余暇活動が仕事の延長になる。カラオケに行っても、飲み屋に行っても上司の顔を見るんでは、部下はストレス発散できません。結局ジンメルのいうような貨幣的人間関係が構築されず、相対的に下の立場の人間の自由が得られない状況であるといえる。 2.事実上の就業時間の延長。会社に余暇や娯楽の面倒をみて貰うということは、逆にサービス残業をすすんで受け入れる下地にもなる。 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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丸抱えシステムのデメリット② 3.地域社会への繋がりができない理由にも。ただし会社と家族しか濃密な人間関係を築くネットワークができないため、会社での立場が悪くなり、家族ともしっくりいっていないばあいには、逃げ場や相談相手がなくなる恐れもある。 ※会社がゲゼルシャフトではなく、擬似的なゲマインシャフトとして機能するといわれる。 要は社畜を自然と作り出す(デメリット?メリット?) 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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ライフサイクルと職業① 人生の一部の時間のみ「職業人」 80年のうちの22-60歳の38年。要は半分のみ しかも余暇が増えて、この38年のうちの何割かのみが職業に充てる時間 ただし22歳までは「職業」という「夢」の実現のための投資期間ともいえる また生き甲斐も職業と併せて考えられている。 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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ライフサイクルと職業② とはいえ職業が余暇時間の充実を支える お金と肩書き(地位の構成要素)も職業が規定する。 自分の子どもへの教育投資も、職業を念頭に置いている・・・その意味では社会学上の多くの「属性」が職業を巡って、廻っている 「職業」「再生産」(ブルデュー的な)をキーワードすると、人間の諸活動のほとんどがその中あるいは周辺に関連づけられる。 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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ライフサイクルと職業③ ただし普通の意味の学歴が関係する職業は、全職業の一部だし、花形職業は学歴不問であったり(スポーツ・芸能・ファッション)、学歴は通常要するがさらに驚異的な競争率であったりする(マスコミ産業等) 「職業-学歴-再生産」の軸が社会を大きく規定するが、それを外すと何が残るか、そこに自明性を越えた眼を向けたい。 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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アメリカだとベンチャーで成功した人は若くして引退して悠々自適の生活を送ることも少なくないと聞く。 他方、親の財産、祖父の遺産のたくさんある人でも、就職し、仕事することで、はじめてまっとうな社会生活を送れるという考え方も、少なくとも日本では(多分欧米でも)強い。 マルクスが未来社会として少しだけ素描した、共産主義社会(社会主義はそこに至る過渡期) 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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マルクスのスケッチとしての共産主義・・・誰でも好きな仕事を好きなだけ働き、好きな余暇活動を好きなだけ過ごせる理想郷のような社会 ロボットによる労働で、そのような社会が実現しても、人々の生き甲斐、生きている意味との関わりもあって、やはり、職業-学歴-再生産のループは世代・時代を超えて続いていくと思われる。 2017/6/13 筑波大・春日エリア「メディア社会学」担当講師・後藤嘉宏・ハンドアウト
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